IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧

特開2022-110020ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法
<>
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図1
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図2
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図3
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図4
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図5
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図6
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図7
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図8
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図9
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図10
  • 特開-ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110020
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20220721BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20220721BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20220721BHJP
【FI】
H04B7/06 956
H04B7/08 802
H04W16/28
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022075837
(22)【出願日】2022-05-02
(62)【分割の表示】P 2019522739の分割
【原出願日】2017-10-27
(31)【優先権主張番号】16195985.3
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シオチナ ダナ
(72)【発明者】
【氏名】ハンデ トーマス
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE08
5K067EE32
5K067KK02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高いアンテナ・ゲインを生じさせ、長距離でのアソシエーションとデータ送信を可能にし、かつ/又はアソシエーション・フェーズにおける衝突確率を低下させる通信システム及び通信方法を提供する。
【解決手段】他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための通信デバイスは、少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて第2の送信ビーム情報を含むデータの送信を行う、第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行う他の通信デバイス2からの応答を所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップiで送信されたデータを受信した場合、他の通信デバイス2が、第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信する。これにより、ビームフォーミング・トレーニングを行う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(1)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(10)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(11)と
を具備し、
前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、前記他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)前記他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記他の通信デバイス(2)は前記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイス(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、多数の異なる第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)において連続してデータを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の通信デバイスであって、
以前のトレーニング・フェーズ又はビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスによって信号送信されたように、前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御し、所定の数の第1の指向性ビームを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項4】
請求項2に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、ステップii)で受信した前記応答から前記第1の指向性送信ビームの少なくとも1つを示す第1の送信ビーム情報を取得するように構成され、前記第1の指向性送信ビームは、前記第2の通信デバイス(2)によって受信されたデータを前記通信デバイス(1)によって送信したときに用いられたものである
通信デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、続くステップi)の繰り返しにおいて、同じまたはそれぞれ異なる1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項7】
請求項5に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、前記第1の指向性送信ビーム及び前記第2の指向性受信ビームと同じビームを用いるように構成された
通信デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記通信デバイス(1)の第1の識別子が前記応答に含まれる場合、ステップii)において前記ビームフォーミング回路(11)は、応答が受信されたと判断する、及び/又はステップii)で応答が受信されなかった場合、ステップi)とii)を繰り返すように構成された
通信デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、
a)複数の異なる第3の指向性送信ビームを続けて用いて前記他の通信デバイス(2)が前記他の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信している間に第3の受信ビームを用いてリッスンを行うステップと、
b)前記第2の識別子が受信されると、前記第2の送信ビーム情報によって示される前記第2の指向性送信ビームとして前記第2の識別子の送信に使用する前記第3の指向性送信ビームを設定するステップと
を行うように構成された
通信デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、
ステップa)において、複数の異なる第3の指向性受信ビームを連続して使用してリッスンを行い、それぞれにおいて前記他の通信デバイス(2)は前記複数の異なる第3の指向性送信ビームを連続して使用し、
ステップb)において、前記第2の指向性受信ビームとして、前記第2の識別子の受信に用いる前記第3の指向性受信ビームを設定するように構成された
通信デバイス。
【請求項11】
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、前記他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)前記他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記他の通信デバイス(2)は前記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信する
通信方法。
【請求項12】
他の通信デバイス(1)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(2)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(20)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(21)と
を具備し、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて前記他の通信デバイス(1)によって送信されたデータのための第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームを用いて応答を続けて送信し、前記他の通信デバイス(1)は所定の第2の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイス(2)。
【請求項13】
請求項12に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は、第1の送信ビーム情報を前記応答に含めるように構成され、前記第1の送信ビーム情報は、前記通信デバイス(2)によって受信されたデータを前記他の通信デバイス(1)によって送信したときに用いられた前記第1の指向性送信ビームを示す
通信デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、データが受信された前記他の通信デバイス(1)の第1の識別子を前記応答に含めるように構成された
通信デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、最も高い品質またはSNRでデータが受信された他の通信デバイスの第1の識別子を前記応答に含めるように構成された
通信デバイス。
【請求項16】
請求項12に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は、前記アンテナ回路を制御し、所定の閾値より高い品質又はSNRでステップi)においてデータが受信された場合にのみ前記応答を送信し、及び/又はステップi)の複数の異なる第1の所定の指向性受信ビームを用いてステップi)とii)を繰り返すように構成された
通信デバイス。
【請求項17】
請求項12に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、前記他の通信デバイス(1)が第3の受信ビームを用いてリッスンを行うように構成される一方で、複数の異なる第3の指向性送信ビームを続けて用いて前記第2の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信することにより、ビームフォーミング・トレーニングの前にビーコンを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項18】
請求項12に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は、複数の他の通信デバイス、及びデータが続けて受信されたそれぞれの第1の送信ビーム情報の順序付きリストを保持するように構成され、及び/又は前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、1つの識別子と前記順序付きリストの第1の送信ビーム情報を前記応答に含め、このデータを前記順序付きリストから削除するように構成された
通信デバイス。
【請求項19】
他の通信デバイス(1)との無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて前記他の通信デバイス(1)によって送信されたデータのための第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームを用いて応答を続けて送信し、前記他の通信デバイス(1)は所定の第2の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、1以上の選択された指向性ビームを用いてRF信号を送受信する
通信方法。
【請求項20】
非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
プロセッサによって実行されるとき、請求項11又は19に記載の方法を行わせるコンピュータプログラムが記憶された
記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動局やアクセスポイント等の、互いに無線周波数に基づく通信を行うための複数の異なる通信デバイスに関する。さらに、本開示は同様の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
60GHz周波数帯域の通信システムは、周波数とともに増加する強い自由空間経路損失に悩まされてきた。例えば、60GHzの通信システムでは、5GHzで動作する通信システムに比べて約22dB高い減衰が生じる。増加する経路損失を解決するために、60GHz又はミリ波の通信システムはビーム・フォーミングを用いる。つまり、他の通信デバイスに向かって指向性ビームを形成できる可動式フェーズド・アレイ・アンテナ(PAA)を特徴とする送信装置及び/又は受信装置を用いる。通常、このようなビームは高い指向性を持ち、空間的にとても狭くなっている。主方向における指向性は、PAAごとのアンテナ・エレメントの数に応じて高まる。一方、ビーム半値幅(HPBW)は、アンテナ数の増加に伴いパターンの空間幅が減少することを示す。つまり、PAAごとのアンテナ数が増えるにつれて、指向性は高くなり、HPBWは小さくなる。PAA指向性を通信に利用するためには、一般的にミリ波通信システム、RF通信システム、方法、及びデバイスにとってビーム・アライメントは非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような通信システムでは、アソシエーション・フェーズにおいて高いアンテナ・ゲインを生じさせ、AP通信可能範囲を拡大し、長距離でのアソシエーションとデータ送信を可能にすることが要求される。また、アソシエーション・フェーズにおいてSTA(第1の通信デバイス)間の衝突確率を低下させることが望ましい。
【0004】
本明細書に記載する背景技術の説明は、本開示がどのような文脈で為されたかの概要を説明する目的で記載するものである。本願の発明者として名前を挙げているものの研究内容は、この背景技術のセクションに記載されている限りにおいて、出願時に先行技術と認められない部分と同様に、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認めるものではない。
【0005】
本開示の目的は、高いアンテナ・ゲインを生じさせ、長距離でのアソシエーションとデータ送信を可能にし、かつ/又はアソシエーション・フェーズにおける衝突確率を低下させる通信システム及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面において、(第1の)通信デバイスであって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて上記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路と
を有し、
上記ビームフォーミング回路は上記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、他の通信デバイスは第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)上記他の通信デバイスからの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、上記他の通信デバイスは上記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイスを提供する。
【0007】
他の側面において、(第2の)通信デバイスであって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて上記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路と
を有し、
上記ビームフォーミング回路は上記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて他の通信デバイスによって送信されたデータのための第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)ステップi)で送信されたデータが受信された場合、上記第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームを用いて応答を続けて送信し、上記他の通信デバイスは所定の第2の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイスを提供する。
【0008】
通信方法の他の側面によると、コンピュータプログラムがコンピュータプログラムを含むコンピュータや非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって実行されたとき、本明細書に開示する方法に含まれるステップがコンピュータによって実行されるプログラムを含むコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、プロセッサにより実行されると、本明細書に開示する方法を実行する。
【0009】
実施形態は従属クレームによって定義される。開示された方法、開示されたコンピュータプログラム、および開示されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、請求項に係るデバイスとして、従属項及び/又は本明細書で定義されたものと同様の及び/又は同一のさらなる実施形態を有する。
【0010】
本開示の一側面によれば、少なくとも第2の通信デバイス(AP)に、好ましくは両方の通信デバイス(AP及びSTA)に指向性ビームを適用するアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングを提供する。これは、アソシエーション・フェーズにおけるリンク・バジェットを増加させる。これは長距離アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング等のアソシエーション範囲を広げるために利用される。つまり、第2の通信デバイスから遠く離れた第1の通信デバイスは第2の通信デバイスの基本サービスセット(BSS)を見つけ、それに参加する。また、相反性が想定できる場合には、アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング中にチャネル・アクセスを変更することを提案する。これにより、第1の通信デバイス固有の空間ビーム分離を利用して、第1の通信デバイス間の衝突確率を低下させることができる。
【発明の効果】
【0011】
高いアンテナ・ゲインを生じさせ、長距離でのアソシエーションとデータ送信を可能にし、かつ/又はアソシエーション・フェーズにおける衝突確率を低下させる通信システム及び通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1と第2の通信デバイスを含む通信システムの模式図である。
図2】IEEE802.11adに記載の送信インターバルの図である。
図3】従来のアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの図である。
図4】ビーコン送信インターバルの図である。
図5】1つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第1の実施形態の図である。
図6】2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第2の実施形態の図である。
図7】相反性のある2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第3の実施形態の図である。
図8】ビーコン・インターバル・コントロール・フィールドの図である。
図9】ビーコンフレームボディ構成の図である。
図10】シンプル・アソシエーション・ビームフォーミング・コントロール・フィールドの図である。
図11】アドバンスド・アソシエーション・ビームフォーミングコントロール・フィールドの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、WLANシステムの用語を使用する。つまり、第1の通信デバイスの例として局(STA)を用い、第2の通信デバイスの例として単一のセントラル・ネットワーク・アクセス・ポイント(AP)またはパーソナル・ベーシック・サービス・セット・コントロール・ポイント(PCP)(本明細書ではAPと称する。WLANの用語において、APまたはPCPを、PCP/APと略す場合もある。)を用いる。第1と第2の通信デバイスを送信装置及び受信装置と称する場合もある。両通信デバイスとして、60GHz(ミリ波)の周波数帯域で無線でデータを送受信するデバイスを意図とする。しかし、本発明はミリ波LTE等のビームフォーミングを用いる他のRF通信システムにも適用可能である。
【0014】
前述の段落は、一般的な序論として提供したものであり、以下の特許請求の範囲を限定するものではない。本開示の実施形態は、更なる利点とともに、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解される。
【0015】
添付の図面と合わせて検討される以下の詳細な記載を参照することにより、記載する実施形態は更なる利点と共に最も良好に理解される。
【0016】
図面を参照して、同様の参照符号は、いくつかの図面にわたって同一または対応する部分を示す。図1は第1の通信デバイス1、3(局STA1、STA2)と第2の通信デバイス2(アクセスポイントAP)を含む通信システムの模式図である。第1の通信デバイス1、3はそれぞれアンテナ回路(アンテナユニットとも呼ぶ)10、30とビームフォーミング回路(ビームフォーミングユニットとも呼ぶ)11、31を含む。アンテナ回路10、30はRF信号を送受信するように構成され、ビームフォーミング回路11、31はビームフォーミングを行い、それぞれのアンテナ回路10、30を制御するように構成される。同様に、第2の通信デバイス2はアンテナ回路20とビームフォーミング回路21を含む。アンテナ回路20はRF信号を送受信するように構成され、ビームフォーミング回路21はビームフォーミングを行い、アンテナ回路20を制御するように構成される。これらの詳細な動作は後述する。
【0017】
60GHz周波数帯域の通信システムは、周波数とともに増加する強い自由空間経路損失a_fsに悩まされてきた。
a_fs [dB]=-147.55dB+20 log_10 f+20 log_10 d
上記の式はdB換算での自由空間経路損失を周波数fとリンク距離dの関数として表す。これによると、60GHzの通信システムでは、5GHzで動作する通信システムに比べて約22dB高い減衰が発生する。
【0018】
増加した経路損失を解決するために、60GHz又はミリ波の通信システムはビームフォーミングを用いる。つまり、他の通信デバイスに向かって指向性ビームを形成できる可動式フェーズド・アレイ・アンテナ(PAA)等のアンテナ回路を特徴とする送信装置及び/又は受信装置を用いる。通常、このようなビームは高い指向性を持ち、空間的にとても狭くなっている。主方向における指向性は、PAAごとのアンテナ・エレメントの数に応じて高まる。一方、ビーム半値幅(HPBW)は、アンテナ数の増加に伴いパターンの空間幅が減少することを示す。つまり、PAAごとのアンテナ数が増えるにつれて、指向性は高くなり、HPBWは小さくなる。PAA指向性を通信に利用するためには、ビーム・アライメントがミリ波通信システムにとって非常に重要である。
【0019】
以下に記載する実施形態において、WLANシステムの用語を使用する。つまり、局(STA)と、単一のセントラル・ネットワーク・アクセスポイント(AP)又はパーソナル・ベーシック・サービス・セット・コントロール・ポイント(PCP)を用いる。つまり、ここで用いるAPという用語は一般的にAPまたはPCPを意味すると理解される(WLANの用語において、APまたはPCPを、PCT/APとも呼ぶ場合もある)。STA及びPCT/APの両方とも60GHz(ミリ波)等の周波数帯域で無線でデータを送受信することを意図とする。しかし、本開示は上記周波数帯域に限定されない。例えば、本開示はミリ波LTE等のビームフォーミングを用いる他の通信システムにも適用可能である。
【0020】
本開示は、特にアソシエーション・フェーズ(ビームフォーミング・トレーニング・フェーズ又はアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズとも呼ぶ)に関して述べる。アソシエーション・フェーズでは、STAがAPを発見し、そのAPとアソシエーションを行う。初期のビーム・アラインメントが必要になるので、このフェーズは特に難しいものである。
【0021】
図2はIEEE802.11adに記載の送信インターバルの図である。ビーコン・インターバル(BI)は連続的に繰り返されており、ビーコン・ヘッダ・インターバル(BHI)はアソシエーションに関するすべてのフェーズを含む。データ送信インターバル(DTI)において、実際にデータが送信される。DTIはBHIより長いほうが望ましいため、BHIにおけるアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング(A-BFT)フェーズと通知送信インターバル(ATI)は場合によっては省略される。このことはBTIにおいて送信されるビーコン・フレームによって示される。
【0022】
IEEE802.11adによると、一般的に、ビーコン送信インターバル(BTI)においてAPは種々の指向性ビームを通じて識別データを送信する。種々の指向性ビームの主たる指向性はそれぞれ異なる空間方向にある。STAは、例えば(準)無指向性(以降、準無指向性とも呼ぶ)または広ビーム・アンテナを用いてメディアに対するリッスンを行う。つまり、指向性パターンは用いられない。STAがAP識別データを受信すると、メッセージに添付されたセクタIDを記憶する。さらに、BTIに続くアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング(A-BFT)フェーズにおいて逆向きに(STAからAP)送信するタイムスロットを(例えばランダムに)選択する。A-BFTにおいて、STAは種々の指向性ビームを用いてAPにデータを送信する。APは(準)無指向性アンテナを用いてリッスンを行う。STA送信データは前のBTIにおける最適なセクタIDを含む。STAが送信を止め、APが少なくとも1つのメッセージの受信に成功すると、APは最高の品質で(例えば高SNRで)受信されたSTAセクタを含む受信を承認する。このメッセージは、前のA-BFTフェーズで示された最適なセクタIDに対応するビームを介して送信される。実際のアソシエーション手続きは、続く通知送信インターバル(ATI)において行われる。ATIにおいては、BTI及びA-BFTの最適なセクタIDによって示された最適なビームが用いられる。
【0023】
A-BFTにおいて、いくつかのSTAがチャネル・アクセスに関して競合する。従って、図3に示されるように、A-BFTは複数のスロットに分割される。図3は従来のアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの図である。ここで、A-BFTは例えば4つのスロットに分割される。この4つのスロットにおいてSTAは応答を行う。APとのアソシエーションを希望するSTAはランダムに1つのスロットを選択する。これにより、衝突の可能性を下げることができる。衝突が起きた場合には、APは衝突を検出することができ、受信確認としてSSWフィードバック・フレームを送信しない。SSWフィードバックが送信される場合、SSWフィードバックはSTAの最適な送信セクタIDの情報を含む。SSWフィードバックを受信しないSTAは、さらに次のBIのA-BFTスロットをランダムに選択する。1つのA-BFTスロットにおける複数の異なるアンテナ・セクタの掃引は、実際にはSSWフレームにて行われる。各SSWフレームは、異なるアンテナセクタによって送信される。アンテナ・セクタは同一のSSWフレーム中で示されるセクタIDラベルを含む。
【0024】
上記の動作は、アソシエーションが指向性-無指向性(D2O)モードで行われるという欠点がある。なぜなら、指向性-無指向性(D2O)モードは指向性-指向性(D2D)モードに比べてアンケナ・ゲインが低いためである。このため、本開示ではアソシエーション・フェーズにおいてよりアンテナ・ゲインが高いD2Dを用いたアソシエーション・フェーズを用いる。これにより、APの通信可能範囲を拡張し、長距離でのアソシエーション及びデータ送信を行うことができる。さらに、ダブル指向性(D2D)ビームフォーミングは、アソシエーション・フェーズにおける空間的再利用を可能とするため、アソシエーション・フェーズにおけるSTA同士の衝突確率を下げるために活用されることが期待される。
【0025】
図4は本開示の一側面における複数のビーコン送信インターバル(BTI)の図を示す。つまり、図4は、トレーニング予定のN個の異なる受信パターンを持つSTAを想定したときの、AP TXとSTA RXのトレーニング手順(ビーコン送信フェーズとも呼ぶ)を示す。BTIにおいて送信される各指向性マルチギガビット(DMG)ビーコンフレームは、DMGビーコンによって信号送信される専用の方向またはセクタを用いる(つまり、専用の送信ビーム。ここでは「第3の指向性送信ビーム」とも呼ぶ)。つまり、DMGビーコンを受信するSTAはこの特定のビーコンを送信するためにAPが用いたTXセクタIDを検索することができる。
【0026】
上記BTIの動作の第1のステップはAP側では変更しないままでよい。つまり、APは種々の指向性ビーム40(「第3の指向性送信ビーム」)を介して識別データを送信する。上記公知の動作とは対照的に、STAは種々の指向性受信ビーム50(「第3の指向性受信ビーム」)を用いてリッスンを行う。この時点では、フレーム構造に対するSTAのアライメントが行われていないため、STAはSTAの指向性受信ビーム50を少なくとも1つのビーコン・インターバル(BI)の期間に適用してもよい。BI中は、受信パターンは変化しないものとする。IEEE802.11ad規格はBIの最大期間を1000msと規定している。標準的には最大期間は100msの範囲にある。STAはチャネルに対して連続してリッスンを行い、これにより連続して指向性受信パターンを適用することができる。全ての指向性受信パターンが適用された後は、APが検出される場合と(ケースA)、APが検出されない場合がある(ケースB)。
【0027】
ケースAにおいては、STAはダブル指向性A-BFT(DD-A-BFT)フェーズでの通信を予定しており、最適なAP送信セクタ(例えば、「第2の送信ビーム情報」として保存する。TXAPとも呼ぶ)と、最適なSTA受信セクタ(例えば、「第2の受信ビーム情報」として保存する。RXSTAとも呼ぶ)を保存する。最適なセクタは、例えばSNRやSINR、リンク容量を評価することにより決定できる。
【0028】
特殊な状況下においては、STAはDD-A-BFTで通信することのみを考慮すればよい。特殊な状況とは例えば、(i)TXAPセクタ及びRXSTAセクタを用いて受信したSNRが閾値を下回る場合、(ii)前のBTIにおける準無指向性パターンを用いたデータ受信が成功しなかった場合、(iii)定期的なA-BFTにおける準無指向性パターンを用いたFailed RSS Attemptsの数(アソシエーション試行が失敗した回数)が閾値を上回る場合、又は(iv)アソシエーション・フェーズにおいて空間的再利用の必要性を生じさせる定期的なA-BFTにおいて発生する衝突が多すぎる場合、である。SNRが閾値を上回る場合、STAは定期的なA-BFTを考慮するものとする。閾値は、dB換算で以下の式によって定義され得る。
γ_target+D_(STA,RX)+D_(AP,TX)-D_(STA,TX)-D_(AP,RX)
【0029】
従って、γtargetはdB換算でのControl PHY MCSの対象SNRを示す。これは最も安定している変調・符号化方式(MCS)であり、ビームフォーミング・トレーニングに適用される。さらに、DはそれぞれTX又はRXモードにおけるSTA又はAPのdB換算のビーム指向性を示す。
【0030】
ケースBにおいてはAPは検出されず、STAは種々の指向性ビームを用いて、連続的に又は後の時点においてリッスン手順を繰り返しても良い。
【0031】
なお、トレーニング・フェーズにおいてAPは特別な動作は行わなくてもよい。変更は主にSTA側において行われる。従って、この手法はIEEE802.11ad及び/又はIEEE802.11ay BTIに記載されているように、どのBTIの再利用も可能である。専用のダブル指向性も長距離BTIも必要ない。空間的再利用がSTAの主な目的だとすると、IEEE802.11adに基づいて行われるように、単一のBTIフェーズにおいて無指向性パターンを用いた受信が行われ得る。前提条件として、経路損失を解決するのに十分なリンク・バジェットが求められる。
【0032】
第2のフェーズ(アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズとも呼ぶ)において、STA TX及びAP RX手順が種々のDD-A-BFTスロットで行われる。1つのDD-A-BFTスロットにおいて、STAは複数の異なる送信セクタを、SSWフレームごとに用いる。DD-A-BFTスロットにおいて、APはAPの受信部パターンを変更しないままにしておく。つまり、1つのDD-A-BFTスロットにおいてSTAによって送信される各SSWフレームはそれぞれ同一の受信ビームまたはRXセクタを用いてAPにより受信されるものとする。各DD-A-BFTスロットはそれぞれ異なるAP受信部パターンを用いる。公知の手順とは対照的に、全てのビームの組み合わせ候補をカバーするように、STAはすべてのDD-A-BFTスロットにおいてSSWフレームを送信する。
【0033】
相反性がある場合には、チャネル、適用されるビーム、及びアンテナはそれぞれ独立しており、その通信方向は不変である。つまり、TXとRXビームは同じ特性を持ち、メインローブ指向性とHPBWに関しては同様であり、サイドローブの位置はサイドローブ減衰が十分に大きい限り重要ではない。チャネル相反性は実施特性であるビーム及び/又はアンテナ相反性を成立させるための前提条件である。このため、ビーム及び/又はアンテナ相反性はSTA及び/又はAP側の一方又は両方にあってもよい。または、ビーム及び/又はアンテナ相反性はSTA側とAP側どちらにも無くてもよい。つまり、この性質はデバイス固有のものである。説明を簡略化するために、「相反性」の用語を以下でも使用する。シングル・アンテナ・システムの場合、相反性とはチャネルとビームの相反性を含む。マルチ・アンテナ・システムの場合、アンテナ相反性は追加的な前提条件である。
【0034】
まず、AP側にもSTA側にも相反性が無い場合を想定する。図5は1つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第1の実施形態の図である。各DD-A-BFTスロットにおいて、APはそれぞれ指向性ビーム60、62(「第1の指向性受信ビーム」)を用いてリッスンを行う。各DD-A-BFTスロットはそれぞれ異なるビーム60、62を含み得る(後述のように、これは種々のDD-A-BFTスロットにおいて同じ受信ビームを使用するのに都合が良いためである)。
【0035】
STAは1以上のA-BFTスロットにおいて複数のSSWフレームを送信する。1以上のA-BFTスロットは、DD-A-BFTの第1のA-BFTスロットから開始する。各DD-A-BFTスロットにおいて、STAはM個の異なる送信パターンを用いて掃引を行うことができる。つまり、STAは複数の異なる指向性ビーム70(「第1の指向性送信ビーム」)を用いる。従って、各SSWフレームはBTIフェーズ(図4参照)において決定され、最適に受信されたAP送信セクタ(TXAP、「第2の送信ビーム情報」)及びSTAの現在の送信セクタに関する情報を含む。SSWフィードバック(「応答」)を受信するため、STAはBTIフェーズの初めで決定されたRXSTA(「第2の受信ビーム情報」)によって示された最適なRXビーム71を用いる。
【0036】
スロットNの数と、スロットごとのM個のSSWフレームはビーコン・インターバル・コントロール・フィールド(後述する)において信号送信され、APによって決定され得る。STAがM個よりも少ない送信セクタしかサポートしない場合には、すべての送信パターンが完了後に現在のスロットにおける送信を中止し、必要であれば次のDD-A-BFTスロットにて再開する。STAがM個よりも多い送信セクタをサポートする場合には、1つのスロットにおいて送信されるのは選択済みのM個のセクタのみとする。この選択手順はSTA固有のものであり、使用可能なセクタ間での角度補間を含み得る。
【0037】
SSWフィードバックに関して、下記のルールが一実施形態において適用されることが好ましい。
1. APが、STAによって送信されたSSWフレームの復号が可能だった場合、SSWフレーム(TXSTA、「第1の送信ビーム情報」)に含まれるTXセクタ情報データを用い、TXAP(「第2の送信ビーム情報」)によって示される指向性送信ビーム61を用いてSSWフィードバック(「応答」)を送信することが好ましい。
2. 復号可能なSSWフレームが存在しない場合、又は複数のSTAが同時に受信される場合(衝突)にはSSWフィードバックは送信されない。衝突とは、少なくとも2つのSTAから同時にSSWフレームが受信されることと定義される。1つのDD-A-BFTスロットにおける複数のSTAからの複数の有効なSSWフレームの受信は衝突とは見なされない。これはフィードバック混雑状態とみなされる。なお、規格によっては、2つのSTAが異なるSSWフレームにアクセスする場合であっても2つのSTAが同じA-BFTスロットを使うことを衝突と定義している場合もある。
3. 1つのDD-A-BFTスロットにおいて複数の異なるSTAから複数のSSWフレームが受信された場合(フィードバック混雑状態)、SSWフィードバックは最も強いSTA宛となる。未送信のSSWフィードバックは、同じDD-A-BFTにおける今後のDD-A-BFTスロット宛となり得る。この場合、最も強いSTAにSSWフィードバックを送信するときと同じルールが適用される。DD-A-BFTフェーズの最後においても残っているすべての未送信のSSWフィードバックは無視されることとする。
4. STAがSSWフィードバックを受信した場合、現在のBTIにおける更なるDD-A-BFTスロットでの送信は中止される。これは、DD-A-BFTスロットが他の局とのアソシエーションに使われることを保証するためである。
5. STAがフィードバックを受信しなかった場合、さらなるDD-A-BFTスロットでの送信をスケジューリングしてもよく、同じDD-A-BFTフェーズのすべてのSSWフィードバック・フェーズにおいてチャネルのリッスンを継続する。これは、フィードバック混雑が発生した場合、後の時点においてSSWフィードバック・フレームをSTAが受信できるようにするためである。
【0038】
図5では、N番目のDD-A-BFTスロットにおいてAPが有効なSSWフレームを受信することを想定する。従って、N番目のDD-A-BFTスロットの最後において送信されるSSWフィードバックは1つだけである。
【0039】
公知の動作と対照的に、セクタ掃引を行うための1つのA-BFTスロットをSTAがランダムに選択する場合(STAがセクタ掃引を完了できない場合は、次のスロットで継続する)、いくつかの実施形態においてSTAは第1のDD-A-BFTスロットの初めから送信を行う。APが無指向性パターンの代わりに指向性受信ビームを用いることによって、衝突の可能性を下げることができる。衝突は、1つのDD-A-BFTスロットの1つのSSWフレーム・インターバルにおいて2以上のSTAからの信号が同じくらいのパワーで受信されたときに発生する。APは指向性受信パターンを用いるため、準無指向性受信に比べて衝突可能性は低い。
【0040】
APが複数のSTAから複数の有効なSSWフレームを受信した場合、上記ルール3が適用される。なぜなら、2つのフレームは同時には受信されず、これは衝突ではないからである。この点に関して、APは、解決すべきフィードバック混雑状態を引き起こす可能性のない2つのSSWフィードバックを送信しなくてはならない(IEEE802.11ad仕様参照)。従って、APは最も強いもの(例えばSNRやSINR、容量に関して)を受信したSTAに対して送信を行い、以降のSSWフィードバックの機会のうちの1つにおいて弱いSTAに対処する。又は、複数のSTAに対する同時フィードバックを可能にするフレーム構成を想定することも可能である。この場合、同じDD-A-BFTスロットにおいて受信されたすべてのまたは一連のSTAに対してSSWフィードバックが同時に送信されてもよい。
【0041】
図6は同時にアソシエーシを行う2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第2の実施形態の図である。STA1とSTA2がそれぞれ第1と第2のDD-A-BFTスロットにおいてアソシエーションを行うことができる場合を想定する。SSWフィードバックが受信された場合は、続く通信で用いる最適なTX及びRXセクタIDをAPとSTAの両方が認識している。なお、それぞれSSWフレームとSSWフィードバックにおいてAPとSTAの間で送受信を行う必要があるのはTXセクタ情報のみである。
【0042】
図6に示した例において、第1のセクタ掃引でSTA1は第1の指向性送信ビーム70を用い、STA2は第1の指向性送信ビーム80を用い、APは第1の指向性受信ビーム60を用いてリッスンを行う。好ましくは、第1の指向性送信ビーム70、80は各STA(つまり、TXAP(STA1)及びTXAP(STA2)、「第2の送信ビーム情報」)のビーコン送信インターバルにおいてAPによって用いられる最適な第3の送信ビームに関する情報を含む。
【0043】
第1の掃引中にAPがSTA1からのみ有効なSSWフレームを受信した場合、STA1からの第2の送信ビーム情報TXAP(STA1)によって示される第2の指向性送信ビーム61を用いてSTA1宛のSSWフィードバック(「応答」)を送信する。同時に、STA1とSTA2は第2の受信ビーム情報RXSTA1及びRXSTA2によって示されるそれぞれの第2の指向性受信ビーム71、81を用いてリッスンを行う。例えば、MACアドレス、アソシエーション識別子(AID)、又はpre-AID等の対応する識別子を含むことによってSSWフィードバックがSTA1宛となるため、STA1は続く通信で使うのに最適なセクタ(つまり、最適な指向性送信ビーム)を認識し、61を用いて送信されるSSWフィードバックにこの情報が含まれる。これにより、STA1は続くスロットにおいてSSWフレームの送信を中止することができる。
【0044】
続いて、第2のセクタ掃引でSTA2は第1の指向性送信ビーム80を用い、APは第1の指向性受信ビーム62を用いてリッスンを行う。APがSTA2から有効なSSWフレームを受信した場合、STA2からの第2の送信ビーム情報TXAP(STA2)によって示される第2の指向性送信ビーム63を用い、STA2宛にSSWフィードバック(「応答」)を送信する。同時に、STA2は第2の受信ビーム情報RXSTA2によって示されるそれぞれの第2の指向性受信ビーム81を用いてリッスンを行う。例えば、対応する識別子を含むことによってSSWフィードバックがSTA2宛となることにより、STA2は続く通信で使うのに最適なセクタ(つまり、最適な指向性送信ビーム)を認識し、SSWフィードバック63にこの情報が含まれる。これにより、STA2は続くスロットにおいてSSWフレームの送信を中止することができる。
【0045】
図7は相反性のある2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第3の実施形態の図である。この場合、STAはすでに最適なTXビーム、つまり最適なRXビームに関する情報を取得している。つまり、TXSTA = RXSTAである(等号は上述のように解釈される)。この場合、STAは、TXSTA = RXSTAを用いて各DD-A-BFTスロットにおいて1つのSSWフレームのみをランダムに送信する。これは、同じBIにおいてアソシエーションが競合している他のSTAのためにDD-A-BFTスロットを空けるために行う。図7は2つのSTAのための基本的な手順を示す(衝突やフィードバックの混雑は想定しない)。破線で示されたSSWフレームは、送信されない仮想のプレースホルダとしてのフレームを示す(SSWフレーム送信機会)。
【0046】
さらに、いつAPが特定の受信パターンを使用するのかをSTAが認識している場合かつ、APが相反性を特徴としている場合、APが所望の受信ビームを用いて受信を行う各DD-A-BFTスロットにおいて、1つのSSWフレームのみを送信する。STAが最適なTXAPセクタを認識しているということは、最適なRXAPセクタについても認識している(TXAP = RXAP)ということである。TXビームとRXビームの掃引シーケンスが等しい場合、STAはDD-A-BFTにおいていつAPが適切な受信パターンを適用するか予測することができる。又は、DD-A-BFTにおいてAPが使用する予定のRxセクタはDMGビーコン内で信号送信することができる。この場合、1つのSTAは、BI中のすべてのDD-A-BFTスロットにおける1つのSSWスロットをランダムに占めることができる。しかし、より高い安定性を求め、APにおいてより多くのRXセクタ(例えば隣接RXセクタ)のトレーニングを行うために、1つのSTAは複数のSSWスロットを占めることもでき、及び/又は、そのTXセクタ(例えば、BTIにおけるAP SSWにおいて最も高いSNRが受信されたRXセクタに隣接するTXセクタ)より多いセクタのトレーニングを行うため、1つのスロットにおいてより多くのSSWフレームを用いることもできる。
【0047】
APが相反性を特徴とし、STAが相反性を特徴としない場合、STAは、APが適切な受信セクタを適用する1つのスロットにおいてのみ送信を行う。つまり、RXAP = TXAPとなる。この際、STAは、APが専用の受信セクタをどのスロットに適用するか認識する必要がある。
【0048】
なお、「相反性なし」、「STA相反性」、「AP相反性」、及び「AP・ST相反性」の4つのバリアント型のすべてが独立して、同時に適用されることが可能である。関連するすべてのSTAが同じ性質やアクセスルールを有する必要はない。
【0049】
現在のIEEE802.11adの仕様において、APは1μsのラウンドトリップタイム遅延のみをサポートする。これは、150mの最大範囲に相当する。IEEE802.11規格に規定されているように、例えば「Coverage Class field」を用いてこの値を1μsの倍数に変更することが提案されている。現在のところ、これはミリ波通信には適用できない。
【0050】
すべての変数パラメータは図8に示すビーコン・インターバル・コントロール・フィールドにおいて信号送信され得る。ビーコン・インターバル・コントロール・フィールドは、DMGビーコン・フレーム・ボディの一部である。例えば、A-BFT lengthフィールドはA-BFTスロットの数(1から8)を示す。FSSは1つのA-BFTスロット内のSSWフレーム・スロットの数(1から16)を示す。Next A-BFTフィールドはA-BFTが存在しないBIの数を示す。N BIs A-BFTフィールドは、ビーコン・インターバルの数として、APがA-BFTを割り当てるインターバルを示す。他のフィールドに関しては、IEEE802.11規格に記載の通りである。
【0051】
次のA-BFTがDD-A-BFTの場合、DD-A-BFTに求められる最小限の変更は、表示である。DD-A-BFTを表示するために、予約ビット(図8のB44からB47)のうちの1つを使うことが提案される。
【0052】
DD-A-BFTを信号送信するための他の選択肢として、図9に示すDMGビーコン・フレーム・ボディにコントロール・フィールドをさらに追加することが考えられる。DMGビーコン・フレーム・ボディはいくつかの部分的に任意のシグナリング・フィールドを含み、これによりフレーム・ボディの長さは可変となる。つまり、DD-A-BFTを信号送信するためにはいくつかの選択肢を用いることが可能である。
図10に示す構造を持つシンプルDD-A-BFTコントロール・フィールドの導入。
・DD-A-BFT lengthフィールドがDD-A-BFTスロット数(1から8)を示す。
・FSSフィールドが1つのDD-A-BFTスロット内のSSWフレーム数(1から16)を示す。
・Next DD-A-BFTフィールドはDD-A-BFTが存在しないBIの数を示す。
・DD-A-BFT countフィールドは、DMGビーコン・フレームを送信するSTAがDD-A-BFTのためのRX DMGアンテナを最後に切り替えて以降のDD-A-BFTの数を示す。値がゼロの場合、次のDD-A-BFTで用いられるDMGアンテナは前回のDD-A-BFTで用いられたDMGアンテナとは異なる。
・N-DD-A-BFT in Antフィールドは、いくつのA-BFTでDMGビーコン・フレームを送信するSTAが各DMGアンテナからの受信を行ったかを示す。
・DD-A-BFT lengthフィールドで信号送信したように、テストしたビームの数がDD-A-BFTスロット数よりも多い場合にすべての受信セクタにトレーニングを行うためにAPがいつくかのDD-A-BFTフェーズを使用できるようにするアドバンスドDD-A-BFTコントロール・フィールド(図11参照)の導入。これは「fragmented DD-A-BFTビットによって示される。必要なDD-A-BFTスロットの数は「DD-A-BFT span」によって示される。
【0053】
合計でN個の重複しない受信パターンが存在することを想定した場合、各受信パターンは約10 log10N dBのゲインのリンク・バジェットを提供することができ、結果として、例えば自由空間経路損失の式に従って√N倍のリンク距離となる。
【0054】
また、N個の異なる重複しない受信パターンを想定し、STAが空間的に均等に分配されると想定した場合、同時に加入するSTAの衝突確率は因数Nの分だけ減少する。
【0055】
本開示の通信デバイスと方法を用いることによって、いくつかの効果を得ることができる。具体的には、ミリ波システムのための長距離APの発見、アソシエーション・フェーズのリンク・バジェットの約10 log10M dBの増加、相反性がある場合のチャネルアクセスの向上、及びアソシエーション・フェーズでの空間的再利用、つまり、アソシエーション・フェーズのための空間ビーム性能の利用、である。
【0056】
以上のように、先の議論により、開示された本発明実施形態は単に例示的なものである。当業者に理解されるように、本開示は、その精神または基本的な特徴から逸脱することなく、他の特異的な形態において実施することができる。これにより、本開示は、例として提示したものであり、発明の範囲や特許請求の範囲を限定することは意図していない。本開示は、本明細書において容易に認められる教示の変形を含み、発明の主題が公衆のものとされないように、特許請求の範囲の用語を部分的に定義する。
【0057】
特許請求の範囲において、「具備する(comprising)」という用語は、他の構成要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数であることを排除しない。単一の構成要素または他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されたいくつかのアイテムの機能を発揮することができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0058】
本開示の実施形態は、ソフトウェア制御型データ処理装置によって、少なくとも部分的に実施されるものとして記載する限りにおいて、そのようなソフトウェアを有する光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ等の非一過性の機械可読媒体も本開示の一実施形態を表すと考えられることが理解される。さらに、このようなソフトウェアを、他の形態で配信することができる。例えば、インターネットを介して、または他の有線もしくは無線の電気通信システム等により、このようなソフトウェアを配信することができる。
【0059】
開示されたデバイス、装置、およびシステムの構成要素は、対応するハードウェアおよび/または適切な回路等のソフトウェア要素により実施することができる。回路は電子部品の構造的な組み合わせであり、電子部品は従来の回路要素、特定用途向け集積回路等の集積回路、標準の集積回路、特定用途用標準品、およびフィールドプログラマブルゲートアレイを含む。さらに、回路は、中央処理装置、グラフィックスプロセッシングユニット、およびプログラム化されたマイクロプロセッサまたはソフトウェア符号に従って構成されたマイクロプロセッサを含む。回路は、上述のハードウェア実行ソフトウェアを含むが、純粋なソフトウェアを含まない。
【0060】
以下に、上記の発明特定事項の他の実施形態を示す。
1.
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(1)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(10)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(11)と
を具備し、
前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、前記他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)前記他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記他の通信デバイス(2)は前記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイス(1)。
2.
実施形態1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、多数の異なる第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)において連続してデータを送信するように構成された
通信デバイス。
3.
実施形態2に記載の通信デバイスであって、
以前のトレーニング・フェーズ又はビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスによって信号送信されたように、前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御し、所定の数の第1の指向性ビームを送信するように構成された
通信デバイス。
4.
実施形態2又は3に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、ステップii)で受信した前記応答から前記第1の指向性送信ビームの少なくとも1つを示す第1の送信ビーム情報を取得するように構成され、前記第1の指向性送信ビームは、前記第2の通信デバイス(2)によって受信されたデータを前記通信デバイス(1)によって送信したときに用いられたものである
通信デバイス。
5.
実施形態1から4のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
6.
実施形態5に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、続くステップi)の繰り返しにおいて、同じまたはそれぞれ異なる1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
7.
実施形態5又は6に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、前記第1の指向性送信ビーム及び前記第2の指向性受信ビームと同じビームを用いるように構成された
通信デバイス。
8.
実施形態1から7のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記通信デバイス(1)の第1の識別子が前記応答に含まれる場合、ステップii)において前記ビームフォーミング回路(11)は、応答が受信されたと判断するように構成された
通信デバイス。
9.
実施形態1から8のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、
a)複数の異なる第3の指向性送信ビームを続けて用いて前記他の通信デバイス(2)が前記他の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信している間に第3の受信ビームを用いてリッスンを行うステップと、
b)前記第2の識別子が受信されると、前記第2の送信ビーム情報によって示される前記第2の指向性送信ビームとして前記第2の識別子の送信に使用する前記第3の指向性送信ビームを設定するステップと
を行うように構成された
通信デバイス。
10.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、
ステップa)において、複数の異なる第3の指向性受信ビームを連続して使用してリッスンを行い、それぞれにおいて前記他の通信デバイス(2)は前記複数の異なる第3の指向性送信ビームを連続して使用し、
ステップb)において、前記第2の指向性受信ビームとして、前記第2の識別子の受信に用いる前記第3の指向性受信ビームを設定するように構成された
通信デバイス。
11.
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、前記他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)前記他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記他の通信デバイス(2)は前記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信する
通信方法。
12.
他の通信デバイス(1)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(2)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(20)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(21)と
を具備し、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて前記他の通信デバイス(1)によって送信されたデータのための第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームを用いて応答を続けて送信し、前記他の通信デバイス(1)は所定の第2の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイス(2)。
13.
実施形態12に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は、第1の送信ビーム情報を前記応答に含めるように構成され、前記第1の送信ビーム情報は、前記通信デバイス(2)によって受信されたデータを前記他の通信デバイス(1)によって送信したときに用いられた前記第1の指向性送信ビームを示す
通信デバイス。
14.
実施形態12又は13に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、データが受信された前記他の通信デバイス(1)の第1の識別子を前記応答に含めるように構成された
通信デバイス。
15.
実施形態14に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、最も高い品質またはSNRでデータが受信された他の通信デバイスの第1の識別子を前記応答に含めるように構成された
通信デバイス。
16.
実施形態12から15のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は、前記アンテナ回路を制御し、所定の閾値より高い品質又はSNRでステップi)においてデータが受信された場合にのみ前記応答を送信するように構成された
通信デバイス。
17.
実施形態12から15のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、前記他の通信デバイス(1)が第3の受信ビームを用いてリッスンを行うように構成される一方で、複数の異なる第3の指向性送信ビームを続けて用いて前記第2の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信することにより、ビームフォーミング・トレーニングの前にビーコンを送信するように構成された
通信デバイス。
18.
実施形態12から15のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は、複数の他の通信デバイス、及びデータが続けて受信されたそれぞれの第1の送信ビーム情報の順序付きリストを保持するように構成され、及び/又は前記ビームフォーミング回路(21)は前記アンテナ回路を制御し、1つの識別子と前記順序付きリストの第1の送信ビーム情報を前記応答に含め、このデータを前記順序付きリストから削除するように構成された
通信デバイス。
19.
他の通信デバイス(1)との無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて前記他の通信デバイス(1)によって送信されたデータのための第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームを用いて応答を続けて送信し、前記他の通信デバイス(1)は所定の第2の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、1以上の選択された指向性ビームを用いてRF信号を送受信する
通信方法。
20.
非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
プロセッサによって実行されるとき、実施形態11または19に記載の方法を行わせるコンピュータプログラムが記憶された
記録媒体。
21.
コンピュータ上で実行されたとき、コンピュータに実施形態11または19に記載の方法のステップを実行させるプログラムコードを含む
コンピュータプログラム。
22.
実施形態1から10のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、ステップii)で応答が受信されなかった場合、ステップi)とii)を繰り返すように構成された
通信デバイス。
23.
実施形態12から18のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(21)は、ステップi)の複数の異なる第1の所定の指向性受信ビームを用いてステップi)とii)を繰り返すように構成された
通信デバイス。
【符号の説明】
【0061】
1、3…第1の通信デバイス
2…第2の通信デバイス
10、20、30…アンテナ回路
11、21、31…ビームフォーミング回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(1)であ
って、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(10)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(11)と
を具備し、
前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、前記他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)前記他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記他の通信デバイス(2)は前記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイス(1)。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(1)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(10)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記アンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(11)と
を具備し、
前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、前記他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
前記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)前記他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記他の通信デバイス(2)は前記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御して、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、
a)前記他の通信デバイス(2)が前記他の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信している間、第3の指向性受信ビームを使用してリッスンし、その後、異なる第3の指向性送信ビームを使用するように構成された
通信デバイス(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、多数の異なる第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)において連続してデータを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の通信デバイスであって、
以前のトレーニング・フェーズ又はビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスによって信号送信されたように、前記ビームフォーミング回路(11)は前記アンテナ回路を制御し、所定の数の第1の指向性ビームを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項4】
請求項2に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、ステップii)で受信した前記応答から前記第1の指向性送信ビームの少なくとも1つを示す第1の送信ビーム情報を取得するように構成され、前記第1の指向性送信ビームは、前記第2の通信デバイス(2)によって受信されたデータを前記通信デバイス(1)によって送信したときに用いられたものである
通信デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、続くステップi)の繰り返しにおいて、同じまたはそれぞれ異なる1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項7】
請求項5に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記アンテナ回路を制御し、前記第1の指向性送信ビーム及び前記第2の指向性受信ビームと同じビームを用いるように構成された
通信デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路(11)は、前記通信デバイス(1)の第1の識別子が前記応答に含まれる場合、ステップii)において応答が受信されたことを決定し、及び/又はステップii)で応答が受信されなかった場合、ステップi)とii)を繰り返すように構成された
通信デバイス。
【請求項9】
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてRF信号を送受信するようにアンテナ回路を制御し、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、前記他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)前記他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、前記他の通信デバイス(2)は前記第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
ステップi)及びステップii)を行うことにより、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信し、
ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて、前記通信方法は、
a)前記他の通信デバイス(2)が前記他の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信している間、第3の指向性受信ビームを使用してリッスンし、その後、異なる第3の指向性送信ビームを使用し、
b)前記第2の識別子が受信されると、前記第2の送信ビーム情報によって示される前記第2の指向性送信ビームとして前記第2の識別子の送信に使用する前記第3の指向性送信ビームを設定し、
ステップa)において、複数の異なる第3の指向性受信ビームを連続して使用してリッスンを行い、それぞれにおいて前記他の通信デバイス(2)は前記複数の異なる第3の指向性送信ビームを連続して使用し、
ステップb)において、前記第2の指向性受信ビームとして、前記第2の識別子の受信に用いる前記第3の指向性受信ビームを設定する
通信方法。
【請求項10】
非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
プロセッサによって実行されるとき、請求項9に記載の方法を行わせるコンピュータプログラムが記憶された
記録媒体。