(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109820
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】プレハブカマレス工法用連結金具並びにこれを用いた延線及び緊線工法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20220721BHJP
H02G 1/04 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005376
(22)【出願日】2021-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】391001538
【氏名又は名称】日本カタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】松下 良治
(72)【発明者】
【氏名】境田 剛
(72)【発明者】
【氏名】船間 政広
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AA01
5G352AA08
5G352BA03
(57)【要約】
【課題】送電線の延線及び緊線時にかかる応力を低減でき、繰り返し使用が可能で、且つ作業性向上につながるプレハブカマレス工法用連結金具並びにこれを用いた延線及び緊線工法の提供。
【解決手段】カマレス金具、延線用工具、及び緊線用工具からなるプレハブカマレス工法用連結金具であって、カマレス金具は、互いに連結された第1カマレス金具及び第2カマレス金具を含む2個又は3個のカマレス金具からなり、第1カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が圧縮クランプの端部に第1連結軸を介して連結され、第2カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が第3連結軸を介して延線用工具に連結され、延線用工具は、長手方向のもう一方の端部がワイヤコネクタの端部に第4連結軸を介して連結され、緊線用工具は、第1カマレス金具に緊線用工具取付部を介して連結されるプレハブカマレス工法用連結金具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔間に架設される送電線の延線及び緊線に使用するためのプレハブカマレス工法用連結金具であって、
前記プレハブカマレス工法用連結金具は、カマレス金具、延線用工具、及び緊線用工具からなり、
前記カマレス金具は、連結軸を介して互いに長手方向の端部が回動自在に連結された第1カマレス金具及び第2カマレス金具を含む2個又は3個のカマレス金具からなり、
前記第1カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が圧縮クランプの端部に第1連結軸を介して回動自在に連結され、
前記第2カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が第3連結軸を介して前記延線用工具に回動自在に連結され、
前記延線用工具は、長手方向のもう一方の端部がワイヤコネクタの端部に第4連結軸を介して回動自在に連結され、
前記緊線用工具は、前記第1カマレス金具に緊線用工具取付部を介して回動自在に連結されることを特徴とするプレハブカマレス工法用連結金具。
【請求項2】
前記第1カマレス金具又は前記第2カマレス金具のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D1と、前記第2カマレス金具又は前記延線用工具のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D2が略同等であり、前記吊金車が通過する前記第2カマレス金具と前記延線用工具の第3連結軸を介した連結部位の溝幅D3と前記吊金車の直径D4の関係がD3<D4であることを特徴とする、請求項1に記載のプレハブカマレス工法用連結金具。
【請求項3】
鉄塔間に架設される送電線の延線及び緊線に使用するためのプレハブカマレス工法用連結金具であって、
前記プレハブカマレス工法用連結金具は、カマレス金具、延線用工具、及び緊線用工具からなり、
前記カマレス金具は、長手方向の一端部が圧縮クランプの端部に第1連結軸を介して回動自在に連結され、長手方向のもう一方の端部が第2連結軸を介して前記延線用工具と回動自在に連結され、
前記延線用工具は、長手方向のもう一方の端部が、もうひとつの延線用工具と第3連結軸を介して回動自在に連結され、
前記もうひとつの延線用工具は、長手方向のもう一方の端部がワイヤコネクタの端部に第4連結軸を介して回動自在に連結され、
前記緊線用工具は、前記カマレス金具に緊線用工具取付部の取付孔を介して回動自在に連結されることを特徴とするプレハブカマレス工法用連結金具。
【請求項4】
前記カマレス金具又は前記延線用工具のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D1と、隣接する前記延線用工具同士のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D2が略同等であり、前記吊金車が通過する前記延線用工具とワイヤコネクタの第4連結軸を介した連結部位の溝幅D3と前記吊金車の直径D4の関係がD3<D4であることを特徴とする、請求項3に記載のプレハブカマレス工法用連結金具。
【請求項5】
前記カマレス金具は、直角クレビス、直角クレビスリンク、角度クレビス、角度クレビスリンク、直角リンク、及び角度リンクからなる群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプレハブカマレス工法用連結金具。
【請求項6】
前記プレハブカマレス工法用連結金具を用いて、鉄塔間に送電線を延線及び緊線する工法であって、前記プレハブカマレス工法用連結金具の一部である前記延線用工具は、延線作業時に使用し、緊線作業前に取り外すことが可能である、鉄塔間に送電線を延線及び緊線する工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレハブカマレス工法用連結金具並びにこれを用いた延線及び緊線工法に係り、より詳しくは、プレハブカマレス工法用連結金具の部品点数低減及び軽量化により、送電線の延線及び緊線時にプレハブカマレス工法用連結金具にかかる曲げ応力を低減し、変形等を防止することで繰り返し使用可能であり、且つ延線及び緊線の作業性向上及び作業時間短縮ができるプレハブカマレス工法用連結金具並びにこれを用いた延線及び緊線工法に関する。
【0002】
本明細書において、「延線」とは、送電線鉄塔(以下、鉄塔という)間の2kmから4kmの区間を1延線区間とし、送電線を鉄塔に取り付けた金車を経由させてウインチで引き延ばして架線をおこなう作業であり、「緊線」とは、延線した送電線をあらかじめ設計で決められた送電線の弛み(弛度)に調整するための作業である。
【背景技術】
【0003】
図9は、従来のプレハブカマレス工法による送電線の延線作業を示す説明図である。
地上において、送電線(L)の端部は、圧縮型引留クランプ(31)に圧入され、当該圧縮型引留クランプ(31)の送電線(L)の取付側の端部と、反対側の端部には、カムアロングレス金具(以下、カマレス金具(32)という)が設けられている。
【0004】
カマレス金具(32)の一端には、フォーク状の部材(以下、クレビス部ともいう)(32a)が設けられ、圧縮型引留クランプ(31)のアイ部(31a)に回動自在に連結されている。
カマレス金具(32)の他端にはアイ部(32b)が設けられ、延線用のワイヤ(W)のワイヤコネクタ(33)に回動自在に連結されている。そして、クレビス部(32a)及びアイ部(32c)の中間には、送電線(L)を鉄塔に緊線する際の緊線用金具を取付けるための取付孔(32c′)を有する取付部(32c)が形成されている。
【0005】
従来のプレハブカマレス工法において、カマレス金具(32)は、緊線の際にがいし装置を介して鉄塔に取付けられて最終的にがいし装置の構成部材となるだけでなく、
図9に示されるように、送電線(L)が延線用ワイヤで牽引される際、延線用金車(K1)を通過するときに作用するこじれに対して十分に耐えることができるように高強度の素材から作られている。
【0006】
送電線(L)が延線用金車(K1)上を移動する際には、押し圧力が送電線(L)に加わるが、送電線(L)が撚り線であるため、送電線(L)進行方向に対して撚り線の素線の向きが異なるために素線がホイール面でこじられて移動する。この現象により、延線抵抗が発生すると共に素線にわずかに伸びを生じる。また、電線重量と延線張力により送電線(L)がホイール面に押し付けられてニッキング(素線表面に傷が付く)を発生させる。ニッキング量は、延線用金車(K1)通過回数が多いほど、金車上での押し圧力が大きいほど大きくなる。この押し圧力は電線張力に比例し、延線用金車(K1)径に反比例する。さらに、延線用金車(K1)通過時に送電線(L)が回転する現象も発生する。これらの物理的現象から、送電線(L)は素線の移動で伸びが発生し、また回転による撚り戻り又は撚り締まり現象でも伸びが発生し、更にニッキングでも伸びが出て、いわゆる永久伸びが発生する。
【0007】
特許文献1には、延線作業や緊線作業の際に付与される引張力による変形に対処するために、複数の揺動ブロック体(カマレス金具)と、この揺動ブロック体(カマレス金具)を枢結する複数本の枢結軸とを備え、その一端部が送電線側に枢結されると共に、その他端部が延線ワイヤ側に枢結されるカマレス金具が開示されている。
この特許文献1のカマレス金具の場合、中間の揺動ブロック体(カマレス金具)が、緊線用工具が取付けられる工具取付部と、この工具取付部の端部に連設されるアイ部とを有すると共に、上記送電線側に枢結される揺動ブロック体(カマレス金具)が、上記揺動ブロック体(カマレス金具)のアイ部に枢結されるクレビス部を有している。
このため、延線作業中に、中間の揺動ブロック体(カマレス金具)に引張力が作用すると、この引張力の作用点から上記クレビス部までの距離が比較的短くなるという効果を奏し、延線作業や緊線作業の際に付与される引張力によるアイ部やクレビス部の変形を防止できる。しかし、このアプローチでは、部品点数が多くなるという欠点がある。
【0008】
特許文献2には、延線された送電線を緊線する緊線工法、およびその緊線工法に用いる連結金具や連結金具を含む連結金具ユニットが開示されている。
特許文献2では、短尺クランプにカマレス金具3個を連結させて使用しているが、延線及び緊線時には、金車の通過や送電線の動揺や回転等が原因でカマレス金具に大きな曲げ荷重が加わるため、架線金具の中でも当該カマレス金具は、例えば、ニッケルクロム鋼等の最高強度で高価な特殊材料を用いる必要があり、尚且つ作業時の張力や金車抱き角を制限せざるを得なかった。
また、電線張替工事の際には、延線用金車に比べて直径の小さな吊金車をスムーズに通過させるためにカマレス金具の段差発生箇所にパットを取り付ける必要があった。
さらに、緊線用工具(平行クレビスリンク)については、カマレス金具の緊線用工具取付用直角クレビスリンクや直角リンクに取付け部が密着するように精密に製作しても、緊線時に加わる曲げ荷重が大きく、部分的な接触が起こり接触部分に応力が集中するため、カマレス金具の変形や破損、表面のメッキ剥離等が発生するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-169412号公報
【特許文献2】特開2012-125093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、叙上の従来技術の問題点を解決すべく、プレハブカマレス工法用連結金具の部品点数低減及び軽量化をおこなった。この発明により、送電線の延線及び緊線時にプレハブカマレス工法用連結金具にかかる曲げ応力を低減し、変形等を防止することでカマレス金具の繰り返し使用が可能となり、且つ延線及び緊線の作業性向上及び作業時間短縮ができるプレハブカマレス工法用連結金具並びにこれを用いた延線及び緊線工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、鉄塔間に架設される送電線の延線及び緊線に使用するためのプレハブカマレス工法用連結金具であって、
前記プレハブカマレス工法用連結金具は、カマレス金具、延線用工具、及び緊線用工具からなり、
前記カマレス金具は、連結軸を介して互いに長手方向の端部が回動自在に連結された第1カマレス金具及び第2カマレス金具を含む2個又は3個のカマレス金具からなり、
前記第1カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が圧縮クランプの端部に第1連結軸を介して回動自在に連結され、
前記第2カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が第3連結軸を介して延線用工具に回動自在に連結され、
前記延線用工具は、長手方向のもう一方の端部がワイヤコネクタの端部に第4連結軸を介して回動自在に連結され、
前記緊線用工具は、前記第1カマレス金具に緊線用工具取付部を介して回動自在に連結されることを特徴とするプレハブカマレス工法用連結金具に関する。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記第1カマレス金具又は前記第2カマレス金具のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D1と、前記第2カマレス金具又は前記延線用工具のクレビス部又はアイ部が吊金車との接する面に対し垂直方向の幅D2が略同等であり、前記吊金車が通過する前記第2カマレス金具と前記延線用工具の第3連結軸を介した連結部位の溝幅D3と前記吊金車の直径D4の関係がD3<D4であることを特徴とする、請求項1に記載のプレハブカマレス工法用連結金具に関する。
【0013】
請求項3に係る発明は、鉄塔間に架設される送電線の延線及び緊線に使用するためのプレハブカマレス工法用連結金具であって、
前記プレハブカマレス工法用連結金具は、カマレス金具、延線用工具、及び緊線用工具からなり、
前記カマレス金具は、長手方向の一端部が圧縮クランプの端部に第1連結軸を介して回動自在に連結され、長手方向のもう一方の端部が第2連結軸を介して前記延線用工具と回動自在に連結され、
前記延線用工具は、長手方向のもう一方の端部が、もうひとつの延線用工具と第3連結軸を介して回動自在に連結され、
前記もうひとつの延線用工具は、長手方向のもう一方の端部がワイヤコネクタの端部に第4連結軸を介して回動自在に連結され、
前記緊線用工具は、前記カマレス金具に緊線用工具取付部の取付孔を介して回動自在に連結されることを特徴とするプレハブカマレス工法用連結金具に関する。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記カマレス金具又は前記延線用工具のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D1と、隣接する前記延線用工具同士のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D2が略同等であり、前記吊金車が通過する前記延線用工具とワイヤコネクタの第4連結軸を介した連結部位の溝幅D3と前記吊金車の直径D4の関係がD3<D4であることを特徴とする、請求項3に記載のプレハブカマレス工法用連結金具に関する。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記カマレス金具は、直角クレビス、直角クレビスリンク、角度クレビス、角度クレビスリンク、直角リンク、及び角度リンクからなる群から選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプレハブカマレス工法用連結金具に関する。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記プレハブカマレス工法用連結金具を用いて、鉄塔間に送電線を延線及び緊線する工法であって、前記プレハブカマレス工法用連結金具の一部である前記延線用工具は、延線作業時に使用し、緊線作業前に取り外すことが可能である、鉄塔間に送電線を延線及び緊線する工法に関する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、プレハブカマレス工法用連結金具は、カマレス金具、延線用工具、及び緊線用工具からなり、前記カマレス金具は、連結軸を介して互いに長手方向の端部が回動自在に連結された第1カマレス金具及び第2カマレス金具を含む2個又は3個のカマレス金具からなり、前記第1カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が圧縮クランプの端部に第1連結軸を介して回動自在に連結され、前記第2カマレス金具は、長手方向のもう一方の端部が第3連結軸を介して前記延線用工具に回動自在に連結され、前記延線用工具は、長手方向のもう一方の端部がワイヤコネクタの端部に第4連結軸を介して回動自在に連結され、前記緊線用工具は、前記第1カマレス金具に緊線用工具取付部を介して回動自在に連結されるため、延線時及び緊線時にプレハブカマレス工法用連結金具に加わる曲げ荷重が小さくなり、カマレス金具の変形や表面のメッキ剥離を防止することができる。
また、緊線時に使用する緊線用工具においても、緊線用工具を取り付けるカマレス金具に緊線用工具の取付部が密着するように精密な寸法で製作する必要がなく、構造や形状にもこだわらない汎用工具を使用することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、前記第1カマレス金具又は前記第2カマレス金具のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D1と、前記第2カマレス金具又は前記延線用工具のクレビス部又はアイ部が吊金車との接する面に対し垂直方向の幅D2が略同等であり、前記吊金車が通過する前記第2カマレス金具と前記延線用工具の第3連結軸を介した連結部位の溝幅D3と前記吊金車の直径D4の関係がD3<D4であるため、電線張替に用いる場合等の延線作業において、吊金車を通過させる際、段差による送電線の動揺を抑制できることから、従来使用していたカマレス金具の段差をなくすためのパットを必要としない。このため、パットの取付け及び取外し時間を短縮でき、作業性を向上させることができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、プレハブカマレス工法用連結金具は、カマレス金具、延線用工具、及び緊線用工具からなり、前記カマレス金具は、長手方向の一端部が圧縮クランプの端部に第1連結軸を介して回動自在に連結され、長手方向のもう一方の端部が第2連結軸を介して前記延線用工具と回動自在に連結され、前記延線用工具は、長手方向のもう一方の端部が、もうひとつの延線用工具と第3連結軸を介して回動自在に連結され、前記もうひとつの延線用工具は、長手方向のもう一方の端部がワイヤコネクタの端部に第4連結軸を介して回動自在に連結され、前記緊線用工具は、前記カマレス金具に緊線用工具取付部の取付孔を介して回動自在に連結されるため、延線時及び緊線時にカマレス金具に加わる曲げ荷重が小さくなって、カマレス金具の変形や表面のメッキ剥離を防止することができる。
また、緊線時に使用する緊線用工具においても、緊線用工具を取り付けるカマレス金具に緊線用工具の取付部が密着するように精密な寸法で製作する必要がなく、構造や形状にもこだわらない汎用工具を使用することができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、前記カマレス金具又は前記延線用工具のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D1と、隣接する前記延線用工具同士のクレビス部又はアイ部が吊金車と接する面に対し垂直方向の幅D2が略同等であり、前記吊金車が通過する前記延線用工具とワイヤコネクタの第4連結軸を介した連結部位の溝幅D3と前記吊金車の直径D4の関係がD3<D4であるため、電線張替に用いる場合等の延線作業において、吊金車を通過させる際、段差による送電線の動揺を抑制できることから、従来使用していたカマレス金具の段差をなくすためのパットを必要としない。このため、パットの取付け及び取外し時間を短縮でき、作業性を向上させることができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、カマレス金具は、直角クレビス、直角クレビスリンク、角度クレビス、角度クレビスリンク、直角リンク、及び角度リンクからなる群から選択されるため、クロムモリブデン鋼等の特殊材料を用いた高強度で高価なカマレス金具ではなく、架空送電線の工法等に通常使用されている工具で、軽量且つ安価な汎用性の高い材料を使用することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、プレハブカマレス工法用連結金具を用いて、鉄塔間に送電線を延線及び緊線する工法であって、前記プレハブカマレス工法用連結金具の一部である前記延線用工具は、延線作業時に使用し、緊線作業前に取り外すことが可能であるため、取り外した延線用工具は繰り返し使用することができる。また、従来の緊線作業と比較して部品点数を低減でき、作業性を向上させ、作業員の作業時間(特に高所での作業時間)を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例に係るプレハブカマレス工法用連結金具の平面図であって、(a)は本発明の一実施形態に係るプレハブカマレス工法用連結金具の平面図、(b)は(a)の90°側面方向を示した平面図である。
【
図2】本発明の変更例に係るプレハブカマレス工法用連結金具の平面図であって、(a)は本発明の別の実施形態に係るプレハブカマレス工法用連結金具の平面図、(b)は(a)の平面図の90°側面方向を示した平面図である。
【
図3】本発明の実施例に係るプレハブカマレス工法用連結金具を吊金車が通過する状況を説明するための平面図であって、(a)は本発明の一実施形態に係るプレハブカマレス工法用連結金具の平面図、(b)は(a)の90°側面方向を示した平面図、(c)は(a)を吊金車が通過する際の説明図、(d)は(b)を吊金車が通過する際の説明図である。
【
図4】従来技術におけるプレハブカマレス工法用連結金具を示す平面図であって、(a)はプレハブカマレス工法用連結金具の従来品を示す平面図、(b)は(a)の90°側面方向を示した平面図、(c)はカマレス金具に緊線用工具を連結させた際の平面図である。
【
図5】本発明に係るカマレス金具が2個又は1個の場合に連結させる緊線用工具の一実施形態を示す平面図であって、(a)はカマレス金具2個の場合の緊線用工具を示す平面図、(b)はカマレス金具1個の場合の緊線用工具を示す平面図である。
【
図6】本発明に係るカマレス金具の延線時の引張荷重に対する発生応力及び発生歪量についての測定実験の説明図であって、(a)は実験条件の説明図、(b)は測定結果を示す図である。
【
図7】比較例の延線時の引張荷重に対する発生応力及び発生歪量についての測定実験の説明図であって、(a)は実験条件の説明図、(b)は測定結果を示す図である。
【
図8】比較例の緊線時の引張荷重に対する発生応力及び発生歪量についての測定実験の説明図であって、(a)は実験条件の説明図、(b)は測定結果を示す図である。
【
図9】従来のプレハブカマレス工法を実施する際の延線用金車部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1~4を参照して本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施例に係るプレハブカマレス工法用連結金具(1)の平面図であり、第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)共に直角クレビスリンク(CLR)(2)で構成されている。
図2は、本発明の変更例に係るプレハブカマレス工法用連結金具(1)の平面図であり、第1カマレス金具(21)は直角クレビス(CR)(3)、第2カマレス金具(22)は直角リンク(LR)(4)で構成されている。
【0026】
図1及び
図2に示す如く、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具(1)は、カマレス金具、延線用工具(5)及び緊線用工具(
図1及び
図2中には図示せず)から構成されている。
尚、第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)は、架空送電線の延線及び緊線工法で通常用いられる工具であり、直角クレビス(3)、直角クレビスリンク(2)、角度クレビス、角度クレビスリンク、直角リンク(4)、角度リンク等当業者に自明のものであれば、全て用いることができる。
【0027】
プレハブカマレス工法用連結金具(1)は、第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)が第2連結軸(12)で連結することにより、第1カマレス金具(21)と第2カマレス金具(22)とを一体化する。
プレハブカマレス工法用連結金具(1)は、平面視略楕円形状を呈しており、短尺クランプ(C)側から、第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)、延線用工具(5)の順にワイヤコネクタ(33)へ連結されている。
プレハブカマレス工法用連結金具(1)の構成部品は夫々長手方向の端部に連結軸を備えており、短尺クランプ(C)と第1カマレス金具(21)は第1連結軸(11)、第1カマレス金具(21)と第2カマレス金具(22)は第2連結軸(12)、第2カマレス金具(22)と延線用工具(5)は第3連結軸(13)、延線用工具(5)とワイヤコネクタ(33)は第4連結軸(14)で回動自在に連結されている。
また、緊線作業時には、緊線用工具(6)が第1カマレス金具(21)の緊線用工具取付部(
図1及び
図2中には図示せず)を介して回動自在に連結される。
【0028】
叙上の通り、第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)は同じ形状を備えた部材である(
図1参照)。
しかしながら、夫々が異なる部材であってもよく、例えば、第1カマレス金具(21)に
図1に記載のカマレス金具を用い、第2カマレス金具(22)に
図2に記載のカマレス金具を用いても良い。
【0029】
プレハブカマレス工法用連結金具(1)の形状は平面視略楕円形状に限定されず、第1カマレス金具(21)と第2カマレス金具(22)とを一体化することができる形状であれば、例えば、長円状、矩形状等、いかなる形状であってもよい。
また、第2連結軸(12)と第3連結軸(13)の形状は、第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)と回動自在に連結することができる形状であり、当業者に自明のものであれば、いかなる形状であってもよい。
【0030】
叙上の通り、プレハブカマレス工法用連結金具(1)の第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)等の連結機構は特に限定されないが、例えば、
図1の(a)に示す如く、第1カマレス金具(21)及び第2カマレス金具(22)の両端に設けられたコッタピン(P)により連結してもよい。
尚、第1連結軸(11)、第2連結軸(12)、及び第3連結軸(13)にはコッタピン(P)だけでなく、例えばボルト等、連結に通常用いられる部材であり、当業者に自明である部材であれば、全て用いることができる。
【0031】
図3は、本発明の実施例に係るプレハブカマレス工法用連結金具(1)を吊金車(K2)が通過する状況を説明するための平面図であり、(a)は本発明の一実施形態に係るプレハブカマレス工法用連結金具(1)の平面図、(b)は(a)の90°側面方向を示した平面図、(c)は(a)を吊金車(K2)が通過する際の説明図、(d)は(b)を吊金車(K2)が通過する際の説明図を示している。
【0032】
吊金車(K2)は、送電線の張替えや撤去工事などで採用される吊金延線工法において使用される。吊金車(K2)は、鉄塔間に張った支持線(電線又は支持ロープ)に多数吊下げて使用され、送電線の張替え、撤去、新設をおこなうために用いられる。
【0033】
吊金工法は、金車を鉄塔のみでなく、径間内の既設送電線や延線が完了した送電線、又は新たに架設したワイヤロープ(支持線)から吊り下げ、その金車上をメッセンジャワイヤにより送電線を牽引する方法で、既設送電線や延線が完了した送電線、又は新たに架設したワイヤロープ(支持線)から吊下げた小型金車(吊金車(K2))で径間内の送電線及び延線用ワイヤロープを支持することで、それらの垂下防止を図る工法である。送電線を支持線で支えることで垂下防止を図るため、送電線の延線張力は小さくなり、送電線の負荷は引抜延線工法よりも大幅に少なくて済み、劣化電線の張替えなど、低張力を要する延線に適用される。
吊金工法の特徴は、延線区画内に横過物件があっても防護設備を設置することなく延線できることであり、防護対象物件が多数ある人家密集地等の市街化地域、特別高圧、鉄道、高速道路横断箇所など、足場構築の難しい箇所や充電部接近箇所の延線に採用される。
【0034】
図3の(a)、(b)は、
図1に示したプレハブカマレス工法用連結金具(1)である。このプレハブカマレス工法用連結金具(1)において、第1カマレス金具(21)の第1連結軸(11)から第2連結軸(12)までの長さは90mm、第2カマレス金具(22)の第2連結軸(12)から第3連結軸(13)までの長さは80mm、延線用工具(5)の第3連結軸(13)から第4連結軸(14)までの長さは80mmであり、これら3箇所の長さを合わせると250mmである。
また、第1カマレス金具(21)又は第2カマレス金具(22)のクレビス部又はアイ部が吊金車(K2)と接する面に対し垂直方向の幅をD1とし、第2カマレス金具(22)又は延線用工具(5)のクレビス部又はアイ部が吊金車(K2)と接する面に対し垂直方向の幅をD2とすると、本発明に係る一実施例では、(c)に示したように、D1及びD2の長さは共に80mmであり、略同等であった。また、吊金車(K2)が通過する第2カマレス金具(22)と延線用工具(5)の第3連結軸(13)を介した連結部位の溝幅をD3、吊金車(K2)の直径をD4とすると、本発明に係る一実施例では、(c)に示したように、D3<D4であるとき、吊金車(K2)がプレハブカマレス工法用連結金具(1)を通過する際の発生歪量を減少させることができる。
このように、
図3に示すプレハブカマレス工法用連結金具(1)は、吊金車通過時における発生歪量を減少させることができるため、変形が生じ難く、長期間に亘って安全に使用することができる。
【0035】
図4は、従来技術におけるプレハブカマレス工法用連結金具であり、(a)はプレハブカマレス工法用連結金具の従来品を示す平面図、(b)は(a)の90°側面方向を示した平面図、(c)は中間カマレス金具(23)に緊線用工具(6)を連結させた際の平面図を示している。
【0036】
図4に示す如く、従来のプレハブカマレス工法用連結金具は、短尺クランプ(C)側から、第1カマレス金具(21)、中間カマレス金具(23)、及び延線用工具(5)の順にワイヤコネクタ(33)へ連結されている。
従来のプレハブカマレス工法用連結金具は、本発明に係る
図1のプレハブカマレス工法用連結金具(1)と比較し、第1カマレス金具(21)と延線用工具(5)との間に、
図4に示したように、第2連結軸(12)と第3連結軸(13)間の長さが
図1の第2カマレス金具(22)の2倍である160mmの中間カマレス金具(23)で構成されている。中間カマレス金具(23)が、本発明に係る
図1の第2カマレス金具(22)の2倍の長さを有するため、吊金車(K2)が従来のプレハブカマレス工法用連結金具を通過する際に吊金車(K2)の直径(D4)よりも大きな溝幅(D3)を乗り越えねばならず、送電線の動揺や、カマレス金具等に大きな曲げ応力が加わり、変形や表面のメッキ剥離の原因となっている。
また、従来のプレハブカマレス工法用連結金具は、夫々長手方向の端部に連結軸を備えており、短尺クランプ(C)と第1カマレス金具(21)は第1連結軸(11)、第1カマレス金具(21)と中間カマレス金具(23)は第2連結軸(12)、中間カマレス金具(23)と延線用工具(5)は第3連結軸(13)、延線用工具(5)とワイヤコネクタ(33)は第4連結軸(14)で回動自在に連結されている。
緊線作業時には、緊線用工具(6)が、中間カマレス金具(23)の緊線用工具取付部(15)を介して連結される。
【0037】
図5は、本発明に係るカマレス金具が2個又は1個の場合に連結させる緊線用工具の一実施形態であり、(a)はカマレス金具2個の場合の緊線用工具を示す平面図、(b)はカマレス金具1個の場合の緊線用工具を示している。
(a)に示したカマレス金具2個の場合は、第1カマレス金具(21)と緊線用工具(6)を緊線用工具取付部(15)を介して連結させる。
(b)に示したカマレス金具1個の場合は、第1カマレス金具(21)の緊線用工具取付部(15)に取付孔を設けて緊線用工具(6)を連結させるが、緊線用工具取付部(15)の取付孔を設ける場所や数、孔形状は特に限定されない。
本発明に係る緊線用工具(6)は、
図5に示したように、例えば、特殊平行クレビス(7)やUクレビス(8)等が挙げられるが、当業者に自明である部材であれば、全て用いることができる。
【0038】
以下、本発明に係るプレハブカマレス工法の一例について説明する。尚、以下に説明する工法は一例であって、これに限定されない。
尚、以下の例では、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具(1)を用いて緊線作業を実施しているが、これに限定されず、下記工程を実施できるプレハブカマレス工法用連結金具(1)であり、当業者に自明のものであれば、いかなるものを用いても良い。
【0039】
まず、送電線の延線作業を実施する。
延線作業時において、短尺クランプ(C)には第1カマレス金具(21)が回動自在に連結されており、プレハブカマレス工法用連結金具の他端部の延線用工具(5)にはワイヤコネクタ(33)を介して延線用ワイヤが連結されている。
延線区画中の鉄塔に延線用金車(K1)を取付け、ドラム場から各鉄塔間、及び各鉄塔からエンジン場間に張り渡したメッセンジャワイヤをウインチで巻取ることにより、端部に接続した送電線(L)を牽引する。
尚、延線作業の方法や用いる工具等については特に限定されず、送電線(L)の延線作業に通常用いられ、当業者に自明の方法や工具であれば、いかなるものを用いても良い。
【0040】
延線作業完了後に緊線作業を実施する。本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具(1)は、延線用工具(5)を取り外すことが可能であり、延線用工具(5)を取り外してから、第1カマレス金具(21)の緊線用工具取付部(15)に緊線用工具(6)を連結させて緊線作業をおこなってもよい。
これにより、緊線作業時に用いる部品点数を低減することができ、作業性を向上させると共に作業時間(特に高所での作業時間)を短縮することができる。
尚、延線作業完了後に取り外し可能な延線用工具(5)は特に限定されず、送電線(L)の延線作業時に通常用いられ、当業者に自明のものであれば、いかなるものでも用いることができる。
【実施例0041】
以下、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具並びにこれを用いた延線及び緊線工法の実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0042】
(延線時の引張荷重に対する発生応力及び発生歪量の測定)
本発明に係るプレハブカマレス工法用金具に用いるカマレス金具と、従来のカマレス金具を用いて、延線時の引張荷重に対しカマレス金具に生じる応力及び歪みを測定した。
本発明に係るカマレス金具として、
図1に記載のカマレス金具を用いた。
比較例のカマレス金具としては、CLPK-2423PK(日本カタン社製)を用いた。
表1は本発明に係るカマレス金具に、金車抱き角45°の条件で、10、20、30及び38kNの引張荷重を印加し、
図6の(a)に示す位置(P-1、P-2)での発生応力(N/mm
2)及び発生歪量(μs)を測定した結果を示す。
【0043】
【0044】
表2は比較例として、従来品のカマレス金具に、金車抱き角45°の条件で、10、20、30及び38kNの引張荷重を印加して、
図7の(a)に示す位置(P-3、P-4、P-5、P-6)での発生応力(N/mm
2)及び発生歪量(μs)を測定した結果を示す。
【0045】
【0046】
表1及び表2に記載の通り、全ての位置、全ての荷重において、本発明に係るカマレス金具に生じる発生応力(N/mm2)及び発生歪量(μs)は、比較例よりも小さいことがわかった。
尚、本発明に係るカマレス金具に生じる発生応力は、従来品のカマレス金具に生じる発生応力と比較し、約43%であった。
この結果より、延線時において、本発明に係るカマレス金具に生じる発生応力(N/mm2)及び発生歪量(μs)は従来品より小さいことがわかった。それゆえに、本発明に係るカマレス金具は従来品よりも長期間に亘って繰り返し安全に使用することができる。
【0047】
(緊線時の引張荷重対する発生応力及び発生歪量の測定)
次に、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具と、従来のプレハブカマレス工法用連結金具を用いて、緊線時の引張荷重に対する応力及び歪みを測定した。
本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具として、
図1に記載のプレハブカマレス工法用連結金具を用いた。
比較例として、従来のプレハブカマレス工法用連結金具を用いた。また、カマレス金具はCLPK-2423PK(日本カタン社製)を用いた。
表3は、比較例の従来のプレハブカマレス工法用連結金具を用いて、10、20、30、40、50、及び55kNの引張荷重を印加し、
図8の(a)に示す位置(P-7、P-8、P-9、P-10、P-11)での発生応力(N/mm
2)及び発生歪量(μs)を測定した結果を示す。
【0048】
【0049】
一方、
図1に記載のカマレス金具に、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具を用いて、10、20、30、40、50、及び55kNの引張荷重を印加したが、カマレス金具に応力及び歪みは発生しなかった。
この結果より、緊線時において、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具を用いることにより、緊線用工具に曲げ応力による歪みや表面のメッキ剥離が生じることを防止できる。それゆえに、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具を緊線作業に用いることで、同じカマレス金具を長期間繰り返し使用することができる。
本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具は、送電線の延線及び緊線時にカマレス金具等に加わる曲げ応力(発生歪量)を低減させることで、カマレス金具及び緊線用工具の変形や破損、表面のメッキ剥離の虞が減少するため、長期間繰り返し使用することができる。また、汎用材料の工具を用いてカマレス金具の部品点数低減や軽量化が可能であり、さらには、延線用工具は緊線作業前に取り外すことが可能なため、繰り返し使用することができ、コスト削減につながる。加えて、公衆の安全や延線及び緊線作業をおこなう作業員の安全確保、作業性の向上、作業時間や工期短縮に有効に使用することができる。
それゆえに、本発明に係るプレハブカマレス工法用連結金具は、鉄塔間における延線及び緊線作業に好適に利用できる。