(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109931
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】黒色感光性樹脂組成物、これを利用して製造された表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20220721BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220721BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20220721BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220721BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220721BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220721BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20220721BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220721BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220721BHJP
C08F 265/00 20060101ALI20220721BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20220721BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20220721BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20220721BHJP
C08G 59/17 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
G03F7/004 505
G03F7/031
G03F7/004 501
H05B33/14 A
H05B33/02
H01L27/32
H05B33/14 Z
H05B33/12 B
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
C08F265/00
C08F2/50
C08F2/44 B
C08F2/44 C
C08F20/00 510
C08G59/17
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066501
(22)【出願日】2022-04-13
(62)【分割の表示】P 2018028527の分割
【原出願日】2018-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2017-0040127
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】スルギ・パク
(72)【発明者】
【氏名】フンシク・キム
【テーマコード(参考)】
2H225
3K107
4J011
4J026
4J036
5C094
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AD02
2H225AD06
2H225AD07
2H225AE13P
2H225AM62P
2H225AN39P
2H225AP03P
2H225BA16P
2H225BA35P
2H225CA24
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107CC02
3K107CC27
3K107CC32
3K107DD89
3K107DD97
3K107FF14
4J011AA05
4J011AC04
4J011BA04
4J011PA69
4J011PB25
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA07
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4J011QB19
4J011RA02
4J011SA01
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4J011SA84
4J011TA03
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4J011TA09
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J026AA48
4J026AA57
4J026BA28
4J026DB06
4J026DB36
4J026FA05
4J026GA07
4J036CA21
4J036EA03
4J036FA02
4J036FA08
4J036FB03
4J036HA02
4J036JA09
4J036KA03
5C094AA06
5C094AA10
5C094AA43
5C094BA27
5C094CA19
5C094ED12
5C094ED15
5C094FB01
5C094JA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有機発光表示装置の製造において、高圧蒸着過程中に有機発光素子の駆動にて致命的なアウトガス成分の溶出を減少させ、外部入射光を吸収してコントラストおよび輝度を向上させ得る黒色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】光重合開始剤が下記式の化合物からなる群から選択される1種以上を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、結合剤樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、
前記光重合開始剤が下記の化学式1で表示される化合物からなる群から選択される1種以上を含む画素定義膜形成のための、黒色感光性樹脂組成物:
[化学式1]
前記化学式1において、
R
1、R
2、R
3、R
4は、互いに独立して水素、C
1-C
20アルキル、
、ハロゲン、またはNO
2であるか;
またはR
1およびR
2、R
2およびR
3、R
3およびR
4は、のうち1組以上は互いに独立してともに
であって、これらが付着している炭素原子とともに6-員環を形成し;
R
11、R
12、R
13、R
14は、水素である;
R
5はC
2-C
20アルキルである;
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、互いに独立して水素、非置換されるかC
1-C
20アルキルまたはO(C
1-C
4ハロアルキル)であるか;
又はR
6、R
7、R
8、R
9、R
10は互いに独立して1以上のOが介在されたC
2-C
20アルキルである。
【請求項2】
前記光重合開始剤は、前記化学式1において、R1、R2、R3、R4は、互いに独立して水素、またはNO2である;
R5はC2-C20アルキルである;
R6、R7、R8、R9、R10は、互いに独立して水素、非置換されるかC1-C20アルキルまたは1以上のOが介在されたC2-C20アルキルである、化合物をさらに含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
黒色感光性樹脂組成物全体100重量%に対して、前記光重合開始剤は0.01~10重量%含まれる、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
黒色感光性樹脂組成物全体100重量%に対して、着色剤1~50重量%、結合剤樹脂5~80重量%、光重合性化合物1~30重量%、光重合開始剤0.01~10重量%、および残量の溶剤を含む、請求項3に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
光重合開始補助剤をさらに含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記光重合開始補助剤は、アミン系化合物およびカルボン酸系化合物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項5に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
添加剤をさらに含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記着色剤は、黒色顔料または染料、および有機顔料または染料からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記結合剤樹脂は、下記の化学式2の化合物を含んだ共重合反応で得られる共重合体を含む、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物:
[化学式2]
前記化学式2において、
R
25は水素原子;または水酸基で置換または非置換されたC
1~C
4のアルキル基であり、
R
26は単純結合;またはヘテロ原子が含まれるか含まれないC
1~C
20の脂肪族または芳香族炭化水素基である。
【請求項10】
前記結合剤樹脂は、不飽和カルボン酸含有単量体;および前記化学式2の化合物および不飽和カルボン酸含有単量体と共重合が可能な不飽和結合を有する化合物からなる群から選択される1種以上をさらに含んで共重合反応で得られる共重合体を含む、請求項9に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記組成物が有機発光素子または量子ドット発光素子の画素定義膜を形成するためのものである、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載された黒色感光性樹脂組成物の硬化物を含む画素定義膜を含む、表示装置。
【請求項13】
前記表示装置は、有機発光素子または量子ドット発光素子を含む、請求項12に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は黒色感光性樹脂組成物、およびこれを利用して製造された表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置(Flat Panel Display Device)の一つである有機発光表示装置は、自発光型であるため液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device)と比べて視野角、コントラスト(Contrast)などに優れ、バックライトが不要であるため軽量薄型が可能であり、消費電力の側面でも有利である。また、直流低電圧駆動が可能であり、応答速度が速く、構成する素子のすべてが固体であるため外部の衝撃に強く、使用温度の範囲も広いだけでなく製造費用の側面でも安いという長所がある。
【0003】
特に、有機発光表示装置の製造工程は、液晶表示装置やPDP(Plasma Display Panel)とは異なって、蒸着/食刻(Deposition/Etching)工程の繰返しおよびエンカプセレーション(Encapsulation)工程からなるため工程が非常に単純であるという長所がある。
【0004】
このような有機発光表示装置は、各ピクセル間の境界を区画するとともにこれらを絶縁させる画素定義膜(PDL、Pixel Defined Layer)層と前記画素定義膜の下部に平坦に形成され、かつ絶縁特性を有する平坦化層を含む。この時、前記画素定義膜層はフォトリソグラフィ工程を通じて精密にパターニングされる。
【0005】
大韓民国公開特許第2015-0072581号は、少なくとも一つのシロキサン(SiO3/2)が繰り返し連結されたポリシロキサンを含むOLEDディスプレイ装置用感光性樹脂組成物に関するもので、前記感光性樹脂組成物がOLEDディスプレイ装置の各ピクセル間の境界を区画するとともに絶縁させるPDL層と前記PDL層の下部に平坦に形成され、かつ絶縁特性を有する平坦化層として使われ得るという内容を開示している。
【0006】
しかし、前記感光性樹脂組成物は透明な組成物であるため外光が明るい場合、コントラストが悪く、有機発光素子の陰極面は反射率に優れている金属からなっているため、外部から有機発光素子の内部に入ってくる光が有機発光素子の陰極面に反射して発光層から出る光と混じる問題点が存在する。
【0007】
前記のような問題を解決するために、現在ほとんどの有機発光素子は透明基板の下部に円偏光板(Circular polarizer)を形成することによって陰極による外部入射光の反射を減少させた。すなわち、前記円偏光板によって外部の光が入射する時、半分は遮断され、残りの半分は陰極に反射して出る時に遮断されることによって、外光によるコントラストの低下を抑制することができる。
【0008】
しかし、前述した従来の透明基板の上に円偏光板を付着させた有機発光素子は、陰極による外部入射光の反射を大きく減少させるとともに有機発光層から外部に発散する光までも遮断するため、コントラストは向上するものの輝度は50%以上減少する問題点と高費用が要される問題点があった。
【0009】
したがって、前記問題点を解決するために、外部入射光を吸収してコントラストを向上させるブラック画素定義膜を形成することができる。ブラック画素定義膜(Pixel Defined Layer)は、フォトリソグラフィ工程を通じて精密にパターニングされ、有機発光素子のピクセルを製作する高圧蒸着工程中に素子の駆動に致命的なアウトガス成分が溶出してはならないという信頼性が要求される。
【0010】
しかし、従来の液晶表示装置(Liquid Crystal Display Deivce)で使われるBM(Black Matrix)用感光性樹脂組成物の場合には、有機発光素子のピクセルを製作する高圧蒸着工程中に有機発光素子の駆動に致命的なアウトガス成分が溶出するため、輝度の低下、およびひいては有機発光素子の駆動が不可能な問題点が存在する。
【0011】
したがって、有機発光表示装置の製造において、高圧蒸着過程中に有機発光素子の駆動にて致命的なアウトガス成分の溶出を最小化し、優れたコントラストおよび輝度を有する有機発光表示装置を製造できる感光性樹脂組成物に対する研究が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2015-0072581号(2015.06.30.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、有機発光表示装置の製造において、高圧蒸着過程中に有機発光素子の駆動にて致命的なアウトガス成分の溶出を減少させ、外部入射光を吸収してコントラストおよび輝度を向上させ得る黒色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0014】
また、前記黒色感光性樹脂組成物を利用した画素定義膜を含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するための本発明に係る黒色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤が下記の化学式1の化合物からなる群から選択される1種以上を含むことを特徴とする。
【0016】
【0017】
また、本発明は前述した黒色感光性樹脂組成物の硬化物を含む画素定義膜を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、有機発光素子または量子ドット発光素子の画素定義膜の形成に使われ得、有機発光素子または量子ドット発光素子を含む表示装置の製造において、高圧蒸着過程中に有機発光素子または量子ドット発光素子の駆動にて致命的なアウトガス成分の溶出を減少させ得る利点がある。
【0019】
したがって、本発明の黒色感光性樹脂組成物を利用して製造された画素定義膜を含む有機発光素子、量子ドット発光素子、および前記有機発光素子または量子ドット発光素子を含む表示装置は、輝度、駆動性および耐久性などに優れている利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
本発明において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0022】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
<黒色感光性樹脂組成物>
本発明の一態様は、着色剤、結合剤樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、前記光重合開始剤が下記の化学式1で表示される化合物からなる群から選択される1種以上を含むものである黒色感光性樹脂組成物に関するものである。好ましくは、本発明の黒色感光性樹脂組成物は有機発光素子または量子ドット発光素子の画素定義膜の形成に使われ得る。
【0024】
【0025】
前記化学式1において、
R
1、R
2、R
3、R
4は、互いに独立して水素、C
1-C
20アルキル、OR
15、ハロゲン、またはNO
2であるか;
またはR
1およびR
2、R
2およびR
3、R
3およびR
4は、互いに独立してともに
であって、これらが付着している炭素原子とともに6-員環を形成し;
R
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立して水素、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、フェニル、CN、OH、SH、C
1-C
4-アルコキシ、(CO)OHによって、または(CO)O(C
1-C
4アルキル)によって置換されたC
1-C
20アルキルであるか;
またはR
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立して非置換されたフェニルまたは1個以上のC
1-C
6アルキル、ハロゲン、CN、OR
15によって、またはNR
17R
18によって置換されたフェニルであるか;
またはR
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立してハロゲン、CN、OR
15、SR
16、SOR
16、SO
2R
16またはNR
17R
18であり、ここで置換基OR
15、SR
16またはNR
17R
18は任意にナフチル環の炭素原子のうち1個とともにラジカルR
15、R
16、R
17および/またはR
18を通じて5-または6-員環を形成し;
R
5は、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、R
15、COOR
15、OR
15、SR
16、CONR
17R
18、NR
17R
18によって置換されたC
1-C
20アルキルであるか;
またはR
5は1個以上のO、S、SO、SO
2、NR
23またはCOが介在されたC
2-C
20アルキルであるか、
または非介在されるかまたは1個以上のO、COまたはNR
23が介在したC
2-C
12アルケニルであり、
ここで、介在したC
2-C
20アルキルおよび非介在または介在したC
2-C
12アルケニルは、非置換されるかまたは1個以上のハロゲンによって置換されるか;
またはR
5はC
4-C
8シクロアルケニル、C
2-C
12アルキニル、または非介在するかまたは1個以上のO、S、COまたはNR
23が介在したC
3-C
10シクロアルキルであるか;
またはR
5はフェニルまたはナフチルであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のOR
15、SR
16、NR
17R
18、COR
22、CN,NO
2、ハロゲン、C
1-C
20アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、1個以上のO、S、COまたはNR
23が介在したC
2-C
20アルキルによって置換されるかまたはこれらのそれぞれはC
3-C
10シクロアルキルによって、または1個以上のO、S、COまたはNR
24が介在したC
3-C
10シクロアルキルによって置換され;
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、水素、フェニル-C
1-C
3アルキル、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OH、SH、CN、C
3-C
6アルケノキシ、OCH
2CH
2CN、OCH
2CH
2(CO)O(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-(C
2-C
4)アルケニル、O(CO)-フェニル、(CO)OH、(CO)O(C
1-C
4アルキル)、C
3-C
20シクロアルキル、SO
2-(C
1-C
4ハロアルキル)、O(C
1-C
4ハロアルキル)によってまたは1個以上のOが介在したC
3-C
20シクロアルキルによって置換されたC
1-C
20アルキルであるか;
またはR
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、1個以上のO、SまたはNR
24が介在したC
2-C
20アルキルであるか;
またはR
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、(CH
2CH
2O)
n+1H、(CH
2CH
2O)
n(CO)-(C
1-C
8アルキル)、C
1-C
8アルカノイル、C
2-C
12アルケニル、C
3-C
6アルケノイル、または非介在するかまたは1個以上のO、S、COまたはNR
23が介在したC
3-C
20シクロアルキルであるか;
またはR
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、非介在するかまたは1個以上のOが介在したC
1-C
8アルキル-C
3-C
10シクロアルキルであるか;
またはR
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、非置換されるかまたは1個以上のC
1-C
6アルキル、ハロゲン、OHまたはC
1-C
3アルコキシによって置換されたベンゾイルであるか;
またはR
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、フェニル、ナフチルまたはC
3-C
20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OH、C
1-C
12アルキル、C
1-C
12アルコキシ、CN,NO
2、フェニル-C
1-C
3アルキルオキシ、フェノキシ、C
1-C
12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、N(C
1-C
12アルキル)
2、ジフェニルアミノによって置換され;
R
15は、水素、フェニル-C
1-C
3アルキル、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OH、SH、CN、C
3-C
6アルケノキシ、OCH
2CH
2CN、OCH
2CH
2(CO)O(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-(C
2-C
4)アルケニル、O(CO)-フェニル、(CO)OH、(CO)O(C
1-C
4アルキル)、C
3-C
20シクロアルキル、SO
2-(C
1-C
4ハロアルキル)、O(C
1-C
4ハロアルキル)によってまたは1個以上のOが介在したC
3-C
20シクロアルキルによって置換されたC
1-C
20アルキルであるか;
またはR
15は、1個以上のO、SまたはNR
23が介在したC
2-C
20アルキルであるか;
またはR
15は、(CH
2CH
2O)
n+1H、(CH
2CH
2O)
n(CO)-(C
1-C
8アルキル)、C
1-C
8アルカノイル、C
2-C
12アルケニル、C
3-C
6アルケノイル、または非介在するかまたは1個以上のO、S、COまたはNR
23が介在したC
3-C
20シクロアルキルであるか;
またはR
15は、非介在するかまたは1個以上のOが介在したC
1-C
8アルキル-C
3-C
10シクロアルキルであるか;
またはR
15は、非置換されるかまたは1個以上のC
1-C
6アルキル、ハロゲン、OHまたはC
1-C
3アルコキシによって置換されたベンゾイルであるか;
またはR
15は、フェニル、ナフチルまたはC
3-C
20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、OH、C
1-C
12アルキル、C
1-C
12アルコキシ、CN,NO
2、フェニル-C
1-C
3アルキルオキシ、フェノキシ、C
1-C
12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、N(C
1-C
12アルキル)
2、ジフェニルアミノまたは
によって置換され;
R
16は水素、C
2-C
12アルケニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはフェニル-C
1-C
3アルキルであり、ここでC
2-C
12アルケニル、C
3-C
20シクロアルキルまたはフェニル-C
1-C
3アルキルは、非介在するかまたは1個以上のO、S、CO、NR
23またはCOOR
15が介在するか;
またはR
16は、非置換されるかまたは1個以上のOH、SH、CN、C
3-C
6アルケノキシ、OCH
2CH
2CN、OCH
2CH
2(CO)O(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-(C
2-C
4)アルケニル、O(CO)-(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-フェニルまたは(CO)OR
15によって置換されたC
1-C
20アルキルであるか;
またはR
16は1個以上のO、S、CO、NR
23またはCOOR
15が介在したC
2-C
20アルキルであるか;
またはR
16は、(CH
2CH
2O)
nH、(CH
2CH
2O)
n(CO)-(C
1-C
8アルキル)、C
2-C
8アルカノイルまたはC
3-C
6アルケノイルであるか;
またはR
16は、非置換されるかまたは1個以上のC
1-C
6アルキル、ハロゲン、OH、C
1-C
4アルコキシまたはC
1-C
4アルキルスルファニルによって置換されたベンゾイルであるか;
またはR
16は、フェニル、ナフチルまたはC
3-C
20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、C
1-C
12アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
12アルコキシ、CN,NO
2、フェニル-C
1-C
3アルキルオキシ、フェノキシ、C
1-C
12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、N(C
1-C
12アルキル)
2、ジフェニルアミノ、(CO)O(C
1-C
8アルキル)、(CO)-C
1-C
8アルキル、(CO)N(C
1-C
8アルキル)
2または
によって置換され;
R
17およびR
18は、互いに独立して水素、C
1-C
20アルキル、C
2-C
4ヒドロキシアルキル、C
2-C
10アルコキシアルキル、C
2-C
5アルケニル、C
3-C
20シクロアルキル、フェニル-C
1-C
3アルキル、C
1-C
8アルカノイル、C
1-C
8アルカノイルオキシ、C
3-C
12アルケノイル、SO
2-(C
1-C
4ハロアルキル)またはベンゾイルであるか;
またはR
17およびR
18は、フェニル、ナフチルまたはC
3-C
20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
20アルコキシ、C
1-C
12アルキル、ベンゾイルまたはC
1-C
12アルコキシによって置換されるか;
またはR
17およびR
18はこれらが付着しているN-原子とともに、非介在するかまたはO、SまたはNR
15が介在した5-または6-員飽和または不飽和環を形成し、前記5-または6-員飽和または不飽和環は非置換されるかまたは1個以上のC
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルコキシ、=O、OR
15、SR
16、NR
19R
20、(CO)R
21、NO
2、ハロゲン、C
1-C
4-ハロアルキル、CN、フェニルによってまたは非介在するかまたは1個以上のO、S、COまたはNR
15が介在したC
3-C
20シクロアルキルによって置換されるか;
またはR
17およびR
18はこれらが付着しているN-原子とともに、非置換されるかまたは1個以上のC
1-C
20アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
1-C
20アルコキシ、=O、OR
15、SR
16、NR
19R
20、(CO)R
21、ハロゲン、NO
2、CN、フェニルによってまたは非介在するかまたは1個以上のO、S、COまたはNR
15が介在したC
3-C
20シクロアルキルによって置換されたヘテロ芳香族環系を形成し;
R
19およびR
20は、互いに独立して水素、C
1-C
20アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、C
3-C
10シクロアルキルまたはフェニルであるか;
またはR
19およびR
20はこれらが付着しているN-原子とともに、非介在するかまたはO、SまたはNR
23が介在した5-または6-員飽和または不飽和環を形成し、前記5-または6-員飽和または不飽和環は縮合されないかまたは前記5-または6-員飽和または不飽和環にベンゼン環が縮合され;
R
21は、水素、OH、C
1-C
20アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、非介在するかまたは1個以上のO、COまたはNR
24が介在したC
2-C
20アルキル、非介在するかまたはO、S、COまたはNR
24が介在したC
3-C
20シクロアルキルであるか、
またはR
21は、フェニル、ナフチル、フェニル-C
1-C
4アルキル、OR
15、SR
16またはNR
19R
20であり;
R
22はC
6-C
20アリールまたはC
3-C
20ヘテロアリールであり、これらのそれぞれは非置換されるかまたは1個以上のフェニル、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル、CN,NO
2、OR
15、SR
16、NR
17R
18によって、または1個以上のO、SまたはNR
23が介在したC
1-C
20アルキルによって置換されるかまたはこれらのそれぞれは、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、COOR
15、CONR
17R
18、フェニル、C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
20ヘテロアリール、C
6-C
20アリールオキシカルボニル、C
3-C
20ヘテロアリールオキシカルボニル、OR
15、SR
16またはNR
17R
18によって置換された1個以上のC
1-C
20アルキルによって置換されるか;
またはR
22は、水素、非置換されるかまたは1個以上のハロゲン、フェニル、OH、SH、CN、C
3-C
6アルケノキシ、OCH
2CH
2CN、OCH
2CH
2(CO)O(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-(C
1-C
4アルキル)、O(CO)-フェニル、(CO)OHまたは(CO)O(C
1-C
4アルキル)によって置換されたC
1-C
20アルキルであるか;
またはR
22は、1個以上のO、SまたはNR
24が介在したC
2-C
12アルキルであるか;
またはR
22は、(CH
2CH
2O)
n+1H、(CH
2CH
2O)
n(CO)-(C
1-C
8アルキル)、C
2-C
12アルケニルまたはC
3-C
8シクロアルキルであるか;
またはR
22はSR
16によって置換されたフェニルであり、ここでラジカルR
16はCOR
22基が付着しているカルバゾールモイエティーのフェニルまたはナフチル環に対する直接結合を表わし;
nは1-20であり;
R
23は水素、C
1-C
20アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、1個以上のOまたはCOが介在したC
2-C
20アルキルであるか、またはフェニル-C
1-C
4アルキル、非介在するかまたは1個以上のOまたはCOが介在したC
3-C
8シクロアルキルであるか、または(CO)R
17であるか、または非置換されるかまたは1個以上のC
1-C
20アルキル、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル、OR
15、SR
16、NR
17R
18または
によって置換されたフェニルであり;
R
24は水素、C
1-C
20アルキル、C
1-C
4ハロアルキル、1個以上のOまたはCOが介在したC
2-C
20アルキルであるか、またはフェニル-C
1-C
4アルキル、非介在するかまたは1個以上のOまたはCOが介在したC
3-C
8シクロアルキルであるか、または(CO)R
17であるか、または非置換されるかまたは1個以上のC
1-C
20アルキル、ハロゲン、C
1-C
4ハロアルキル、OR
15、SR
16、NR
17R
18または
によって置換されたフェニルである。
【0026】
前記光重合開始剤は、前記化学式1において、R1、R2、R3、R4は、互いに独立して水素、C1-C20アルキル、OR15、ハロゲン、またはNO2である化合物を含むことが好ましい。
【0027】
前記光重合開始剤は、前記化学式において、R
1およびR
2、R
2およびR
3、R
3およびR
4は、互いに独立してともに
であって、これらが付着している炭素原子とともに6-員環を形成するものである化合物を含むことが好ましい。
【0028】
前記光重合開始剤は、前記化学式1において、R
1、R
2、R
3、R
4は、互いに独立して水素、C
1-C
20アルキル、OR
15、ハロゲン、またはNO
2である化合物;およびR
1およびR
2、R
2およびR
3、R
3およびR
4は、互いに独立してともに
であって、これらが付着している炭素原子とともに6-員環を形成するものである化合物;を含むことがより好ましい。
【0029】
このような光重合開始剤は、黒色感光性樹脂組成物の総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%で使うことができる。このような含量範囲は、光重合性化合物の光重合速度および最終的に得られる塗膜の物性を考慮したものであって、前記範囲未満であると重合速度が低いため全体の工程時間が長くなり得、逆に前記範囲を超過する場合、過度な反応によって塗膜の物性がかえって低下し得るため、前記範囲内で適切に使うことが好ましい。
【0030】
さらに、本発明の黒色感光性樹脂組成物は光重合開始補助剤をさらに含むことができ、好ましくはアミン系化合物およびカルボン酸系の化合物からなる群から選択される1種以上の化合物が光重合開始補助剤に使われ得る。
【0031】
前記アミン系化合物は、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物;などが挙げられ、この中でも芳香族アミン化合物が好ましい。
【0032】
前記カルボン酸系化合物は、例えば、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナブチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシンおよびナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類などが挙げられる。
【0033】
これら光重合開始補助剤を使う場合、光重合開始剤1モル当たり通常的に10モル以下、好ましくは0.01~5モルの範囲内で使うことが好ましい。前記の範囲にあると、黒色感光性樹脂組成物の感度がさらに高まり、この組成物を使って形成される画素定義膜の生産性が向上する傾向があるので好ましい。
【0034】
本発明の黒色感光性樹脂組成物の一実施形態において、黒色感光性樹脂組成物は着色剤、結合剤樹脂、光重合性化合物、溶剤および添加剤からなる群から選択される1種以上の成分をさらに含む。以下、これらの成分について具体的に説明する。
【0035】
着色剤
本発明で使われる着色剤は、黒色顔料または染料、および有機顔料または染料からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0036】
本発明で使われる着色剤は、黒色顔料または染料のように、黒色それ自体であり得、多様な顔料または染料を混合して黒色が得られる場合も含まれる。着色剤は可視光線で遮光性が存在するのであれば特に制限されない。
【0037】
前記黒色顔料としては、特に制限なく公知のものを使うことができるが、具体的には、アニリンブラック、ラクタムブラック、ペリレンブラック、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄およびチタンブラックなどが使われ得、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで使われ得る。前記カーボンブラックとしては、チャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
【0038】
必要な場合、電気絶縁性のために表面に樹脂が被覆したカーボンブラックが使われ得る。前記樹脂が被覆したカーボンブラックは、樹脂が被覆されていないカーボンブラックに比べて導電性が低いので、ブラックマトリックスまたは画素定義膜の形成時に優れた電気絶縁性が付与できる利点がある。
【0039】
着色剤に使われる黒色顔料または染料、および有機顔料または染料は、画素定義膜に要求される特性に適合するように含量を調節することができる。前記着色剤は、前記黒色感光性樹脂組成物全体100重量%に対して1~50重量%、好ましくは5~40重量%で含まれ得る。着色剤の含量が前記範囲未満の場合は遮光性が十分でなく、前記範囲を超過する場合はパターニング後に得られたパターンの品質が低下する恐れがある。
【0040】
本発明に係る黒色感光性樹脂組成物は、この他にも、当業界で通常に使われる結合剤樹脂、光重合性化合物、溶剤および添加剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0041】
結合剤樹脂
本発明の一実施形態において、結合剤樹脂は下記の化学式2の化合物(以下、A1という)を含んだ共重合反応で得られる共重合体を含むことができる。
【0042】
【0043】
前記化学式2において、
R25は水素原子;または水酸基で置換または非置換されたC1~C4のアルキル基であり、
R26は単純結合;またはヘテロ原子が含まれるか含まれないC1~C20の脂肪族または芳香族炭化水素基である。
【0044】
本発明において、前記アルキルは直鎖または分枝鎖であり得、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチルであり得るが、これらに限定されない。
【0045】
本発明において、ヘテロ原子はN、OおよびSからなる群から選択され得る。
【0046】
本発明において、脂肪族炭化水素基は直鎖脂肪族炭化水素基と分枝鎖脂肪族炭化水素基、飽和脂肪族炭化水素基と不飽和脂肪族炭化水素基をすべて含むことができる。例えば、メチル基、エチル基、ノルマル-プロピル基、イソ-プロピル基、ノルマル-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、ターブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;スチリルのような二重結合を有するアルケニル基;およびアセチレン基のような三重結合を有するアルキニル基があるが、これにのみ限定されるものではない。
【0047】
本発明において、芳香族炭化水素基は例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニルなどの単環式芳香族環、およびナフチル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニルなどの多環式芳香族環などがあるが、これにのみ限定されるものではない。
【0048】
本発明のさらに他の実施形態において、結合剤樹脂は前記化学式2の化合物(A1)と、不飽和カルボン酸含有単量体(以下、A2という);および前記化学式2の化合物(A1)および不飽和カルボン酸含有単量体(A2)と共重合が可能な不飽和結合を有する化合物(以下、A3という)からなる群から選択される1種以上をさらに含んで共重合反応で得られる共重合体を含むことができる。
【0049】
前記結合剤樹脂(A)の構成単位の全体モル数に対する前記(A1)から誘導される構成単位の比率は、20~90モル%であることが好ましく、さらに好ましくは、40~70モル%で含まれ得る。前記(B1)が20モル%未満で含まれる場合にはアウトガス発生量を減少させる効果が不足するようになり、90モル%を超過する場合には現像液に対する溶解度が低くなってパターンの形成が難しい問題が発生するため、好ましくない。
【0050】
前記結合剤樹脂(A)に前記(A2)が含まれる場合、前記結合剤樹脂(A)の構成単位の合計モル数に対する前記(A2)から誘導される構成単位の比率は、0超過70モル%以下であることが好ましい。前記結合剤樹脂(A)に前記(A3)が含まれる場合、前記結合剤樹脂(A)の構成単位の合計モル数に対する前記(A3)から誘導される構成単位の比率は、0超過70モル%以下であることが好ましい。前記(A2)および(A3)が前記範囲内に含まれる場合、現像液に対する溶解度が高くなってパターンの形成が容易である利点があるため、好ましい。
【0051】
前記結合剤樹脂(A)は光や熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、着色剤をはじめとする固形分の分散媒として作用し、結着樹脂の機能を遂行するものを意味する。
【0052】
前記不飽和カルボキシ基含有単量体(A2)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの分子中に1個以上のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0053】
前記不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸などが挙げられる
【0054】
前記不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。
【0055】
前記不飽和多価カルボン酸は酸無水物であり得、具体的にはマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、前記不飽和多価カルボン酸はそのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであり得、例えば、琥珀酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、琥珀酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などであり得る。前記不飽和多価カルボン酸はその両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであり得、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0056】
前記カルボキシ基含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使うことができる。
【0057】
前記(A1)および(A2)と共重合が可能な不飽和結合を有する化合物(A3)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレ-ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;およびポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレ-ト、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体類などが挙げられる。これら単量体はそれぞれ単独でまたは2種以上を混合して使うことができる。
【0058】
前記結合剤樹脂(A)は黒色感光性樹脂組成物の合計100重量%に対して5~80重量%、好ましくは5~50重量%で使われ得る。このような含量は現像液に対する溶解度と、パターン形成などを多角的に考慮して選定された範囲であり、前記範囲内で使う場合、現像液に対する溶解性が十分であるためパターンの形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて非画素部分の脱落性が良好となる。
【0059】
また、本発明のさらに他の実施形態において、結合剤樹脂は当該技術分野で一般に使われるカルド系樹脂を使うことができる。前記カルド系樹脂は、具体的には、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホンおよびビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよびビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシランおよびビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタンおよびビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンおよび2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテルおよびビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレンおよび9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレンなどから得られたものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0060】
前記カルド系樹脂が結合剤樹脂として使われる場合、結合剤樹脂の含量は、本発明の黒色感光性樹脂組成物の固形分総重量を基準として、好ましくは10~80重量%、より好ましくは10~70重量%で使われ得る。前記結合剤樹脂の含量が10~80重量%範囲を満足する場合、現像液の溶解性が十分であるためパターンの形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて非画素部分の脱落性が良好となるため、好ましい。
【0061】
光重合性化合物
光重合性化合物は特に限定されないが、カルボキシ基含有不飽和単量体の重合体、カルボキシ基含有不飽和単量体およびそれと共重合可能な不飽和結合を有する単量体との共重合体およびこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上が使われ得る。
【0062】
前記カルボキシ基含有不飽和単量体としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などが使用可能である。具体的には、不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は酸無水物であり得、具体的にはマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸はω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどの両末端にカルボキシ基と水酸基を有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類、モノメチルマレイン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、モノ-2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ-2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル琥珀酸塩などが可能である。これら不飽和カルボキシ基を有する化合物は、それぞれ単独でまたは二以上を組み合わせて使うことができ、そのうちアクリル酸およびメタクリル酸が共重合反応性および現像液に対する溶解性に優れているため、好ましく使われ得る。
【0063】
また、カルボキシ基含有不飽和単量体と共重合が可能な単量体としては、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボキシレート化合物、不飽和アミノアルキルカルボキシレート化合物、ビニルシアナイド化合物、不飽和オキセタンカルボキシレート化合物などが使われ得、これらは1種単独でまた2種以上を組み合わせて使うことができる。
【0064】
具体的には、前記共重合が可能な単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレ-ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボキシレート化合物;アミノエチルアクリレートなどの不飽和アミノアルキルカルボキシレート化合物;グリシジルメタクリレートなどの不飽和グリシジルカルボキシレート化合物;ビニルアセテート、ビニルプロピオネートなどのビニルカルボキシレート化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリルなどのビニルシアナイド化合物;3-メチル-3-アクリルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリルオキシエチルオキセタンなどの不飽和オキセタンカルボキシレート化合物などが挙げられる。
【0065】
前記例示した不飽和カルボキシ基を有する化合物と共重合可能な他の単量体は、それぞれ単独でまたは二以上を組み合わせて使うことができる。
【0066】
溶剤
本発明の黒色感光性樹脂組成物に含まれる溶剤は、特に制限されず、黒色感光性樹脂組成物の分野で使われている各種有機溶剤を使うことができる。その具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートおよびメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。前記溶剤のうち、塗布性、乾燥性の面で、好ましくは前記溶剤のうち沸点が100℃~200℃である有機溶剤が挙げられ、より好ましくはアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ単独でまたは二種類以上混合して使うことができる。
【0067】
前記溶剤は黒色感光性樹脂組成物が100重量%を満足するように残量として含まれ得る。このような含量は、組成の分散安定性および製造工程における工程容易性(例、塗布性)を考慮して選定された範囲である。
【0068】
添加剤
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、顔料分散剤.密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの添加剤を併用することも可能である。
【0069】
充填剤の具体的な例としては、ガラス、シリカ、アルミナなどが例示される。他の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。顔料分散剤としては、市販されている界面活性剤を利用することができ、例えば、シリコン系、フッ素系、エステル系、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、陽性などの界面活性剤などが挙げられる。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使われ得る。
【0070】
前記の界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などがあり、それ以外に、商品名でKP(信越化学工業(株)製造)、ポリフロー(POLYFLOW)(共栄社化学(株)製造)、エフトップ(EFTOP)(トーケムプロダクツ社製造)、メガファック(MEGAFAC)(大日本化学工業(株)製造)、フローラド(Flourad)(住友スリーエム(株)製造)、アサヒガード(Asahi guard)、サーフロン(Surflon)(以上、旭硝子(株)製造)、ソルスパース(SOLSPERSE)(ゼネカ(株)製造)、EFKA(EFKAケミカルズ社製造)、PB 821(味の素(株)製造)などが挙げられる。
【0071】
密着促進剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。酸化防止剤としては、具体的には、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールなどが挙げられる。
【0072】
紫外線吸収剤としては、具体的には、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0073】
凝集防止剤としては、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適切に追加して使用することができる。
【0074】
<表示装置>
本発明の他の態様は、前記黒色感光性樹脂組成物の硬化物を含む画素定義膜を含む表示装置に関するものである。本発明に係る表示装置は、有機発光素子または量子ドット発光素子を含む表示装置を含むことができる。
【0075】
フォトリソグラフィ方法による画素定義膜を形成する通常のパターニング工程は、次のような段階を含んでなる:
a)基板に黒色感光性樹脂組成物を塗布する段階;
b)溶媒を乾燥するプリベーク段階;
c)得られた皮膜上にフォトマスクを当てて活性光線を照射して露光部を硬化させる段階;
d)アルカリ水溶液を利用して未露光部を溶解する現像工程を遂行する段階;および
e)乾燥およびポストベーク遂行段階
【0076】
前記塗布は、所望の厚さが得られるように、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置を利用した湿式コーティング方法によって遂行され得る。
【0077】
プリベークは、オーブン、ホットプレートなどによって加熱することによって行われる。この時、プリベークにおける加熱温度および加熱時間は使う溶剤に応じて適宜選択され、例えば、80~150℃の温度で1~30分間行われる。
【0078】
また、プリベーク後に行われる露光は、露光機によって行われてフォトマスクを通じて露光することによってパターンに対応した部分だけを感光させる。この時、照射する光は、例えば、可視光線、紫外線、X線および電子線などが可能である。
【0079】
露光後のアルカリ現像は非露光部分の除去されない部分の感光性樹脂組成物を除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適合した現像液としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液などを使うことができる。特に、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩を1~3重量%含有するアルカリ水溶液を利用して10~50℃、好ましくは20~40℃の温度内で現像機または超音波洗浄機などを利用して遂行する。
【0080】
ポストベークはパターニングされた膜と基板との密着性を高めるために遂行し、80~220℃で10~120分の条件で熱処理を通じて行われる。ポストベークもプリベークと同様に、オーブン、ホットプレートなどを利用して遂行する。
【0081】
本発明の黒色感光性樹脂組成物で製造された画素定義膜は、光学密度、密着性、電気絶縁性、遮光性などの物性に優れているだけでなく、耐熱性および耐溶剤性などに優れているため、有機発光素子、量子ドット発光素子、および前記有機発光素子または量子ドット発光素子を含む表示装置の信頼度を向上させることができる。
【0082】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は多様な他の形態に変形され得、本発明の範囲は後述する実施例に限定されない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に対して本発明をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下で含量を表わす「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0083】
製造例:結合剤樹脂Aの合成
攪拌機、温度計還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を具備したフラスコを準備した。モノマー滴下ロートとして、3,4-エポキシトリシクロデカン-8-イル(メタ)アクリレートと3,4-エポキシトリシクロデカン-9-イル(メタ)アクリレートを、モル比50:50で混合した混合物20部、アクリル酸30部、シクロヘキシルマレイミド80部、2-ヒドロキシメタクリレート70部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40部を添加して攪拌を準備した。連鎖移動剤の滴下槽として、n-ドデカンチオール6部、PGMEA24部を添加して攪拌を準備した。以後、フラスコにPGMEA395部を添加してフラスコ内の雰囲気を空気から窒素に取り替えた後、攪拌してフラスコの温度を90℃まで昇温させた。その後、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下を開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間の間進め、1時間後に110℃まで昇温して5時間の間維持して固形分の酸価が100mgKOH/gである樹脂を得た。GPCによって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は10,100であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。
【0084】
実施例1~3および比較例1~3:黒色感光性樹脂組成物の製造
下記の表1に記載された組成および含量で黒色感光性樹脂組成物を製造した。
【0085】
【0086】
前記表1に記載された各成分のうち、あらかじめ、着色材料である顔料および添加剤である顔料分散剤の合計量が、顔料、顔料分散剤およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合物に対して20質量%となるように混合し、ビーズミルを利用して顔料を十分に分散させた後にビーズミルを分離し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの残量を含む残りの成分をさらに添加し混合して着色感光性樹脂組成物を得た。
【0087】
実験例:アウトガス特性の評価
【0088】
(1)着色基板の製作
5cm×5cmのガラス基板(コーニング社)を中性洗剤および水で洗浄後、乾燥させた。前記ガラス基板上に前記実施例および比較例で製造された黒色感光性樹脂組成物のそれぞれを最終膜厚が1.5μmとなるようにスピンコーティングし、80~120℃で先焼成して1~2分間乾燥して溶剤を除去した。その後、露光量40~100mJ/cm2で露光して1cm×3cmのパターンを形成し、アルカリ水溶液を使って非露光部を除去した。引き続き、220℃で後焼成を20分間行って着色基板を製造した。
【0089】
(2)アウトガスの評価
アウトガスの評価は、前記で製造された着色基板を230℃で30分間熱分解させながら捕集された化合物をPy-GC/MSで分析する方法で実施された。分析結果は下記の表2に表わした。
【0090】
【0091】
前記表2から分かるように、本発明に係る黒色感光性樹脂組成物である実施例1~3を利用して製造した場合、比較例1~3に係る感光性樹脂組成物を利用して製造した場合と比べて溶出するアウトガス量が顕著に減少した。