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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109719
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】災害情報通知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20220721BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005185
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 仁
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA11
5C086AA22
5C086BA01
5C086CA23
5C086FA06
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA37
5C087BB11
5C087BB73
5C087DD02
5C087DD24
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG17
5C087GG28
5C087GG35
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG82
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】災害情報の通知に係りユーザーに対して従来よりも適切な通知を実現することができる災害情報通知システムを提供する。
【解決手段】通知装置1は、地震の発生を検出すると、震度、建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづき、地震の発生に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該地震の発生に係る合成警告メッセージをスピーカ15から出力する。また、通知装置1は、所定の単位時間毎に災害情報供給装置から災害情報を取得しており、災害情報に河川の氾濫に係る警戒情報が含まれていると、当該警戒情報、地方自治体から取得した避難情報の内容、建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづき、河川の氾濫に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該河川の氾濫に係る合成警告メッセージを出力手段から出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ユーザーの住戸に設置され、河川の氾濫及び地震に係る災害情報の有無を確認するとともに災害情報が発生すると該災害情報をユーザーに通知する通知装置と、前記通知装置がインターネットを介して接続可能な災害情報供給装置とを備えた災害情報通知システムであって、
前記通知装置は、前記地震による揺れを検出するための震度検出手段と、音声を出力するための出力手段と、自身の動作を制御する制御手段と、記憶手段とを有しており、
初期設定に際して、前記記憶手段に、前記ユーザーの住戸に係る建物情報と、前記ユーザーの住戸の立地環境に係る立地環境情報と、前記ユーザーの住戸に居住する住人に係る住人情報とが設定されるとともに、
前記ユーザーの住戸に対応するハザードマップを前記災害情報供給装置から取得し、前記立地環境情報の1つとして前記記憶手段に記憶しており、
さらに、前記記憶手段には、前記震度検出手段により検出される震度、前記建物情報、前記立地環境情報、前記住人情報、及び前記災害情報供給装置から取得される災害情報に夫々対応づけて複数種類の警告メッセージが記憶されており、
前記通知装置は、前記震度検出手段により前記地震の発生を検出すると、少なくとも前記震度、前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、前記地震の発生に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該地震の発生に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力する一方、
所定の単位時間毎に前記災害情報供給装置から前記災害情報を取得し、前記災害情報に前記河川の氾濫に係る災害情報が含まれていると、少なくとも当該災害情報、前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、前記河川の氾濫に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該河川の氾濫に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力することを特徴とする災害情報通知システム。
【請求項2】
前記単位時間として第1単位時間と、前記第1単位時間よりも短い第2単位時間とが設定されており、
通常時、前記通知装置は、前記第1単位時間毎に前記災害情報供給装置から前記災害情報を取得する一方、
前記災害情報に前記河川の氾濫に係る災害情報が含まれていると、前記単位時間を前記第1単位時間から前記第2単位時間に変更することを特徴とする請求項1に記載の災害情報通知システム。
【請求項3】
各ユーザーの住戸に設置され、津波及び地震に係る災害情報の有無を確認するとともに災害情報が発生すると該災害情報をユーザーに通知する通知装置と、前記通知装置がインターネットを介して接続可能な災害情報供給装置とを備えた災害情報通知システムであって、
前記通知装置は、前記地震による揺れを検出するための震度検出手段と、音声を出力するための出力手段と、自身の動作を制御する制御手段と、記憶手段とを有しており、
初期設定に際して、前記記憶手段に、前記ユーザーの住戸に係る建物情報と、前記ユーザーの住戸の立地環境に係る立地環境情報と、前記ユーザーの住戸に居住する住人に係る住人情報とが設定されるとともに、
前記ユーザーの住戸に対応するハザードマップを前記災害情報供給装置から取得し、前記立地環境情報の1つとして前記記憶手段に記憶しており、
さらに、前記記憶手段には、前記震度検出手段により検出される震度、前記建物情報、前記立地環境情報、前記住人情報、及び前記災害情報供給装置から取得される災害情報に夫々対応づけて複数種類の警告メッセージが記憶されており、
前記通知装置は、前記震度検出手段により前記地震の発生を検出すると、少なくとも前記震度、前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、前記地震の発生に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該地震の発生に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力する一方、
前記災害情報供給装置から前記災害情報を取得しており、前記災害情報に前記津波警報の発表に係る災害情報が含まれていると、少なくとも前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択するとともに、当該選択した警告メッセージと前記津波警報の発表を報知するメッセージとから前記津波に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該津波に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力することを特徴とする災害情報通知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば大雨や地震等に係る災害情報を住戸の居住者に通知するための災害情報通知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば地震に係る情報や気象に係る情報等の災害情報をユーザーに通知する災害情報通知システムが考案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-64433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の災害情報通知システムでは、あくまで所定のエリアに係る情報(たとえばユーザーの居住エリアに係る情報)でしかない。したがって、同エリア内においても細かな環境の違い(たとえば河川や崖から住戸までの距離等)があるものの、それらの違いに対応した災害情報の通知を実行することはできないという問題がある。また、たとえば年齢や障害の有無等のユーザーに係る情報についても違いがあるものの、そのようなユーザーに係る情報の違いを反映した通知も実行することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、災害情報の通知に係りユーザーに対して従来よりも適切な通知を実現することができる災害情報通知システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、各ユーザーの住戸に設置され、河川の氾濫及び地震に係る災害情報の有無を確認するとともに災害情報が発生すると該災害情報をユーザーに通知する通知装置と、前記通知装置がインターネットを介して接続可能な災害情報供給装置とを備えた災害情報通知システムであって、前記通知装置は、前記地震による揺れを検出するための震度検出手段と、音声を出力するための出力手段と、自身の動作を制御する制御手段と、記憶手段とを有しており、初期設定に際して、前記記憶手段に、前記ユーザーの住戸に係る建物情報と、前記ユーザーの住戸の立地環境に係る立地環境情報と、前記ユーザーの住戸に居住する住人に係る住人情報とが設定されるとともに、前記ユーザーの住戸に対応するハザードマップを前記災害情報供給装置から取得し、前記立地環境情報の1つとして前記記憶手段に記憶しており、さらに、前記記憶手段には、前記震度検出手段により検出される震度、前記建物情報、前記立地環境情報、前記住人情報、及び前記災害情報供給装置から取得される災害情報に夫々対応づけて複数種類の警告メッセージが記憶されており、前記通知装置は、前記震度検出手段により前記地震の発生を検出すると、少なくとも前記震度、前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、前記地震の発生に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該地震の発生に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力する一方、所定の単位時間毎に前記災害情報供給装置から前記災害情報を取得し、前記災害情報に前記河川の氾濫に係る災害情報が含まれていると、少なくとも当該災害情報、前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、前記河川の氾濫に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該河川の氾濫に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記単位時間として第1単位時間と、前記第1単位時間よりも短い第2単位時間とが設定されており、通常時、前記通知装置は、前記第1単位時間毎に前記災害情報供給装置から前記災害情報を取得する一方、前記災害情報に前記河川の氾濫に係る災害情報が含まれていると、前記単位時間を前記第1単位時間から前記第2単位時間に変更することを特徴とする。
一方、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項3に記載の発明は、各ユーザーの住戸に設置され、津波及び地震に係る災害情報の有無を確認するとともに災害情報が発生すると該災害情報をユーザーに通知する通知装置と、前記通知装置がインターネットを介して接続可能な災害情報供給装置とを備えた災害情報通知システムであって、前記通知装置は、前記地震による揺れを検出するための震度検出手段と、音声を出力するための出力手段と、自身の動作を制御する制御手段と、記憶手段とを有しており、初期設定に際して、前記記憶手段に、前記ユーザーの住戸に係る建物情報と、前記ユーザーの住戸の立地環境に係る立地環境情報と、前記ユーザーの住戸に居住する住人に係る住人情報とが設定されるとともに、前記ユーザーの住戸に対応するハザードマップを前記災害情報供給装置から取得し、前記立地環境情報の1つとして前記記憶手段に記憶しており、さらに、前記記憶手段には、前記震度検出手段により検出される震度、前記建物情報、前記立地環境情報、前記住人情報、及び前記災害情報供給装置から取得される災害情報に夫々対応づけて複数種類の警告メッセージが記憶されており、前記通知装置は、前記震度検出手段により前記地震の発生を検出すると、少なくとも前記震度、前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、前記地震の発生に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該地震の発生に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力する一方、前記災害情報供給装置から前記災害情報を取得しており、前記災害情報に前記津波警報の発表に係る災害情報が含まれていると、少なくとも前記建物情報、前記立地環境情報、及び前記住人情報にもとづいて前記複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択するとともに、当該選択した警告メッセージと前記津波警報の発表を報知するメッセージとから前記津波に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該津波に係る合成警告メッセージを前記出力手段から出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、通知装置が、地震による揺れを検出するための震度検出手段と、音声を出力するための出力手段と、自身の動作を制御する制御手段と、記憶手段とを有しており、初期設定に際して、記憶手段に、ユーザーの住戸に係る建物情報と、ユーザーの住戸の立地環境に係る立地環境情報と、ユーザーの住戸に居住する住人に係る住人情報とが設定されるとともに、ユーザーの住戸に対応するハザードマップを災害情報供給装置から取得し、立地環境情報の1つとして記憶手段に記憶している。また、記憶手段には、震度検出手段により検出される震度、建物情報、立地環境情報、住人情報、及び災害情報供給装置から取得される災害情報に夫々対応づけて複数種類の警告メッセージが記憶されている。そして、通知装置は、震度検出手段により地震の発生を検出すると、少なくとも震度、建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづいて複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、地震の発生に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該地震の発生に係る合成警告メッセージを出力手段から出力するようになっている。
また、請求項1に係る発明では、通知装置が、所定の単位時間毎に災害情報供給装置から災害情報を取得しており、災害情報に河川の氾濫に係る災害情報が含まれていると、少なくとも当該災害情報、建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづいて複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択し、河川の氾濫に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該河川の氾濫に係る合成警告メッセージを出力手段から出力するようになっている。一方、請求項3に記載の発明では、通知装置が、災害情報供給装置から災害情報を取得しており、災害情報に津波警報の発表に係る災害情報が含まれていると、少なくとも建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづいて複数種類の警告メッセージから所定の警告メッセージを選択するとともに、当該選択した警告メッセージと津波警報の発表を報知するメッセージとから津波に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該津波に係る合成警告メッセージを出力手段から出力するようになっている。
したがって、本発明によれば、災害情報の通知に係りユーザーに対して従来よりも適切な通知を実現することができる災害情報通知システムとすることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、単位時間として第1単位時間と、第1単位時間よりも短い第2単位時間とが設定されており、通常時、通知装置は、第1単位時間毎に災害情報供給装置から災害情報を取得する一方、災害情報に河川の氾濫に係る災害情報が含まれていると、単位時間を第1単位時間から第2単位時間に変更するようになっている。したがって、災害情報の通知に係りユーザーに対して一層適切な通知を実現することができる災害情報通知システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】災害情報通知システムのブロック構成図である。
図2】通知装置での初期設定に係る制御を示したフローチャート図である。
図3】通知装置での災害情報の通知に係るメイン制御を示したフローチャート図である。
図4】通知装置での津波情報監視通知制御を示したフローチャート図である。
図5】通知装置での情報取得制御を示したフローチャート図である。
図6】各情報に対応づけて記憶されている地震の発生に係るメッセージ要素を示した説明図である。
図7】各情報に対応づけて記憶されている津波の発生に係るメッセージ要素を示した説明図である。
図8】各情報に対応づけて記憶されている河川の氾濫に係るメッセージ要素を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる災害情報通知システムについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、災害情報通知システムのブロック構成図である。図2は、通知装置1での初期設定に係る制御を示したフローチャート図である。図3は、通知装置1での災害情報の通知に係るメイン制御を示したフローチャート図である。図4は、通知装置1での津波情報監視通知制御を示したフローチャート図である。図5は、通知装置1での情報取得制御を示したフローチャート図である。図6は、各情報に対応づけて記憶されている地震の発生に係るメッセージ要素を示した説明図である。図7は、各情報に対応づけて記憶されている津波の発生に係るメッセージ要素を示した説明図である。図8は、各情報に対応づけて記憶されている河川の氾濫に係るメッセージ要素を示した説明図である。
【0011】
災害情報通知システムは、各ユーザーの住戸に設置され、災害情報の有無を確認するとともに災害情報が発生すると該災害情報をユーザーに通知する通知装置1と、ルータ2を介して通知装置1と無線通信可能な携帯端末3と、通知装置1がインターネットを介して接続可能な災害情報供給装置(以下、供給装置と称す)4とを備えてなる。
【0012】
供給装置4は、たとえば気象庁といった中央省庁、都道府県や市町村といった地方自治体等の供給主体が管理するコンピュータ(たとえばサーバ等)である。そして、供給装置4では、地方自治体が提供する地震ハザードマップや津波ハザードマップ、洪水ハザードマップ等の各種ハザードマップ情報、地方自治体が提供する発生した災害の種類や避難勧告の有無に加えて指定緊急避難場所等を示す避難情報、及び気象庁が提供する緊急地震速報や津波警報、河川の氾濫に係る警戒情報、気象等に関する特別警報等を含んだ防災情報(本発明では、地方自治体から供給される避難情報と気象庁から供給される防災情報とを合わせて災害情報という)が供給されるようになっている。
【0013】
携帯端末3は、たとえば各ユーザーが所持するスマートフォン等であって、通知装置1の設定時等に使用する入力手段としての機能と、通知装置1からの指令に応じて警告音等を報音する等の出力手段としての機能とを備えている。
【0014】
通知装置1は、インターネットを介して供給装置4から必要な情報を取得したり、取得した情報にもとづいて所定の通知動作を実行するものであって、自身の動作を制御するCPU11、メモリ12、計時のためのタイマ13、地震による揺れを検出するための震度センサ14、警告音等を出力するためのスピーカ15、及び外部と通信するための通信インターフェイス16等が内蔵されている。そして、通知装置1では、地震、津波、及び洪水に係る災害情報について通知の有無を判断し、必要に応じてユーザーに災害情報を通知するようになっている。
【0015】
ここで、通知装置1における災害情報の通知に係る制御について説明する。
通知装置1は、ユーザーが居住する住戸に設置され、まず該通知装置1に対して、災害情報の通知に係る初期設定を行う(図2)。この初期設定は、ユーザーの携帯端末3を使用して行われ、通知装置1の識別IDを入力する等して設定動作を開始させた後、通知装置1に自身が設置されている住戸の住所を入力する(S1)。また、通知装置1に後述する立地環境情報(S2)、住人情報(S3)、及び建物情報(S4)を入力する。その後、災害情報の通知に係り警告音及び警告メッセージを出力する出力手段を設定(たとえばスピーカ15のみを出力手段として設定したり、スピーカ15と携帯端末3との両者を出力手段として設定する等)すれば(S5)、災害情報の通知に係る初期設定は完了となる。なお、通知装置1は、初期設定の完了に伴い、自動的に供給装置4に接続し、入力された住所に応じたハザードマップ情報を取得して立地環境情報を更新する。
【0016】
立地環境情報とは、住戸がある場所の周囲の環境であって、住戸の隣に崖があるか否かという第1立地環境情報と、河川氾濫時の最大浸水深さ或いは津波浸水想定深さが5m以上であるか否かという第2立地環境情報とを含んでいる。そして、上記初期設定におけるS2では、第1立地環境情報を設定する。また、第2立地環境情報は、通知装置1が取得したハザードマップ情報にもとづいて自動的に設定される。
【0017】
住人情報とは、住戸に居住する住人に係る情報であって、足が弱い住人がいるか、寝たきりである住人がいるか、それとも健常者のみであるか否かという情報を含んでいる。
建物情報とは、住戸がどのような形態の住戸であるかという情報であって、木造であるか鉄筋2F以下であるか、それとも鉄筋3F以上であるかという情報を含んでいる。
【0018】
そして、上述したようにして初期設定がなされた通知装置1では、図3に示すように地震監視制御(S11)、津波情報監視通知制御(S12)、情報取得制御(S13)、及び避難情報監視通知制御(S14)を含んだ通知制御が繰り返し実行される。
【0019】
まず地震監視制御について説明すると、通知装置1では、震度センサ14により常時地震の発生を検出している。そして、震度4弱以上の地震を検出すると、設定されている出力手段(たとえばスピーカ15や携帯端末3)から地震発生に係る通知を出力する。この通知に関しては、震度、建物情報、立地環境情報、及び住人情報と、出力されるメッセージ要素とが予めメモリ12で対応付けられており(図6)、検出した震度、及び設定されている各情報にもとづいてメッセージ要素を組み合わせて合成警告メッセージを作成し、該合成警告メッセージを設定されている出力手段(スピーカ15を含む)から出力するようになっている。
【0020】
具体的に言うと、検出した震度が震度6以上であると「大変強い地震が発生しました」という第1震度メッセージが選択される。また震度5強であると「強い地震が発生しました」という第2震度メッセージが、震度5弱以下であると「地震が発生しました」という第3震度メッセージが夫々選択される。また、建物が木造であり、且つ、震度5強以上であると「お住まいが壊れる恐れがあります」という第1地震建物メッセージが選択され、建物が木造であり、且つ、震度5弱以下であると「お住まいが耐えられない恐れがあります」という第2地震建物メッセージが選択される。さらに、住戸の隣に崖があると設定されていると「崖が崩れる恐れがあります」という地震立地メッセージが選択される。加えて、どのような住人情報が設定されていたとしても「安全な場所へ避難しましょう」という第1地震住人メッセージが選択されるとともに、足が弱い人がいると設定されていると「足が弱い方へ手助けしてあげましょう」という第2地震住人メッセージが、寝たきりの人がいると設定されていると「寝たきりの方と共に避難しましょう」という第3地震住人メッセージが夫々選択される。
【0021】
そして、たとえば検出した震度が震度6以上であり、建物が鉄筋で、住人の中に足の弱い人がいるものの、住戸の隣に崖がないと設定されている場合、通知装置1では、「大変強い地震が発生しました。安全な場所へ避難しましょう。足が弱い方へ手助けしてあげましょう。」という合成警告メッセージが作成され、出力手段から出力される。また、検出した震度が震度5弱であり、建物が木造で住人は健常者のみ、ただ住戸の隣に崖があると設定されている場合、通知装置1では、「地震が発生しました。裏の崖が崩れる恐れがあります。安全な場所へ避難しましょう。」という合成警告メッセージが作成され、出力手段から出力される。なお、通知装置1では、地震監視制御においてスピーカ15から警告メッセージを出力する際には、その前後に所定の警告音を所定時間にわたり報音する。
【0022】
また、地震監視制御では、震度4弱以上の地震の発生の検出に伴い、次に説明する津波情報監視通知制御で用いる地震フラグをONとするとともに、地震の発生からの時間の計時を開始する。そこで、次に津波情報監視通知制御について図4にもとづき説明すると、通知装置1は、地震フラグがONであるか否かを判断し(S21)、地震フラグがONである(S21でYESと判断する)と、インターネットを介して供給装置4に接続し、気象庁から防災情報を取得する(S22)。また、取得した防災情報を確認し、防災情報として津波警報が発せられているか否かを判断する(S23)。そして、津波警報が発せられている(S23でYESと判断する)と、地方自治体から避難情報(主に避難先に係る情報)を取得するとともに、後述するような合成警告メッセージを作成するとともに、該合成警告メッセージを設定されている出力手段(スピーカ15を含む)から出力するようになっている(S24)。一方、津波情報が発せられていない(S23でNOと判断する)と、合成警告メッセージを出力している場合には、当該合成警告メッセージの出力を停止(S25)した後、地震の発生から所定の津波監視時間(たとえば30分)が経過しているか否かを判断し(S26)、地震の発生からの経過時間が津波監視時間を超える(S26でYESと判断する)と、地震フラグをOFFとする(S27)。なお、S21において、地震フラグがOFF(S21での判断がNO)であると、気象庁からの防災情報の取得等を実行することなく津波情報監視通知制御を終了する。また、S26において、地震の発生からの経過時間が津波監視時間を超えていないと判断(S26でNOと判断)すると、地震フラグをOFFせず、地震の発生からの経過時間が津波監視時間を超えるまでは、気象庁からの防災情報の取得等を実行する。
【0023】
上記津波情報監視通知制御で作成する合成警告メッセージについては、津波警報が発表されている旨、地方自治体から取得した避難情報の内容、建物情報、立地環境情報、及び住人情報と、出力されるメッセージ要素とが予めメモリ12で対応付けられており(図7)、津波警報が発表されている旨、及び設定されている各情報にもとづいてメッセージ要素を組み合わせて作成される。具体的に言うと、防災情報として津波警報が発せられているため、「津波警報が発表されました」という津波警戒メッセージが選択される。また、立地環境情報として第2立地環境情報が設定されていると「この区域は津波発生時に2Fまで浸水する恐れがあります」という津波立地メッセージが選択される。さらに、建物情報に関してのメッセージとしては、その種類に拘わらず全ての建物情報に対して「命を守るため、避難所の○○小学校へ避難して下さい」という津波建物メッセージが選択される。加えて、住人情報として足が弱い人や寝たきりの人がいると設定されていると「避難時には近隣にお願いして助けてもらいましょう」という津波住人メッセージが選択される。
【0024】
そして、地震の発生に伴い津波警報が出された際、第2立地環境情報が設定されているとともに、寝たきりの人がいると設定されていると、「津波警報が発表されました。この区域は津波発生時に2Fまで浸水する恐れがあります。命を守るため、避難所の○○小学校へ避難して下さい。避難時には近隣にお願いして助けてもらいましょう。」という合成警告メッセージが作成され、出力手段から出力される。また、地震の発生に伴い津波警報が出された際、第2立地環境情報が設定されておらず、且つ、住人は健常者のみと設定されていると、「津波警報が発表されました。命を守るため、避難所の○○小学校へ避難して下さい。」という合成警告メッセージが作成され、出力手段から出力される。なお、通知装置1では、津波情報監視通知制御においてスピーカ15から警告メッセージを出力する際にも、その前後に所定の警告音を所定時間にわたり報音する。
【0025】
さらに情報取得制御について図5にもとづき説明すると、通知装置1は、前回の情報取得(津波情報監視通知制御に係る情報取得ではなく、当該情報取得制御での情報取得である)からの経過時間を監視しており(S31)、該経過時間が単位時間(現時点で設定されている単位時間)を超える(S31でYESと判断する)と、インターネットを介して供給装置4に接続し、地方自治体からは避難情報を、気象庁からは防災情報を夫々取得する(S32)。また、取得した避難情報及び防災情報を確認し、避難情報と防災情報との少なくとも何れか一方に警告すべき内容があるか否か(具体的には、避難情報や防災情報として各種注意報や警報、河川の氾濫に係る警戒情報、避難勧告等が発せられているか否か)を判断する(S33)。そして、避難情報と防災情報とのどちらにも警告すべき内容がない(S33でNOと判断する)場合には、単位時間として第1単位時間(たとえば30分)を設定して(S34)、情報取得制御を終了する。したがって、次に避難情報等が取得されるのは、今回から第1単位時間が経過した後となる。一方、避難情報と防災情報との何れか一方にでも警告すべき内容がある(S33でYESと判断する)と、単位時間として第2単位時間(たとえば5分)を設定して(S35)、情報取得制御を終了する。したがって、次に避難情報等が取得されるのは、今回から第2単位時間が経過した後となる。なお、S31において、前回の情報取得から単位時間が経過していないと判断する(S31でNOと判断する)と、当然ながら情報の取得や単位時間の設定等を行うことなく情報取得制御を終了とする。また、単位時間が第2単位時間に変更された後には、避難情報と防災情報とのどちらにも警告すべき内容がなくなった(S33でNOと判断する)ことをもって、単位時間を第1単位時間に戻す。
【0026】
加えて、避難情報監視通知制御について説明すると、通知装置1では、取得した防災情報を参照し、河川の氾濫に係る警戒情報(気象庁の指定河川洪水予報において出される警戒情報)において、氾濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報、氾濫発生情報が含まれていると、設定されている出力手段から河川の氾濫に係る通知を出力する。この通知に関しては、警戒情報の種類、地方自治体から取得した避難情報の内容(氾濫に係る河川の名前や避難先に係る情報等)、建物情報、立地環境情報、及び住人情報と、出力されるメッセージ要素とが予めメモリ12で対応付けられており(図8)、取得した警戒情報の種類、及び設定されている各情報にもとづいてメッセージ要素を組み合わせて合成警告メッセージを作成し、該合成警告メッセージを設定されている出力手段(スピーカ15を含む)から出力するようになっている。
【0027】
具体的に言うと、取得した警戒情報の種類が氾濫注意情報か氾濫警戒情報かの何れかであると「大雨の影響で○○川が氾濫する恐れがあります」という第1氾濫警戒メッセージが選択される。また、取得した警戒情報の種類が氾濫危険情報であると「大雨の影響で○○川が今にも氾濫する危険情報が出ました」という第2氾濫警戒メッセージが選択され、取得した警戒情報の種類が氾濫発生情報であると「大雨の影響で○○川が氾濫しました」という第3氾濫警戒メッセージが選択される。また、立地環境情報として第2立地環境情報が設定されていると「この区域は河川氾濫時に2Fまで浸水する恐れがあります」という氾濫立地メッセージが選択される。さらに、建物情報に関してのメッセージは、立地環境情報として第2立地環境情報が設定されている場合にのみ反映されるようになっており、建物が木造か鉄筋2F以下であると「命を守るため、避難所の○○小学校へ避難して下さい」という第1氾濫建物メッセージが選択され、建物が鉄筋3F以上であると「命を守るため、3Fよりも上階まで垂直避難して下さい」という第2氾濫建物メッセージが選択される。加えて、住人情報として足が弱い人や寝たきりの人がいると設定されていると「避難時には近隣にお願いして助けてもらいましょう」という氾濫住人メッセージが選択される。
【0028】
そして、たとえば氾濫警戒情報が出された際、第2立地環境情報が設定されているとともに、建物が木造で、寝たきりの人がいると設定されていると、「大雨の影響で○○川が氾濫する恐れがあります。この区域は河川氾濫時に2Fまで浸水する恐れがあります。命を守るため、避難所の○○小学校へ避難して下さい。避難時には近隣にお願いして助けてもらいましょう。」という合成警告メッセージが作成され、出力手段から出力される。また、氾濫発生情報が出された際、第2立地環境情報が設定されているとともに、建物が鉄筋3F以上で、住人は健常者のみと設定されていると、「大雨の影響で○○川が氾濫しました。この区域は河川氾濫時に2Fまで浸水する恐れがあります。命を守るため、3Fよりも上階まで垂直避難して下さい。」という合成警告メッセージが作成され、出力手段から出力される。さらに、氾濫危険情報が出された際、第2立地環境情報が設定されておらず、住人は健常者のみであると「大雨の影響で○○川が今にも氾濫する危険情報が出ました。」という合成警告メッセージが作成される。なお、通知装置1では、避難情報監視通知制御においてスピーカ15から合成警告メッセージを出力する際にも、その前後に所定の警告音を所定時間にわたり報音する。
【0029】
以上のような構成を有する災害情報通知システムによれば、通知装置1が、地震による揺れを検出するための震度センサ14と、音声を出力するためのスピーカ15と、自身の動作を制御するCPU11と、メモリ12とを有しており、初期設定に際して、メモリ12に、ユーザーの住戸に係る建物情報と、ユーザーの住戸の立地環境に係る立地環境情報と、ユーザーの住戸に居住する住人に係る住人情報とが設定されるとともに、ユーザーの住戸に対応するハザードマップを供給装置4から取得し、立地環境情報の1つとしてメモリ12に記憶するようになっている。また、メモリ12には、震度センサ14により検出される震度、建物情報、立地環境情報、住人情報、及び供給装置4から取得される河川の氾濫に係る警戒情報に夫々対応づけて複数種類のメッセージ要素が記憶されている。そして、通知装置1は、地震の発生を検出すると、震度、建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづき、地震の発生に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該地震の発生に係る合成警告メッセージをスピーカ15から出力するようになっている。また、通知装置1は、地震の発生の検出に伴い災害情報供給装置から災害情報を取得しており、災害情報として津波警報が発せられていると、津波警報が発表されている旨、地方自治体から取得した避難情報の内容、建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづき、津波警報の発表に係る合成メッセージを作成するとともに、当該津波警報の発表に係る合成警告メッセージを出力手段から出力するようになっている。さらに、通知装置1は、所定の単位時間毎に災害情報供給装置から災害情報を取得しており、災害情報に河川の氾濫に係る警戒情報が含まれていると、当該警戒情報、地方自治体から取得した避難情報の内容、建物情報、立地環境情報、及び住人情報にもとづき、河川の氾濫に係る合成警告メッセージを作成するとともに、当該河川の氾濫に係る合成警告メッセージを出力手段から出力するようになっている。したがって、災害情報の通知に係りユーザーに対して従来よりも適切な通知を実現することができる災害情報通知システムとすることができる。
【0030】
また、供給装置4からの災害情報の取得に係る単位時間として第1単位時間と、第1単位時間よりも短い第2単位時間とが設定されており、通常時、通知装置1は、第1単位時間毎に供給装置4から災害情報を取得する一方、災害情報に河川の氾濫に係る警戒情報が含まれていると、単位時間を第1単位時間から第2単位時間に変更するようになっている。したがって、災害情報の通知に係りユーザーに対して一層適切な通知を実現することができる災害情報通知システムとすることができる。
【0031】
なお、本発明の災害情報通知システムに係る構成は、上記実施形態に記載の態様に何ら限定されるものではなく、通知装置等に係る構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0032】
たとえば、上記実施形態では、ユーザーにより設定される建物情報を木造、鉄筋2F以下、及び鉄筋3F以上の3つに区分しているが、それよりも細かく区分してもよいし、木造か鉄筋かの2区分としてもよく、どのように区分するかについては適宜変更可能である。また、立地環境情報や住人情報についても同様で、河川の近くに住戸があるか否かを立地環境情報として採用したり、高齢の住人がいるか否かを住人情報として採用する等、実施形態に記載していない区分を設けても何ら問題はない。
【0033】
さらに、通知装置は、地震、津波、及び河川の氾濫のみならず、災害情報として台風に係る災害情報や大雨に係る災害情報を取得するとともに、それらについての警告メッセージを出力するように構成することも可能である。
さらにまた、上記実施形態では、震度センサを用いた地震の監視に関連付けて津波情報監視通知制御を実行するようにしているが、震度センサで感知できないほど離れた場所で発生した地震に起因して津波が発生する場合もあるため、震度センサによる監視とは独立して津波情報監視通知制御を実行するように構成することも可能である。そして、そのように独立させる場合には、所定の単位時間毎に災害情報供給装置から災害情報を取得するようにすればよい。
またさらに、合成警告メッセージの作成に用いる各警告メッセージについても、その具体的な内容は勿論、それぞれを各情報のどの区分に対応させるか等に関して適宜変更することができる。
加えて、通知装置にモニタを設けたり、携帯端末のモニタを利用する等して、警告メッセージの出力時にはモニタでの表示によって一層の注意喚起を促すように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・通知装置、2・・ルーター、3・・携帯端末、4・・災害情報供給装置、11・・CPU(制御手段)、12・・メモリ(記憶手段)、13・・タイマ、14・・震度センサ(震度検出手段)、15・・スピーカ(出力手段)。
図1
図2
図3
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図7
図8