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特開2022-109941マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤とそれを用いた樹脂部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022109941
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤とそれを用いた樹脂部材
(51)【国際特許分類】
   C07D 251/24 20060101AFI20220721BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20220721BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20220721BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C07D251/24 CSP
G02C7/00
G02B1/04
C09K3/00 104B
C09K3/00 104C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068003
(22)【出願日】2022-04-18
(62)【分割の表示】P 2020123036の分割
【原出願日】2015-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2014159910
(32)【優先日】2014-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000219738
【氏名又は名称】東海光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 功治
(72)【発明者】
【氏名】金子 恒太郎
(72)【発明者】
【氏名】金子 信裕
(72)【発明者】
【氏名】獅野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 訓良
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】樹脂への相溶性が良好で、高濃度で添加しても高い透明性を維持することができる、樹脂等のマトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤を提供する。
【解決手段】下記式(化合物29)に例示される、3個のベンゼン環が結合したトリアジン化合物であって、該ベンゼン環に少なくとも1つ、特定の1価の硫黄含有基が結合してなるトリアジン環化合物からなる添加である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(IV):
【化1】
(式中、R1d~R15dはそれぞれ独立に、下記式(iv-1)又は式(iv-2):
【化2】
(式(iv-1)中、R16dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示し、wは0又は1の整数を示す。式(iv-2)中、R17dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R18dはyが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R19dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価のもしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。R17dとy個のR18dとR19dの総炭素数は25以下である。xは0又は1の整数を示し、yは0~3の整数を示す。)で表わされる1価の硫黄含有基、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。R1d~R15dのうち少なくとも1つは式(iv-1)又は式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。)で表わされる、マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤。
【請求項2】
前記1価の硫黄含有基は、式(iv-1)で表わされるものである請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
前記1価の硫黄含有基は、式(iv-2)で表わされるものである請求項1に記載の添加剤。
【請求項4】
x、yが0である、請求項3に記載の添加剤。
【請求項5】
19dが直鎖のアルキル基である、請求項4に記載の添加剤。
【請求項6】
1d~R5d、R6d~R10d、及びR11d~R15dの3つの群から選ばれるいずれか1つの群のみに、式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基を有する、請求項3に記載の添加剤。
【請求項7】
1d~R5d、R6d~R10d、及びR11d~R15dの3つの群のすべてに、式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基を有する、請求項3に記載の添加剤。
【請求項8】
1d~R5d、R6d~R10d、及びR11d~R15dのうち、前記1価の硫黄含有基を有する群では、前記1価の硫黄含有基以外のものは、いずれか1つがヒドロキシ基である、請求項6又は7に記載の添加剤。
【請求項9】
1d~R5d、R6d~R10d、及びR11d~R15dのうち、前記1価の硫黄含有基を有する群では、前記1価の硫黄含有基以外のものは、いずれか1つがヒドロキシ基であり、その他は水素原子である、請求項8に記載の添加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂等のマトリックスに添加することで紫外線吸収能を向上させ、あるいは屈折率を調整するための添加剤とそれを用いた樹脂部材に関する。
【0002】
光学フィルム、光学成形品等の光学材料において、紫外線吸収及び屈折率調整等の光学的機能を付与することは重要であり、種々検討されている。
【0003】
樹脂部材は紫外線の作用により劣化し、変色や機械的強度の低下等の品質劣化を引き起こして長期の使用を阻害する。このような品質劣化を防止したり、あるいは透過光の波長を制御したりするために、樹脂部材に無機系又は有機系の紫外線吸収剤を配合することが一般に行われている。
【0004】
無機系の紫外線吸収剤は、耐候性や耐熱性等の耐久性に優れている反面、吸収波長が化合物のバンドギャップによって決定されるため選択の自由度が少なく、近紫外線の中でも400nm付近の長波紫外線(UV-A、315~400nm)領域まで吸収できるものは少なく、長波紫外線を吸収するものは450~500nm(可視域)まで吸収を有するため着色を伴ってしまう。近年開発の進む太陽電池等に使用される部材は、屋外で長時間太陽光の下に曝すことが必要であり、長期経時での紫外線の暴露により、その性質が劣化することは避けられないことから、黄変等の耐久性の他、UV-A領域まで遮蔽効果を示し、耐光性に優れた紫外線吸収剤が求められている。
【0005】
これに対して有機系の紫外線吸収剤は、吸収剤の構造設計の自由度が高いために、吸収剤の構造を工夫することによって様々な吸収波長のものを得ることができる。その一方で、有機系の紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を加熱して成形、加工する際に紫外線吸収剤が熱分解し、樹脂部材の紫外線吸収能の低下、そして、透明樹脂部材の場合、その透明性を損ない、さらには、成形、加工装置内を汚染させる可能性があり、より耐熱性に優れた有機系の紫外線吸収剤が求められている。従来、有機系の紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系、サリシレート系等の紫外線吸収剤が知られている(例えば特許文献1~4参照)。
【0006】
一方、反射フィルム、反射防止フィルムやハードコートフィルム等の光学フィルムには、光学的特性を調整するため屈折率を調整することが要求されている。従来、屈折率の調整には屈折率調整剤を添加することが行われている。屈折率調整剤としては、屈折率を高めるものとしては無機酸化物微粒子等が使用されている。
【0007】
また、光学成形品をはじめとする透明樹脂部材は、用途上、成形後又は経時で透明であることが望まれ、紫外線劣化による不透明化や変色が起こす光学特性の劣化を防止する面から紫外線吸収剤が必要とされているが、特に眼鏡レンズやコンタクトレンズでは、紫外線からの目の保護の観点から紫外線吸収剤が必要とされる。
【0008】
眼鏡レンズ等は樹脂の高屈折率化が進み、紫外線吸収剤等添加剤の屈折率が樹脂よりも低いことがある。このような場合、添加剤の屈折率が低くかつ添加量が多くなるほど樹脂全体の屈折率が下がるため、より屈折率が高く高濃度に添加できる紫外線吸収剤が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012-184168号公報
【特許文献2】特表2005-504047号公報
【特許文献3】特開2013-67811号公報
【特許文献4】特表平6-505744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の有機系の紫外線吸収剤の多くは、マトリックスの樹脂との相溶性に制約があり、高濃度での均一な溶解が困難であった。そして高濃度で添加すると白濁を生じてしまい透明性を損なってしまう。そのため、高い透明性が要求される用途では、紫外線吸収能、高屈折率化のような性能を十分に発揮するには濃度による制約があった。また、従来の有機系の紫外線吸収剤は、それを含む樹脂を加熱して成形、加工する際に熱分解する可能性があり、得られる樹脂部材は紫外線吸収能を、また、透明樹脂部材は透明性を損ない、さらに、成形加工装置内を汚染する虞があった。
【0011】
すなわち、耐熱性に優れ、マトリックスとなる樹脂への相溶性が良く、高い透明性を維持しながら紫外線吸収や高屈折率化等の性能を十分に発揮できるような高濃度でも溶解が可能な添加剤が望まれていた。
【0012】
また、紫外線吸収能と高屈折率の付与を1つの添加剤で可能とする技術に関する検討は少ない。例えば、特許文献1~3に具体的に開示されたものでは、硫黄含有の化合物は検討されておらず、高い屈折率を付与することはできない。そのため、光学フィルム、光学シート、光学板(プレート状部材)や、その他光学成形品、例えば眼鏡等のレンズ素子のような光学レンズ等の光学材料の分野においては紫外線吸収能と屈折率特性の両方の機能が要求されることが多いが、このような要求をいずれも満足するために、紫外線吸収剤を添加した紫外線吸収層と、屈折率調整剤を添加した高屈折率層とを別々の層として積層することが行われている。
【0013】
特許文献4は、5-チオ-置換ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤が開示されている。この紫外線吸収剤は、紫外線への暴露による有害作用に対して、有機物質を保護して経時的な劣化を抑制する、安定化された組成物を提供するものであるが、紫外線吸収剤の耐熱性、高屈折率性、透明樹脂マトリックスへの適性、マトリックスとなる樹脂への相溶性(透明性)、樹脂マトリックスの黄色化の抑制、また、それを含有する樹脂部材の高屈折率化、紫外線吸収剤の熱分解による樹脂部材の紫外線吸収能及び外観の低下、さらには、透明樹脂部材における透明性の低下、黄色化の抑制に着目した検討はされていない。
【0014】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、マトリックスとなる樹脂への相溶性が良好で、高濃度で添加しても高い透明性を維持することができる、耐熱性に優れた紫外線吸収能を付与するための添加剤、あるいは高屈折率を付与するための添加剤とそれを用いた樹脂部材を提供することを主な課題としている。
【0015】
また本発明は、透明性を維持して紫外線吸収能及び高屈折率付与の両方の機能を1種類の添加剤で発現することができる耐熱性に優れた添加剤とそれを用いた樹脂部材を提供することを別の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の添加剤は、マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤であって、以下のことを特徴としている。
【0017】
[1]下記式(I)で表わされる、マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤。
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、R1a~R9aはそれぞれ独立に、下記式(i-1)又は式(i-2):
【0020】
【化2】
【0021】
(式(i-1)中、R10aは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示し、mは0又は1の整数を示す。式(i-2)中、R11aは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R12aはpが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R13aは水素原子を示すか、又は-(R14al-R15aで表される基(R14aは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R15aは、水素原子を示すか、又はベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、安息香酸エステル、及びトリアジンから選ばれるいずれか1つの骨格を含む置換基を示す。lは0又は1の整数を示す。)を示す。R11aとp個のR12aとR13aの総炭素数は25以下である。nは0又は1の整数を示し、pは0~3の整数を示す。)で表わされる1価の硫黄含有基、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。R1a~R9aのうち少なくとも1つは式(i-1)又は式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。)
[2]マトリックスが透明樹脂である[1]に記載の添加剤。
【0022】
[3]前記1価の硫黄含有基は、式(i-1)で表わされるものであり、この式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数10以下のアルキレン基を含む、[1]又は[2]に記載の添加剤。
【0023】
[4]前記1価の硫黄含有基は、式(i-1)で表わされるものであり、この式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数9以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[1]又は[2]に記載の添加剤。
【0024】
[5]前記1価の硫黄含有基は、式(i-1)で表わされるものであり、この式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[1]又は[2]に記載の添加剤。
【0025】
[6]前記1価の硫黄含有基は、式(i-1)で表わされるものであり、この式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が35℃以下である、請求項[1]又は[2]に記載の添加剤。
【0026】
[7]前記1価の硫黄含有基は、式(i-1)で表わされるものであり、この式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが基端にエーテル結合を有する炭素数10以下のオキシアルキレン基である、[1]又は[2]に記載の添加剤。
【0027】
[8]前記1価の硫黄含有基は、式(i-2)で表わされるものであり、この式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基をR1a~R5aのいずれかの位置に有する[1]又は[2]に記載の添加剤。
【0028】
[9]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数18以下のアルキル基を含む、[8]に記載の添加剤。
【0029】
[10]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数18以下のアルキル基を含み
、常圧下、融点が91℃以下である、[8]に記載の添加剤。
【0030】
[11]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数12以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数12以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[8]に記載の添加剤。
【0031】
[12]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数10以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数10以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[8]に記載の添加剤。
【0032】
[13]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数10以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数10以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[8]に記載の添加剤。
【0033】
[14]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[8]に記載の添加剤。
【0034】
[15]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が35℃以下である、[8]に記載の添加剤。
【0035】
[16]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基をR6a~R9aのいずれかの位置に有する、[1]又は[2]に記載の添加剤。
【0036】
[17]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、nが0であり、p個のR12aが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数18以下のアルキル基を含む、[16]に記載の添加剤。
【0037】
[18]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、nが0であり、p個のR12aが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[16]に記載の添加剤。
【0038】
[19]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、n、pが0であり、R13aが炭素数18以下のアルキル基を含む、[16]に記載の添加剤。
【0039】
[20]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、n、pが0であり、R13aが炭素数18以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[16]に記載の添加剤。
【0040】
[21]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、n、pが0であり、R13aが炭素数12以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[16]に記載の添加剤。
【0041】
[22]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、n、pが0であり、R13aが炭素数10以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[16]に記載の添加剤。
【0042】
[23]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、n、pが0であり、R13aが炭素数4~10のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[16]に記載の添加剤。
【0043】
[24]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、n、pが0であり、R13aが炭素数6~10のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[16]に記載の添加剤。
【0044】
[25]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、n、pが0であり、R13aが炭素数6~10のアルキル基を含み、常圧下、融点が35℃以下である、[16]に記載の添加剤。
【0045】
[26]R1a~R5aの置換基が、メチル基、t-ブチル基、ヒドロキシ基から選ばれ、かつt-ブチル基は1個以下である、請求項17から25のいずれかに記載の添加剤。
【0046】
[27]100μMクロロホルム溶液における光の吸収ピークが350~390nmにあり、かつ、この吸収ピークと長波長側の吸収スペクトルのピークエンドを結んだ直線の傾きの絶対値が0.025以上である[16]から[26]のいずれかに記載の添加剤。
【0047】
[28]式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基をR7a又はR8aのいずれかの位置に有する、[27]に記載の添加剤。
【0048】
[29]R1a~R5aの置換基が、メチル基、t-ブチル基、ヒドロキシ基から選ばれ、かつt-ブチル基は1個以下である、[16]に記載の添加剤。
【0049】
[30]R1a~R5aの置換基が、メチル基、t-ブチル基、ヒドロキシ基から選ばれ、かつt-ブチル基は1個以下である、[28]に記載の添加剤。
【0050】
[31]下記式(II)で表わされる、マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤。
【0051】
【化3】
【0052】
(式中、R1b~R10bはそれぞれ独立に、下記式(ii-1)又は式(ii-2):
【0053】
【化4】
【0054】
(式(ii-1)中、R11bは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示し、qは0又は1の整数を示す。式(ii-2)中、R12bは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R13bはsが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R14bは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。R12bとs個のR13bとR14bの総炭素数は25以下である。rは0又は1の整数を示し、sは0~3の整数を示す。)で表わされる1価の硫黄含有基、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。R1b~R10bのうち少なくとも1つは式(ii-1)又は式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。)
[32]マトリックスが透明樹脂である[31]に記載の添加剤。
【0055】
[33]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-1)で表わされるものであり、この式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数10以下のアルキレン基を含む、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0056】
[34]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-1)で表わされるものであり、この式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数9以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0057】
[35]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-1)で表わされるものであり、この式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0058】
[36]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-1)で表わされるものであり、この式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が35℃以下である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0059】
[37]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-1)で表わされるものであり、この式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが基端にエーテル結合を有する炭素数10以下のオキシアルキレン基である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0060】
[38]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-2)で表わされるものであり、この式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数18以下のアルキル基を含む、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0061】
[39]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-2)で表わされるものであり、この式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数18以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0062】
[40]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-2)で表わされるものであり、この式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数12以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数12以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0063】
[41]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-2)で表わされるものであり、この式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数10以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数10以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0064】
[42]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-2)で表わされるものであり、この式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数10以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数10以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0065】
[43]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-2)で表わされるものであり、この式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0066】
[44]前記1価の硫黄含有基は、式(ii-2)で表わされるものであり、この式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が35℃以下である、[31]又は[32]に記載の添加剤。
【0067】
[45]下記式(III)で表わされる、マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤。
【0068】
【化5】
【0069】
(式中、R1c~R10cはそれぞれ独立に、下記式(iii-1)又は式(iii-2):
【0070】
【化6】
【0071】
(式(iii-1)中、R11cは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示し、tは0又は1の整数を示す。式(iii-2)中、R12cは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R13cはvが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R14cは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。R12cとv個のR13cとR14cの総炭素数は25以下である。uは0又は1の整数を示し、vは0~3の整数を示す。)で表わされる1価の硫黄含有基、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。R1c~R10cのうち少なくとも1つは式(iii-1)又は式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。)
[46]マトリックスが透明樹脂である[45]に記載の添加剤。
【0072】
[47]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-1)で表わされるものであり、この式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数10以下のアルキレン基を含む、請求項43又は44に記載の添加剤。
【0073】
[48]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-1)で表わされるものであり、この式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数9以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0074】
[49]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-1)で表わされるものであり、この式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0075】
[50]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-1)で表わされるものであり、この式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が35℃以下である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0076】
[51]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-1)で表わされるものであり、この式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが基端にエーテル結合を有する炭素数10以下のオキシアルキレン基である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0077】
[52]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-2)で表わされるものであり、この式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数18以下のアルキル基を含む、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0078】
[53]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-2)で表わされるものであり、この式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数18以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0079】
[54]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-2)で表わされるものであり、この式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数12以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数12以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0080】
[55]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-2)で表わされるものであり、この式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数10以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数10以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0081】
[56]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-2)で表わされるものであり、この式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数10以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数10以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0082】
[57]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-2)で表わされるものであり、この式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0083】
[58]前記1価の硫黄含有基は、式(iii-2)で表わされるものであり、この式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が35℃以下である、[45]又は[46]に記載の添加剤。
【0084】
[59]下記式(IV)で表わされる、マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤。
【0085】
【化7】
【0086】
(式中、R1d~R15dはそれぞれ独立に、下記式(iv-1)又は式(iv-2):
【0087】
【化8】
【0088】
(式(iv-1)中、R16dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示し、wは0又は1の整数を示す。式(iv-2)中、R17dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R18dはyが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R19dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。R17dとy個のR18dとR19dの総炭素数は25以下である。xは0又は1の整数を示し、yは0~3の整数を示す。)で表わされる1価の硫黄含有基、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。R1d~R15dのうち少なくとも1つは式(iv-1)又は式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。)
[60]マトリックスが透明樹脂である[59]に記載の添加剤。
【0089】
[61]前記1価の硫黄含有基は、式(iv-1)又は式(iv-2)で表わされるものであり、式(iv-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、wが0であるか、wが1でR16dが炭素数8以下のアルキレン基を含み、式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R17dとy個のR18dとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R19dが炭素数8以下のアルキル基を含む、[59]又は[60]に記載の添加剤。
【0090】
[62]下記式(V)で表わされる、マトリックスに紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与するための添加剤。
【0091】
【化9】
【0092】
(式中、R1e~R9eはそれぞれ独立に、炭素数10~20の直鎖を有し2個以下の炭素数1又は2のアルキル基で直鎖が置換されていてもよい炭素数10~24のアルキル基、水素原子、炭素数1~4の1価の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。R1e~R9eのうち少なくとも1つは前記炭素数10~24のアルキル基である。)
[63]マトリックスが透明樹脂である[62]に記載の添加剤。
【0093】
[64]本発明の添加剤は、[1]から[64]のいずれかに記載の添加剤において、前記式(I)~(IV)のR1a~R13a、R1b~R14b、R1c~R14c、R1d~R19dから選ばれる少なくともいずれかの基に、反応性官能基が結合している。
【0094】
[65]本発明の樹脂部材は、[1]から[15]、[31]から[64]のいずれかに記載の添加剤をマトリックスの樹脂中に含有する。
【0095】
[66]本発明の透明樹脂部材は、[1]から[15]、[31]から[64]のいずれかに記載の添加剤をマトリックスの樹脂中に含有する。
【0096】
[67]本発明の樹脂部材は、[16]から[30]のいずれかに記載の添加剤をマトリックスの樹脂中に含有する。
【0097】
[68]本発明の透明樹脂部材は、[16]から[30]のいずれかに記載の添加剤をマトリックスの樹脂中に含有する。
【0098】
[69]本発明の樹脂部材は、[65]から[68]のいずれかに記載の樹脂部材において、積層された複層構造を有する部材のうちの1つの層、フィルム、シート、プレート状部材、又は光学樹脂である。
【発明の効果】
【0099】
本発明の添加剤によれば、マトリックスとなる樹脂への相溶性が良好で、耐熱性に優れ、低濃度~高濃度で添加しても高い透明性を維持することができる。そのため、透明性を維持しながら、高濃度での添加によって紫外線吸収能や高屈折率の付与の性能を十分に発現させることができる。
【0100】
また本発明の添加剤によれば、紫外線吸収能及び高屈折率付与の両方の機能を1種類の添加剤で発現することもできる。
【0101】
本発明の添加剤を含有する樹脂部材は、添加剤の耐熱性、樹脂への相溶性より、添加剤の濃度が低濃度から高濃度の広範囲の条件でも透明性を持ち、高屈折率及び/又は紫外線吸収能が付与される。特に、高濃度条件では、透明性を保持し、より高屈折率及び/又は高紫外線吸収能を付与することができる。また、積層された複層構造は簡略化され、製造工程及びコスト削減が可能となる。さらに、高い樹脂の成形加工温度に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1】実施例36~40(ベンゾトリアゾール系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図2】実施例41~44、比較例9(ベンゾトリアゾール系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図3】実施例45~49(ベンゾトリアゾール系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図4】実施例50~54(ベンゾトリアゾール系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図5】実施例55~60、比較例10(ベンゾトリアゾール系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図6】実施例61~64、比較例11(ベンゾフェノン系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図7】実施例65、66、比較例12(サリシレート系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図8】実施例67~70、比較例13(トリアジン系)の紫外-可視吸収スペクトル(UVチャート)である。
図9】化合物21について、10,25,50μMの濃度で吸収ピークを測定し、350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値と紫外線吸収剤の濃度をプロットしたグラフである。
図10】実施例71と比較例14のプラスチックレンズの透過スペクトルである。
図11】実施例72と比較例15のプラスチックレンズの透過スペクトルである。
図12】実施例73と比較例16のプラスチックレンズの透過スペクトルである。
図13】実施例74と比較例17のプラスチックレンズの透過スペクトルである。
図14】実施例75と比較例18のプラスチックレンズの透過スペクトルである。
図15】実施例76と比較例14のプラスチックレンズの透過スペクトルである。
図16】実施例77と比較例14のプラスチックレンズの透過スペクトルである。
図17】実施例10と実施例13のフィルムの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0104】
前記の式(I)~式(IV)で表わされる添加剤は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系の紫外線吸収骨格に、硫黄含有基を導入したことを特徴としている。この硫黄含有基の導入によって、マトリックスとなる樹脂への相溶性が良好となり、高濃度で添加しても高い透明性を維持することができる。また、重量減少温度が上がり、耐熱性も向上する。さらに、紫外線吸収骨格によって紫外線吸収能が発現し、硫黄含有基によって高屈折率付与剤としての性能も発現する。
[置換基等]
本発明において、「芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基」には、高屈折率を付与できる基、耐熱性、樹脂に対する相溶性を調整できる基、樹脂及び/又は樹脂のモノマーと反応する基等が含まれ、例えば、次のものが含まれる。
(芳香族基)
芳香族基は、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環を含み、炭素数が好ましくは6~18、より好ましくは6~14である。1価もしくは2価の芳香族基としては、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,5-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-ビフェニル基、1-ナフチル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、2-クロロフェニル基、2-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
(不飽和基)
不飽和基は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-酸素二重結合(カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシル基等)、炭素-窒素二重結合(イソシアネート基等)、炭素-窒素三重結合(シアノ基、シアナト基等)等の炭素-炭素又は炭素-ヘテロ原子の不飽和結合を含み、炭素数が好ましくは1~10、より好ましくは1~8である。1価もしくは2価の不飽和基としては、アクリロイル基、メタクロイル基、マレイン酸モノエステル基、スチリル基、アリル基、ビニル基、アミド基、カルバモイル基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げられる。
(硫黄含有基)
硫黄含有基は、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルホ基、チオカルボニル基、チオカルバモイル基、又はチオ尿素基を含み、炭素数が好ましくは0~10である。1価もしくは2価の硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ-n-プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ-n-ブトキシ基、チオ-t-ブトキシ基、チオフェノキシ基、p-メチルチオフェノキシ基、p-メトキシチオフェノキシ基、チオフェン基、チアゾール基、チオール基、スルホ基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、チオカルボニル基、チオ尿素基等が挙げられる。
(酸素含有基)
酸素含有基は、芳香環基又は脂環式基を含む場合には炭素数が好ましくは6~12、芳香環基又は脂環式基を含まない場合には炭素数が好ましくは0~6である。1価もしくは2価の酸素含有基としては、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、アセトキシ基、アセチル基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルバモイル基、尿素基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、オキサゾール基、モルホリン基等が挙げられる。
(リン含有基)
リン含有基は、ホスフィン基、ホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、又はリン酸エステル基を含み、芳香環基又は脂環式基を含む場合には炭素数が好ましくは6~22、芳香環基又は脂環式基を含まない場合には炭素数が好ましくは0~6である。1価もしくは2価のリン含有基としては、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基、トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基、メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。
(脂環式基)
脂環式基は、炭素数が好ましくは3~10、より好ましくは3~8である。1価もしくは2価の脂環式基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
(ハロゲン原子)
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0105】
前記の式(V)で表わされる添加剤は、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収骨格に、長鎖アルキル基を導入したことを特徴としている。この長鎖アルキル基の導入によって、添加剤が液体となり、マトリックスとなる樹脂への相溶性が良好となって、高濃度で添加しても高い透明性を維持することができる。そのため、透明性が高く、高い紫外線吸収能も有する樹脂部材が得られる。
1.式(I)で表わされる添加剤
前記の式(I)で表わされる添加剤は、ベンゾトリアゾール系の骨格に前記の式(i-1)又は(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基を含む。
【0106】
式(i-1)において、R10aは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示す。
【0107】
10aの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基等が挙げられる。
【0108】
2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0109】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0110】
式(i-1)において、mは0又は1の整数を示す。
【0111】
式(i-2)において、R11aは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0112】
11aの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、直鎖又は分岐のアルケニレン基、直鎖又は分岐のアルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-イル基、テトラデカン-1,14-イル基、ペンタデカン-1,15-イル基、ヘキサデカン-1,16-イル基、ヘプタデカン-1,17-イル基、オクタデカン-1,18-イル基、ノナデカン-1,19-イル基、エイコサン-1,20-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0113】
11aの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0114】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0115】
式(i-2)において、R12aはpが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0116】
12aの2価の炭化水素基としては、R11aの2価の炭化水素基で前記に例示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0117】
12aの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0118】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0119】
式(i-2)において、R13aは水素原子を示すか、又は-(R14al-R15aで表される基(R14aは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示し、R15aは、水素原子を示すか、又はベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、安息香酸エステル、及びトリアジンから選ばれるいずれか1つの骨格を含む置換基を示す。lは0又は1の整数を示す。)を示す。
【0120】
14aの2価の炭化水素基としては、R10aの2価の炭化水素基で前記に例示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0121】
14aの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0122】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0123】
15aがベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、安息香酸エステル、及びトリアジンから選ばれるいずれか1つの骨格を含む置換基である場合、ベンゾトリアゾールを含む置換基としては例えば下記式(A)で表わされる基が挙げられ、ベンゾフェノンを含む置換基としては例えば下記式(B)で表わされる基が挙げられ、安息香酸エステルを含む置換基としては例えば下記式(C)で表わされる基が挙げられ、トリアジンを含む置換基としては例えば下記式(D)で表わされる基が挙げられる。
【0124】
【化10】
【0125】
式(A)において、R16a~R24aのうちいずれか1つは式(i-2)のR14a又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR16a~R24aは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0126】
【化11】
【0127】
式(B)において、R15b~R24bのうちいずれか1つは式(i-2)のR14a又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR15b~R24bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0128】
【化12】
【0129】
式(C)において、R15c~R24cのうちいずれか1つは式(i-2)のR14a又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR15c~R24cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0130】
【化13】
【0131】
式(D)において、R20d~R22dは次の[ア]、[イ]のいずれかを示す。
[ア]R20d~R22dのうち少なくとも1つは式(i-2)のR14a又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR20d~R22dは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子、及び次の式(d)で表わされる基:
【0132】
【化14】
【0133】
(式中、R23d~R27dは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。)から選ばれる1価の基を示す。すなわち式(I)で表わされる基がトリアジン環に1~3個結合していてもよい。
[イ]R20d~R22dのうち少なくとも1つは次の式(d')で表わされる基:
【0134】
【化15】
【0135】
(R28d~R32dのうち少なくとも1つは式(i-2)のR14a又は末端硫黄原子と結合する1価の結合部分を示し、それ以外のR28d~R32dは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。)を示し、それ以外のR20d~R22dは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。すなわち上記式(d')で表わされるベンゼン環には式(I)で表わされる基が1~5個結合していてもよい。
【0136】
式(A)~(D)及び(d)において、R16a~R24a、R15b~R24b、R15c~R24c、R20d~R27dが1価の炭化水素基である場合、この1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基等が挙げられる。
【0137】
16a~R24a、R15b~R24b、R15c~R24c、R20d~R27dが芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
式(i-2)において、nは0又は1の整数を示し、pは0~3、好ましくは0又は1の整数を示す。
【0138】
式(i-2)において、R11aとp個のR12aとR13aの総炭素数は25以下である。
【0139】
式(I)において、R1a~R9aが式(i-1)又は式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基である場合、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0140】
1a~R9aが1価の炭化水素基である場合、この1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
【0141】
1a~R9aが芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0142】
式(I)において、R1a~R9aのうち少なくとも1つは式(i-1)又は式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。その中でも、実際の合成の容易性やコスト、耐熱性、あるいは、マトリックスとなる樹脂への相溶性を良好なものとすることで、本発明の添加剤を添加した樹脂部材の白濁を抑制し、高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、R1a~R9aのうち1~2個が式(i-1)又は式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基であることが好ましい。
【0143】
式(I)における式(i-1)又は式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基の位置は、特に限定されるものではないが、R1a、R3a、R5a、R7a又はR8aが挙げられる。
【0144】
1価の硫黄含有基として(i-1)を導入した式(I)の添加剤は、耐熱性、低濃度~高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数10以下のアルキレン基を含むことが好ましい。
【0145】
また、これらの添加剤は、硫黄含有基を導入して、それぞれの炭素数を調整すると融点が低下する傾向がある。融点が低下するとマトリックスとなる樹脂との相溶性が特に良好となる。この点から、式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数9以下のアルキレン基を含み、常圧下(例えば標準大気圧101325Pa)、融点が91℃以下であることが好ましい。
【0146】
別の好ましい態様は、式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が70℃未満である。あるいは、式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が35℃以下である。つまり、炭素数が炭素数8以下で融点70℃未満であると、高濃度で添加しても、高い透明性が高膜厚で得られ、更に、常温(5~35℃)において液状であると、より高膜厚で、高濃度で添加しても高い透明性が実現できる。
【0147】
1価の硫黄含有基として(i-2)を導入した式(I)の添加剤は、耐熱性、低濃度~高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数18以下のアルキル基を含むことが好ましい。
【0148】
また、これらの添加剤は、硫黄含有基を導入して、それぞれの炭素数を短鎖から中鎖に調整すると融点が低下する傾向がある。融点が低下するとマトリックスとなる樹脂との相溶性が特に良好となり、このような点を考慮すると、式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数18以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下であることが好ましい。
【0149】
式(i-1)又は式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基をR1a~R5aのいずれかの位置に有する場合、好ましい態様において、式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数8以下のアルキレン基を含み、式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点70℃未満である。さらに好ましい態様では、式(i-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、mが0であるか、mが1でR10aが炭素数8以下のアルキレン基を含み、式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R11aとp個のR12aとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R13aが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が35℃以下である。
(耐熱性に優れ、透明樹脂マトリックスの透明性を維持しつつ紫外線吸収能、高屈折率を付与するための紫外線吸収剤)
耐熱性に優れ、透明樹脂マトリックスの透明性を維持しつつ紫外線吸収能、高屈折率を付与するための紫外線吸収剤は、好ましい態様として次のものを含む。
・式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基をR6a~R9aのいずれかの位置に有し、式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、下記式
【0150】
【化16】
【0151】
で表わされるものであり、p個のR12aが炭素数1~18のアルキレン基を含み、R13aが炭素数1~18のアルキル基を含む。
【0152】
さらに、p個のR12aが炭素数1~8のアルキレン基を含み、R13aが炭素数1~8のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である。
・R13aが炭素数1~18のアルキル基を含む。
・R13aが炭素数1~18のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である。
・R13aが炭素数1~12のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である。
・R13aが炭素数1~10のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である。
・R13aが炭素数4~10のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下である。
・R13aが炭素数6~10のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である。
・R13aが炭素数6~10のアルキル基を含み、常圧下、融点が35℃以下である。
・置換基が、メチル基、t-ブチル基、ヒドロキシ基から選ばれ、かつt-ブチル基は1個以下である。その中でも、置換基はR1a、R2a、R4aのいずれかの位置であり、特に、R1aの置換基はヒドロキシ基、R2aの置換基はt-ブチル基、R4aの置換基はメチル基である。
(長波長領域を吸収し、透明樹脂マトリックスの黄変を抑制する紫外線吸収剤)
長波長領域を吸収し、透明樹脂マトリックスの黄変を抑制する紫外線吸収剤は、その好ましい態様において、式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基をR6a~R9aのいずれかの位置に有し、式(i-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、下記式
【0153】
【化17】
【0154】
(式中、R12a、R13a、pは前記と同義である。)
で表わされる。
【0155】
式(I)の添加剤は、樹脂モノマーに対する溶解度も高く、プラスチックレンズに加工しても表面に析出せず、透明性が高く、また、その光学的特性から、250~420nmまでの波長領域の光を十分吸収することができる。しかも、紫外線吸収効果(モル吸光係数)が高く、少量の添加で、その波長光を十分吸収でき、クロロホルム溶液中で350~390nmの吸収ピークの傾きが従来の紫外線吸収剤よりも大きいことから、樹脂部材の黄色化を抑制することができる。
【0156】
また加齢黄斑変性等、眼組織の障害の引き金となる可能性がある400~420nmまでの波長領域の有害光を吸収し、レンズの黄色化の要因となる420nm付近以上の波長光の吸収を抑制し、黄色化を抑え外観に優れた樹脂部材を得るためには、100μMクロロホルム溶液における光の吸収ピークが350~390nmにあることが好ましく、360~380nmにあることがより好ましく、特に360~375nmにあることが好ましい。また、それらの波長領域にある吸収ピークは、最大吸収波長(λmax)であることが好ましい。さらに、その波長ピークは、420nm付近よりも長波長の光の吸収を抑制するために、長波長側の吸収スペクトルはシャープな方が(傾きの絶対値が大きい方が)良く、吸収ピークの長波長側の傾き(吸収ピークと長波長側の吸収スペクトルのピークエンドを結んだ直線の傾きの絶対値:図3、後述の実施例欄を参照)が0.025以上であることが好ましく、0.030以上がより好ましい。また、少量で効率よく吸収するためには、上記の350~390nmの吸収ピークのモル吸光係数(最大モル吸光係数:ελmax)は、17000L/(mol・cm)以上が好ましく、18000L/(mol・cm)以上がより好ましく、特に20000L/(mol・cm)以上が好ましい。
2.式(II)で表わされる添加剤
前記の式(II)で表わされる添加剤は、ベンゾフェノン系の骨格に前記の式(ii-1)又は(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基を含む。
【0157】
式(ii-1)において、R11bは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示す。
【0158】
11bの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基等が挙げられる。
【0159】
2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0160】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0161】
式(ii-1)において、qは0又は1の整数を示す。
【0162】
式(ii-2)において、R12bは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0163】
12bの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、直鎖又は分岐のアルケニレン基、直鎖又は分岐のアルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-イル基、テトラデカン-1,14-イル基、ペンタデカン-1,15-イル基、ヘキサデカン-1,16-イル基、ヘプタデカン-1,17-イル基、オクタデカン-1,18-イル基、ノナデカン-1,19-イル基、エイコサン-1,20-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0164】
12bの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0165】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0166】
式(ii-2)において、R13bはsが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0167】
13bの2価の炭化水素基としては、R12bの2価の炭化水素基で前記に例示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0168】
13bの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0169】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0170】
式(ii-2)において、R14bは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。
【0171】
14bの1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基、ノナデカン-1-イル基、エイコサン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0172】
14bの1価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0173】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0174】
式(ii-2)において、rは0又は1の整数を示し、sは0~3、好ましくは0又は1の整数を示す。
【0175】
式(ii-2)において、R12bとs個のR13bとR14bの総炭素数は25以下である。
【0176】
式(II)において、R1b~R10bが式(ii-1)又は式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基である場合、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0177】
1b~R10bが1価の炭化水素基である場合、この1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
【0178】
1b~R10bが芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0179】
式(II)において、R1b~R10bのうち少なくとも1つは式(ii-1)又は式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。その中でも、実際の合成の容易性やコスト、耐熱性、あるいはマトリックスとなる樹脂への相溶性を良好なものとすることで、本発明の添加剤を添加した樹脂部材の白濁を抑制し、高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、R1b~R10bのうち1~2個が式(ii-1)又は式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基であることが好ましい。
【0180】
式(II)における式(ii-1)又は式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基の位置は、特に限定されるものではないが、R3b又はR8bが挙げられる。
3.式(III)で表わされる添加剤
前記の式(III)で表わされる添加剤は、サリシレート系の骨格に前記の式(iii-1)又は(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基を含む。
【0181】
式(iii-1)において、R11cは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示す。
【0182】
11cの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基等が挙げられる。
【0183】
11cの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0184】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0185】
式(iii-1)において、tは0又は1の整数を示す。
【0186】
式(iii-2)において、R12cは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0187】
12cの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、直鎖又は分岐のアルケニレン基、直鎖又は分岐のアルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-イル基、テトラデカン-1,14-イル基、ペンタデカン-1,15-イル基、ヘキサデカン-1,16-イル基、ヘプタデカン-1,17-イル基、オクタデカン-1,18-イル基、ノナデカン-1,19-イル基、エイコサン-1,20-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0188】
12cの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0189】
前記1価もしくは2価の基のうち芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0190】
式(iii-2)において、R13cはvが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0191】
13cの2価の炭化水素基としては、R12cの2価の炭化水素基で前記に例示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0192】
13cの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、炭素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0193】
前記1価もしくは2価の基のうち芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0194】
式(iii-2)において、R14cは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。
【0195】
14cの1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基、ノナン-1-イル基、エイコサン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0196】
14cの1価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0197】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0198】
式(iii-2)において、uは0又は1の整数を示し、vは0~3、好ましくは0又は1の整数を示す。
【0199】
式(iii-2)において、R12cとv個のR13cとR14cの総炭素数は25以下である。
【0200】
式(III)において、R1c~R10cが式(iii-1)又は式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基である場合、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0201】
1c~R10cが1価の炭化水素基である場合、この1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
【0202】
1c~R10cが芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、又はハロゲン原子である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0203】
式(III)において、R1c~R10cのうち少なくとも1つは式(iii-1)又は式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。その中でも、実際の合成の容易性やコスト、耐熱性、あるいはマトリックスとなる樹脂への相溶性を良好なものとすることで、本発明の添加剤を添加した樹脂部材の白濁を抑制し、高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、R1c~R10cのうち1~2個が式(iii-1)又は式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基であることが好ましい。
【0204】
式(III)における式(iii-1)又は式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基の位置は、特に限定されるものではないが、R7c、R9cが挙げられる。
【0205】
1価の硫黄含有基として(ii-1)~(iii-1)を導入した式(II)~(III)の添加剤は、耐熱性、低濃度~高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数10以下のアルキレン基を含み、式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数10以下のアルキレン基を含むことが好ましい。
【0206】
マトリックスとなる樹脂との相溶性(透明性)は、添加剤の構造としては式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)中のベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリシレート、トリアジン骨格にある式(i~v-1)及び式(i~v-2)の官能基中のアルキルの炭素数と、物性面で融点に依存する。しかしながら、融点は、(i~v-1)及び式(i~v-2)の炭素数と融点の間に明確な相関はなく、構造と物性の2つの要素を両立するのは難しい。
【0207】
これらの添加剤は、硫黄含有基を導入して、それぞれの炭素数を調整すると融点が低下する傾向がある。融点が低下するとマトリックスとなる樹脂との相溶性が特に良好となる。この点から、式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数9以下のアルキレン基を含み、式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数9以下のアルキレン基を含み、常圧下(例えば標準大気圧101325Pa)、融点が91℃以下であることが好ましい。
【0208】
別の好ましい態様は、式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数8以下のアルキレン基を含み、式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が70℃未満である。あるいは、式(ii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、qが0であるか、qが1でR11bが炭素数8以下のアルキレン基を含み、式(iii-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、tが0であるか、tが1でR11cが炭素数8以下のアルキレン基を含み、常圧下、融点が35℃以下である。つまり、炭素数が炭素数8以下で融点70℃未満であると、高濃度で添加しても、高い透明性が高膜厚で得られ、更に、常温(5~35℃)において液状であると、より高膜厚で、高濃度で添加しても高い透明性が実現できる。
【0209】
1価の硫黄含有基として(ii-2)~(iii-2)を導入した式(II)~(III)の添加剤は、低濃度~高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数18以下のアルキル基を含み、式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数18以下のアルキル基を含むことが好ましい。
【0210】
また、これらの添加剤は、硫黄含有基を導入して、それぞれの炭素数を短鎖から中鎖に調整すると融点が低下する傾向がある。融点が低下するとマトリックスとなる樹脂との相溶性が特に良好となり、このような点を考慮すると、式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数18以下のアルキル基を含み、式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数18以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が91℃以下であることが好ましい。
【0211】
別の好ましい態様は、式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数8以下のアルキル基を含み、式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が70℃未満である。あるいは、式(ii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12bとs個のR13bとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14bが炭素数8以下のアルキル基を含み、式(iii-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R12cとv個のR13cとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R14cが炭素数8以下のアルキル基を含み、常圧下、融点が35℃以下である。つまり、炭素数が8以下で融点70℃未満であると、高濃度で添加しても、高い透明性が高膜厚で得られ、更に、常温(5~35℃)において、液状であると、より高膜厚で、高濃度で添加しても高い透明性が実現できる。
4.式(IV)で表わされる添加剤
前記の式(IV)で表わされる添加剤は、トリアジン系の骨格に前記の式(iv-1)又は(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基を含む。
【0212】
式(IV)で表わされる添加剤は固体でも液体でもよいが、1価の硫黄含有基を導入すると、耐熱性が向上し、マトリックスとなる樹脂との相溶性が特に良好で、高濃度で添加しても高い透明性が得られる。
【0213】
式(iv-1)において、R16dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~12の2価の炭化水素基を示す。
【0214】
16dの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基等が挙げられる。
【0215】
16dの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、炭素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0216】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0217】
これらの中でも、マトリックスとなる樹脂への相溶性を良好なものとすることで、本発明の添加剤を添加した樹脂部材の白濁を抑制し、高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、炭素数1~9の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数1~8の2価の炭化水素基がより好ましい。また、この点を考慮すると、w=0、すなわち式(iv-1)が-SHである態様も同様に好ましい。また炭化水素基の中でもアルキレン基が好ましく、式(iv-1)で表わされる1価の硫黄含有基は、好ましい態様においてwが0であるか、wが1でR16d炭素数8以下のアルキレン基を含む。アルキレン基は、特に直鎖のアルキレン基が好ましい。
【0218】
式(iv-1)において、wは0又は1の整数を示す。
【0219】
式(iv-2)において、R17dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0220】
17dの2価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、直鎖又は分岐のアルケニレン基、直鎖又は分岐のアルキニレン基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、1-メチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-イル基、テトラデカン-1,14-イル基、ペンタデカン-1,15-イル基、ヘキサデカン-1,16-イル基、ヘプタデカン-1,17-イル基、オクタデカン-1,18-イル基、ノナデカン-1,19-イル基、エイコサン-1,20-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0221】
17dの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0222】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0223】
式(iv-2)において、R18dはyが2以上の場合はそれぞれ独立に芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、両端の少なくともいずれかが中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基を示す。
【0224】
18dの2価の炭化水素基としては、R17dの2価の炭化水素基で前記に例示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。
【0225】
18dの2価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、前記1価もしくは2価の基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0226】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0227】
式(iv-2)において、R19dは芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断されていてもよい炭素数1~20の1価の炭化水素基を示す。
【0228】
19dの1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基、ノナン-1-イル基、エイコサン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0229】
19dの1価の炭化水素基が、前記1価もしくは2価の基で、水素原子が置換されるか、基端が中断されるか、又は炭素-炭素結合が中断される場合、置換基の数は2個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
【0230】
前記1価もしくは2価の基の芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、ハロゲン原子の具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0231】
式(iv-2)において、xは0又は1の整数を示し、yは0~3、好ましくは0又は1の整数を示す。
【0232】
式(iv-2)において、R17dとy個のR18dとR19dの総炭素数は54以下が好ましく、さらに36以下、特に25以下であることが好ましい。これらの中でも、マトリックスとなる樹脂への相溶性を良好なものとすることで、本発明の添加剤を添加した樹脂部材の白濁を抑制し、高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基は、R17dとy個のR18dとが炭素数18以下のアルキレン基を含み、R19dが炭素数18以下のアルキル基が好ましく、R17dとy個のR18dとが炭素数12以下のアルキレン基を含み、R19dが炭素数12以下のアルキル基がより好ましく、R17dとy個のR18dとが炭素数8以下のアルキレン基を含み、R19dが炭素数8以下のアルキル基が特に好ましい。さらに、R17dとy個のR18dとR19dがいずれも直鎖で、かつR17d、R18d、R19dのそれぞれの炭素数が1~18であることが好ましく、R17d、R18d、R19dのそれぞれの炭素数が1~12であることがより好ましく、R17d、R18d、R19dのそれぞれの炭素数が1~8であることがさらに好ましく、炭素数が1~6であることがさらに好ましく、炭素数が1であることが特に好ましい(ここではx=0の場合、及びy=0の場合をも包含する。)。
【0233】
式(IV)において、R1d~R15dが式(iv-1)又は式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基以外の基である場合、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0234】
1d~R15dが1価の炭化水素基である場合、この1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基、ペンタン-1-イル基、ペンタン-2-イル基、ヘキサン-1-イル基、ヘプタン-1-イル基、オクタン-1-イル基、ノナン-1-イル基、デカン-1-イル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~8の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
【0235】
1d~R15dが芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0236】
式(IV)において、R1d~R15dのうち少なくとも1つは式(iv-1)又は式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基である。その中でも、実際の合成の容易性やコスト、耐熱性、あるいはマトリックスとなる樹脂への相溶性を良好なものとすることで、本発明の添加剤を添加した樹脂部材の白濁を抑制し、高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、R1d~R15dのうち1~3個が式(iv-1)又は式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基であることが好ましい。
【0237】
式(IV)における式(iv-1)又は式(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基の位置は、特に限定されるものではないが、R3d、R8d、R13d挙げられる。
トリアジン系の骨格に前記の式(iv-1)又は(iv-2)で表わされる1価の硫黄含有基を含む。炭素数10~24のアルキル基
5.式(V)で表わされる添加剤
前記の式(V)で表わされる添加剤は、ベンゾトリアゾール系の骨格に、長鎖アルキル基を含む。
【0238】
式(V)において、R1e~R9eのうち少なくとも1つは炭素数10~24のアルキル基である。この炭素数10~24のアルキル基は、炭素数10~20の直鎖を有し2個以下の炭素数1又は2のアルキル基で直鎖が置換されていてもよい。その中でも、直鎖のアルキル基が好ましい。
【0239】
この炭素数10~24のアルキル基として、具体的には、例えば、デカン-1-イル基、ウンデカン-1-イル基、ドデカン-1-イル基、トリデカン-1-イル基、テトラデカン-1-イル基、ペンタデカン-1-イル基、ヘキサデカン-1-イル基、ヘプタデカン-1-イル基、オクタデカン-1-イル基、ノナン-1-イル基、エイコサン-1-イル基、ヘンイコサン-1-イル基、ドコサン-1-イル基、トリコサン-1-イル基、テトラコサン-1-イル基等が挙げられる。
【0240】
式(V)において、R1e~R9eが前記の炭素数10~24のアルキル基以外の基である場合、水素原子、炭素数1~4の炭化水素基、芳香族基、不飽和基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、及びハロゲン原子から選ばれる1価の基を示す。
【0241】
1e~R9eが1価の炭化水素基である場合、この1価の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エタン-1-イル基、プロパン-1-イル基、1-メチルエタン-1-イル基、ブタン-1-イル基、ブタン-2-イル基、2-メチルプロパン-1-イル基、2-メチルプロパン-2-イル基等が挙げられる。
【0242】
1e~R9eが芳香族基、不飽和基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、脂環式基、又はハロゲン原子である場合、その具体例としては、前記[置換基等]の欄に例示したものが挙げられる。
【0243】
式(V)において、R1e~R9eのうち少なくとも1つは前記の炭素数10~24のアルキル基である。その中でも、実際の合成の容易性やコスト、あるいはマトリックスとなる樹脂への相溶性を良好なものとすることで、本発明の添加剤を添加した樹脂部材の白濁を抑制し、高濃度の添加での高い紫外線吸収能の発現又は高屈折率の付与を可能とする点等を考慮すると、R1e~R9eのうち1~2個が前記の炭素数10~24のアルキル基であることが好ましい。
【0244】
式(V)における前記の炭素数10~24のアルキル基の位置は、特に限定されるものではないが、R2e又はR4e等が挙げられる。
【0245】
本発明において、添加剤と樹脂との相溶性を高めることが可能となる点と、添加剤の融点との関係については、次の点が考慮される。添加剤の分子間の相互作用が大きい場合、添加剤の分子と樹脂の分子との相互作用が難しく、それらの相溶性が低下する。一方で、添加剤の分子間の相互作用が大きい場合、添加剤の融点は上がる。つまり、添加剤の融点は、添加剤の分子間の相互作用、さらには添加剤と樹脂との相溶性の指標となり、添加剤に硫黄含有基の導入、適切に選定されたアルキル基を導入することにより、添加剤の分子間の相互作用を小さくすることにより(低融点化し)、添加剤と樹脂との相溶性を高めることが可能となると推察される。
【0246】
本発明の添加剤は、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収骨格によって、紫外線吸収能を発揮し、250~400nm付近に紫外線吸収帯があり、紫外線領域の波長をカットし、可視光領域の波長は透過する。あらゆる有機物質の光劣化に影響のあるUV-A領域(315~400nm)まで吸収できる紫外線吸収剤が求められているが、本発明の添加剤はUV-A領域の紫外線吸収能に優れ、化学構造によっては400nm付近の領域までの紫外線をカットすることも可能である。また、i~iv-1,2の官能基の導入によって、高屈折率化だけではなく、紫外線吸収帯の領域を調整し、機能を高めることができる。ベンゾトリアゾール系化合物のベンゾトリアゾール基もしくは、トリアジン系化合物にチオエーテル基(i-2,iv-2)を導入した本発明の添加剤は、450~500nm(可視域)をカットすることなく、大きく長波長にシフトし、UV-A領域でも、より長波長の360~400nm付近の紫外線をカットすることが可能である。一方で、ベンゾトリアゾール系化合物の窒素上にあるフェニル基にi-2のチオエーテル基を導入した本発明の添加剤は、吸収帯は短波長にシフトし短波長領域の290nm付近に吸収帯に持つことができる。更に、本発明のトリアジン系化合物に1個のチオエーテル基(iv-2)を導入した本発明の添加剤は、360~400nm付近の長波長領域に加えて、短波長紫外線の領域260~280nmに紫外線吸収帯があり、より広範囲に紫外線吸収を可能とする。
【0247】
本発明の添加剤は、樹脂に添加した際、樹脂の透明性を維持することができ、また、本発明の添加剤は耐熱性に優れることから、これを含む樹脂部材を加熱成形・加工する過程で熱分解されにくいため、外観が損なわず、樹脂部材の紫外線吸収能、高屈折率性を低下しない樹脂部材が、さらに、透明樹脂部材では、透明性が高い部材が得られる。
【0248】
また、R6a~R9aにi-2のチオエーテル基を導入した式(I)で表わされる本発明の添加剤を含有する透明樹脂部材は、それらの添加物の耐熱性及び樹脂に対する相溶性による樹脂の透明性、高屈折率化に加えて、紫外線吸収のピークの特性から、黄色化を抑制しながら長波長領域の波長の吸収を可能とする。
【0249】
一方で、i~iv-1のチオール基、i~iv-2のチオエーテル基に炭素-炭素二重結合、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、マレオイル基、スチリル基、シンナモイル基等の重合性官能基及び架橋性官能基も含む水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、シリル基等の反応性官能基を持つ式(I)~式(V)で表わされる本発明の添加剤は、それらの官能基と反応する官能基(例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシ酸基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アルケニル基、アルキニル基、エーテル基、チオイソシアネート基、チオエポキシ基、チオカルボキシ酸基、チオカルボニル基、チオール基等)を含有するフィルム及び樹脂部材の原料モノマー、樹脂を用いて反応、共重合、成形加工して樹脂部材を得る場合、上記の添加剤が、それらのモノマーと共重合または樹脂の官能基と反応し、マトリックスに固定化され、ブリードアウトすることなく、透明性を保持して、それぞれの紫外線吸収能、高屈折率化の機能を長期間保持することができる。
【0250】
そして、硫黄含有基を導入したことで屈折率が向上し、樹脂部材に高屈折率を付与することができる。本発明の添加剤の屈折率の値は、特に限定されるものではないが、例えば1.55以上、好ましくは1.58~1.62、より好ましくは1.60~1.62の範囲である。
【0251】
本発明の添加剤は、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収骨格に硫黄含有基、特に短鎖から中鎖の炭化水素をスペーサとして有する硫黄含有基を導入したことで、樹脂部材への相溶性が向上し、高い透明性を維持しながら、0.4wt%以上、更に10wt%以上、特に30wt%以上の高濃度での溶解が可能となる。従って、高い透明性を維持しながら高い紫外線吸収能と高屈折率の少なくともいずれかを付与することができる。すなわち、既存の紫外線吸収剤及び屈折率向上剤では、高濃度での溶解が不可能であった樹脂部材に対して高濃度での溶解が可能となり、透明で、より高い紫外線吸収能又は高屈折率を樹脂部材に付与することができる。
【0252】
その中でも、本発明の添加剤の融点が70℃未満さらには35℃以下の常温で液体であると樹脂部材への相溶性が特に良好で、特にベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリシレート系の添加剤は50wt%以上の高濃度で添加してもマトリックスに高い透明性が得られる。
【0253】
更に、1つの添加剤を1枚のフィルム又はシートに添加するのみで、マトリックスへの紫外線吸収能の付与と高屈折率の付与の両方を達成できる。例えば、多層光学フィルムのような機能性の光学層を有するフィルムや部材において、1つの添加剤のみを用いて、2層(紫外線吸収層と高屈折率層)を1層とすることも可能となる。
【0254】
式(I)~式(V)で表わされる添加剤を製造する際には、後述の実施例の開示と公知の技術が参照される。
6.本発明の添加剤を用いた樹脂部材
本発明の樹脂部材は、以上に説明した本発明の添加剤を含有する。
【0255】
本発明の樹脂部材の形状は、特に限定されず任意の形状であってよいが、透明性を維持しながら高い紫外線吸収能及び/又は高屈折率を付与することができる点から、積層された複層構造は簡略化され、製造工程及びコスト削減が可能となる。中でも、複層構造を有する部材のうちの1つの層や、柔軟性又は可撓性を持つフィルムやシート、あるいは剛性
を持つ板状のプレート状部材が好ましく、その他、光学成形品、例えば眼鏡、コンタクトレンズ等のレンズ素子のような光学レンズが好ましい。
【0256】
本発明の添加剤を含む樹脂部材は、樹脂の透明性を維持することができ、また、本発明の添加剤は耐熱性に優れることから、これを含む樹脂部材を加熱成形・加工する過程で熱分解されにくいため、外観が損なわれず、樹脂部材の紫外線吸収能、高屈折率性を低下しない樹脂部材が、さらに、透明部材では、透明性が高い部材が得られる。
【0257】
また、R6a~R9aにiv-2のチオエーテル基を導入した式(I)~式(V)で表わされる本発明の添加剤含有する透明樹脂部材は、それらの添加物の耐熱性及び樹脂に対する相溶性による樹脂の透明性、高屈折率化に加えて、紫外線吸収のピークの特性から、黄色化を抑制しながら長波長領域の波長の吸収を可能とする。また、i~iv-1のチオール基及びi~iv-2のチオエーテル基にチオール基、ビニル基、ヒドロキシ基等の反応性官能基を持つ式(I)~式(V)で表わされる本発明の添加剤を含む樹脂部材は、それら添加剤に含有されるチオール基、ビニル基、ヒドロキシ基等の反応性官能基と反応する官能基(例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシ酸基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アルケニル基、アルキニル基、エーテル基、チオイソシアネート基、チオエポキシ基、チオカルボキシ酸基、チオカルボニル基、チオール基等)を含有するフィルム及び樹脂部材の原料モノマー、樹脂を用いて反応、成形加工する場合、得られる樹脂は、上記の添加剤が、それらのモノマー、樹脂の官能基と反応し、マトリックスに固定化され、ブリードアウトすることなく、それぞれの紫外線吸収能、高屈折率化の機能を長期間保持することができる。
【0258】
式(I)のR6a~R9aに式(i-1)又は式(i-2)で表される置換基を導入した本発明の添加剤を含む透明樹脂部材は、透明性、高屈折率を維持し、さらに添加剤の紫外線吸収能の特性から450~500nm(可視域)をカットすることなく、UV-A領域でも、より長波長の360~400nm付近の紫外線をシャープにカットすることが可能である。このため、樹脂部材は、黄色着色が抑制された、外観に優れるものが得られる。
【0259】
本発明の樹脂部材は、特に限定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロンなどの熱可塑性樹脂、ウレタン、チオウレタン、尿素、メラミン、アクリルメラミン、エピスルフィド、エポキシ、アリル、シリコーン、フェノール、ユリア、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂、アクリル、例えば多価アルコールのアクリル酸やメタクリル酸2-ヒドロキシエチル又はメタクリル酸エステルのような単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル、ポリエステル、エポキシ、アルキッド、スピロアセタール、ポリブタジエン、ポリチオールポリエンなどの紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0260】
本発明の樹脂部材は、特に限定されないが、例えば、次の(1)~(4)の方法で製造することができる。
(1)本発明の添加剤と樹脂又は、原料モノマーを含有するコーティング液を基材に塗布し、加熱、紫外線照射や乾燥で成膜する方法
(2)本発明の添加剤を樹脂又は、原料モノマーに混練して練り込み、押出機等を用いて成形・フィルム化する方法
(3)本発明の添加剤を樹脂接着剤に含有させ、その樹脂接着剤をフィルムに塗布する方法
(4)本発明の添加剤を原料モノマーに溶解し、金型やガラス型に注型し加熱、紫外線照射や乾燥で硬化させ成型する方法
これらの方法のうち、(1)の本発明の添加剤と樹脂又は原料モノマー材料を含有するコーティング液を塗布し成膜する方法は、透明な複層構造、フィルム、又はシートを得る点から本発明において好適である。
【0261】
この方法では、本発明の添加剤と樹脂又は原料モノマーを、有機溶媒又は水系溶媒に希釈して、あるいは希釈しないでコーティング液を調製し、基材に塗布し成膜する。必要に応じて、乾燥、冷却、加熱、紫外線照射を行い、膜強度を向上させる。
【0262】
樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば機能性の光学層を有するフィルムや部材であれば、基材との密着性や硬度等の必要な物性を考慮して適宜に選択することができる。具体的には、紫外線硬化型の樹脂、電子線硬化型の樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。より具体的には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリルメラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂(PVB、EVA等)、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エピスルフィド樹脂、ナイロン樹脂又はそれらの共重合樹脂等が挙げられる。
【0263】
機能性の光学層を有するフィルムや部材においては、紫外線硬化型の樹脂や電子線硬化型の樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらの樹脂を含むコーティング液を透明な基材に塗布して塗膜を形成し、この塗膜に対し、必要に応じて乾燥処理を施す。その後、紫外線や電子線を塗膜に照射または加熱して硬化反応を行うことにより、透明な光学層を形成することができる。
【0264】
紫外線硬化型の樹脂としては、アクリル系材料を用いることができる。アクリル系材料としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸エステルのような単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。また、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も用いることができる。
【0265】
紫外線硬化型の樹脂を用いる場合には、コーティング液には光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、紫外線が照射された際にラジカルを発生するものであればよい。例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等を用いることができる。
【0266】
熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリルメラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂等を用いることができる。
【0267】
熱可塑性樹脂としては、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂等を用いることができる。
【0268】
コーティング液には、必要に応じて、希釈のための溶媒を加えてもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等のエーテル類;メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n-ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸n-ペンチル、γ-プチロラクトン等のエステル類;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;水等が挙げられる。
【0269】
コーティング液には、必要に応じて、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、触媒、染料、顔料等の添加剤を配合してもよい。
【0270】
本発明の添加剤の使用量は、目的に応じて、紫外線吸収能、高屈折率化、透明性等を考慮して、特に限定されるものではないが、溶媒等の揮発性成分を除くコーティング液の全量に対して0.4wt%以上、更には10wt%以上、更には30wt%以上、特に50wt%以上添加することもできる。このような高濃度で添加しても、本発明の添加剤はマトリックスとなる樹脂に均一に溶解し、高い透明性を維持することができる。
【0271】
作製したコーティング液は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、リップコーター、カーテンコーター、ロールコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、スプレー、ディッピング等の適宜の方法によって基材に塗布することができる。
【0272】
コーティング用の基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂板、樹脂フィルム、樹脂シート、ガラス、建材等が挙げられる。
【0273】
本発明の樹脂部材を反射防止フィルム等の機能性の光学層を有するフィルムや部材の一部として使用する場合には、コーティング用の基材として、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性等の諸物性を考慮して材料を選択することができる。このような材料としては、特に限定されるものではないが、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂材料、あるいは、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛硝子等のガラス(セラミックスを含む)、石英、蛍石、ダイヤモンド等の光透過性無機材料が挙げられる。
【0274】
これらの材料には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、高屈折率剤
、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0275】
なお、機能性の光学層を有するフィルムとして使用する場合の基材の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば50nm~150μmである。また、このような基材は、単層であっても複数層を積層したものであってもよい。
【0276】
また、本発明の樹脂部材を製造する前記の方法のうち、(2)の本発明の添加剤を樹脂に混練して練り込み、押出機等によって成形・フィルム化する方法では、本発明の添加剤を、樹脂の粉体又はペレットに添加し、加熱、溶解させた後成形して製造することができる。
【0277】
樹脂の粉体又はペレットは特に限定されないが、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ナイロン、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂材料、などが挙げられる。
【0278】
樹脂部材の成形方法は、特に限定されないが、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、圧縮成形法等を用いることができる。押出機を使用する場合は、押出機によりフィルム化するか、あるいは押出機により原反を作製し、その後、1軸又は2軸に延伸してフィルムにする方法で樹脂部材を製造することができる。
【0279】
本発明の添加剤は、チオエーテル基を導入することにより、耐熱性が向上する。本発明の添加剤の5%重量減少温度は、一般的な樹脂の軟化温度である100~250℃(「よくわかるプラスチック」、監修:日本プラスチック工業連盟、出版:日本実業出版社)よりも高いため、成形加工温度100~200℃の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂をはじめ、200~250℃より高い成形加工温度が求められる熱可塑性樹脂に対しても適用が可能となる。
【0280】
なお、混練する際に、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、高屈折率剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を添加してもよい。
【0281】
また、本発明の樹脂部材を製造する前記の方法のうち、(3)の本発明の添加剤を樹脂接着剤に含有させ、その樹脂接着剤をフィルムに塗布する方法では、樹脂接着剤として、一般に使用されているシリコーン系、ウレタン系、アクリル系、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン-酢酸ビニル系、エポキシ系接着剤等の公知の透明接着剤を使用し、本発明の添加剤を添加した樹脂接着剤を用いて樹脂フィルム同士を接着、硬化することで、本発明の樹脂部材を含む複合材を製造することができる。
【0282】
本発明の樹脂部材を機能性の光学層を有するフィルムや部材の一部として使用する場合の膜厚は、樹脂材料の種類、密着性、硬度等の要求される物性を満足することができる範囲内であれば特に限定されるものではないが、例えば50nm~200μmの範囲内である。
【0283】
また、本発明の樹脂部材を製造する前記の方法のうち、(4)の本発明の添加剤を原料モノマーに溶解し、金型やガラス型に注型し加熱、紫外線照射や乾燥で硬化させ成型する方法では、加熱による硬化の場合、熱硬化性樹脂用モノマーを使用でき、特に限定されないが、例えばウレタン、チオウレタン、エポキシ、チオエポキシ、メラミン、シリコーン、フェノール、ユリア、不飽和ポリエステル樹脂を生成できる樹脂原料モノマーを使用することができる。樹脂原料モノマーのうちの少なくとも1種類のモノマーに本発明の添加剤を溶解させ、樹脂化に必要なその他の樹脂モノマーを混合後、金型やガラス型に注型、加熱することで本発明の添加剤を含む樹脂部材を製造することができる。紫外線硬化型の樹脂としては、アクリル系材料を用いることができる。アクリル系材料としては、アクリル酸やメタクリル酸2-ヒドロキシエチル又はメタクリル酸エステルのような単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。また、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も用いることができる。
【0284】
本発明の樹脂部材は、合成樹脂が使用される全ての用途に使用でき、特に限定されるものではないが、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。例えば、ガラス代替品、窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス等のガラスのコーティング剤や保護剤、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、食品、薬品等の容器又は包装材、農工業用シート、印刷物、染色物、染顔料、表示板、表示灯、カード等の退色防止剤等を挙げることができる。
【0285】
中でも、本発明の樹脂部材は、マトリックスの透明性を維持しつつ、紫外線吸収能や、高屈折率の付与が可能である点から、特に光学材料、中でも機能性の光学層を有するフィルムや部材、光学成形品に好適である。
【0286】
機能性の光学層を有するフィルムや部材としては、単層フィルムや、基材フィルム又は基板に、各種用途に応じた1層又は複層の光学層が設けられた多層フィルムや光学層付き基板でもよく、複層の光学層が設けられる場合にはその少なくとも1層に本発明の樹脂部材が使用される。
【0287】
機能性の光学層を有するフィルムや部材のうち、光学フィルムとしては、基材フィルムに各種用途に応じた機能層が設けられたものであってもよく、例えば、各種光ディスク基板保護フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光層保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角向上フィルム、電磁波シールドフィルム、防眩フィルム、遮光フィルム及び輝度向上フィルム等が挙げられる。
【0288】
機能性の光学層を有する部材としては、パネル基板等の表面に、反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、密着安定層、保護層、電磁波シールド層、赤外線カット層等の少なくともいずれかを、1層又は複層で積層した部材等が挙げられる。
【0289】
また本発明の樹脂部材は、太陽電池用表面保護フィルムに好適である。太陽電池素子は通常、一対の基板の間に、太陽電池として働く活性層が設けられた構成をしているが、フレキシブルな太陽電池は、その部材として用いられるガスバリアフィルム等のポリエステル材料や、有機太陽電池においては活性層そのものが、紫外線を吸収して劣化してしまうため、紫外線吸収性の保護フィルムを必要とする。また、太陽電池は、屋外で、永年に渡って設置されるため、このような保護フィルムには、高い耐候性が求められる。更に、太陽電池は、光エネルギーを吸収して電力に変換することから、このような保護フィルムには、高い透明性が求められる。すなわち、フレキシブルな太陽電池を保護するための保護フィルムは、高い透明性、高い紫外線吸収能、高い耐候性、及びフレキシブル性が求められるが、本発明の樹脂部材はこのような用途に適している。
【0290】
また本発明の樹脂部材は、眼鏡用プラスチックのレンズ素子、コンタクトレンズ、光ピックアップレンズ、カメラ用レンズ及びレンチキュラーレンズ等の光学レンズ、プリズム、フィルター、並びにタッチパネル用基板及び導光板等の光学基板、光ファイバー、情報記録基盤等の光学成形品に好適に用いることができる。光学レンズとしては、フレネルレンズフィルム、レンチキュラーレンズフィルム等のレンズフィルムのようなプラスチックレンズや、小型化した光学機能素子で集光性や光拡散性を高める目的や撮像素子の受光素子への集光等の目的で使用される、数μmサイズの微小径のマイクロレンズを使用したマイクロレンズアレイにも好適である。
【0291】
また本発明の樹脂部材は、ディスプレイ用基板、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイ用基板又は液晶ディスプレイ、信号、ネオンサイン等のバックライト用基板等にも好適である。
【0292】
フィルム等の樹脂部材で広領域の波長の紫外線を吸収する場合、複数の添加剤を使用したり、添加剤を高濃度で添加したり、膜又は樹脂を厚くしたりする必要があるが、このような場合、透明性や着色上の点で問題が生じやすくなる。しかし本発明の添加剤に使用されるチオエーテル基を一つ導入したトリアジン系化合物は、長波長領域360~400nmと短波長紫外線の領域260~280nmに紫外線吸収帯があり、より広範囲の紫外線吸収を可能とすることができ、一つの添加剤で、低濃度で、広領域の波長の紫外線を吸収することができる。
【0293】
例えば、遮光フィルムにおいては、360~400nmまでの紫外線をカットすることが望ましいが、一般的な添加剤は450~500nm(可視域)までカットして、可視光が減退したり変色する問題があった。しかしながら、ベンゾトリアゾール系化合物のベンゾトリアゾール基又はトリアジン系化合物にチオエーテル基(i-2,iv-2)を導入した本発明の添加剤は、450~500nm(可視域)をカットすることなく、315~400nm(UV-A領域)でも、より長波長の360~400nmの紫外線をカットすることが可能となり、有用性が高い。
【0294】
ベンゾトリアゾール系化合物の窒素上にあるフェニル基にi-2のチオエーテル基を導入した短波長領域の290nm付近に紫外線吸収ピークトップを持つ本発明の添加剤は、例えば、ポリエチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート等の290~300nm付近の波長で劣化する樹脂に対して、効率的に劣化を防ぐことができる。
【0295】
また、本発明の添加剤は、フィルム、樹脂部材だけではなく、上記の機能を持ちながら、紫外線吸収剤によって安定化、機能化することが求められる、例えば、染料、顔料、色素、インク、塗料、医薬品、表面コーティング、化粧品、写真材料、織物等にも用いることができる。
【実施例0296】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<合成例1> 中間体1の合成
【0297】
【化18】
【0298】
ジブロモヘキサン(50.0g, 204.9mmol)とチオ酢酸S-カリウム(10.6g, 102.5mmol)をアセトニトリル150mL中で、6時間加熱還流した。反応終了後、生成した固体を濾別し、濾液から溶媒を留去することにより、液状の粗生成物を得た。そして、その粗生成物をカラム精製することで、中間体1を透明な液体で得た。
<合成例2> 中間体2の合成
【0299】
【化19】
【0300】
ジブロモデカン(50.0g, 166.6mmol)とチオ酢酸S-カリウム(8.6g, 83.3mmol)をアセトニトリル150mL中で、6時間加熱還流した。反応終了後、生成した固体を濾別し、濾液から溶媒を留去することにより、液状の粗生成物を得た。そして、その粗生成物をカラム精製することで、中間体2を透明な液体で得た。
<合成例3> 中間体3の合成
【0301】
【化20】
【0302】
オクタンチオール(29.3g, 200mmol)と55%水素化ナトリウム(13.1g, 300mmol)をTHF150ml中で、氷冷下、2時間撹拌した後、得られた懸濁溶液をジブロモプロパン(121.1g, 600mmol)のTHF溶液100mLに、氷冷下、滴下し、2時間反応した。トルエンを加えて水洗した後、減圧蒸留することにより、中間体3を得た。
<合成例4> 中間体4の合成
【0303】
【化21】
【0304】
中間体3(7.5g, 28.2mmol)とチオ酢酸S-カリウム(3.4g, 29.6mmol)をアセトニトリル100mL中で、6時間加熱還流した。反応終了後、生成した固体を濾別し、濾液から溶媒を留去することにより、液状の化合物を得た。得られた化合物と水酸化ナトリウム(2.2g, 55.6mmol)のエタノール(100mL)溶液を6時間加熱還流した後、室温まで冷却し、塩酸を用いて酸性にした。その反応液にトルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、中間体4を液体で得た。
<合成例5> 中間体5の合成
【0305】
【化22】
【0306】
ヒドロキシベンゼンチオール(10.0g, 79.2mmol)、ヨードメタン(10.7g, 75.2mmol)及び炭酸カリウム(13.4g, 96.9mmol)をアセト・BR>Jトリル150mL中で、6時間加熱還流した。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、中間体5を液体で得た。
<合成例6> 中間体6の合成
【0307】
【化23】
【0308】
ヒドロキシベンゼンチオール(15.0g, 118.8mmol)、ブロモヘキサン(18.63g, 112.8mmol)及び炭酸カリウム(24.6g, 178.2mmol)をアセトニトリル150mL中で6時間加熱還流した。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、中間体6を液体で得た。
<合成例7> 中間体7の合成
【0309】
【化24】
【0310】
ヒドロキシベンゼンチオール(10.0g, 79.2mmol)、ブロモオクタン(14.6g, 75.6mmol)及び炭酸カリウム(13.4g, 96.9mmol)をアセトニトリル150mL中で6時間加熱還流した。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、中間体7を液体で得た。
<合成例8> 中間体8の合成
【0311】
【化25】
【0312】
ヒドロキシベンゼンチオール(10.0g, 79.2mmol)、中間体3(20.2g, 75.6mmol)及び炭酸カリウム(13.4g, 96.9mmol)をアセトニトリル150mL中で、6時間加熱還流した。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、中間体8を液体で得た。
<合成例9> 化合物1の合成
【0313】
【化26】
【0314】
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(10.0g, 44.4mmol)、中間体1(11.6g, 48.8mmol)及び炭酸カリウム(12.3g, 88.8mmol)をアセトニトリル100mL中で6時間加熱還流した。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、下記の中間体9を液体で得た。
【0315】
【化27】
【0316】
中間体9(5.0g, 13.1mmol)と水酸化ナトリウム(1.0g, 26.1mmol)のエタノール(100mL)溶液を6時間加熱還流した後、室温まで冷却し、塩酸を用いて酸性にした。その反応液にトルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、化合物1を液体で得た。
FT-IR(KBr):2550cm-1:S-H伸縮振動 1464, 1403cm-1:トリアゾール環伸縮振動 1073cm-1:-O-CH2 逆対称伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.24 (m, 5H, O-(CH2)2CH 2 CH 2(CH2)2-SH) , 1.43 (m, 2H, O-(CH2)4CH 2CH2-SH), 1.63 (m, 2H, O-CH2CH 2(CH2)4-SH), 2.34 (m, 5H, O-(CH2)5CH 2-SH , -Ph- CH 3-O-), 3.99 (tri, 2H, O-CH 2(CH2)5-SH) , 7.00 (d, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.42 (m, 2H), 7.47 (s, 1H), 7.97 (m, 2H) (insg.7arom. CH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.0 (Carom-CH3), 24.4 (O-(CH2)5 CH2-SH), 25.4 (O-(CH2)2 CH2(CH2)3-SH), 27.8 (O-(CH2)3 CH2(CH2)2-SH) , 28.8 (O-CH2 CH2(CH2)4-SH), 33.8 (O-(CH2)4 CH2 CH2-SH) , 69.6 (O-CH2(CH2)5-SH), 117.6, 127.7, 129.6, 131.5 (CHarom), 114.5, 147.5 (C arom), 130.5 (C arom-CH3), 151.0 (C aromO-)
<合成例10> 化合物2の合成
【0317】
【化28】
【0318】
中間体2(14.3g, 48.8mmol)を用いて化合物1と同様の合成方法で、化合物2を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):2559cm-1:S-H伸縮振動 1465, 1403cm-1:トリアゾール環伸縮振動 1073cm-1:-O-CH2 逆対称伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.18 (m, 10H, O-(CH2)3(CH 2)5(CH2)2-SH) , 1.32 (m, 3H, O- (CH2)2CH 2 (CH2)7-SH), 1.60 (m, 4H, O-CH2CH 2(CH2)6CH 2CH2SH), 2.37 (s, 3H, -Ph-CH 3-O-), 2.50 (quin, 2H, O-(CH2)9CH 2SH), 4.00 (tri, 2H, O-CH 2(CH2)9SH), 7.03(d, 1H), 7.25(d, 1H), 7.42(m, 2H), 7.47(s, 1H), 7.97(m, 2H) (insg.7arom. CH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.0 (Carom-CH3), 24.6 (O-(CH2)9 CH2-SH), 25.7 (O-(CH2)2 CH2(CH2)7-SH), 28.3 (O-(CH2)3 CH2(CH2)6-SH), 28.9 (O-(CH2)4 CH2(CH2)5-SH), 29.0 (O-(CH2)5 CH2(CH2)4-SH) , 29.1 (O-(CH2)6 CH2(CH2)3-SH) , 29.2 (O-(CH2)7 CH2(CH2)2-SH) , 29.4 (O-(CH2)8 CH2CH2-SH), 34.0 (O-CH2 CH2(CH2)8-SH), 69.6 (O-CH2(CH2)9-SH), 117.6, 127.7, 129.6, 131.5(CHarom), 114.5, 147.5 (C arom), 130.5 (C arom-CH3), 151.0 (C aromO-)
<合成例11> 化合物3の合成
【0319】
【化29】
【0320】
ニトロアニリン(2.64g, 19.1mmol)水溶液(100mL)に濃塩酸(11ml, 0.13mol)を添加した後、亜硝酸ナトリム(2.64g, 19.1mmol)水溶液(15mL)を、氷冷下、30分滴下、30分反応させるにより、中間体のジアゾニウム塩を得た。次に、中間体7(5.0g, 20.1mmol)と水酸化ナトリウム(0.96g, 23.9mmol)を混合した水溶液(150mL)に、先のジアゾニウム塩水溶液を、氷冷下、1時間で滴下し、1時間反応させた。反応終了後、塩酸で酸性にして、トルエンを加えて水洗した後、溶媒を留去、再結晶することにより、下記の中間体10を得た。
【0321】
【化30】
【0322】
中間体10(4.50g, 9.7mmol)、1.2%ヒドラジン水溶液(50ml)、水酸化ナトリウム(1.73g, 34.13mmol)をトルエン(100mL)中で、加熱還流下、12時間反応させた。室温まで冷却後、水洗、溶媒留去することにより、液体の中間体を得た。その中間体、濃硫酸(0.78mL)及び亜鉛(3.04g, 46.5mmol)をトルエン(100mL)中で、加熱還流下、12時間反応した後、水洗、溶媒留去、カラム精製することにより、化合物3を液体で得た。
FT-IR(KBr):3270cm-1:O-H伸縮振動1437, 1411cm-1:トリアゾール環伸縮振動660cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.83 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S) , 1.27 (m, 10H, CH3 (CH 2)5 (CH2)2-S), 1.54 (quin, 2H, CH3 (CH2)5CH 2CH2-S), 2.79 (t, 2H, CH3 (CH2)6CH 2-S), 6.40 (s, 1H, Ph-OH), 6.70 (d, 1H), 6.91 (s, 1H), 7.46 (m, 2H) , 7.51 (d, 1H), 7.98 (m, 2H) (insg.7arom. CH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 13.0 (CH3(CH2)7-S), 21.6 (CH3 CH2(CH2)6-S), 28.0 (CH3CH2 (CH2)4(CH2)2-S), 30.7 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 32.0(CH3(CH2)5CH2 CH2-S), 111.6, 113.6, 117.3, 126.1, 126.9, 135.4 (CHarom), 131.3(C arom-S), 143.5 (C arom), 156.4 (C aromOH)
<合成例12> 化合物4の合成
【0323】
【化31】
【0324】
中間体8(5.7g, 20.1mmol)を用いて化合物3と同様の合成方法で、化合物4を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3059cm-1:O-H伸縮振動 1437, 1399cm-1:トリアゾール環伸縮振動 669cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.87 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S), 1.25 (m, 10H, CH3(CH 2)5(CH2)2-S), 1.53 (quin, 2H, CH3(CH2)5CH 2CH2-S), 1.86 (quin, 2H, S-CH2CH 2CH2-S-Ph) , 2.43 (t, 2H, CH3(CH2)6CH 2-S) , 2.54 (t, 2H, S-CH 2CH2CH2-S-Ph), 2.96 (t, 2H, S-CH2CH2CH 2-S-Ph), 5.95 (s, 1H, Ph-OH),6.74 (d, 1H), 6.97 (s, 1H), 7.44 (m, 2H), 7.57 (d, 1H), 7.98 (m, 2H) (insg.7arom. CH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz):δ14.1(CH3(CH2)7-S), 22.6(CH3 CH2(CH2)6-S), 28.2 (CH3(CH2)2 CH2(CH2)4-S), 28.9 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 29.2(CH3(CH2)3 CH2 CH2(CH2)2-S), 29.6 (CH3(CH2)6 CH2-S), 30.9 (S-CH2 CH2CH2-S), 31.8 (CH3CH2 CH2(CH2)5-S), 32.1(S-CH2CH2 CH2-S),112.9, 114.8, 118.4, 128.0, 135.7(C aromH), 127.0(C arom-N), 144.6(C arom), 134.1(C arom-S), 156.9 (C arom-OH)
<合成例13> 化合物6の合成
【0325】
【化32】
【0326】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(60.0g, 0.190mol)、ブタンチオール(34.3g,0.380mol)、炭酸カリウム(57.8g, 0.418mol)及びヨウ化カリウム(2.21g, 0.013mol)を、DMF150g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物6を得た。
FT-IR(KBr):3000cm-1:O-H伸縮振動1445, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 661cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.96 (t, 3H, CH 3(CH2)3-S) , 1.49 (m, 11H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, CH3CH 2CH2CH2-S), 1.75 (quin, 2H, CH3 CH2 CH 2 CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.03 (t, 2H, CH3CH2CH2CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.05 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.61 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 13.7 (CH3(CH2)3-S), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.1 (CH3 CH2CH2CH2-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 30.8 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 32.8 (CH3CH2 CH2CH2-S), 35.4 (CH3CH2CH2 CH2-S), 113.6, 117.5, 119.3, 128.7, 129.3 (CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 138.0(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例14> 化合物7の合成
【0327】
【化33】
【0328】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(50.0g, 0.158mol)、ヘキサンチオール(37.4g,0.316mol)、炭酸カリウム(48.1g, 0.348mol)及びヨウ化カリウム(1.8g, 0.011mol)を、DMF125g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物7を得た。
FT-IR(KBr):2956cm-1:O-H伸縮振動 1445, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 662cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.89 (t, 3H, CH 3(CH2)5-S) , 1.33 (m, 4H, CH3 (CH 2)2(CH2)3-S), 1.49 (m, 11H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, CH3(CH2)2 CH 2(CH2)2-S), 1.73 (quin, 2H, CH3 (CH2)3 CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.02 (t, 2H, CH3 (CH2)3CH2CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 8.04 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)5-S), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.6 (CH3 CH2(CH2)3CH2-S), 28.7 (CH3 CH2 (CH2)2 CH2CH2-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.8 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 33.8 (CH3(CH2)3 CH2CH2-S), 35.4 (CH3(CH2)3CH2 CH2-S), 113.6, 117.5, 119.3, 128.7, 129.2 (CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 138.0(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例15> 化合物8の合成
【0329】
【化34】
【0330】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(5.00g, 15.8mmol)、オクタンチオール(7.63g, 52.1mmol)、炭酸カリウム(7.20g, 52.1mmol)及びヨウ化カリウム(0.18g, 1.1mmol)を、DMF50mL中で、150℃、20時間反応した。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、化合物8を得た。
FT-IR(KBr):3125cm-1:O-H伸縮振動 1438, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 661cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S) , 1.27 (m, 8H, CH3 (CH 2)4(CH2)3-S), 1.49 (m, 11H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, CH3(CH2)4 CH 2(CH2)2-S), 1.75 (quin, 2H, CH3 (CH2)5 CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.03 (t, 2H, CH3 (CH2)5CH2CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.05 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.61 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)7-S), 20.0 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.7 (CH3(CH2)5CH2 CH2-S), 31.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 33.2 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 35.4 (CH3(CH2)5CH2 CH2-S), 113.6, 117.5, 119.3, 128.7, 129.3 (CHarom), 141.2, 143.4 (C arom), 125.4(C arom-N), 128.3 (Carom-CH3), 138.0(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例16> 化合物9の合成
【0331】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)
【化35】
【0332】
-5-クロロベンゾトリアゾール(50.0g, 0.158mol)、デカンオール(55.2g,0.317mol)、炭酸カリウム(48.1g, 0.348mol)及びヨウ化カリウム(1.8g, 0.011mol)を、DMF125g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物9を得た。
FT-IR(KBr):2958cm-1:O-H伸縮振動 1448, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 641cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.89 (t, 3H, CH 3(CH2)9-S) , 1.26 (m, 12H, CH3 (CH 2)6(CH2)3-S), 1.49 (m, 11H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, CH3(CH2)6 CH 2(CH2)2-S), 1.74 (quin, 2H, CH3 (CH2)7 CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.03 (t, 2H, CH3 (CH2)7CH2CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 8.05 (s, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)9-S), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.7 (CH3 CH2(CH2)7CH2-S), 28.7 ~ 29.5 (CH3 CH2 (CH2)6 CH2CH2-S), 29.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 31.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 33.1 (CH3(CH2)7 CH2CH2-S), 35.4 (CH3(CH2)7CH2 CH2-S), 113.6, 117.5, 119.3, 128.7, 129.3 (CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 138.0(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例17> 化合物10の合成
【0333】
【化36】
【0334】
オクタンチオールの代わりにドデカンチオール(10.5g, 52.1mmol)を用いて化合物8と同様の合成方法で、化合物10を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3009cm-1:O-H伸縮振動 1441, 1390cm-1:トリアゾール環伸縮振動 662cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)11-S), 1.25 (m, 16H, CH3 (CH 2)8(CH2)3-S), 1.49 (m, 11H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3, CH3(CH2)8 CH 2(CH2)2-S), 1.74 (quin, 2H, CH3 (CH2)9 CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.03 (t, 2H, CH3(CH2)10CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.05 (s, 1H) (insg.5arom. CH), 11.61 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)11-S), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.7 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.7 ~ 29.7 (CH3(CH2)9CH2CH2-S), 31.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3) , 33.2 (CH3(CH2)9 CH2CH2-S), 35.4 (CH3(CH2)9CH2 CH2-S), 113.5, 117.5, 119.3, 128.6, 129.3 (CHarom), 141.2, 143.4 (C arom), 125.4(C arom-N), 128.3 (Carom-CH3), 138.0(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例18> 化合物11の合成
【0335】
【化37】
【0336】
オクタンチオールの代わりにオクタデカンチオール(14.9g, 52.1mmol)を用いて化合物8と同様の合成方法で、化合物11を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3059cm-1:O-H伸縮振動1445, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 664cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)17-S), 1.25 (m, 30H, CH3(CH 2)15(CH2)2-S), 1.49 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3, 1.74 (quin, 2H, CH3(CH2)15CH 2CH2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 3.03 (t, 2H, CH3(CH2)15CH2CH 2-S), 7.16 (s, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.05 (s, 1H) (insg.5arom. CH), 11.61 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 13.1(CH3(CH2)17-S), 19.9(-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 21.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.5(CH3(CH2)16CH2-S), 30.6(Carom-(-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 34.4 (CH3(CH2)16 CH2-S), 115.5, 117.6, 118.2, 127.2, 128.0 (CHarom), 141.9, 142.9 (C arom), 124.2(C arom-N), 128.1 (Carom-CH3), 132.3 (C arom-S), 140.0 (C arom-C(CH3)3), 145.6 (C arom-OH)
<合成例19> 化合物12の合成
【0337】
【化38】
【0338】
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 69.85mmol)、ブタンチオール(20.43g,139.71mmol)、炭酸カリウム(21.23g, 153.68mmol)及びヨウ化カリウム(2.21g, 4.82mmol)を、DMF150g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄を行った後再びpHを調整し、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物12を得た。
FT-IR(KBr):2953cm-1:O-H伸縮振動 1439, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3400MHz): δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S) , 1.27 (m, 8H, CH3 (CH 2)4(CH2)3-S), 1.39 (s, 9H, -Ph-OH-C(CH 3)3-C(CH3)3) , 1.51 (m, 11H, -Ph-OH-C(CH3)3-C(CH 3)3, CH3 (CH2)2 CH 2(CH2)2-S), 1.75 (quin, 2H, CH3 (CH2)5 CH 2CH2-S), 3.03 (t, 2H, CH3 (CH2)5CH2CH 2-S), 7.37 (d, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 8.24 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.66 (s, 1H, -Ph-OH- C(CH3)3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz):δ 14.1 (CH3(CH2)7-S), 22.6(CH3 CH2 (CH2)6 -S), 28.7 ~ 29.2(CH3 CH2 (CH2)4 CH2CH2-S), 29.6 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3), 31.5 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3) , 31.8 (CH3 CH2 (CH2)4 CH2CH2-S) , 33.2 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3), 34.6 (CH3(CH2)4CH2 CH2-S), 35.7 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3), 113.6, 116.0, 117.6, 129.2, 143.4 (CHarom), 125.0, 141.2, 143.4 (C arom), 137.9(C arom-S), 125.2, 138.6(C arom-C(CH3)3), 146.6(C arom-OH)
<合成例20> 化合物13の合成
【0339】
【化39】
【0340】
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 69.85mmol)、ドデカンチオール(28.28g,139.72mmol)、炭酸カリウム(21.24g, 153.68mmol)及びヨウ化カリウム(0.81g, 4.88mmol)を、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄を行った後再びpHを調整し、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物13を得た。
FT-IR(KBr):2962cm-1:O-H伸縮振動 1434, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 668cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3400MHz): δ 0.87(t, 3H, CH 3(CH2)11-S) , 1.26 (m, 16H, CH3 (CH 2)8(CH2)3-S), 1.39 (s, 9H, -Ph-OH-C(CH 3)3-C(CH3)3) , 1.51 (m, 11H, -Ph-OH-C(CH3)3-C(CH 3)3, CH3 (CH2)8 CH 2(CH2)2-S), 1.74 (quin, 2H, CH3 (CH2)9 CH 2CH2-S), 3.03 (t, 2H, CH3 (CH2)9CH2CH 2-S), 7.35 (d, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 8.24 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.67 (s, 1H, -Ph-OH- C(CH3)3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3400MHz): δ 14.1 (CH3(CH2)11-S), 22.7 (CH3 CH2 (CH2)10 -S), 28.7 ~ 29.7 (CH3 CH2(CH2)8CH2 CH2-S),29.6 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3), 31.5 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3) , 31.9 (CH3(CH2)9 CH2CH2-S) , 33.2 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3), 34.6 (CH3(CH2)9CH2 CH2-S), 35.7 (-Ph-OH-C(CH3)3-C(CH3)3), 113.6, 116.0, 117.6, 129.2, 143.4 (CHarom), 125.0, 141.2, 143.4 (C arom), 137.9(C arom-S), 125.2, 138.6(C arom-C(CH3)3), 146.6(C arom-OH)
<合成例21> 化合物14の合成
【0341】
【化40】
【0342】
中間体4(11.5g, 52.1mmol)を用いて化合物7と同様の合成方法で、化合物14を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3057cm-1:O-H伸縮振動 1437, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 664cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.81 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S), 1.20 (m, 8H, CH3(CH 2)4(CH2)3-S), 1.30 (m, 2H, CH3(CH2)4CH 2(CH2)2-S), 1.49 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3) , 1.54 (quin, 2H, CH3(CH2)4CH2CH 2CH2-S), 1.91(quin, 2H, S-CH2CH 2CH2-S-Ph), 2.38(s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 2.48 (t, 2H, CH3(CH2)4CH2CH2CH 2-S) , 2.68 (t, 2H, S-CH 2CH2CH2-S-Ph), 3.17 (t, 2H, S-CH2CH2CH 2-S-Ph), 7.16 (s, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.81 (d, 1H) , 8.05 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.61 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz):δ14.0(CH3(CH2)7-S), 20.1(-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.6(-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 28.4(CH3 CH2(CH2)6-S), 28.9(CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 29.2(CH3(CH2)3 CH2 CH2(CH2)2-S), 29.6(CH3(CH2)6 CH2-S), 30.9 (S-CH2CH2CH2-S), 31.8 (CH3CH2 CH2(CH2)5-S), 31.9(-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 32.2(S-CH2 CH2CH2-S), 35.4(S-CH2CH2 CH2-S),114.4, 117.6, 119.3, 128.7, 129.4 (CHarom), 141.3, 143.3 (C arom), 125.4(C arom-N), 128.3 (Carom-CH3), 137.1(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例22> 化合物15の合成
【0343】
【化41】
【0344】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(36.3g, 0.115mol)、sec-ブチルメルカプタン(20.8g, 0.231mol)、炭酸カリウム(35.0g, 0.253mol)及びヨウ化カリウム(1.3g, 0.008mol)を、DMF100g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pH調整、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることによって、化合物15を得た。
FT-IR(KBr):2961cm-1:O-H伸縮振動 1448, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 665cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.06 (t, 3H, CH 3CH2CH(CH3)-S), 1.37 (d, 3H, CH3CH2CH(CH 3)-S), 1.49 (S, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.61 (m, 2H, CH3CH 2CH(CH3)-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 3.32 (m, 1H, CH3CH2CH(CH3)-S), 7.17 (s, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 8.06 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 11.5 (CH3CH2CH(CH3)-S), 20.3 (CH3CH2CH(CH3)-S), 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.4 (CH3 CH2CH(CH3)-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 44.6 (CH3CH2 CH(CH3)-S), 117.3, 117.5, 119.3, 128.3, 128.8 (CHarom), 141.5, 143.2 (C arom), 125.4 (C arom-N), 131.2 (C arom-CH3), 136.4 (C arom-S), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
<合成例23> 化合物16の合成
【0345】
【化42】
【0346】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(32.3g, 0.102mol)、シクロヘキサンチオール(23.8g, 0.205mol)、炭酸カリウム(31.1g, 0.225mol)及びヨウ化カリウム(1.2g, 0.007mol)を、DMF100g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pH調整、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることによって、化合物16を得た。
FT-IR(KBr):2930cm-1:O-H伸縮振動 1450, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.40 (m, 4H, CH2(CH 2)2(CH2)2CH-S), 1.49 (S, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.54 (m, 2H, CH 2(CH2)2(CH2)2CH-S), 1.83 (m, 2H, CH2(CH2)2CH2CH 2CH-S), 2.06 (m, 2H, CH2(CH2)2CH 2CH2CH-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 3.29 (m, 1H, CH2CH2CH2CH-S), 7.17 (s, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 8.06 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.62 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 25.7 (CH2(CH2)2 (CH2)2CH-S), 26.0 (CH2(CH2)2 (CH2)2CH-S), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 33.1 (CH2(CH2)2(CH2)2CH-S), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 46.3 (CH2(CH2)2 (CH2)2 CH-S), 117.2, 117.5, 119.3, 128.3, 128.8 (CHarom), 141.5, 143.2 (C arom), 125.4 (C arom-N), 131.2 (C arom-CH3), 136.1 (C arom-S), 139.1 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
<合成例24> 化合物17の合成
【0347】
【化43】
【0348】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(50.0g, 0.158mol)、アリルメルカプタン(23.5g, 0.317mol)、炭酸カリウム(48.1g, 0.348mol)及びヨウ化カリウム(1.8g, 0.011mol)を、DMF125g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pH調整、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることによって、化合物17を得た。
FT-IR(KBr):3092cm-1:O-H伸縮振動 2999cm-1:=C-H伸縮振動 1449, 1390cm-1:トリアゾール環伸縮振動664cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.49 (S, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 1.55 (m, 2H, CH2=CHCH 2-S), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 3.38 (m, 1H, CH 2=CHCH2-S), 3.78 (m, 1H, CH 2=CHCH2-S), 4.23 (m, 1H, CH2=CHCH2-S), 7.16 (s, 1H), 7.31 (d, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.05 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.66 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 21.0 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 22.5 (CH2=CHCH2-S), 29.6 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 41.8 (CH2=CHCH2-S), 46.3 (CH2=CHCH2-S), 116.7, 119.3, 123.3, 128.2, 128.6 (CHarom), 140.8, 141.7 (C arom), 125.4 (C arom-N), 124.1 (C arom-CH3), 140.7 (C arom-S), 139.0 (C arom-C(CH3)3), 146.6 (C arom-OH)
<合成例25> 化合物18の合成
【0349】
【化44】
【0350】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(25.0g, 79.2mmol)、p-トルをエンチオール(19.7g,158.3mmol)、炭酸カリウム(24.1, 174.2mmol)及びヨウ化カリウム(0.92g, 5.54mmol)、DMF62.5g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物18を得た。
FT-IR(KBr):3000cm-1:O-H伸縮振動 1444, 1389cm-1:トリアゾール環伸縮振動 667cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3400MHz): δ1.48 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.37 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 2.40 (s, 3H, CH 3-Ph-S-) , 7.16 (s, 1H), 7.23 (s, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.43 (s, 2H), 7.56 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 8.02 (d, 1H), (insg.9arom. CH), 11.56 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 21.2 (CH3-Ph-S-), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 115.3, 117.8, 119.3, 128.7, 129.3 130.5, 133.7(CHarom), 125.4, 141.2, 143.4 (Carom), 128.3 (C arom-CH3), 138.9(C arom-S) , 138.7(S -C arom), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例26> 化合物19の合成
【0351】
【化45】
【0352】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(20.0g, 63.3mmol)、ベンジルメルカプタン(15.7g,126.6mmol)、炭酸カリウム(19.3g, 139.4mmol)及びヨウ化カリウム(0.74g, 4.5mmol)を、DMF50.0g中で、125℃、9時間反応した。反応終了後、pHを調整した後、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることにより、化合物19を得た。
FT-IR(KBr):2960cm-1:O-H伸縮振動 1441, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 664cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3400MHz): δ1.49 (s, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3) , 4.24 (s, 2H, Ph-CH 2-S-) , 7.16 (s, 1H), 7.26~7.38 (m, 6H), 7.72 (s, 1H), 7.80 (d, 1H), 8.04 (d, 1H), (insg.10arom. CH), 11.58 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 38.6 (Ph-CH2-S-), 115.4, 117.6, 119.3, 128.7, 128.8, 128.8, 129.7, 137.0(CHarom), 125.4, 141.4, 143.4 (C arom), 128.3 (C arom-CH3), 136.5(C arom CH2-S-), 138.7(S -C arom), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例27> 化合物20の合成
【0353】
【化46】
【0354】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(50.5g, 0.160mol)、2-メルカプトエタノール(25.0g, 0.320mol)、炭酸カリウム(48.6g, 0.352mol)及びヨウ化カリウム(1.9g, 0.011mol)を、DMF125g中で、125℃、12時間反応した。反応終了後、pH調整、濾過、MeOH洗浄、水洗を行い、再結晶をすることによって、化合物20を得た。
FT-IR(KBr):3350cm-1:O-H伸縮振動 1437, 1392cm-1:トリアゾール環伸縮振動 666cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 1.49 (S, 9H, -Ph-OH-CH3-C(CH 3)3), 2.38 (s, 3H, -Ph-OH-CH 3-C(CH3)3), 2.79 (t, 2H, HOCH2CH 2-S), 3.25 (t, 2H, HOCH 2CH2-S), 7.17 (s, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 8.05 (d, 1H), (insg.5arom. CH), 11.56 (s, 1H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 35.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3), 36.8 (HOCH2 CH2-S), 60.3 (HOCH2CH2-S), 115.8, 118.0, 119.3, 128.4, 129.7 (CHarom), 141.5, 143.2 (C arom), 125.3 (C arom-N), 128.9 (C arom-CH3), 135.7 (C arom-S), 139.2 (C arom-C(CH3)3), 146.7 (C arom-OH)
<合成例28> 化合物21の合成
【0355】
【化47】
【0356】
2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(10.0g, 31.7mmol)、ヘキサンジチオール(4.76g, 31.7mmol)、炭酸カリウム(8.75g, 63.3mmol)及びヨウ化カリウム(0.37g, 2.2mmol)を、DMF50mL中で、130℃、12時間反応した。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、再結晶をすることにより、化合物21を得た。
FT-IR(KBr):3009cm-1:O-H伸縮振動 1431, 1391cm-1:トリアゾール環伸縮振動 656cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ1.49 (s, 18H, (-Ph-OH-CH3-C(CH 3)3)2), 1.55 (m, 4H, -S-CH2CH2CH 2CH 2CH2CH2-S-), 1.77 (m, 4H, -S-CH2CH 2CH2CH2CH 2CH2-S-), 2.38(s, 6H, (-Ph-OH-CH 3-C(CH3)3)2) , 3.04 (t, 4H, -S-CH 2CH2CH2CH2CH2CH 2-S-), 7.16 (s, 2H), 7.37 (d, 2H), 7.70 (s, 2H), 7.81 (d, 2H), 8.05 (s, 2H) (insg.10arom. CH), 11.60 (s, 2H, -Ph-OH-CH3-C(CH3)3)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ20.9 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3)2, 28.4 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3)2, 28.6 (-S-CH2CH2 CH2 CH2CH2CH2-S-), 29.5 (-Ph-OH-CH3-C(CH3)3)2, 33.1 (-S-CH2 CH2CH2CH2 CH2CH2-S-), 35.4 (-S-CH2CH2CH2CH2CH2 CH2-S-), 113.7, 117.6, 119.3, 128.3, 129.3 (CHarom), 141.2, 143.4 (C arom), 125.4(C arom-N), 128.3 (C arom-CH3), 137.7(C arom-S), 139.1(C arom-C(CH3)3), 146.7(C arom-OH)
<合成例29> 化合物22の合成
【0357】
【化48】
【0358】
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン(8.6g, 40mmol)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(9.0g, 80mmol)及びジメチルチオカルバモイルクロリド(6.18g, 50mmol)をDMF100mL中、80℃、12時間反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、下記の中間体11を得た。
【0359】
【化49】
【0360】
中間体11(5.0g, 16.6mmol)をスルホラン10mL中で、240℃、40分間反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、下記の中間体12を得た。
【0361】
【化50】
【0362】
中間体12(3.46g, 11.4mmol)と水酸化カリウム(3.22g, 57.4mmol)をエタノール100mL中で、加熱還流下、6時間反応させた。反応終了後、塩酸で酸性にして、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、化合物22を得た。
FT-IR(KBr):3055cm-1:O-H伸縮振動 2559cm-1:S-H伸縮振動 1624cm-1:C=O伸縮振動
1H-NMR (CDCl3400MHz): δ 3.65 (s, 1H, -Ph-OH-SH), 6.68 (d, 1H), 6.93 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 7.51 (m, 2H) , 7.58 (m, 1H) , 7.65 (d, 2H) (insg.8arom. CH), 12.28 (s, 1H, -Ph-OH-SH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz):δ 115.4, 117.5, 127.4, 128.0 (CHarom),δ 130.9, 132.9 (C arom) ,δ 142.26 (C aromSH) ,δ 162.5 (C arom-OH) ,δ 199.6 (C(=O))
<合成例30> 化合物23の合成
【0363】
【化51】
【0364】
4-クロロ-4'-ヒドロキシベンゾフェノン(5.44g, 23.4mmol)、オクタンチオール(6.84g, 46.8mmol)、及び炭酸カリウム(13.7g, 99.2mmol)を、N-メチルピロリドン2mL中で、200℃、4時間反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、化合物23を得た。
FT-IR(KBr):3266cm-1:O-H伸縮振動 1630cm-1:C=O伸縮振動 646cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S), 1.28 (m, 8H, CH3(CH 2)4(CH2)3-S), 1.45 (m, 2H, CH3(CH2)4CH 2CH2CH2-S), 1.71 (quin, 2H, CH3(CH2)5CH 2CH2-S), 3.00 (t, 2H, CH3(CH2)5CH2CH 2-S), 6.22 (s, 1H, -S-Ph-C=O-Ph-OH), 6.92(d, 2H), 7.31(d, 2H), 7.68(d, 2H), 7.74(d, 2H) (insg.8arom. CH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz):δ14.1(CH3(CH2)7-S), 22.6(CH3 CH2(CH2)5-S), 28.8 (CH3(CH2)4 CH2(CH2)2-S), 28.9 (CH3(CH2)3 CH2(CH2)3-S), 29.1(CH3CH2 CH2(CH2)4-S), 31.8(CH3 CH2CH2(CH2)4-S), 32.2 (CH3(CH2)6 CH2-S), 115.3, 126.3, 130.5, 132.8(CHarom), 134.4 (C arom), 143.9 (C aromS-), 160.3(C arom-OH), 195.4 (Ph-C(=O)-Ph)
<合成例31> 化合物24の合成
【0365】
【化52】
【0366】
中間体3(1.20g, 4.7mmol)、化合物22(2.00g, 8.6mmol)及び炭酸カリウム(2.40g, 17.2mmol)を、アセトニトリル30mL中で、加熱還流下、6時間反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、化合物24を得た。
FT-IR(KBr):3059cm-1:O-H伸縮振動1615cm-1:C=O伸縮振動669cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz):δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S), 1.28 (m, 4H, CH3(CH 2)4(CH2)3-S), 1.37 (m, 2H, CH3(CH2)4CH 2(CH2)2-S), 1.58 (m, 2H, CH3(CH2)5CH 2CH2-S), 2.00 (quin, 2H, S-CH2CH 2CH2-S-Ph) , 2.51 (t, 2H, CH3(CH2)5CH2CH 2-S) , 2.67 (t, 2H, S-CH 2CH2CH2-S-Ph), 3.12 (t, 2H, S-CH2CH2CH 2-S-Ph), 6.71 (d, 1H), 6.90 (s, 1H), 7.44 (d, 1H), 7.51 (m, 2H), 7.58 (m, 1H), 7.65 (d, 2H) (insg.8arom. CH), 12.37 (s, 1H, -Ph-OH-S-)
13C-NMR (CDCl3 400MHz):δ14.1(CH3(CH2)7-S), 22.7(CH3 CH2(CH2)6-S), 28.3 (CH3(CH2)3 CH2(CH2)3-S), 28.9 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 29.2(CH3(CH2)3 CH2 CH2(CH2)2-S), 29.7 (CH3(CH2)6 CH2-S), 30.1 (S-CH2CH2CH2-S), 30.9 (S-CH2 CH2CH2-S), 31.8 (CH3CH2 CH2(CH2)5-S), 32.2(S-CH2CH2 CH2-S), 114.1, 116.0, 116.7, 128.4, 129.0, 131.8, 133.5 (CHarom), 130.9, 132.9 (C arom), 138.0 (C aromS-), 163.7 (C arom-OH), 200.5 (Ph-C(=O)-Ph)
<合成例32> 化合物25の合成
【0367】
【化53】
【0368】
4-クロロ-4'-ヒドロキシベンゾフェノン(1.68g, 7.2mmol)、中間体4(2.54g, 11.5mmol)、及び炭酸カリウム(1.60g, 11.5mmol)を、N-メチルピロリドン2mL中で、200℃、4時間反応させた。反応終了後、トルエンを加えて、水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、化合物25を90%以上含む液体として得た。
FT-IR(KBr):3266cm-1:O-H伸縮振動 1630cm-1:C=O伸縮振動 646cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.80 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S), 1.20 (m, 8H, CH3(CH 2)4(CH2)3-S), 1.30 (m, 2H, CH3(CH2)4CH 2CH2CH2-S), 1.50 (quin, 2H, CH3(CH2)5CH 2CH2-S), 1.91 (quin, 2H, S-CH2CH 2CH2-S-Ph),2.43 (t, 2H, CH3(CH2)6CH 2-S) , 2.60 (t, 2H, S-CH 2CH2CH2-S-Ph), 3.00 (t, 2H, S-CH2CH2CH 2-S-Ph), 5.93 (s, 1H, -Ph-C=O-Ph-OH), 6.83(d, 2H), 7.30(d, 2H), 7.68(d, 2H), 7.63(d, 2H) (insg.8arom. CH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz):δ14.1(CH3(CH2)7-S), 22.6(CH3 CH2(CH2)6-S), 28.5 (CH3(CH2)2 CH2(CH2)3-S), 28.9 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 29.2(CH3(CH2)3 CH2 CH2(CH2)2-S), 29.7 (CH3(CH2)6 CH2-S), 30.9 (S-CH2CH2CH2-S), 31.0 (S-CH2 CH2CH2-S), 31.8 (CH3CH2 CH2(CH2)5-S), 32.4(S-CH2CH2 CH2-S), 114.4, 125.5, 128.6, 129.6(CHarom), 131.9, 133.2 (C arom), 142.3 (C aromS-), 159.8(C arom-OH), 194.5 (Ph-C(=O)-Ph)
<合成例33> 化合物26の合成
【0369】
【化54】
【0370】
サリチル酸(8.8g, 63.9mmol)と塩化チオニル(22.8g, 191.6mmol)を25℃、3時間反応させた後、未反応の塩化チオニルを減圧留去して、中間体のサリチル酸クロライド(9.8g, 62.6mmol)を得た。得られたサリチル酸クロライド(2.50g, 16.0mmol)、中間体6(3.86g, 18.35mmol)及び炭酸カリウム(2.20g 15.91mmol)を、トルエン100mL中で、加熱還流下、12時間反応させた。反応終了後、トルエンを加えて水洗、溶媒留去、カラム精製をすることにより、化合物26を液体で得た。
FT-IR(KBr):3229cm-1:O-H伸縮振動 1694cm-1:C=O-O伸縮振動 593cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)5-S) , 1.29 (m, 4H, CH3 (CH 2)2(CH2)3-S), 1.45 (m, 2H, CH3(CH2)2CH 2(CH2)2-S), 1.67 (quin, 2H, CH3(CH2)3CH 2CH2-S), 2.96 (t, 2H, CH3 (CH2)3CH2CH 2-S), 6.99 (m, 2H), 7.05 (d, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.25 (t, 1H) , 7.56 (t, 1H), 8.01 (d, 1H), (insg.8arom. CH), 10.47 (s, 1H, -Ph-OH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)5-S), 22.5 (CH3 CH2(CH2)4-S), 28.9 (CH3CH2 (CH2)2 CH2CH2-S), 31.3 (CH3(CH2)3 CH2CH2-S), 33.3 (CH3(CH2)4 CH2-S),111.8, 118.6, 119.5, 121.2, 129.2, 130.3 (CHarom), 117.9 (C arom-C(=O)-O-), 139.5(C arom-S), 150.4(-(O=)C-O-C arom) ,δ 162.3(C arom-OH) ,δ 168.7 (C(=O)-)
<合成例34> 化合物27の合成
【0371】
【化55】
【0372】
3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸(16.0g, 63.9mmol)を用いて化合物26と同様の合成方法で、化合物27を合成した。
FT-IR(KBr):3622cm-1:O-H伸縮振動 1732cm-1:C=O-O伸縮振動 639cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.88 (t, 3H, CH 3(CH2)5-S) , 1.29 (m, 4H, CH3 (CH 2)2(CH2)3-S), 1.43(m, 2H, CH3 (CH2)2 CH 2(CH2)2-S), 1.49 (s, 18H, -Ph-OH- (C(CH 33)2), 1.67 (quin, 2H, CH3(CH2)3CH 2CH2-S), 2.93 (t, 2H, CH3(CH2)3CH2CH 2-S), 5.77(s, 1H, -Ph-OH-(C(CH33)2), 6.98 (d, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.17 (d, 1H), 7.30 (t, 1H) , 8.04 (s, 2H) (insg.6arom. CH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)6-S), 22.5 (-Ph-OH-(C(CH33)2)), 28.5(CH3 CH2(CH2)4-S), 28.9 (CH3(CH2)2 CH2(CH2)2-S), 30.2 (-Ph-OH-(C(CH33)2)), 31.3 (CH3CH2 CH2(CH2)2CH2-S), 33.4 (CH3(CH2)3 CH2CH2-S),34.1 (CH3(CH2)4 CH2-S), 119.1, 120.3, 121.8, 127.8, 129.4 (CHarom), 125.7(C arom-C(=O)-O-), 136.0(-C arom- (C(CH33)2), 138.8(C arom-S), 151.5(-(O=)C-O-C arom) ,δ 158.8(C arom-OH) ,δ 165.5 (C(=O)-)
<合成例35> 化合物28の合成
【0373】
【化56】
【0374】
2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(1.92g, 7.14mmol)と塩化アルミニウム(2.37g, 17.85mmol)をO-キシレン中50mL中で、25℃、30分反応させた後、中間体5(2.00g, 14.25mmol)を加え、80℃、8時間反応した。反応終了後、トルエンを加えて水洗、溶媒留去、カラム精製、再結晶をすることにより、化合物28を得た。
FT-IR(KBr):3064cm-1:O-H伸縮振動 1568, 845cm-1:トリアジン環伸縮振動 602cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 2.41 (s, 3H, Ph-SCH 3), 6.71 (m, 2H), 7.47 (m, 6H), 8.47 (m, 5H) (insg.13arom. CH), 13.28 (s, 1H,Ph-OH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.7 (Ph-SCH3), 114.1 ((HO-)Carom C aromC(-N)=N), 113.2, 128.8, 129.0, 129.8, 133.0(CHarom), 148.2 (C arom-SCH3), 162.4 (C arom-OH), 171.4 (N-(Carom)-C=N).
<合成例36> 化合物29の合成
【0375】
【化57】
【0376】
シアヌル酸クロリド(1.92g, 7.14mmol)と中間体6(6.75g, 32.13mmol)を1,2-ジクロロエタン50mL中で、加熱溶解させた後氷冷し、塩化アルミニウム(0.95g,7.14mmol)を30分かけて加えた後、70℃、54時間反応した。反応終了後、トルエンを加えて水洗、溶媒留去、カラム精製、再結晶をすることにより、化合物29を合成した。
FT-IR(KBr):3064cm-1:O-H伸縮振動 1568, 846cm-1:トリアジン環伸縮振動 602cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.92 (t, 3H, CH 3(CH2)5-S), 1.34 (m, 4H, CH3 (CH 2)2(CH2)3-S), 1.47 (quin, 2H, CH3 (CH2)2 CH 2(CH2)2-S), 1.75 (quin, 2H, CH3 (CH2)3 CH 2CH2-S), 3.02 (t, 2H, CH3 (CH2)3CH2CH 2-S), 6.89 (d, 2H) , 7.62 (m, 6H), 8.58 (d, 1H) , 8.63 (m, 4H) (insg.13arom. CH), 13.43 (s, 1H, Ph-OH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)5-S), 22.5(CH3 CH2(CH2)4-S), 28.6 (CH3CH2 CH2 (CH2)3-S), 28.7 (CH3(CH2)2CH2(CH2)2-S), 31.4 (CH3(CH2)3 CH2CH2-S), 31.5(CH3(CH2)4 CH2-S), 111.9 (C aromC=N), 114.1, 117.9, 128.5 (CHarom), 149.6 (C arom-S), 162.7 (C arom-OH), 168.4 (Carom-C=N).
<合成例37> 化合物30の合成
【0377】
【化58】
【0378】
中間体7(7.66g, 32.13mmol)を用いて化合物29と同様の合成方法で、化合物30を合成した。
FT-IR(KBr):2951cm-1:O-H伸縮振動1570, 843cm-1:トリアジン環伸縮振動 606cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.90 (t, 3H, CH 3(CH2)7-S), 1.32 (m, 8H, CH3(CH 2)4(CH2)3-S), 1.47 (quin, 2H, CH3(CH2)4CH 2(CH2)2-S), 1.72 (quin, 2H, CH3(CH2)5CH 2CH2-S), 2.92 (t, 2H, CH3(CH2)6CH 2-S), 6.70 (d, 2H) , 7.72 (d, 1H), (insg.13arom. CH), 12.99 (s, 1H, Ph-OH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.1 (CH3(CH2)7-S), 22.7 (CH3 CH2(CH2)6-S), 28.6 (CH3CH2 CH2(CH2)5-S), 29.2 (CH3(CH2)2(CH2)3(CH2)2-S), 31.5 (CH3(CH2)5 CH2CH2-S), 31.9 (CH3(CH2)6 CH2-S), 111.8 (C aromC=N), 113.9, 117.7, 128.4 (CHarom), 149.6 (C arom-S), 162.7 (C arom-OH), 168.2 (Carom-C=N)
<合成例38> 化合物31の合成
【0379】
【化59】
【0380】
中間体6(2.0g, 8.38mmol)を用いて化合物28と同様の合成方法で、化合物31を合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):33064cm-1:O-H伸縮振動 1568, 846cm-1:トリアジン環伸縮振動 602cm-1:C-S伸縮振動
1H-NMR (CDCl3 400MHz): δ 0.90 (t, 3H, CH 3(CH2)5-S), 1.34 (m, 2H, CH3 (CH 2)2(CH2)3-S), 1.47 (quin, 2H, CH3 (CH2)2 CH 2(CH2)2-S), 1.75 (quin, 2H, CH3 (CH2)3 CH 2CH2-S), 3.03 (t, 2H, CH3 (CH2)3CH2CH 2-S), 6.89 (d, 2H) , 7.62 (m, 6H), 8.58 (d, 1H) , 8.63 (m, 4H) (insg.13arom. CH), 13.43 (s, 1H, Ph-OH)
13C-NMR (CDCl3 400MHz): δ 14.0 (CH3(CH2)5-S), 22.5(CH3 CH2(CH2)4-S), 28.7 (CH3CH2 CH2 (CH2)3-S), 28.8 (CH3(CH2)2 CH2(CH2)2-S), 31.4 (CH3(CH2)3 CH2CH2-S), 31.8(CH3(CH2)4 CH2-S), 114.3 ((HO-)CC aromC(-N)=N),117.9, 129.0, 129.9, 133.0 (CHarom), 135.3 (C arom-C=N), 147.4 (C arom-S), 162.3 (C arom-OH), 171.4 (Carom-C=N).
尚、化合物5はSigma-Aldrich製、化合物32はBASF製、化合物33は東京化成工業(株)製、化合物34は和光純薬工業(株)製、化合物35はSigma-Aldrich製、化合物36は東京化成(株)製を用いた。
【0381】
実施例及び比較例の化合物の融点、フィルム外観、屈折率の評価結果を表1~表8に、実施例の化合物の紫外-可視透過スペクトルを図1図8に示す。
1.化合物の評価
(1)融点
実施例及び比較例2~4の化合物の融点は、室温(25℃)における目視での観察(液体もしくは固体)、微量融点測定装置(Yanako社製 MP-3)もしくは示差走査熱量計(SII社製 DSC6220)を用いて測定した(表1~7)。
【0382】
チオール基を含むベンゾトリアゾール化合物は、官能基-(CH2n-SHの炭素数が1以上10以下で融点が35℃以下となった(化合物1,2)。ベンゾトリアゾール化合物においては、ベンゾトリアゾールにあるフェニル基(R1a~R5a)にチオエーテル基を含む化合物(化合物3,4)及び、ベンゾフェノン(化合物24,25)、サリシレート系化合物(化合物26,27)でチオエーテル基を含む化合物は、官能基-(CH2n-S-もしくは-S-(CH2n-S-もしくは、-S-(CH2nCH3中の最大の炭素数が8以下で融点が35℃以下となり、常温で液状であり、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリシレートの骨格に関わらず、炭素数と融点との間に相関があることが確認された。一方、ベンゾトリアゾール基(R6a~R9a)に直鎖の脂肪族飽和炭化水素基で構成されるチオエーテル基を持つベンゾトリアゾール系化合物(化合物6~14)は、官能基-(CH2n-S-もしくは-S-(CH2n-S-もしくは、-S-(CH2nCH3中の最大の炭素数が18以下の化合物(化合物6~14)は融点91℃以下だが、炭素数と融点との明確な相関はなく、低融点化するのは難しい。
【0383】
また、エーテル基(-O-)を持つ化合物32と比較して、チオエーテル基(-S-)を持つ化合物3は融点が低く、常温で液体であった。更に、チオエーテルを1つ持つ化合物6~13よりチオエーテル2個を持つ化合物14は、融点が低下しており、チオエーテルの導入による低融点化の傾向が確認された。
【0384】
一方で、トリアジン系化合物28は、硫黄含有基を導入することで融点が上がり、耐熱性に優れることが示唆された。
(2)屈折率
融点が25℃以下の化合物1,2,3,4,5,25,26,27は20℃で、融点が比較的低い化合物14(46℃)、化合物24(34℃)は加熱して、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR-2T)で屈折率を測定した。また、比較例2,3,4(化合物32,33,34)は、メーカーのカタログ値等を記載した。
【0385】
ベンゾトリアゾール系化合物において化合物5,32と比較して化合物1~4,14、ベンゾフェノン系化合物において化合物33と比較して化合物24,25、サリシレート系化合物において化合物34と比較して化合物26,27は屈折率が高く、硫黄含有基の導入による高屈折率化の効果が確認された。
(3)5%重量減少温度
化合物6~21,23,24,27,29,30,31,33,34,35,36について、示差熱熱重量同時測定装置(SII社製、TG/DTA6200)を用いて、昇温温度:10℃/min、測定範囲:25℃~550℃で測定を行い、重量変化(TG)が5重量%減少した温度を読み取った。
【0386】
飽和及び不飽和炭化水素基(化合物6~17)、芳香族基(化合物18,19)、酸素含有炭化水素基(化合物20)から構成されるチオエーテル基を持つベンゾトリアゾール系化合物及びビス体(化合物21)は、チオエーテル基を導入することにより、耐熱性が向上して(紫外線吸収剤の熱分解による樹脂部材の紫外線吸収能、高屈折率化能、透明樹脂の透明性の低下を抑制)、それらの5%重量減少分解温度は、硫黄含有基を有さない、一般的に長波長吸収用紫外線吸収剤として用いられる2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(化合物36、5%重量減少分解温度:230℃)、または化合物5(5%重量減少分解温度:249℃)より高く、252℃以上であった。同様に、ベンゾフェノン、サリシレート系化合物についても、ベンゾフェノン系化合物23(5%重量減少分解温度:279℃),24(5%重量減少分解温度:260℃)はチオエーテル基がない化合物33(5%重量減少分解温度:249℃)と、サリシレート系化合物27(5%重量減少分解温度:264℃)はチオエーテル基がない化合物34(5%重量減少分解温度:249℃)と比較して、5%重量減少分解温度が260℃以上で耐熱性が向上した。つまり、化合物6~21,23,24,27の5%重量減少分解温度は、ほとんどの一般的な樹脂の軟化温度は100~250℃(「よくわかるプラスチック」、監修:日本プラスチック工業連盟、出版:日本実業出版社)よりも高く、一般的に成形加工温度100~200℃が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂をはじめ、200~250℃より高い成形加工温度が求められる熱可塑性樹脂に対しても適用が可能となり、樹脂部材の紫外線吸収能、高屈折率化能、透明樹脂部材の透明性の低下の抑制が可能となる。
【0387】
また、トリアジン系化合物についても、チオエーテル基を持たない化合物35(5%重量減少温度:319℃)に対して、チオエーテル基を導入した化合物29(5%重量減少温度:369℃)、化合物30(5%重量減少温度:372℃)、化合物31(5%重量減少温度:336℃)は、やはり、チオエーテル基を導入することにより5%重量減少温度が上がり、耐熱性(紫外線吸収剤の熱分解による樹脂部材の紫外線吸収能、高屈折率化能、透明樹脂の透明性の低下を抑制)が向上し、200~250℃より高い成形加工温度が求められる熱可塑性樹脂に対して適用性があることを確認した。
(4)紫外吸収
化合物1~5,8,10,11,14,22~35をクロロホルム5μMで希釈して10mm石英セルに収容し、紫外可視分光光度計(日本分光社製 V-550)を用いて吸収スペクトルを測定した(図1~2、6~8)。また、化合物6~21,36は、クロロホルム100μMで同様に測定した(図3~5)。
【0388】
化合物8,10,11,14,21,36の吸収スペクトル(100μM)から、350~390nmにある吸収ピークにおける長波長側の吸収スペクトルとベースライン(430~500nmの吸収スペクトルの傾きが0のライン)との交点をピークエンドとして(例:図3実施例47)、下記式により、350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値を求めた(表9)。同様にして、化合物6,7,9,12,13,15~20についても吸収スペクトルから350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値を求め表2、4に示した。
|350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾き|=|(ピークエンドの吸光度-350~390nmの波長領域にある吸収ピークの吸光度)/(ピークエンドの吸収波長-350~390nmの波長領域にある吸収ピークの波長)|
化合物6~21の傾きの絶対値は、いずれも、0.030以上であり、チオエーテル基がない化合物36(350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値:0.0219)より大きく、ピークがシャープとなり、フィルム、樹脂部材、特に透明樹脂部材に対する黄色抑制効果があることが示唆された。
【0389】
また、化合物21については、モル吸光係数が大きく、100μMで測定した場合、吸光度が測定範囲を超えたため、表10のように、10,25,50μMの濃度で、吸収ピークを測定し、350~390nmの波長領域にある吸収ピークの長波長側の傾きの絶対値と紫外線吸収剤の濃度をグラフ化したところ、図9のように、直線の一次の関係にあり、そのグラフの式(Y=0.0006X-0.0024)から、化合物21の100μMの傾きの絶対値を算出した。その結果、化合物21の100μMの傾きは0.0576であり、他の化合物より大きく、フィルム、樹脂部材、特に透明樹脂部材に対する黄色抑制効果は高いと考えられた。
【0390】
化合物6~21,36の吸収スペクトルから、350~390nmの波長領域の吸収ピーク(最大吸収波長:λmax)、吸光度を読み取り、そのピークのモル吸光係数(最大モル吸光係数:εmax)を下記式によって求めた(表11)。
モル吸光係数:εmax(L/(mol・cm)=A:吸光度/[c:モル濃度(mol/L)×l:セルの光路長(cm)]
その結果、化合物6~21はチオエーテルを導入したことにより、化合物36よりモル吸光係数は17000以上と高く、少量の添加で効率よく紫外線を吸収することが示された。特にビス体の化合物21は、化合物6~20よりモル吸光係数が高く、その効果は、より高いと考えられる。
【0391】
本発明のいずれの化合物も、紫外線の波長領域に吸収帯が存在し、フィルム、樹脂に添加した際、紫外線吸収剤として機能することを確認した。
【0392】
ベンゾトリアゾール基に、i-2のチオエーテル基を導入した本発明のベンゾトリアゾール系化合物6~21は、比較例9(化合物32)、従来、長波長吸収用紫外線吸収剤として用いられる2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(比較例10,化合物36,図3~5)にはない、420~500nm(可視域)をカットすることなく(黄色化することなく)UV-A領域中(320~400nm)でも、より長波長領域の360~400nm付近の紫外線を吸収することが可能とする紫外線吸収能を有することを確認した。また、ベンゾトリアゾール系化合物の窒素上にあるフェニル基にi-2のチオエーテル基を導入した化合物1,2,3,4は、比較例9の化合物32と比べて、吸収ピークトップは、逆に大きく短波長領域(270~290nm)にシフトした。つまり、ベンゾトリアゾール系化合物においては、チオエーテル基の位置によってUV吸収ピーク領域の調整可能であった。
【0393】
この特性により、実施例71~77(図10~16)では、少量の本発明の添加剤をプラスチックレンズに添加することによって、有害光の400~420nm付近の波長光を効率的に吸収しながらも、420nm付近以上の波長の吸収を抑制し、プラスチックレンズの黄色化を抑制する効果を持つことを確認した。
【0394】
トリアジン系化合物28~31についても、iv-2の置換基を導入することにより、比較例13(化合物35)より大きく、吸収ピークトップは長波長領域にシフトし、可視光(450~500nm)をカットすることなく、長波長領域の360~400nm付近の紫外線を吸収できることを確認した。更に、トリアジン系の化合物28,31は、より長波長領域(360~400nm付近)の吸収ピークトップに加えて、短波長紫外線の領域(260~280nm)にも吸収ピークトップがあり、広領域で紫外線の吸収が可能であることを確認した。
2.フィルムの評価
本発明の化合物のフィルム、樹脂部材に対する相溶(透明性)、高屈折率化の効果を下記方法で確認した(表1~8)。
(アクリルフィルムの作製)
実施例1~14,22~29、比較例2~3の化合物を添加した、フィルム厚みの異なる次の3種類のフィルムを作製した。
【0395】
膜厚50~300nmのサンプルは、実施例1~14,22~27及び比較例2~3の化合物0.1g、アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製)0.1g、クロロホルム12gを均一に混合し、その約1mLを1500rpm、20秒の条件でガラス基板上にスピンコートし、その後45℃のオーブン中で2時間溶媒を除去することにより作製した。
【0396】
膜厚301~1500nmのサンプルは、実施例1~14,22~27及び比較例2~3の化合物0.1g、アクリル樹脂0.1g、クロロホルム4gを均一に混合し、その約1mLを1500rpm、20秒の条件でガラス基板上にスピンコートし、その後45℃のオーブン中で2時間溶媒を除去することにより調製した。
【0397】
膜厚10~150μmのサンプルは、実施例1~14,22~27及び比較例2~3の化合物0.1g、アクリル樹脂0.1g、クロロホルム4gを均一に混合した後、クロロホルムを2~3g程度濃縮させ、これをスライドグラスに滴下し、その後45℃のオーブン中で2時間溶媒を除去することにより作製した。
【0398】
実施例28(膜厚50~300nm、301~1500nm、10~150μm),29(膜厚50~300nm、301~1500nm)は、化合物と樹脂との配合を0.03gと0.07gに変更して、同様な操作を行った。
【0399】
また、添加物を添加せず、アクリル樹脂0.1g、クロロホルム4gもしくは12gを均一に混合し、上記同様な操作を行い、フィルムを作製した(比較例1)。
(ウレタンフィルムの作製)
イソシアネート(日本ポリウレタン社製 HC-210)0.022g、ポリオール(日本ポリウレタン社製 ON-H37)0.078g、実施例1,3~13,22,24~27及び比較例2の化合物0.1gを、膜厚50~300nmのサンプルはクロロホルム12g、膜厚301~1500nmのサンプルはクロロホルム4gで均一に混合し、それぞれ約1mLを1500rpm、20秒の条件でガラス基板上にスピンコートを行った後、45℃のオーブン中でクロロホルムを除去し、その後100℃で3時間加熱することにより作製した。
【0400】
膜厚10~150μmのサンプルは、実施例4,5,8,26及び比較例2の化合物0.1g、イソシアネート0.022g、ポリオール0.078g、クロロホルム4gを均一に混合した後、クロロホルムを2~3g程度濃縮させ、これをスライドグラスに滴下し、その後45℃のオーブン中で2時間溶媒を除去し、その後100℃で3時間加熱することにより作製した。
【0401】
実施例28(膜厚50~300nm、301~1500nm、10~150μm)は、化合物と樹脂との配合を0.03gと0.07g(イソシアネート0.015g、ポリオール0.055g)に変更して、上記と同様な操作を行った。
【0402】
また、添加物を添加せず、イソシアネート0.022g、ポリオール0.078、クロロホルム4gもしくは12gを均一に混合し、上記同様な操作を行い、フィルムを作製した(比較例1)。
(チオウレタンフィルムの作製)
フラスコに化合物6を0.430g、ステファン製ゼレックUNを0.1g、ジブチル錫ジクロリドを0.04g、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの混合物を50.8g入れ、25℃で1時間撹拌して完全に溶解させた。その後、この混合液にペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を22.4g、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパンを26.8g添加し25℃で30分混合した。尚、調合液中において化合物6は重合性化合物の重量総和に対して0.430重量%含まれていた。
【0403】
この調合液を0.3mmHg以下で1時間脱泡を行い、5μmPTFEフィルタにて濾過を行い、中心厚2mm、直径80mmの平板用ガラス型とテープよりなるモールド型に注入した。このモールドを25℃から130℃まで徐々に昇温し、130℃で2時間保持した後室温まで冷却した。昇温開始から冷却までは18時間であった。重合終了後、得られた成形体をモールドから離型し、130℃2時間でアニールを行った。
【0404】
また、添加する紫外線吸収剤を、化合物6の代わりに、モル濃度を同様して、化合物7を0.472g、化合物8を0.490g、化合物9を0.533g、化合物10を0.555g、化合物11を0.651g、化合物12を0.580g、化合物13を0.600g、にそれぞれ変更した以外は化合物6のときと同じ方法でチオウレタンフィルムを得た。
【0405】
化合物13を添加したチオウレタンフィルムは結晶が析出し白濁したが、化合物6~12を添加したチオウレタンフィルムは結晶が析出することなく、透明であった。
(ポリエチレンテレフタレートフィルム:PETの作製)
添加剤を5wt%添加したサンプルは、ポリエチレンテレフタレートチップ0.0418g、化合物1,3,5~13,25,28(実施例6~13、30~35)及び化合物32,33,35(比較例6~8)の化合物0.0022gを280℃で混練し、これをスライドガラス基板上に滴下し素早く伸ばし、空冷することで、20~200μmのフィルムを作製した。
【0406】
添加剤を10wt%添加したサンプルは、ポリエチレンテレフタレートチップ0.0450g、化合物1,3,5~13,25,28(実施例6~13、30~35)及び化合物32,33,35(比較例6~8)の化合物0.005gを280℃で混練し、これをスライドガラス基板上に滴下し素早く伸ばし、空冷することで、20~200μmのフィルムを作製した。
【0407】
添加剤を20wt%添加したサンプルは、ポリエチレンテレフタレートチップ0.0352g、化合物1,3,5,8,25,28(実施例30~35)及び化合物32,33,35(比較例6~8)の化合物0.0088gを280℃で混練し、これをスライドガラス基板上に滴下し素早く伸ばし、空冷することで、20~200μmのフィルムを作製した。
【0408】
添加剤を30wt%添加したサンプルは、ポリエチレンテレフタレートチップ0.0566g、化合物1,3,5,8,25,28(実施例30~35)及び化合物32,33,35(比較例6~8)の化合物0.0244gを280℃で混練し、これをスライドガラス基板上に滴下し素早く伸ばし、空冷することで、20~200μmのフィルムを作製した。
【0409】
また、添加物を添加せず、ポリエチレンテレフタレートチップ0.045gを溶解し、上記同様な操作を行い、20~200μmのフィルムを作製した(比較例1,5)。
(ポリスチレンフィルム:PSの作製)
実施例6~13,15~18,20の化合物を添加した、膜厚10~50μmのフィルムを下記手順で作製した。
【0410】
実施例6~13,15~18,20の化合物0.1g、ポリスチレン樹脂(関東化学)0.1g、クロロホルム4gを均一に混合した後、クロロホルムを2~3g程度濃縮させ、これをスライドグラスに50μL滴下し、その後45℃のオーブン中で2時間溶媒を除去することにより作製した(50wt%)。
【0411】
また、化合物19,21については、化合物19,21をそれぞれ0.0111g、ポリスチレン樹脂(関東化学)0.1g、クロロホルム2gの配合で(10wt%)、比較例1のブランクのフィルムは添加物を添加せず、ポリスチレン樹脂0.1g、クロロホルム4gを均一に混合し、上記同様な操作を行い作製した。
(ポリカーボネートフィルム:PCの作製)
実施例6~13,15~18,20の化合物を添加した、膜厚10~50μmのフィルムを下記手順で作製した。
【0412】
実施例6~13,15~18,20の化合物0.0667g、ポリカーボネート樹脂(関東化学)0.1g、クロロホルム4gを均一に混合した後、クロロホルムを2~3g程度濃縮させ、これをスライドグラスに25μL滴下し、その後45℃のオーブン中で2時間溶媒を除去することにより作製した(40wt%)。
【0413】
また、化合物19については、化合物19を0.011g、ポリカーボネート樹脂(関東化学)0.1g、クロロホルム2gの配合で(10wt%)、化合物21については、化合物21を0.025g、ポリカーボネート樹脂(関東化学)0.1g、クロロホルム4gの配合で(20wt%)、比較例1のブランクのフィルムは添加物を添加せず、ポリカーボネート樹脂0.1g、クロロホルム4gを均一に混合し、上記同様な操作を行い作製した。
(尿素樹脂フィルムの作製)
実施例6~13の化合物を添加した、膜厚40~80μmのフィルムを下記手順で作製した。37wt%ホルムアルデヒド液1mL、尿素0.25g、酢酸アンモニウム0.16gを溶解し、モノマー溶液を作成した。次に、THF0.2mLに実施例6~13の化合物を0.0007g溶解させ、モノマー溶液0.1mLと均一に混合し、1.5×1.5cmのスライドガラスに0.3ml塗布した。そして、このスライドガラスをオーブンに入れ、30分かけて室温から150℃まで昇温した後、150℃で5時間反応させることにより作成した。
【0414】
また、比較用のブランクのフィルムは添加物を添加せず、モノマー溶液0.1mL、THF0.2mLを均一に混合し、上記同様な操作を行い作製した(比較例1)。
(メラミン樹脂フィルムの作製)
実施例6~13の化合物を添加した、膜厚10~50μmのフィルムを下記手順で作製した。
【0415】
水酸化ナトリウムでpH7.5に調製したホルムアルデヒド液5.15gにメラミン1g及び水24.60gを添加、加熱反応し、ヘキサメチロールメラミン溶液を作成した。次に、THF0.1mLに実施例6~13の化合物を0.0057g溶解させ、ヘキサメチロールメラミン溶液0.2mlと均一に混合し、1.5×1.5cmのスライドガラスに0.3mL塗布した。そして、このスライドガラスをオーブンに入れ、30分かけて室温から150℃まで昇温した後、150℃で5時間反応することにより作成した。
【0416】
また、比較用のブランクのフィルムは添加物を添加せず、モノマー溶液0.2ml、THF0.1mlを均一に混合し、上記同様な操作を行い作製した(比較例1)。
(アクリルメラミン樹脂フィルムの作成)
実施例6~13の化合物を添加した、膜厚100~150μmのフィルムを下記手順で作製した。
【0417】
フィルム化した際、化合物の濃度が10wt%となるように、THF0.1mLに実施例6~13の化合物を0.0045g溶解させ、焼付乾燥型上塗塗料(焼付乾燥型上塗(アクリルメラミン):アクリサイトUB-63クリヤー 斎藤塗料株式会社製)0.1mLと均一に混合し、1.5×1.5cmにスライドガラスへ0.2mL塗布した。そして、このスライドガラスをオーブンに入れ、30分かけて室温から150℃まで昇温した後、150℃で2時間反応することにより作成することにより、添加剤10wt%のアクリルメラミン樹脂フィルムを得た。
【0418】
また、比較用のブランクのフィルムは添加物を添加せず、アクリルメラミンモノマー0.1mL、THF0.1mLを均一に混合し、上記同様な操作を行い作製した(比較例1)。
(1)外観
フィルムの外観を目視で観察し、次の基準で評価した。
評価基準(アクリルフィルム、ウレタンフィルム、チオウレタンフィルム)
○:白濁なく透明
×:白濁が見られ透明性が悪い
評価基準(PETフィルム)
◎:比較例のブランクと比べ同等の透明性を有する
○:比較例のブランクと比べ極僅かに曇りがある
△:比較例のブランクと比べ僅かに曇りがある
×:比較例のブランクと比べ明らかに曇りがある
評価基準(PSフィルム)
○:比較例のブランクと比べ同等の透明性を有する
△:比較例のブランクと比べ僅かに曇りがある
×:比較例のブランクと比べ明らかに曇りがある
評価基準(PCフィルム)
○:比較例のブランクと比べ同等の透明性を有する
△:比較例のブランクと比べ僅かに曇りがある
×:比較例のブランクと比べ明らかに曇りがある
評価基準(尿素樹脂フィルム)
○:結晶の析出なく透明
△:僅かに結晶の析出が見られるが透明性を有する
×:結晶の析出が見られ透明性が悪い
評価基準(メラミン樹脂フィルム)
○:結晶の析出なく透明
×:結晶の析出が見られ透明性が悪い
評価基準(アクリルメラミン樹脂フィルム)
○:結晶の析出なく透明
△:一部に結晶の析出が見られ透明性が悪い
×:全体的に結晶の析出が見られ透明性が悪い
添加剤のアルキル鎖、融点及び硫黄含有基の条件が相まって、熱可塑性樹脂のアクリルフィルムの相溶性(透明化)が向上した。
【0419】
アルキル鎖は、50~300nmのフィルムでは、チオール基を持つ化合物は、官能基-(CH2n-SH及び-(CH2nCH3のそれぞれの炭素数が9以下(化合物1,22)、チオエーテル基を持つ化合物は、官能基-(CH2n-S-もしくは-S-(CH2n-S-もしくは、-S-(CH2nCH3のそれぞれの炭素数が17以下の場合(化合物3,4,6~10,12~14,23~29)、透明化した。更に、チオエーテル基を持つ化合物においては、総じて、上記の炭素数が8以下の化合物は、より厚い301~1500nmのフィルムでも透明化した(化合物3,4,7,8,12,14,23~27)。つまり、炭素数が樹脂に対して、相溶性(透明性)に重要であり、中鎖から短鎖のアルキル鎖を持つ化合物が、相溶解性(透明化)が向上する傾向が確認された。
【0420】
ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリシレート系化合物については、上記のアルキル鎖との相関に加えて、総じて、融点も樹脂への相溶性と相関があり、低融点化により相溶解性(透明化)が向上した。融点が91℃以下の化合物(化合物1,3,4,5,6~10,12~14,22~27)は、50%の高添加率にも関わらず、総じて、50~300nmのフィルムで透明化した。また、融点が70℃未満の化合物(化合物1,3,4,5,7,8,9,14,23~27)はより厚い301~1500nmのフィルムで透明化し、更に、融点が35℃以下(常温で液体)の化合物(化合物1,3,4,24~27)は、更に厚い10~150μmでも透明化を実現した。
【0421】
しかしながら、10~150μmのアクリルフィルムにおいて、他の融点が35℃以下の硫黄含有基を持つ化合物3,4が透明化したのに対して、硫黄含有基がない化合物5は、融点が25℃以下にも関わらず、白濁した。
【0422】
一方、2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(比較例10、化合物36)を原料として、硫黄含有基を導入した化合物6~10または、12,13は、膜厚50~300nmウレタンフィルムで透明化したのに対して、硫黄含有基を持たない2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(比較例10、化合物36)は白濁し、硫黄含有基の導入が樹脂に対する相溶性(透明性)の要件の一つであることが示唆された。
【0423】
そして、やはり、硫黄含有基をもたない化合物33は、融点91℃の化合物22、融点60.5~69℃の化合物23と比較して低融点の47~48℃だが、化合物22,23が膜厚50~300nmのアクリルフィルムで透明化したのに対して化合物33は白濁した。つまり、融点だけではなく硫黄含有基の存在が、樹脂に対する相溶解性(透明化)を向上させることが示唆された。
【0424】
さらに、チオールを持つ化合物2(炭素数10)は融点25℃以下、チオエーテルを持つ化合物11(炭素数18)は融点73~83℃であり、融点が91℃以下にも関わらず、50~300nmのアクリルフィルムは透明化しなかった。つまり、融点と炭素数の双方の要件を満たすことも重要であり、化合物2,11は、上記の炭素数(チオール基を持つ化合物:炭素数9以下、チオエーテル基を持つ化合物:炭素数17以下)より多く、それぞれ炭素数10と18であり、炭素数の条件を満たさなかったため、透明化しなかったと考えられる。
【0425】
熱硬化性樹脂のウレタン樹脂も同様な傾向で、本発明の添加剤のアルキル鎖、融点及び硫黄含有基の効果により良好な透明性を示した。
【0426】
また、本発明の化合物1,3,8,25,28も、上記と同様にアルキル鎖、融点、硫黄含有基の効果により、熱可塑性樹脂のPET樹脂に対しても、加熱成形温度280℃に対して、硫黄含有基を導入した本発明の添加剤は、耐熱性が良く(5w%重量減少温度 : 化合物8 ; 295℃、化合物5 ; 249℃)、高濃度、20~200μmの高膜厚の条件で、化合物5,32,33,35と比較して高い相溶性で、良好な透明性を示した(表8)。
【0427】
式IのR7a、R8aに式i-2を持つ化合物6~13について、表2,3に示す各樹脂(アクリル(50~300nm、301~1500nm、10~150μm)、ウレタン(50~300nm、301~1500nm)、チオウレタン、PET(5,10wt)、PS、PC、尿素、メラミン、アクリルメラミン)に対する相溶(透明性)の評価(表2、3)において、最も良好な評価の数(アクリル、ウレタン、チオウレタン、PS、PC、尿素、メラミン、アクリルメラミン:〇、PET:◎)と最も不良な評価の数(アクリル、ウレタン、チオウレタン、PET、PS、PC、尿素、メラミン、アクリルメラミン:×)を集計して、表12の基準で、各化合物の総体的な樹脂に対する相溶(透明性)を評価した。その結果を表13に示す。
【0428】
その結果、評価1以上の化合物はR13aの炭素数が1~18及び融点91℃以下の化合物(化合物6,7,8,9,10,11,12,13)、評価2以上の化合物はR13aの炭素数が1~12及び融点91℃以下の化合物(化合物6,7,8,9,10,12,13)、評価3以上の化合物はR13aの炭素数が1~10及び融点91℃以下の化合物(化合物6,7,8,9,12)またはR13aの炭素数が1~12及び融点91℃以下及びR2a、R4aの置換基がメチル基とt-ブチル基の化合物(化合物6,7,8,9,10)、評価4以上はR13aの炭素数が1~12及び融点91℃以下及びR2a、R4aの置換基がメチル基とt-ブチル基の化合物(化合物6,7,8,9,10)、評価5以上はR13aの炭素数が4~10及び融点91℃以下及びR2a、R4aの置換基がメチル基とt-ブチル基の化合物(化合物6,7,8,9)、評価6以上はR13aの炭素数が6~10及び融点70℃未満及び2a、4aの置換基がメチル基とt-ブチル基の化合物(化合物7,8,9)が該当し、マトリックスとなる樹脂との相溶性(透明性)は、添加剤の構造としては式(I)のベンゾトリアゾール骨格にある式(i-2)のアルキルの炭素数及び化合物の融点のどちらか一方ではなく、双方に依存した(炭素数10以下だが、融点70℃以上の化合物12(炭素数:8、融点:80~81℃):評価3、融点が70℃未満だが、炭素数10以上の化合物13(炭素数:12、融点64~66℃):評価2は、一概に良好な評価は得られていない)。
【0429】
また、R13aの炭素数が同様で、R1a-R5aの置換基が異なる化合物8(R13aの炭素数:8、2a、4aの置換基:メチル基、t-ブチル基)と12(R13aの炭素数:8、R2a、R4aの置換基:t-ブチル基、t-ブチル基)及び化合物10(R13aの炭素数:12、R2a、R4aの置換基:メチル基、t-ブチル基)と13(R13aの炭素数:12、R2a、R4aの置換基:t-ブチル基、t-ブチル基)を比較すると、化合物8は化合物12より、熱可塑性樹脂のPETと熱硬化性樹脂の尿素、メラミン、アクリルメラミン樹脂で、化合物10は化合物13より、熱可塑性樹脂のチオウレタン、PET、熱硬化性樹脂のメラミン、アクリルメラミン(図17)で良好な相溶(透明性)を示し、上記評価も高かった。つまり、樹脂の相溶性(透明性)に対して、R2a、R4aの置換基にメチル基、t-ブチル基を持つ化合物が、総体的に良好な傾向を示し、R13aの炭素数が12以下の化合物(化合物6,7,8,9,10)が、さらに炭素数が4~10(化合物6,7,8,9)が、特に炭素数6~10の化合物7,8,9は、アクリル、ウレタン、チオウレタン、PET、PS、PC、尿素、メラミン等、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂に関わらず、全ての樹脂に対して、良好な相溶性(透明性)を示した。
【0430】
さらに、分岐脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、アルケン基含有脂肪族炭化水素基、芳香族基、酸素含有脂肪族炭化水素基等を含むチオエーテル基を持つ化合物15~21についても、PS、PCに対して、相溶性(透明性)を示し硫黄含有基の導入、融点等の効果が示唆された。
(2)膜厚
膜厚は、フィルムを切断した断面を、卓上顕微鏡((株)日立ハイテク製Miniscope TM3000)を用いての計測もしくは、フィルムの反射率を反射率測定器(オリンパス(株)製 USPM-RU)で測定し、得られた反射率波形を、Hartmann分散式を用いてフィッティング解析することで得た。
(3)屈折率
フィルムの屈折率を、片面反射率(λ=589nm)から測定して求めた(表1、2、5、6、7)。
【0431】
本発明化合物を添加したアクリル樹脂フィルム(化合物1,3,4,5,8,10,14,22,23,24,25,26,27,28: 屈折率 1.5178~1.5914)は、比較例1の無添加のフィルム(1.4985)より高屈折率化した。硫黄含有基を持たない化合物5と比較して、硫黄含有基を持つ化合物1,3,4,8,10,14は屈折率が高く、硫黄含有基を持つ本発明化合物の高屈折率化の効果が示唆された。
【0432】
これらの結果より、実施例の化合物は250~400nm付近の紫外線領域の波長をカットし、450~500nm(可視域)の波長は透過することが確認され、特に有機物質の光劣化に影響のある、315~400nm(UV-A領域)の紫外線吸収能に優れ、400nm付近の領域までの紫外線をカットすることが確認された。従って、本発明の添加剤は、マトリックスとなる樹脂の劣化や変色を防ぐことができ有用である。また、樹脂フィルムの屈折率を高める効果も認められた。そして樹脂と添加剤の合計に対して0.4~50wt%の量で添加してもフィルムは透明で、変色も無く、実施例の化合物は樹脂への溶解性が高く、透明性を維持しながら高濃度での使用が可能であることが確認された。
【0433】
【表1】
【0434】
【表2】
【0435】
【表3】
【0436】
【表4】
【0437】
【表5】
【0438】
【表6】
【0439】
【表7】
【0440】
【表8】
【0441】
【表9】
【0442】
【表10】
【0443】
【表11】
【0444】
【表12】
【0445】
【表13】
【0446】
3.プラスチックレンズの評価
(プラスチックレンズの作製)
本発明の添加剤と従来の紫外線吸収剤を添加した樹脂を作製した。なお、以下の実施例及び比較例では、同じ種類の材料の樹脂について、2mm厚平板レンズの420nmの透過率ができるだけ近い値になるように、各紫外線吸収剤の添加量を調整した。
<実施例71>
フラスコに化合物8を0.49g、ステファン製ゼレックUNを0.1g、ジブチル錫ジクロリドを0.04g、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの混合物を50.8g入れ、25℃で1時間撹拌して完全に溶解させた。その後、この混合液にペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を22.4g、1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパンを26.8g添加し25℃で30分混合した。尚、調合液中において化合物8は重合性化合物の重量総和に対して0.49重量%含まれていた。
【0447】
この調合液を0.3mmHg以下で1時間脱泡を行い、5μmPTFEフィルタにて濾過を行い、中心厚2mm、直径80mmの平板用ガラス型とテープよりなるモールド型に注入した。このモールドを25℃から130℃まで徐々に昇温し、130℃で2時間保持した後室温まで冷却した。昇温開始から冷却までは18時間であった。重合終了後、得られた成形体をモールドから離型し、この平板レンズを130℃2時間でアニールを行った。
<実施例72>
実施例71の化合物8を0.53g(重合性化合物の重量総和に対して0.53重量%)添加した以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<実施例73>
フラスコに化合物8を0.53g(重合性化合物の重量総和に対して0.53重量%)、ステファン製ゼレックUNを0.1g、ジブチル錫ジクロリドを0.2g、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネートを58.9g入れ、25℃で1時間撹拌して完全に溶解させた。その後、この混合液に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とする混合物を41.1g添加し25℃で30分混合した。
【0448】
調合液の調製以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<実施例74>
フラスコに化合物8を0.27g(重合性化合物の重量総和に対して0.27重量%)、ステファン製ゼレックUNを0.1g、ジブチル錫ジクロリドを0.006g、m-キシリレンジイソシアネートを50.6g入れ、25℃で1時間撹拌して完全に溶解させた。その後、この混合液に5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンと4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンを主成分とする混合物を49.4g添加し25℃で30分混合した。
【0449】
調合液の調製以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<実施例75>
フラスコ内に化合物8を0.23g(重合性化合物の重量総和に対して0.23重量%)、ビス(β-エピチオプロピル)スルフィドを71g、硫黄を23g、(2-メルカプトエチル)スルフィドを2.2g入れ、60℃で30分撹拌した。続いて、2-メルカプト-1-メチルイミダゾールを0.14g入れ、10分間0.3mmHg以下で脱泡した後、さらに60℃で120分撹拌し、その後40分かけて30℃に冷却した。得られた溶液に、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド0.012gとジブチル錫ジクロリド0.01gを(2-メルカプトエチル)スルフィド3.8gに溶解させて得られた溶液を滴下し、0.3mmHg以下で20分脱泡を行った。この溶液を5μmPTFEフィルタにて濾過を行い、中心厚2mm、直径80mmの平板用ガラス型とテープよりなるモールド型に注入した。このモールドを25℃から110℃まで徐々に昇温し、110℃で2時間保持した後室温まで冷却した。昇温開始から冷却までは18時間であった。重合終了後、得られた成形体をモールドから離型し、この平板レンズを110℃2時間でアニールを行った。
<実施例76>
実施例71の化合物8を化合物10に変更し、0.56g(重合性化合物の重量総和に対して0.56重量%)添加した以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<実施例77>
実施例71の化合物8を化合物14に変更し、0.58g(重合性化合物の重量総和に対して0.58重量%)添加した以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<比較例14>
実施例71の化合物8を2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(化合物36)に変更し、0.75g(重合性化合物の重量総和に対して0.75重量%)添加した以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<比較例15>
比較例14の化合物36を0.85g(重合性化合物の重量総和に対して0.85重量%)添加した以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<比較例16>
実施例73の化合物8を2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(化合物36)に変更し、0.75g(重合性化合物の重量総和に対して0.75重量%)添加した以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<比較例17>
実施例74の化合物8を2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(化合物36)に変更し、に変更し、0.50g(重合性化合物の重量総和に対して0.50重量%)添加した以外は実施例71と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
<比較例18>
実施例75の化合物8を2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾール(化合物36)に変更し、に変更し、0.30g(重合性化合物の重量総和に対して0.30重量%)添加した以外は実施例75と同様な方法で2mm厚の平板レンズを得た。
(1)透過率、黄色度(YI値)、視感透過率
実施例と比較例で作製したサンプルレンズについて、紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U-4100)を用いて、350~800nmの分光透過率、黄色度(YI値)、視感透過率を測定した。黄色度と視感透過率はD65光源2度視野の値とした。
(2)サンプルレンズの外観評価
作製したサンプルレンズについて、同じ材料の樹脂で420nm付近の透過率が近い実施例と比較例のサンプルレンズの黄色さを目視により比較、確認した。樹脂自体がもともと持っている黄色さが樹脂の種類によって異なるため、別の樹脂で紫外線吸収剤を添加したことによる黄色さを正確に比較できないためである。比較したレンズは、詳しくは、実施例71と比較例14、実施例72と比較例15、実施例73と比較例16、実施例74と比較例17、実施例75と比較例18、実施例76と比較例14、実施例77と比較例14、である。外観は以下の基準により評価した。また紫外線吸収剤の樹脂からの析出と透明性について目視で確認した。
黄色さ・・・○:より無色に近い、×:黄色い
YI値、外観評価の結果を表14に、透過スペクトルの測定結果を図10図16に示す。
【0450】
波長400~420nmまでの波長領域を、紫外線吸収剤を用いてカットしようとすると、紫外線吸収剤の種類によっては、樹脂の黄色化が発生したり、プラスチックレンズの樹脂に溶解しきれずに析出し、樹脂が白濁することがある。例えば特許第4334633号公報には、分子量が360を超える紫外線吸収剤を用いると、原料モノマー中への溶解度が低下し、5重量部以下の配合量でもプラスチックレンズ表面に析出し、かつ析出しない限界量では十分な紫外線吸収能力がなく、380~400nmの波長の紫外線を十分に吸収できるプラスチックレンズを得ることが困難であることが記載されている。しかしながら、本発明の添加剤は、その構造的特徴から、化合物36の分子量316に対して、化合物8,10,14,は、分子量が360を超えるにも関わらず、化合物36と同様にモノマーに対して良好に溶解し、得られたプラスチックレンズ表面にも析出せず、本願の紫外線吸収剤の構造によってモノマー、プラスチックレンズへの親和性を発現することを確認した。
【0451】
また、式(I)で表わされる紫外線吸収剤を用いたプラスチックレンズは、2-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)-クロロベンゾトリアゾールを用いたレンズと比較して、少ない添加量で400~420nmの波長光をより効率的に吸収し、眼への悪影響を抑制しながら420nm付近以上の波長光の透過性が良好であり、プラスチックレンズの黄色化を抑制し、外観に優れたレンズが得られた。
【0452】
従って、本発明の添加剤は、マトリックスとなる樹脂への相溶性が良く、高い透明性を維持しながら紫外線吸収や高屈折率化等の性能を十分に発揮できることが認められた。
【0453】
【表14】
【0454】
4.反応性官能基を有する添加剤の樹脂への固定化評価
イソシアネート(日本ポリウレタン社製 HC-210)0.022g、ポリオール(日本ポリウレタン社製 ON-H37)0.078g、化合物1,20の化合物0.002gを、それぞれクロロホルム12gで均一に混合し、それぞれ約1mLを1500rpm、20秒の条件でガラス基板上にスピンコートを行った後、45℃のオーブン中でクロロホルムを除去し、その後100℃で3時間加熱することによりウレタンフィルムを作製した。
【0455】
得られたフィルムを70℃の温水中に浸漬し、化合物1,20最大吸収波長における吸光度を一定時間ごとに測定した。
【0456】
[(10、40時間後の吸光度/初期吸光度)×100]を吸光度保持率(%)とし、実施例1、20の化合物について、10時間後および40時間後の吸光度保持率の測定したところ、透明性を保持して、フィルムの吸光保持率は、ほぼ初期の数値を示した。
【0457】
メチルメタクリレート2.5g、化合物17を0.05g、および溶媒としトルエン10g、メチルエチルケトン(MEK)10g及び重合開始剤として1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)を0.025g仕込み、窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、反応温度88~91℃で10時間加熱還流状態にて重合反応を行った。得られた共重合体溶液にMEK250gを加え、滴下ロートにてメタノール2500g中へ1時間かけて滴下を行い、共重合体の結晶を析出させた。次いで、濾過、精製、減圧乾燥を行い、メタクリル樹脂2.12gを得た。
【0458】
得られたメタクリル樹脂0.10gを280℃で加熱溶解させた後、スライドガラス基板上に滴下し素早く伸ばし、空冷することでフィルムを作成した。
【0459】
得られたフィルムを70℃の温水中に浸漬し、化合物17の最大吸収波長における吸光度を10、40時間ごとに測定して、上記同様に、吸光度保持率を測定したところ、透透明性を保持して、フィルムの吸光保持率は、ほぼ初期の数値を示した。
【0460】
つまり、モノマー、樹脂に対して反応性官能基を有する添加剤の溶出は無く、添加剤とモノマーが反応して樹脂中に固定化され、ブリードアウトすることなく、透明性を保持して、それぞれの紫外線吸収能、高屈折率化等の機能を長期間保持できることを確認した。
図1
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図17