(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110038
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】フレキシブルケーブルの耐久性設計
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220721BHJP
G06F 1/18 20060101ALI20220721BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20220721BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
G06F1/16 312L
G06F1/16 312E
G06F1/16 312J
G06F1/18 C
H05K7/00 A
H05K7/00 K
G09F9/00 348Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076732
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2020082559の分割
【原出願日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】16/444,764
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビル, カラン
(72)【発明者】
【氏名】ガレリ, アダム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ポスナー, ブライアン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】エンディッシュ, デニス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ランカスター-ラロック, シモン アール.
【テーマコード(参考)】
4E352
5G435
【Fターム(参考)】
4E352AA07
4E352AA16
4E352BB08
4E352BB10
4E352CC52
4E352DD12
4E352DR34
4E352GG02
5G435AA07
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE47
5G435GG42
5G435HH18
5G435LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子デバイスのジョイント内に通過していく小さな異物粒子又は流体などのデブリの進入を軽減するポータブルコンピューティングデバイス及びラップトップコンピュータを提供する。
【解決手段】ヒンジ式電子デバイス200において、シール226は、ケーブルの屈曲を制限するために使用されるフレックスケーブル210と、マンドレルの湾曲面(マンドレル面、ケーブル支持面、ケーブル接触面、ケーブル対向面、外側ヒンジ面、ケーブル屈曲制限面又は湾曲マンドレル面242)との間を粒子が通過するのを防ぎ、マンドレル及びケーブルの寿命及び耐久性を改善することができ、それによって電子デバイスの動作の信頼性を改善する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルコンピューティングデバイスであって、
第1の電子構成要素を収容する上部筐体部分であって、湾曲面を有する、上部筐体部分と、
ヒンジによって前記上部筐体部分に枢動可能に接続された下部筐体部分であって、第2の電子構成要素を収容し、前記上部及び下部筐体部分が、開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して枢動可能である、下部筐体部分と、
前記第1及び第2の電子構成要素を接続するケーブルであって、前記上部及び下部筐体部分が前記開放位置にあるときに、前記湾曲面に沿って屈曲可能である、ケーブルと、
前記ケーブルと前記湾曲面との間に位置する粒子によって前記ケーブルに加えられる圧力を低減するために、前記ヒンジと前記ケーブルとの間に配置された粒子除去機構と、を備える、ポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記粒子除去機構が、前記湾曲面内に凹状のチャネルのセットを含む、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記上部及び下部筐体部分が前記閉鎖位置にあるときに、前記粒子除去機構が前記湾曲面と前記ケーブルとの間に間隙を含む、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記粒子除去機構が、前記湾曲面に接触するバリアを含む、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記バリアが、前記湾曲面と共に回転可能である、請求項4に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記上部及び下部筐体部分が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で枢動する際に、前記バリアが前記湾曲面に対して摺動可能である、請求項4に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記粒子除去機構が、前記ケーブルの幅寸法に沿って屈曲する際に相対的に剛性であり、かつ、前記ケーブルの長さ寸法に沿って屈曲する際に相対的にフレキシブルである材料を含む、請求項4に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項8】
ラップトップコンピュータであって、
ディスプレイ部分及び基体部分を有する筐体であって、前記ディスプレイ及び基体部分のうちの少なくとも1つがマンドレル面を有する、筐体と、
前記筐体の前記ディスプレイ部分内の電子ディスプレイと、
前記筐体の前記基体部分内のコンピューティング構成要素のセットと、
前記コンピューティング構成要素のセットを接続し、前記電子ディスプレイと前記コンピューティング構成要素のセットとの間に延在するケーブルであって、前記マンドレル面上で屈曲可能であり、前記ディスプレイ部分及び前記基体部分が閉鎖位置にあるときに、前記マンドレル面が前記ケーブルから少なくとも部分的に離間されている、ケーブルと、を備える、ラップトップコンピュータ。
【請求項9】
前記マンドレル面がチャネルのセットを含み、前記チャネルのセットの前記チャネルのうちの1つの内部で、前記マンドレル面が前記ケーブルから少なくとも部分的に離間されている、請求項8に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項10】
前記チャネルのセットが、前記ケーブルの長さ寸法に平行に配向されている、請求項9に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項11】
前記マンドレル面が複数の異なる半径を含み、前記複数の異なる半径がマンドレル面枢動軸から測定される、請求項8に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項12】
前記複数の異なる半径のそれぞれが、前記マンドレル面の異なる円周方向長さ部分上に配置されている、請求項11に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項13】
前記複数の異なる半径が第1の半径及び第2の半径を含み、前記第1の半径が前記第2の半径よりも小さく、前記ディスプレイ部分及び前記基体部分が閉鎖位置にあるときに、前記第1の半径が前記マンドレル面の上端部に配置されている、請求項11に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項14】
前記ディスプレイ部分及び前記基体部分が前記開放位置にあるときに、前記マンドレル面が、前記ケーブルに少なくとも部分的に接触する、請求項8に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項15】
前記ディスプレイ部分及び前記基体部分が閉鎖位置にあるときに、前記マンドレル面が、前記ケーブルから少なくとも部分的に離間されている、請求項8に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項16】
コンピューティングデバイスであって、
マンドレルを有する第1の筐体アセンブリであって、前記マンドレルが湾曲面を有する、第1の筐体アセンブリと、
前記第1の筐体アセンブリに移動可能に接続された第2の筐体アセンブリと、
前記第1の筐体アセンブリと前記第2の筐体アセンブリとの間に延在するケーブルであって、前記第1の筐体及び前記第2の筐体が互いに対して移動する際に、前記湾曲面の周りに少なくとも部分的に巻き付き可能である、ケーブルと、を備え、
前記マンドレルが、前記湾曲面と前記ケーブルとの間のデブリを阻止又は捕捉するためのデブリ除去部分を含む、コンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記デブリ除去部分が、前記マンドレルと前記ケーブルとの間のデブリを収集するために前記マンドレル内に凹部を含む、請求項16に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記デブリ除去部分が、前記湾曲面の低減した半径部分を含む、請求項16に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記デブリ除去部分が、圧縮可能なバリアを含む、請求項16に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記デブリ除去部分が、分配軸に沿って前記湾曲面と前記ケーブルとの間に位置するデブリによって引き起こされる力集中を主として分配させるように構成されており、前記分配軸が、前記第2の筐体アセンブリに対する前記第1の筐体アセンブリの回転軸に平行である、請求項16に記載のコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実施形態は、一般に、電子デバイス用のケーブルアセンブリに関する。より詳細には、本実施形態は、電子デバイスのヒンジ式区画を介してルーティングされたケーブルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの家庭用電子デバイスは、複数の筐体区画を有する。多くの場合、電気信号は、1つの筐体区画から別の筐体区画に送信されなければならない。電子デバイスは、1つの筐体区画内に、別の筐体区画から信号を受信する電子装置を有し得る。例えば、ラップトップコンピューティングデバイスは、別の筐体区画内に取り付けられたタイミングコントローラから信号を受信する、ディスプレイ筐体区画内に取り付けられたディスプレイを有し得る。ディスプレイ筐体区画はまた、ヒンジを介して、別の筐体区画に対して回転するか又は移動可能とすることもできる。例えば、多くのラップトップコンピュータは、様々な視野角でディスプレイの視認を容易にし、主筐体アセンブリ上に配置されたユーザ入力制御部へのアクセスを可能にするために、ヒンジアセンブリの周りで回転する、ディスプレイ筐体区画を有する。
【0003】
ヒンジ式の電子デバイスエンクロージャに関連付けられる1つの難題は、1つの筐体区画から別の筐体区画に、確実に信号をルーティングすることである。一部の電子デバイスでは、ヒンジ機構の周りに、又はヒンジのクラッチアセンブリ内の中心穴を通過して、フレキシブルなリボン状のケーブルなどの信号伝達機構をルーティングしている。しかしながら、これらのケーブルは、ユーザへの露出から保護されなければならず、クラッチアセンブリの作動、ヒンジ機構、及び他のコンピュータ構成要素の相対的な移動によって引き起こされる過剰な屈曲から保護されなければならない。電子デバイスが、より小さく、かつより薄くなるにつれ、クラッチアセンブリ、ヒンジ、及びケーブルのために利用可能なスペースの量が制限されることにより、それらのケーブルのための空間的余裕を提供し、それらのケーブルを適切に防護することは、より困難なものとなっている。従って、電子デバイス用のケーブル及びヒンジアセンブリに対する改善の必要性が常に存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、第1の電子構成要素を収容する上部筐体部分を含むことができ、上部筐体部分が湾曲面を有する、ポータブルコンピューティングデバイスに関する。デバイスはまた、ヒンジによって上部筐体部分に枢動可能に接続された下部筐体部分を含むことができ、下部筐体部分は第2の電子構成要素を収容し、上部及び下部筐体部分は、開放位置と閉鎖位置との間で互いに枢動可能である。ケーブルは、第1及び第2の電子構成要素を接続することができ、ケーブルは、上部及び下部筐体部分が開放位置にあるときに湾曲面に沿って屈曲可能である。粒子除去機構は、ケーブルと湾曲面との間に位置する粒子によってケーブルに加えられる圧力を低減するために、ヒンジとケーブルとの間に配置され得る。
【0005】
一部の実施形態では、粒子除去機構は、上部及び下部筐体部分が閉鎖位置にあるときに、湾曲面内に凹状のチャネルのセット、又は湾曲面とケーブルとの間の間隙を含むことができる。粒子除去機構は、湾曲面に接触するバリアを含み得る。バリアは、湾曲面と共に回転可能であることができ、又は上部及び下部筐体部分が開放位置と閉鎖位置との間で枢動する際に、湾曲面に対して摺動可能であることができる。粒子除去機構は、ケーブルの幅寸法に沿って屈曲時に相対的に剛性であり、ケーブルの長さ寸法に沿って屈曲時に相対的にフレキシブルである材料を含むことができる。
【0006】
本開示の別の態様は、ディスプレイ部分及び基体部分を有する筐体であって、ディスプレイ及び基体部分のうちの少なくとも1つがマンドレル面を有する、筐体と、筐体のディスプレイ部分内の電子ディスプレイと、筐体の基体部分内のコンピューティング構成要素のセットと、コンピューティング構成要素のセットを接続し、電子ディスプレイとコンピューティング構成要素のセットとの間に延在するケーブルであって、マンドレル面上で屈曲可能であり、ディスプレイ部分及び基体部分が開放位置にあるときに、マンドレル面が少なくとも部分的にケーブルから離間されている、ケーブルと、を含む、ラップトップコンピュータに関する。
【0007】
一部の実施形態では、マンドレル面は、チャネルのセットを含み得る。マンドレル面は、チャネルのセットのチャネルのうちの1つのチャネル内で、ケーブルから少なくとも部分的に離間され得る。チャネルのセットは、ケーブルの長さ寸法に平行に配向され得る。マンドレル面は、複数の異なる半径を含むことができ、複数の異なる半径は、マンドレル面枢動軸から測定される。一部の構成では、複数の異なる半径のそれぞれは、マンドレル面枢動軸を中心とするマンドレル面の異なる回転点において、ケーブルに対して垂直である。複数の異なる半径は、第1の半径及び第2の半径を含むことができ、第1の半径は第2の半径よりも小さく、ディスプレイ部分及び基体部分が閉鎖位置にあるときに、第1の半径はマンドレル面の上端部に配置されている。マンドレル面は、ディスプレイ部分及び基体部分が開放位置にあるときに、ケーブルに少なくとも部分的に接触し得る。マンドレル面は、ディスプレイ部分及び基体部分が閉鎖位置にあるときに、ケーブルから少なくとも部分的に離間され得る。
【0008】
本開示の更に別の態様は、マンドレルを有する第1の筐体アセンブリであって、マンドレルが湾曲面を有する、第1の筐体アセンブリと、第1の筐体に移動可能に接続されている第2の筐体アセンブリと、第1の筐体アセンブリと第2の筐体アセンブリとの間に延在するケーブルと、を含むコンピューティングデバイスに関し、第1及び第2の筐体が互いに対して移動する際に、ケーブルが湾曲面の周りに少なくとも部分的に巻き付き可能である。マンドレルは、湾曲面とケーブルとの間のデブリを阻止又は捕捉するためのデブリ除去部分を含むことができる。
【0009】
デブリ除去部分は、マンドレル内に凹部を含み、マンドレルとケーブルとの間のデブリを収集することができる。デブリ除去部分はまた、湾曲面又は圧縮可能なバリアの低減した半径部分を含むことができる。デブリ除去部分は、分配軸に沿って湾曲面とケーブルとの間に位置するデブリによって引き起こされる力集中を主として分配させるように構成することができ、分配軸は、第2の筐体アセンブリに対する第1の筐体アセンブリの回転軸に平行である。これら及び他の実施形態を、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
参照番号が同様の構造的要素を指定する、添付図面と共に以下の詳細な説明によって開示が容易に理解されよう。
【0011】
【
図1】コンピューティングデバイスの等角投影図を示す。
【0012】
【
図2A】
図1の切断線2-2を介して切り取られた、
図1の閉鎖状態のコンピューティングデバイスにおけるヒンジ領域の側面断面図を示す。
【0013】
【
図2B】開放構成のコンピューティングデバイスにおける
図2Aのヒンジ領域の側面断面図を示す。
【0014】
【
図2C】
図2Aの切断線2C-2Cを介して切り取られた、
図2Aのヒンジ領域の正面断面図を示す。
【0015】
【
図2D】
図2Aのコンピューティングデバイスにおけるヒンジ領域のマンドレルの等角投影図を示す。
【0016】
【
図3】閉鎖状態のコンピューティングデバイスにおけるヒンジ領域の一実施形態の側面断面図を示す。
【0017】
【
図4】閉鎖状態のコンピューティングデバイスにおけるヒンジ領域の一実施形態の側面断面図を示す。
【0018】
【
図5A】閉鎖状態のコンピューティングデバイスにおけるヒンジ領域の一実施形態の側面断面図を示す。
【0019】
【
図5B】
図5Aのコンピューティングデバイスにおける保護層の等角投影図を示す。
【0020】
【
図5C】
図5Bの切断線5C-5Cを介して切り取られた、
図5Aのコンピューティングデバイスにおける保護層の側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、添付図面に図示される代表的な実施形態が詳細に説明される。以下の説明は、これらの実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲により画定される記載された実施形態の趣旨及び範囲に含むことができるような、代替形態、修正形態及び均等物を包含することを意図している。
【0022】
ヒンジ式電子デバイスは、デバイスのヒンジを介して又はヒンジを横切って、デバイスの部分を接続する1つ以上のケーブルを有し得る。特定の実施形態では、ケーブルは、ヒンジによって接続されている電子デバイスの諸部分の間で電気信号を伝送するために適切な、フレックスケーブル及び/又はフレキシブルプリント回路基板を含む。ポータブルコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップコンピュータ又はノートブックコンピュータ)の場合には、その電子デバイスの1つの部分は、ディスプレイを有する蓋部分に相当し得るものであり、別の部分は、ケーブル(単数又は複数)を介してディスプレイと通信する電子装置を含む、基体部分に相当し得る。ケーブル(単数又は複数)は、蓋部分内の構成要素と、基体部分内の構成要素との間で電気信号を伝送するように、ヒンジ領域を通過させてルーティングすることができる。
【0023】
一部の実施形態では、ケーブルは、マンドレル又はマンドレル部分と呼ばれる、蓋部分の一区画の上に引き回される。マンドレルは、コンピュータの蓋部分及び基体部分が互いに対して枢動する際に、ケーブルの経路を案内し、ケーブルが所定の角度を超えて屈曲するのを防ぐように構成することができる。特定の実施形態では、マンドレルは、ケーブルの円滑な移動を提供し、ケーブルの屈曲を制限するための、湾曲面を有する。この面は、マンドレル面又はケーブル接触面と呼ばれ得る。一部の実施形態では、マンドレル面は、ケーブルが引き回される(枢動軸から測定された)一定の半径を有する。一部の実施形態では、半径は、ケーブルがマンドレルの上で引き回されるにつれて変化し、又はマンドレル上の異なる接触点において異なる。
【0024】
更なる実施形態では、電子デバイスのユーザに対してケーブルが直接露出されることを防ぐために、ケーブルの上にカバーが引き回される。一部の実施形態では、このカバーは、電子デバイスが開放位置と閉鎖位置との間で移動するときに、特定の剛性、並びにカバー及びケーブルの所定の移動を可能にする、弾性などの特定の物理的特性を有する、材料(単数又は複数)のシートであり得る。このカバーはまた、電子デバイスの耐用年数の間、損耗及び断裂に耐えるように、十分な耐久性を有し得る。このカバーは、これらの望ましい物理的特性、及び他の望ましい物理的特性を実現するために、複数の材料層を有し得る。このカバーの剛性により、蓋部分は、電子デバイスの基体部分によって画定された空洞部内に、そのカバーを駆動することが可能となり得る。一部の実施形態では、このカバーは、電子デバイスのユーザに対して可視であり得る。
【0025】
一部の実施形態では、ケーブルは、電子デバイスの基体部分内部の、電子構成要素に結合される。このケーブルは、ディスプレイアセンブリを駆動するために好適なタイミング制御を有する、集積回路又はプリント回路基板などの電子装置に取り付けることができる。このケーブルは、基体部分内部に配置された支持部材の周りに、巻き付け構成で周方向にルーティングすることができる。ガイド部材上に配置されたクリップが、そのケーブルを固定することにより、電子構成要素に取り付けられているケーブルの1つ以上の区画を隔離することができ、蓋部分が基体部分に対して回転される際に、ケーブルの諸部分の移動を防ぐことができる。ケーブルの他方の端部は、蓋部分内部の、ディスプレイアセンブリなどの電子構成要素に結合することができる。一部の実施形態では、蓋部分内の電子構成要素は、タッチスクリーンパネル(例えば、容量性若しくは抵抗性タッチスクリーンディスプレイ)、カメラ、光源、アンテナ、又は別のタイプの電子構成要素であってもよく、ケーブルは、基体部分の構成要素と蓋部分の構成要素との間に電気通信を提供するように構成することができる。従って、蓋部分内の電子構成要素は、必ずしもディスプレイである必要はなく、ケーブルは、ディスプレイ駆動信号と異なるか、又はそれに加えて信号を搬送してもよい。
【0026】
マンドレルは、ヒンジ機構の一部であることができ、円筒形シャフト、管状シャフト、枢動及び/又はスイベル機構、又は摺動機構を含むことができる。一部のデバイスでは、ケーブル、及びマンドレルの湾曲面は、ケーブルが湾曲面に巻き付くか、又はそうでなければ移動して湾曲面と接触するときなど、電子デバイスが使用される際に密接に近接する。マンドレルの諸部分は、電子デバイスの枢動軸に沿って異なる点に配置される部分など、湾曲面の横方向に配置することができ、それらは、フレックスケーブル又はカバーと接触しないか、又は被覆されていなくてもよい。
【0027】
デバイスはまた、筐体の蓋部分と基体部分との間に通気開口部又は間隙を有することができる。塵埃及び他の異物のデブリ又は粒子状物質が間隙を通過するとき、ケーブルのマンドレルに面する表面とマンドレルの湾曲面との間の隙間に閉じ込められるか、又は留まる可能性がある。緩和されない場合、これらの粒子は、早期の故障やほころびを引き起こし得る方法で、ケーブルを浸入したり、こすったり、引っ掻いたりするなどによって、ケーブル及びマンドレルの性能に望ましくなく、かつ悪影響を及ぼすように、ケーブル及びマンドレルに圧力を加える可能性がある。ヒンジ式電子デバイスの第1の部分と第2の部分の間で頻繁に繰り返される回転により、粒子がこれらの構成要素に対して突出したときに、ケーブルへの損傷を更に悪化させる可能性がある。そのような異物粒子の例としては、砂、砂糖、塩、デブリ、及び、電子デバイスの通常の使用中に遭遇する他の同様の粒子を挙げることができる。一部の場合には、粒子は、硬く鋭利な表面を有し、一般には、変形可能性が高いものではない。一部の場合には、粒子は、約10マイクロメートル~約1ミリメートルのサイズの範囲とすることができる。
【0028】
従って、本開示の態様は、異物粒子の存在によって引き起こされるケーブル上の圧力を除去し、電子デバイスの敏感な領域から異物粒子を取り除き、異物粒子がこれらの敏感な領域に入り込むのを防ぐための機構に関する。一部の実施形態では、マンドレルは、その中に形成されたチャネル又は溝のセットを含む湾曲面を有することができ、ケーブルと湾曲面との間に位置する粒子が、チャネル内に留まるか、又はチャネルを通過することを可能にするように構成されている。このように、粒子は、ケーブルにほとんど又は全く圧力が加えない位置に捕捉され得るか、又はそれらが電子デバイスから出ていくことができる位置に通過させることができる。
【0029】
一部の実施形態では、マンドレルの湾曲面は、電子デバイスが少なくとも1つの開放又は閉鎖構成にあるときにケーブルと湾曲面との間に間隙が形成され得るように、可変表面曲率及び回転軸からの複数の半径を有することができる。間隙の形成により、デバイスが所定の構成にあるときに、ケーブルと湾曲面との間に閉じ込められた粒子を解放するか、又はケーブルから離してデバイスの外に落下させることを可能にすることができる。曲率はまた、電子デバイスが開放構成又は閉鎖構成のうちの少なくとも1つにあるときに、ケーブルに接触し、ケーブルの屈曲を制限するように構成された支持部分を含むことができる。可変表面曲率は、粒子によって最も高い圧力が印加され得る位置に、又は粒子の進入点に対して深い位置に(すなわち、隙間のサイズ又はそのスポット内の粒子によってケーブルに加えられる圧力の量に起因して、粒子の除去が最も難しく、自動的に起こる可能性が低い位置に)、間隙が配置されるように構成することができる。従って、マンドレルの第1の位置への移動は、ケーブルと湾曲面との間に開放空間を提供し、マンドレルの第2の位置への移動は、ケーブルと湾曲面との間の接触(又は接触面積の増加)を提供する。
【0030】
一部の実施形態では、ケーブルと湾曲面との間の粒子の進入を物理的に防ぐフレキシブルなバリアが、電子デバイス内に提供される。バリアは、湾曲面又はケーブルに取り付けることができ、湾曲面の移動中にケーブルとマンドレルとの間で圧縮される場合に、ケーブルに加えられる圧力の量を制限する方法で圧縮可能であり得る。バリアはまた、湾曲面と、方向性の剛性を有するケーブルとの間に配置されたフレキシブルテープ又は同様の材料層を含むことができる。フレキシブルテープは、異物粒子によって引き起こされる力集中を軸方向に分配し、従ってケーブルに加えられる局所的な力を低減する複合構造を有し得る。
【0031】
本明細書で説明されるケーブルアセンブリ及びケーブル構造体は、家庭用製品内に組み込むことができる。例えば、本明細書で説明されるケーブルアセンブリ及びケーブル構造体は、Cupertino,Californiaに拠点を置くApple Inc.製のものなどの、コンピュータ、ポータブル電子デバイス、ウェアラブル電子デバイスなどの電子デバイス、及び電子デバイスアクセサリ内で使用することができる。
【0032】
以下の説明では、用語「第1の部分」、「ディスプレイ部分」、及び「上部筐体部分」は、コンピューティングデバイスの蓋部分を指すことができる。一般に、コンピューティングデバイスの蓋部分は、デバイスが操作されている間にユーザがディスプレイを見るために、ほぼ直立した位置にあるように構成される。以下の説明では、用語「第2の部分」、「基体部分」、及び「下部筐体部分」は、蓋部分に接続され、一般に、コンピューティングデバイスとのユーザ対話のためのデバイスへの接続を含む、コンピューティングデバイスの基体を指すことができる。更に、以下の説明では、用語「下部筐体部分」は、「主筐体」と置き換え可能とすることができる。
【0033】
上記その他の実施形態は、各図を参照して以下に述べられる。しかしながら、当業者であれば、これらの図に関して本明細書に与えられた発明を実施するための形態は、説明の目的のためのものに過ぎず、限定するものとして解釈されるべきではないことを容易に理解するであろう。
【0034】
図1は、一部の実施形態による、電子デバイス100の前向きの斜視図を示す。電子デバイス100は、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、又は他の同様のポータブルコンピューティングデバイスであり得る。電子デバイス100は、ヒンジ領域106内のヒンジアセンブリによって、蓋部分104に枢動可能に接続することができる、基体部分102を有する筐体を含み得る。蓋部分104及び基体部分102は、電子デバイス100の筐体の異なる区画又は部分と呼ぶことができる。蓋部分104は、ヒンジ領域106内部のヒンジアセンブリの支援の下で、基体部分102に対して、閉鎖位置から枢動して開放位置に留まり、再び枢動して戻ることができる。閉鎖位置では、蓋部分104は、基体部分102の上部ケース114の実質的に頂部上に、かつ、基体部分102の上部ケース114と平行に配置することができる。
【0035】
蓋部分104は、ディスプレイ108、及び後部筐体又は後部カバー110を含み得る。基体部分102は、上部ケース114に締結された底部ケース112を含み得る。上部ケース114は、キーボード116、及びユーザからのフィンガジェスチャ入力を受信するように構成することが可能なタッチパッド118などの、様々なユーザ入力デバイスに適応するように構成することができる。基体部分102及び蓋部分104はそれぞれ、電子デバイス100の内部構成要素を収容する、内部チャンバ若しくは空洞部を画定し得る。それゆえ、蓋部分104及び基体部分102は、内部構成要素用の筐体として機能し得る。フレックスケーブルなどのケーブル(
図2A~
図2Bを参照)は、基体部分102及び蓋部分104内の内部構成要素を電気的に結合することができる。それらのケーブルは、基体部分102及び蓋部分104内部の内部構成要素間の通信を提供することができ、かつ/あるいは、基体部分102及び/又は蓋部分104内部の内部構成要素に、電力を提供することもできる。
【0036】
本明細書では、電子デバイス100などのヒンジ式電子デバイスと併せて使用できるケーブルアセンブリについて説明する。これらのケーブルアセンブリは、ヒンジ式電子デバイスの移動の間、ケーブルを保護及び案内する、カバーを含み得る。一部の実施形態では、それらのカバーは、電子デバイスのユーザに対して可視である。例えば、カバーは、電子デバイス100のヒンジ領域106において視認可能であり得る。
【0037】
図2A及び2Bは、ヒンジ式電子デバイス200の断面図を示す。断面図は、
図1の切断線2A-2Aに沿って切り取られていれる。
図2Aは、閉鎖状態の電子デバイス200の断面図を示し、
図2Bは、開放状態の電子デバイス200の断面図を示す。電子デバイス200は、第2の部分204(すなわち、第2の筐体部分)に結合された第1の部分202(すなわち、第1の筐体部分)を含む。第1の部分202は、蓋部分(又はディスプレイ部分若しくは上部筐体部分)に相当し得るものであり、第2の部分204は、電子デバイス200の基体部分(又は、下部筐体部分)に相当し得る。
【0038】
第1の部分202及び第2の部分204は、枢動線に対する共通の回転軸、又は枢動軸206を共有し得る。第1の部分202及び第2の部分204は、好適なヒンジ機構を介して、互いに枢動可能に結合することができる。例えば、ヒンジ機構は、ユーザによって、及び電子デバイス200の部分202、204の重量によって加えられる開閉力に対して所定の抵抗を提供する1つ以上のクラッチ機構を含むことができる。厳密なヒンジ機構は、設計要件に応じて変化し得る。この枢動軸206の周りの全般的な領域を、電子デバイス200のヒンジ領域201と呼ぶことができる。
【0039】
電子デバイス200は、第1の部分202と第2の部分204との間に電気通信を提供するためのケーブル210を含む。例えば、ケーブル210は、第1の部分202の電子構成要素211と、第2の部分204の電子構成要素212との間に、電気接続を提供することができる。電子構成要素211は、第1の筐体231上に取り付けられているディスプレイアセンブリ230と電気的に通信することができる。ディスプレイアセンブリ230は、液晶ディスプレイ(LCD)及び/又は有機発光ダイオード(OLED)スクリーンなどの、電子デバイス200内で使用するための任意の好適なタイプのディスプレイを含むことができる。第1の筐体231及びその取り付けられた構成要素(例えば、ディスプレイアセンブリ230及びマンドレル218)は、第1の筐体アセンブリと呼ぶことができる。
【0040】
電子構成要素212は、集積回路及び/又はプリント回路基板を含み得るものであり、また、ディスプレイアセンブリ230を駆動するように構成されたタイミング制御機構を含み得る。電子構成要素212は、第2の筐体205によって画定された空洞部208内に収容されている。一部の実施形態では、ケーブル210は、第2の筐体205内のバッテリ(図示せず)からディスプレイアセンブリ230に、電力を提供する。第2の筐体205及びその取り付けられた構成要素(例えば、電子構成要素212又はバッテリ)は、第2の筐体アセンブリと呼ぶことができる。第1及び第2の筐体アセンブリは、ヒンジ領域201で互いに移動可能に接続されている。
【0041】
ケーブル210は、フレックスケーブル、フレキシブルプリント回路基板を含めた、任意の好適なタイプのケーブル、又は部分202と部分204との間で電気信号を伝送するための任意の好適な機構とすることができる。一部の実施形態では、ケーブル210は、リボン状の単層フレックスケーブルであるが、多層フレックスケーブルを使用することもできる。単層フレックスケーブル210を使用して、ケーブル210のスタック高さ(すなわち、垂直厚さ)を低減することができる。電子デバイス200は、任意の好適な数のケーブル210を含み得る。特定の実施形態では、電子デバイス200は、横方向に離間した2つのケーブル210を含む。
【0042】
ケーブル210は、クラッチ機構を通過することなく、かつ、枢動軸206を通過することなく、第1の部分202と第2の部分204との間に直接ルーティングすることができる。それゆえ、第1の部分202が第2の部分204に対して枢動される際にケーブル210の移動を案内するために、いくつかの機構を使用することができる。例えば、ヒンジ領域201は、枢動軸206に沿って延在する第1の部分202の円筒状部分の形態であり得る、マンドレル218を含み得る。
【0043】
電子デバイス200が、
図2Aの閉鎖状態から
図2Bの開放状態に移動されるとき、ケーブル210がマンドレル218の湾曲面242(
図2Cを参照)の上で引き回されて、ケーブル210が座屈したり褶曲したりしないようにする。湾曲面は、マンドレル面、ケーブル支持面、ケーブル接触面、ケーブル対向面、外側ヒンジ面、ケーブル屈曲制限面、又は湾曲マンドレル面と呼ぶことができる。
図2Bに示されるように、電子デバイス200が開放構成に回転されるときに、ケーブル210の一部は、マンドレル218の湾曲面に従って湾曲した形状をとることができる。
【0044】
マンドレル218の湾曲面は、枢動軸206に対して画定された半径R(すなわち、ヒンジ領域201の回転軸)を有することができる。半径Rは、ケーブル210がマンドレル218と接触する湾曲面に対して一定であり得る。あるいは、マンドレル218の表面は、ケーブル210が引き回される場所で、変化可能な半径を有し得る。例えば、
図3及び付随する以下の説明を参照されたい。一部の実施形態では、マンドレル218の表面は、フレックスケーブル210の諸区画に対応するように区分化されている。マンドレル面の軸方向長さの異なる部分(すなわち、枢動軸206に沿って延在する長さ、又は概ねそれに平行な長さ)は、異なる半径を有することができる。一部の実施形態では、マンドレル218は、電子デバイス200の実質的に全幅にわたって延在する軸方向長さを有する。一部の実施形態では、マンドレル218は、連続的な曲率を含む湾曲面を有するが、他の実施形態では、マンドレル218は、ケーブル210の特定の区画においてケーブル210を実質的に平坦な構成に維持する実質的に平坦なセグメントを含む。
【0045】
図2Bを参照すると、電子デバイス200が開放状態にあるとき、カバーを使用して、ヒンジ領域201における部分202、204間のケーブル210の上面を隠し、保護することができる。カバー222に接触するケーブル210の表面は、カバー対向面、上面、ユーザ露出面、又はユーザ視認可能面と呼ぶことができる。その表面は、ケーブル210のマンドレルに面する表面とは反対側のケーブル210上に配置される。カバー222は、フレキシブルとすることができ、従って、ケーブル210と同様に、
図2Bに示されるように、電子デバイス200が開放構成に回転されるときにマンドレル218の湾曲形状を呈し得る。
【0046】
一部の実施形態では、マンドレル218の表面の半径又は湾曲状の性質は、電子デバイス200が開放構成と閉鎖構成との間で回転される間に、フレックスケーブル210に対して利益を付与することができる。マンドレル218の湾曲面設計により、フレックスケーブル210の一方向の屈曲を確実にし、サイクル寿命の最大化、及びフレックスケーブル210に対する屈曲応力の最小化を促進することができる。フレックスケーブル210は、後方に反転することなく常に一方向に屈曲するように構成することができる(すなわち、フレックスケーブル210は、コイル状の構成で巻き上げたり、巻き広げたりでき、マンドレル218の湾曲面がヒンジ領域201の最小屈曲半径を規定するのに役立つ)。一部の実施形態では、一方向の屈曲は、双方向の屈曲又は逆方向の周期性屈曲とは対照的に、フレックスケーブル210のサイクル寿命に関して最適な構成であり得る。更に、マンドレル218の湾曲面設計により、フレックスサービスループの動きを容積効率的な空間に集約することを促進できる。従って、マンドレル218の湾曲面は、フレックスケーブル210を歪ませることを回避しつつ、及び空洞部208にループされる際にフレックスケーブル210に付与される屈曲応力を最小限に抑えつつ、第2の部分204の空洞部208内に集約されるフレックスケーブル210に対して力を作用させることができる。
【0047】
一部の実施形態では、電子デバイス200が開放状態(
図2Bを参照)と閉鎖状態(
図2Aを参照)との間で回転するときに、フレックスケーブル210を、単一方向にのみ屈曲させることができる。対照的に、複数の方向で屈曲するように設計され、容積効率的な空間(例えば、空洞部208)内に集約されるフレックスケーブルは、そのフレックスケーブル210の巻き上げ区画に対して、より多大な量の応力を課す可能性がある。一方向の屈曲は、フレックスケーブル210に対する応力の量を著しく低減し、より長いサイクル寿命を促進するものである。
【0048】
一部の実施形態では、フレックスケーブル210は、単一の方向に沿って屈曲するか、又は一方向の屈曲を有するものとして説明されている。一部の実施形態では、方向とは、1つの箇所の、別の箇所に対する相対位置を指すものとすることができる。一部の実施形態では、方向とは、フレックスケーブル210の一箇所(又は、一区画)が、3次元空間内で、x座標、y座標、及びz座標に従って位置を変化させる場合の、並進運動を指すものとすることができる。この慣例を使用して、正のz方向は
図2Aでは上方向を指し、正のY方向は
図2Aのページ内を指し、正のX方向は
図2Aでは右方向を指す。
【0049】
一部の実施形態では、曲率とは、フレックスケーブルの一箇所(又は、一区画)が、平坦又は直線状の線から逸脱する量を指すものとすることができる。例えば、電子デバイスが開放状態から閉鎖状態に遷移する間、フレックスケーブル210の巻き上げ区画に沿って形成される曲率の量は、(
図2Aに示されるように)その曲率がマンドレル218の近くの平坦又は直線状の線から更に逸脱するように、増大し得る。同様に、電子デバイスが閉鎖状態から開放状態に遷移する間、電子構成要素212の近くのフレックスケーブル210の巻き上げ区画に沿って形成される曲率の量は、(
図2Bに示されるように)減少し得る。
【0050】
一部の実施形態では、フレックスケーブル210が屈曲する量は、第1の部分202と第2の部分204との間の現在角度に対して反比例し得る。一部の実施例では、マンドレル218の湾曲面は、第1の部分202と第2の部分204との間の角度が90度を超えて枢動している場合とは対照的に、第1の部分202が第2の部分204に対して90度未満の角度で枢動している場合に、より多大な量の(単一方向での)屈曲を、フレックスケーブル210に対して及ぼし得る。換言すれば、第1の部分202と第2の部分204との間の角度が減少して、電子デバイス200が閉鎖構成を有するとして特徴付けられることに徐々に近づくにつれて、フレックスケーブル210の巻き上げ区画での屈曲の量は、増大し得る。一部の実施形態では、第1の部分202及び第2の部分204は、約0度~約200度の角度に従って、互いに対して枢動し得る。
【0051】
一部の実施形態では、フレックスケーブル210の一区画は、第2の部分204によって機械的に捕捉されている。一部の実施形態では、フレックスケーブル210の一区画は、第1の部分202によって機械的に捕捉されている。機械的に捕捉されるという用語は、第1の部分202又は第2の部分204のいずれかの、エンクロージャ、張力付与機構、フック、若しくはキャスタレーションのうちの少なくとも1つによって、フレックスケーブル210のその区画を取り囲むか、又は収容することを指すものとすることができる。
【0052】
一部の実施形態では、電子デバイスが開放状態から閉鎖状態に遷移するときに、第2の部分204によって機械的に捕捉されているフレックスケーブル210の巻き上げ区画は、より一層、コイル状構成へと巻き上がることができる。一部の実施形態では、第1の部分202によって機械的に捕捉されているフレックスケーブル210の一区画に対して及ぼされる屈曲の量は、第2の部分204によって機械的に捕捉されているフレックスケーブル210の一区画に対して及ぼされる屈曲の量とは、無関係とすることができる。
【0053】
一部の実施形態では、第1の部分202によって機械的に捕捉されているフレックスケーブル210の一区画を、マンドレル218の湾曲面の上に引き回すことができる。
図2Aに示されるように、第1の部分202によって機械的に捕捉されているフレックスケーブル210の一区画は、閉鎖構成では、ほぼ直線状の形状を有し得る。電子デバイス200が閉鎖構成から開放構成に回転した後に、マンドレル218の湾曲面は、フレックスケーブル210がマンドレル218の湾曲面の上で引き回される際に、フレックスケーブル210のこの区画上に形成される屈曲の量又は曲率が増大するように、フレックスケーブル210に対して張力を及ぼすことができる。フレックスケーブル210の湾曲又は屈曲が湾曲面の曲率に対応するように、フレックスケーブル210を、単一方向で屈曲するようにさせることができる。マンドレル218の湾曲面は、枢動軸206に対して画定された半径Rを有する。一部の実施形態では、マンドレル218の湾曲面は、フレックスケーブル210の最小屈曲半径を規定し得る。例えば、マンドレル218は、枢動軸206から10ミリメートルの半径を有する湾曲面を有し得る。従って、マンドレル218の湾曲面は、電子デバイス200が開放構成にある間に、フレックスケーブル210が少なくとも10ミリメートル以上の最小屈曲半径を有することを規定し得る。
【0054】
図2Bを参照すると、ケーブル210の巻き上げ区画は、第2の部分204によって機械的に捕捉され得る。電子デバイス200が閉鎖構成から開放構成に遷移するにつれて、第2の部分204内でフレックスケーブル210の巻き上げ区画が屈曲する量が減少し得ることにより、フレックスケーブルが徐々に巻き広げられる。開放構成では、マンドレル218の湾曲面と、構造部材又は支持部材214とが協働して、より大きな量の張力をフレックスケーブル210に対して及ぼし得ることにより、屈曲の量が減少する。例えば、開放構成では、フレックスケーブル210の一方の側を、支持部材214の湾曲面に対して保持することができる。これは、フレックスケーブル210のその部分が支持部材214の湾曲面と接触しない(又は接触が著しく少ない)、閉鎖構成(
図2Aを参照)とは対照的である。一部の実施形態では、支持部材214の湾曲面は、2つの構成要素が互いに接触する際の、フレックスケーブル210に対して及ぼされる摩耗の量を低減することができる。
【0055】
更に、
図2Bは、マンドレル218の湾曲面の設計が、フレックスサービスループの動きを空洞部208内に集約することを助長し得ることを示す。従って、マンドレル218の湾曲面は、フレックスケーブル210を歪ませることを回避しつつ、又は空洞部208内にループされる際にフレックスケーブル210に付与される屈曲応力を最小限に抑えつつ、第2の部分204の空洞部208内に集約されるフレックスケーブル210に対して作用させることができる。
【0056】
一部の実施形態では、マンドレル218の湾曲面によってフレックスケーブル210に対して与えられる利益は、ヒンジ領域でケーブル210の一方の側を覆いかつ保護するカバー222に対しても、同様に与えることができる。
【0057】
カバー222の第1の端部222aは、電子デバイス200の第1の部分202内に配置することができ、カバー222の第2の端部222bは、電子デバイスの第2の部分204内に配置することができる。カバー222は露出し得るものであるため、カバー222は、ユーザに対する直接的な露出に伴い得る損耗及び断裂に耐えるために十分な耐久性がある材料で作製することができる。例えば、カバー222は、ヒンジ領域201内に挿入されるか又は落下する物体に、遭遇する場合がある。カバー222はまた、電子デバイス200が開放状態と閉鎖状態との間で遷移する際に、ケーブル210と共に屈曲するように十分にフレキシブルであることができる。カバー222及びマンドレル218は、それぞれが同じ若しくは異なる色を有する、又はそれぞれが同じ若しくは異なる表面外観を有するなど、特定の審美的外観を有するように設計することができる。
【0058】
カバー222用の材料を選択する際の別の考慮事項は、電子デバイス200の開放及び閉鎖の間に、カバー222がどのように移動するかという点である。例えば、カバー222は、電子デバイス200が閉鎖(
図2A)位置から開放(
図2B)位置に移動する場合に、マンドレル218の上でカバー222が屈曲する際の抵抗力を生じさせる固有の剛性及び弾性を有し得る。この抵抗力により、カバー222は、電子デバイス200が閉鎖(
図2A)位置に戻される際に、その元の形状に戻ることができる。この方式で、カバー222は、ヒンジ領域201で皺又は座屈が生じることがない。すなわち、カバー222が十分に剛性ではない材料で作製されている場合には、ヒンジ領域201で皺又は折れ目が生じる可能性がある。
【0059】
このカバー222の剛性はまた、少なくとも部分的に、ケーブル210の移動を規定し得る。例えば、ユーザに対して露出されるカバー222の側面は、アンカー209によって第1の端部222aの近くに、及び保持リブ207によって第2の端部222bの近くに拘束され得る。アンカー209及び保持リブ207は、電子デバイス200が閉鎖位置と開放位置との間で回転するときに、カバー222が所定の位置からシフトしないように保ち、カバー222をケーブル210上に保つ、保持機構として機能することができる。一部の実施形態では、アンカー209は、金属材料(例えば、ステンレス鋼)などの固い材料で作製される。第1の端部222aは、例えば、接着剤、及び/又は1つ以上のネジなどの締結具(単数又は複数)を使用して、アンカー209に結合することができる。一部の実施形態では、保持リブ207及びシール226は、電子デバイス200の開放及び閉鎖中にカバー222が自由に摺動することを可能にするフルオロポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン又はTEFLON(商標))などの低摩擦材料を含むことができる。換言すれば、第2の端部222bは、繋ぎ止められておらず、ケーブル210及びシール226に対して自由に移動することができる。従って、第2の端部222bは、ケーブル210の上面に沿って、かつ、第2の筐体205内で、自由に摺動することができる。保持リブ207は、空洞部208の内側表面のリップ228(
図2Aを参照)と協働して、空洞部208内に第2の端部222bを保持することができる。リップ228は、第2の筐体205の一体形成部分とすることができ、又はシール226の一部などの、空洞部208の内側表面に結合された別個の部品とすることもできる。
【0060】
ケーブル210は、電子構成要素212に対して移動することができる。例えば、第2の部分204に対する第1の部分202の回転の間、電子構成要素212への接続点213でのケーブル210の移動は、ケーブル210の疲労を防ぐために、最小限に抑えられ得る。ケーブル210の過度の屈曲及び疲労は、ケーブル210が故障する原因となる可能性があり、接続点213は、そのような疲労の影響を受けやすい可能性がある。それゆえ、隔離機構を使用して、接続点213に近接するケーブル210の諸部分を隔離することができる。そのような隔離機構は、ケーブル210を支持することが可能な、支持部材214を含み得る。一部の場合には、支持部材214は、電子構成要素212の一部である板、又は電子構成要素212に近接する板に取り付けられる。ケーブル210を、支持部材214の周りにルーティングすることができ、クリップ216を使用することにより、支持部材214にケーブル210を固定して、クリップ216と接続点213との間のケーブルの長さを、移動から隔離することができる。支持部材214は、ケーブル210が空洞部208の外に引き出される際にケーブル210を案内する、湾曲面を有し得る。
【0061】
クリップ216と保持リブ207との間に延在するケーブル210の隔離されていない区画は、第1の部分202が第2の部分204に対して回転されるときに、空洞部208内で自由に移動することができる。しかしながら、ケーブル210が支持部材214の周りにルーティングされているため、ケーブル210は、凹状の曲率を維持しており、このことは、ケーブル210が凹状曲率と凸状曲率との間で屈曲することを防ぎ、また、ケーブル210が所定の半径を下回って屈曲することを防ぐことにより、ケーブル210の疲労を低減する。この巻き付け構成により、電子デバイス200の回転の間の、相対的に長い、ケーブル210の取り込みの長さが可能になると共に、ケーブル210に作用する応力を低減することができる。すなわち、ケーブル210は、空洞部208内で自由に「浮動する」ことができる。換言すれば、ケーブル210は、支持部材214と保持リブ207又はカバー222との間に配置されたケーブル210の長さ方向に沿って、任意の他の構成要素と接触しないように構成することができる。この巻き付け構成の別の利点は、ケーブル210を収容するために必要とされる、保持リブ207と第2の筐体205の壁234との間の距離もまた、低減できる点である。
【0062】
一部の実施形態では、電子デバイス200は、空洞部208に空気流を出入りさせ、電子構成要素212、及び空洞部208内部に収容された他の構成要素を冷却するために好適な通気間隙224を有する。通気間隙224は、ヒンジ領域201付近の、電子デバイス200の第1の部分202と第2の部分204との間に配置されている。冷却要件に応じて、通気間隙224は、電子デバイス200が閉鎖位置にあるときに、ケーブル210を含む空洞部208内の構成要素へのアクセスを可能にするのに十分に大きいサイズを有することができる。従って、阻止部材220(すなわち、通気開口壁又は筐体バリア)を使用して、空洞部208へのアクセスを制限することができる。阻止部材220は、第2の筐体205の一体部分とすることができ、又は第2の筐体205に結合された別個の部品とすることもできる。一部の実施形態では、阻止部材220は、通気間隙224に近接して、空洞部208内の内側表面に結合されている。阻止部材220は、空洞部208の更なる通気を可能にするために、貫通穴又はアパーチャなどの設備を有し得る。図示されるように、ケーブル210は、ケーブル210が第2の筐体部分204から出ていく際に、阻止部材220とリップ228との間にルーティングすることができる。
【0063】
上述のように、カバー222は、電子デバイス200の開放中に、ケーブル210及びマンドレル218の上でカバー222が屈曲することを可能にするために十分にフレキシブルな材料で作製されるべきである。しかしながら、カバー222はまた、電子デバイス200が再び閉鎖されるときに、カバー222がその元の構成に戻るように、その屈曲に対する抵抗力を提供するために十分に剛性かつ弾性でもあるべきである。例えば、枢動軸206と保持リブ207との間のカバー222の区画は、電子デバイス200が(
図2Aに示されるように)閉鎖状態に戻されるときに、実質的に平坦な形状に戻ることができる。一部の実施形態では、カバー222は、カバー222が電子デバイス200の内部構成要素と電気的に干渉することを防ぐために、非導電性である。一部の実施形態では、カバー222は、複合繊維材料などの、単一の材料シートで作製される。例えば、カバー222は、ポリウレタンなどのポリマー内に埋め込まれるか、若しくはそのようなポリマーが注入される、ガラス繊維材料及び/又は炭素繊維材料の単一シートで作製することができる。一部の実施形態では、カバー222は、異なる材料の層を含む積層シートである。
【0064】
電子デバイス200は、デバイス200が開放位置と閉鎖位置との間で移動される際に、ケーブル210のマンドレルに面する表面と密接に接触するか、又はそれに密接に近接する湾曲面を有するマンドレル218を含むことができる。いくつかの場合では、通気間隙224のサイズにより、粒子又は他の望ましくない異物が第1の部分202と第2の部分204との間を通過し、マンドレル218の湾曲面にくっついたり、ケーブル210にくっついたり、又はマンドレル218とケーブル210との間に留まったりすることを可能にし得る。これらの粒子は多くの場合、特に、デバイス200が開放状態にあり、ケーブル210がマンドレル218に対して密接に保持されているときに、ケーブル210の故障又は他の誤動作を引き起こし得る局所的な高い圧力をケーブル210に加え得るように固くて角ばっている。従って、一部の実施形態では、ヒンジ/枢動軸と、デブリ除去部分を有するマンドレル218などのケーブル210との間で、ヒンジ領域201内に配置された粒子除去機構を使用する。粒子除去機構は、マンドレル218とケーブル210との間の粒子進入によって引き起こされる電子デバイス200の動作に対する損傷又は障害を制限することができる。
【0065】
一実施形態では、マンドレル218は、マンドレル218とケーブル210との間の粒子の捕捉又は排出を助けるように構成された少なくとも1つのチャネル240又は溝を含む。一部の実施形態では、マンドレル218の長さ寸法にわたって粒子の排出を可能にするために、マンドレル218内にチャネルのセット又は一連のチャネルを形成することができる。
図2A~
図2Dは、チャネル240の特徴を示す。
図2Cは、
図2Aの切断線2C-2Cによって示される、ケーブル210、カバー222、及びマンドレル218の正面断面図である。
図2Dは、マンドレル218のケーブルに面する部分の等角投影図である。
【0066】
チャネル240は、マンドレル218の湾曲面242内で凹状とすることができ、チャネル240はそれぞれ、隣接する湾曲面242の半径Rと比較して(回転軸206から測定して)低減された半径Sを含む。
図2A~
図2Cを参照されたい。
図2Cはまた、マンドレル218の横方向又は被覆されていない部分246が、カバー222又はケーブル210の下に配置された被覆部分244よりも大きな半径Tを有し得ることを示す。マンドレル218は、例えば、電子デバイス200内の各ケーブル210又はカバー222に対する1つの被覆部分244などの、複数の被覆部分244を含み得る。
【0067】
チャネル240は、ケーブル210又はカバー222によって被覆又は接触されるマンドレル218の少なくとも1つの被覆部分244に沿って形成することができる。チャネル240(例えば、中間部分248)間の湾曲面242の部分は、マンドレル218上のチャネル240の存在によって生じる間隙の間でケーブル210に均等な支持を提供することを可能にするように、等しい半径(例えば、半径R)及び表面曲率を有することができる。従って、チャネル240の数、それらの個々の幅W、及び被覆部分244内のそれらの配置は、チャネル240とケーブル210との間の所定の粒子のサイズを受容するのに十分である一方で、湾曲面242の中間部分(例えば、248)によって、ケーブル210に対してケーブルの弛み又は増加した圧力を制限するのに十分に小さいようにも構成することができる。一部の実施形態では、3つのチャネル240が実装され、いくつかの場合では、より多くの又はより少ないチャネルを使用することができる。一部の実施形態では、チャネル240の幅Wは、枢動軸206に平行に測定された湾曲面242の中間部分(例えば、248)の幅とほぼ等しくすることができる。
【0068】
チャネル240は、
図2Cに示されるように、ほぼ矩形又は正方形である断面プロファイルを有し得る。このように、チャネル240は、基体面252において直角で交わる2つの対向する側壁250を含み得る。
図2Dに示されるように、チャネル240はまた、垂直端壁254を含み得る。チャネルの各端部は、端壁254を有し得る。一部の構成では、各チャネル240の断面プロファイルは、半円、半楕円、三角形、又は湾曲基体面252を含み得る。更に、チャネル240の深さは、端壁254を形成するのではなく、湾曲面242に対して先細り又は湾曲することができる。これらの特性のいずれかを有する形状プロファイルは、設計者が表面242が遭遇することを予期する粒子又は他の異物の予期タイプに基づいて選択することができる。例えば、チャネル240の形状は、静的引力又は表面張力が粒子を止めることを防ぐのに、又は特定のサイズ若しくは組成の液滴がチャネル240を出ていくことを防ぐのに、十分な大きさに選択することができる。
【0069】
チャネル240は、円周方向に測定された長さ(すなわち、枢動軸206に対して測定された弧の長さ)を有することができる。この長さは、第1の端壁254から同じチャネル240内の反対側の端壁までの基体面252に沿って測定することができる。この長さは、マンドレル218の湾曲面242の円周方向長さの少なくとも一部分の周りに延在することができる。
図2A及び
図2Bに破線で示されるように、チャネル240は、湾曲面242上の約120度の弧にわたって延在する長さを有し得る。一部の実施形態では、約90度の弧、約180度の弧、又は約60度~約270度の角度にわたって延在する弧を使用することができる。弧の長さは、粒子が湾曲面242とケーブル210との間に位置するときに、チャネル240が損傷又は妨害を最も受けやすい湾曲面242及びケーブル210の部分と一致することを確実にするように選択することができる。例えば、弧の長さは、ケーブル210と湾曲面242との間の可能な接触の範囲全体を、又は湾曲面242全体にわたって、覆うように選択することができる。弧の長さはまた、第1の部分202と第2の部分204との間の最大相対回転に比例的に関連させることができる。一部の実施形態では、チャネル240は、
図2Aに示されるように、電子デバイス300が閉鎖位置にあるときに、ケーブル210に隣接するように及びケーブル210から離れて延在するように構成されているが、これは、粒子がより露出され、通気間隙224を通ってチャネル240から出ていくことができる位置であるためである。
【0070】
マンドレル218とケーブル210との間を通過する粒子は、ケーブル210にこすったり、そうでなければ圧力を加え得る、湾曲面242とケーブル210との間に位置するのではなく、チャネル面とケーブル210との間により多くの空間が存在する、チャネル240内に通過することができる。このように、チャネル240は、マンドレル281とケーブル210又はカバー222との間に一連の間隙を形成することができる。加えて、チャネル240の長さは、チャネル内の粒子がマンドレル218の周りで円周方向に移動して通気間隙224から抜け出すことを可能にすることができる。例えば、第1及び第2の部分202、204が互いに対して回転する際に、電子デバイス200が全体として移動及び再配向される際に、又は内部の任意の粒子を取り除くように流体(例えば、圧縮空気)がチャネル240内に通過するときに、この粒子の移動が起こり得る。
【0071】
図3は、電子デバイス300用の粒子除去システムの別の実施形態の側面断面図を示す。
図2A及び
図3において対応するナンバリングを有する要素は、それらの特徴及び機能に対応する。一部の要素は、明確にするために省略されている。電子デバイス300は、カバー322の端部322bに取り付けられた張力付与機構356(すなわち、後退機構又は張力補助デバイス)を含むことができる。一部の実施形態では、カバー322の端部322bは、張力付与機構356の周りに巻き付き、張力付与機構356内に配置されるように構成することができる。張力付与機構356は、カバー322を緊張状態に保つ張力を提供するための付勢部材(例えば、コイルばね)を含み得る。これは、電子デバイス300が開放状態から閉鎖状態に遷移し、カバー322が第2の部分304に通過しているときに有益であり得る。カバー322に加えられる力は、ケーブル310の平坦部分にほぼ平行な方向に、第2の部分304の空洞部308内に、配向され得る。張力付与機構356は、カバー322が第2の部分304内に移動する際に、カバー322のバンチング、折り畳み、又は他の望ましくない屈曲を防ぐのに役立ち得る。カバー322を平滑に保つことはまた、カバー322が移動する際にケーブル310を平滑に保つのに役立ち得る。平滑ケーブル310は、マンドレル318の表面に対してより予測可能かつ潜在的に、より少ない圧力で移動することができる。マンドレル318とケーブル310との間の低減された力は、ケーブル310とマンドレル318との間で粒子が捕捉されるか、又は損傷を引き起こすことになる可能性を低減するのに役立ち得る。
【0072】
一部の実施形態では、張力付与機構356の張力は、カバー322からケーブル310に過度の圧力を付与しないように十分に低くしながら、カバー322が第2の部分304内に円滑に後退することを確実にするのに十分に高いように、最適化することができる。このように、ケーブル310とマンドレル318との間に異物が位置する場合、カバー322内の張力は、マンドレル318が移動する際に、ケーブル310がマンドレル318からわずかに離れて移動することを可能にするように十分に低く、それによって、異物が電子デバイス300内に捕捉されることになる可能性を低減する。従って、電子デバイス300の粒子除去機構は、カバー322に後退張力を加えながら、マンドレル318の表面から離れるケーブル310の変位を可能にするように構成された、較正された張力付与機構355を含むことができる。
【0073】
マンドレル318は、その円周方向の長さ方向に沿って可変曲率を有する湾曲面342を含むことができる。
図3に示されるように、枢動軸306は、湾曲面342の他の部分よりも湾曲面342のいくつかの部分の近くに配置することができる。電子デバイス300が閉鎖位置にあるとき、湾曲面342は、概してケーブル310に向かって面している第1の円周方向長さ部分358と、概して他の方向に(例えば、ケーブル310と平行に、又はそれから離れて)面している第2の周方向長さ部分360とを含み得る。
図3に示されるように、第1の円周方向長さ部分358は、第2の円周方向長さ部分360よりも概して枢動軸306に近くすることができる。湾曲面342は、第2の部分と比較して、第1の部分において低減した半径方向厚さ(すなわち、枢動軸306に対する厚さ)を含み得る。湾曲面342とケーブル310との間の距離は、電子デバイス300が開放されるにつれて低減させることができ、電子デバイス300が閉鎖されるにつれて増加させることができる。
【0074】
従って、電子デバイス300が閉鎖構成にある間に、マンドレル318とケーブル310との間に間隙362を形成することができる。間隙362は、マンドレル318がケーブル310のマンドレルに面する表面と接触しないで回転する際に、マンドレル318の任意の異物が通気間隙324から外へ落ちるか、又はケーブル310から外れて落ちることを可能にすることができる。電子デバイス300が開かれると、マンドレル318は、第2の円周方向長さ部分360がケーブル310のマンドレルに面する表面に接触する位置まで回転することができ、それによって、マンドレル318と接触するケーブル310の屈曲半径を制限する。第2の円周方向長さ部分360は、マンドレル218の半径Rに等しい枢動軸306からの半径を有することができ、第1の円周方向長さ部分358は、半径Rよりも小さい枢動軸306からの1つ以上の半径を有することができる。このように、マンドレル318は、第2の半径(R)よりも小さい(枢動軸306からケーブル310方向に向けられた)第1の半径を含む、複数の異なる半径を有することができ、第1の半径は、デバイス300が閉鎖構成にあるときにケーブル310に面することができる。第1の半径は、マンドレル318の湾曲面342の低減した半径部分であると呼ぶことができる。
【0075】
可変曲率を有する湾曲面342は、枢動軸306の長さ方向に沿って延在し得る。例えば、湾曲面342は、(例えば、部分244と同様に)ケーブル310又はカバー322によって覆われたマンドレル318の一部分に沿って延在し得る。マンドレルの外側表面の他の部分は、(例えば、部分246と同様に)異なる曲率又は表面プロファイルを有することができる。一部の実施形態では、湾曲面342は、(例えば、中間部分248と同様に)一定又は非変化の曲率を有する区画と、
図3に示される一貫性のない曲率を有する少なくとも1つの追加の区画とを含むことができる。例えば、マンドレル318内のチャネル又は溝の基体面は、(例えば、基体面252と同様に)湾曲面342の可変曲率プロファイルを有することができる。
【0076】
図4は、電子デバイス400の別の実施形態の側面断面図を示す。
図2A、
図3、及び
図4において対応するナンバリングを有する要素は、それらの特徴及び機能に対応する。一部の要素は、明確にするために省略されている。この実施形態では、マンドレル418は、バリア464に接触する湾曲面を有する。バリア464は、(
図4に示されるように)電子デバイス400が閉鎖構成にあるときに、バリア464の基体がマンドレル418とケーブル410との間の湾曲面442から半径方向に離間して延在する、湾曲面442上に配置することができる。バリア464のサイズ及び配置により、通気間隙424に入る粒子の移動がマンドレル418とケーブル410との間の隙間に通過することを物理的に阻止することができる。
【0077】
バリア464は、マンドレル418の回転と共に移動することができる。従って、バリア464は、電子デバイス400が開かれる際に、マンドレル418とケーブル410との間にあってもよい。それゆえ、バリア464は、光発泡体などの弾性的に圧縮可能な材料を含むことができる。高い圧縮性を有することにより、バリア464は、ケーブル210とマンドレル418との間で圧縮されるときに、ケーブル410に最小限の圧力を与えるように構成することができる。マンドレル418が移動すると、バリア464は、マンドレル418と接触したままで、ケーブル410をその移動サイクルを通して維持することができ、それによって、バリア464とケーブル410との間、又はバリア464とマンドレル418との間に間隙が形成されないことを確実にする。
【0078】
様々な実施形態において、バリア464は、マンドレル418、ケーブル410、又は阻止部材420に取り付けることができる。例えば、バリア464は、
図4に示す位置でケーブル410に取り付けることができる。一部の実施形態では、バリア465として破線で示されるように、湾曲面442と阻止部材420(すなわち、筐体壁)との間にバリアを配置することができる。このようにして、バリア465は、阻止部材420を過ぎて(例えば、空洞部408内へ)デブリが進入するのを防ぐと共に、少なくとも電子デバイス400が閉鎖位置にある間に、マンドレル418とケーブル410との間のデブリの通過を防ぐ、シールを提供することができる。一部の実施形態では、バリア464/465は、マンドレル418が回転する際に、湾曲面442又はケーブル410上のデブリをブラッシングし、ワイプし、又は掃引するように構成することができ、それによってデブリは電子デバイス200内により深く通過しない。バリア464/465は、湾曲面442に対して摺動することができる。
【0079】
図5Aは、電子デバイス500の別の実施形態の側面断面図である。
図2A、
図3、
図4、及び
図5A~
図5Cにおいて対応するナンバリングを有する要素は、それらの特徴及び機能に対応する。一部の要素は、明確にするために省略されている。この場合、ケーブル510は、マンドレル518に接触し、通気間隙524に面するように構成された保護層566を含み得る。従って、保護層566は、カバー522とは反対側のケーブル510上に配置することができる。保護層566は、一般に、カバー522の上方向に面する向きと比較して、マンドレル518の近くで下向き方向に面している。保護層566は、ケーブル510のマンドレルに面する側の全長の少なくとも一部に沿って延在し得る。本明細書で使用するとき、マンドレル518の湾曲面542は、ケーブル510を覆い、ケーブル510と共に移動する層に接触すると、ケーブル510に「タッチ」し、又は「接触」して、ケーブル510を覆い、ケーブル510と共に移動する保護層566を含む。
【0080】
保護層566は、ケーブル510を補強及び強化し得る。例えば、保護層566は、小さい硬質粒子(例えば、砂又は塩粒)によって加えられる圧力に対して弾性である耐久性材料(例えば、ゴム又はプラスチック)を含むことができる。従って、デブリがマンドレル518と保護層566との間を通過するときに、保護層566は、デブリによって加えされた圧力を吸収及び分配して、デブリによってケーブル510が局所的に屈曲するのを防ぐか、又はデブリによって引き起こされる変形領域を拡大することができ、それによって、全体としてのその領域が、保護層566が省略された場合よりもより低い集中圧力(及び関連する変形)に遭遇するようにする。
【0081】
一部の実施形態では、マンドレル518は、耐久性又は圧縮性材料を含み得る。例えば、マンドレル518の湾曲面542は、半径方向の内側方向に圧縮可能であり得る。このように、マンドレル518とケーブル510との間の粒子は、マンドレル518の圧縮によって収容することができ、それによってケーブル510に低減された圧力又はより少ない変形を加え得る。一部の実施形態では、保護層566及び湾曲面542は両方とも、圧縮可能であって、追加のフレキシビリティ、及び圧力/変形の低減を提供する。
【0082】
保護層566は、ケーブル510とマンドレル518との間に位置するデブリを排出するのに役立つように構成することができる。一部の実施形態では、保護層566は、
図5Bに示される保護層566及びケーブル510のマンドレルに面する表面568の等角投影図に示されるように、枢動軸506に平行に延在する一連の溝及びリッジを有することができる。溝570及びリッジ572は、保護層566の長さ方向の少なくとも一部に沿って交互に配置することができる。マンドレルに面する表面568とマンドレル518との間を通過する粒子は、電子デバイス500が操作される際にマンドレル518とケーブル510との間の隙間により深く通過するのではなく、溝570のうちの1つに捕捉されるか、又は隣接するリッジ572のうちの1つによって阻止され得る。加えて、保護層566の曲率は、特に、粒子が溝570及び隣接するリッジ572によって所定の位置に保持されている場合に、保護層566と接触しているばらばらの粒子を壊すのに役立ち得るように、保護層566が湾曲面542に接したり離れたりするように変化させることができる。保護層566と湾曲面542との間に小さな間隙を確保できることにより、保護層566の移動によってより大きい粒子が湾曲面542から転がり落ちるのを可能にすることができる。
【0083】
保護層566はまた、構造補強材及び方向性剛性を含み得る。
図5Bの切断線5C-5Cから切り取られた
図5Cの側面断面図に示されるように、強化繊維のセット574が、保護層566を通って延在することができる。強化繊維574は、よりフレキシブルで屈曲可能な結合材料576内に配置することができる。強化繊維574は、電子デバイス500の枢動軸506に実質的に平行に延在する長さを有して、一方向に整列され得る。このようにして、保護層566は、強化繊維574の軸に沿って屈曲に対する抵抗を増大させることができ、一方、結合材料576はなおも、保護層566が枢動軸506の周りで屈曲することを可能にする。換言すれば、
図5Bに示されるように、保護層566は、強化繊維574に垂直な軸580を中心とする屈曲と比較して、強化繊維574に平行な軸578を中心にして屈曲する際に、大幅によりフレキシビリティを有することができる。従って、保護層566は、「竹ローラ」のようなフレキシビリテプロファイルを有するものと呼ぶことができる。このフレキシブルなプロファイルで、粒子が、保護層566の底部の小さな領域に集中圧力Pを加えると(
図5Bを参照)、圧力Pは、領域P
Aによって示されるように、軸580に沿った方向よりも軸578に平行な方向に沿ってより大きい長さにわたって保護層566を変形させることができる。従って、圧力Pは、保護層566が実装されていない場合よりもケーブル510のより広い表面積にわたって分配されるが、保護層566はなおも、マンドレル518の周りで屈曲しながらも非常に柔軟である。従って、保護層566の材料は、ケーブル510の幅寸法に沿って(例えば、枢動軸506に沿って)屈曲する際に相対的に剛性であり、ケーブル510の長さ寸法に沿って(例えば、
図5Aを横切って)屈曲する際に相対的にフレキシブルであると呼ぶことができる。保護層566はまた、ケーブル510に取り付けられたバリア、又はケーブル510のバリア層と呼ぶことができる。
【0084】
このように、集中圧力Pによって引き起こされる変形の表面積を増加させることにより、ケーブル510への損傷を制限するのに役立ち、又は圧力Pがケーブル510の移動を妨げる程度を制限するのに役立ち得る。また、強化繊維574は、保護層566が、マンドレル518に巻き付く際に、より自由に屈曲できるように、軸580に平行であるいくつかの繊維ではなく、全てが枢動軸506に平行であることができる。
【0085】
一部の実施形態では、保護層566は、軸578、580の両方に対して平行で、かつ、互いに対して垂直に延在する強化繊維のセットを含むことができる。例えば、繊維は、織物又は格子パターンなどの実質的に垂直な構成であり得る。この場合では、繊維は、集中圧力Pによって引き起こされる変形を、更に大きな領域に広げることができる。この交差繊維構成は、電子デバイス500が開閉される際にマンドレル518と接触しない保護層566の一部など、他のものよりも屈曲が少ない保護層566の一部に対して有益であり得る。
【0086】
現在の技術に適用可能な範囲で、様々なソースから入手可能なデータを収集及び使用することにより、招待コンテンツ又はユーザが関心を持ち得る任意の他のコンテンツのユーザへの配信を改善することができる。本開示は、いくつかの例において、この収集されたデータは、特定の人を一意に特定する個人情報データ、又は特定の人に連絡する若しくはその所在を突き止めるために使用できる個人情報データを含み得ることを想到している。そのような個人情報データには、人口統計データ、位置ベースのデータ、電話番号、電子メールアドレス、ツイッター(登録商標)ID、住所、ユーザの健康又はフィットネスレベル(例えば、バイタルサイン測定、服薬情報、運動情報)に関するデータ若しくは記録、誕生日、又は任意の他の識別情報若しくは個人情報を含むことができる。
【0087】
本開示は、本技術におけるそのような個人情報データの使用がユーザの利益になる使用であり得る点を認識するものである。例えば、よりユーザの興味を引く対象のコンテンツを配信するために、個人情報データが使用されてもよい。従って、そのような個人情報データの使用は、配信されるコンテンツの計算された制御をユーザができるようにする。更には、ユーザに利益をもたらす、個人情報データに関する他の使用もまた、本開示によって想到される。例えば、健康データ及びフィットネスデータは、ユーザの全般的なウェルネスについての洞察を提供するために使用することができ、あるいは、ウェルネスの目標を追求するための技術を使用している個人への、積極的なフィードバックとして使用することもできる。
【0088】
本開示は、そのような個人情報データの収集、分析、開示、伝送、記憶、又は他の使用に関与するエンティティが、確固たるプライバシーポリシー及び/又はプライバシー慣行を遵守するものとなることを想到する。具体的には、そのようなエンティティは、個人情報データを秘密として厳重に保守するための、業界又は政府の要件を満たしているか又は上回るものとして一般に認識されている、プライバシーのポリシー及び慣行を実施し、一貫して使用するべきである。そのようなポリシーは、ユーザによって容易にアクセス可能とするべきであり、データの収集及び/又は使用が変化するにつれて更新されるべきである。ユーザからの個人情報は、そのエンティティの合法的かつ正当な使用のために収集されるべきであり、それらの合法的使用を除いては、共有又は販売されるべきではない。更には、そのような収集/共有は、ユーザに告知して同意を得た後に実施されるべきである。更には、そのようなエンティティは、そのような個人情報データへのアクセスを保護して安全化し、その個人情報データへのアクセスを有する他者が、それらのプライバシーポリシー及び手順を遵守することを保証するための、あらゆる必要な措置を講じることを考慮するべきである。更には、そのようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーのポリシー及び慣行に対する自身の遵守を証明するために、第三者による評価を自らが受けることができる。更には、ポリシー及び慣行は、収集及び/又はアクセスされる具体的な個人情報データのタイプに適合されるべきであり、また、管轄権固有の考慮事項を含めた、適用可能な法令及び規格に適合されるべきである。例えば、アメリカ合衆国では、特定の健康データの収集又はアクセスは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act、HIPAA)などの、連邦法及び/又は州法によって管理することができ、その一方で、他国における健康データは、他の規制及びポリシーの対象となり得るものであり、それに従って対処されるべきである。それゆえ、各国の異なる個人データのタイプに関して、異なるプライバシー慣行が保たれるべきである。
【0089】
前述のことがらにもかかわらず、本開示はまた、個人情報データの使用又は個人情報データへのアクセスを、ユーザが選択的に阻止する実施形態も想到する。すなわち、本開示は、そのような個人情報データへのアクセスを防止又は阻止するように、ハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素を提供することができると想到する。例えば、広告配信サービスの場合において、本技術は、ユーザが、サービスの登録中又はその後のいつでも、個人情報データの収集への参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を選択できるように構成され得る。別の実施例では、ユーザは、ターゲットコンテンツ配信サービスにムード関連データを提供しないように選択することができる。更に別の実施例では、ユーザは、ムード関連データが維持される期間を制限するか、又は基準ムードプロファイルの展開を完全に禁止することを選択することができる。「オプトイン」及び「オプトアウト」の選択肢を提供することに加えて、本開示は、個人情報のアクセス又は使用に関する通知を提供することを想到する。例えば、ユーザの個人情報データにアクセスすることとなるアプリのダウンロード時にユーザに通知され、その後、個人情報データがアプリによってアクセスされる直前に再びユーザに注意してもよい。
【0090】
更には、本開示の意図は、個人情報データを、非意図的若しくは無許可アクセス又は使用の危険性を最小限に抑える方法で、管理及び処理するべきであるという点である。データの収集を制限し、データがもはや必要とされなくなった時点で削除することによって、危険性を最小限に抑えることができる。更には、適用可能な場合、特定の健康関連アプリケーションにおいて、ユーザのプライバシーを保護するために、データの非特定化を使用することができる。非特定化は、適切な場合には、特定の識別子(例えば、生年月日など)を除去すること、記憶されたデータの量又は特異性を制御すること(例えば、位置データを住所レベルよりも都市レベルで収集すること)、データがどのように記憶されるかを制御すること(例えば、データをユーザ全体にわたって集約すること)、及び/又は他の方法によって、容易にしてもよい。
【0091】
それゆえ、本開示は、1つ以上の様々な開示された実施形態を実施するための、個人情報データの使用を広範に網羅するものではあるが、本開示はまた、そのような個人情報データにアクセスすることを必要とせずに、それらの様々な実施形態を実施することもまた可能であることを想到している。すなわち、本技術の様々な実施形態は、そのような個人情報データの全て又は一部分が欠如することにより、実施不可能となるものではない。例えば、コンテンツは、ユーザに関連付けられたデバイスによりリクエストされたコンテンツ、コンテンツ配信サービスで使用可能な他の非個人情報、若しくは公的に使用可能な情報などの、非個人情報データ又は個人情報の最小限の量のみに基づいて嗜好を推測することにより、選択してユーザに配信することができる。
【0092】
前述の記載では、説明のために、記載された実施形態の完全な理解をもたらすために特定の専門用語を用いた。しかし、記述される実施形態を実施するために、具体的な詳細は必要とされないことは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書に述べられる特定の実施形態の前述の説明は、実例及び説明の目的で提示されている。これらの説明は、網羅的であることも、又は開示する厳密な形態に実施形態を限定することも、目的としていない。上記の教示を考慮すれば、多くの変更及び変形が可能であることが、当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルコンピューティングデバイスであって、
第1の電子構成要素を収容する上部筐体部分であって、湾曲面を有するマンドレルを有する、上部筐体部分と、
前記上部筐体部分に枢動可能に接続された下部筐体部分であって、第2の電子構成要素を収容し、前記上部及び下部筐体部分が、開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して枢動可能である、下部筐体部分と、
前記第1及び第2の電子構成要素を接続するケーブルであって、前記上部及び下部筐体部分が前記開放位置にあるときに、前記湾曲面に沿って屈曲可能である、ケーブルと、
前記マンドレルと前記ケーブルとの間に配置された粒子バリアと、
を備える、ポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記粒子バリアは、前記湾曲面から延び、前記湾曲面と共に回転する、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記粒子バリアは、前記閉鎖位置及び前記開放位置の両方で前記湾曲面及び前記ケーブルと接触する、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記粒子バリアは、圧縮可能な材料から構成されている、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記粒子バリアは、前記ケーブルに取り付けられ、前記湾曲面上で摺動するように構成される、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記上部及び下部筐体部分が前記開放位置と前記閉鎖位置との間で枢動する際に、前記粒子バリアが前記湾曲面に対して摺動可能である、請求項1に記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項7】
ラップトップコンピュータであって、
ディスプレイ部分及び基体部分を有する筐体であって、前記ディスプレイ及び基体部分のうちの少なくとも1つがマンドレル面を有し、前記マンドレル面はマンドレル面枢動軸から測定された可変半径を有する、筐体と、
前記筐体の前記ディスプレイ部分内の電子ディスプレイと、
前記筐体の前記基体部分内のコンピューティング構成要素のセットと、
前記コンピューティング構成要素のセットを接続し、前記電子ディスプレイと前記コンピューティング構成要素のセットとの間に延在するケーブルであって、前記マンドレル面上で屈曲可能である、ケーブルと、
を備えるラップトップコンピュータ。
【請求項8】
前記可変半径は、前記マンドレル面内のチャネルの基体面にある、請求項7に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項9】
前記ディスプレイ部分及び前記基体部分が閉鎖位置にあるときに、前記マンドレル面が、前記ケーブルから離間されている、請求項7に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項10】
前記ケーブルに張力を加えるように構成された張力付与機構をさらに備える、請求項7に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項11】
前記可変半径は、第1の半径及び第2の半径を含み、前記第1の半径が前記第2の半径よりも小さく、前記ディスプレイ部分及び前記基体部分が閉鎖位置にあるときに、前記第1の半径が前記マンドレル面の上端部に位置する、請求項7に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項12】
前記第1の半径及び第2の半径は、前記マンドレル面の異なる円周方向長さ部分上に位置する、請求項11に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項13】
前記マンドレル面は、前記ディスプレイ部分及び前記基体部分が開放位置にあるときに、前記ケーブルに接触するように構成される、請求項7に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項14】
前記マンドレル面と前記ケーブルとの間の距離は、ラップトップコンピュータが開放されるにつれて低減するように構成される、請求項7に記載のラップトップコンピュータ。
【請求項15】
コンピューティングデバイスであって、
マンドレルを有する第1の筐体アセンブリと、
前記第1の筐体アセンブリに移動可能に接続された第2の筐体アセンブリと、
前記第1及び第2の筐体アセンブリの間に延在するケーブルであって、前記第1の筐体及び前記第2の筐体が互いに対して移動する際に、前記マンドレルの周りに少なくとも部分的に巻き付き可能である、ケーブルと、
前記マンドレルと前記ケーブルとの間に配置された保護層と、
を備える、コンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記保護層は、屈曲する際に前記ケーブルの幅寸法に沿って相対的に剛性を有し、かつ、屈曲する際に前記ケーブルの長さ寸法に沿って相対的にフレキシブルである材料を含む、請求項15に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記保護層は、前記ケーブルの長さ寸法に垂直に走る複数のリッジを含む、請求項15に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記保護層は、前記保護層に配置された複数の強化繊維をさらに含む、請求項15に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記マンドレル又は前記保護層のうちの少なくとも1つは、圧縮可能な材料を含む、請求項15に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記保護層は、分配軸に沿って前記マンドレルと前記ケーブルとの間に位置するデブリによって引き起こされる力集中を主として分配させるように構成され、前記分配軸が、前記第2の筐体アセンブリに対する前記第1の筐体アセンブリの回転軸に平行である、請求項15に記載のコンピューティングデバイス。
【外国語明細書】