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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109741
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】秤、起歪体、及びロードセル
(51)【国際特許分類】
   G01G 3/14 20060101AFI20220721BHJP
   G01G 19/44 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
G01G3/14
G01G19/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005215
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 晃久
(57)【要約】
【課題】器差性能に与える影響を抑制可能な秤、起歪体、及びロードセルを提供することを目的とする。
【解決手段】秤は、筐体ベースと、筐体ベースに配置され荷重が加えられる筐体カバーとを備える。秤は、筐体カバーを筐体ベースに支持するとともに筐体カバーに加えられた荷重を受けて弾性変形する起歪部を有した複数の起歪体と、起歪体の起歪部に設けられ起歪部の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する歪センサとを備える。歪センサは、起歪部が弾性変形した状態で、凹状に変形する部位に配置される第一歪ゲージと、凸状に変形する部位に配置される第二歪ゲージとを含む。隣接する起歪体における一方の起歪体の歪センサは、起歪部の表面に配置され、他方の起歪体の歪センサは起歪部の裏面に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体ベースと、
前記筐体ベースに配置され荷重が加えられる筐体カバーと、
前記筐体カバーを前記筐体ベースに支持するとともに前記筐体カバーに加えられた荷重を受けて弾性変形する起歪部を有した複数の起歪体と、
前記起歪体の前記起歪部に設けられ、前記起歪部の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する歪センサと、
を備え、
前記歪センサは、前記起歪部が弾性変形した状態で、凹状に変形する部位に配置される第一歪ゲージと、凸状に変形する部位に配置される第二歪ゲージとを含み、
隣接する前記起歪体における一方の前記起歪体の前記歪センサは、前記起歪部の表面に配置され、他方の前記起歪体の前記歪センサは、前記起歪部の裏面に配置されている、
秤。
【請求項2】
請求項1に記載の秤であって、
前記起歪体は、四箇所に配置され、
隣接する前記起歪体における一方の前記起歪体は、前記起歪部の表面に前記歪センサが配置され、他方の前記起歪体は、前記起歪部の裏面に前記歪センサが配置されている、
秤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の秤であって、
前記歪センサは、
前記第一歪ゲージの一端に接続された第一接続端子と、
前記第二歪ゲージの一端に接続された第二接続端子と、
前記第一歪ゲージの他端及び前記第二歪ゲージの他端に接続された第三接続端子と、
を備える、
秤。
【請求項4】
荷重を受ける荷重受け部と、
取付け対象に固定される固定部と、
前記荷重受け部と前記固定部とを繋ぐとともに前記荷重受け部の変位に伴って弾性変形する起歪部と、
前記起歪部に設けられ前記起歪部の弾性変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する歪センサと、
を備え、
前記歪センサは、前記荷重受け部が荷重を受けて前記起歪部が弾性変形した状態で、凹状に変形する部位に配置される第一歪ゲージと、凸状に変形する部位に配置される第二歪ゲージとを含み、
前記歪センサは、前記起歪部の表面に配置された表面歪センサと、前記起歪部の裏面に配置された裏面歪センサとを含む、
起歪体。
【請求項5】
請求項4に記載の起歪体であって、
前記歪センサは、
前記第一歪ゲージの一端に接続された第一接続端子と、
前記第一歪ゲージの他端に接続された第二接続端子と、
前記第二歪ゲージの一端に接続された第三接続端子と、
前記第二歪ゲージの他端に接続された第四接続端子と、
を備える、
起歪体。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の起歪体と、
前記起歪体における前記表面歪センサの前記第一歪ゲージ、前記表面歪センサの前記第二歪ゲージ、前記裏面歪センサの前記第一歪ゲージ、及び前記裏面歪センサの前記第二歪ゲージを接続してホイートストンブリッジ回路を構成する配線と、
を備えたロードセル。
【請求項7】
請求項6に記載のロードセルであって、
前記起歪体を複数備え、ぞれぞれの前記起歪体で形成された前記ホイートストンブリッジ回路が並列接続されている、
ロードセル。
【請求項8】
請求項4又は請求項5に記載の起歪体と、
前記起歪体の前記荷重受け部に支持される筐体カバーと、
前記起歪体の前記固定部を支持する筐体ベースと、
を備えた秤。
【請求項9】
請求項8に記載の秤であって、
前記筐体カバーは、矩形状であり、前記起歪体は、前記筐体カバーの四隅に配置されている、
秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、秤、起歪体、及びロードセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、四隅に起歪体を有する計量装置が示されている。起歪体の起歪部には、歪センサが貼り付けられている。
【0003】
歪センサは、起歪部の長さ方向に離間して配置された一対の歪ゲージで構成されており、計量装置は、各歪ゲージの抵抗値に基づいて加えられた荷重を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-109438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の計量装置にあっては、荷重が加えられる上板の剛性が低いと、加えられた荷重によって上板に撓みが生じ、上板から起歪体に入力される荷重の入力方向が傾く。すると、起歪体に対して鉛直に荷重が入力する場合と比較して、起歪体において歪が生ずる起歪部の変形状態が変化する。
【0006】
この場合、起歪部に設けられた歪センサの各歪ゲージに生ずる歪の差が大きくなり、その影響が器差性能に表れてしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、器差性能に与える影響を抑制可能な秤、起歪体、及びロードセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、秤は、筐体ベースと、前記筐体ベースの上に配置され荷重が加えられる筐体カバーとを備える。秤は、前記筐体カバーを前記筐体ベースに支持するとともに前記筐体カバーに加えられた荷重を受けて弾性変形する起歪部を有した複数の起歪体と、前記起歪体の前記起歪部に設けられ、前記起歪部の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する歪センサと、を備える。前記歪センサは、前記起歪部が弾性変形した状態で、凹状に変形する部位に配置される第一歪ゲージと、凸状に変形する部位に配置される第二歪ゲージとを含む。隣接する前記起歪体における一方の前記起歪体の前記歪センサは前記起歪部の表面に配置され、他方の前記起歪体の前記歪センサは前記起歪部の裏面に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
この態様の秤において、筐体カバーに撓みが生じ、起歪体への荷重の入力方向が傾いた場合、凹状に変形する凹状部位と凸状に変形する凸状部位とのうち、一方の部位の歪量は大きく表れ、他方の部位の歪量は小さく表れる。これにより、単一の歪センサにおいて各ゲージに生ずる引張力と圧縮力とのバランスが変化する。
【0010】
この対策として、本態様では、荷重の入力方向の傾きによる各ゲージに生ずる引張力と圧縮力とのバランスの変化を解消するために、対を成す起歪体における一方の起歪体の歪センサは起歪部の裏面に配置され、他方の起歪体の歪センサは起歪部の表面に配置されている。
【0011】
歪センサが裏面に配置された一方の起歪体では、一例として凹状部位に配置された第一歪ゲージに生ずる引張力が大きくなり、凸状部位に配置された第二歪ゲージに生ずる圧縮力が小さくなる。一方、歪センサが表面に配置された他方の起歪体では、凹状部位に配置された第一歪ゲージに生ずる圧縮力が大きくなり、凸状部位に配置された第二歪ゲージに生ずる引張力が小さくなる。
【0012】
このため、引張力が大きく表れる一方の起歪体における第一歪ゲージの出力と、引張力が小さく表れる他方の起歪体における第二歪ゲージの出力との組み合わせによって引張側の出力に表れる影響を抑制することができる。また、圧縮力が大きく表れる他方の起歪体における第一歪ゲージの出力と、圧縮力が小さく表れる一方の起歪体における第二歪ゲージの出力との組み合わせによって圧縮側の出力に表れる影響を抑制することができる。
【0013】
これにより、起歪体に入力される荷重の入力方向が傾き、各起歪部に設けられた歪センサの各歪ゲージに生ずる歪の差が大きくなる場合であっても、器差性能に与える影響を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る秤を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の第一実施形態に係る秤の平面を示す一部透明図である。
図3図3は、図1のA-A線に沿った断面図である。
図4図4は、図3の要部を示す拡大図である。
図5図5は、第一実施形態に係る支持体を示す平面図である。
図6図6は、第一実施形態に係る支持体を示す分解斜視図である。
図7図7は、第一実施形態に係る起歪体を示す平面図である。
図8図8は、第一実施形態に係る起歪体の起歪部と、起歪部に設けられた歪センサとを示す平面図である。
図9図9は、第一実施形態に係る各歪センサの歪ゲージの接続状態を示す回路図である。
図10図10は、第一実施形態に係る各起歪体に設けられた歪センサを配線で接続した状態を示す配線図である。
図11図11は、第一実施形態に係る筐体カバーが撓んだ際の第三支持体の起歪体の状態を示す断面図である。
図12図12は、第一実施形態に係る筐体カバーが撓んだ際の第四支持体の起歪体の状態を示す断面図である。
図13図13は、第二実施形態に係る各歪センサの歪ゲージの接続状態を示す回路図である。
図14図14は、第二実施形態に係る起歪体の起歪部と、起歪部に設けられた歪センサとを示す平面図である。
図15図15は、第三実施形態に係る秤の要部を示す断面図である。
図16図16は、第三実施形態に係る各歪センサの歪ゲージの接続状態を示す回路図である。
図17図17は、第三実施形態に係る起歪体に設けられた各歪ゲージを配線で接続した状態の一例を示す配線図である。
図18図18は、第四実施形態に係る各歪センサの歪ゲージの接続状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。
【0016】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る秤10を示す斜視図であり、図2は、本発明の第一実施形態に係る秤10の平面を示す一部透明図である。また、図3は、図1のA-A線に沿った断面図であり、図4は、図3の要部を示す拡大図である。
【0017】
この秤10は、利用者の体重を測定する体重計を構成する。秤10は、図1に示すように、長方形状の筐体ベース12と、筐体ベース12の上に配置された正方形状の筐体カバー14とを備えており、筐体カバー14には、筐体カバー14上に乗った利用者の荷重が加えられる。
【0018】
なお、本実施形態では、筐体カバー14が正方形状の場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、筐体カバー14は、長方形状であってもよい。
【0019】
また、秤10は、図2から図4に示すように、筐体カバー14を筐体ベース12に支持する第一支持体20、第二支持体22、第三支持体24、及び第四支持体26を備えている。各支持体20、22、24、26のそれぞれは、筐体カバー14の四隅に配置されている。
【0020】
図5は、第一実施形態に係る支持体(20、22、24、26)を示す平面図であり、図6は、第一実施形態に係る支持体(20、22、24、26)を示す分解斜視図である。また、図7は、第一実施形態に係る起歪体(30、32、34、36)を示す平面図であり、起歪体(30、32、34、36)に後述する歪センサ(90、92、94、96)が設けられた状態が示されている。
【0021】
各支持体20、22、24、26は、図5及び図6に示すように、金属板で構成された起歪体(30、32、34、36)を備えている。
【0022】
具体的に第一支持体20は、第一起歪体30を備えており、第二支持体22は、第二起歪体32を備えている。また、第三支持体24は、第三起歪体34を備えており、第四支持体26は、第四起歪体36を備えている。
【0023】
各起歪体30、32、34、36には、図6に示すように、上部に配置される板金ブリッジ38と、板金ブリッジ38の上部に配置される山形のブリッジゴム40とが、留めビス42によって固定されている。
【0024】
各起歪体30、32、34、36は、図4及び図7に示すように、筐体ベース12に形成された凸部46に固定されるC字状の固定部48を備えている。また、各起歪体30、32、34、36は、板金ブリッジ38及びブリッジゴム40を介して、筐体カバー14に固定されるE字状の荷重受け部50を備えている。
【0025】
ここで、筐体ベース12に固定される固定部48は、固定側を構成する固定部と言い換えることができる。また、筐体カバー14に固定される荷重受け部50は、固定部48に対して可動するので可動側を構成する可動部と言い換えることができる。
【0026】
各支持体20、22、24、26は、各起歪体30、32、34、36の固定部48が筐体ベース12に支持されるとともに、各起歪体30、32、34、36の荷重受け部50が筐体カバー14を支持する。これにより、筐体カバー14は、各起歪体30、32、34、36を介して筐体ベース12に支持される。
【0027】
固定部48の中央部からは、図7に示したように、三角形状の下三角部52が内側へ向けて延出しており、荷重受け部50の中央部からは、三角形状の上三角部54が固定部48の下三角部52へ向けて延出している。下三角部52の頂点と上三角部54の頂点とは、図6及び図7に示したように、長方形状の起歪部56を介して連結されており、荷重受け部50と固定部48とは、起歪部56を介して連設されている。
【0028】
固定部48の両端部には、挿通穴58が形成されており、固定部48は、挿通穴58に挿通されるネジによって筐体ベース12の凸部46に固定される。荷重受け部50の両端部には、図6に示したように、ビス孔60が形成されている。ブリッジゴム40の丸孔62、及び板金ブリッジ38の丸孔64を挿通した留めビス42を、ビス孔60に螺入することで、板金ブリッジ38及びブリッジゴム40が荷重受け部50に固定される。
【0029】
ブリッジゴム40の天面には、インサートナット66が設けられており、図4に示したように、筐体カバー14を挿通した固定ネジ68をインサートナット66に螺入することで、筐体カバー14が各起歪体30、32、34、36の荷重受け部50に支持される。
【0030】
板金ブリッジ38は、図6に示したように、丸孔64の外周部に各起歪体30、32、34、36へ向けて後退するように絞り加工された絞り加工部70が形成されている。絞り加工部70は、対応する起歪体30、32、34、36へ向けて突出しており、板金ブリッジ38は、絞り加工部70が対応する起歪体30、32、34、36の荷重受け部50に面接触した状態で各起歪体30、32、34、36に固定される。これにより、板金ブリッジ38と起歪部56との間には、ブリッジゴム40を介して支持した筐体カバー14の下方への移動を許容する空間が確保される。
【0031】
筐体ベース12に固定される固定部48の挿通穴58と、ブリッジゴム40を介して筐体カバー14を支持する荷重受け部50のビス孔60とは、仮想直線72上に配置されており、この仮想直線72上に、起歪部56が配置されている。
【0032】
起歪部56は、固定部48及び荷重受け部50よりも幅寸法が細く形成されており、荷重受け部50に加えられた荷重を起歪部56に集中させることで、荷重受け部50の下方への変位に伴って起歪部56が弾性変形する。
【0033】
この起歪部56は、筐体ベース12への固定点を構成する挿通穴58と、筐体カバー14への固定点を構成するビス孔60とが並ぶ仮想直線72上に配置されている。これにより、筐体カバー14からの荷重を受けて荷重受け部50が下方へ変位する際に、起歪部56はS字状に弾性変形する。
【0034】
具体的に説明すると、荷重受け部50が下方へ変位して起歪部56が弾性変形すると、図4に示したように、起歪部56には、下方へ向けて突出した湾曲状に変形する下方湾曲部位80が筐体カバー14を支持する荷重受け部50が設けられた可動側に形成される。また、起歪部56には、上方へ向けて突出した湾曲状に変形する上方湾曲部位82が筐体ベース12に固定される固定部48が設けられた固定側に形成される。
【0035】
ここで、下方へ向けて突出した湾曲状に変形する下方湾曲部位80は、凹状に変形する凹状部位を示す。また、上方へ向けて突出した湾曲状に変形する上方湾曲部位82は、凸状に変形する凹状部位を示す。
【0036】
この起歪部56には、図7に示したように、起歪部56の弾性変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する歪センサ(90、92、94、96)が設けられている。
【0037】
具体的に第一起歪体30の起歪部56には、第一歪センサ90が設けられており、第二起歪体32の起歪部56には、第二歪センサ92が設けられている。また、第三起歪体34の起歪部56には、第三歪センサ94が設けられており、第四起歪体36の起歪部56には、第四歪センサ96が設けられている。
【0038】
図8は、第一実施形態に係る各起歪体30、32、34、36の起歪部56と、起歪部56に設けられた各歪センサ90、92、94、96を示す平面図である。
【0039】
各歪センサ90、92、94、96は、長方形状に形成されている。各歪センサ90、92、94、96には、長さ方向の一方側に第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aが設けられるとともに、長さ方向の他方側に第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bが設けられている。
【0040】
各歪センサ90、92、94、96には、長さ方向の中央部に三角形状の長手幅中心マーク100が一対設けられており、各長手幅中心マーク100は、頂点が幅方向外側を向くように配置されている。また、各歪センサ90、92、94、96には、長さ方向の両端部に三角形状の短手方向中心マーク102が一対設けられており、各短手方向中心マーク102は、頂点が両端を向くように配置されている。
【0041】
各歪センサ90、92、94、96を起歪部56に固定する際には、起歪部56に、幅方向中心を通って長さ方向に延在する第一罫書を設けるとともに、長さ方向中心をとって幅方向に延在する第二罫書を設ける。そして、対応する歪センサ90、92、94、96の長手幅中心マーク100の頂点を第一罫書に合わせるとともに、短手方向中心マーク102の頂点を第二罫書に合わせた状態で、各歪センサ90、92、94、96を起歪部56に貼り付けて固定する。これにより、各歪センサ90、92、94、96の各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bを規定位置に配置する。
【0042】
各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bは、複数回折り返された抵抗体104を備えており、抵抗体104は、伸縮に応じて電気抵抗が変化する。
【0043】
これにより、各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bは、圧縮力を受けて圧縮された際に抵抗値が小さくなる。また、各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bは、引張力を受けて伸ばされた際に抵抗値が大きくなる。
【0044】
各歪センサ90、92、94、96は、第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aを構成する抵抗体104の一端に接続された第一接続端子106aを備える。また、各歪センサ90、92、94、96は、第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bを構成する抵抗体104の一端に接続された第二接続端子106bを備える。
【0045】
さらに、各歪センサ90、92、94、96は、第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aを構成する抵抗体104の他端と第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bを構成する抵抗体104の他端とに接続された第三接続端子106cを備える。
【0046】
なお、各接続端子106a、106b、106cは、半田タブと言い換えることができる。
【0047】
各歪センサ90、92、94、96は、起歪部56に設けられた状態で、第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aが下方湾曲部位80に配置されるとともに、第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bが上方湾曲部位82に配置される。
【0048】
そして、対を成す支持体20、22、24、26の各起歪体30、32、34、36のうち、一方の起歪体30、34の歪センサ90、94は、起歪部56の下面56dに配置されている。また、他方の起歪体32、36の歪センサ92、96は、起歪部56の上面56uに配置されている。
【0049】
ここで、起歪部56の上面56uは、起歪部56の表面を示す。起歪部56の下面56dは、起歪部56の裏面を示す。
【0050】
すなわち、図2に示したように、秤10の四箇所に配置された各支持体20、22、24、26には、各起歪体30、32、34、36が設けられており、各起歪体30、32、34、36は、四箇所に配置されている。隣接した起歪体30、32、34、36における一方の起歪体30、34は、起歪部56の下面56dに各歪センサ90、94が配置されており、他方の起歪体32、36は、起歪部56の上面56uに各歪センサ92、96が配置されている。
【0051】
具体的に説明すると、秤10の幅方向に隣接した第一支持体20及び第四支持体26において、第一支持体20の第一起歪体30は、起歪部56の下面56dに第一歪センサ90が配置されている。また、第四支持体26の第四起歪体36は、起歪部56の上面56uに第四歪センサ96が配置されている。
【0052】
そして、秤10の幅方向に隣接した第二支持体22及び第三支持体24において、第三支持体24の第三起歪体34は、起歪部56の下面56dに歪センサ94が配置されている。また、第二支持体22の第二起歪体32は、起歪部56の上面56uに第二歪センサ92が配置されている。
【0053】
(回路構成)
図9は、第一実施形態に係る各歪センサ90、92、94、96の各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bの接続状態を示す回路図であり、ホイートストンブリッジ回路110が示されている。
【0054】
このホイートストンブリッジ回路110は、第一辺120と、第二辺122と、第三辺124と、第四辺126とを備えている。第一辺120と第三辺124とは対向し、第二辺122と第四辺126とは対向する。
【0055】
第一辺120は、第一起歪体30の上方湾曲部位82の下面56dに配置された第一歪センサ90の第二歪ゲージ90bと、第四起歪体36の下方湾曲部位80の上面56uに配置された第四歪センサ96の第一歪ゲージ96aとの直列接続回路で構成される。
【0056】
第二辺122は、第四起歪体36の上方湾曲部位82の上面56uに配置された第四歪センサ96の第二歪ゲージ96bと、第三起歪体34の下方湾曲部位80の下面56dに配置された第三歪センサ94の第一歪ゲージ94aとの直列接続回路で構成されている。
【0057】
第三辺124は、第三起歪体34の上方湾曲部位82の下面56dに配置された第三歪センサ94の第二歪ゲージ94bと、第二起歪体32の下方湾曲部位80の上面56uに配置された第二歪センサ92の第一歪ゲージ92aとの直列接続回路で構成されている。
【0058】
第四辺126は、第二起歪体32の上方湾曲部位82の上面56uに配置された第二歪センサ92の第二歪ゲージ92bと、第一起歪体30の下方湾曲部位80の下面56dに配置された第一歪センサ90の第一歪ゲージ90aとの直列接続回路で構成されている。
【0059】
このホイートストンブリッジ回路110の第一辺120と第四辺126との接続部は、正極が印加される正極入力部130を構成し、第二辺122と第三辺124との接続部は、負極が印加される負極入力部132を構成する。また、第三辺124と第四辺126との接続部は、正極を出力する正極出力部134を構成し、第一辺120と第二辺122との接続部は、負極を出力する負極出力部136を構成する。
【0060】
そして、正極出力部134及び負極出力部136は、図示しない制御装置に接続される。制御装置は、正極出力部134と負極出力部136との間の電位から筐体カバー14に加えられた荷重を演算し、演算結果を体重として表示する。
【0061】
(配線図)
図10は、第一実施形態に係る各起歪体30、32、34、36に設けられた歪センサ90、92、94、96を配線で接続した状態を示す配線図である。
【0062】
この配線について具体的に説明すると、第一歪センサ90の第二接続端子106bは、第一配線400を介して、第四歪センサ96の第一接続端子106aに接続される。第四歪センサ96の第二接続端子106bは、第二配線402を介して、第三歪センサ94の第一接続端子106aに接続される。
【0063】
第三歪センサ94の第二接続端子106bは、第三配線404を介して、第二歪センサ92の第一接続端子106aに接続される。第二歪センサ92の第二接続端子106bは、第四配線406を介して、第一歪センサ90の第一接続端子106aに接続される。
【0064】
第一歪センサ90の第三接続端子106cは、正極入力部130を構成し、正極が印加される。第三歪センサ94の第三接続端子106cは、負極入力部132を構成し、負極が印加される。
【0065】
第二歪センサ92の第三接続端子106cは、正極出力部134を構成し、正極を出力する。第四歪センサ96の第三接続端子106cは、負極出力部136を構成し、負極を出力する。
【0066】
ここで、本実施形態では、第一支持体20の第一起歪体30及び第三支持体24の第三起歪体34の下面に第一歪センサ90及び第三歪センサ94が設けられている。また、第二支持体22の第二起歪体32及び第四支持体26の第四起歪体36の上面に第二歪センサ及び第四歪センサ96が設けられている場合について説明するが、これに限定されるものではない。
【0067】
例えば、第一支持体20の第一起歪体30及び第三支持体24の第三起歪体34の上面に第一歪センサ90及び第三歪センサ94を設ける。そして、第二支持体22の第二起歪体32及び第四支持体26の第四起歪体36の下面に第二歪センサ92及び第四歪センサ96を設けてもよい。
【0068】
(作用及び効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0069】
本実施形態の秤10は、筐体ベース12と、筐体ベース12配置され荷重が加えられる筐体カバー14とを備える。秤10は、筐体カバー14を筐体ベース12に支持するとともに筐体カバー14に加えられた荷重を受けて弾性変形する起歪部56を有した複数の起歪体30、32、34、36を備える。また、秤10は、各起歪体30、32、34、36の起歪部56に設けられ、起歪部56の変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する各歪センサ90、92、94、96を備える。
【0070】
各歪センサ90、92、94、96は、起歪部56が弾性変形した状態で、凹状に変形する部位に配置される第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aを含む。また、各歪センサ90、92、94、96は、起歪部56が弾性変形した状態で、凸状に変形する部位に配置される第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bを含む。
【0071】
隣接する起歪体30、32、34、36における一方の起歪体30、32、34、36の歪センサ90、92、94、96は、起歪部56の表面に配置されている。隣接する起歪体30、32、34、36における他方の起歪体30、32、34、36の歪センサ90、92、94、96は、起歪部56の裏面に配置されている。
【0072】
また、本実施形態において、起歪体は、一例として、上面に第一歪センサ90が設けられた第一起歪体30と、第一起歪体30に隣接して配置され下面に第二歪センサ92が設けられた第二起歪体32とを含む。
【0073】
この構成において、筐体カバー14に撓みが生じ各起歪体30、32、34、36への荷重の入力方向が傾いた場合、下方湾曲部位80と上方湾曲部位82とのうち、一方の部位の歪量は大きく表れる。また、下方湾曲部位80と上方湾曲部位82とのうち、他方の部位の歪量は小さく表れる。
【0074】
このため、各歪センサ90、92、94、96において各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bに生ずる引張力と圧縮力とのバランスが変化する。
【0075】
ここで、本実施形態では、対を成す起歪体30、32、34、36における一方の起歪体30、34の歪センサ90、94は、起歪部56の下面56dに配置され、他方の起歪体32、36の歪センサ92、96は、起歪部56の上面56uに配置されている。
【0076】
各歪センサ90、94が下面56dに配置された一方の起歪体30、34は、一例として下方湾曲部位80に配置された第一歪ゲージ90a、94aに生ずる引張力が大きくなる。また、上方湾曲部位82に配置された第二歪ゲージ90b、94bに生ずる圧縮力は、小さくなる。
【0077】
一方、各歪センサ92、96が上面56uに配置された他方の起歪体32、36は、下方湾曲部位80に配置された第一歪ゲージ92a、96aに生ずる圧縮力が大きくなる。また、上方湾曲部位82に配置された第二歪ゲージ92b、96bに生ずる引張力は、小さくなる。
【0078】
このため、引張力が大きく表れる一方の起歪体30、34の第一歪ゲージ90a、94aの出力と、引張力が小さく表れる他方の起歪体32、36における第二歪ゲージ92b、96bの出力との組み合わせにより引張側の出力に表れる影響を抑制することができる。
【0079】
また、圧縮力が大きく表れる他方の起歪体32、36の第一歪ゲージ92a、96aの出力と、圧縮力が小さく表れる一方の起歪体30、34の第二歪ゲージ90b、94bの出力との組み合わせにより圧縮側の出力に表れる影響を抑制することができる。
【0080】
ここで、筐体カバー14に撓みが生じて各起歪体30、32、34、36への荷重の入力方向が傾くと、各歪センサ90、92、94、96の各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bに生ずる歪の差が大きくなる。しかし、この場合であっても、器差性能に与える影響を抑制することが可能となる。
【0081】
そして、筐体カバー14に撓みが生じても、器差性能に与える影響を抑制することができるので、筐体カバー14を薄肉に形成することができる。これにより、秤10の低コスト化及び軽量化を図ることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態において、各起歪体30、32、34、36は、四箇所に配置され、隣接した起歪体30、32、34、36における一方の起歪体30、34は、各起歪体30、34の下面56dに各歪センサ90、94が配置されている。また、隣接した起歪体30、32、34、36における他方の起歪体32、36は、各起歪部56の上面56uに各歪センサ92、96が配置されている。
【0083】
この構成によれば、筐体カバー14の支持状態が安定するとともに、筐体カバー14の撓み起因した器差性能への影響をさらに抑制することが可能となる。
【0084】
図11及び図12を用いて具体的に説明する。図11は、第一実施形態に係る筐体カバー14が撓んだ際の第三支持体24の第三起歪体34の状態を示す断面図であり、図12は、第一実施形態に係る筐体カバー14が撓んだ際の第四支持体26の第四起歪体36の状態を示す断面図である。図11及び図12には、加えられた荷重によって筐体カバー14の中央部が下方へ突出するように撓んだ状態が示されている。
【0085】
この状態において、図11に示すように、第三支持体24の第三起歪体34の下面56dに配置された第三歪センサ94は、下方湾曲部位80に配置された第一歪ゲージ94aに生ずる引張力が大きくなる。また、上方湾曲部位82に配置された第二歪ゲージ94bに生ずる圧縮力は小さくなる。
【0086】
また、第三支持体24の対角線上に配置された第一支持体20は、第一起歪体30の下面56dに第一歪センサ90が配置されている。このため、第三支持体24と同様に、第一支持体20の第一歪センサ90では、下方湾曲部位80に配置された第一歪ゲージ90aに生ずる引張力が大きくなり、上方湾曲部位82に配置された第二歪ゲージ90bに生ずる圧縮力が小さくなる。
【0087】
一方、図12に示すように、第四支持体26の第四起歪体36の上面56uに配置された第四歪センサ96は、下方湾曲部位80に配置された第一歪ゲージ96aに生ずる圧縮力が大きくなる。また、上方湾曲部位82に配置された第二歪ゲージ96bに生ずる引張力は、小さくなる。
【0088】
また、第四支持体26の対角線上に配置された第二支持体22は、第二起歪体32の上面56uに第二歪センサ92が配置されている。このため、第四支持体26と同様に、第二支持体22の第二歪センサ92では、下方湾曲部位80に配置された第一歪ゲージ92aに生ずる圧縮力が大きくなり、上方湾曲部位82に配置された第二歪ゲージ92bに生ずる引張力が小さくなる。
【0089】
そして、図9に示したように、ホイートストンブリッジ回路110の第一辺120は、圧縮力が小さく表れる第一歪センサ90の第二歪ゲージ90bと、圧縮力が大きく表れる第四歪センサ96の第一歪ゲージ96aとの直列接続回路で構成されている。
【0090】
また、ホイートストンブリッジ回路110の第二辺は122、引張力が小さく表れる第四歪センサ96の第二歪ゲージ96bと、引張力が大きく表れる第三歪センサ94の第一歪ゲージ94aとの直列接続回路で構成されている。
【0091】
第一辺120に対向する第三辺124は、圧縮力が小さく表れる第三歪センサ94の第二歪ゲージ94bと、圧縮力が大きく表れる第二歪センサ92の第一歪ゲージ92aとの直列接続回路で構成されている。
【0092】
また、第二辺122に対向する第四辺126は、引張力が小さく表れる第二歪センサ92の第二歪ゲージ92bと、引張力が大きく表れる第一歪センサ90の第一歪ゲージ90aとの直列接続回路で構成されている。
【0093】
ここで、各起歪体30、32、34、36への荷重の入力方向が傾くと、各歪センサ90、92、94、96の各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bに生ずる歪の差が大きくなる。このような場合であっても、各辺120、122、124、126の抵抗値に与える影響を抑制することができる。よって、ホイートストンブリッジ回路110における電位差バランスを保つことができる。
【0094】
このように、引張力が大きく表れる各歪ゲージ90a、94aと、引張力が小さく表れる歪ゲージ92b、96bと組み合わせることで引張側に表れる影響を抑制することができる。また、圧縮力が大きく表れる各歪ゲージ92a、96aと、圧縮力が小さく表れる歪ゲージ90b、94bと組み合わせることで圧縮側に表れる影響を抑制することができる。
【0095】
したがって、筐体カバー14に生じた撓みによって各歪センサ90、92、94、96の各歪ゲージ90a、92a、94a、96a、90b、92b、94b、96bに生ずる歪の差が大きくなっても、器差性能に与える影響を抑制することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態において、歪センサ(90、92、94、96)は、第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aの一端に接続された第一接続端子106aと、第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bの一端に接続された第二接続端子106bとを備える。また、歪センサ(90、92、94、96)は、第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aの他端及び第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bの他端に接続された第三接続端子106cを備える。
【0097】
この構成によれば、配線による第一歪ゲージ90a、92a、94a、96aの他端と第二歪ゲージ90b、92b、94b、96bの他端との接続が不要となるので、配線作業が容易となる。
【0098】
なお、本実施形態では、筐体カバー14の四隅をそれぞれ支持する各起歪体30、32、34、36を備えた秤10について説明したが、これに限定されるものではなく、筐体カバー14を支持して荷重を検出する起歪体は、少なくとも二箇所にあればよい。
【0099】
<第二実施形態>
図13は、第二実施形態に係る各歪センサ90、92の接続状態を示す回路図であり、ホイートストンブリッジ回路140が示されている。第二実施形態に係る秤10は、筐体カバー14を支持して荷重を検出する起歪体が第一起歪体30と第二起歪体32とで構成されており、この点が第一実施形態と異なる。第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0100】
図13に示したように、ホイートストンブリッジ回路140の第一辺150は、圧縮力が小さく表れる第一歪センサ90の第二歪ゲージ90bで構成されている。また、ホイートストンブリッジ回路140の第二辺152は、引張力が大きく表れる第一歪センサ90の第一歪ゲージ92aで構成されている。
【0101】
第一辺150に対向する第三辺154は、圧縮力が大きく表れる第二歪センサ92の第一歪ゲージ92aで構成されており、第二辺152に対向する第四辺156は、引張力が小さく表れる第二歪センサ92の第二歪ゲージ92bで構成されている。
【0102】
このホイートストンブリッジ回路140の第一辺150と第四辺156との接続部は、正極が印加される正極入力部130を構成し、第二辺152と第三辺154との接続部は、負極が印加される負極入力部132を構成する。また、第三辺154と第四辺156との接続部は、正極を出力する正極出力部134を構成し、第一辺150と第二辺152との接続部は、負極を出力する負極出力部136を構成する。
【0103】
そして、正極出力部134及び負極出力部136は、図示しない制御装置に接続され、制御装置は、正極出力部134と負極出力部136との間の電位から筐体カバー14に加えられた荷重を演算し、演算結果を体重として表示する。
【0104】
図14は、第二実施形態に係る各起歪体30、32(34、36)の起歪部56と、起歪部56に設けられた歪センサ90、92(94、96)とを示す平面図である。この歪センサ90、92(94、96)は、第一実施形態で用いられる歪センサ90、92、94、96と比較して、接続端子の数が異なる。
【0105】
この歪センサ90、92(94、96)は、第二実施形態以降の各実施形態で用いる。このため、第二実施形態で使用しない符号は、括弧内に記載する。
【0106】
歪センサ90、92(94、96)は、第一歪ゲージ90a、92a(94a、96a)を構成する抵抗体104の一端に接続された第一接続端子106-1を備える。また、歪センサ90、92(94、96)は、第一歪ゲージ90a、92a(94a、96a)を構成する抵抗体104の他端に接続された第二接続端子106-2を備える。
【0107】
さらに、歪センサ90、92(94、96)は、第二歪ゲージ90b、92b(94b、96b)を構成する抵抗体104の一端に接続された第三接続端子106-3を備える。また、歪センサ90、92(94、96)は、第二歪ゲージ90b、92b(94b、96b)を構成する抵抗体104の他端に接続された第四接続端子106-4を備える。
【0108】
なお、本実施形態では、第一起歪体30の上面56uに第一歪センサ90を設け、第二起歪体32の下面56dに第二歪センサ92を設けた場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、第一起歪体30の下面56dに第一歪センサ90を設け、第二起歪体32の上面56uに第二歪センサ92を設けてもよい。
【0109】
(作用及び効果)
本実施形態では、ホイートストンブリッジ回路140において、正極出力部134及び負極出力部136の出力に影響を与える第一辺150及び第三辺154の組み合わせと、第二辺152及び第四辺156の組み合わせとについて説明する。
【0110】
第一辺150及び第三辺154は、圧縮力が小さく表れる第一歪センサ90の第二歪ゲージ90bと、圧縮力が大きく表れる第二歪センサ92の第一歪ゲージ92aとの組み合わせによって構成されている。また、第二辺152及び第四辺156は、引張力が大きく表れる第一歪センサ90の第一歪ゲージ90aと、引張力が小さく表れる第二歪センサ92の第二歪ゲージ92bとの組み合わせによって構成されている。
【0111】
ここで、各起歪体30、32への荷重の入力方向が傾くと、各起歪体30、32に設けられた各歪センサ90、92の各歪ゲージ90a、90b、92a、92bに生ずる歪の差が大きくなる。このような場合であっても、正極出力部134及び負極出力部136からの出力に与える影響を抑制することができる。
【0112】
したがって、筐体カバー14に生じた撓みにより各起歪体30、32への荷重の入力方向が傾き、各歪センサ90、92の各歪ゲージ90a、90b、92a、92bに生ずる歪の差が大きくなっても、器差性能に与える影響を抑制することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態において、歪センサ(90、92)は、第一歪ゲージ90a、92a(94a、96a)の一端に接続された第一接続端子106-1と、第一歪ゲージ90a、92a(94a、96a)の他端に接続された第二接続端子106-2とを備える。また、歪センサ(90、92)は、第二歪ゲージ90b、92b(94b、96b)の一端に接続された第三接続端子106-3と、第二歪ゲージ90b、92b(94b、96b)の他端に接続された第四接続端子106-4と、を備える。
【0114】
この構成によれば、各歪ゲージ90a、92a、94a(96a、90b)、92b(94b、96b)の各接続端子106-1、106-2、106-3、106-4のそれぞれに配線を接続できるので、回路構成の自由度を高めることができる。
【0115】
<第三実施形態>
図15は、第三実施形態に係る秤160の要部を示す断面図であり、第三実施形態に係る起歪体が示されている。この第三実施形態において、第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分について説明する。
【0116】
第三実施形態に係る各起歪体30、32、34、36は、第一実施形態と同様に、荷重受け部50と、固定部48とを備えている(図15では第三起歪体34のみ図示)。また、各起歪体30、32、34、36は、荷重受け部50を固定部48に連設するとともに荷重受け部50の下方への変位に伴って弾性変形する起歪部56を備えている。また、各起歪体30、32、34、36は、起歪部56に設けられ起歪部56の弾性変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する歪センサ(170、172、174、176、180、182、184、186)を備えている。
【0117】
歪センサ(170、180)は、第一起歪体30の起歪部56の下面56dに配置された第一下部歪センサ170と、第一起歪体30の上面56uに配置された第一上部歪センサ180とを含む。歪センサ(172、182)は、第二起歪体32の起歪部56の下面56dに配置された第二下部歪センサ172と、第二起歪体32の上面56uに配置された第二上部歪センサ182とを含む。
【0118】
ここで、第一起歪体30の起歪部56の下面56dに配置された第一下部歪センサ170は、第一起歪体30の起歪部56の裏面に配置された第一裏面歪センサを示す。第一起歪体30の上面56uに配置された第一上部歪センサ180は、第一起歪体30の表面に配置された第一表面歪センサを示す。
【0119】
また、第二起歪体32の起歪部56の下面56dに配置された第二下部歪センサ172は、第二起歪体32の起歪部56の裏面に配置された第二裏面歪センサを示す。第二起歪体32の上面56uに配置された第二上部歪センサ182は、第二起歪体32の表面に配置された第二表面歪センサを示す。
【0120】
また、歪センサ(174、184)は、第三起歪体34の起歪部56の下面56dに配置された第三下部歪センサ174と、第三起歪体34の上面56uに配置された第三上部歪センサ184とを含む。歪センサ(176、186)は、第四起歪体36の起歪部56の下面56dに配置された第四下部歪センサ176と、第四起歪体36の上面56uに配置された第四上部歪センサ186とを含む。
【0121】
ここで、第三起歪体34の起歪部56の下面56dに配置された第三下部歪センサ174は、第三起歪体34の起歪部56の裏面に配置された第三裏面歪センサを示す。第三起歪体34の上面56uに配置された第三上部歪センサ184は、第三起歪体34の表面に配置された第三表面歪センサを示す。
【0122】
また、第四起歪体36の起歪部56の下面56dに配置された第四下部歪センサ176は、第四起歪体36の起歪部56の裏面に配置された第四裏面歪センサを示す。第四起歪体36の上面56uに配置された第四上部歪センサ186は、第四起歪体36の表面に配置された第四表面歪センサを示す。
【0123】
各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、起歪部56の下方湾曲部位80に配置される第一歪ゲージ170a、172a、174a、176a、180a、182a、184a、186aを有する。また、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、上方湾曲部位82に配置される第二歪ゲージ170b、172b、174b、176b、180b、182b、184b、186bを有する(図8参照)。
【0124】
各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186を起歪部56に固定する際には、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186の長手幅中心マーク100の頂点を起歪部56の第一罫書に合わせる。また、短手方向中心マーク102の頂点を起歪部56の第二罫書に合わせる。この状態において、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186を起歪部56に固定する。
【0125】
これにより、各下部歪センサ170、172、174、176の各歪ゲージ170a、172a、174a、176aと各上部歪センサ180、182、184、186の各歪ゲージ180a、182a、184a、186aとを、互いに対応した部位に配置する。
【0126】
そして、第三実施形態に係る秤160は、前述した各起歪体30、32、34、36と、各起歪体30、32、34、36の荷重受け部50に支持される筐体カバー14とを備えている。また、第三実施形態に係る秤160は、各起歪体30、32、34、36の固定部48を支持する筐体ベース12を備えている。
【0127】
筐体カバー14は、第一実施形態と同様に、矩形状である。筐体カバー14は、四隅が各支持体20、22、24、26で支持されており、各支持体20、22、24、26には、前述した起歪体30、32、34、36が設けられている。これにより、各起歪体30、32、34、36は、筐体カバー14の四隅に配置されている。
【0128】
(回路構成)
図16は、第三実施形態に係る各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186の各歪ゲージの接続状態を示す回路図である。
【0129】
この回路図において、第一ホイートストンブリッジ回路190と、第二ホイートストンブリッジ回路192と、第三ホイートストンブリッジ回路194と、第四ホイートストンブリッジ回路196とが並列接続されている。
【0130】
第一ホイートストンブリッジ回路190は、第一起歪体30の下面56dに配置された第一下部歪センサ170と、第一起歪体30の上面56uに配置された第一上部歪センサ180とで構成されている。
【0131】
第一ホイートストンブリッジ回路190の第一辺200は、圧縮力が大きく表れる第一上部歪センサ180の第一歪ゲージ180aで構成されている。第一ホイートストンブリッジ回路190の第二辺202は、引張力が小さく表れる第一上部歪センサ180の第二歪ゲージ180bで構成されている。
【0132】
第一辺200に対向する第三辺204は、圧縮力が小さく表れる第一下部歪センサ170の第二歪ゲージ170bで構成されており、第二辺202に対向する第四辺206は、引張力が大きく表れる第一下部歪センサ170の第一歪ゲージ170aで構成されている。
【0133】
第一ホイートストンブリッジ回路190の第一辺200と第四辺206との接続部は、正極が印加される正極入力部130に接続され、第二辺202と第三辺204との接続部は、負極が印加される負極入力部132に接続される。また、第三辺204と第四辺206との接続部は、正極を出力する正極出力部134に接続され、第一辺200と第二辺202との接続部は、負極を出力する負極出力部136に接続される。
【0134】
第二ホイートストンブリッジ回路192は、第二起歪体32の下面56dに配置された第二下部歪センサ172と、第二起歪体32の上面56uに配置された第二上部歪センサ182とで構成されている。
【0135】
第二ホイートストンブリッジ回路192の第一辺210は、圧縮力が大きく表れる第二上部歪センサ182の第一歪ゲージ182aで構成されている。第二ホイートストンブリッジ回路192の第二辺212は、引張力が小さく表れる第二上部歪センサ182の第二歪ゲージ182bで構成されている。第一辺210に対向する第三辺214は、圧縮力が小さく表れる第二下部歪センサ172の第二歪ゲージ172bで構成されており、第二辺212に対向する第四辺216は、引張力が大きく表れる第二下部歪センサ172の第一歪ゲージ172aで構成されている。
【0136】
第二ホイートストンブリッジ回路192の第一辺210と第四辺216との接続部は、正極入力部130に接続され、第二辺212と第三辺214との接続部は、負極入力部132に接続される。また、第三辺214と第四辺216との接続部は、正極出力部134に接続され、第一辺210と第二辺212との接続部は、負極出力部136に接続される。
【0137】
第三ホイートストンブリッジ回路194は、第三起歪体34の下面56dに配置された第三下部歪センサ174と、第三起歪体34の上面56uに配置された第三上部歪センサ184とで構成されている。
【0138】
第三ホイートストンブリッジ回路194の第一辺220は、圧縮力が大きく表れる第三上部歪センサ184の第一歪ゲージ184aで構成されている。第三ホイートストンブリッジ回路194の第二辺222は、引張力が小さく表れる第三上部歪センサ184の第二歪ゲージ184bで構成されている。
【0139】
第一辺220に対向する第三辺224は、圧縮力が小さく表れる第三下部歪センサ174の第二歪ゲージ174bで構成されており、第二辺222に対向する第四辺226は、引張力が大きく表れる第三下部歪センサ174の第一歪ゲージ174aで構成されている。
【0140】
第三ホイートストンブリッジ回路194の第一辺220と第四辺226との接続部は、正極入力部130に接続され、第二辺222と第三辺224との接続部は、負極入力部132に接続される。また、第三辺224と第四辺226との接続部は、正極出力部134に接続され、第一辺220と第二辺222との接続部は、負極出力部136に接続される。
【0141】
第四ホイートストンブリッジ回路196は、第四起歪体36の下面56dに配置された第四下部歪センサ176と、第四起歪体36の上面56uに配置された第四上部歪センサ186とで構成されている。
【0142】
第四ホイートストンブリッジ回路196の第一辺230は、圧縮力が大きく表れる第四上部歪センサ186の第一歪ゲージ186aで構成されている。第四ホイートストンブリッジ回路196の第二辺232は、引張力が小さく表れる第四上部歪センサ186の第二歪ゲージ186bで構成されている。
【0143】
第一辺230に対向する第三辺234は、圧縮力が小さく表れる第四下部歪センサ176の第二歪ゲージ176bで構成されており、第二辺232に対向する第四辺236は、引張力が大きく表れる第四下部歪センサ176の第一歪ゲージ176aで構成されている。
【0144】
第四ホイートストンブリッジ回路196の第一辺230と第四辺236との接続部は、正極入力部130に接続され、第二辺232と第三辺234との接続部は、負極入力部132に接続される。また、第三辺234と第四辺236との接続部は、正極出力部134に接続され、第一辺230と第二辺232との接続部は、負極出力部136に接続される。
【0145】
そして、正極出力部134及び負極出力部136は、図示しない制御装置に接続され、制御装置は、正極出力部134と負極出力部136との間の電位から筐体カバー14に加えられた荷重を演算し、演算結果を体重として表示する。
【0146】
図17は、第三実施形態 に係る起歪体30、32、34、36に設けられた各歪ゲージ170a、172a、170b、172b、180a、182a、180b、182bを配線で接続した状態の一例を示す配線図である。
【0147】
図17に示すように、各起歪体30、32、34、36の上面には、配線基板410が設けられている。配線基板410には、一端に正極入力部130を有する第一配線パターン412と、一端に負極入力部132を有する第二配線パターン414とが形成されている。また、配線基板410には、一端に正極出力部134を有する第三配線パターン416と、一端に負極出力部136を有する第四配線パターン418とが形成されている。
【0148】
第一配線パターン412の他端部には、ランドc及びランドeが形成されており、第二配線パターン414の他端部には、ランドb及びランドfが形成されている。
【0149】
第三配線パターン416の他端部は、二股に分かれており、二股の一方の端部にはランドaが形成され、他方の端部にはランドgが形成されている。第四配線パターン418の他端部は、二股に分かれており、二股の一方の端部にはランドdが形成され、他方の端部にはランドh形成されている。
【0150】
第一配線パターン412のランドcは、各起歪体30、32、34、36の下面に設けられた対応する下部歪センサ170、172、174、176の第一接続端子106-1に接続されている。また、第一配線パターン412のランドeは、各起歪体30、32、34、36の上面に設けられた対応する上部歪センサ180、182、184、186の第二接続端子106-2に接続されている。
【0151】
第二配線パターン414のランドbは、各起歪体30、32、34、36の下面に設けられた対応する下部歪センサ170、172、174、176の第三接続端子106-3に接続されている。また、第二配線パターン414のランドfは、各起歪体30、32、34、36の上面に設けられた対応する上部歪センサ180、182、184、186の第四接続端子106-4に接続されている。
【0152】
第三配線パターン416のランドaは、各起歪体30、32、34、36の下面に設けられた対応する下部歪センサ170、172、174、176の第四接続端子106-4に接続されている。また、第三配線パターン416のランドgは、各起歪体30、32、34、36の下面に設けられた対応する下部歪センサ170、172、174、176の第二接続端子106-2に接続されている。
【0153】
第四配線パターン418のランドdは、各起歪体30、32、34、36の上面に設けられた対応する上部歪センサ180、182、184、186の第三接続端子106-3に接続されている。また、第四配線パターン418のランドhは、各起歪体30、32、34、36の上面に設けられた対応する上部歪センサ180、182、184、186の第一接続端子106-1に接続されている。
【0154】
このように、配線基板410と各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186の各接続端子106-1、106-2、106-3、106-4とを配線で接続する。これにより、各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196が形成される。
【0155】
そして、各起歪体30、3234、36には、各歪ゲージ170a~176a、170b~176b、180a~186a、180b~186bと、各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196を形成する配線とが設けられている。各起歪体30、32、34、36と、各歪ゲージ170a~176a、170b~176b、180a~186a、180b~186bと、前述の配線とによってロードセル420が構成される。
【0156】
なお、配線基板410を用いて各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196を形成する構造を本実施形態に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。配線基板410を用いて各ホイートストンブリッジ回路190、192を形成する構造を、例えば第四実施形態に適用してもよい。
【0157】
なお、本実施形態では、各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196を次のように構成した。
【0158】
すなわち、第一辺200、210、220、230及び第二辺202、212、222、232を各上部歪センサ180、182、184、186の各歪ゲージ180a、182a、184a、186a、180b、182b、184b、186bで構成した。第三辺204、214、224、234及び第四辺206、216、226、236を、各下部歪センサ170、172、174、176の各歪ゲージ170a、172a、174a、176a、170b、172b、174b、176bで構成した。しかし、本発明は、この構成に限定されるものではない。
【0159】
例えば、第一辺200、210、220、230及び第二辺202、212、222、232を、下部歪センサ170、172、174、176の各歪ゲージ170a、172a、174a、176a、170b、172b、174b、176bで構成する。また、第三辺204、214、224、234及び第四辺206、216、226、236を、各上部歪センサ180、182、184、186の各歪ゲージ180a、182a、184a、186a、180b、182b、184b、186bで構成してもよい。
【0160】
また、本実施形態では、各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196を並列接続して平均値を求める平均値回路とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196の出力を加算するように構成してもよい。
【0161】
(作用及び効果)
本実施形態の各起歪体30、32、34、36は、荷重を受ける荷重受け部50と取付け対象に固定される固定部48とを備える。また、各起歪体30、32、34、36は、荷重受け部50と固定部48とを繋ぐとともに荷重受け部50の下方への変位に伴って弾性変形する起歪部56を備える。さらに、各起歪体30、32、34、36は、起歪部56に設けられ起歪部56の弾性変形に伴う伸縮に応じて抵抗値が変化する歪センサ(170、172、174、176、180、182、184、186)を備える。
【0162】
各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、下方湾曲部位80に配置される第一歪ゲージ170a、172a、174a、176a、180a、182a、184a、186aを有する。また、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、上方湾曲部位82に配置される第二歪ゲージ170b、172b、174b、176b、180b、182b、184b、186bを有する。
【0163】
また、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、起歪部56の下面56dに配置された下部歪センサ170、172、174、176を有する。また、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、起歪部56の上面56uに配置された上部歪センサ180、182、184、186を有する。
【0164】
この構成の各起歪体30、32、34、36には、起歪部56の下面56dに各下部歪センサ170、172、174、176が配置されており、各起歪体30、32、34、36の上面56uに上部歪センサ180、182、184、186が配置されている。
【0165】
また、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、下方湾曲部位80に配置される第一歪ゲージ170a、172a、174a、176a、180a、182a、184a、186aを有する。また、各歪センサ170、172、174、176、180、182、184、186は、上方湾曲部位82に配置される第二歪ゲージ170b、172b、174b、176b、180b、182b、184b、186bを有する。
【0166】
ここで、各起歪体30、32、34、36への荷重の入力方向が傾いた場合、下方へ突出した湾曲状に変形する下方湾曲部位80と上方へ突出した湾曲状に変形する上方湾曲部位82とのうち、一方の部位の歪量は大きく表れ、他方の部位の歪量は小さく表れる。これにより、各歪センサの各歪ゲージ170a、172a、174a、176a、180a、182a、184a、186a、170b、172b、174b、176b、180b、182b、184b、186bに生ずる引張力と圧縮力とのバランスが変化する。
【0167】
そこで、歪量が大きく表れる一方の歪センサの歪ゲージの出力と、歪量が小さく表れる他方の歪センサの歪ゲージの出力と組み合わせによって、出力に表れる影響を抑制することができる。
【0168】
したがって、筐体カバー14に生じた撓みで各起歪体30、32、34、36への荷重の入力方向が傾き、各歪センサの各歪ゲージに生ずる歪の差が大きくなっても、器差性能に与える影響を抑制することが可能となる。
【0169】
また、本実施形態の秤160は、前述した各起歪体30、32、34、36と、各起歪体30、32、34、36の荷重受け部50に支持される筐体カバー14と、各起歪体30、32、34、36の固定部48を支持する筐体ベース12とを備える。
【0170】
この秤160においても、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0171】
さらに、本実施形態の秤160では、筐体カバー14は、矩形状であり、各起歪体30、32、34、36は、筐体カバー14の四隅に配置されている。
【0172】
この構成においても、第一実施形態と同一又は同等部分については、同様の作用効果を奏することができる。
【0173】
筐体カバー14に撓みが生じ、各起歪体30、32、34、36への荷重の入力方向が傾いた場合を例に挙げて説明する。この場合、下部歪センサ170、172、174、176では、一例として下方湾曲部位80に配置された第一歪ゲージ170a、172a、174a、176aに生ずる引張力が大きくなる。また、下部歪センサ170、172、174、176では、上方湾曲部位82に配置された第二歪ゲージ170b、172b、174b、176bに生ずる圧縮力が小さくなる。
【0174】
一方、上部歪センサ180、182、184、186では、下方湾曲部位に配置された第一歪ゲージ180a、182a、184a、186aに生ずる圧縮力が大きくなる。また、上部歪センサ180、182、184、186では、上方湾曲部位に配置された第二歪ゲージ180b、182b、184b、186bに生ずる引張力が小さくなる。
【0175】
ここで、各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196の出力は、第一辺200、210、220、230の抵抗値及び第三辺204、214、224、234の抵抗値の組み合わせにより影響を受ける。また、各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196の出力は、第二辺202、212、222、232の抵抗値及び第四辺206、216、226、236の抵抗値の組み合わせにより影響を受ける。このため、これらの組み合わせについて説明する。
【0176】
第一辺及び第三辺は、上部歪センサ180、182、184、186の第一歪ゲージ180a、182a、184a、186aと、下部歪センサ170、172、174、176の第二歪ゲージ170b、172b、174b、176bとの組み合わせで構成される。上部歪センサ180、182、184、186の第一歪ゲージ180a、182a、184a、186aには圧縮力が大きく表れ、下部歪センサ170、172、174、176の第二歪ゲージ170b、172b、174b、176bには圧縮力が小さく表れる。
【0177】
第二辺及び第四辺は、上部歪センサ180、182、184、186の第二歪ゲージ180b、182b、184b、186bと、下部歪センサ170、172、174、176の第一歪ゲージ170a、172a、174a、176aとの組み合わせで構成される。上部歪センサ180、182、184、186の第二歪ゲージ180b、182b、184b、186bは引張力が小さく表れ、下部歪センサ170、172、174、176の第一歪ゲージ170a、172a、174a、176aは引張力が大きく表れる。
【0178】
このため、各起歪体30、32、34、36への荷重の入力方向が傾き、各歪センサの各歪ゲージに生ずる歪の差が大きくなる場合であっても、正極出力部134及び負極出力部136からの出力に与える影響を抑制することができる。
【0179】
したがって、筐体カバー14に生じた撓みにより各歪センサの各歪ゲージに生ずる歪の差が大きくなる場合であっても、器差性能に与える影響を抑制することが可能となる。
【0180】
そして、本実施形態では、起歪体(30、32、34、36)を複数備え、ぞれぞれの起歪体(30、32、34、36)で形成された各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196が並列接続されている。具体的に説明すると、各起歪体(30、32、34、36)の各歪ゲージ170a、172a、174a、176a、180b、182b、184b、186bで形成された各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196が並列接続されている。
【0181】
この構成によれば、並列接続された各ホイートストンブリッジ回路190、192、194、196の出力を用いて測定結果を得ることができるので、測定精度の向上が可能となる。
【0182】
なお、本実施形態では、筐体カバー14の四隅をそれぞれ支持する各起歪体30、32、34、36を備えた秤160について説明したが、これに限定されるものではなく、筐体カバー14を支持して荷重を検出する起歪体は、少なくとも二箇所にあればよい。
【0183】
<第四実施形態>
図18は、第四実施形態に係る各歪センサ170、172、180、182の歪ゲージ170a、172a、180a、182a、170b、172b、180b、182bの接続状態を示す回路図である。
【0184】
第四実施形態に係る秤300は、筐体カバー14を支持して荷重を検出する起歪体が、第一起歪体30と第二起歪体32とで構成されている点が、第三実施形態と異なる。この第四実施形態において、第三実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0185】
図18に示したように、第一ホイートストンブリッジ回路190は、第一起歪体30の起歪部56の下面56dに配置された第一下部歪センサ170と、第一起歪体30の起歪部56の上面56uに配置された第一上部歪センサ180とで構成されている。
【0186】
また、第二ホイートストンブリッジ回路192は、第二起歪体32における起歪部56の上面56uに配置された第二上部歪センサ182と、第二起歪体32における起歪部56の下面56dに配置された第二下部歪センサ172とで構成されている。
【0187】
第一ホイートストンブリッジ回路190の第一辺200は、圧縮力が小さく表れる第一下部歪センサ170の第二歪ゲージ170bで構成されている。第一ホイートストンブリッジ回路190の第二辺202は、引張力が大きく表れる第一下部歪センサ170の第一歪ゲージ170aで構成されている。
【0188】
第一辺200に対向する第三辺204は、圧縮力が大きく表れる第一上部歪センサ180の第一歪ゲージ180aで構成されており、第二辺202に対向する第四辺206は、引張力が小さく表れる第一上部歪センサ180の第二歪ゲージ180bで構成されている。
【0189】
第一ホイートストンブリッジ回路190の第一辺200と第四辺206との接続部は、正極入力部130に接続され、第二辺202と第三辺204との接続部は、負極入力部132に接続されている。また、第三辺204と第四辺206との接続部は、正極出力部134に接続され、第一辺200と第二辺202との接続部は、負極出力部136に接続されている。
【0190】
第二ホイートストンブリッジ回路192の第一辺210は、圧縮力が小さく表れる第二下部歪センサ172の第二歪ゲージ172bで構成されている。第二ホイートストンブリッジ回路192の第二辺212は、引張力が大きく表れる第二下部歪センサ172の第一歪ゲージ172aで構成されている。
【0191】
第一辺210に対向する第三辺214は、圧縮力が大きく表れる第二上部歪センサ182の第一歪ゲージ182aで構成されており、第二辺212に対向する第四辺216は、引張力が小さく表れる第二上部歪センサ182の第二歪ゲージ182bで構成されている。
【0192】
第二ホイートストンブリッジ回路192の第一辺210と第四辺216との接続部は、正極入力部130に接続され、第二辺212と第三辺214との接続部は、負極入力部132に接続される。また、第三辺214と第四辺216との接続部は、正極出力部134に接続され、第一辺210と第二辺212との接続部は、負極出力部136に接続される。
【0193】
そして、正極出力部134及び負極出力部136は、図示しない制御装置に接続され、制御装置は、正極出力部134と負極出力部136との間の電位から筐体カバー14に加えられた荷重を演算し、演算結果を体重として表示する。
【0194】
なお、本実施形態では、各ホイートストンブリッジ回路190、192の第一辺200、210及び第二辺202、212を各下部歪センサ170、172の各歪ゲージ170a、172a、170b、172bで構成した。また、第三辺204、214及び第四辺206、216を、各上部歪センサ180、182の各歪ゲージ180a、182a、180b、182bで構成した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0195】
例えば、各ホイートストンブリッジ回路190、192の第一辺200、210及び第二辺202、212を、各上部歪センサ180、182の各歪ゲージ180a、182a、180b、182bで構成する。そして、第三辺204、214及び第四辺206、216を、各下部歪センサ170、172の各歪ゲージ170a、172a、170b、172bで構成してもよい。
【0196】
(作用及び効果)
本実施形態においても、第三実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0197】
また、本実施形態のロードセル420は、起歪体(30、32)と、各ホイートストンブリッジ回路190、192を構成する配線とを備える。配線は、起歪体(30、32)における上部歪センサ180、182の第一歪ゲージ180a、182aと、上部歪センサ180、182の第二歪ゲージ180b、182bとを接続する。また配線は、下部歪センサ170、172の第一歪ゲージ170a、172aと、下部歪センサ170、172の第二歪ゲージ170b、172bとを接続する。
【0198】
この構成によれば、各歪ゲージ170a、172a、170b、172b、180a、182a、180b、182bで構成された各ホイートストンブリッジ回路190、192の出力を用いて測定結果を得ることができる。
【0199】
また、本実施形態のロードセル420は、起歪体(30、32)を複数備え、ぞれぞれの起歪体(30、32)で形成された各ホイートストンブリッジ回路190、192が並列接続されている。
【0200】
この構成によれば、並列接続された各ホイートストンブリッジ回路190、192の出力を用いて測定結果を得ることができるので、測定精度の向上が可能となる。
【符号の説明】
【0201】
10 秤
12 筐体ベース
14 筐体カバー
30 第一起歪体
32 第二起歪体
34 第三起歪体
36 第四起歪体
48 固定部
50 荷重受け部
56 起歪部
56d 下面(裏面)
56u 上面(表面)
80 下方湾曲部位(凹状部位)
82 上方湾曲部位(凸状部位)
90 第一歪センサ
90a、92a、94a、96a 第一歪ゲージ
90b、92b、94b、96b 第二歪ゲージ
92 第二歪センサ
94 第三歪センサ
96 第四歪センサ
160 秤
170 第一下部歪センサ(第一裏面歪センサ)
170a、172a、174a、176a 第一歪ゲージ
170b、172b、174b、176b 第二歪ゲージ
172 第二下部歪センサ(第二裏面歪センサ)
174 第三下部歪センサ(第三裏面歪センサ)
176 第四下部歪センサ(第四裏面歪センサ)
180 第一上部歪センサ(第一表面歪センサ)
180a、182a、184a、186a 第一歪ゲージ
180b、182b、184b、186b 第二歪ゲージ
182 第二上部歪センサ(第二表面歪センサ)
184 第三上部歪センサ(第三表面歪センサ)
186 第四上部歪センサ(第四表面歪センサ)
300 秤
420 ロードセル
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