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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109712
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】排水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20220721BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20220721BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20220721BHJP
   B01D 24/02 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C02F1/28 F
B01D53/38 ZAB
B01D53/78
B01D23/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005176
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D002
4D116
4D624
【Fターム(参考)】
4D002AA00
4D002BA02
4D002CA01
4D002CA06
4D002DA37
4D002DA70
4D116AA12
4D116BA05
4D116FF02A
4D116GG09
4D116QA41C
4D116QA41E
4D116QA41G
4D116QC12A
4D116QC50B
4D116VV09
4D624AA04
4D624AB02
4D624AB04
4D624AB06
4D624BA02
4D624BA17
4D624BB05
4D624BC04
4D624CA01
4D624DA02
4D624DA03
4D624DA07
4D624DB03
4D624DB06
(57)【要約】
【課題】 吸着剤の再生を効率的に行うことができる排水処理装置を提供しようとするもの。
【解決手段】 排水の汚れ成分を吸着剤により処理する複数の排水処理槽2と、前記吸着剤を引き出して賦活する個別の再生槽5と、前記再生槽5の排気ガスを浄化するスクラバー槽6とを有し、再生槽5で賦活した吸着剤を再利用するようにした。前記スクラバー槽6に吸着剤を添加するようにし、前記吸着剤を引き出して賦活する再生槽5を有するようにしてもよい。前記排水処理槽2の下方に排水を貯留する中間槽3を設置するようにしてもよい。前記中間槽3又は/及び排水処理槽2又は/及びスクラバー槽6に電解機構4を付帯するようにしてもよい。前記排水処理槽2で吸着剤を流動状態とするようにしてもよい。前記排水処理槽2の前段階に砂濾過槽7を配するようにしてもよい。前記排水処理槽2の前段階に油分吸着機構13を配するようにしてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水の汚れ成分を吸着剤により処理する複数の排水処理槽(2)と、前記吸着剤を引き出して賦活する個別の再生槽(5)と、前記再生槽(5)の排気ガスを浄化するスクラバー槽(6)とを有し、再生槽(5)で賦活した吸着剤を再利用するようにしたことを特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記スクラバー槽(6)に吸着剤を添加するようにし、前記吸着剤を引き出して賦活する再生槽(5)を有するようにした請求項1記載の排水処理装置。
【請求項3】
前記排水処理槽(2)の下方に排水を貯留する中間槽(3)を設置するようにした請求項1又は2記載の排水処理装置。
【請求項4】
前記中間槽(3)又は/及び排水処理槽(2)又は/及びスクラバー槽(6)に電解機構(4)を付帯するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項5】
前記排水処理槽(2)で吸着剤を流動状態とするようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記排水処理槽(2)の前段階に砂濾過槽(7)を配するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項7】
前記排水処理槽(2)の前段階に油分吸着機構(13)を配するようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項8】
前段階の多段の排水処理槽(2)と、後段階のフィードバック方式の排水処理槽(2)とを有するようにした請求項1乃至7のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項9】
前段階の排水処理槽(2)と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽(2)とを有するようにした請求項1乃至8のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項10】
前段階の多段の排水処理槽(2)と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽(2)とを有するようにした請求項1乃至7のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項11】
前記排水の受け入れ時の汚れ濃度をセンサーで検知し、前記汚れ濃度に応じて後段階のフィードバック方式の排水処理槽のFB倍数を調整・制御するようにした請求項8乃至10のいずれかに記載の排水処理装置。
【請求項12】
前記FB倍数を上げるよう制御する際に系内に外部清浄水を導入するようにした請求項11記載の排水処理装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の排水処理装置について、賃貸契約をした顧客に該排水処理装置を貸出し、再生槽(5)で顧客が産出した炭化物を貸出主が引き取るようにしたことを特徴とする排水処理装置の賃貸契約支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸着剤の再生を効率的に行うことができる排水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりも効率良く分解することが出来る排水処理機構に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、この排水処理機構は、排水中の汚れ物質を吸着する活性炭吸着槽と槽内流動機構とを有し、前記活性炭吸着槽に電解水を供給すると共に、前記活性炭吸着槽内で槽内流動機構により排水と活性炭とを流動させるようにしたものである。
そして、槽内が流動することにより一定の場所に停滞する部位が減少して電解水の洗浄作用を万遍なく活性炭に及ぼすことが出来るので、従来よりも効率良く吸着物を洗浄再生することができる、というものである。
しかし、吸着剤の再生を効率的に行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-123442
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、吸着剤の再生を効率的に行うことができる排水処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の排水処理装置は、排水の汚れ成分を吸着剤により処理する複数の排水処理槽と、前記吸着剤を引き出して賦活する個別の再生槽と、前記再生槽の排気ガスを浄化するスクラバー槽とを有し、再生槽で賦活した吸着剤を再利用するようにしたことを特徴とする。
この排水処理装置では、排水の汚れ成分を吸着剤により処理する複数の排水処理槽を有するので、排水の汚れ成分を吸着剤に吸着させて浄化することが出来る。
また、前記吸着剤を引き出して賦活する個別の再生槽を有するので、汚れ成分が累積吸着した吸着剤を引き出して賦活することができると共に、複数の排水処理槽を有する場合の共通した再生槽の大型化を抑制することが出来る。
【0006】
そして、複数の排水処理槽とその個別の再生槽を有するので、これらの複数のセット(排水処理槽と個別の再生槽)の組み合わせや順番により、多様な排水の種類に応じた処理を行うことができる排水処理装置(システム)とすることが出来る。
さらに、前記再生槽の排気ガスを浄化するスクラバー槽を有するので、吸着剤の賦活時の再生槽の排気ガス(吸着剤の表面の汚れ成分の熱分解物など)を処理して大気開放することが出来る。
そのうえ、再生槽で賦活した吸着剤を再利用するようにしたので、吸着剤の吸着平衡を危惧することなく排水処理の運転を行うことが出来る。
【0007】
ここで、前記排水中の汚れ成分として、有機物、ss 成分、油分などを例示することが出来る。また吸着剤として、活性炭を例示することが出来る。
排水処理槽として、吸着剤たる活性炭を充填した活性炭濾過槽を例示することが出来る。複数の排水処理槽として、排水の汚れ成分(COD等)を段階を追って順次低減していく組み合わせを例示することが出来る。
吸着剤を賦活する再生槽の処理の内容として、吸着剤を約600~900℃×1~3時間位に昇温することが例示できる。個別の再生槽として、複数の排水処理槽毎にそれぞれ設置することを例示できる。
スクラバー槽へは、吸着剤の再生槽の排気ガスを下方に曝気して注入することを例示できる。
【0008】
(2)前記スクラバー槽に吸着剤を添加するようにし、前記吸着剤を引き出して賦活する再生槽を有するようにしてもよい。
このように構成し、スクラバー槽に吸着剤を添加するようにし、前記吸着剤を引き出して賦活する再生槽を有するようにすると、スクラバー槽での排気ガスの処理能を吸着剤により向上させることが出来る。
【0009】
(3)前記排水処理槽の下方に排水を貯留する中間槽を設置するようにしてもよい。
このように構成し、排水処理槽の下方に排水を貯留する中間槽を設置するようにすると、この中間槽の内部に排水を一旦貯留して汚れ濃度の濃度調整をしてその平均化を図ることができると共に、排水処理槽の相互間の接続が簡易となって現場工事が不要となり、省スペースになって配管ホースの現地配線が要らないようにすることが出来る。
【0010】
また、処理槽と中間槽との容積を縦方向に伸ばすことにより、独立した中間槽を別置きとして、この排水処理装置の設置場の全体面積を拡大することなしに、中間槽の容積を拡張することも出来る。
さらに、中間槽によって汚れ成分の濃度を平均化することにより、経時的な排水濃度の変動を吸収して、後工程の処理の適正化に帰することが出来る。
【0011】
(4)前記中間槽又は/及び排水処理槽又は/及びスクラバー槽に電解機構を付帯するようにしてもよい。
このように構成し、中間槽又は/及び排水処理槽又は/及びスクラバー槽に電解機構を付帯するようにすると、中間槽や排水処理槽の排水中の汚れ成分(COD成分等)や、スクラバー槽中の排気ガス(COD成分の熱分解ガス等)に電解水の酸化作用(電解HOClの酸素(O)による酸化作用)を及ぼして分解・浄化することが出来る。
【0012】
前記電解水は、例えば塩化物イオン(Cl-)の共存下で、電解機構により電気分解することにより生成させることが出来る。すなわち、塩化物イオン(Cl-)の共存下で電気分解すると次亜塩素酸(HClO)が生成する。この電解次亜塩素酸(HClO)により、排水中の汚れ成分を酸化分解して浄化することが出来る。電解水は、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)水を電気分解して得ることも出来る。
また、中間槽や排水処理槽(流動床の場合)に電解機構から電解水を循環することにより、中間槽や排水処理槽に滞留している間に汚れ成分に対して酸化分解作用を及ぼして浄化することが出来る。
【0013】
さらに、スクラバー槽では、排水処理槽の表面から揮発した排気ガス(COD成分の熱分解ガス等)に電解水をシャワー(噴霧)して(気相から液相に戻し)、再度 排気ガスに槽内で電解酸化作用を及ぼすようにすることが出来る。
ここで、排水の最終処理水に含まれる食塩(NaCl)を、電界脱塩槽で回収するようにしてもよい。このようにすると、電気分解時に必要な塩化物イオン(Cl-)の補充のための食塩を回収して再利用することが出来る。
概して、排水中の粗い汚れ成分は濾過により、それより細かい汚れ成分は吸着により除去し、もっと細かい汚れ成分は電解水により分解して清浄化していくことが出来る。
【0014】
(5)前記排水処理槽で吸着剤を流動状態とするようにしてもよい。
このように構成し、排水処理槽で吸着剤を流動状態とするようにすると(流動床)、固定床(濾過)とした場合によりも排水との接触時間が長くとれるように設定することにより、排水中の汚れ成分(COD成分等)の吸着除去性を向上させることが出来る。
また、固定床処理の場合、処理槽内に貯留されて隣接する吸着剤同士(槽内に充填されると流水圧で相互が略密接する)の当接部分は排水には接触せずその分 吸着可能面積が減少することとなるが、流動床処理の場合、流動・浮遊している吸着剤の外周の全面で排水と接触して吸着作用を行うこととなって吸着性に優れることとなる。
【0015】
(6)前記排水処理槽の前段階に砂濾過槽を配するようにしてもよい。
このように、排水処理槽の前段階に砂濾過槽を配するように構成すると、ss成分、油分、粘稠な成分などを先に砂濾過槽で除去・軽減して、後段階の排水処理槽への処理の負担を軽減することが出来る。
【0016】
(7)前記排水処理槽の前段階に油分吸着機構を配するようにしてもよい。
このように、前記排水処理槽の前段階に油分吸着機構を配するように構成すると、早い段階で油分を吸着除去・軽減して、後段階の排水処理槽への処理の負担を軽減することが出来る。
ここで、油分吸着機構として、油分の吸着ロール(例えばPP製フィルター・ロール)を用いることが出来る。
【0017】
(8)前段階の多段の排水処理槽と、後段階のフィードバック方式の排水処理槽とを有するようにしてもよい。
ここで、このフィードバック方式の排水処理槽では、排水処理後の最終の清浄な処理水を自己処理水として、途中の段階の排水に混合(フィードバック)して希釈・平準化して処理していく。
例えばFB倍数=10とすると、1/10の割合の最終処理水(例えばCOD 100ppm未満)を処理系外に排出し、9/10の割合の自己処理水(=清浄な最終処理水)を系内の途中の段階にフィードバックして混合する。
フィードバック(FB)で、系内に戻ってくる自己処理水(FB倍数によってはかなり多めの水量が戻ってくる)を貯留するためのFB中間貯留槽を設けてもよい。
【0018】
こうして、前段階の多段の排水処理槽と、後段階のフィードバック方式の排水処理槽(多段にしてもよい)とを有するように構成すると、前段階の多段の排水処理槽(複数)により汚れ濃度をできるだけ大きく低減し、この汚れ濃度をできるだけ低減した排水について、後段階のフィードバック方式の排水処理槽により、排水処理槽の負荷を軽減しつつ排水を浄化していくことが出来る。
具体的には、排水処理槽に吸着剤を用いた場合、処理時の吸着剤の負荷を軽減することができ、吸着剤の使用可能時間(吸着平衡が立つ時間)を延長することができ、吸着剤の再生頻度(再生槽の稼働率)を減らすことが出来る。
そして、前段階の多段の排水処理槽(複数)によって汚れ濃度を大きく低減することができるので、汚れ濃度が高濃度の排水(例えば排水原水が約COD 20,000ppm)についても、FB数を適切に選択することにより好適に対処することが出来る(例えば最終処理水がCOD 100ppm未満)。
【0019】
(9)前段階の排水処理槽と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽とを有するようにしてもよい。
こうして、前段階の排水処理槽(多段にしてもよい)と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽とを有するように構成すると、前段階の排水処理槽により汚れ濃度を先ず低減し、この汚れ濃度を低減した排水について、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽(複数)により、排水処理槽の負荷を軽減しつつ、多段で排水の汚れ濃度を段階的に大きく低減することが出来る。
そして、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽(複数)によって段階を追って汚れ濃度を大きく低減することができるので、排水の最終処理水の清浄度をより向上させることが出来る(例えば最終処理水のCODが10ppm未満)。
【0020】
(10)前段階の多段の排水処理槽と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽とを有するようにしてもよい。
こうして、前段階の多段の排水処理槽と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽とを有するように構成すると、汚れ濃度が高濃度の排水(例えば排水原水が約COD 20,000ppm)についてもFB数を適切に選択することにより好適に対処することができると共に、排水の最終処理水の清浄度をより向上させることが出来る(例えば最終処理水のCODが10ppm未満)。
【0021】
(11)前記排水の受け入れ時の汚れ濃度をセンサーで検知し、前記汚れ濃度に応じて後段階のフィードバック方式の排水処理槽のFB倍数を調整・制御するようにしてもよい。
こうして、排水の受け入れ時の汚れ濃度をセンサーで検知し、前記汚れ濃度に応じて後段階のフィードバック方式の排水処理槽のFB倍数を調整・制御するように構成すると、排水の受け入れ時の濃度に対応して、後段階のフィードバック方式の排水処理槽のFB倍数を調整・制御することにより、当初濃度のアップダウンに対応することが出来る。
なお、FB水量が増える場合は、リターンするFB水の配管本数を増やして1本の配管当たりの通水量を減らすことによりウォーターハンマーを回避することが出来る。
【0022】
ここで、排水の原水の受け入れの汚れ濃度の指標として、COD(化学的酸素要求量)、TOC(全有機炭素)、そのセンサーとしてCOD計、TOC計を例示することが出来る。また、各箇所での流量を流量計により管理することが出来る。
装置の運転は、遠隔で監視、操作、制御するようにしてもよい。また、運転の制御に人工知能(AI)を利用して、受け入れ時のアップダウンする排水濃度に対し系内の濃度を機械に予測させてFB数を自動制御させるようにしてもよい。
そして、排水の受け入れ時の汚れ濃度が許容範囲外(例えばCOD 20,000ppmに対して±3~5%の範囲外)であると、その試料(サンプル)を装置内に保存すると共に、(特に濃度を越えた場合は)排水処理装置の処理を停止(遮断)するようにしてもよい。吸着剤の再生槽(昇温されている)も、安全面に考慮してシャットダウンする。
【0023】
(12)
前記FB倍数を上げるよう制御する際に系内に外部清浄水を導入するようにしてもよい。
こうして、FB倍数を上げるよう制御する際に系内に外部清浄水を導入するようにすると、排水の受け入れ時の汚れ濃度(センサー検知)がアップした場合のFB倍数の増加に円滑に対処することが出来る。
ここで、外部清浄水として、汚れ濃度が低い工業用水や水道水などを例示することが出来る。
【0024】
(13)この発明の排水処理装置の賃貸契約支援システムは、前記排水処理装置について、賃貸契約をした顧客に該排水処理装置を貸出し、前記再生槽で顧客が産出した炭化物を貸出主が引き取るようにしたことを特徴とする。
この排水処理装置の賃貸契約支援システムでは、前記排水処理装置について、賃貸契約をした顧客に該排水処理装置を貸出し、前記再生槽で顧客が産出した炭化物を貸出主が引き取るようにしたので、炭化物が多くでた場合の顧客から産廃業者への処分費用と排水処理装置の貸出し費用と貸出主による炭化物の引き取り費用とを勘案・調整し、排出事業者の排水処理費用として経営上の適正な着地点を得ることを通じて排水処理装置の賃貸契約を支援し、これを以て各人の利益に資することが出来る。
ここで、再生槽で吸着剤を賦活する際に吸着剤に付着した排水中の汚れ成分が炭化物として(多く)排出(産出)されることがある。
【発明の効果】
【0025】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
複数の排水処理槽を有する場合の共通した再生槽の大型化を抑制することができるので、吸着剤の再生を効率的に行うことができる排水処理装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の排水処理装置の実施形態1を説明するブロック・フロー図。
図2】この発明の排水処理装置の実施形態2を説明するブロック・フロー図。
図3】この発明の排水処理装置の実施形態2を説明するシステム・フロー図。
図4】この発明の排水処理装置の実施形態3を説明するブロック・フロー図。
図5】この発明の排水処理装置の実施形態4を説明するブロック・フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、全体の排水の処理の流れ(図示、左→右方向)として、汚水原水(COD 約20,000ppm)を原水槽1に流入させて濃度を平均化し、上下2連(二段)の排水処理槽2(前段階の第1棟)にポンプPで送られ、その下方の中間槽3を介して次の排水処理槽2(前段階の第2棟)にポンプPで送られ、さらに下方の中間槽3を介して次の排水処理槽2(前段階の第3棟)にポンプPで送られるようにした。
各排水処理槽2には、それぞれ個別の電解機構(三連並立)4と吸着剤の再生槽5とを付帯させている。吸着剤の再生槽5の排気ガスは、スクラバー槽6で処理するようにしている。
そして、さらに下方の中間槽3を介して次の砂濾過槽7にポンプPで送られ、次いで下方の中間槽3(COD 約1,000ppm)を介してFB中間貯留槽8に送られるようにした。
【0028】
FB中間貯留槽8から次の排水処理槽2(後段階)にポンプPで送られ、さらに下方の中間槽3を介して処理水槽9に貯留される。この処理水槽9から一部は系外へと排水され(COD 約100ppm)、他はフィードバック(FB10)されてFB中間貯留槽8(槽内COD 約200ppm)へと送られるようにした。
次に、この実施形態の排水処理装置は、排水の汚れ成分を吸着剤により処理する複数の排水処理槽2と、前記吸着剤を引き出して賦活する個別の再生槽5と、前記再生槽5の排気ガスを浄化するスクラバー槽6とを有し、再生槽5で賦活した吸着剤を再利用するようにしている。
前記排水中の汚れ成分として、有機物、ss 成分、油分を処理した。また、吸着剤として活性炭を用いた。排水処理槽2として、吸着剤たる活性炭を充填した活性炭濾過槽を用いた。複数の排水処理槽2として、排水の汚れ成分(COD)を段階を追って順次低減していく組み合わせとした。
【0029】
前記それぞれの排水処理槽2の下方に、排水を貯留する中間槽3を設置するようにした。このようにしたので、この中間槽3の内部に排水を一旦貯留して汚れ濃度の濃度調整をしてその平均化を図ることができると共に、排水処理槽2の相互間の接続が簡易となって現場工事が不要となり、省スペースになって配管ホースの現地配線が要らないようにすることが出来た。
また、排水処理槽2と中間槽3との容積を縦方向に伸ばすことにより、独立した中間槽3を別置きとしてこの排水処理装置の設置場の全体面積を拡大することなしに、中間槽3の容積を拡張することも出来た。さらに、中間槽3によって汚れ成分の濃度を平均化することにより、経時的な排水濃度の変動を吸収して後工程の処理の適正化に帰することが出来た。
【0030】
吸着剤を賦活する再生槽5の処理の内容として、吸着剤を約600~900℃×1~3時間位に昇温した。加熱手段としてLNGガスバーナー(図示せず)を使用したが、電熱ヒーターを用いてもよい。そして、個別の再生槽5として、複数の排水処理槽2毎にそれぞれ設置するようにした。
スクラバー槽6へは、吸着剤の各再生槽5の排気ガスを下方に曝気10して注入するようにした。前記スクラバー槽6には吸着剤を添加するようにし、前記吸着剤を引き出して賦活する再生槽5を有するようにしている。このように、スクラバー槽6に吸着剤を添加するようにしたので、前記吸着剤を引き出して賦活する再生槽5を有することにより、スクラバー槽6での排気ガスの処理能を吸着剤により向上させることが出来た。
【0031】
前記中間槽3、排水処理槽2、スクラバー槽6に電解機構4を付帯するようにしており、中間槽3や排水処理槽2の排水中の汚れ成分(COD成分)や、スクラバー槽6中の排気ガス(COD成分の熱分解ガス)に電解水の酸化作用(電解HOClの酸素(O)による酸化作用)を及ぼして分解・浄化することが出来た。
前記電解水は、塩化物イオン(Cl-)の共存下で、電解機構4により電気分解することにより生成させた。すなわち、塩化物イオン(Cl-)の共存下で電気分解すると次亜塩素酸(HClO)が生成する。この電解次亜塩素酸(HClO)により、排水中の汚れ成分を酸化分解して浄化することが出来た。電解水は、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)水を電気分解(電解次亜水)して得ることも出来る。
【0032】
また、中間槽3、排水処理槽2に電解機構4から電解水を循環することにより、中間槽3、排水処理槽2に滞留している間に汚れ成分に対して酸化分解作用を及ぼして浄化することが出来た。
さらに、スクラバー槽6では、排水処理槽2の表面から揮発した排気ガス(COD成分の熱分解ガス)に電解水をシャワー11(噴霧)して気相から液相に戻し、再度 排気ガスに槽内で電解酸化作用を及ぼすようにすることが出来た。
そのうえ、排水の最終処理水に含まれる食塩(NaCl)を、電界脱塩槽12で回収するようにした。したがって、電気分解時に必要な塩化物イオン(Cl-)の補充のための食塩を回収して再利用することが出来る。
【0033】
前段階(砂濾過槽7の前)の多段の排水処理槽2と、後段階のフィードバック方式の排水処理槽2とを有するようにした。このフィードバック方式の排水処理槽2では、排水処理後の最終の清浄な処理水を自己処理水として、途中の段階の排水に混合(フィードバック)して希釈・平準化して処理していく。
FB倍数=10としており、1/10の割合の最終処理水(COD 100ppm)を処理系外に排出し、9/10の割合の自己処理水(=清浄な最終処理水)を系内の途中の段階にフィードバックして混合するようにした。
【0034】
そして、フィードバック(FB10)として、系内に戻ってくる自己処理水を貯留するためのFB中間貯留槽8を設けている。
こうして、前段階の多段の排水処理槽2(3段)と、後段階のフィードバック方式の排水処理槽2(1段)とを有するようにしたので、前段階の多段の排水処理槽2により汚れ濃度をできるだけ大きく低減し、この汚れ濃度をできるだけ低減した排水について、後段階のフィードバック方式の排水処理槽2により、排水処理槽2の負荷を軽減しつつ排水を浄化していくことが出来た。
また、後段階のフィードバック方式(FB10)の排水処理槽2の吸着剤について、処理時の吸着剤の負荷を軽減することができ、吸着剤の使用可能時間(吸着平衡が立つ時間)を延長することができ、吸着剤の再生頻度(再生槽5の稼働率)を減らすことが出来た。
【0035】
そして、前段階の多段の排水処理槽2(複数)によって汚れ濃度を大きく低減することができるので、汚れ濃度が高濃度の排水(排水原水が約COD 20,000ppm)についても、FB中間貯留槽8(槽内COD 約200ppm)の前の中間槽のCOD 1,000ppmとして、FB数を選択(FB倍数=10)することにより好適に対処することが出来た(最終処理水のCOD 100ppm)。
なお概して、排水中の粗い汚れ成分は濾過により、それより細かい汚れ成分は吸着により除去し、もっと細かい汚れ成分は電解水により分解して清浄化していくことが出来た。
【0036】
次に、この実施形態の排水処理装置の使用状態を説明する。
この排水処理装置では、排水の汚れ成分を吸着剤により処理する複数の排水処理槽2を有するので、排水の汚れ成分を吸着剤に吸着させて浄化することが出来た。
また、前記吸着剤を引き出して賦活する個別の再生槽5を有するので、汚れ成分が累積吸着した吸着剤を引き出して賦活することができると共に、複数の排水処理槽2を有する場合の共通した再生槽5の大型化を抑制することが出来た。
そして、複数の排水処理槽2とその個別の再生槽5を有するので、これらの複数のセット(排水処理槽2と個別の再生槽5)の組み合わせや順番により、多様な排水の種類に応じた処理を行うことができる排水処理装置(システム)とすることが出来た。
【0037】
さらに、前記再生槽5の排気ガスを浄化するスクラバー槽6を有するので、吸着剤の賦活時の再生槽5の排気ガス(吸着剤の表面の汚れ成分の熱分解物)を清浄化処理して大気開放することが出来た。
そのうえ、再生槽5で賦活した吸着剤を再利用するようにしたので、吸着剤の吸着平衡を危惧することなく排水処理の運転を行うことが出来た。
すなわち、複数の排水処理槽2を有する場合の共通した再生槽5の大型化を抑制することができるので、吸着剤の再生を効率的に行うことができた。
【0038】
なお、排水処理槽2で吸着剤を流動状態とするようにしてもよい。このように、排水処理槽2で吸着剤を流動状態とするようにすると(流動床)、固定床(濾過)とした場合によりも排水との接触時間が長くとれるように設定することにより、排水中の汚れ成分(COD成分等)の吸着除去性を向上させることが出来る。
また、固定床処理の場合、処理槽内に貯留されて隣接する吸着剤同士(槽内に充填されると流水圧で相互が略密接する)の当接部分は排水には接触せずその分 吸着可能面積が減少することとなるが、流動床処理の場合、流動・浮遊している吸着剤の外周の全面で排水と接触して吸着作用を行うこととなって吸着性に優れることとなる。
【0039】
〔変形具体例〕
排水の原水のCOD 20,000ppm(20m3/日処理)について、FB中間貯留槽8(槽内COD 約20ppm)の前の中間槽3のCOD 500ppmとして、FB数を選択(FB倍数=50)することにより(20m3/日×FB50=1,000m3/日≒42m3/時)、好適に対処することが出来る(最終処理水のCOD 10ppm)。
【0040】
(実施形態2)
次に、上記実施形態との相違点を中心に他の実施形態を説明する。
図2及び図3に示すように、この実施形態の排水処理装置は、前段階の排水処理槽2と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽2とを有するようにした。
こうして、前段階(砂濾過槽7の前)の排水処理槽2(2段)と、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽2(2段)とを有するようにしたので、前段階の排水処理槽2により汚れ濃度を先ず低減し、この汚れ濃度を低減した排水について、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽2(複数)により、排水処理槽2の負荷を軽減しつつ、多段で排水の汚れ濃度を段階的に大きく低減することが出来た。
【0041】
そして、後段階のフィードバック方式の多段の排水処理槽2(複数)によって段階を追って汚れ濃度を大きく低減することができるので、排水の最終処理水の清浄度をより向上させることが出来た(最終処理水のCODが約10ppm)。
つまり、前段階の多段の排水処理槽2(2段)と、後段階のフィードバック方式の多段(2段)との排水処理槽2とを有するようにしたので、汚れ濃度が高濃度の排水(排水原水が約COD 20,000ppm)についても、FB中間貯留槽8(槽内COD 約20ppm)の前の中間槽のCOD 1,000ppmとして、FB数を選択(FB倍数=100)することにより好適に対処することができると共に、排水の最終処理水の清浄度をより向上させることが出来た(最終処理水のCOD 10ppm)。
そして、図3に示すように、電界脱塩槽12で回収した食塩(NaCl)は濃縮食塩水槽Sに貯留した。ここから各電解機構4へと濃縮食塩水を供給することとしており、電気分解に必要な食塩を回収して繰り返し再利用するようにしている。
【0042】
(実施形態3)
次に、上記実施形態との相違点を中心に他の実施形態を説明する。
図4に示すように、この実施形態の排水処理装置は、排水処理槽2の一番 前段階(最初)に砂濾過槽7を配するようにした。
このように、排水処理槽2の前段階(最初)に砂濾過槽7を配するようにしたので、ss成分、油分、粘稠な成分などを先に砂濾過槽7で除去・軽減して、後段階の排水処理槽2への処理の負担を軽減することが出来た。
【0043】
(実施形態4)
次に、上記実施形態との相違点を中心に他の実施形態を説明する。
図5に示すように、この実施形態の排水処理装置は、排水処理槽2の前段階(最初)に油分吸着機構13を配するようにした。油分吸着機構として、油分の吸着ロール14(PP製フィルター・ロール)を用いた。この吸着ロール14は、再生槽5で炭化するようにしている。
このように、前記排水処理槽2の前段階に油分吸着機構13を配するようにしたので、早い段階で油分を吸着除去・軽減して、後段階の排水処理槽2への処理の負担を軽減することが出来た。
【0044】
(実施形態5)
この実施実施形態では、前記排水の受け入れ時の汚れ濃度をセンサーで検知し、前記汚れ濃度に応じて後段階のフィードバック方式の排水処理槽のFB倍数を調整・制御するようにした。
このようにしたので、排水の受け入れ時の濃度に対応して、後段階のフィードバック方式の排水処理槽のFB倍数を調整・制御することにより、当初濃度のアップダウンに対応することが出来た。
そして、FB水量が増える場合は、リターンするFB水の配管本数を増やして1本の配管当たりの通水量を減らすことによりウォーターハンマーを回避することが出来た。
【0045】
排水の原水の受け入れの汚れ濃度の指標として、COD(化学的酸素要求量)、TOC(全有機炭素)、そのセンサーとしてCOD計、TOC計で管理した。また、各箇所での流量を流量計により管理した。
そして、排水の受け入れ時の汚れ濃度が許容範囲外(COD 20,000ppmに対して±3~5%の範囲外)であると、その試料(サンプル)を装置内に保存すると共に、特に濃度を越えた場合は排水処理装置の処理を停止(遮断)する。吸着剤の再生槽(昇温されている)も、安全面に考慮してシャットダウンする。
なお、装置の運転は、遠隔で監視、操作、制御するようにしてもよい。また、運転の制御に人工知能(AI)を利用して、受け入れ時のアップダウンする排水濃度に対し系内の濃度を機械に予測させてFB数を自動制御させるようにしてもよい。
【0046】
(実施形態6)
この実施実施形態では、前記FB倍数を上げるよう制御する際に系内に外部清浄水を導入するようにした。したがって、排水の受け入れ時の汚れ濃度(センサー検知)がアップした場合のFB倍数の増加に円滑に対処することが出来た。外部清浄水として、汚れ濃度が低い工業用水や水道水などを用いる。
【0047】
(実施形態7)
この実施形態の排水処理装置の賃貸契約支援システムは、前記排水処理装置について、賃貸契約をした顧客に該排水処理装置を貸出し、前記再生槽5で顧客が産出した炭化物を貸出主が引き取るようにした。
したがって、炭化物が多くでた場合の顧客から産廃業者への処分費用と排水処理装置の貸出し費用と貸出主による炭化物の引き取り費用とを勘案・調整し、排出事業者の排水処理費用として経営上の適正な着地点を得ることを通じて排水処理装置の賃貸契約を支援し、これを以て各人の利益に資することが出来る。
ここで、再生槽5で吸着剤を賦活する際に吸着剤に付着した排水中の汚れ成分が炭化物として多く排出(産出)されることがある。
【産業上の利用可能性】
【0048】
吸着剤の再生を効率的に行うことができることができることによって、種々の排水処理装置の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
2 排水処理槽
3 中間槽
4 電解機構
5 再生槽
6 スクラバー槽
7 砂濾過槽
13 油分吸着機構
図1
図2
図3
図4
図5