(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109623
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/12 20060101AFI20220721BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220721BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20220721BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20220721BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H05B33/12 E
H05B33/14 A
H05B33/28
H05B33/04
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005025
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 純
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
【Fターム(参考)】
2H148BG06
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB08
3K107CC33
3K107DD04
3K107DD22
3K107DD27
3K107EE22
3K107EE43
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF06
3K107FF15
(57)【要約】
【課題】透過型両面発光装置の両面から発せられる光の色を異ならせる。
【解決手段】カラーフィルタ200は、第1面102又は第2面104に垂直な方向に発光部140と重なっている。発光部140から基板100へ向けて出射された光は、カラーフィルタ200を透過しない。したがって、発光部140から基板100へ向けて出射された光は、発光部140から発生した光の色のまま、第1の側S1から出射される。これに対して、発光部140からカラーフィルタ200へ向けて出射された光は、カラーフィルタ200を透過する。したがって、発光部140からカラーフィルタ200へ向けて出射された光は、発光部140から発生した光の色からカラーフィルタ200に応じた色に変化した状態で、第2の側S2から出射される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有し、第1面を有する基板と、
透光性を有する第1電極と、透光性を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する有機層と、を有し、前記基板の前記第1面側に位置する発光部と、
前記基板の前記第1面に垂直な方向に前記発光部と重なるカラーフィルタと、
を備える発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタは、前記発光部に対して前記基板が位置する側の反対側に位置している、発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記基板の前記第1面側に位置し、前記発光部を封止し、透光性を有する封止部をさらに備え、
前記カラーフィルタは、前記封止部に対して前記発光部が位置する側の反対側に位置している、発光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光装置において、
前記封止部が、前記発光部を覆う封止層を有する、発光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタは、前記発光部に対して前記基板が位置する側に設けられている、発光装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置において、
互いに異なる色を有する複数の前記カラーフィルタが設けられている、発光装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置において、
単一の前記カラーフィルタが設けられている、発光装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタが外部からの光を減衰させる、発光装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記基板が、移動体の内側に位置する第1空間と前記移動体の外側に位置する第2空間とを仕切る仕切部材に設けられており、又は前記基板が前記仕切部材の少なくとも一部であり、
前記カラーフィルタが位置する側に対して前記発光部が位置する側が前記第1空間に向けられており、
前記発光部が位置する側に対して前記カラーフィルタが位置する側が前記第2空間に向けられている、発光装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタは、感圧接着剤を介して前記発光装置の一部分に取り付けられている、発光装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタの面積が0.010cm2以上である、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光装置として、様々なOLED(Organic Light Emitting Diode)が開発されている。OLEDとしては、例えば、透過型両面発光OLEDや、ボトムエミッション、トップエミッション等の片面発光OLED等がある。
【0003】
特許文献1には、透過型両面発光OLEDの一例について記載されている。このOLEDは、透光性を有する第1電極と、透光性を有する第2電極と、第1電極と第2電極との間に位置する有機層と、を備えている。有機層から発せられた光は、第1電極を透過するとともに、第2電極を透過する。
【0004】
特許文献2及び3には、片面発光OLEDの一例について記載されている。このOLEDは、カラーフィルタを備えている。OLEDから発せられる光は、カラーフィルタを通過する。したがって、カラーフィルタによってOLEDから発せられる光の色を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/056684号
【特許文献2】特開2001-167874号公報
【特許文献3】特開2011-119091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1に記載の透過型両面発光OLED等の透過型両面発光装置は、発光装置が透光性を有する点や、発光装置の両面から光が発せられる点等の様々な点において、例えば特許文献2又は3に記載の片面発光OLED等の片面発光装置に比して優位性を有している。しかしながら、透過型両面発光装置は、発光装置の両面から発せられる光の色が同一となっている。したがって、発光装置の両面から発せられる光の色を異ならせる要請に応えることができない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、透過型両面発光装置の両面から発せられる光の色を異ならせることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
透光性を有し、第1面を有する基板と、
透光性を有する第1電極と、透光性を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する有機層と、を有し、前記基板の前記第1面側に位置する発光部と、
前記基板の前記第1面に垂直な方向に前記発光部と重なるカラーフィルタと、
を備える発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る発光装置の断面模式図である。
【
図2】発光装置の第1の側又は第2の側から見た場合における複数のカラーフィルタのレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る発光システムを説明するための図である。
【
図4】変形例1に係る発光装置の断面模式図である。
【
図5】変形例2に係る発光装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
本明細書において「AがB上に位置する」という表現は、例えば、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがB上に直接位置することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。さらに、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後ろ」等の向きを示す表現は、基本的に図面の向きと合わせて用いるものであって、例えば本明細書に記載された発明品の使用する向きに限定して解釈されるものではない。
【0012】
本明細書において「A及びBが重なる」という表現は、特に断らない限り、ある方向からの投影像において、Aの少なくとも一部がBの少なくとも一部と同じ場所にあることを意味する。このとき複数の要素同士は直接接していてもよいし、又は離間していてもよい。
【0013】
本明細書において「Aの外側」という表現は、特に断らない限り、Aの縁を境にAが位置しない側の部分のことを意味する。
【0014】
本明細書中における陽極とは、発光材料を含む層(例えば有機層)に正孔を注入する電極のことを示し、陰極とは、発光材料を含む層に電子を注入する電極のことを示す。また、「陽極」及び「陰極」という表現は、「正孔注入電極」及び「電子注入電極」又は「正極」及び「負極」等の他の文言を意味することもある。
【0015】
本明細書における「発光装置」とは、ディスプレイや照明等の発光素子を有するデバイスを含む。また、発光素子と直接的、間接的又は電気的に接続された配線、IC(集積回路)又は筐体等も「発光装置」に含む場合もある。
【0016】
本明細書において「接続」とは、複数の要素が直接的又は間接的を問わずに接続している状態を表す。例えば、複数の要素の間に接着剤又は接合部材が介して接続している場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。また、複数の要素の間に、電流、電圧又は電位を供給可能又は伝送可能な部材が存在しており、「複数の要素が電気的に接続している」場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。
【0017】
本明細書において、特に断りがない限り「第1、第2、A、B、(a)、(b)」等の表現は要素を区別するためのものであり、その表現により該当要素の本質、順番、順序又は個数等が限定されるものではない。
【0018】
本明細書において、各部材及び各要素は単数であってもよいし、又は複数であってもよい。ただし、文脈上、「単数」又は「複数」が明確になっている場合はこれに限らない。
【0019】
本明細書において、「AがBを含む」という表現は、特に断らない限り、AがBのみによって構成されていることに限定されず、AがB以外の要素によって構成され得ることを意味する。
【0020】
本明細書において「断面」とは、特に断らない限り、発光装置を画素や発光材料等が積層した方向に切断したときに現れる面を意味する。
【0021】
本明細書において「有さない」、「含まない」、「位置しない」等の表現は、ある要素が完全に排除されていることを意味してもよいし、又はある要素が技術的な効果を有さない程度に存在していることを意味してもよい。
【0022】
本明細書において「AがBを覆う」という表現は、特に断らない限り、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがBに接触することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。
【0023】
本明細書において、「Aが透光性を有する」とは、400nm以上700nm以下の波長帯域におけるAの平均透過率が例えば30%以上であることを意味する。
【0024】
図1は、実施形態に係る発光装置10の断面模式図である。
【0025】
発光装置10は、基板100、発光部140、封止部150及びカラーフィルタ200を備えている。基板100は、第1面102及び第2面104を有している。発光部140、封止部150及びカラーフィルタ200は、第1面102側に位置している。発光部140は、第1電極110、有機層120及び第2電極130を有している。第2面104は、第1面102の反対側に位置している。
【0026】
図1において、矢印によって示される第1の側S1は、発光装置10のうちカラーフィルタ200が位置する側に対して発光部140が位置する側を示している。矢印によって示される第2の側S2は、発光装置10のうち発光部140が位置する側に対してカラーフィルタ200が位置する側を示している。第1の側S1及び第2の側S2を示す両矢印は、第1面102又は第2面104に垂直な方向を示している。
図1以降の図においても同様である。
【0027】
基板100は、透光性を有している。基板100は、単層であってもよいし、又は複数層であってもよい。基板100の厚さは、例えば、10μm以上1000μm以下である。基板100は、例えば、ガラス基板である。基板100は、有機材料(例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)又はポリイミド)を含む樹脂基板であってもよい。基板100が樹脂基板である場合、第1面102及び第2面104の少なくとも一方上には、無機バリア層(例えば、SiN又はSiON)が位置していてもよい。
【0028】
第1電極110は、透光性を有している。第1電極110は、第1面102上に位置している。第1電極110は、陽極として機能する。一例において、第1電極110は、酸化物半導体を含んでいる。酸化物半導体は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)又はIGZO(Indium Galium Zinc Oxide)である。或いは、第1電極110は、金属又は合金を含んでいてもよい。金属又は合金は、例えば、銀又は銀合金である。この例において、第1電極110の厚さは、第1電極110が透光性を有する程度に薄くなっている。
【0029】
有機層120は、透光性を有している。有機層120は、第1電極110と第2電極130との間に位置している。有機層120は、例えば、第1電極110から第2電極130にかけて、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)を順に含んでいる。ただし、各有機層120に含まれる層の例は、ここで説明した例に限定されない。
【0030】
有機層120は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)によって発光する。有機層120から発生する光の色は、例えば、白色にすることができる。ただし、有機層120から発生する光の色はこの例に限定されない。
【0031】
第2電極130は、透光性を有している。第2電極130は、有機層120上に位置している。第2電極130は、陰極として機能する。一例において、第2電極130は、金属又は合金を含んでいる。金属又は合金は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn及びInからなる群の中から選択される少なくとも1つの金属又はこの群から選択される金属の合金である。第2電極130の厚さは、第2電極130が透光性を有する程度に薄くなっている。或いは、第2電極130は、酸化物半導体を含んでいてもよい。第2電極130に含有される酸化物半導体としては、第1電極110に含有される酸化物半導体で例示した酸化物半導体が例示される。
【0032】
本実施形態では、単一の発光部140が設けられている。第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て、発光部140の面積は、例えば、0.75cm2以上、1.00cm2以上、1.25cm2以上、1.50cm2以上等、0.50cm2以上となっている。したがって、発光部140は、面光源として機能することができる。なお、発光装置10には、複数の発光部140が設けられていてもよい。また、複数の発光部140の各々が画素となっていてもよい。
【0033】
封止部150は、透光性を有している。封止部150は、第1面102側に位置している。封止部150は、発光部140を封止している。本実施形態において、封止部150は、ガラス等からなる封止缶となっている。また、封止部150と発光部140との間の領域は中空となっている。なお、封止部150の構造は、本実施形態に係る例に限定されない。
【0034】
カラーフィルタ200は、第1面102又は第2面104に垂直な方向に発光部140と重なっている。本実施形態では、カラーフィルタ200は、第1面102又は第2面104に垂直な方向において、発光部140に対して基板100が位置する側の反対側に位置している。発光部140から基板100へ向けて出射された光は、カラーフィルタ200を透過しない。したがって、発光部140から基板100へ向けて出射された光は、発光部140から発生した光の色のまま、第1の側S1から出射される。これに対して、発光部140からカラーフィルタ200へ向けて出射された光は、カラーフィルタ200を透過する。したがって、発光部140からカラーフィルタ200へ向けて出射された光は、発光部140から発生した光の色からカラーフィルタ200に応じた色に変化した状態で、第2の側S2から出射される。
【0035】
本実施形態によれば、第1の側S1から出射される光の色と、第2の側S2から出射される光の色と、をカラーフィルタ200によって異ならせることができる。また、本実施形態によれば、既存の透過型両面発光装置にカラーフィルタを設けることで、第1の側S1から出射される光の色と、第2の側S2から出射される光の色と、を異ならせることができる。したがって、透過型両面発光装置の両面から発せられる光の色を比較的簡易に異ならせることができる。
【0036】
また、カラーフィルタ200が設けられていない発光装置10においては、有機層120から発生して第1電極110及び基板100を透過して出射される光の輝度の方が、有機層120から発生して第2電極130及び封止部150を透過して出射される光の輝度よりも高くなり得る。したがって、本実施形態によれば、後述する
図5を用いて説明する変形例2に係る発光装置10Bのようにカラーフィルタ200Bが基板100の第2面104側に位置する場合と比較して、発光部140の発光時において、発光装置10を第1の側S1から見たとき、すなわち、発光装置10を発光部140に対してカラーフィルタ200が位置する側の反対側から見たときに、カラーフィルタ200の縁を見えにくくすることができる。
【0037】
本実施形態では、カラーフィルタ200は、第1面102又は第2面104に垂直な方向において、封止部150に対して発光部140が位置する側の反対側に位置している。より具体的には、カラーフィルタ200は、封止部150のうちの発光部140が位置する側の反対側に位置する面に設けられている。例えば、カラーフィルタ200が第1面102又は第2面104に垂直な方向において発光部140と封止部150との間に位置する場合、カラーフィルタ200を交換するためには封止部150を基板100から取り外す必要がある。これに対して、本実施形態においては、封止部150が基板100に取り付けられた状態でカラーフィルタ200を交換することができる。したがって、カラーフィルタ200が第1面102又は第2面104に垂直な方向において発光部140と封止部150との間に位置する場合と比較してカラーフィルタ200の交換が容易となる。なお、カラーフィルタ200は、第1面102又は第2面104に垂直な方向において、発光部140と封止部150との間に位置していてもよい。
【0038】
カラーフィルタ200は、例えば、感圧接着剤を介して、発光装置10の一部分、本実施形態では封止部150に取り付けられていてもよい。感圧接着剤とは、圧力によって接着可能な接着剤であり、乾燥、光、熱等の要因による硬化を接着に要しない接着剤である。また、カラーフィルタ200は、例えば、軟質プラスチック等のプラスチックにすることができる。感圧接着剤が用いられる場合、乾燥、光、熱等の因子による硬化を接着に要する硬化性接着剤が用いられる場合と比較して、カラーフィルタ200を封止部150等の被接着部から取り外したときの糊等の接着剤の残りを少なくすることができる。このため、感圧接着剤が用いられる場合、硬化性接着剤が用いられる場合と比較して、封止部150に対するカラーフィルタ200の着脱が容易となり、カラーフィルタ200の交換が容易となる。なお、カラーフィルタ200は、例えば、硬化性接着剤を介して封止部150に取り付けられていてもよい。
【0039】
図2は、発光装置10の第1の側S1又は第2の側S2から見た場合における複数のカラーフィルタ200のレイアウトの一例を示す図である。
【0040】
図2に示す例では、4つのカラーフィルタ200が格子状に配置されている。各カラーフィルタ200の形状は、四角形、具体的には正方形となっている。なお、カラーフィルタ200の形状は、この例に限定されず、長方形であってもよいし、三角形、五角形、六角形、八角形等、四角形以外の多角形や、円、楕円であってもよいし、星、ハート等であってもよい。また、複数のカラーフィルタ200のレイアウトは、
図2に示す例に限定されない。
【0041】
図1を参照しながら、
図2に示す複数のカラーフィルタ200について説明する。
【0042】
発光部140の非発光時において、第1の側S1から発光装置10を見た場合、複数のカラーフィルタ200は、発光部140及び基板100を透けて見える。したがって、複数のカラーフィルタ200のレイアウト及び色に応じて、複数のカラーフィルタ200は例えばステンドグラスのように見える。このため、複数のカラーフィルタ200のレイアウト及び色に応じた美感を生じさせることができる。また、発光装置10の非発光時において、第2の側S2から発光装置10を見た場合も、複数のカラーフィルタ200のレイアウト及び色に応じた美感を生じさせることができる。
【0043】
発光部140の発光時において、第1の側S1から発光装置10を見た場合、発光部140から発生した光は、発光部140から発生した光の色のまま、第1の側S1から出射される。また、発光部140の発光時において、第2の側S2から発光装置10を見た場合、発光部140から発生した光は、発光部140から発生した光の色からカラーフィルタ200に応じた色に変化した状態で、第2の側S2から出射される。したがって、複数のカラーフィルタ200のレイアウト及び色に応じた美感を生じさせることができる。
【0044】
一例において、複数のカラーフィルタ200は、互いに異なる色を有している。この場合、複数のカラーフィルタ200のすべてが同一の色を有している場合と比較して、複数のカラーフィルタ200の各々の色を互いに際立たせることができる。なお、
図2に示す例において、4つのカラーフィルタ200のすべてが互いに異なる色を有していなくてもよく、4つのカラーフィルタ200のうちの一部のカラーフィルタ200の色は同一であってもよい。また、複数のカラーフィルタ200は、すべて、同一の色を有していてもよい。
【0045】
第1面102又は第2面104に垂直な方向から見て、カラーフィルタ200の面積は、例えば、0.050cm2以上、0.10cm2以上、0.15cm2以上等、0.010cm2以上となっている。この場合、カラーフィルタ200の面積が当該値未満である場合と比較して、カラーフィルタ200を肉眼で視認しやすくなり、カラーフィルタ200による審美性を効果的に向上させることができる。なお、カラーフィルタ200の面積は、上述した値未満であってもよい。
【0046】
図2では、発光装置10が照明装置として利用可能な例を説明した。しかしながら、発光装置10は、以下のように、検査装置の被検査対象に光を照射する光源装置としても利用可能である。
【0047】
発光装置10が光源装置となる場合、発光装置10には、例えば、単一のカラーフィルタ200が設けられていてもよい。この場合、第1の側S1を被検査対象に向けるか、又は第2の側S2を被検査対象に向けるかによって、被検査対象に照射される光の色を調整することができる。具体的には、第1の側S1を被検査対象に向けることで、発光部140から発生した光を発光部140から発生した光の色のまま被検査対象に照射することができる。また、第2の側S2を被検査対象に向けることで、発光部140から発生した光の色を発光部140から発生した光の色からカラーフィルタ200に応じた色に変化した状態で被検査対象に照射することができる。したがって、回路等の調整部を用いて光の色を調整する場合と比較して、被検査対象に照射される光の色を簡易に調整することができる。なお、発光装置10が光源装置となる場合、発光装置10には、複数のカラーフィルタ200が設けられていてもよい。
【0048】
図3は、実施形態に係る発光システム20を説明するための図である。
図3では、説明のため、発光部140、封止部150及びカラーフィルタ200は図示していない。
【0049】
発光システム20は、発光装置10及び仕切部材300を備えている。発光システム20は、自動車等の移動体に用いられている。移動体は、自動車に限らず、人が登場可能な物、例えば、列車、船舶、飛行機等であってもよい。
【0050】
仕切部材300は、透光性を有している。仕切部材300は、例えば、ガラスからなっている。
図3に示す例では、仕切部材300は、移動体の窓、例えば、自動車のフロントウインドウである。仕切部材300は、移動体の内側に位置する第1空間310と、移動体の外側に位置する第2空間320と、を仕切っている。
【0051】
基板100は、仕切部材300に設けられている。
図3に示す例では、基板100は、仕切部材300のうちの第1空間310側の面に設けられている。ただし、基板100が設けられる位置は
図3に示す例に限定されない。例えば、基板100は、仕切部材300のうちの第2空間320側の面に設けられていてもよい。或いは、基板100は、仕切部材300に埋め込まれるなど、仕切部材300の内部に位置していてもよい。さらに、基板100は、仕切部材300と別体でなくてもよい。すなわち、基板100は、仕切部材300の少なくとも一部分であってもよい。
【0052】
図1を参照しながら、
図3に示す発光システム20について説明する。
【0053】
発光装置10の第1の側S1は、第1空間310に向けられている。したがって、発光部140から発生した光は、発光部140から発生した光の色のまま、第1空間310へ向けて出射される。このため、発光装置10の第1の側S1から出射された光は、自動車のルームランプ等、第1空間310内の人、物体等を照らす照明光にすることができる。
【0054】
発光装置10の第2の側S2は、第2空間320に向けられている。したがって、発光部140から発生した光は、発光部140から発生した光の色からカラーフィルタ200に応じた色に変化した状態で、第2空間320へ向けて出射される。このため、カラーフィルタ200の条件を適切に調整することで、発光装置10の第2の側S2から出射された光をカラーフィルタ200によってぼやけさせることができる。この場合、カラーフィルタ200が設けられていない場合と比較して、第1空間310内のプライバシーを確保することができる。
【0055】
カラーフィルタ200は、太陽光等、外部からの光を減衰させてもよい。この場合、発光装置10は、例えば、自動車のフロントウインドウのトップシェードとして機能させることができる。
【0056】
図4は、変形例1に係る発光装置10Aの断面模式図である。変形例1に係る発光装置10Aは、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様である。
【0057】
変形例1に係る発光装置10Aの封止部150Aは、発光部140を覆う封止層を有している。封止層は、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)等の無機材料を含んでいる。封止層は、単一層であってもよいし、又は複数層を含んでいてもよい。封止層が複数層を含む場合、第1無機材料を含む第1無機層と、第2無機材料を含む第2無機層と、が交互に積層されていてもよい。第1無機材料は、例えば、アルミナ及びチタニアの一方であり、第2無機材料は、例えば、アルミナ及びチタニアの他方である。
【0058】
封止部150Aは、上記封止層を覆う保護層をさらに有していてもよい。保護層は、例えば、アクリル樹脂等の樹脂を含んでいる。保護層が設けられている場合、保護層が設けられていない場合と比較して、封止層の損傷を抑制することができる。
【0059】
カラーフィルタ200Aは、第1面102又は第2面104に垂直な方向において、封止部150Aに対して発光部140が位置する側の反対側に位置している。具体的には、カラーフィルタ200Aは、封止部150Aのうちの発光部140が位置する側の反対側に位置する面に設けられている。カラーフィルタ200Aは、例えば、感圧接着剤等の接着剤を介して封止部150Aに取り付けられている。なお、カラーフィルタ200Aは、第1面102又は第2面104に垂直な方向において、発光部140と封止部150Aとの間に位置していてもよい。
【0060】
本変形例によれば、封止部150Aに代えて封止缶が用いられる場合と比較して、第1面102又は第2面104に垂直な方向における発光部140とカラーフィルタ200Aとの間の距離を短くすることができる。この場合、封止缶が用いられる場合と比較して、以下の理由により、第1面102又は第2面104に垂直な方向から見たときのカラーフィルタ200Aの面積を小さくすることができる。このため、封止缶が用いられる場合と比較して、複数のカラーフィルタ200Aが設けられる際の各カラーフィルタ200Aの配置の精細度、すなわち自由度を高くすることができる。理由は、次のとおりである。すなわち、発光部140からカラーフィルタ200Aに向けて出射された光は、発光部140から離れるほど拡散によって広がり得る。したがって、第1面102又は第2面104に垂直な方向における発光部140とカラーフィルタ200Aとの間の距離が比較的長い場合、発光部140から出射された光の拡散を考慮して、第1面102又は第2面104に垂直な方向から見てカラーフィルタ200Aの面積を発光部140の面積より大きくする必要がある。これに対して、本変形例によれば、封止缶が用いられる場合と比較して、発光部140から出射された光の拡散をほとんど考慮することなく、カラーフィルタ200Aの面積を決定することができる。
【0061】
図5は、変形例2に係る発光装置10Bの断面模式図である。
図5において、第1の側S1は、発光装置10のうちカラーフィルタ200Bが位置する側に対して発光部140が位置する側を示している。第2の側S2は、発光装置10のうち発光部140が位置する側に対してカラーフィルタ200Bが位置する側を示している。変形例2に係る発光装置10Bは、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様である。
【0062】
変形例2に係るカラーフィルタ200Bは、第1面102又は第2面104に垂直な方向において、発光部140に対して基板100が位置する側に設けられている。具体的には、カラーフィルタ200Bは、基板100の第2面104側に位置している。カラーフィルタ200Bは、例えば、感圧接着剤等の接着剤を介して基板100に取り付けられている。発光部140から封止部150へ向けて出射された光は、カラーフィルタ200Bを透過しない。したがって、発光部140から封止部150へ向けて出射された光は、発光部140から発生した光の色のまま、第1の側S1から出射される。これに対して、発光部140から基板100へ向けて出射された光は、カラーフィルタ200Bを透過する。したがって、発光部140から基板100へ向けて出射された光は、発光部140から発生した光の色からカラーフィルタ200Bに応じた色に変化した状態で、第2の側S2から出射される。
【0063】
本変形例においても、発光装置10Bの第1の側S1から出射される光の色と、発光装置10Bの第2の側S2から出射される光の色と、をカラーフィルタ200Bによって異ならせることができる。また、
図3に示した例と同様にして、第1の側S1が第1空間310に向けられ、かつ第2の側S2が第2空間320に向けられるように、発光装置10Bを仕切部材300に設けることができる。
【0064】
なお、カラーフィルタ200Bは、発光部140と基板100との間に設けられていてもよい。この場合においても、発光装置10Bの第1の側S1から出射される光の色と、発光装置10Bの第2の側S2から出射される光の色と、をカラーフィルタ200Bによって異ならせることができる。
【0065】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0066】
例えば、実施形態及び各変形例では、発光部140に対して基板100が位置する側の反対側と、発光部140に対して基板100が位置する側と、の一方のみにカラーフィルタが設けられている。しかしながら、発光部140に対して基板100が位置する側の反対側と、発光部140に対して基板100が位置する側と、の双方にカラーフィルタが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 発光装置
10A 発光装置
10B 発光装置
20 発光システム
100 基板
102 第1面
104 第2面
110 第1電極
120 有機層
130 第2電極
140 発光部
150 封止部
150A 封止部
200 カラーフィルタ
200A カラーフィルタ
200B カラーフィルタ
300 仕切部材
310 第1空間
320 第2空間
S1 第1の側
S2 第2の側