IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 月島機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-汚泥濃縮装置および汚泥濃縮方法 図1
  • 特開-汚泥濃縮装置および汚泥濃縮方法 図2
  • 特開-汚泥濃縮装置および汚泥濃縮方法 図3
  • 特開-汚泥濃縮装置および汚泥濃縮方法 図4
  • 特開-汚泥濃縮装置および汚泥濃縮方法 図5
  • 特開-汚泥濃縮装置および汚泥濃縮方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109704
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】汚泥濃縮装置および汚泥濃縮方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/125 20190101AFI20220721BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20220721BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20220721BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C02F11/125
B01D29/10 510C
B01D29/10 520D
B01D29/30 501
B01D37/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005164
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000165273
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】倭 常郎
【テーマコード(参考)】
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
4D059AA06
4D059BE04
4D059BE15
4D059BE35
4D059BE54
4D059BJ02
4D059BJ09
4D059CB09
4D059CB27
4D116AA01
4D116AA26
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC48
4D116DD07
4D116FF07B
4D116FF17B
4D116GG02
4D116HH03C
4D116KK04
4D116QA05C
4D116QA05E
4D116QA24A
4D116QA31C
4D116QA31F
4D116QA57C
4D116QA57F
4D116QB50
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】機械的に汚泥を4wt%以上かつ10wt%以下程度の汚泥濃度まで濃縮する汚泥濃縮装置において、濾過容器から引き抜かれる濃縮汚泥の濃度を均一化することが可能な汚泥濃縮装置、および汚泥濃縮方法を提供する。
【解決手段】汚泥濃縮装置2は、濾過容器2Aと、濾過容器2A内に収容されるとともに、その内部に凝集汚泥Cが供給される円筒状の濾過スクリーン2aと、濾過スクリーン2aの内部に収容されて、濾過容器2Aの一端側から他端側に向けて凝集汚泥Cを濃縮しながら搬送するスクリュー羽根2dと、濾過容器2Aの他端側の第一部分から、濃縮された汚泥Dと汚泥Dに含まれる水分との少なくとも一方を引き抜く引き抜き口tと、圧縮空気aを濾過容器2Aの他端側の第一部分とは異なる第二部分から濾過容器2A内に噴射する噴射口h1と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過容器と、
前記濾過容器内に収容されるとともに、その内部に汚泥が供給される円筒状の濾過スクリーンと、
前記濾過スクリーンの内部に収容されて、回転軸回りに回転することで、前記濾過容器の一端側から他端側に向けて前記汚泥を濃縮しながら搬送するスクリュー羽根と、
前記濾過容器の前記他端側の第一部分から、濃縮された前記汚泥と前記汚泥に含まれる水分との少なくとも一方を引き抜く引き抜き口と、
圧縮空気を前記濾過容器の前記他端側の前記第一部分とは異なる第二部分から前記濾過容器内に噴射する噴射口と、
を備えることを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項2】
前記濾過容器の前記他端側の前記第二部分は、正面視で前記スクリュー羽根の前記回転軸が前記濾過容器の前記他端側を二分した領域のうちの一方に属し、前記濾過容器の前記他端側の前記第一部分は前記領域のうちの他方に属することを特徴とする請求項1に記載の汚泥濃縮装置。
【請求項3】
前記噴射口を複数備えることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥濃縮装置。
【請求項4】
噴射される前記圧縮空気の体積が、1回の噴射当たりで、大気圧において前記濾過容器の0.1~2倍の体積であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の汚泥濃縮装置。
【請求項5】
濾過容器と、
前記濾過容器内に収容されるとともに、その内部に汚泥が供給される円筒状の濾過スクリーンと、
前記濾過スクリーンの内部に収容されて、回転軸回りに回転することで、前記濾過容器の一端側から他端側に向けて前記汚泥を濃縮しながら搬送するスクリュー羽根と、を備える汚泥濃縮装置において、
前記濾過容器の前記他端側の第一部分から、濃縮された前記汚泥と前記汚泥に含まれる水分との少なくとも一方を引き抜く引き抜きステップと、
圧縮空気を前記濾過容器の前記他端側の第二部分から前記濾過容器内に噴射する噴射ステップと、
を備えることを特徴とする汚泥濃縮方法。
【請求項6】
前記噴射ステップにおいて、前記圧縮空気を前記濾過容器の前記他端側の前記第二部分の複数個所から噴射することを特徴とする請求項5に記載の汚泥濃縮方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下水処理場から発生する下水汚泥等の汚泥(有機性汚泥)を濃縮する汚泥濃縮装置、汚泥を汚泥濃縮装置によって濃縮する汚泥濃縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥処理設備で使用されている、汚泥を濃縮する汚泥濃縮装置として、特許文献1や特許文献2に記載される汚泥濃縮装置が知られている。
【0003】
上記のような汚泥濃縮装置においては、濾過容器の上部から供給される汚泥が、スクリュー羽根により下部に搬送される過程で、濾過容器に設けられたスクリーンにより濾過され、汚泥から水分の一部が分離され、濃縮される。
【0004】
このような過程で濃縮された汚泥(濃縮汚泥)が濾過容器の下部(排出端側)で滞留し、これをポンプで適宜引き抜くことで、濃縮汚泥は汚泥濃縮装置の後段に設けられる脱水機や貯留槽等に搬送される。
【0005】
ここで、汚泥濃縮装置の濾過容器の下部または底部(排出端側)にはスクリュー羽根がないため、濃縮汚泥中の固形分の残留によるブリッジ現象や濃縮汚泥の不均一化により引き抜き濃度のバラツキが発生する。すなわち、濃縮汚泥のうち濃度の比較的希薄な部分から液分(水分)が通過して、濃縮汚泥とともに引き抜かれる場合がある。この際、液分の通過する濃縮汚泥の隙間は、一般的には水みちと呼ばれている。この水みちに濾過容器の下部(排出端側)の空間の上方から水分(液分)が流入して水分が優先的に引き抜かれることがある。そのため、濃縮汚泥を安定して引き抜くことが困難となり、比較的濃度が低い汚泥や水分ばかりが引き抜かれる場合には、排出される汚泥の濃度にバラツキが生じ、後段の脱水機による脱水等に支障をきたすことがある。また、比較的濃度が低い汚泥や水分ばかりが引き抜かれる状態が続くと、濾過容器における濃縮汚泥の排出部において汚泥濃度が高くなり過ぎ、濾過が正常に行われなくなる場合や、汚泥の排出ができなくなり、汚泥濃縮装置の運転が停止する可能性がある。なお、特許文献3は水みちを開示している。
【0006】
このような事情に対し、特許文献4や特許文献5には、濾過容器から引き抜いた汚泥の一部を濾過容器に戻したり、空気を濾過容器に供給したりすることで、濾過容器内の濃縮汚泥を撹拌させ、引き抜かれる濃縮汚泥濃度の均一化を図る試みがなされている。
【0007】
しかしながら、特許文献4や特許文献5に記載の方法は、重力を利用して、汚泥濃度を3wt%程度まで濃縮する場合には利用できるが、スクリュー羽根を用いて機械的に汚泥を濃縮することで汚泥濃度を4wt%以上かつ10wt%以下程度まで濃縮する場合には適用することができなかった。ここで、汚泥濃度は、汚泥に含まれる水以外の物質の割合をさす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-908号公報
【特許文献2】特許第6751174号公報
【特許文献3】特許第4774491号公報
【特許文献4】特開平9-299714号公報
【特許文献5】特開平9-299715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような背景の下になされ、機械的に汚泥濃度を4wt%以上かつ10wt%以下程度まで濃縮する汚泥濃縮装置において、濾過容器の下部(排出端側)における濃縮汚泥を撹拌することで、濾過容器から引き抜かれる濃縮汚泥の濃度を均一化することが可能な汚泥濃縮装置、および汚泥濃縮方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1の態様は、濾過容器と、前記濾過容器内に収容されるとともに、その内部に汚泥が供給される円筒状の濾過スクリーンと、前記濾過スクリーンの内部に収容されて、回転軸回りに回転することで、前記濾過容器の一端側から他端側に向けて前記汚泥を濃縮しながら搬送するスクリュー羽根と、前記濾過容器の前記他端側の第一部分から、濃縮された前記汚泥と前記汚泥に含まれる水分との少なくとも一方を引き抜く引き抜き口と、圧縮空気を前記濾過容器の前記他端側の前記第一部分とは異なる第二部分から前記濾過容器内に噴射する噴射口と、を備えることを特徴とする汚泥濃縮装置である。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、圧縮空気を濾過容器の他端側の第二部分から濾過容器内に噴射するため、噴射された圧縮空気が濃縮汚泥に衝突する衝撃により、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥を濾過容器内面から引き剥がすとともに濃縮汚泥を撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。そのため、濾過容器の他端側における濃縮汚泥濃度を均一化することができるので、濾過容器の他端側から引き抜かれる濃縮汚泥の濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置の安定した運転を実現することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記濾過容器の前記他端側の前記第二部分は、正面視で前記スクリュー羽根の回転軸が前記濾過容器の前記他端側を二分した領域のうちの一方に属し、前記濾過容器の前記他端側の前記第一部分は前記領域のうちの他方に属することを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、濾過容器の他端側の第二部分が、正面視でスクリュー羽根の回転軸が濾過容器の他端側を二分した領域のうちの一方に属し、濾過容器の他端側の第一部分は前記領域のうちの他方に属するため、噴射された圧縮空気が濃縮汚泥に衝突する衝撃により、濾過容器の内面から剥がれ落ちる濃縮汚泥の塊が、撹拌される前に引き抜き口から引き抜かれることを防止することができる。そのため、濾過容器の他端側から引き抜かれる濃縮汚泥の濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置の安定した運転を実現することができる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記噴射口を複数備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、噴射口が複数設けられているため、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥に対して複数箇所から噴射された圧縮空気により衝撃を与えることができる。そのため、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥を、濾過容器の内面から複数箇所において引き剥がすことができ、これによって効果的に濃縮汚泥を撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1から第3の何れか一つの態様において、噴射される圧縮空気の体積が、1回の噴射当たりで、大気圧において濾過容器の0.1~2倍の体積であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、噴射される圧縮空気の体積が、1回の噴射当たりで、大気圧において濾過容器の0.1~2倍である。そのため、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥に対して、十分な量の圧縮空気を噴射することにより衝撃を与えることができる。そのため、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥を、効果的に濾過容器内面から引き剥がすことができ、これによって濃縮汚泥を撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。
【0018】
本発明の第5の態様は、濾過容器と、前記濾過容器内に収容されるとともに、その内部に汚泥が供給される円筒状の濾過スクリーンと、前記濾過スクリーンの内部に収容されて、回転軸回りに回転することで、前記濾過容器の一端側から他端側に向けて前記汚泥を濃縮しながら搬送するスクリュー羽根と、を備える汚泥濃縮装置において、前記濾過容器の前記他端側の第一部分から、濃縮された前記汚泥と前記汚泥に含まれる水分との少なくとも一方を引き抜く引き抜きステップと、圧縮空気を前記濾過容器の前記他端側の前記第一部分とは異なる第二部分から前記濾過容器内に噴射する噴射ステップと、を備えることを特徴とする汚泥濃縮方法である。
【0019】
本発明の第5の態様によれば、圧縮空気を濾過容器の他端側の第二部分から濾過容器内に噴射する噴射ステップを備えるため、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥を、噴射された圧縮空気が濃縮汚泥に衝突する衝撃により濾過容器内面から引き剥がすとともに濃縮汚泥を撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。そのため、濾過容器の他端側における濃縮汚泥濃度を均一化することができるので、濾過容器の他端側から引き抜かれる濃縮汚泥の濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置の安定した運転を実現することができる。
【0020】
本発明の第6の態様は、第5の態様における前記噴射ステップにおいて、前記圧縮空気を前記濾過容器の前記他端側の前記第二部分の複数個所から噴射することを特徴とする。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、噴射ステップにおいて圧縮空気を濾過容器の他端側の第二部分の複数個所から噴射するため、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥に対して複数箇所から噴射された圧縮空気により衝撃を与えることができる。そのため、濾過容器の他端側において濾過容器の内面に固着する濃縮汚泥を効果的に濾過容器内面から引き剥がすことができ、これによって濃縮汚泥を撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、汚泥を機械的に汚泥濃度4wt%以上かつ10wt%以下程度まで濃縮する汚泥濃縮装置において、濾過容器の下部(排出端側)における濃縮汚泥を撹拌することで水みちの発生を抑制し、濾過容器から引き抜かれる濃縮汚泥の濃度を均一化することができるので、汚泥濃縮装置の安定した運転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る第1実施形態の汚泥濃縮装置を含む処理設備の概略図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の汚泥濃縮装置を示す正面図である。
図3】本発明に係る第2実施形態の汚泥濃縮装置を示す正面図である。
図4】本発明に係る第2実施形態の汚泥濃縮装置を示す底面図である。
図5】本発明に係る第3実施形態の汚泥濃縮装置を示す正面図である。
図6】本発明に係る第2実施形態の変形例の汚泥濃縮装置を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、第1実施形態に係る汚泥濃縮装置2を、図1及び図2を参照しながら説明する。
汚泥濃縮装置2は、縦型濾過濃縮機であって、前段の凝集手段1から供給された凝集汚泥Cが保持される、凝集槽1Aと同様の縦方向に延びる中心軸O1を有する有底円筒状の濾過容器(濃縮槽または濾過槽)2Aを備えており、凝集汚泥Cは濾過容器2Aの上部から濾過容器2A内に供給される。ただし、この濾過容器2Aの胴部はウェッジワイヤーやパンチングメタル等によって形成された円筒状の濾過スクリーン(濃縮濾過スクリーン)2aとされるとともに、この濾過スクリーン2aの外周は濾液室2bとされている。
【0025】
また、この濾過容器2Aには、濾過容器2Aの中心軸O1に沿った回転軸2cにスクリュー羽根2dが取り付けられて、濾過容器2Aの上部に設けられたモーター等の回転駆動手段2eによって回転軸2cおよびスクリュー羽根2dが回転することにより凝集汚泥Cを濾過容器2Aの一端側である上部から他端側である下部または底部へと搬送する搬送手段2Bが設けられている。濾過容器2Aの上部から供給された凝集汚泥Cは、この搬送手段2Bによって下方に搬送されつつ、濾過スクリーン2aによって水分が分離されて濃縮され、汚泥濃度4wt%から10wt%程度の範囲に濃縮された濃縮汚泥Dとなる。そして、濃縮汚泥Dは、濾過容器2Aの底部に設けられた引き抜き口tからポンプP1の吸引力により引き抜かれて濃縮汚泥供給路4に供給される。ここで、濃縮汚泥Dを単に汚泥Dと記載することもある。
【0026】
なお、本実施形態では、この濾過容器2Aと凝集槽1Aの底部は、下方に向かうに従い縮径する円錐台状に形成されているが、円筒状でも、円筒の中心軸O1に垂直な断面が楕円や多角形でも良く、これらをまとめて筒状と表現する。また、濾過スクリーン2aによって凝集汚泥Cから分離された水分は濾液室2bに収容され、排水Eとして処理される。
【0027】
このような汚泥濃縮装置2において、図2に示されるように、濃縮された汚泥(濃縮汚泥)DをポンプP1の吸引力により濾過容器2Aの底部からポンプP1と濾過容器2Aとを接続する濃縮汚泥供給路4を介して引き抜く。
【0028】
さらに、汚泥濃縮装置2には、濾過容器2Aの底部から濾過容器2Aの内部に圧縮空気aを噴射する噴射口h1が濾過容器2Aの底部に設けられている。ここで、圧縮空気aは、コンプレッサC1で生成され、コンプレッサC1と濾過容器2Aの底部とを接続する連通管7を介して、噴射口h1から濾過容器2Aの内部に噴射される。
【0029】
連通管7における噴射口h1とコンプレッサC1との間には不図示の電磁弁が設けられており、この電磁弁が開となる間に圧縮空気aが噴射口h1から噴射される。ここで、本実施形態では、電磁弁が開となる時間は0.1~0.5秒の間であり、この間に噴射口h1から噴射される圧縮空気aの体積は、例えば濾過容器2Aの体積が500L(リットル)のとき、50~1000NL(ノルマルリットル)である。この体積は、大気圧において濾過容器2Aの体積の略0.1~2倍に相当する。ここで、電磁弁の種類や形状は特に限定されず、電磁弁が閉の時に圧縮空気aが噴射されないとともに濃縮汚泥DをコンプレッサC1に逆流させなければ特に限定されない。また、圧縮空気aの噴射は間欠的に行い、1~10分の間に1回の噴射を行う。ここで、電磁弁の開となる時間と噴射される圧縮空気aの体積は、後述する他の実施形態と変形例においても同様である。ここで、引き抜き口tおよび噴射口h1は、濾過容器2Aの底部に設けられているが、濾過容器2Aの他端側の端面に設けられているともいえる。
【0030】
このような構成によれば、濾過容器2Aの底部に設けられた噴射口h1から濾過容器2Aの内部に噴射された圧縮空気aが、濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに衝突する。そのため、噴射された圧縮空気aが濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに衝突する衝撃により、濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dを濾過容器内面から引き剥がすことができ、これによって濃縮汚泥Dを撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。その結果、濾過容器2Aの底部(他端側)における濃縮汚泥濃度を均一化することができるので、濾過容器2Aの底部から引き抜かれる濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置2の安定した運転を実現することができる。
【0031】
ここで、引き抜き口tが設けられる位置を、濾過容器2Aの他端側の第一部分といい、噴射口h1が設けられる位置を、濾過容器2Aの他端側の第二部分という。この場合、図2に示されるように、濾過容器2Aの他端側の第二部分は、正面視でスクリュー羽根2dの回転軸2cが濾過容器2Aの他端側を二分した領域のうちの一方に属し、濾過容器2Aの他端側の第一部分は上記領域のうちの他方に属する。そのため、噴射される圧縮空気aによる衝撃により濾過容器2Aの内面から引き剥がされる濃縮汚泥Dの塊が、撹拌される前に引き抜き口tから引き抜かれることを防止することができる。よって、濾過容器2Aの他端側の第一部分から引き抜かれる濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置2の安定した運転を実現することができる。なお、濾過容器2Aの他端側の第二部分は、正面視でスクリュー羽根2dの回転軸2cを対称の軸として、濾過容器2Aの他端側の第一部分と線対称の位置に設けられていても良い。この場合も、同様の効果が得られる。
ここで、正面視でスクリュー羽根2dの回転軸2cが濾過容器2Aの他端側を二分した領域のうちの一方または他方に、濾過容器2Aの他端側の第一部分と濾過容器2Aの他端側の第二部分との両方が属しても良い。その場合、濾過容器2Aの他端側の第一部分と濾過容器2Aの他端側の第二部分との間の距離が離れていることが好ましい。
【0032】
次に、第2実施形態に係る汚泥濃縮装置21を、図3を参照しながら説明する。
第1実施形態と同一の構成の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0033】
第2実施形態に係る汚泥濃縮装置21が第1実施形態に係る汚泥濃縮装置2と異なる点は、噴射口h1が複数設けられていることである。すなわち、コンプレッサC1と濾過容器2Aの底部とを接続する連通管7が複数に分岐されることで、噴射口h1が複数設けられている。
【0034】
このような第2実施形態に係る汚泥濃縮装置21では、コンプレッサC1により圧縮された圧縮空気aは、濾過容器2Aの底部に設けられた複数の噴射口h1から濾過容器2Aの内部に噴射される。
【0035】
このような構成によれば、濾過容器2Aの底部に設けられた複数の噴射口h1から濾過容器2Aの内部に噴射された圧縮空気aが、濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに複数個所で衝突する。そのため、噴射された圧縮空気aが濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに衝突する衝撃により、濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dを複数個所において濾過容器内面から引き剥がすことができ、これによって濃縮汚泥Dを撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。その結果、濾過容器2Aの底部(他端側)における濃縮汚泥濃度を均一化することができるので、濾過容器2Aの底部から引き抜かれる濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置21の安定した運転を実現することができる。なお、図3の例では、噴射口h1が3個設けられているが、3個に限らず、2個以上であれば特に限定されない。
【0036】
図4は、第2実施形態に係る汚泥濃縮装置21の底面図である。図4に示すように、複数の噴射口h1は、スクリュー羽根2dの回転軸2cから回転軸2cの径方向外側に向けて一列に並んでいる。図4の場合、複数の噴射口h1の互いの間隔は同じであるが、必ずしも同じである必要はない。また、図4では、複数の噴射口h1が、回転軸2cと濾過容器2Aの外周面との間に略均等に配置されているが、複数の噴射口h1が回転軸2c寄りに偏って設けられていても、濾過容器2Aの外周面側に偏って設けられていても良い。図4に示すように複数の噴射口h1を配置することで、濾過容器2Aの底部に設けられた複数の噴射口h1から濾過容器2Aの内部に噴射された圧縮空気aを、濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに、回転軸2cの径方向に亘って幅広く複数個所で衝突させることができる。そのため、濾過容器2Aの他端側において濾過容器2Aの内面に固着する濃縮汚泥Dを、濾過容器2Aの内面から複数箇所において引き剥がすことができ、これによって効果的に濃縮汚泥Dを撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。
【0037】
次に、第3実施形態に係る汚泥濃縮装置23を、図5を参照しながら説明する。
上記実施形態と同一の構成の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0038】
第3実施形態に係る汚泥濃縮装置23が第1実施形態に係る汚泥濃縮装置2と異なる点は、汚泥濃縮装置23が横型濾過濃縮機であることである。
【0039】
第3実施形態の汚泥濃縮装置23は横型のスクリュー型濃縮機である。このような汚泥濃縮装置23は、胴部が円筒状の濾過スクリーン11aとされて内部に凝集汚泥Cが供給されるとともに、この濾過スクリーン11aの外周は濾液室11bとされた横方向に延びる中心軸O2を有する円筒状のケーシング(濾過容器)11と、このケーシング11の中心軸O2に沿った回転軸12aにスクリュー羽根12bが取り付けられて、図示されない回転駆動手段によって回転軸12aおよびスクリュー羽根12bが回転することにより凝集汚泥Cをケーシング11における凝集汚泥Cの流入側(一端側)から濃縮汚泥Dの排出側(他端側)へと搬送する搬送手段12とを備えている。ここで、ケーシング11は円筒状に限らず、円筒の中心軸O2に垂直な断面形状が楕円や多角形でも良く、これらをまとめて筒状と表現する。
【0040】
このような第3実施形態における汚泥濃縮装置23では、凝集汚泥Cは、搬送手段12のスクリュー羽根12bの回転によって搬送されるうちに濾過スクリーン11aによって濾過されて、例えば汚泥濃度6wt%程度にまで濃縮させられた濃縮汚泥Dとなる。
【0041】
このような構成の汚泥濃縮装置23においても、濃縮汚泥Dはケーシング11の他端側の端面A1に設けられた引き抜き口t1からポンプP1の吸引力により引き抜かれて濃縮汚泥供給路4に供給される。
【0042】
さらに、汚泥濃縮装置23には、圧縮空気aをケーシング11の他端側の縮径面A2からケーシング11の内部に噴射する噴射口j1が設けられている。ここで、圧縮空気aは、コンプレッサC1で生成され、コンプレッサC1と濾過容器2Aの底部とを接続する連通管7を介して、噴射口j1から濾過容器2Aの内部に噴射される。ここで、本実施形態の場合も、引き抜き口t1が設けられる位置を、ケーシング11の他端側の第一部分といい、噴射口j1が設けられる位置を、ケーシング11の他端側の第二部分という。
【0043】
このような構成によれば、ケーシング11の他端側の第二部分に設けられた噴射口j1からケーシング11の内部に噴射された圧縮空気aが、ケーシング11の他端側の内面に固着している濃縮汚泥Dに衝突する。そのため、噴射された圧縮空気aが濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに衝突する衝撃により、ケーシング11の他端側の内面に固着している濃縮汚泥Dを濾過容器内面から引き剥がすことができ、これによって濃縮汚泥Dを撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。その結果、ケーシング11の他端側における濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができるので、ケーシング11の他端側から引き抜かれる濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置21の安定した運転を実現することができる。
【0044】
ここで、第3実施形態においても、ケーシング11の他端側の第二部分は、正面視でスクリュー羽根12bの回転軸12aがケーシング11の他端側を二分した領域のうちの一方に属し、濾過容器2Aの他端側の第一部分は上記領域のうちの他方に属する。このような構成によれば、噴射される圧縮空気aによる衝撃によりケーシング11の内面から引き剥がされる濃縮汚泥Dの塊が、撹拌される前に引き抜き口t1から引き抜かれることを防止することができる。よって、ケーシング11の他端側の第一部分から引き抜かれる濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができる。こうして、汚泥濃縮装置2の安定した運転を実現することができる。なお、ケーシング11の他端側の第二部分は、正面視でスクリュー羽根12bの回転軸12aを対称の軸として、濾過容器2Aの他端側の第一部分と線対称の位置に設けられていても良い。この場合も、同様の効果が得られる。
ここで、正面視でスクリュー羽根12bの回転軸12aがケーシング11の他端側を二分した領域のうちの一方または他方に、ケーシング11の他端側の第一部分とケーシング11の他端側の第二部分との両方が属しても良い。その場合、ケーシング11の他端側の第一部分とケーシング11の他端側の第二部分との間の距離が離れていることが好ましい。
なお、図5の例では、噴射口j1がケーシング11の縮径面A2に設けられ、引き抜き口t1がケーシング11の他端側の端面A1に設けられているが、これに限定されない。例えば、噴射口j1がケーシング11の他端側の端面A1に設けられていても良いし、引き抜き口t1がケーシング11の他端側の縮径面A2に設けられていても良い。
なお、本実施形態では、噴射口j1がケーシング11の他端側において、回転軸12aより下側に設けられることが好ましい。すなわち、回転軸12aより下側に設けられる噴射口j1から圧縮空気aを噴射することで、濃縮汚泥D中における圧縮空気aの浮力により、濃縮汚泥Dを撹拌する効果をより大きくすることができる。ここで、噴射口j1から噴射された圧縮空気aは、ケーシング11の上部に設けられた分離液排出口より、凝集汚泥Cから分離された水分(排水E)とともにケーシング11の外部に排出される。
【0045】
次に、第2実施形態の変形例に係る汚濃縮機21aを、図6を参照しながら説明する。
上記実施形態と同一の構成の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0046】
第2実施形態の変形例に係る汚泥濃縮装置21aが第2実施形態の汚泥濃縮装置21と異なる点は、複数の噴射口h1が、回転軸2cと同一の同心円上に設けられていることである。
【0047】
このように噴射口h1を配置すると、濾過容器2Aの底部に設けられた複数の噴射口h1から濾過容器2Aの内部に噴射された圧縮空気aが、濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに、円周方向に亘って幅広く複数個所で衝突する。そのため、第2実施形態と同様に、噴射された圧縮空気aが濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに衝突する衝撃により、濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dを複数個所において濾過容器内面から引き剥がすことができ、これによって濃縮汚泥Dを撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。その結果、濾過容器2Aの底部(他端側)における濃縮汚泥濃度を均一化することができるので、濾過容器2Aの底部から引き抜かれる濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置21の安定した運転を実現することができる。なお、図6の例では、噴射口h1が3個設けられているが、3個に限らず、2個以上であれば特に限定されない。
【0048】
なお、上記実施形態に記載される汚泥濃縮装置を使用することで汚泥を濃縮することを、汚泥濃縮方法として見なすことができる。
例えば、第1実施形態の汚泥濃縮装置2は、濾過容器2Aと、濾過容器2A内に収容されるとともに、その内部に汚泥が供給される円筒状の濾過スクリーン2Aと、濾過スクリーン2Aの内部に収容されて、回転軸2c回りに回転することで、濾過容器2Aの一端側(上部)から他端側(底部)に向けて汚泥を濃縮しながら搬送するスクリュー羽根2dと、を備える汚泥濃縮装置2において、濾過容器2Aの他端側の第一部分から、濃縮された汚泥Dと汚泥Dに含まれる水分との少なくとも一方を引き抜く引き抜きステップと、圧縮空気aを濾過容器2Aの他端側の第二部分から濾過容器2A内に噴射する噴射ステップと、を備える汚泥濃縮方法であると見なすことができる。このような汚泥濃縮方法によれば、第1実施形態の汚泥濃縮装置2と同様の効果を得ることができる。
【0049】
また、第2実施形態の汚泥濃縮装置21は、上記の汚泥濃縮方法における噴射ステップにおいて、圧縮空気aを濾過容器2Aの他端側の第二部部分の複数個所から噴射する汚泥濃縮方法であると見なすことができる。このような汚泥濃縮方法によれば、第2実施形態の汚泥濃縮装置21と同様の効果を得ることができる。
【0050】
以上、この発明の実施形態とその変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態とその変形例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0051】
上記実施形態では、濾過容器2Aの底部に設けられた噴射口h1に連通する連通管7は、図2に示す正面図において濾過容器2Aの底部の表面(他端側の端面)に対して略垂直に設けられているが、必ずしも略垂直である必要はない。連通管7は、濾過容器2Aの底部の表面に対して図2に示す正面図において鋭角をなすように設けられても、鈍角をなすように設けられても良い。
【0052】
さらに、連通管7を、例えば図4に示す底面図において濾過容器2Aの底部の表面(他端側の端面)に対して、濾過容器2Aの底部の円周方向に傾斜させるように設けても良い。連通管7を、このように濾過容器2Aの底部に設けることで、連通管7から噴射される圧縮空気aに、スクリュー羽根2dの回転方向もしくはスクリュー羽根2dの反転方向の初速度が付加される。この場合、濾過容器2Aの底部に設けられた噴射口h1から濾過容器2Aの内部に噴射された圧縮空気aが濾過容器2Aの底部の内面に固着している濃縮汚泥Dに衝突すると、濾過容器内面から引き剥がされる濃縮汚泥Dにもスクリュー羽根2dの回転方向もしくはスクリュー羽根2dの反転方向の初速度が付加される。これによって濃縮汚泥Dをさらに撹拌することができ、水みちの発生を抑制することができる。その結果、濾過容器2Aの底部(他端側)における濃縮汚泥濃度を均一化することができるので、濾過容器2Aの底部から引き抜かれる濃縮汚泥Dの濃度を均一化することができる。よって、汚泥濃縮装置21の安定した運転を実現することができる。
【0053】
第1実施形態では、電磁弁が開となる時間と噴射される圧縮空気aの体積は、後述する他の実施形態と変形例においても同様であるとしたが、必ずしも第1実施形態の値に合致させる必要はなく、濾過容器2Aの体積、濃縮汚泥Dの温度、スクリュー羽根2dの回転速度等の使用条件に合わせて変更しても良い。
【符号の説明】
【0054】
2、21、22、23 汚泥濃縮装置
2A、11 濾過容器(濃縮槽、ケーシング)
2a、11a 濾過スクリーン
2b、11b 濾液室
2c、12a 回転軸
2d、12b スクリュー羽根
a 圧縮空気
C 凝集汚泥
C1 コンプレッサ
D 濃縮汚泥(汚泥)
h1、j1 噴射口
O1 中心軸
P1 ポンプ
t、t1 引き抜き口
図1
図2
図3
図4
図5
図6