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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109874
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ウエーハ保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220721BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201876
(22)【出願日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2021004672
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301014904
【氏名又は名称】東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹島 誠
(72)【発明者】
【氏名】久保 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】岡 浩平
(72)【発明者】
【氏名】西川 修二
【テーマコード(参考)】
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106CA39
4M106DJ02
4M106DJ03
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA08
5F131CA23
5F131EA10
5F131EB02
5F131EB05
5F131EB52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】反りや変形を生じ易いウエーハを保持する際に、当該ウエーハの外周下部の一部しか接触が許されていない場合であっても、所望の姿勢で確実に保持するウエーハ保持装置を提供すること。
【解決手段】ウエーハWを水平状態で受け取り、所定の姿勢で保持するウエーハ保持装置1であって、ウエーハWの外周下部に設定された接触許容領域Rのうち、第1支持部位S1を下方から支える第1支持部2と、第2支持部位S2を、下方から支える第2支持部3と、第3支持部位S3を支える第3支持部4と、第1昇降部と、第2昇降部と、負圧吸引部8と、制御部9と、を備える。制御部は、第1支持モードと、第2支持モードと、第3支持モードと、を少なくとも有し、第1支持モードにて受け取ったウエーハを吸引保持したまま、第1支持モードから第2支持モードに切り替えた後、第3支持モードに切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハを水平状態で受け取り、所定の姿勢で保持するウエーハ保持装置であって、
前記ウエーハの外周下部に設定された接触許容領域のうち、当該ウエーハの中心を取り囲むように少なくとも3ヶ所に振り分けて設定された第1支持部位を、下方から支える第1支持部と、
前記接触許容領域のうち、前記第1支持部の間を補う位置に設定された第2支持部位を、下方から支える第2支持部と、
前記接触許容領域のうち、前記第1支持部および前記第2支持部の間を補う位置に設定された第3支持部位を、下方から支える第3支持部と、
前記第1支持部の上端と前記第2支持部の上端との相対高さを変更する第1昇降部と、
前記第2支持部の上端と前記第3支持部の上端との相対高さを変更する第2昇降部と、
前記第1支持部位に負圧を生じさせて前記ウエーハを吸引保持する負圧吸引部と、
前記第1昇降部および前記第2昇降部における前記相対高さの変更と、前記負圧吸引部による吸引保持または解除の切替を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記第2支持部の上端および前記第3支持部の上端の高さよりも上方に前記第1支持部の上端を配置させる、第1支持モードと、
前記第3支持部の上端の高さよりも上方で、前記第1支持部の上端と前記第2支持部の上端とを同じ高さに配置させる、第2支持モードと、
前記第1支持部の上端および前記第2支持部の上端の高さを、前記第3支持部の上端の高さと同じ高さに配置させる、第3支持モードとを少なくとも有し、
前記第1支持モードにて受け取った前記ウエーハを吸引保持したまま、当該第1支持モードから前記第2支持モードに切り替えた後、前記第3支持モードに切り替える
ことを特徴とする、ウエーハ保持装置。
【請求項2】
前記第3支持部位は、保持対象である前記ウエーハの外縁形状に沿った円弧状に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のウエーハ保持装置。
【請求項3】
前記負圧吸引部は、前記第2支持部位にも負圧を生じさせて前記ウエーハを吸引保持することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のウエーハ保持装置。
【請求項4】
前記負圧吸引部は、前記第3支持部位にも負圧を生じさせて前記ウエーハを吸引保持することを特徴とする、請求項3に記載のウエーハ保持装置。
【請求項5】
ウエーハを水平状態で受け取り、所定の姿勢で保持するウエーハ保持装置であって、
前記ウエーハの外周下部に設定された接触許容領域のうち、当該ウエーハの中心を取り囲むように少なくとも3ヶ所に振り分けて設定された第1支持部位を、下方から支える第1支持部と、
前記接触許容領域のうち、前記第1支持部の間を補う位置に設定された第2支持部位を、下方から支える第2支持部と、
前記接触許容領域のうち、前記第1支持部および前記第2支持部の間を補う位置に設定された第3支持部位を、下方から支える第3支持部と、
前記第1支持部の上端と前記第2支持部の上端との相対高さを変更する第1昇降部と、
前記第2支持部の上端と前記第3支持部の上端との相対高さを変更する第2昇降部と、
前記第1支持部位に負圧を生じさせて前記ウエーハを吸引保持する負圧吸引部と、
前記第1昇降部および前記第2昇降部における前記相対高さの変更と、前記負圧吸引部による吸引保持または解除の切替を制御する制御部を備え、
前記制御部は、第1昇降モードと、第2昇降モードとを少なくとも有し、
前記第1昇降モードは、
前記第2支持部の上端および前記第3支持部の上端の高さよりも上方に前記第1支持部の上端を配置させる、第1支持モードと、
前記第3支持部の上端の高さよりも上方で、前記第1支持部の上端と前記第2支持部の上端とを同じ高さに配置させる、第2支持モードと、
前記第1支持部の上端および前記第2支持部の上端の高さを、前記第3支持部の上端の高さと同じ高さに配置させる、第3支持モードとを少なくとも有し、
前記第1支持モードにて受け取った前記ウエーハを吸引保持したまま、当該第1支持モードから前記第2支持モードに切り替えた後、前記第3支持モードに切り替え、
前記第2昇降モードは、
前記第3支持部の上端の高さよりも上方に前記第1支持部の上端を配置させる、第4支持モードと、
前記第1支持部の上端の高さを、前記第3支持部の上端の高さと同じ高さに配置させる、第5支持モードとを有し、
前記第4支持モードにて受け取った前記ウエーハを吸引保持したまま、当該第4支持モードから前記第5支持モードに切り替え、
前記制御部は、前記第1昇降モードと前記第2昇降モードのいずれかを選択して実行する
ことを特徴とする、ウエーハ保持装置。
【請求項6】
前記第2支持部は、着脱可能な構造をしており、
前記第2支持部の取付け状態を検出する在席検出部を備え、
前記制御部は、
前記在席検出部で前記第2支持部の取付けが検出されれば、前記第1昇降モードを実行し、
前記在席検出部で前記第2支持部の取外しが検出されれば、前記第2昇降モードを実行することを特徴とする、請求項5に記載のウエーハ保持装置。
【請求項7】
ウエーハを水平状態で受け取り、所定の姿勢で保持するウエーハ保持装置であって、
前記ウエーハの外周下部に設定された接触許容領域のうち、当該ウエーハの中心を取り囲むように少なくとも3ヶ所に振り分けて設定された第1支持部位を、下方から支える第1支持部と、
前記接触許容領域のうち、前記第1支持部の間を補う位置に設定された第2支持部位を、下方から支える第2支持部と、
前記接触許容領域のうち、前記第1支持部および前記第2支持部の間を補う位置に設定された第3支持部位を、下方から支える第3支持部と、
前記第1支持部の上端と前記第2支持部の上端との相対高さを変更する第1昇降部と、
前記第2支持部の上端と前記第3支持部の上端との相対高さを変更する第2昇降部と、
前記第1支持部位に負圧を生じさせて前記ウエーハを吸引保持する負圧吸引部と、
前記第1昇降部および前記第2昇降部における前記相対高さの変更と、前記負圧吸引部による吸引保持または解除の切替を制御する制御部を備え、
前記制御部は、1昇降モードと、第3昇降モードとを少なくとも有し、
前記第1昇降モードは、
前記第2支持部の上端および前記第3支持部の上端の高さよりも上方に前記第1支持部の上端を配置させる、第1支持モードと、
前記第3支持部の上端の高さよりも上方で、前記第1支持部の上端と前記第2支持部の上端とを同じ高さに配置させる、第2支持モードと、
前記第1支持部の上端および前記第2支持部の上端の高さを、前記第3支持部の上端の高さと同じ高さに配置させる、第3支持モードとを少なくとも有し、
前記第1支持モードにて受け取った前記ウエーハを吸引保持したまま、当該第1支持モードから前記第2支持モードに切り替えた後、前記第3支持モードに切り替え、
前記第3昇降モードは、
前記第2支持部の上端および前記第3支持部の上端の高さよりも上方に前記第1支持部の上端を配置させる、第6支持モードと、
前記第1支持部の上端の高さを、前記第2支持部の上端および前記第3支持部の上端の高さと同じ高さに配置させる、第7支持モードとを有し、
前記第6支持モードにて受け取った前記ウエーハを吸引保持したまま、当該第6支持モードから前記第7支持モードに切り替え、
前記制御部は、前記第1昇降モードと前記第3昇降モードのいずれかを選択して実行することを特徴とする、請求項5に記載のウエーハ保持装置。
【請求項8】
前記負圧吸引部は、前記第3支持部位にも負圧を生じさせて前記ウエーハを吸引保持することを特徴とする、請求項5~7のいずれかに記載のウエーハ保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドラー等で運ばれたウエーハ(略円形の薄板)を水平状態で受け取り、所定の姿勢で保持するウエーハ保持装置に関する。例えば、当該ウエーハ保持装置は、ウエーハを加工・処理等する処理装置や、ウエーハ上に形成されたデバイスチップの外観を撮像して検査する外観検査装置等に組み込んで用いられる。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、1枚の半導体ウエーハ上に多数の半導体デバイス回路(つまり、デバイスチップの繰り返し外観パターン)が層状に重なり合って形成された後、個々のチップ部品に個片化され、当該チップ部品がパッケージングされて、電子部品として単体で出荷されたり電気製品に組み込まれたりする。
【0003】
そして、個々のチップ部品が個片化される前に、ウエーハ上に形成されたデバイスチップの繰り返し外観パターンを撮像した検査画像と基準画像とを比較して、各チップ部品の良否等に関する検査が行われる(例えば、特許文献1)。
【0004】
そして、検査対象となるウエーハは、ハンドラーと呼ばれる自動搬送装置によりカセットキャリア等から外観検査装置へと運ばれ、検査済み基板の払い出しや未検査基板の受け渡しが行われる。
【0005】
一般的に、外観検査装置で検査等するウエーハは、上面が平坦なウエーハ保持台で下面側から全面支持されて吸引保持等するなどして、撮像・検査等が行われていた(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-155610号公報
【特許文献2】特開2006-269989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、保持対象となるウエーハの上下面に、配線パターン等の成膜が形成された機能領域がある場合、ウエーハの下面全体を平坦なウエーハ保持台で支持することが禁止される。また、ウエーハの上面側から、押さえ部材を接触させる姿勢矯正や、エアブロー等による加圧・姿勢矯正等が、禁止されていることもある。
【0008】
さらに、検査対象のウエーハが薄板であったり残留応力があったりすると、ウエーハの外周を平坦な姿勢で保持しようとしても、反りや変形が生じやすいため、ウエーハ外周の一部が浮いた状態となり、所望の姿勢で保持できないことがあった。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、
反りや変形を生じ易いウエーハを保持する際に、当該ウエーハの外周下部の一部しか接触が許されていない場合であっても、所望の姿勢で確実に保持することができるウエーハ保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本発明に係る一態様は、
ウエーハを水平状態で受け取り、所定の姿勢で保持するウエーハ保持装置であって、
ウエーハの外周下部に設定された接触許容領域のうち、当該ウエーハの中心を取り囲むように少なくとも3ヶ所に振り分けて設定された第1支持部位を、下方から支える第1支持部と、
接触許容領域のうち、第1支持部の間を補う位置に設定された第2支持部位を、下方から支える第2支持部と、
接触許容領域のうち、第1支持部および第2支持部の間を補う位置に設定された第3支持部位を、下方から支える第3支持部と、
第1支持部の上端と第2支持部の上端との相対高さを変更する第1昇降部と、
第2支持部の上端と第3支持部の上端との相対高さを変更する第2昇降部と、
第1支持部位に負圧を生じさせてウエーハを吸引保持する負圧吸引部と、
第1昇降部および第2昇降部における相対高さの変更と、負圧吸引部による吸引保持または解除の切替を制御する制御部を備え、
制御部は、
第2支持部の上端および第3支持部の上端の高さよりも上方に第1支持部の上端を配置させる、第1支持モードと、
第3支持部の上端の高さよりも上方で、第1支持部の上端と第2支持部の上端とを同じ高さに配置させる、第2支持モードと、
第1支持部の上端および第2支持部の上端の高さを、第3支持部の上端の高さと同じ高さに配置させる、第3支持モードとを少なくとも有し、
前記第1支持モードにて受け取った前記ウエーハを吸引保持したまま、当該第1支持モードから前記第2支持モードに切り替えた後、前記第3支持モードに切り替えることを特徴とする。
【0011】
上記態様によれば、ウエーハを支持する箇所や面積を段階的に増やすことができるので、反りや変形を生じ易いウエーハであっても、部分的な外周部の浮き上がりを防ぎつつ、所望の姿勢で外周部を保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
反りや変形を生じ易いウエーハを保持する際に、当該ウエーハの外周下部の一部しか接触が許されていない場合であっても、所望の姿勢で確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す斜視図である。
図2】本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す平面図である。
図3】本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示すブロック図である。
図4】本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す断面図である。
図5】本発明を具現化する形態における動作フローの一例を示すフロー図である。
図6】本発明を具現化する別の形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す斜視図である。
図7】本発明を具現化する別の形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す断面図である。
図8】本発明を具現化する別の形態における動作フローの一例を示すフロー図である。
図9】本発明を具現化するさらに別の形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す断面図である。
図10】本発明を具現化するさらに別の形態における動作フローの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX方向、Y方向と表現し、XY平面に垂直な方向(つまり、重力方向)をZ方向と表現する。また、Z方向は、重力に逆らう方向を上、重力がはたらく方向を下と表現する。
【0015】
図1は、本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す斜視図である。図2は、本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す平面図である。図1,2には、本発明に係るウエーハ保持装置1を構成する各部とその配置例が示されている。図3は、本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示すブロック図である。図3には、本発明に係るウエーハ保持装置1を構成する各部と制御部との関わりが例示されている。
【0016】
ウエーハ保持装置1は、不図示のハンドラー等で運ばれたウエーハWを水平状態で受け取り、所定の姿勢で保持するものである。保持対象となるウエーハWは、回路パターンが形成されている領域や機能性の成膜が施されている領域(概ね外縁とその周辺一部より内側部分)は、汚れや異物等の付着やキズや凹み等が生じることを避けるため、接触が許されていない。一方、これら領域より外側(外縁とその周辺一部)については、接触許容領域Rと呼ばれ、ハンドリング等のために接触が許されている。
具体的には、ウエーハ保持装置1は、第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4、第1昇降部5、第2昇降部6、負圧吸引部8、制御部9等を備えている。
【0017】
第1支持部2は、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rのうち、当該ウエーハWの中心Wcを取り囲むように少なくとも3ヶ所に振り分けて設定された第1支持部位S1を、下方から支えるものである。具体的には、第1支持部2は、第1当接支持部21、支柱22、連結部23等を備えている。
【0018】
第1当接支持部21は、ウエーハWの外周下部Wbの第1支持部位S1と当接し、第1支持部位S1を下方から支え保持するものである。
具体的には、平面視してウエーハWの中心Wcを基準にすると、第1支持部位S1は、約120度間隔で振り分けた3ヶ所に設定されており、これら部位S1と位置が対応する様に第1当接支持部21が3ヶ所に配置されている。
より具体的には、第1当接支持部21は、第1支持部2の上端に配置されて、本体が金属や樹脂、ゴム等で構成されており、上端とエアが連通するエア連通口を備えた構造(例えば筒状)をしている。
【0019】
支柱22は、第1当接支持部21の上端位置を所定の高さに揃えるものである。具体的には、支柱22は、ウエーハWの厚み方向(Z方向)に所定の長さを有する棒状部材で構成されている。
【0020】
連結部23は、支柱22の下部をそれぞれ固定しつつ、第1昇降部5と連結するものである。具体的には、連結部23は、平面視すると略Y字状をしており、中央付近から放射状に伸びた様な形の板状部材で構成されている。
【0021】
第2支持部3は、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rのうち、第1支持部位S1の間を補う位置に設定された第2支持部位S2を、下方から支えるものである。具体的には、第2支持部3は、第2当接支持部31、支柱32、連結部33等を備えている。
【0022】
第2当接支持部31は、ウエーハWの外周下部Wbの第1支持部位S1の間を補う位置に設定された第2支持部位S2と当接し、第2支持部位S2を下方から支えるものである。
具体的には、平面視してウエーハWの中心Wcを基準にすると、第2支持部位S2は、第1支持部位S1に対して約60度ずれた位置に振り分けた3ヶ所に設定されており、これら部位S2と位置が対応する様に第2当接支持部31が配置されている。
より具体的には、第2当接支持部31は、第2支持部3の上端に配置されて、本体が金属や樹脂、ゴム等で構成されており、上端とエアが連通するエア連通口を備えた構造(例えば筒状)をしている。
【0023】
支柱32は、第2当接支持部31の上端位置を所定の高さに揃えるものである。具体的には、支柱32は、ウエーハWの厚み方向(Z方向)に所定の長さを有する棒状部材で構成されている。
【0024】
連結部33は、支柱32の下部をそれぞれ固定しつつ、第2昇降部6と連結するものである。具体的には、連結部33は、平面視すると略Y字状をしており、中央付近から放射状に伸びた様な形の板状部材で構成されている。
【0025】
第3支持部4は、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rのうち、第1支持部位S1および第2支持部位S2の間を補う位置に設定された第3支持部位S3を、下方から支えるものである。具体的には、第3支持部4は、第3当接支持部41、支柱42、円弧状当接支持部43等を備えている。
【0026】
第3当接支持部41は、ウエーハWの外周下部Wbの第1支持部位S1および第2支持部位S2の間を補う位置に設定された第3支持部位S3の少なくとも一部(円状の領域)と当接し、第3支持部位S3を下方から支えるものである。
具体的には、平面視してウエーハWの中心Wcを基準にすると、第3当接支持部41は、第1当接支持部21又は第2当接支持部31に対して約30度ずれた位置に振り分けた6ヶ所に配置されている。
より具体的には、第3当接支持部41は、第3支持部4の上端に配置されて、本体が金属や樹脂、ゴム等で構成されており、上端とエアが連通するエア連通口を備えた構造(例えば筒状)をしている。
【0027】
支柱42は、第2当接支持部31の上端位置を所定の高さに揃えるものである。
具体的には、支柱42は、ウエーハWの厚み方向(Z方向)に所定の長さを有する棒状部材で構成されている。
【0028】
円弧状当接支持部43は、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rのうち、第1支持部位S1および第2支持部位S2の間を補う位置に設定された第3支持部位S3の円弧状の領域と当接し、当該領域を下方から支えるものである。さらに、円弧状当接支持部43は、その上端が第3当接支持部41の上端と同じ高さに設定して配置されている。
具体的には、平面視してウエーハWの中心Wcを基準にすると、円弧状当接支持部43は、第1当接支持部21、第2当接支持部31および第3当接支持部41の隙間を埋めるような位置(例えば12ヶ所)に、ウエーハWの外縁形状に沿った円弧状の部材が配置されている。
より具体的には、円弧状当接支持部43は、金属や樹脂、ゴム等で構成されており、不図示の連結金具等を介して装置フレーム1fに取り付けられている。
なお、「同じ高さ」とは、ミクロン単位で同じ高さである状態のみならず、ウエーハWを取り扱う上で支障の無い範囲で同じとみなせる状態も含み、上下方向の多少の誤差(例えば、弾性部材の変形で生じるミリ単位の誤差)が含まれていても良い(以下も同じ)。
【0029】
第1昇降部5は、第1支持部2の上端と第2支持部3の上端との相対高さを変更するものである。
具体的には、第1昇降部5は、第1支持部2をウエーハWの厚み方向(Z方向)に昇降動作させるものであり、第1支持部2の連結部材23を上下方向(Z方向)に昇降動作させるロッド51と、フレーム1fに取り付けられた本体部52等を備えている。
より具体的には、第1昇降部5は、ラックアンドピニオン機構やカム機構などの回転運動を直線運動に変換する機構(いわゆる、アクチュエータ)で構成されており、回転運動を行うモータ(ステッピングモータやサーボモータ等)を備えている。このモータは、制御部8に接続されており、所定の回転数で回転したり、所定の角度で静止したりする。そのため、第1昇降部5は、制御部8からの制御信号に基づいて、ロッド51を所定の速度で移動させたり、所定の位置で静止させたりすることができる。そのため、第1昇降部5は、第1支持部2を上下方向に移動させたり、所定の高さで静止させたりすることができる。
【0030】
第2昇降部6は、第2支持部3の上端と第3支持部4の上端との相対高さを変更するものである。
具体的には、第2昇降部6は、第2支持部4をウエーハWの厚み方向(Z方向)に昇降動作させるものであり、第2支持部3の連結部材33を上下方向(Z方向)に昇降動作させるロッド61と、フレーム1fに取り付けられた本体部62等を備えている。
より具体的には、第2昇降部6は、第1昇降部5と同様の構成をしており、制御部8からの制御信号に基づいて、ロッド61を所定の速度で移動させたり、所定の位置で静止させたりすることができる。そのため、第2昇降部6は、第2支持部3を上下方向に移動させたり、所定の高さで静止させたりすることができる。
【0031】
負圧吸引部8は、第1支持部位S1、第2支持部位S2および第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持するものである。
具体的には、負圧吸引部8は、ウエーハWの外周下部Wbと当接する第1支持部2、第2支持部3および第3支持部4の上端に負圧を生じさせることで、ウエーハWを吸引保持するものである。
より具体的には、負圧吸引部8は、第1当接支持部21、第2当接支持部31および第3当接支持部41のエア連通口に接続されたエア配管、切替バルブ、負圧発生手段等で構成されている。
【0032】
切替バルブは、第1当接支持部21、第2当接支持部31および第3当接支持部41のエア連通口それぞれと、負圧発生手段とを連通(つまり、吸引保持)させるか、大気と連通(つまり、吸引解除)させるかを個別に切り替えるものであり、制御部8と接続されている。
【0033】
負圧発生手段としては、真空ポンプやエジェクタ、それらに接続された圧力タンクや接続用配管等が例示できる。
【0034】
そして、第1当接支持部21、第2当接支持部31、第3当接支持部41は、切替バルブなどを介して真空ポンプなどの負圧発生手段と接続されている。そして、第1当接支持部21、第2当接支持部31、第3当接支持部41は、制御部8にて切替バルブ等を制御して、負圧状態若しくは大気解放状態に切り替えることで、ウエーハWを保持したり保持解除したりすることができる。
【0035】
制御部9は、第1昇降部5および第2昇降部6における相対高さの変更を制御するものである。さらに、制御部9は、負圧吸引部8による吸引保持または解除の切替を制御するものである。
具体的には、制御部9は、第1昇降部5のモータと第2昇降部6のモータを制御して、ウエーハWを支え保持する高さを、上段位置H/中段位置M/下段位置Lに変更するものである。制御部9は、上段位置Hに切り替える第1支持モード、中段位置Mに切り替える第2支持モード、下段位置Lに切り替える第3支持モードを有しており、これら支持モードに切り替えることができる。なお、ここで言う上段位置H/中段位置M/下段位置Lとは、ウエーハWを支持する高さの違いに依らず、第1支持部2の上端、第2支持部3の上端および第3支持部4の上端の互いの位置関係に基づいて定義づけられた呼称である。
【0036】
より具体的には、制御部9は、コンピュータやプログラマブルロジックコントローラ等(つまり、ハードウェア)と、その実行プログラム等(つまり、ソフトウェア)で構成されており、制御対象となる各部(第1昇降部5や第2昇降部5のモータ、負圧吸引部8の切替バルブ等)と制御信号を入出力し、所定の制御処理を行うよう構成されている。
【0037】
図4は、本発明を具現化する形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す断面図である。図4(a)には、上段位置HにてウエーハWを支持している様子が示されている。
図4(b)には、を中段位置MにてウエーハW支持している様子が示されている。
図4(c)には、下段位置LにてウエーハWを支持している様子が示されている。
【0038】
上段位置は、第2支持部3の上端および第3支持部4の上端の高さよりも上方に第1支持部2の上端を配置させる位置関係を言う。そして、このような状態に移行して当該状態に保つモードを「第1支持モード」と呼ぶ。
具体的には、第1支持モードでは、第2当接保持部31および第3当接保持部41の上端の高さよりも上方に、第1当接保持部21の上端を配置させる。
【0039】
第1支持モード(上段位置)にてウエーハWを上方から下降させて受渡動作を行えば、ウエーハWの第1支持部位S1に第1当接保持部21が当接するが、第2支持部位S2と第2当接保持部31や、第3支持部位S3と第3当接保持部41とは離隔した状態となる。このとき、外周下部を3ヶ所で支持されているウエーハWはたわみ易く、ウエーハWの第1支持部位S1ではない部位(例えば、第2支持部位S2)は、垂れ下がった状態になることが多い。
【0040】
中段位置は、第3支持部4の上端の高さよりも上方で、第1支持部2の上端と第2支持部3の上端とを同じ高さに配置させる位置関係を言う。そして、このような状態に移行して当該状態に保つモードを「第2支持モード」と呼ぶ。
具体的には、第2支持モードでは、第3当接保持部41の上端の高さよりも上方で、第1支持部2の上端と第2支持部3の上端とを同じ高さに配置させる。
【0041】
第1支持モード(上段位置)でウエーハWを保持した状態から第2支持モード(中段位置)に切り替えれば、ウエーハWの第1支持部位S1と第1当接保持部21とが当接したまま、さらに第2支持部位S2と第2当接保持部31とが当接する。つまり、ウエーハWの外周下部Wbを支持する場所が増えると共に支持する間隔が狭くなる。
このとき、外周下部を6ヶ所で支持されているウエーハWのたわみが改善され、ウエーハWの第1支持部位S1および第2支持部位S2ではない部位(例えば、第3支持部位S3等)の垂れ下がりが減少する。
【0042】
下段位置は、第1支持部2の上端および第2支持部3の上端の高さを、第3支持部4の上端の高さと同じ高さに配置させる位置関係を言う。そして、このような状態に移行して当該状態に保つモードを「第3支持モード」と呼ぶ。
具体的には、第3支持モードでは、第1当接保持部21の上端および第2当接保持部31の上端の高さを、第3当接保持部41の上端の高さと同じ高さに配置させる。
【0043】
第2支持モード(中段位置)でウエーハWを保持した状態から第3支持モード(下段位置)に切り替えれば、ウエーハWの第1支持部位S1と第1当接保持部21とが当接し、第2支持部位S2と第2当接保持部31とが当接したまま、さらに第3支持部位S3と第3当接保持部41とが当接する。
このとき、ウエーハWは、外周下部を外周全域に亘って支持されるため、中心部Wcは自重による凹みが生じるものの、外周のみに着目すれば垂れ下がりが改善され、平坦な状態で支持されることとなる。
【0044】
<動作フロー>
図5は、本発明を具現化する形態における動作フローの一例を示すフロー図である。
【0045】
先ず、ウエーハ保持装置1は、ウエーハWの受け取りが可能であれば、制御部9を第1支持モード(上段位置)に切り替え、待機する(ステップs1)。
【0046】
その後、ウエーハWを載置し(ステップs2)、ウエーハWの第1支持部位S1を吸引保持させる(ステップs3)。
【0047】
そして、第1昇降部5や第2昇降部6を制御して、第2支持モード(中段位置)へ切り替え(ステップs4)した後、第3支持モード(下段位置)へ切り替える(ステップs5)。なお、第1支持モード(上段位置)から第2支持モード(中段位置)へ切り替えたときに、第2支持部位S2に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持し、第2支持モード(中段位置)から第3支持モード(下段位置)へ切り替えたときに、第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持させる。
【0048】
その後、所望の処理や検査等を実行し(ステップs6)、処理等が終了したかどうかを判定する(ステップs7)。そして、処理等が終了していなければ、上述のステップs6を継続し、処理等が終了していれば一連のフローを終了する。
【0049】
この様な構成をしているため、本発明に係るウエーハ保持装置1は、ウエーハWを支持する箇所や面積を段階的に増やすことができるので、反りや変形を生じ易いウエーハWであっても、部分的な外周部の浮き上がりを防ぎつつ、所望の姿勢で外周部を保持することができる。そのため、反りや変形を生じ易いウエーハを保持する際に、当該ウエーハの外周下部の一部しか接触が許されていない場合であっても、所望の姿勢で確実に保持することができる。
【0050】
[変形例]
(第3支持部4について)
なお上述では、第3支持部4として、第3当接支持部41と円弧状当接支持部43を備えた構成を例示した。この場合、第3支持部位S3として、保持対象であるウエーハWの外縁形状に沿った円弧状に設定しておく。
この様な構成であれば、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rの大部分を支持することができ、極めて平坦な状態で支持できるため、より好ましい。
【0051】
しかし、第3支持部4は、この様な構成に限定されず、他の構成であっても本発明を具現化することができる。
例えば、第3当接支持部41を省き、円弧状当接支持部43複数箇所に離隔配置させる構成としても良い。或いは、円弧状当接支持部43を省き、第3当接支持部41を複数箇所に離隔配置させる構成としても良い。この様な構成でも、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rを全周に亘って複数箇所で支えるので、ウエーハWを所望の姿勢で確実に保持することができる。
【0052】
なお上述では、平面視してウエーハWの中心Wcを基準にすると、第1支持部位S1と第2支持部位S2が互いに60度間隔で振り分け配置された位置に設定され、これらの間を補う位置に第3支持部位S3が設定されており、これら部位S1~S3に対応する位置に、第1当接支持部21や第2当接支持部31、第3当接支持部41、円弧状当接支持部43が配置されている構成を例示した。この様な構成であれば、ウエーハWの外周を均等に振り分けて下方から支持し、上段位置から中段位置、下段位置へと支持状態を切り替える際に、ウエーハ外周の反りを改善しやすいため、好ましい。しかし、第1支持部位S1と第2支持部位S2は、この様な均等配置に限らず、適宜変更しても良い。また、第1支持部位S1は、4箇所以上に設定されていても良いし、第2支持部位S2は、4箇所以上に設定されていても良い。これら支持点数は、ウエーハWの厚みや変形量、残留応力等に応じて適宜決定すれば良い。
【0053】
(負圧吸引部8について)
なお上述では、負圧吸引部8として、第1支持部位S1、第2支持部位S2および第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持する構成を例示した。さらに、制御部9は、第2支持モード(中段位置)へ切り替えたときに、第2支持部位S2に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持し、第3支持モード(下段位置)へ切り替えたときに、第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持させるフローを例示した。
この様な構成であれば、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rの幅(つまり、径方向の長さ)が短くても、負圧吸引する箇所および面積を増やすことができる。そのため、ウエーハWを吸引保持する圧力を低めに設定しても、全体として保持力を高めることができ、保持中に外力が加わっても外れにくくなるので、好ましい。
【0054】
しかし、負圧吸引部8は、この様な構成に限定されず、他の構成であっても本発明を具現化することができる。例えば、円弧状当接支持部43を多孔質材料で構成したり、円弧状当接支持部43の上面に溝や細孔を設けてエアが連通する構成にしたりして、第3当接支持部41と同様に負圧発生手段と接続しても良い。そうすることで、負圧吸引する箇所および面積を一層増やすことができる。そのため、ウエーハWを吸引保持する圧力を低めに設定しても、全体として保持力を高めることができ、保持中に外力が加わっても外れにくくなるので、より好ましい。
【0055】
或いは、第1支持部位S1のみに負圧を生じさせる構成や、第1支持部位S1と第2支持部位S2に負圧を生じさせる構成としても良い。この様な構成でも、ウエーハWの外周下部Wbに設定された接触許容領域Rには負圧吸引力がはたらいているので、ウエーハWを所望の姿勢で確実に保持することができる。
【0056】
(第1支持部2と第2支持部3について)
なお上述では、第1支持部2の支柱22よりも第2支持部3の支柱32の方が長く、第1支持部2の連結部材23が、第2支持部3の連結部材33よりも上方に配置されている構成を例示した。しかし、第1支持部2と第2支持部3は、この様な構成に限定されず、他の構成であっても本発明を具現化することができる。例えば、第1支持部2の連結部材23を第2支持部3の連結部材33よりも下方に配置し、第1支持部2の支柱22を第2支持部3の支柱32よりも長い構成としても良い。このとき、上段位置と中段位置との変更により連結部材23と連結部材33とが干渉しないようなクリアランスを考慮して、第1支持部2の支柱22の長さを設定する。
【0057】
なお上述では、第1昇降部5と第2昇降部6がそれぞれ独立して、装置フレーム1fに取り付けられており、第1昇降部5と第2昇降部6には各々モータを備えた構成を例示した。この様な構成であれば、モータの回転角度や回転速度等を制御して、第1支持部2や第2支持部3の上端の位置や移動速度等をきめ細かく制御できるため好ましい。
【0058】
しかし、第1昇降部5と第2昇降部6は、この様な構成に限定されず、他の構成であっても本発明を具現化することができる。例えば、第1昇降部5が、第2支持部3の連結部材33に取り付けられた構成(いわゆる、2段重ね構造)としても良い。この場合、第1昇降部5と第2昇降部6は、モータの回転による昇降機構であってもよいし、エアシリンダー等のアクチュエータを用いても良い。
【0059】
なお上述では、第1昇降部5として、第1支持部2をウエーハWの厚み方向(Z方向)に昇降動作させる構成を例示し、第2昇降部6として、第2支持部3をウエーハWの厚み方向(Z方向)に昇降動作させる構成を例示した。この様な構成であれば、上段位置Hから中段位置MにウエーハWを下降させ、中段位置Mから下段位置LにウエーハWを下降させるため、下段位置での重心を下方に下げることができる。また、部品点数が比較的少なく、重量の軽いユニットを昇降動作させるため、第1昇降部6や第2昇降部7のアクチュエータを小型化することができる。そのため、ウエーハ保持装置1を検査装置やプロセス機器等に組み込んで運用するのに好ましい。
【0060】
しかし、第1昇降部5と第2昇降部6は、この様な構成に限定されず、下述の様な構成としても良い。例えば、第1支持部3を固定しておき、第2支持部3を第1昇降部5にて昇降動作させ、第3支持部4を第2昇降部6にて昇降動作させる構成(いわゆる、せり上がり構造)としても良い。
この場合、第2支持部3と第3支持部4を下降させ、第1支持部3の上端が最も上方にある状態を上段位置Hと定義する。また、第3支持部4が下降したままで、第2支持部3を上昇させて、第1支持部3と第2支持部4の上端が第3支持部4の上端よりも上方にある状態を中段位置と定義する。また、第2支持部3と第3支持部4を上昇させ、第1支持部3と第2支持部4と第3支持部4の上端が同じ高さにある状態を下段位置と定義する。
【0061】
また上述では、第1昇降部5として、1つのアクチュエータで第1支持部2の連結部材23を上下方向に昇降させる構成を例示した。この様な構成であれば、複数組ある第1当接支持部21と支柱22を一体的に昇降させることができる。しかし、第1昇降部5は、この様な構成に限らず、複数組ある第1当接支持部21と支柱22を、それぞれ独立して昇降させる構成であっても良い。この構成の場合、第1支持部2において連結部材23を備える必要がなく、第2支持部3の連結部材33との干渉を気にせずに設計することができる。
【0062】
また上述では、第2昇降部6として、1つのアクチュエータで第2支持部3の連結部材33を上下方向に昇降させる構成を例示した。この様な構成であれば、複数組ある第2当接支持部31と支柱32を一体的に昇降させることができる。しかし、第2昇降部6は、この様な構成に限らず、複数組ある第2当接支持部31と支柱32を、それぞれ独立して昇降させる構成であっても良い。この構成の場合、第2支持部3において連結部材33を備える必要がなく、第1支持部2の連結部材23との干渉を気にせずに設計することができる。
【0063】
なお上述では、第1支持部2、第2支持部3、第3支持部4を備え、制御部9が第1支持モードから第2支持モードに切り替えた後、第3支持モードに切り替える構成を例示した。しかし、本発明を適用する上で、さらに細かなピッチで複数の支持部やそれらの上端の相対高さ変更する昇降部を備え、制御部にてより多段階で支持点数を増やしながらウエーハを支持させる構成としても良い。
【0064】
(以下、国優で追加)
なお、この様な3段階以上の多段階で支持点数を増やしながらウエーハWを支え保持する高さを変更するモードを「第1昇降モード」と呼ぶ。
【0065】
[第2の形態]
そして、本発明を具現化する上で、ウエーハ保持装置1の制御部9は、この第1昇降モードのほかに、詳細を下述する「第2昇降モード」を有し、第1昇降モードと第2昇降モードのいずれかを選択して実行する形態であっても良い。
【0066】
図6は、本発明を具現化する別の形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す斜視図である。図6には、破線で示す位置に取り付けられていた第2支持部3の連結部33等が取り外されている状態が示されている。
【0067】
具体的には、ウエーハ保持装置1は、第2支持部3を着脱可能な構造とし、第2支持部3の取り付け状態に応じて、制御部9は第1昇降モードと第2昇降モードのいずれかを選択して実行する。より具体的には、制御部9は、第2支持部3が取り付けられているときは、第1昇降モードを実行し、第2支持部3が取り外されているときは、第2昇降モードを実行する
第2昇降モードは、第4支持モードと第5支持モードとを有し、第4支持モードにて受け取ったウエーハWを吸引保持したまま、第4支持モードから第5支持モードに切り替えるものである。
【0068】
第4支持モードは、第3支持部4の上端の高さよりも上方に第1支持部2の上端を配置させるものである。
具体的には、第4支持モードでは、第1当接保持部21の上端の高さが、第3当接保持部41の上端の高さ(つまり、下段位置)よりも上方にある上段位置Hに配置するよう、第1昇降部5のアクチュエータを制御して、ウエーハWを支え保持する高さを変更する。
【0069】
第5支持モードは、第1支持部2の上端の高さを、第3支持部4の上端の高さと同じ高さに配置させるものである。
具体的には、第5支持モードでは、第1当接保持部21の上端の高さが、第3当接保持部41の上端の高さと同じ高さ(つまり、下段位置)に配置するよう、第1昇降部5のアクチュエータを制御して、ウエーハWを支え保持する高さを変更する。
【0070】
図7は、本発明を具現化する別の形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す断面図である。図7(a)には、第2昇降モードで、上段位置HにてウエーハWを支持している様子が示されている。図7(b)には、第2昇降モードで、下段位置LにてウエーハWを支持している様子が示されている。
【0071】
具体的には、第2昇降モードに切り替える場合、作業者は、第2支持部3の第2当接支持部31ないし連結部33を第2昇降部6のロッド61から取り外し、制御部9に対して第2昇降モードを実行させる操作(例えば、スイッチ操作等)を行う。一方、第1昇降モードに切り替える場合は、作業者は、第2支持部3の第2当接支持部31ないし連結部33を第2昇降部6のロッド61に取り付け、制御部9に対して第1昇降モードを実行させる操作(例えば、スイッチ操作等)を行う。
【0072】
(変形例)
なお上述では、作業者が第2支持部3の連結部33を着脱し、手動で第1昇降モードと第2昇降モードの切り替えを行う構成を例示した。
【0073】
しかし、本発明を具現化する上で、作業者が第2支持部3の連結部33を着脱しつつ、自動的に第1昇降モードと第2昇降モードの切り替えを行う構成であっても良い。
具体的には、ウエーハ保持装置1は、第2支持部3を着脱可能な構造をしており、在席検出部7を備え、第2支持部を取り外し可能な構成とする。
【0074】
在席検出部7は、第2支持部3の取付け状態を検出するものである。
具体的には、在席検出部7は、第2支持部3の第2当接部31や支柱32が取り付けられている連結部33が、所定の位置に取り付けられているかどうかを検出するものである。
より具体的には、在席検出部7は、図1,3,6中の破線で示す様に、識別マーク71、撮像カメラ72、画像処理装置73等で構成されており、制御部9と接続されている。
【0075】
識別マーク71は、第2支持部3が所定の位置に取り付けられているかどうかを判別するためのものである。具体的には、識別マーク71は、第2支持部3の連結部33に付されている。より具体的には、識別マーク71は、2次元コードや所定の模様(ケガキや打刻したものでも良い)等が例示できる。
撮像カメラ72は、識別マーク71を撮像し、撮像した画像を外部に出力するものである。
画像処理装置73は、撮像カメラ72で撮像した画像を処理し、当該画像内に識別マーク71が含まれているかどうかを判別するものである。
【0076】
在席検出部7は、このような構成をしているため、識別マーク71が検出されれば、第2支持部3が取り付けられていると判別する。一方、識別マーク71が検出されなければ、第2支持部3が取り外されていると判別する。
【0077】
そして、制御部9は、在席検出部7で検出した第2支持部3の取付け状態に応じて、第1昇降モードと第2昇降モードのいずれかを選択して実行する構成とする。
具体的には、制御部9は、在席検出部7で第2支持部3が取り付けられていると判別すれば、第1昇降モードを実行し、在席検出部7で第2支持部3が取り外されていると判別されれば、第2昇降モードを実行する。
【0078】
<動作フロー>
図8は、本発明を具現化する別の形態における動作フローの一例を示すフロー図である。
【0079】
先ず作業者は、第2支持部3の連結部33を取り付け又は取り外し、取付け状態を確認する(ステップs10)。そして、第2支持部3が取り付けられていれば、制御部9は、上述の第1昇降モード(ステップs1~s5)を実行する。一方、第2支持部3が取り外されていれば、制御部9は、以下に示す第2昇降モード(ステップs21~s24)を実行する。
【0080】
第2昇降モードでは、ウエーハ保持装置1は、ウエーハWの受け取りが可能であれば、制御部9を第4支持モード(上段位置)に切り替え、待機する(ステップs21)。
【0081】
その後、ウエーハWを載置し(ステップs22)、ウエーハWの第1支持部位S1を吸引保持させる(ステップs23)。
【0082】
そして、第1昇降部5を制御して、第5支持モード(下段位置)へ切り替える(ステップs24)。なお、第4支持モード(上段位置)から第5支持モード(下段位置Lへ切り替えたときに、第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持させる。
【0083】
その後、所望の処理や検査等を実行し(ステップs6)、処理等が終了したかどうかを判定する(ステップs7)。そして、処理等が終了していなければ、上述のステップs6を継続し、処理等が終了していれば一連のフローを終了する。
【0084】
この様な形態であれば、反りや変形を生じ易いウエーハを保持する際は、第1昇降モードを実行して確実に保持することができる。さらに、反りや変形の生じていないウエーハを保持する際は、第2昇降モードを実行して迅速に保持できるため、単位時間あたりのウエーハの処理枚数を増やすことができるので好ましい。
【0085】
なお上述のフローでは、ステップs10において、作業者が第2支持部3の取付け状態を判別(手動判別)する構成を例示した。しかし、ステップs10において、ウエーハ保持装置1は、在席検出部7を用いて識別マーク71を撮像カメラ72で撮像し、識別マーク71の有無を画像処理装置73で判別することで第2支持部3の取付け状態を判別(自動判別)する構成であっても良い。
【0086】
なお上述では、在席検出部7が識別マーク71や撮像カメラ72、画像処理装置73を備え、識別マーク71の有無で第2支持部3の取付け状態を判別する構成を例示した。
しかし、在席検出部7は、このような構成に限らず、センサ等により連結部33の着脱状体を検出し、着脱状態に応じてON/OFF信号を切り替えて出力する構成であっても良い。
【0087】
なお上述では、ステップs24において、第4支持モード(上段位置)から第5支持モード(下段位置)へ切り替えたときに、第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持させる構成を例示した。このような構成であれば、ウエーハの保持が確実になるため好ましい。しかし、ウエーハWの反りや変形等が少なく、保持が確実にできる場合は、第1支持部位S1による吸引保持だけでも良い。
【0088】
[第3の形態]
なお上述では、第2支持部3を着脱し、第1昇降モードと第2昇降モードとを選択して切り替える形態を例示した。
しかし、本発明を具現化する上で、第2支持部3の着脱および第2昇降モードの具備は、必須の構成ではなく、第2支持部3を下段位置Lに固定した状態で、第1支持部2を上段位置H/下段位置Lの2段階に切り替えてウエーハWを昇降させる「第3昇降モード」を有し、第1昇降モードと第3昇降モードのいずれかを選択して実行する形態であっても良い。
【0089】
第3昇降モードは、第6支持モードと第7支持モードとを有し、第6支持モードにて受け取ったウエーハWを吸引保持したまま、第6支持モードから第7支持モードに切り替えるものである。なお、第3昇降モードは、第1昇降モードと同様に、(図2に示すように)第2支持部3が取り付けられた状態で実行する。
【0090】
第6支持モードは、第2支持部3の上端および第3支持部4の上端の高さよりも上方に第1支持部の上端を配置させるものである。
具体的には、第6支持モードでは、第2当接保持部31の上端の高さと第3当接保持部41の上端の高さを同じ高さ(つまり、下段位置L)に配置しておき、これらよりも上方にある上段位置Hに、第1当接保持部21の上端の高さが配置されるよう、第1昇降部5のアクチュエータを制御して、ウエーハWを支え保持する高さを変更する。
【0091】
第7支持モードは、第1支持部3の上端の高さを、第2支持部4の上端および第3支持部4の上端の高さと同じ高さ(つまり、下段位置L)に配置させるものである。
具体的には、第7支持モードでは、第1当接保持部21の上端の高さが、第2当接保持部31の上端および第3当接保持部41の上端の高さと同じ高さ(つまり、下段位置L)に配置するよう、第1昇降部5のアクチュエータを制御して、ウエーハWを支え保持する高さを変更する。
【0092】
図9は、本発明を具現化するさらに別の形態におけるウエーハ保持装置の一例を示す断面図である。図9(a)には、第3昇降モードで、上段位置HにてウエーハWを支持している様子が示されている。図9(b)には、第3昇降モードで、下段位置LにてウエーハWを支持している様子が示されている。
【0093】
<動作フロー>
図10は、本発明を具現化するさらに別の形態における動作フローの一例を示すフロー図である。
【0094】
先ず作業者は、第2支持部3の連結部33が取り付いている状態において、第1昇降モードと第3昇降モードのいずれでウエーハWを昇降させるかを選択する(ステップs15)。そして、制御部9は、いずれの昇降モードが選択されているかを判別し(ステップs16)、第1昇降モードが選択されていれば、上述と同様にステップs1~s5を実行する。一方、第3昇降モードが選択されていれば、以下に示す第3昇降モード(ステップs31~s34)を実行する。
【0095】
第3昇降モードでは、ウエーハ保持装置1は、ウエーハWの受け取りが可能であれば、制御部9を第6支持モード(上段位置)に切り替え、待機する(ステップs31)。
【0096】
その後、ウエーハWを載置し(ステップs32)、ウエーハWの第1支持部位S1を吸引保持させる(ステップs33)。
【0097】
そして、第1昇降部5を制御して、第7支持モード(下段位置)へ切り替える(ステップs34)。なお、第6支持モード(上段位置)から第7支持モード(下段位置)へ切り替えたときに、第2支持部位S2や第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持させる。
【0098】
その後、所望の処理や検査等を実行し(ステップs6)、処理等が終了したかどうかを判定する(ステップs7)。そして、処理等が終了していなければ、上述のステップs6を継続し、処理等が終了していれば一連のフローを終了する。
【0099】
この様な形態であれば、反りや変形を生じ易いウエーハを保持する際は、第1昇降モードを実行して確実に保持することができる。さらに、反りや変形の生じていないウエーハを保持する際は、第3昇降モードを実行して迅速に保持できるため、単位時間あたりのウエーハの処理枚数を増やすことができるので好ましい。
【0100】
なお上述のフローでは、ステップs15にて作業者が第1昇降モードと第3昇降モードのいずれでウエーハWを昇降させるかを選択し、ステップs16にていずれの昇降モードが選択されているかを判別する構成を例示した。
しかし、第1昇降モードを実行するか、第3実行モードを実行するかは、作業者の操作等により選択する構成であっても良いが、ハンドリングするウエーハWの品種情報(いわゆる、レシピファイル等)と紐付けて登録しておき、制御部9がステップs15にてレシピ情報を受け取り、ステップs16にて昇降モードを判別する構成であっても良い。つまり、保持するウエーハWの種類(つまり、変形しやすいかどうか)により、第1昇降モードを用いるか、第3昇降モードを用いるか作業者が判断しても良いし、予め登録したレシピファイルに基づいて自動的に切り替えする構成であっても良い。
【0101】
制御部9が、自動的に昇降モードを切り替える構成であれば、作業者が第2支持部3を着脱する手間が省けるので好ましい。さらに、作業者による昇降モードの設定間違いを防ぐことができるので、より好ましい。
【0102】
なお上述では、ステップs34において、第6支持モード(上段位置)から第7支持モード(下段位置)へ切り替えたときに、第2支持部位S2や第3支持部位S3に負圧を生じさせてウエーハWを吸引保持させる構成を例示した。このような構成であれば、ウエーハの保持が確実になるため好ましい。しかし、ウエーハWの反りや変形等が少なく、保持が確実にできる場合は、第1支持部位S1による吸引保持だけでも良い。
【0103】
なお上述では、第2支持部3を下段位置Lに固定しておく構成を例示したが、この様な構成に限らず、第1支持部2と第2支持部3とを連動させて昇降させ、第1当接保持部21と第3当接保持部41とを共に、上段位置H/下段位置Lに切り替える構成であっても良い。
なお上述では、制御部9は、第1昇降モードと、第2昇降モードまたは第3昇降モードを有する構成を例示したが、第1昇降モードと第2昇降モードと第3昇降モードとを有し、作業者による段取り替えや操作により第2昇降モードを実行したり、作業者の操作により第3昇降モードを実行したり、ウエーハWの品種情報に基づいて自動的に第3昇降モードを実行したりする構成であっても良い。具体的には、図8に示した動作フローのステップs11において、第2支持部3が取り付けられていると判別した後、図10に示した動作フロー(ステップs15以降)を実行する構成が例示できる。
【符号の説明】
【0104】
1 ウエーハ保持装置
2 第1支持部
3 第2支持部
4 第3支持部
5 第1昇降部
6 第2昇降部
7 在席検出部
8 負圧吸引部
9 制御部
21 第1当接保持部
22 支柱
23 連結部材
31 第2当接保持部
32 支柱
33 連結部材
41 第3当接保持部
42 支柱
43 連結部材
51 ロッド
52 本体
61 ロッド
62 本体
71 識別マーク
72 撮像カメラ
73 画像処理装置
W ウエーハ
R 接触許容領域
S1 第1支持部位
S2 第2支持部位
S3 第3支持部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10