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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109620
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/24 20060101AFI20220721BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220721BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220721BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220721BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220721BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20220721BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20220721BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20220721BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H05B33/24
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/26 Z
H05B33/28
H05B33/04
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005019
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
(72)【発明者】
【氏名】西村 眞澄
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC05
3K107CC07
3K107CC23
3K107DD10
3K107DD23
3K107DD27
3K107DD89
3K107DD90
3K107EE48
3K107FF15
5C094AA08
5C094BA27
5C094DA13
5C094EA04
(57)【要約】
【課題】所望の色度を得ることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の表示装置は、基材と、前記基材の上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、前記第1絶縁層の上に配置され、前記下部電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、発光層を含み、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、前記第2絶縁層の直上に傾斜面である第1端面を有し、前記有機層に積層された上部電極と、前記第1端面より内側に第2端面を有し、前記上部電極に接する光学調整層と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、
前記第1絶縁層の上に配置され、前記下部電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、
発光層を含み、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、
前記第2絶縁層の直上に傾斜面である第1端面を有し、前記有機層に積層された上部電極と、
前記第1端面より内側に第2端面を有し、前記上部電極に接する光学調整層と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記第2端面は、前記開口部より外側に位置している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
さらに、前記第1端面に接し、前記光学調整層を覆う封止膜を備える、請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。表示素子は、画素電極と共通電極との間に有機層を備えている。
【0003】
トップエミッション型の表示装置では、画素電極としての反射電極と共通電極としての半透明電極との間での光の共振効果を利用したマイクロキャビティ構造を適用することが知られている。マイクロキャビティ構造とは、赤緑青の各色を発光する表示素子において、画素電極と共通電極との間の光路長が、発光スペクトルのピーク波長に合致するように構成されたものである。これにより、光路長に合致した波長の光のみが共振し、輝度及び色純度が向上する。このようなマイクロキャビティ構造では、所望の色度を得る観点で、光路長からずれた波長の光を弱めることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-56666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、所望の色度を得ることが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、
基材と、前記基材の上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、前記第1絶縁層の上に配置され、前記下部電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、発光層を含み、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、前記第2絶縁層の直上に傾斜面である第1端面を有し、前記有機層に積層された上部電極と、前記第1端面より内側に第2端面を有し、前記上部電極に接する光学調整層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。
図2図2は、表示素子20の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。
図4図4は、図3に示した表示素子20のA-B線に沿った断面図である。
図5図5は、表示素子20の比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置DSPは、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末、携帯電話等に搭載される。なお、以下に説明する表示素子は照明装置の発光素子として適用することができ、表示装置DSPは照明装置等の他の電子機器に転用することができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示部DAを備えている。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
表示部DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1、SP2、SP3を備えている。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2、及び、青色の副画素SP3を備えている。なお、画素PXは、上記の3色の副画素の他に、白色などの他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えていてもよい。
【0013】
画素PXに含まれる1つの副画素SPの一構成例について簡単に説明する。
すなわち、副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動制御される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチ素子である。
【0014】
画素スイッチ2について、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極は信号線SLに接続され、ドレイン電極はキャパシタ4を構成する一方の電極及び駆動トランジスタ3のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ3について、ソース電極はキャパシタ4を構成する他方の電極及び電源線PLに接続され、ドレイン電極は表示素子20のアノードに接続されている。表示素子20のカソードは、給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は、図示した例に限らない。
【0015】
表示素子20は、発光素子である有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP2は緑波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP3は青波長に対応した光を出射する表示素子を備えている。画素PXが表示色の異なる複数の副画素SP1、SP2、SP3を備えることで、多色表示を実現できる。
【0016】
但し、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が同一色の光を出射するように構成されてもよい。これにより、単色表示を実現できる。
【0017】
また、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が白色の光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向するカラーフィルタが配置されてもよい。例えば、副画素SP1は表示素子20に対向する赤カラーフィルタを備え、副画素SP2は表示素子20に対向する緑カラーフィルタを備え、副画素SP3は表示素子20に対向する青カラーフィルタを備える。これにより、多色表示を実現できる。
【0018】
あるいは、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が紫外光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向する光変換層が配置されることで、多色表示を実現できる。
【0019】
図2は、表示素子20の構成の一例を示す図である。
表示素子20は、下部電極(第1電極)E1と、有機層ORと、上部電極(第2電極)E2と、を備えている。有機層ORは、キャリア調整層CA1と、発光層ELと、キャリア調整層CA2と、を有している。キャリア調整層CA1は下部電極E1と発光層ELとの間に位置し、キャリア調整層CA2は発光層ELと上部電極E2との間に位置している。キャリア調整層CA1及びCA2は、複数の機能層を含んでいる。
ここでは、下部電極E1がアノードに相当し、上部電極E2がカソードに相当する場合を例に説明する。
【0020】
キャリア調整層CA1は、機能層として、ホール注入層F11、ホール輸送層F12、
電子ブロック層F13などを含んでいる。ホール注入層F11は下部電極E1の上に配置され、ホール輸送層F12はホール注入層F11の上に配置され、電子ブロック層F13はホール輸送層F12の上に配置され、発光層ELは電子ブロック層F13の上に配置されている。
【0021】
キャリア調整層CA2は、機能層として、ホールブロック層F21、電子輸送層F22、電子注入層F23などを含んでいる。ホールブロック層F21は発光層ELの上に配置され、電子輸送層F22はホールブロック層F21の上に配置され、電子注入層F23は電子輸送層F22の上に配置され、上部電極E2は電子注入層F23の上に配置されている。
【0022】
なお、キャリア調整層CA1及びCA2は、上記した機能層の他に、必要に応じてキャリア発生層などの他の機能層を含んでいてもよいし、キャリア調整層CA1及びCA2において、上記した機能層の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0023】
図3は、図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。
1個の画素PXを構成する副画素SP1、SP2、SP3は、それぞれ第2方向Yに延びた略長方形状に形成され、第1方向Xに並んでいる。各副画素の外形は、表示素子20における発光領域EAの外形に相当するが、簡略化して示したものであり、必ずしも実際の形状を反映したものとは限らない。ここでは、発光領域EAが、第1方向Xに延びた短辺と、第2方向Yに延びた長辺とを有する長方形状に形成されている場合を想定している。
【0024】
後に詳述する絶縁層12は、平面視において、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ延びた格子状に形成され、副画素SP1、SP2、SP3の各々、あるいは、各副画素の表示素子20を囲んでいる。このような絶縁層12は、リブ、隔壁、バンクなどと称される場合がある。発光領域EAは、絶縁層12の開口部OPに形成され、下部電極E1と上部電極E2との間に有機層ORが介在する領域に相当する。
表示素子20の上部電極E2は、一点鎖線で示すように、発光領域EAに重畳している。上部電極E2には、詳述しない給電線から所定の電位が供給される。
【0025】
図4は、図3に示した表示素子20のA-B線に沿った断面図である。
図1に示した画素回路1は、基材10の上に配置され、絶縁層11によって覆われている。図4では、画素回路1に含まれる駆動トランジスタ3のみを簡略化して図示している。絶縁層(第1絶縁層)11は、表示素子20の下地層に相当する。絶縁層(第2絶縁層)12は、絶縁層11の上に配置されている。絶縁層11及び12は、例えば、有機絶縁層である。
【0026】
下部電極E1は、絶縁層11の上に配置されている。下部電極E1は、副画素毎あるいは表示素子毎に配置された電極であり、駆動トランジスタ3と電気的に接続されている。このような下部電極E1は、画素電極、アノードなどと称される場合がある。
【0027】
下部電極E1は、例えば、銀、アルミニウムなどの金属材料によって形成された金属電極である。なお、下部電極E1は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極であってもよい。また、下部電極E1は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。例えば、下部電極E1は、透明電極、金属電極、及び、透明電極の順に積層された積層体として構成されてもよいし、3層以上の積層体として構成されてもよい。トップエミッションタイプの表示素子20においては、下部電極E1は、反射電極として金属電極を含んでいる。
【0028】
絶縁層12は、開口部OPと、斜面S1及びS2と、上面U1及びU2と、を有している。開口部OPは、下部電極E1に重畳する領域に形成され、絶縁層12を下部電極E1まで貫通した貫通孔である。下部電極E1の周縁部は絶縁層12によって覆われ、下部電極E1の中央部は開口部OPにおいて絶縁層12から露出している。
斜面S1及びS2は、開口部OPに面している。上面U1は、斜面S1に繋がっている。上面U2は、斜面S2に繋がっている。なお、上面U1及びU2、斜面S1及びS2は、例えば平坦面であるが、曲面であってもよい。
【0029】
有機層ORは、図2を参照して説明したように、発光層ELの他に複数の機能層を含んでいる。有機層ORは、開口部OPに配置され、下部電極E1を覆っている。図4に示す例では、有機層ORは、斜面S1及びS2に配置され、さらには、上面U1の一部、及び、上面U2の一部にも配置されている。
【0030】
上部電極E2は、有機層ORに積層されている。上部電極E2は、絶縁層12の直上に位置する第1端面SS1を有している。つまり、第1端面SS1は、開口部OPの外側に位置している。図3に示す例では、第1端面SS1は、有機層ORの上に位置している。つまり、上部電極E2は、有機層ORの周縁部を露出している。なお、上部電極E2は、有機層ORの周縁部を含む有機層ORの全体を覆っていてもよい。この場合、第1端面SS1は、絶縁層12の上面U1及びU2に位置する。
【0031】
第1端面SS1は、傾斜面である。つまり、上部電極E2における第3方向Zに沿った厚さは、外側ほど(開口部OPから離れるほど)薄い。上部電極E2のうち、第1端面SS1に重畳する領域をテーパー部TPと称する。このような上部電極E2は、共通電極、対向電極、カソードなどと称される場合がある。
【0032】
上部電極E2は、例えば、マグネシウム、銀などの金属材料によって形成された半透過性の金属電極である。なお、上部電極E2は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極であってもよい。また、上部電極E2は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。上部電極E2は、表示部DAに配置された給電線、あるいは、表示部DAの外側に配置された給電線と電気的に接続されている。
【0033】
有機層ORのうち、絶縁層12を介することなく、下部電極E1と上部電極E2との間に位置する部分は、表示素子20の発光領域を形成することができる。一例では、有機層ORの第3方向Zに沿った厚さは、発光層ELにおける発光スペクトルのピーク波長と、下部電極E1と上部電極E2との間の実効的な光路長とが一致するように設定される。これにより、共振効果を得るためのマイクロキャビティ構造が実現される。
【0034】
光学調整層40は、上部電極E2に接している。光学調整層40は、第1端面SS1(あるいはテーパー部TP)より内側に位置する第2端面SS2を有している。つまり、光学調整層40は、上部電極E2のテーパー部TPを含む周縁部を露出している。また、第2端面SS2は、開口部OPよりも外側に位置している。つまり、光学調整層40は、少なくとも開口部OPにおいては上部電極E2の全面に接するように配置されている。このように、第2端面SS2は、開口部OPより外側に位置し、且つ、テーパー部TPより内側に位置している。
【0035】
第2端面SS2は、例えば、傾斜面である。つまり、光学調整層40における第3方向Zに沿った厚さは、外側ほど(開口部OPから離れるほど)薄い。一例では、第2端面SS2の傾きは、第1端面SS1の傾きより大きい。つまり、第1端面SS1は、比較的傾斜が小さい(底面とのなす角度が比較的小さい)緩斜面であるが、第2端面SS2は、比較的傾斜が大きい急斜面である。
【0036】
このような光学調整層40は、表示素子20からの光取出効率を向上させる目的で設けられている。光学調整層40の厚さ及び屈折率は、発光層ELからの発光強度及び発光波長に応じて選定される。光学調整層40は、一例では、多層膜である。光学調整層40を構成する薄膜は、導電材料で形成されてもよいし、無機材料で形成されてもよいし、有機材料で形成されてもよい。
【0037】
表示素子20及び光学調整層40は、封止層50によって覆われている。図4に示す例では、封止層50は、第1端面SS1に接している。封止層50は、外部から有機層ORへの水分等の侵入を防止することを機能のひとつとして設けられている。封止層50は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物などの無機材料で形成されている。なお、封止層50は、有機材料で形成された薄膜を含んでいてもよい。
【0038】
以上説明したように、表示素子20を構成する上部電極E2には、光学調整層40が接しており、表示素子20で発生した光の取出効率を向上することができる。しかも、光学調整層40は、表示素子20における発光領域EA、つまり、絶縁層12の開口部OPと重畳する領域に設けられている。このため、表示素子20で発生した光のうち、共振効果を受けた所定波長の光が取り出され、表示光の輝度及び色純度を向上することができる。
【0039】
ところで、有機層ORから漏れたキャリアが絶縁層12の上で再結合することによって発光した場合、この光は、マイクロキャビティ構造の共振効果を受けていないため、所定波長とは異なる波長を有している。このため、低階調表示の際に、所定波長の光とは別に、不所望な波長の光が取り出されると、表示光のうちの不所望な波長の光の占める割合が高くなり、所望の色度が得られなくなる(つまり、色純度の低下を招く)。
【0040】
そこで、光学調整層40は、上部電極E2の第1端面SS1には重畳しないように設けられている。このため、たとえ第1端面SS1の付近で不所望な発光が生じたとしても、この光は、光学調整層40を通ることがなく、ほとんど表示に寄与しない。したがって、低階調表示の際であっても、表示光のうちの不所望な波長の光の占める割合が低減され、所望の色度を得ることができる。
【0041】
図5は、表示素子20の比較例を示す断面図である。
図5に示す例は、図4に示した例と比較して、光学調整層40が上部電極E2の第1端面SS1を覆っている点で相違している。つまり、光学調整層40の第2端面SS2は、第1端面SS1よりも外側に位置している。
【0042】
このような比較例においては、第1端面SS1の付近で不所望な発光が生じた場合に、この光が光学調整層40によって取り出され、表示に寄与してしまう。このため、図4に示した例と比較して、低階調表示の際には、表示光のうちの不所望な波長の光の占める割合が高くなる。
【0043】
上記した本実施形態によれば、所望の色度を得ることが可能な表示装置を提供することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0045】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0046】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0047】
DSP…表示装置 10…基材 11…絶縁層(第1絶縁層)
12…絶縁層(第2絶縁層) OP…開口部 20…表示素子
E1…下部電極 OR…有機層 E2…上部電極 SS1…第1端面
40…光学調整層 SS2…第2端面
50…封止層
図1
図2
図3
図4
図5