(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109804
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20220721BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20220721BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20220721BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C43/18
B29C45/02
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005343
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 義成
【テーマコード(参考)】
4F204
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AA44
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB12
4F204FB17
4F204FF05
4F204FN06
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4F204FQ15
4F206AA36
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4F206AD19
4F206AG03
4F206AH37
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF05
4F206JM04
4F206JN13
4F206JQ81
5F061AA02
5F061BA03
5F061CA21
5F061DA01
5F061DB01
(57)【要約】
【課題】大型部品や、圧力に弱い部品が実装されている場合や、実装部品同士のサイズや高さが大きく異なる場合でも、部品破損等の無い半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板と、前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する第1封止部材と、前記第2部品を前記基板の一部と協働して封止する第2封止部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板と、
前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する第1封止部材と、
前記第2部品を前記基板の一部と協働して封止する第2封止部材と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第2部品及び前記第2封止部材は、前記基板の少なくとも一方の面に設けられている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2封止部材の樹脂硬化温度は、前記第1封止部材の樹脂硬化温度と同等、あるいは、前記第1封止部材の樹脂硬化温度未満とされている、
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1封止部材は、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂であり、
前記第2封止部材は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂あるいはUV硬化性樹脂のいずれかである、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板に対し、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うようにシート状の第2封止部材を貼り付け、あるいは、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うように液体状の第2封止部材を塗布する過程と、
金型に前記第2部品の周囲を囲むように形成されたセパレート隔壁の端面を前記基板上の前記第2封止部材に所定圧力で当接させ、前記第2部品及び前記第2封止部材と、前記金型と、の間に無加圧空間を形成し、維持する過程と、
前記無加圧空間を維持した状態で第1封止部材により前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する過程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項6】
第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板に対し、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うようにシート状の第2封止部材を貼り付け、あるいは、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うように液体状の第2封止部材を塗布する過程と、
前記第2部品の周囲を囲むように金型に形成されたセパレート隔壁で囲まれた領域以外の領域であって、前記第1部品及び前記基板を含む被成形領域を覆うように第1封止部材を供給する過程と、
前記セパレート隔壁の端面を前記基板上の前記第2封止部材に所定圧力で当接させ、前記第2部品及び前記第2封止部材と、前記金型と、の間に無加圧空間を形成し、維持する過程と、
前記無加圧空間を維持した状態で第1封止部材により前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する過程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項7】
第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板に対し、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うようにシート状の第2封止部材を貼り付け、あるいは、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うように液体状の第2封止部材を塗布する過程と、
前記第2部品の周囲を囲むように金型に形成されたセパレート隔壁の端面を前記基板上の前記第2封止部材に所定圧力で当接させ、前記第2部品及び前記第2封止部材と、前記金型と、の間に無加圧空間を形成し、維持する過程と、
前記無加圧空間を維持した状態で第1封止部材を加圧状態で前記金型内に供給し、前記第1封止部材により前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する過程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板と、回路基板に実装された半導体部品と、回路基板および半導体部品を樹脂により覆ってモールドする樹脂モールド方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1記載の樹脂モールド方法では、樹脂モールド金型を型開きにして下型に被成形品としての半導体部品が実装された回路基板をセット後、回路基板を覆うように樹脂シートを供給し、上型と下型で樹脂シートとともに回路基板をクランプする。そして、回路基板の半導体部品が搭載された側の面を圧縮成形を行うことにより樹脂モールドを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記方法においては、回路基板のクランプ時及び圧縮成形時において、樹脂注入による圧力増加に伴って大型部品や、圧力に弱いコンデンサ等の部品が破損する虞があった。
また圧縮成形に限らず、トランスファー成形においても同様の虞があった。
【0006】
さらに圧縮成形においては、基板実装部品を基板の片面側しか樹脂モールドすることはできず、両面実装基板に対しては適用できない。また、実装部品同士のサイズあるいは高さが大きく異なる場合には、樹脂シートを用いた方法では、樹脂モールドが困難であった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、大型部品や、圧力に弱い部品が実装されている場合や、実装部品同士のサイズや高さが大きく異なる場合でも、部品破損等の無い半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の半導体装置は、第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板と、前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する第1封止部材と、前記第2部品を前記基板の一部と協働して封止する第2封止部材と、を備える。
上記構成によれば、第2封止部材による封止を第1封止部材による封止時の圧力と独立して設定することができ、第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品の封止時の圧力を低下させることができるので、信頼性の高い半導体装置とすることができる。
【0009】
この場合において、前記第2部品及び前記第2封止部材は、前記基板の少なくとも一方の面に設けられているようにしてもよい。
上記構成によれば、基板として片面部品実装基板あるいは両面部品実装基板のいずれでも適用できる。
【0010】
また、前記第2封止部材の樹脂硬化温度は、前記第1封止部材の樹脂硬化温度と同等あるいは前記第1封止部材の樹脂硬化温度未満とされているようにしても良い。
上記構成によれば、一工程で樹脂封止処理を行う場合でも、第1封止部材による封止及び第2封止部材による封止が確実に行われている半導体装置とすることができ、半導体装置の信頼性が向上する。
【0011】
また、前記第1封止部材は、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂であり、前記第2封止部材は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂あるいはUV硬化性樹脂のいずれかであるようにしてもよい。
上記構成によれば、様々な半導体装置に適用することができるため、多様な半導体装置を提供することができる。
【0012】
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板に対し、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うようにシート状の第2封止部材を貼り付け、あるいは、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うように液体状の第2封止部材を塗布する過程と、金型に前記第2部品の周囲を囲むように形成されたセパレート隔壁の端面を前記基板上の前記第2封止部材に所定圧力で当接させ、前記第2部品及び前記第2封止部材と、前記金型と、の間に無加圧空間を形成し、維持する過程と、前記無加圧空間を維持した状態で第1封止部材により前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する過程と、を備える。
上記構成によれば、第2封止部材による封止と、第1封止部材による封止と、を同一の金型で一連の工程として行うことができ、信頼性の高い半導体装置を高い歩留まりで得ることができるともに、製造工程の簡略化が図れる。
【0013】
また、実施形態の半導体装置の製造方法は、第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板に対し、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うようにシート状の第2封止部材を貼り付け、あるいは、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うように液体状の第2封止部材を塗布する過程と、金型に前記第2部品の周囲を囲むように形成されたセパレート隔壁で囲まれた領域以外の領域であって、前記第1部品及び前記基板を含む被成形領域を覆うように前記第1封止部材を供給する過程と、前記セパレート隔壁の端面を前記基板上の前記第2封止部材に所定圧力で当接させ、前記第2部品及び前記第2封止部材と、前記金型と、の間に無加圧空間を形成し、維持する過程と、前記無加圧空間を維持した状態で第1封止部材により前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する過程と、を備える。
上記構成によれば、第2封止部材による封止と、圧縮成形を用いた第1封止部材による封止と、を同一の金型で一連の工程として行うことができ、圧縮成形時の圧力が第2部品に印可されることはないので、信頼性の高い半導体装置を高い歩留まりで得ることができるともに、製造工程の簡略化が図れる。
【0014】
また、実施形態の半導体装置の製造方法は、第1部品及び前記第1部品よりも圧力耐性が低い第2部品が実装された基板に対し、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うようにシート状の第2封止部材を貼り付け、あるいは、前記第2部品に対応する位置に前記第2部品を覆うように液体状の第2封止部材を塗布する過程と、前記セパレート隔壁の端面を前記基板上の前記第2封止部材に所定圧力で当接させ、前記第2部品及び前記第2封止部材と、前記金型と、の間に無加圧空間を形成し、維持する過程と、前記無加圧空間を維持した状態で第1封止部材を加圧状態で前記金型内に供給し、前記第1封止部材により前記第1部品を前記基板の一部と協働して封止する過程と、を備える。
上記構成によれば、第2封止部材による封止と、トランスファー成形を用いた第1封止部材による封止と、を同一の金型で一連の工程として行うことができ、トランスファー成形時の圧力が第2部品に印可されることはないので、信頼性の高い半導体装置を高い歩留まりで得ることができるともに、製造工程の簡略化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態の半導体装置の概要構成断面図である。
【
図2】
図2は、第1封止部材及び第2封止部材の材料組合せの一覧表である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の説明図である。
【
図4】
図4は、セパレート隔壁の形成高さの説明図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の説明図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の半導体装置の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成によって得られる種々の効果のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0017】
なお、以下の例示的な複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が省略される。また、本明細書において、序数は、部材(部品)や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0018】
[1]第1実施形態
図1は、第1実施形態の半導体装置の概要構成断面図である。
半導体装置10は、回路基板11と、第1部品12A~12Dと、第2部品13と、第1封止部材14と、第2封止部材15と、を備えている。
【0019】
上記構成において、回路基板11は、例えば、プリント配線基板として構成されている。
第1部品12A~12Dは、例えば、半導体部品や、面実装部品などの小型部品として構成され、第2部品13よりも圧力耐性が高い部品である。
【0020】
第2部品13は、電解コンデンサや、大型部品として構成されており、第1部品12A~12Dよりも圧力耐性が低く、圧縮成形あるいはトランスファー成形により破損する虞がある部品である。
【0021】
第1封止部材14は、圧縮成形あるいはトランスファー成形により加圧状態で部品を封止するための封止部材であり、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂として構成されている。
第2封止部材15は、無加圧状態で部品を封止するためのシート状封止部材であり熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂あるいはUV硬化樹脂として構成されている。
【0022】
ここで、第1封止部材14及び第2封止部材15の組合せについて説明する。
まず、第1封止部材14としては、樹脂硬化温度が、第2封止部材15と同等あるいはより高い材料が用いられる。換言すれば、第2封止部材15としては、樹脂硬化温度が第1封止部材と同等あるいはより低い材料が用いられる。
【0023】
図2は、第1封止部材及び第2封止部材の材料組合せの一覧表である。
第1の組合せとしては、第1封止部材14として熱硬化性樹脂を用い、第2封止部材15として熱硬化性樹脂を用いる組合せが可能である。
第2の組合せとしては、第1封止部材14として熱硬化性樹脂を用い、第2封止部材15として熱可塑性樹脂を用いる組合せが可能である。
【0024】
第3の組合せとしては、第1封止部材14として熱可塑性樹脂を用い、第2封止部材15として熱硬化性樹脂を用いる組合せが可能である。
第4の組合せとしては、第1封止部材14として熱可塑性樹脂を用い、第2封止部材15として熱可塑性樹脂を用いる組合せが可能である。
【0025】
第5の組合せとしては、第1封止部材14として熱硬化性樹脂を用い、第2封止部材15としてUV硬化性樹脂を用いる組合せが可能である。
第6の組合せとしては、第1封止部材14として熱可塑性樹脂を用い、第2封止部材15としてUV硬化性樹脂を用いる組合せが可能である。
【0026】
次に第1実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
本第1実施形態においては、樹脂封止方法として圧縮成形により半導体装置の封止を行う場合を例として説明する。
【0027】
図3は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の説明図である。
図3において、回路基板11は、片側部品実装基板として構成されており、
図3(A)において、回路基板11の一方の面(
図3においては上面)側には、第1部品12A~12D及び第2部品13が実装されているものとする。
【0028】
まず、
図3(B)に示すように、第1部品12A~12Dと比較して圧力耐性が低い部品である第2部品13を覆うように、樹脂シート製の第2封止部材15を貼り付け、あるいは、液状樹脂としての第2封止部材15を塗布する。
【0029】
ここで、上型UM及び下型LMを備えた樹脂モールド金型のうち、上型UMの第2封止部材15に対応する部分には、軟化状態の第2封止部材15の周縁部に対向する位置に所定の圧力で当接するとともに、第2封止部材の中央部に対向する部分に圧縮成形時に第2部品13に圧力を印可しないため無加圧空間NPAを形成するセパレート隔壁SPWが形成されている。
【0030】
図4は、セパレート隔壁の形成高さの説明図である。
図4に示すように、セパレート隔壁SPWの下端面の位置P1が第2封止部材15の上面の高さ位置P2よりも下方であって、回路基板11との間で所定の高さの空隙を形成可能なようにセパレート隔壁SPWの高さHが設定されている。
【0031】
この場合において、セパレート隔壁SPWの下端面と回路基板11との間に空隙を設けているのは、第2封止部材15の軟化時にこの空隙内に第2封止部材15が進入し、
図3(D)に示すように、セパレート隔壁SPWの下端面に所定圧力で当接し、無加圧空間NPAを形成するためである。
【0032】
続いて、
図3(C)に示すように、樹脂モールド金型UM、LMを型開きして下型LMに被成形品であり、第2封止部材15が貼り付けあるいは塗布された回路基板11をセットする。
【0033】
続いて上型UMのセパレート隔壁SPW及びセパレート隔壁SPWで囲まれた領域を除き、第1部品12A~12D及び回路基板11を含む被成形領域を覆うように第1封止部材14としてのモールド樹脂を供給する。
【0034】
この状態において、上型UM及び下型LMは、第1封止部材14及び第2封止部材15を軟化可能な状態に加熱されている。
したがって、上型UMと下型LMで第1封止部材14、第2封止部材15及び回路基板11を徐々にクランプする。
【0035】
この結果、第2封止部材15は、第1封止部材14と同時あるいは第1封止部材14よりも先に軟化して、
図3(D)に示すように、セパレート隔壁SPWの下端面と回路基板11との間の空隙内に第2封止部材15が進入してセパレート隔壁SPWの下端面に所定圧力で当接し、第2部品13の周囲、より詳細には、セパレート隔壁SPWの下端面に対向する領域における第2封止部材15の成形(第2部品13の樹脂封止)が完了する。
【0036】
これにより、セパレート隔壁SPW、第2封止部材15で囲まれた空間には、第1封止部材14が進入することはなく、無加圧空間NPAが形成される。
この結果、第2部品13には、圧縮成形時に第1封止部材14により伝達される圧力が印可されることはなく、第2部品13の変形あるいは破壊が生じることはない。
すなわち、第2部品13は無加圧状態で、第1部品12A~12D樹脂封止がなされる。
【0037】
従って本第1実施形態によれば、大型であったり、構造的に変形あるいは破壊しやすい部品(上述の第2部品13に相当)については、無加圧状態で樹脂封止を行うことができるため、部品破損を防ぐことができ、樹脂封止された半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0038】
また上述したように、耐圧性の低い部品(上述の第2部品13に相当)と耐圧性の高い部品(上述の第1部品12A~12Dに相当)とが混載された回路基板を樹脂封止する婆であっても、個別に樹脂封止を行わずに、一工程で樹脂封止できるので、複数回の樹脂封止のための領域を予め回路基板に設ける必要が無いので、製品の小型化が図れる。さらに一工程で樹脂封止できるので製造工程の簡略化を図ることができる。
【0039】
[2]第2実施形態
以上の第1実施形態は、片側部品実装基板であったが、本第2実施形態は、両面部品実装基板に適用し、樹脂封止方法としてトランスファー成形を行ったものである。
図5は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の説明図である。
図5において、
図3の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付し、その詳細な説明を援用するものとする。
両面部品実装回路基板11Aは、
図5(A)に示すように、回路基板11と、第1部品12A~12D、21A~21Dと、第2部品13と、第1封止部材14と、第2封止部材15と、を備えている。
【0040】
上記構成において、第1部品12A~12D、21A~21Dは、例えば、半導体部品や、面実装部品などの小型部品として構成され、第2部品13よりも圧力耐性が高い部品である。
【0041】
さらに第1部品12A~12Dは、回路基板11の一方の面(
図5の例では、上面)に実装され、第1部品21A~21Dは、回路基板11の他方の面(
図5の例では、下面)に実装されている。
【0042】
第2部品13は、電解コンデンサや、大型部品として構成されており、第1部品12A~12D、21A~21Dよりも圧力耐性が低く、圧縮成形あるいはトランスファー成形により破損する虞がある部品である。
【0043】
まず、
図5(B)に示すように、第1部品12A~12D、と比較して圧力耐性が低い部品である第2部品13を覆うように、樹脂シート製の第2封止部材15を貼り付け、あるいは、液状樹脂としての第2封止部材15を塗布する。
【0044】
この場合においても、
図5(C)に示すように、第1実施形態と同様に上型UMの第2封止部材15に対応する部分には、軟化状態の第2封止部材15の周縁部に対向する位置に所定の圧力で当接するとともに、第2封止部材の中央部に対向する部分に圧縮成形時に第2部品13に圧力を印可しないため無加圧空間NPAを形成するセパレート隔壁SPWが形成されている。
【0045】
そして、樹脂モールド金型UM、LMを型開きして下型LMに被成形品であり、第2封止部材15が貼り付けあるいは塗布された回路基板11をセットする。
【0046】
この状態において、上型UM及び下型LMは、第1封止部材14及び第2封止部材15を軟化可能な状態に加熱されている。
したがって、上型UMと下型LMで第1封止部材14、第2封止部材15及び回路基板11をクランプする。
【0047】
この結果、第2封止部材15は、軟化して、
図3(C)に示すように、セパレート隔壁SPWの下端面と回路基板11との間の空隙内に第2封止部材15が進入してセパレート隔壁SPWの下端面に所定圧力で当接し、第2部品13の周囲、より詳細には、セパレート隔壁SPWの下端面に対向する領域における第2封止部材15の成形(第2部品13の樹脂封止)が完了する。
【0048】
これにより、セパレート隔壁SPW、第2封止部材15で囲まれた空間には、第1封止部材14が進入することはなく、無加圧空間NPAが形成される。
この結果、第2部品13には、トランスファー成形時に第1封止部材14により伝達される圧力が印可されることはなく、第2部品13の変形あるいは破壊が生じることはない。
【0049】
この状態において、第1封止部材14をトランスファー成形により樹脂モールド金型UM、LM内に圧入することにより、
図5(D)に示すように第2部品13は無加圧状態で、第1部品12A~12D及び第1部品21A~21Dの樹脂封止がなされる。
【0050】
従って本第2実施形態によっても、大型であったり、構造的に変形あるいは破壊しやすい部品(上述の第2部品13に相当)については、無加圧状態で樹脂封止を行うことができるため、部品破損を防ぐことができ、樹脂封止された半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0051】
また上述したように、耐圧性の低い部品(上述の第2部品13に相当)と耐圧性の高い部品(上述の第1部品12A~12D、21A~21Dに相当)とが混載された両面部品実装された回路基板を樹脂封止する場合であっても、個別に樹脂封止を行わずに、一工程で樹脂封止できるので、複数回の樹脂封止のための領域を予め回路基板に設ける必要が無いので、製品の小型化が図れる。さらに一工程で樹脂封止できるので製造工程の簡略化を図ることができる。
【0052】
[3]第3実施形態
以上の第1実施形態お及び第2実施形態は、回路基板の一方の面にのみ、圧力耐性が低い第2部品が実装されている場合であったが、本第3実施形態は、両面部品実装基板において、両面に圧力耐性が低い第2部品が実装されている場合の実施形態である。
本第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、樹脂封止方法としてトランスファー成形を行っているものである。
【0053】
図6は、第3実施形態の半導体装置の製造方法の説明図である。
図6において、
図3の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付し、その詳細な説明を援用するものとする。
両面部品実装回路基板11Bは、
図6(A)に示すように、回路基板11と、第1部品12A~12D、21A~21Bと、第2部品13、22と、第1封止部材14と、第2封止部材15、23と、を備えている。
【0054】
上記構成において、第1部品12A~12D、21A~21Bは、例えば、半導体部品や、面実装部品などの小型部品として構成され、第2部品13、22よりも圧力耐性が高い部品である。
【0055】
さらに第1部品12A~12Dは、回路基板11の一方の面(
図6の例では、上面)に実装され、第1部品21A~21Bは、回路基板11の他方の面(
図6の例では、下面)に実装されている。
【0056】
第2部品13、22は、電解コンデンサや、大型部品として構成されており、第1部品12A~12D、21A~21Dよりも圧力耐性が低く、圧縮成形あるいはトランスファー成形により破損する虞がある部品である。
さらに第2部品13は、回路基板11の一方の面(
図6の例では、上面)に実装され、第2部品22は、回路基板11の他方の面(
図6の例では、下面)に実装されている。
【0057】
まず、
図6(B)に示すように、第1部品12A~12D、21A~21Bと比較して圧力耐性が低い部品である第2部品13を覆うように、樹脂シート製の第2封止部材15を貼り付け、あるいは、液状樹脂としての第2封止部材15を塗布する。
【0058】
同様に第1部品12A~12D、21A~21Bと比較して圧力耐性が低い部品である第2部品22を覆うように、樹脂シート製の第2封止部材23を貼り付け、あるいは、液状樹脂としての第2封止部材23を塗布する。
【0059】
この場合においても、
図6(C)に示すように、第1実施形態及び第2実施形態と同様に上型UMの第2封止部材15に対応する部分には、軟化状態の第2封止部材15の周縁部に対向する位置に所定の圧力で当接するとともに、第2封止部材15の中央部に対向する部分に圧縮成形時に第2部品13に圧力を印可しないため無加圧空間NPAを形成するセパレート隔壁SPWが形成されている。
【0060】
同様に、
図6(C)に示すように、下型LMの第2封止部材23に対応する部分には、軟化状態の第2封止部材23の周縁部に対向する位置に所定の圧力で当接するとともに、第2封止部材23の中央部に対向する部分に圧縮成形時に第2部品22に圧力を印可しないため無加圧空間NPA1を形成するセパレート隔壁SPW1が形成されている。
【0061】
そして、樹脂モールド金型UM、LMを型開きして下型LMに被成形品であり、第2封止部材15、23が貼り付けあるいは塗布された回路基板11をセットする。
【0062】
この状態において、上型UM及び下型LMは、第1封止部材14及び第2封止部材15、23を軟化可能な状態に加熱されている。
したがって、上型UMと下型LMで第1封止部材14、第2封止部材15、第2封止部材23及び回路基板11をクランプする。
【0063】
この結果、第2封止部材15は、軟化して、
図6(D)に示すように、セパレート隔壁SPWの下端面と回路基板11との間の空隙内に第2封止部材15が進入してセパレート隔壁SPWの下端面に所定圧力で当接し、第2部品13の周囲、より詳細には、セパレート隔壁SPWの下端面に対向する領域における第2封止部材15の成形(第2部品13の樹脂封止)が完了する。
【0064】
これにより、セパレート隔壁SPW、第2封止部材15で囲まれた空間には、第1封止部材14が進入することはなく、無加圧空間NPAが形成される。
この結果、第2部品13には、トランスファー成形時に第1封止部材14により伝達される圧力が印可されることはなく、第2部品13の変形あるいは破壊が生じることはない。
【0065】
同様に、第2封止部材23は、軟化して、
図6(D)に示すように、セパレート隔壁SPW1の上端面と回路基板11との間の空隙内に第2封止部材23が進入してセパレート隔壁SPW1の上端面に所定圧力で当接し、第2部品22の周囲、より詳細には、セパレート隔壁SPW1の上端面に対向する領域における第2封止部材23の成形(第2部品22の樹脂封止)が完了する。
【0066】
これにより、セパレート隔壁SPW1、第2封止部材23で囲まれた空間には、第1封止部材14が進入することはなく、無加圧空間NPA1が形成される。
この結果、第2部品22には、トランスファー成形時に第1封止部材14により伝達される圧力が印可されることはなく、第2部品22の変形あるいは破壊が生じることはない。
【0067】
この状態において、第1封止部材14をトランスファー成形により樹脂モールド金型UM、LM内に圧入することにより、
図6(D)に示すように第2部品13は無加圧状態で、第1部品12A~12D及び第1部品21A~21Dの樹脂封止がなされる。
【0068】
従って本第3実施形態によれば、両面部品実装の回路基板の両面に、大型であったり、構造的に変形あるいは破壊しやすい部品(上述の第2部品13に相当)が設けられている場合であっても、無加圧状態で樹脂封止を行うことができるため、部品破損を防ぐことができ、樹脂封止された半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0069】
また上述したように、耐圧性の低い部品(上述の第2部品13、22に相当)と耐圧性の高い部品(上述の第1部品12A~12D、21A~21Bに相当)とが混載された両面部品実装された回路基板を樹脂封止する場合であっても、個別に樹脂封止を行わずに、一工程で樹脂封止できるので、複数回の樹脂封止のための領域を予め回路基板に設ける必要が無いので、製品の小型化が図れる。さらに一工程で樹脂封止できるので製造工程の簡略化を図ることができる。
【0070】
[4]実施形態の変形例
図7は、実施形態の変形例の説明図である。
上記各実施形態においては、第2封止部材15、23の大きさは、対向するセパレート隔壁SPW同士あるいは対向するセパレート隔壁SPW1同士の離間距離よりも小さく設定されており、軟化することによりセパレート隔壁SPWの下面あるいはセパレート隔壁SPW1の上面に当接するようになっていたが、本変形例では、
図7(A)に示す第2封止部材15の大きさ(幅W)は、セパレート隔壁SPWの下面あるいはセパレート隔壁SPW1の上面に対向する大きさとなっている点で異なっている。
【0071】
このように構成することにより、
図7(B)、
図7(C)に示すように、上型UMと下型LMとの間の距離が短くするようにすると、第2封止部材15が軟化しているか否かにかかわらず、確実に第2封止部材15に当接することとなり、確実に無加圧空間NPAを形成する戸ができ、製品の歩留まりをより一層向上することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、表示要素等のスペック(構造、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 半導体装置
11 回路基板
11A 両面部品実装回路基板
11B 両面部品実装回路基板
12A~12D、21A~21D 第1部品
13、22 第2部品
14 第1封止部材
15、23 第2封止部材
LM 下型
NPA、NPA1 無加圧空間
SPW、SPW1 セパレート隔壁
UM 上型
W 幅