(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110073
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】模擬組織構造体および方法
(51)【国際特許分類】
G09B 23/30 20060101AFI20220721BHJP
【FI】
G09B23/30
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079349
(22)【出願日】2022-05-13
(62)【分割の表示】P 2020201528の分割
【原出願日】2016-02-19
(31)【優先権主張番号】62/118,179
(32)【優先日】2015-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/119,542
(32)【優先日】2015-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ホフステッター グレゴリー ケイ
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
2C032CA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本物のようであって腹腔鏡下技能の訓練のために標的とされる新規な人工臓器および組織を提供する。
【解決手段】模擬組織構造体10は、腹腔鏡下術式を練習するための腹部シミュレータ内に配置するのに特に有用である。1つの模擬組織構造体10は、互いに取り付けられる2種類の材料の組み合わせを含み、これら材料のうちの一方は、他方の材料を収容するよう構成された中空の解剖学的構造体を形成する。2種類の材料は、外側の材料の内面が内側の材料の外面に厳密に合致するよう解剖学的に有利な仕方で取り付けられる。別の模擬組織構造体は、複数の層を含み、少なくとも1つの層は、1つまたは2つ以上の機能的特徴を模擬組織構造体に与えるための少なくとも1つのステンシルを印刷することによって被着される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模擬組織構造体を製造する方法であって、
近位端、遠位端および長手方軸線を備えたマンドレルを用意するステップを含み、前記マンドレルの前記遠位端は、長さを備えたインターロック部分を含み、
模擬組織構造体の内側部分を用意するステップを含み、前記内側部分は、前記インターロック部分を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られたルーメンを有し、前記インターロック部分の長さ全体が前記ルーメン内に配置されるようになっており、
前記内側部分が前記マンドレルに嵌着するステップを含み、
前記マンドレルの前記インターロック部分を前記内側部分の前記ルーメン内に配置するステップを含み、
前記マンドレルを前記長手方向軸線回りに回転させるステップを含み、
未硬化シリコーンを前記内側部分に塗布するステップを含み、
前記シリコーンを硬化させて前記内側部分を包囲する外側部分を形成するステップを含み、
前記内側部分および前記外側部分を一ユニットとして前記マンドレルから取り外すステップを含む、方法。
【請求項2】
前記マンドレルを有するステップは、前記インターロック部分の遠位側または近位側に位置する解剖学的に造形された部分を有するマンドレルを用意するステップを含み、前記未硬化シリコーンを塗布するステップは、未硬化シリコーンを前記解剖学的に造形された部分および前記内側部分に塗布して前記外側部分を形成するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記解剖学的に造形された部分は、ヒトのファロピウス管の少なくとも一部を真似るよう形作られている、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記内側部分と前記外側部分との間に設けられた人工腫瘍を用意するステップを更に含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記内側部分は、前記人工腫瘍を着座させるよう寸法決めされるとともに形作られたディンプルを含む、請求項1乃至4の何れか1項一に記載の方法。
【請求項6】
前記内側部分および前記外側部分を取り外すステップは、前記外側部分を前記内側部分に向かって転がすステップを含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコーンを硬化させるステップは、前記外側部分を前記内側部分に付着させるステップを含む、請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記内側部分は、前記外側部分の直径よりも大きな直径を有する、請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
模擬組織構造体を製造する方法であって、
模擬解剖学的構造体を用意するステップを含み、
長手方向軸線、近位端および遠位端を備えたマンドレルを用意するステップを含み、前記マンドレルは、前記模擬解剖学的構造体に取り外し可能に取り付けられるよう構成されており、
前記模擬解剖学構造体を前記長手方向軸線に沿う場所で前記マンドレルに連結するステップを含み、
前記マンドレルおよび連結状態の模擬組織構造体を回転させるステップを含み、
第2の材料を未硬化状態で前記マンドレルおよび前記模擬解剖学構造体に塗布するステップを含み、
前記第2の材料を前記模擬解剖学構造体および前記マンドレル上で硬化させて前記模擬解剖学構造体を前記第2の材料の薄いシェル内に包囲した模擬組織構造体を形成するステップを含み、前記模擬組織構造体は、前記マンドレル上で硬化させた前記第2の材料によって画定される少なくとも1つのルーメンを有し、
前記第2の材料を前記模擬解剖学的構造体に取り付けるステップを含み、
前記模擬解剖学的構造体を前記取り付け状態の第2の材料と一緒に取り外すステップを含む、方法。
【請求項10】
前記模擬解剖学的構造体と前記第2の材料との間に設けられた模擬腫瘍を用意するステップを更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
模擬組織構造体であって、第1の材料の近位端および遠位端を有する模擬解剖学的構造体を含み、前記第1の材料は、近位端および遠位端を備えた第2の材料の薄いシェル内に配置され、前記模擬解剖学的構造体は、前記第2の材料に取り付けられ、前記模擬解剖学的構造体は、前記近位端のところに第1の直径および第1のルーメンを有し、前記第2の材料は、前記近位端のところに第2の直径を備えた第2のルーメンを有し、前記第1のルーメンは、前記第2のルーメンと実質的に整列している、模擬組織構造体。
【請求項12】
前記第1の材料は、フォームであり、前記第2の材料は、シリコーンである、請求項11記載の模擬組織構造体。
【請求項13】
前記第2の材料は、ファロピウス管の形をしており、前記解剖学的構造体は、子宮外妊娠部を真似るよう構成されている、請求項11又は12記載の模擬組織構造体。
【請求項14】
前記第2の材料および前記解剖学的構造体は、ヒトの子宮を表現するよう寸法決めされるとともに形作られている、請求項11又は13の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項15】
前記第2の材料は、前記模擬解剖学構造体の前記近位端を越えて近位側に延びている、請求項11乃至14の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項16】
前記第2の材料は、前記模擬解剖学構造体の前記遠位端を越えて遠位側に延びている、請求項11乃至15の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項17】
前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きい、請求項11乃至16の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項18】
前記模擬解剖学的構造体は、前記遠位端のところに遠位直径を有し、前記第2の材料は、遠位直径を有し、前記第2の材料は、前記模擬解剖学構造体の前記遠位端を越えて軸方向に延び、前記模擬解剖学的構造体の前記遠位直径は、前記第2の材料の前記遠位直径よりも大きい、請求項11乃至17の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項19】
前記解剖学的構造体と前記第2の材料との間に配置された模擬嚢胞を更に有する、請求項11乃至18の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項20】
模擬組織構造体を製造する方法であって、
扁平な第1の基層を用意するステップと、
少なくとも1つの穴を備えた第1のステンシルを用意するステップと、
前記第1のステンシルを前記第1の基層に被着させるステップと、
前記第1のステンシルを介して第1のステンシル層を前記第1の基層に被着させるステップと、
前記第1のステンシルを取り外すステップと、
扁平な第2の基層を用意するステップと、
前記ステンシル層および前記第1の基層を覆った状態で第2の基層を前記ステンシル層および前記第1の基層に被着させるステップと、
前記第2の基層を前記第1の基層に付着させるステップとを含む、方法。
【請求項21】
前記ステンシル層を被着させるステップは、未硬化シリコーン、接着剤、レジスト、剥離剤、ポリフィル(polyfill)、ヒドロゲル、導電性材料、メッシュ、およびフィラメントから成る群から選択された材料を被着させるステップを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記第2の基層を被着させるステップは、未硬化シリコーンを被着させるステップを含み、更に前記シリコーンを硬化させるステップを含む、請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの穴を備えた第2のステンシルを用意するステップと、
前記第1のステンシル層および前記第1の基層を覆って前記第2のステンシルを前記第1のステンシル層および前記第1の基層に被着させるステップと、
前記第2のステンシルを介して第2のステンシル層を前記第1の基層および/または前記第1のステンシル層に被着させるステップと、を更に含む、請求項20乃至22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項20記載の方法によって製造された模擬組織構造体。
【請求項25】
模擬組織構造体であって、
第1の面および第2の面を備えた扁平な第1の基層を有し、前記第1の面と前記第2の面との間には実質的に一様な厚さが定められ、
第1の面および第2の面を備えた扁平な第2の基層を有し、前記第1の面と前記第2の面との間には実質的に一様な厚さが定められ、前記第2の基層の前記第2の面は、前記第1の基層の前記第1の面に向き、前記第2の基層は、前記第1の基層に付着し、
前記第1の基層と前記第2の基層との間に配置された機能材料を備えた少なくとも1つの機能層を有し、
前記機能層は、前記機能層を被着させるための少なくとも1つの穴を備えたステンシルを介して形成されている、模擬組織構造体。
【請求項26】
前記機能層は、前記第1の層と前記第2の層との付着度を増大させるよう構成された材料から成る、請求項25記載の模擬組織構造体。
【請求項27】
前記機能層は、前記第1の層と前記第2の層との付着度を減少させるよう構成された材料から成る、請求項25又は26記載の模擬組織構造体。
【請求項28】
前記機能層は、着色シリコーンから成り、前記第1の基層および前記第2の基層のうちの1つまたは2つ以上は、透明でありまたは部分的に透明である、請求項25乃至27の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項29】
前記機能層は、解剖学的構造体の形をした着色シリコーンから成る、請求項25乃至28の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、外科用訓練ツール、特に外科的処置または外科手技を教示するとともに練習させるための模擬組織構造体および臓器モデルならびにこれらの製造方法に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2015年2月19日に出願された米国特許仮出願第62/118,179号(発明の名称:Method of making simulated tissue using stencils)および2015年2月23日に出願された米国特許仮出願第62/119,542号(発明の名称:Foam-on-mandrel method of making simulated anatomy)の優先権および権益主張出願であり、これら米国特許仮出願の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
手術に関して高度熟練技能が一般に外科医に必要であり、特に腹腔鏡下外科的処置または外科的手技を実施するのに必要である。腹腔鏡下手術では、外科用器械および腹腔鏡を腹腔内に配置するために通す直径約5~10ミリメートルのトロカールまたは小径円筒形管の挿入を可能にするよう数個の小さな切開創が腹部に設けられる。腹腔鏡は、術野を照明し、そして拡大イメージを体内からビデオモニタに送り、このビデオモニタは、外科医に臓器および組織の拡大図を提供する。外科医は、モニタ上のライブビデオフィードを観ながらトロカールを通って配置された外科用器械を操作することによって手術を行う。外科医は、裸眼で臓器および組織を直接的には観察しないので、三次元観察ではなくモニタ上の二次元イメージによって視覚的情報が得られる。二次元イメージにより三次元環境を表示する際の情報の失われかたは、相当なものである。特に、器械を三次元で操作するためのガイドとして二次元イメージを観察する場合には奥行知覚が低下する。
【0004】
さらに、トロカールは、小さな切開創を通って挿入されて腹壁に当てて配置されるので、器械の操作は、器械に対して支点(てこ支点)の作用を有する腹壁によって制限される。支点作用は、器械を制限された動きに拘束するアンギュレーションの一点を定める。また、1つの直線上の方向における手の動きにより逆方向の先端部の動きが拡大される。器械の動きが逆方向でスクリーン上で観察されるだけでなく、拡大された先端部の動きは、腹壁の上方の器械長さ部分がどれだけかで決まる。このてこの作用は、動きを拡大するだけでなく、ユーザに反映されるツール先端部の力も拡大する。それ故、支点を備えた器械の操作では、意図的な学習と訓練が必要であり、直感的に明らかではない。
【0005】
また、外科用器械がシールを備えたポートを通って配置され、これらシールは、ツールの逆方向によって生じるスティックスリップ摩擦を引き起こす。例えば、スティックスリップ摩擦は、例えば組織に対する引っ張りから押しに急に変化する場合にツールの逆方向から生じる場合がある。かかる運動中、シールのゴム部品がツールシャフトと擦れあい、それによりシールとシールの摩擦または運動が生じ、その後摩擦に打ち勝ち、器械は、シールに対して摺動する。シールと器械のインターフェースのところのスティックスリップ摩擦またはオイルキャニング(oil-canning)は、非直線的力を生じさせる。
【0006】
ハンド・アイ協調技能が必要であり、特にビデオモニタ上での観察により手の動きとツール先端部の動きと相関させることによりかかる技能を練習しなければならない。また、腹腔鏡下手術では、ツールを触ってこれを介して受け取る感覚が低下する。触覚が減少しまたは歪められるので、外科医は、熟練した腹腔鏡下手術の根底をなす1組の核となる触覚技能を開発しなければならない。これら技能の全ての獲得は、腹腔鏡下訓練における主要な課題のうちの1つであり、本発明の目的は、腹腔鏡下技能の訓練および技術の性能のためのシステムおよび方法を向上させることにある。
【0007】
新米医師が腹腔鏡下技能を学習しなければならないだけでなく、熟練腹腔鏡外科医は、古くなった技能を磨くとともに新たに導入された外科的処置に特有の新たな手術法を学びかつ練習しようと努める。手術室での訓練を習得することができるが、好ましくは手術室の外での迅速かつ効果的な訓練法を工夫する関心が高まった。手術室の外での適度なレベルの技能を達成した外科医は、かかる外科医が手術室に入ったときに良好に準備され、それにより有益な手術室での経験をかくして最適化することができ、患者に対する危険性が低くなるとともにコストが減少する。外科医に手術室の外での基本的な外科的技能を熟知させるため、種々のシミュレータ(模擬訓練装置)が案出されて試験された。外科的シミュレータの一例は、カリフォルニア州所在のアプライド・メディカル・リソーシーズ・コーポレーション(Applied Medical Resources Corporation)によって製造され、そして米国特許第8,764,452号明細書に記載されたSIMSEI(登録商標)腹腔鏡訓練装置であり、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。SIMSEI(登録商標)腹腔鏡訓練装置は、ユーザによる直接観察からは隠された模擬腹腔内の三次元の生きているまたは偽の臓器を採用する。
【0008】
腹腔鏡シミュレータ内における生きているヒトまたは動物の臓器を用いることは、内部臓器に関して鮮度を必要とする。また、生きている臓器は、訓練生を細菌などによる感染から保護するよう衛生設備を構築することを必要とする。外科手術の訓練を実施した後に用いられる器械の衛生管理および滅菌のために追加のコストもまた必要である。また、用いられた生きている臓器を適正に処分しなければならない。さらに、生きている臓器の臭いが鼻につく場合があり、技術および技能への訓練生の集中力を削ぐ場合がある。したがって、生きている臓器および組織を模倣した人工臓器および組織が望ましく、したがって、外科用訓練において生きている臓器に取って代わることができる。
【0009】
多くの人工臓器が外科用訓練において生きているヒトまたは動物の臓器に代えて用いられている。典型的には、これら人工臓器モデルは、シリコーン、ウレタンエラストマー、スチレンエラストマーなどで作られている。これら人工臓器は、例えば切開され、操作されまたは縫合されたときに適正に応答しなければならず、しかも実際の手術と同じフィーリングおよび触覚上の特性を提供しなければならない。しかしながら、多くの人工臓器は、人工臓器と本物の臓器のギャップを橋渡しするのに必要なある特定の特性およびリアリズムを欠いている。さらに、リアリズムの程度は、腹腔鏡下技能の訓練に特有の技能を教示する手段を提供することを目標にする必要がある。したがって、ある特定のリアリズムが開放式手術環境と比較したときに腹腔鏡下環境においてより重要な場合がある。したがって、人工臓器および組織および特に腹腔鏡下技能の訓練のために標的とされる人工臓器および組織が要望されている。本発明は、本物のようであって腹腔鏡下技能の訓練のために標的とされる新規な人工臓器および組織を提供する。本発明はまた、かかる人工臓器および組織を製造する方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第8,764,452号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明の一観点によれば、模擬組織構造体およびこの模擬組織構造体の製造方法が提供される。模擬組織構造体は、互いに取り付けられる2種類の材料の組み合わせを含み、これら材料のうちの一方は、他方の材料を収容するよう構成された中空の解剖学的構造体を形成する。2種類の材料は、外側の材料の内面が他方の材料の外面に厳密に合致するよう解剖学的に有利な仕方で取り付けられる。また、内部材料は、外部材料とは異なりかつより剛性の特性を有し、外側材料によって形成される解剖学的幾何学的形状は、常態では、外側の幾何学的形状に損傷を与える外部幾何学的形状中への内部材料の挿入を達成困難にし、そして損傷をもたらす挿入に起因して必要な補償策、例えば修復および接着に起因して生じるリアリズムを減少させる。本発明の製造方法は、第1の材料を未硬化状態で固体状態の第2の材料上に直接塗布して第2の材料を全体的にまたは部分的に包み込みまたは包囲するステップを含み、第2の材料は、第1の材料の少なくとも一部の寸法および形状を定めるとともに、これまたマンドレルから取り外すのが容易な第1の材料との一体的かつ連結状態の構造体を形成する。
【0012】
本発明の別の観点によれば、模擬組織構造体の製造方法が提供される。本方法は、近位端、遠位端および長手方軸線を備えたマンドレルを用意するステップを含み、マンドレルの遠位端は、長さを備えたインターロック部分を含む。本方法は、模擬組織構造体の内側部分を用意するステップを含む。内側部分は、インターロック部分を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られたルーメンを有し、インターロック部分の長さ全体がルーメン内に配置されるようになっている。本方法は、内側部分がマンドレルに嵌着するステップを含む。本方法は、マンドレルのインターロック部分を内側部分のルーメン内に配置するステップを更に含む。本方法は、マンドレルを長手方向軸線回りに回転させるステップと、未硬化シリコーンを内側部分に塗布するステップと、シリコーンを硬化させて内側部分を包囲する外側部分を形成するステップと、内側部分および外側部分を一ユニットとしてマンドレルから取り外すステップとを含む。
【0013】
本発明の別の観点によれば、模擬組織構造体の製造方法が提供される。本方法は、模擬解剖学的構造体を用意するステップを含む。本方法は、長手方向軸線、近位端および遠位端を備えたマンドレルを用意するステップを含む。マンドレルは、模擬解剖学的構造体に取り外し可能に取り付けられるよう構成されている。本方法は、模擬解剖学構造体を長手方向軸線に沿う場所でマンドレルに連結するステップを含む。本方法は、マンドレルおよび連結状態の模擬組織構造体を回転させるステップを含む。本方法は、第2の材料を未硬化状態でマンドレルおよび模擬解剖学構造体に塗布するステップを含む。本方法は、第2の材料を模擬解剖学構造体およびマンドレル上で硬化させて模擬解剖学構造体を第2の材料の薄いシェル内に包囲した模擬組織構造体を形成するステップを含む。模擬組織構造体は、マンドレル上で硬化させた第2の材料によって画定される少なくとも1つのルーメンを有する。本方法は、第2の材料を模擬解剖学的構造体に取り付けるステップと、模擬解剖学的構造体を取り付け状態の第2の材料と一緒に取り外すステップとを含む。
【0014】
本発明の別の観点によれば、模擬組織構造体が提供される。模擬組織構造体は、第1の材料の近位端および遠位端を有し、第1の材料は、近位端および遠位端を備えた第2の材料の薄いシェル内に配置されている。模擬解剖学的構造体は、第2の材料に取り付けられている。模擬解剖学的構造体は、近位端のところに第1の直径および第1のルーメンを有し、第2の材料は、近位端のところに第2の直径を備えた第2のルーメンを有し、第1のルーメンは、第2のルーメンと実質的に整列している。
【0015】
本発明の別の観点によれば、模擬組織構造体の製造方法が提供される。本方法は、扁平な第1の基層を用意するステップを含む。本方法は、少なくとも1つの穴を備えた第1のステンシルを用意し、第1のステンシルを第1の基層に被着させるステップを含む。本方法は、第1のステンシルを介して第1のステンシル層を第1の基層に被着させるステップを更に含む。本方法は、第1のステンシルを取り外すステップと、扁平な第2の基層を用意するステップと、ステンシル層および第1の基層を覆った状態で第2の基層をステンシル層および第1の基層に被着させるステップとを含む。本方法は、第2の基層を第1の基層に付着させるステップを更に含む。
【0016】
本発明の別の観点によれば、模擬組織構造体が提供される。模擬組織構造体は、第1の面および第2の面を備えた扁平な第1の基層を有し、第1の面と第2の面との間には実質的に一様な厚さが定められている。模擬組織構造体は、第1の面および第2の面を備えた扁平な第2の基層を有し、第1の面と第2の面との間には実質的に一様な厚さが定められている。第2の基層の第2の面は、第1の基層の第1の面に向いている。第2の基層は、第1の基層に付着している。模擬組織構造体は、第1の基層と第2の基層との間に配置された機能材料を備えた少なくとも1つの機能層を更に有し、機能層は、機能層を被着させるための少なくとも1つの穴を備えたステンシルを介して形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本発明による内側部分および外側部分を有する模擬組織構造体の上から見た透視斜視図であり、外側部分が人工ファロピウス管を形成し、内側部分が子宮外妊娠部を形成している状態を示す図である。
【
図1B】本発明による内側部分および外側部分を有する模擬組織構造体の上から見た透視斜視図であり、外側部分が人工ファロピウス管を形成し、内側部分が子宮外妊娠部を形成している状態を示す図である。
【
図1C】本発明による内側部分および外側部分を有する模擬組織構造体の上から見た断面斜視図であり、外側部分が人工ファロピウス管を形成し、内側部分が子宮外妊娠部を形成している状態を示す図である。
【
図1D】本発明による内側部分および外側部分を有する模擬組織構造体の上から見た断面斜視図であり、外側部分が人工ファロピウス管を形成し、内側部分が子宮外妊娠部を形成している状態を示す図である。
【
図2A】本発明による
図1の内側部分の上から見た斜視図である。
【
図2B】本発明による
図1の内側部分の平面図である。
【
図2C】本発明による
図1の内側部分の側面図である。
【
図2D】本発明による
図1の内側部分の底面図である。
【
図3A】本発明による内側部分、外側部分、アダプタおよびマンドレルの上から見た分解組立て斜視図である。
【
図3B】本発明による内側部分、外側部分、アダプタおよびマンドレルの上から見た斜視図である。
【
図3C】本発明による内側部分、外側部分、アダプタおよびマンドレルの断面図である。
【
図3D】本発明による内側部分および外側部分の上から見た断面斜視図である。
【
図3E】本発明による内側部分および外側部分の上から見た部分断面斜視図である。
【
図4】本発明によるマンドレルの上から見た斜視図である。
【
図5】本発明によるマンドレルおよび内側部分の一部分の上から見た斜視図である。
【
図6】本発明によるマンドレルおよび内側部分の一部分の上から見た斜視図である。
【
図7A】本発明による内側部分の上から見た斜視図である。
【
図8】本発明によるマンドレルの上から見た斜視図である。
【
図9】本発明によるマンドレルおよび内側部分の一部分の上から見た斜視図である。
【
図10】本発明によるマンドレルおよび内側部分の一部分の上から見た斜視図である。
【
図11】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面斜視図である。
【
図12】本発明による内側部分およびマンドレルの上から見た斜視図である。
【
図13】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面斜視図である。
【
図14A】本発明による模擬組織構造体の上から見た部分断面斜視図である。
【
図14B】本発明による模擬組織構造体の上から見た部分断面透視斜視図である。
【
図19】本発明によるステンシルおよび模擬組織構造体の一部分の上から見た斜視図である。
【
図20】本発明によるステンシルおよび模擬組織構造体の一部分の上から見た斜視図である。
【
図21】本発明による模擬組織構造体の上から見た斜視図である。
【
図22】本発明による模擬組織構造体の一部分の上から見た断面斜視図である。
【
図23】本発明による模擬組織構造体の一部分およびステンシルの上から見た断面斜視図である。
【
図24】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面斜視図である。
【
図25】本発明による模擬組織構造体の一部分の上から見た断面斜視図である。
【
図26】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面斜視図である。
【
図27】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面透視斜視図である。
【
図28】本発明によるステンシルの上から見た斜視図である。
【
図29】本発明による基層およびステンシルの上から見た斜視図である。
【
図30】本発明による第1の基層および第1のステンシル層の上から見た斜視図である。
【
図31】本発明による第1の基層、第1のステンシル層および第2の基層の上から見た断面斜視図である。
【
図32】本発明による第1の基層、第1のステンシル層、第2の基層および第2のステンシルの上から見た断面斜視図である。
【
図33】本発明による第1の基層、第1のステンシル層、第2の基層および第2のステンシル層の上から見た断面斜視図である。
【
図34】本発明による第1の基層、第1のステンシル層、第2の基層、第2のステンシル層および第3の基層の上から見た断面斜視図である。
【
図35】本発明による第1の基層、第1のステンシル層、第2の基層、第2のステンシル層、第3の基層、および第3のステンシルの上から見た断面斜視図である。
【
図36】本発明による第1の基層、第1のステンシル層、第2の基層、第2のステンシル層、第3の基層、および第3のステンシル層の上から見た断面斜視図である。
【
図37】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面斜視図である。
【
図38】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面透視斜視図である。
【
図39】本発明による模擬組織構造体の上から見た断面透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に
図1A~
図1Dを参照すると、本発明の模擬組織構造体10が示されている。模擬組織構造体10は、外面および内面を備えたシリコーン外側部分12を有する。内面は、内部キャビティ14を画定する。内部キャビティ14は、少なくとも1つの開口部16と相互連結状態にある。
図1A~
図1Dの模擬組織構造体10のキャビティ14は、2つの開口部16を含み、キャビティ14は、ルーメン上でありかつ全体として細長い。特に、外側部分12は、組織構造体、臓器または解剖学的構造の少なくとも一部の寸法および形状を有するよう構成されている。例えば、
図1A~
図1Dに示されているように、外側部分12は、女性の解剖学的構造のファロピウス管または卵管を表現するよう形状および寸法が設定されている。
図1Bおよび
図1Cは、別個に形成されたファロピウス管延長部にオプションとして連結可能であるように
図1Aおよび
図1Cに示されている近位側延長部よりもファロピウス管を一体的に形成するよう長い近位側延長部を示している。近位開口部16は、人工子宮および/または別個に形成されたファロピウス管延長部に連結されるのが良く、遠位開口部16′は、ファロピウス管を真似るよう長手方向切れ目を有する。外側部分12は、シリコーン、例えば白金硬化室温加硫シリコーン(platinum cured room temperature vulcanization silicone: PCRTVS)で作られている。外側部分12は、任意他の形式のシリコーン材料、ポリマー、ゴム、エラストマーなどで作られても良い。
【0019】
模擬組織構造体10は、外側部分12のキャビティ14内に配置された内側部分18を更に有する。内側部分18は、外面および内面を有する。外側部分12の内面は、内側部分18の外面に厳密に合致している。フォーム内側部分18は、外側部分12に連結されている。
図1A~
図1Dに示された形態では、フォーム内側部分18は、ファロピウス管の遠位端の近くで外側部分12に連結されており、このフォーム内側部分18は、子宮外妊娠部を表現するよう構成されており、したがって、色が暗く、例えば黒色または茶色である。内側部分18は、フォーム材料で作られている。フォーム材料は、ウレタンフォーム、シリコーンフォームまたは任意他の適当なフォームであって良い。ウレタンフォームが内側部分18のために用いられる場合、シリコーン外側部分12は、ウレタンフォームには同程度に強くはくっつかず、シリコーン外側部分12は、内側部分18に対して容易に取り外し可能であり、それによりシリコーン外側部分12は、模擬子宮外妊娠部の外科的除去を容易にするとともに模倣する上で有利である。シリコーンフォームが内側部分18について用いられる場合、シリコーン外側部分12は、シリコーンフォーム内側部分18により強くくっつき、シリコーン外側部分12は、内側部分18に対する取り外しが困難になり、シリコーン外側部分12は、模擬子宮外妊娠部を除去する際の困難さのレベルおよび必要な外科的技能を高める上で有利である。内側部分18は、長手方向軸線、外周、および長手方向軸線に垂直に測定された外周によって定められる幅または外径を有する。内側部分18の外径は、長手方向軸線に沿う同一位置での外側部分の幅または内径以下である。内側部分18の長さは、長手方向軸線に沿って外側部分12よりも短い。内側部分18の近位端の近位側か、内側部分18の遠位端の遠位側かのいずれかの場所のところに位置する外側部分12は、それぞれ、内側部分の近位端の幅または外径よりも小さな幅または外径を有し、あるいは内側部分の遠位端の幅または外径よりも小さい幅または内径を有する。
図1A~
図1Dに示されている別の形態では、内側部分18の近位端の近位側かつ内側部分18の遠位端の遠位側のところに位置する外側部分12は、それぞれ、内側部分の近位端の幅または外径よりも小さな幅または外径を有しかつ内側部分の遠位端の幅または外径よりも小さい幅または内径を有する。かかる形態は、内側部分18を外側部分内に包み、それにより長手方向に沿うその移動が阻止される。内側部分18は、内側部分の互いに反対側の端のところで外側部分に設けられているくびれ相互間に捕捉される。
【0020】
次に
図2A~
図2Dを参照すると、フォーム材料で作られた内側部分18の種々の図が示されている。内側部分18は、外面および内面を有する。外面は、形状が球根状である。内側部分18は、内面によって画定されたルーメン20を有する。ルーメン20は、近位端のところの近位開口部22と遠位端のところの遠位開口部24との間に延びている。ルーメン20は、マンドレルにかぶさるよう構成されている。したがって、ルーメン20の少なくとも一部は、非円形の断面を有し、その結果、内側部分18は、マンドレルが回転してもマンドレルに対して動くことがない。ルーメン20の断面形状は、六角形であるが、本発明は、これには限定されず、断面は、細長い形状、スロット形状、三角形、正方形、五角形またはフォーム内側部分がマンドレル上に位置した状態で自由に回ることがないようにする任意他の形状ものであるのが良い。ルーメン20の断面形状以外の手段、例えばピンまたは他のロック器具を用いてフォーム内側部分をマンドレル30に固定しても良い。
【0021】
変形例として、次に
図3A~
図3Eを参照すると、内側部分18は、マンドレルに取り付けられるよう構成されたルーメン20を有しても良くまたは有さなくても良い。これとは異なり、内側部分18は、
図3A~
図3Eに示されているような雄型ボス26を備えている。雄型ボス26は、非円形断面を備えた外面を有する。長手方向軸線に垂直に取られた雄型ボス26の断面は、細長い形状、スロット形状、三角形、正方形、五角形、六角形または内側部分がマンドレル30上に位置した状態で自由に回ることがないようにする任意他の形状のものであるのが良い。マンドレル30は、
図3A~
図3Cに示されているような円形断面を備えた標準の細長い円筒形ロッドである。アダプタ28が設けられ、このアダプタは、マンドレル30の遠位端に連結されるよう構成されている。アダプタ28は、内側部分18をマンドレル30に固定するよう内側部分18の雄型ボス26を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られた異形部を備えた雌型ボス32を有し、その結果、内側部分18は、製造プロセス中、マンドレル30が回転しているときでもマンドレル30に対して回転しないようになっている。フォーム内側部分18およびマンドレル30は、マンドレル30と内側部分18との間のインターロック関係をなす幾何学的形状を有するよう構成されている。幾何学的形状は、設計プロセス中に達成され、この幾何学的形状は、フォーミングマンドレルとフォーム内側部分18の両方を製造するために用いられるモールド中に組み込まれる。これら2つ相互間の形状は、コンポーネントが互いに対して自由に回ることがないようにする任意の幾何学的形状であって良い。
図3Dおよび
図3Eは、マンドレル30から取り外される最終製品の状態で内側部分18に連結された外側部分12を示している。
【0022】
次に、模擬組織構造体10の製造方法について説明する。マンドレル30が模擬解剖学的構造を製造するために用いられる。マンドレル30は、代表的には、マンドレル30をその長手方向軸線回りに回転させるモータに連結されている。モールド、代表的には所望の形状、例えば成形されるべき解剖学的部分の形状を有するモールドがマンドレル30に取り付けられる。モータをターンオンすると、マンドレル30が回って未硬化シリコーン、例えば未硬化PCRTVSがマンドレル30に連結されている回転中のモールドに塗布される。未硬化シリコーンが硬化し始めると、このシリコーンは、下に位置するモールドの形状を取る。未硬化シリコーンは、例えば、層を塗装し、吹き付け、またはモールドを浸漬することによって被着される。シリコーンの塗布が完了すると、未硬化シリコーンは、硬化し、次に結果として得られた模擬組織構造体10をモールドおよびマンドレル30から取り外し、それにより所望の形状の中空組織構造体を作る。この方法を用いて作ることができる代表的な中空臓器としては、直腸、卵巣、ファロピウス管、血管系、子宮および他の臓器が挙げられる。
【0023】
次に
図4を参照すると、本発明のマンドレル30が示されている。マンドレル30は、近位端のところに円形断面を有しまたはモータに連結可能に構成された他の形をした近位端を有する細長い円筒形ロッドである。マンドレル30の少なくとも一部、すなわちインターロック部分36が予備成形フォーム内側部分18とインターロックするよう構成されている。インターロック部分36は、フォーム内側部分18の相補形状のルーメン20中に挿入されるよう構成されている。一変形例では、インターロック部分36は、六角形断面を有するルーメン20内に嵌まり込むよう寸法決めされた六角形断面を有する。フォーム内側部分18は、最終の模擬組織構造体10の一部であるよう設計されている。マンドレル30の一形態では、マンドレル30は、少なくとも1つの解剖学的部分38を有する。
図4に示されている形態では、解剖学的部分38は、マンドレル30の遠位部分のところに配置され、インターロック部分36は、長手方向軸線に沿って解剖学的部分38の近位側に配置され、マンドレル30の円筒形部分は、インターロック部分36の近位側に配置されている。解剖学的部分38は、解剖学的構造の少なくとも一部を表現するよう構成されている。特に、解剖学的部分38は、解剖学的構造の中空部を真似るよう構成されている。
図4では、解剖学的部分38は、女性の解剖学的構造のファロピウス管またはファロピウス管の遠位端を真似るよう構成されている。したがって、解剖学的部分38は、湾曲おり、この解剖学的部分は、大径の遠位端を有する。解剖学的部分38は、インターロック部分36の近位側の場所でマンドレル30に連結されており、ただし、本発明は、これには限定されず、インターロック部分は、2つの解剖学的部分38相互間に配置されても良くまたは解剖学的部分38の一部として形成されても良い。インターロック部分36の近位側に位置するマンドレル30の部分はまた、第2のまたは近位側の解剖学的部分38、例えばファロピウス管の近位端としての役目を果たす。
【0024】
次に
図5を参照すると、本発明にしたがって内側部分18と並置された状態のマンドレル30が示されている。
図5の内側部分18は、
図2A~
図2Dの子宮外妊娠部のように形作られている。マンドレル30の近位端34は、内側部分18のルーメン20の遠位開口部24中に挿入されている。内側部分18は、マンドレル30の円筒形部分に沿ってインターロック部分36に向かって動かされる。内側部分18は、マンドレル30の長手方向軸線に沿って摺動する。マンドレル30のインターロック部分36の六角形状部は、内側部分18のルーメン20の六角形状部と整列し、マンドレル30のインターロック部分36は、内側部分18のルーメン20中に挿入される。内側部分18は、この内側部分がマンドレル30に対して回転しまたはマンドレル30に沿って遠位側もしくは近位側に容易に摺動するのを阻止する僅かな締り嵌め関係をなしてマンドレル30上にしっかりとロックする。マンドレル30は、
図6に示されているような締り嵌めによりインターロック部分36の配置場所で内側部分18に連結されている。この場合、マンドレル30および取り付け状態の内側部分18は、マンドレル30の近位端を受け入れてこれと連結されるよう構成されたモータ(図示せず)に連結されている。モータは、マンドレル30および取り付け状態の内側部分18をその長手方向軸線回りに回転させるよう構成されている。
【0025】
マンドレル30および取り付け状態の内側部分18を回転させると、未硬化シリコーン、例えばPCRTVSが少なくとも、解剖学的部分38aおよび内側部分18ならびに該当する場合には、
図6に示されているようにインターロック部分36の近位側に位置する第2の解剖学的部分38bを覆うよう塗布される。マンドレル30が回転すると、未硬化シリコーンは、外側部分12を形成することになる材料の所望の厚みを達成するよう塗布される。未硬化シリコーンは、硬化し始め、追加の未硬化シリコーンを連続的に塗布することができる。未硬化シリコーンをマンドレル30および内側部分18にかつこれらを一緒に覆って塗布する。未硬化シリコーンは、ブラシ、スプレーを用いて、または浸漬または他の仕方を行うことによって塗布されるのが良い。マンドレル30の回転により、シリコーンが硬化して不均一な被覆領域を形成するのが阻止される。シリコーンを硬化させた後、マンドレル30周りにシリコーン層を有する外側部分12を形成する。それ故、内側部分18の外面は、外側部分12の内面の少なくとも一部の寸法および形状を定め、解剖学的部分38の外面は、実質的に連続した仕方で外側部分12の内面の少なくとも一部の寸法および形状を定め、その結果、内側部分18の解剖学的部分38の両方が外側部分12の寸法および形状を定めるようになっている。解剖学的部分38は、マンドレル30上に配置された内側部分18に隣接して位置し、未硬化シリコーンの外側部分は、継ぎ目のない仕方でこれら両方に塗布され、それにより一体形の模擬組織構造体10が形成される。内側部分18は、外側部分12と一緒にマンドレル30から取り外し可能であり、これに対し、マンドレル30の解剖学的部分38は、マンドレル30に固定されたままである。それ故、未硬化シリコーンは、マンドレル30から取り外し可能でありかつ外側部分12と一体になりかつこれに取り付けられた状態になる内側部分18に塗布され、この場合、外側部分12の少なくとも別の部分のためのモールドとしての役目を果たす解剖学的部分38は、少なくとも外側部分12および内側部分18が取り外されているときにはマンドレル30からは取り外し可能ではない。
【0026】
シリコーンがいったん硬化すると、第2の解剖学的部分38b上の外側部分12をマンドレル30に沿って内側部分18またはマンドレル30の近位端に向かって転がされると、内側部分18およびシリコーン外側部分12を単一ユニットとしてマンドレル30から容易に取り外すことができる。外側部分12の近位端の転動は、最終の解剖学的モデルの取り出しを容易にするよう外側部分12とマンドレル30との間に働く摩擦力を減少させるのに役立つ。上述したように、内側部分18がシリコーンフォームで作られている場合、未硬化シリコーンは、これが硬化しているときに内側部分18がウレタンフォームで作られている場合よりもより強固にシリコーンフォームとインターロックし、これに取り付けられ、そしてこれに連結される。この強い結合は、シリコーン外側層12および取り付け状態の内側部分18を一緒に容易に取り外すのを助ける。モールドの剥離剤またはレジストを解剖学的部分38およびマンドレル30の円筒形部分に塗布すると外側部分12および内側部分18の取り外しを容易にすることができ、その結果、
図1の模擬組織構造体10が得られる。
【0027】
この方法を用いると、直前に説明したような子宮外妊娠部を備えたファロピウス管を作ることができ、この場合、内側部分18は、子宮外妊娠部を模倣し、シリコーン外側部分12は、ファロピウス管を模倣している。この方法を用いると、広汎な他の解剖学的構造を作ることができる。以下において、卵巣および嚢胞を含む卵巣をファロピウス管付きで製造するようになった方法について説明する。模倣することができる他の解剖学的構造としては、健常な子宮および線維子宮が挙げられる。内側部分18のフォームは、硬質であっても良くまたは軟質であっても良く、上述したように、このフォームをウレタン、シリコーンまたは他の材料で作ることができる。また、模擬組織は、浸漬、塗装、吹き付けなどによってマンドレルに塗布できるシリコーン以外の任意の材料であっても良い。
【0028】
また、この方法は、例えばナイロンメッシュで作られたメッシュスリーブを用意し、メッシュスリーブをマンドレル30に嵌着し、外側部分12の材料、例えば未硬化シリコーンを塗布するステップと組み合わせ可能である。未硬化シリコーンは、注ぎ出てメッシュ材料を覆い、そしてメッシュ中に一体的に硬化する。同様に、未硬化シリコーンに付着したメッシュは、一緒に一体的に硬化する。メッシュは、有利には、外側部分12がある特定の解剖学的構造を縫合する練習のために縫合糸を保持することができるようにする。
【0029】
次に
図7A~
図7Dを参照すると、フォーム材料で作られた内側部分18の種々の図が示されている。内側部分18は、外面および内面を有する。外面は、形状が球根状であり、この外面は、女性の卵巣を表現するよう構成されている。内側部分18は、内面によって画定されたルーメン20を有する。ルーメン20は、近位端のところの近位開口部22から内側部分18中に延びている。ルーメン20は、内側部分18を貫通しておらず、このルーメンは、近位端のところに1つの開口部22しか備えていない。ルーメン20は、マンドレル30に被さるように構成されている。したがって、ルーメン20の少なくとも一部は、非円形断面を有し、したがって、内側部分18は、内側部分18がマンドレル30に取り付けられてマンドレル30が回転しても、マンドレル30に対して動くことはない。ルーメン20の断面形状は、六角形であるが、本発明はこれには限定されず、断面は、細長い形状、スロット形状、三角形、正方形、五角形またはフォーム内側部分18がマンドレル30上に位置した状態で自由に回ることがないようにする任意他の形状ものであるのが良い。ルーメン20の断面形状以外の手段、例えばピンまたはロックを用いてフォーム内側部分18をマンドレル30に固定しても良い。当然のことながら、内側部分18は、マンドレルに取り付けられるよう構成されたルーメン20を有しても良くまたは有さなくても良い。変形例として、内側部分18は、内側部分18をマンドレル30に連結するための
図3A~
図3Cに示されている雄型ボス26を備えている。
図7A~
図7Dの内側部分18は、2つの湾曲した側面によって互いに連結された2つの平坦な外面を有する。内側部分18の長手方向軸線に垂直に取られた断面の形状は、長円形、楕円形、細長い形状または幅に対して長い長さを備えた他の形状である。内側部分18の外面は、ディンプル40を有する。ディンプル40は、内側部分18の外面に形成された窪みである。ディンプル40は、人工嚢胞、類線維腫、または腫瘍(図示せず)を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られている。人工嚢胞、類線維腫または腫瘍42は、本物の嚢胞、類線維腫または腫瘍を模倣するよう別々に作られるとともにディンプル40内に嵌まり込むよう寸法決めされるとともに形作られている。人工嚢胞、類線維腫または腫瘍は、シリコーンまたはフォームで作られるのが良く、そしてそれぞれの構造体を正確に表現するよう適切に着色されるのが良い。必要ならばある程度の接着剤を用いて人工嚢胞、類線維腫または腫瘍42をディンプル40内に配置し、次に、外側部分12の未硬化シリコーンをディンプルインサートと内側部分18の両方に塗布する。別の形態では、ディンプル40が設けられず、模擬嚢胞42が内側部分18の外面に直接取り付けられる。さらに別の形態では、模擬嚢胞42を内側部分18と一体に形成し、オプションとして、内側部分18と同種の材料で作る。
【0030】
次に
図8を参照すると、本発明のマンドレル30が示されている。マンドレル30は、円形断面を備えた細長い円筒形ロッドである。マンドレル30は、予備成形フォーム内側部分18とインターロックするよう構成されたインターロック部分36を有する。
図8に示されている一形態では、マンドレル30は、マンドレル30の遠位端34のところに配置されたインターロック部分36を有する。インターロック部分36は、フォーム内側部分18の相補形状のルーメン20中に挿入されるよう構成されている。一変形例では、インターロック部分36は、六角形断面を有するルーメン20内に嵌まり込むよう寸法決めされた六角形断面を有する。フォーム内側部分18は、最終の模擬組織構造体10の一部であるよう設計されている。
【0031】
次に
図9を参照すると、本発明にしたがって内側部分18と並置した状態でマンドレル30が示されている。
図9の内側部分18は、
図7A~
図7Dの卵巣と同じような形になっている。マンドレル30の遠位端34は、内側部分18のルーメン20の近位開口部22中に挿入されている。マンドレル30の遠位端34の六角形状部は、内側部分18のルーメン20の六角形状部と整列し、マンドレル30のインターロック部分36を内側部分18のルーメン20中に挿入する。内側部分18は、僅かな締り嵌め関係をなしてマンドレル30上にしっかりとロックする。マンドレル30は、
図10に示されているような締り嵌めにより内側部分18に連結されている。この場合、マンドレル30および取り付け状態の内側部分18は、マンドレル30の近位端を受け入れてこれと連結されるよう構成されたモータ(図示せず)に連結されている。モータは、マンドレル30および取り付け状態の内側部分18をその長手方向軸線回りに回転させるよう構成されている。
【0032】
模擬嚢胞、腫瘍または他の解剖学的形態をディンプル40内に配置してこれに取り付けまたは接着剤もしくは外側部分18を構成する湿潤状態のシリコーンの同時塗布により定位置に保持する。マンドレル30および取り付け状態の内側部分18ならびに取り付け状態の嚢胞を回転させると、未硬化シリコーン、例えばPCRTVSが少なくとも、内側部分18および取り付け状態の嚢胞を覆うよう塗布される。マンドレル30が回転しているとき、未硬化シリコーンがより多く塗布されて材料の所望の厚さを達成する。未硬化シリコーンは、硬化し始め、追加の未硬化シリコーンを連続的に塗布することができる。未硬化シリコーンを内側部分18に塗布するとともにマンドレル30にも塗布するのが良い。未硬化シリコーンは、ブラシ、スプレーを用いて、または浸漬または他の仕方を行うことによって塗布されるのが良い。マンドレル30の回転により、シリコーンが硬化して不均一な被覆領域を形成するのが阻止される。シリコーンを完全に硬化させた後、マンドレル30周りにシリコーン層を有する外側部分12を形成する。それ故、内側部分18の外面は、外側部分12の内面の少なくとも一部の寸法および形状を定める。シリコーンがいったん硬化すると、マンドレル30のところの内側部分の一部分を長手方向軸線に沿って遠位側に転がすのが良い。内側部分18を掴んで遠位側に引き、それによりマンドレル30から構成体を取り外すのが良い。フォーム内側部分18およびシリコーン外側部分12を単一ユニットとしてマンドレル30から容易に取り外すことができる。マンドレル30から取り外された状態の結果として得られた模擬組織構造体10が
図11に示されている。上述したように、内側部分18がシリコーンフォームで作られている場合、未硬化シリコーンは、これが硬化しているときに内側部分18がウレタンフォームで作られている場合よりもより強固にシリコーンフォームとインターロックしてこれに連結される。この強い結合は、シリコーン外側層12および取り付け状態の内側部分18を一ユニットとして容易に取り外すのを助ける。モールドの剥離剤またはレジストをマンドレル30に塗布すると外側部分12および内側部分18の同時取り外しを容易にし、その結果、模擬組織構造体10が得られる。
【0033】
次に
図12を参照すると、内側部分18が子宮に似るよう寸法決めされるとともに形作られた別の形態が示されている。内側部分18は、ディンプル40が模擬嚢胞42を着座させるために設けられている場合、1つまたは2つ以上の模擬嚢胞42がディンプル40の配置場所で内側部分18に取り付けられた状態で示されている。注目されるべきこととして、模擬嚢胞は、明細書全体を通じて、腫瘍、類線維腫、または他の類似の解剖学的または一般的な外科的標的と区別なく用いられている。内側部分18は、近位端のところで開口したルーメン20を有する。ルーメン20は、内側部分18がマンドレル30に対して回転しないように寸法決めされるとともに形作られている。マンドレル30は、結果として得られた模擬組織構造体10が実質的に本物のように形作られるよう短い。上述したのと同じ方法を利用して
図13に示されている結果としての構造体10を形成し、模擬腫瘍42は、外側部分12と内側部分18との間でこの構造体10内に埋め込まれている。模擬組織構造体10の近位端のところのルーメン20は、子宮管を模倣し、内側部分18がフォームで作られているので、医師は、模擬手術中、内側部分が例えばシリコーンで作られている場合に生じる可能性がある引裂きの恐れなしに、模擬組織構造体を掴んでこれを引くことができる。医師は、標的嚢胞42に接近して外側部分12を切り開き、そして嚢胞42を模擬子宮10から剥離する。
【0034】
本発明は、有利にはシリコーン材料とフォーム材料を組み合わせた模擬組織構造体10を提供し、シリコーン材料とフォーム材料は、中空の解剖学的構造体と組み合わせた状態で子宮外妊娠部、嚢胞、類線維腫、腫瘍または他の解剖学的部分を表現するよう解剖学的に有利な仕方で取り付けられる。本方法は、シリコーンを直接内側部分に塗布して外側部分を成形すると同時に外側部分を内側部分に対して一体的な仕方で成形して一体形構造体を形成するステップを含む。もしそうでなければ、シリコーン外側部分は、マンドレル上に別個に形成されていったん硬化すると取り外されなければならない。次に、成形済みの中空シリコーン構造体は、切開されなければならず、次に、フォーム部品がシリコーン構造体中に挿入される。シリコーン構造体を切開することは、フォーム材料の寸法および形状に対応し、他方フォーム内側部分の1つまたは2つ以上の端に解剖学的な特徴、例えば細い管状構造体を取り付けた状態に保持する唯一の仕方である。フォーム内側部分を挿入した後、切断されたシリコーンは、次に、互いに接着されて戻されなければならず、それにより問題の解剖学的構造が完成し、それにより下位の模擬組織構造体が作られる。フォーム内側部分18を取り外し可能であって模擬組織構造体中に一体化される成形マンドレルの一部として用いることによって、本発明は、有利には、製造プロセスにおける幾つかのステップを省き、かかるステップとしては、中空シリコーン形状物を切開するステップ、フォーム内側部分を切断によって作られた開口部中に挿入するステップ、次に完成時に開口部を接着して閉鎖するステップが挙げられる。中空形状物を切断することは、周囲の管状解剖学的構造体に対する内側部分の寸法によって必要となる。フォームインサートを中空シリコーン形状物に設けられた開口部中に押し込むと、その結果として、製造プロセス中にシリコーンの引裂きが生じる。それ故、本発明は、理想的な模擬組織構造体を作る上での多くの問題を解決する。さらに、マンドレル30からのシリコーン材料の取り外しは、複雑であり、というのは、シリコーンは、周知なように粘着性があり、複雑な形状物、例えば子宮外妊娠部を備えたファロピウス管は、工作物に対する損傷を生じさせないでマンドレルから取り外すのが極めて困難な場合があるからである。マンドレルへのフォームインサートの追加により、シリコーン部品をマンドレルから取り外す困難さが大幅に減少する。というのは、シリコーン部品の一部がマンドレルに直接取り付けられるのではなく、滑って容易にマンドレルから外れるフォームインサートに取り付けられるからである。解剖学的部分38またはマンドレル30の円筒形部分に取り付けられるシリコーンの部分を最初にフォーム内側部分の近くで束にするのが良く、次に内側部分18を滑らせてマンドレル30から容易に外すことができる。上述したように、フォームは、別個のコンポーネント、例えば嚢胞、類線維腫または腫瘍を全体として表現することができまたは三次元形状を保持しまたはある特定の解剖学的特性を定めるとともに再現するのを助けるよう種々の密度の充填材料または組織層としてちょうど役立つ。加うるに、シリコーンをフォーム上で硬化させることにより、模擬訓練手技に対して困難さの要素が加えられ、これらは、ある特定の状況では望ましい場合があり、というのは、組織平面相互間の剥離がいつでも容易であるというわけではないからである。本発明は、これら利点の全てを備えた模擬組織構造体を提供する。また、上述したように、変形例は、フォームの様々な密度を含む内側部分18のための種々の材料選択を含むことができ、プラスチックを解剖学的コンポーネントの所望の感触に応じて用いることができる。
【0035】
本発明の模擬組織構造体10は、腹腔鏡下手技に特に適しており、かかる模擬組織構造体を腹腔鏡下訓練装置とともに用いることができるが、本発明はこれには限定されず、本発明の模擬組織構造体10を単独で用いて種々の外科的処置を同等に効率的に練習することができる。
【0036】
次に
図14Aおよび
図14Bを参照すると、本発明による模擬組織構造体110が示されている。模擬組織構造体110は、少なくとも、第1の層112、第2の層114、および第1の層112と第2の層114との間に配置された少なくとも1つのスクリーンまたはステンシル層115を有する。第1の層112および第2の層114は、代表的には、シリコーンで作られて各層が第1の面および第2の面を有し、第1の面と第2の面との間に実質的に一様な厚さを有する扁平なシートの状態に形成される。第1および第2の層112,114は、実質的に同一であって扁平であり、一形態では、第1および第2の層112,114のうちの少なくとも一方は、透明または半透明であり、その結果、第1の層112と第2の層114との間に位置する少なくとも1つのスクリーン層116が第1および第2の層112,114のうちの一方を通して見えるようになっている。スクリーン層116は、レジスト、離型剤または剥離剤、接着剤、シリコーン、ヒドロゲルまたはスクリーン、ステンシル、プレート、マスクまたは他のイメージ転写方法を用いて被着される他の材料を塗布したものを含む。
図14Aおよび
図14Bは、特に、3つのシリコーン層および3つのシリコーン層相互間に位置する全部で2つのスクリーン層を示しており、各スクリーン層は、2つの隣り合うシリコーン層相互間に配置されている。模擬組織構造体110を製造するプロセスは、シリコーンまたは他の弾性材料のシートを注型して基層を形成するステップおよびスクリーン、ステンシルまたは他のイメージ転写方法を用いてレジスト、接着剤、シリコーンまたは他の材料を塗布して機能的ステンシル層を形成するステップを含み、この機能層は、硬化済みの基層に被着され、次に、この硬化済み基層を未硬化基層で覆い、かかる製造プロセスは、未硬化基層が硬化して外科的シミュレーションにとって望ましい特性を備えた材料の厚さを形成した後にこのプロセスを繰り返し実施するステップを更に含む。
【0037】
このプロセスの一形態は、ステンシルを用いてモールド離型剤またはレジストを所望のパターンでシリコーンシートに塗布するステップを含む。ステンシル、スクリーンまたはリソグラフィックプレート(刷板)を用いることによって、レジスト被覆を特定のパターンをなして、例えばドット、ハーフトーンまたは他のパターンをなして調整して2枚の材料シート相互間のある百分率の付着度または相対付着度を特定の領域に与えることができる。例えば、ステンシルが約50%開いたパターンを含み、そしてこのステンシルを用いてレジスト材料のステンシル層を等しい面積のシリコーン層に被着させる場合、隣接のシリコーン層の付着度は、約50%減少する。ステンシル、スクリーンまたは他のプレートを経てモールド離型剤/レジストのパターンをあらかじめ硬化させたシリコーンのシートの第1の表面に被着させる。次に、この前処理したシートをモールド内に残っている場合がありまたは残っていない場合があるシリコーンの未硬化シートの上に載せる。硬化済みシリコーンシートとステンシル層および未硬化シリコーン層の組み合わせに時間を与えて硬化させる。硬化すると、ステンシル層に起因してインターフェース平面を横切って可変インターフェース特性を備えたサンドイッチ状態の構造体が結果として得られる。多数の層についてこの方法を繰り返し実施すると、材料特性および視覚的特性に加えてかつ/あるいはこれらとは別個に、X‐Y平面インターフェースの可変性、Z軸に沿う特性を含む所望の特性を備えた模擬組織の指定された厚みが得られる。ステンシル、プレートまたはスクリーンを介するモールド離型剤/レジストのドットによって覆われる領域の百分率が高いと、滑らかに感じかつ引き離すのが容易な組織が作られる。ステンシル、プレートまたはスクリーンを介するモールド離型剤/レジストのドットにより覆われる領域の百分率が低いと、硬く感じられ、かつより一体形であり、かつ外科用器械を用いて切断しまたは引きはがすのが困難な中実のブロックが作られる。
【0038】
別の形態では、ステンシル、プレートまたはスクリーンを介してレジストまたはモールド離型剤を硬化済みシリコーンの層に被着させるのではなく、ステンシル、プレート、マスクまたはスクリーンを介してシリコーンまたは他の接着剤を特定のパターンをなしてまたはハーフトーンで硬化済みシリコーンの層に被着させ、次に、この硬化済みシリコーンの層を用いて2枚のあらかじめ硬化させたシリコーンシートを接合し、それによりインターフェース平面に沿って可変付着度を有する状態で選択的に被着させ、次に追加の層と組み合わせてZ軸に沿ってインターフェース平面内に可変付着度を有する多層構成体を作る。それ故、ステンシル層は、機能層であり、この層の機能は、接着、離型、および色から成る群から選択できる。
【0039】
ステンシル、プレートまたはスクリーン上のパターンは、ドットに制限されず、模擬組織構造体のためのステンシル層を作る材料を塗布することができ、この場合、種々の厚さおよび色の線、ウェブ、楕円形、正方形、曲線または他の形状を例えばステンシル層によって作って血管系、筋系、脂肪層または他の複雑な臓器および組織を二次元層で真似、構造体が多数の層を横切って移行するとともに続く三次元構成体の状態で隣り合う層と相互連絡する。この方法を用いて外科的シミュレーションで用いられるべき組織構造体の材料の全体的な所望の厚さを作る。
【0040】
加うるに、製版方法を採用するステンシル、スクリーンまたはプレートを用いてレジストまたは接着剤を塗布するこれら技術の各々をシリコーンの模様付きシートおよび注型ディッシュとともに用いると、材料の感触および応答を更に調整することができる。また、色を導入して互いに異なる解剖学的層および構成体を模倣することができる。色の追加は、外科的シミュレーション中におけるユーザナビゲーションを助けるとともにシミュレーション練習が完了した後のユーザ評価を助ける。例えば、切開創を練習している外科医は、ある特定の色、例えば赤色が目に見えるようになった場合に1つまたは2つ以上の基層を通る切開創が深すぎることを知ることになり、この場合、赤色は、訓練目的で視覚的指標の機能を実行するのに役立つ機能層に提供される。当然のことながら、色は、少なくとも機能層に用いることができ、それにより種々の外科的マーカ、解剖学的構造および標的、例えば腫瘍などを提供することができる。同様に、例えば、シミュレーション訓練が完了した後、層の評価を行って訓練および評価の目的で手技の精度を確かめることができる。例えば、層を分離して検査することができ、それにより切開創が深すぎるほど侵入したかどうかを知ることができまたは望ましくない解剖学的構造中への不必要な切断を行わないで別々の層への注意を注意深く払ったかどうかを理解することができる。
【0041】
一形態では、上述のレジスト方法を用いて模擬組織のブロックを作り、それにより複数の層を有する模擬組織のブロックを作り、この場合、これらの層は、肌色から白色、更に赤まで移行する。色および/またはインターフェース接着特性のグラデーションを有するこの多層模擬組織構造体を扱う場合、肌色および白色層の剥離は、シミュレーション練習に関して積極的な関心となる。また、積極的な関心は、評価において、例えば腹部に切開創を作る際に筋繊維を切断するのではなく筋繊維を分離する外科医の技量を説明する組織に関する術式の尊重に起因すると考えられる。模擬組織モデルの可変接着特性は、筋繊維の分離および組織に関する技術の他の関心の訓練を容易にするために用いられる。着色層が構成体を吟味して切れ目が例えば白色層を通って赤色層中に延びているかどうかを確認することによって練習後の評価に使用できる。例えば赤色層を切開した場合、外科医および評価者は、赤色層が遠すぎるほど切開されて訓練の続行が必要であることを知ることになる。本発明は、有利には、特に訓練環境において模擬組織構造体の感触および機能を向上させる一方で、外科医に対する生のフィードバックを提供するとともに特に剥離に関して評価手段を訓練生に提供する。
【0042】
特定のヒトおよび動物の解剖学的構造について模擬組織を作るために使用されるべきステンシル、スクリーン、マスクまたはプレート、例えばシルクスクリーンまたはリソグラフィックプレートを作ることによって、特定の所望の特性を達成することができる。シリコーンもしくはKRATONまたはヒドロゲルなどの2つの層相互間の接着剤またはレジストのパーセント面積および形状を制御することによって、外科的シミュレーションにおいて高度のリアリズムを達成することができ、そしてかかる高度のリアリズムは、従来可能ではなかった外科医の訓練方法を提供する。
【0043】
次に
図15を参照すると、本発明によるステンシル116が示されている。ステンシル116は、本明細書全体を通じて同一のステンシル116を説明するために区別なく用いられるプレート、スクリーン、マスクまたは他の類似物品とも呼びうる。ステンシル116は、頂面118を有し、この頂面は、底面120と反対側に配置されていてこれに相互連結されている。複数の穴122がステンシル116に形成されている。穴122は、頂面118を通って底面120まで延びている。穴122は、
図15に示されているようにパターンの状態に形成されている。
図15のパターンは、ステンシル116全体にわたって一様である。ステンシル116の解像度は、ステンシル116の平面内に位置するステンシルの角度、例えばステンシルの表面上に描かれた時計の9時に等しいと考えられるゼロ角度に沿って取られたカウントまたは任意他の角度と平行に測定された1インチ(2.54cm)当たりの線の本数または1インチ当たりのドットの個数として定められる。
【0044】
図15に示されている穴122は、形状が円形である。しかしながら、本発明は、これには限定されず、穴122は、任意所望の形状を有するよう形成できる。例えば、穴122は、丸形であっても良く、楕円形であっても良く、または正方形であっても良い。例えば、
図16は、小さな曲線のような形をした複数個の穴122を有するステンシル116を示している。湾曲した穴122の繰り返しパターンがステンシル116全体にわたって均等に設けられ、これらの湾曲した穴は、実際の手術でみられる血管系または他の解剖学的に正確な視覚的表示を真似ている。
図17に示されている穴122のパターンは、ステンシル116の一部分にのみ制限され、例えば、ステンシル116の中心に設けられた円形穴で作られている円の形状に形成され、3つの追加の円形穴122が大きな円の中心に位置している。穴122のパターンおよび個数は、模擬組織構造体の形成において特定の目的のために形成される。例えば、穴122は、関心のある解剖学的観点を表現するよう形作られるのが良い。例示の解剖学的観点は、血管系、例えば毛細血管を含む場合があり、したがって、ステンシル116は、ランダムに形成されまたはステンシル116にパターンをなして形成された複数の小さな曲線を有する。かかるステンシル116は、例えば代表的な構造ならびに色を有する機能層を提供するよう青色または赤色に着色されたシリコーンを計量するために使用できる。別の実施例は、筋の特徴を付与するよう構成されたステンシル116を含む場合がある。したがって、ステンシル116の穴122は、細長く、真っ直ぐであり、互いに実質的に平行であり、そして筋の層に見受けられる筋線紋を表現するよう角度が付けられるのが良い。かかるステンシル116は、赤色シリコーンまたはヒドロゲル材料の層を計量するよう採用でき、またはステンシル116を介して計量されたヒドロゲル層とヒドロゲル層上に直接被着された着色シリコーン層115を積み重ねることによって多数の層を形成でき、そして多数の層をステンシル116によって形成された2つの機能層相互間のシリコーンの硬化済みの層によって隔てることができる。変形例として、シリコーンの層は、ステンシル116を介して形成され、そして1つまたは2つ以上のヒドロゲル層によってサンドイッチされる。ヒドロゲルで作られた機能層は、模擬組織構造体110に対する電気外科を模倣するために電気を伝えるよう構成されている。種々の形状、パターンおよび配置の穴122の複雑な形態を有するステンシル116が
図18に示されている。
図18では、円形穴122の一様なパターンがステンシル116の右上のコーナー部に見え、小さな円のような形をした穴122の湾曲配列がステンシル116の左下のコーナー部に形成され、これらの穴は、円形穴122で形成された曲線によって隔てられている。特注ステンシル116が多数の層から成る模擬組織構造体のうちの1つの層に特定の観点または特徴を作るよう形成されている。また、多数のステンシルを同一のインターフェースのところに用いてそのインターフェースのための特性の特注配置状態を作ることができる。かかる特性としては、材料特性、接着品質、色および形状が挙げられるが、これらには限定されない。ステンシル116は、結果的に得られるステンシル層の種類、量および所望の厚さについて選択された厚さを有するのが良い。
【0045】
次に
図19を参照すると、頂面124を備えた第1の基層112が示されており、頂面124は、底面126に相互連結されるとともにこの底面からみて反対側に配置されている。頂面124は、実質的に平坦であり且つ実質的に平坦な底面126に平行である。ステンシル116が第1の層112から間隔を置くとともにステンシル116の底面120が第1の層112の頂面124に向くように差し向けられた状態で示されている。ステンシル116は、丸形であってステンシル116を横切って一様なパターンの状態に形成された複数の穴122を有している。穴122の形状およびパターンは、例示であって、本発明を限定するものではない。
図20に示されている次のステップでは、ステンシル116を第1のシートまたは第1の層112上に載せてステンシル116の底面120が第1の層112の頂面124に接触しまたはこれに向くようにする。モールド離型剤、レジスト、グリース、粉末、潤滑剤、または他の物質がステンシル116に塗布されてこの物質が穴122を通って第1の層112の頂面124に塗布されるようになっている。ステンシル116は、取り外され、後には、ステンシル116上の穴122のパターンおよび形状と同じパターンおよび形状をなして
図21に示されているように第1の層112上に塗布された物質または第1のステンシル層115aのパターンが残る。この実施例では、第1のステンシル層115aは、複数のパターン付けされたドットを含む。変形例として、離型剤に代えて、接着剤、例えばグルーもしくはシリコーンまたは他の接着剤を用いて、ステンシル116を介してかかる接着剤を第1の層112に塗布しても良い。さらに、ステンシル116を介して塗布される物質は、導電性物質、例えばヒドロゲルまたは導電性を有する物質/フィラメントであっても良い。また、物質は、層の縫合糸保持能力を向上させるよう繊維またはメッシュを含むのが良い。第1の層112は、シリコーン、例えば白金硬化室温加硫シリコーン(PCRTVS)ゴムの硬化済みの層である。第1の層112は、KRATON、任意のエラストマーもしくはヒドロゲルまたは他の導電性物質もしくはポリマー材料で作られても良い。第1のステンシル層115aは、ステンシル116の取り外し前または後のいずれかに硬化するようにする。
図21は、ステンシル116が構成体から取り外された状態の模擬組織構造体110の少なくとも一部分を示している。ステンシル116により塗布された物質のうちの任意のものは、模倣の対象である解剖学的構造または透明度と色の組み合わせを採用して作られるのが望ましい視覚的効果に適した色を含むのが良い。本発明の一観点では、
図21の構造は、完成状態の模擬組織構造体である。本発明の別の観点では、同種または異種材料の1つまたは2つ以上の追加のステンシル層115が同一または異なるステンシル116を通って先に被着されたステンシル層115aの上方に直接か先に被着されたステンシル層115aからオフセットした状態かのいずれかで被着されるのが良い。
【0046】
本発明による模擬組織構造体の形成方法の次のステップが
図22に示されており、ここでは、第1の基層112と1つまたは2つ以上のステンシル層115aの組み合わせ、例えば
図21に示されている組み合わせが第2の基層114と並置して配置される。一形態では、第2の基層114は、第1のステンシル層115aおよび第1の層112の頂面124に塗布されて硬化し、それにより硬化する未硬化シリコーン、PCRTVSであり、それにより第1の層112および第2の層114を含むサンドイッチが形成され、1つまたは2つ以上の第1のステンシル層115aが第1の層と第2の層との間に配置されている。依然として
図22を参照すると、第2の層114は、底面132と相互連結された頂面130を有する。第1のステンシル層115aが接着剤機能を有する場合、第1の層112および第2の層114は、パターン付けされた第1のステンシル層115aの配置場所に強力な接着箇所を有することになる。第1のステンシル層115aがレジストまたは離型剤として機能できる材料を含む場合、第1の層112および第2の層114は、第1の層112と第2の層114がパターン付けされたステンシル層15aの配置場所のところで簡単かつ容易に分離できる場所を有することになる。すなわち、第2の層114の底面132は、第1のステンシル層115aの配置場所のところで第1の層112の頂面124から取り外し可能でありまたは分離可能である。結果的に得られる模擬組織構造体110は、この製造段階では完全であるとみなすことができ、または
図22の完成状態のサンドイッチを採用してこれを
図23に示されているようにステンシル116と並置した平行で平らな状態に配置することによって多層構造体の状態に作りあげることができもしくは進めることができる。ステンシル116は、第1の層112と並置状態で用いられるステンシルと同一のステンシル116であっても良くまたはこれとは異なるステンシル116であっても良い。同一のステンシル116が用いられる場合、これを先のステンシル116の真上に配置しても良くまたはこの位置からオフセットした状態に配置しても良くまたは先のステンシル116に対して角度をなして差し向けても良い。第2のステンシル116は、第1のステンシル116に対して異なるパターンの穴122を有しても良く、これらの穴122は、先のステンシル116のパターン、形状および寸法とは異なる形状および寸法を有しても良い。ステンシル116の底面120は、ステンシル116の底面120が第2の層114の外面に向くよう第2の層114と並置関係をなしてまたはこれと接触関係をなして配置されている。一形態では、第1のステンシル層115aは、第2の層114越しに見え、その理由は、第2の層114が透明または半透明だからである。ステンシル116が定位置にある状態で、モールド離型剤、レジスト、グリース、粉末、潤滑剤または他の物質をステンシル116に塗布して、この物質が第2のステンシル116の穴122を通って第2の層114の頂面130に塗布されるようになっている。ステンシル116は、取り外され、後には、
図24に示されているように第2の層114上に塗布された物質または第2のステンシル層115bのパターンが残る。この実施例では、第2のステンシル層115bは、第1のステンシル116を介して物質を印刷した結果としてのドットの第1のパターンからオフセットしている複数のパターン付けされたドットを含む。変形例として、離型剤に代えて、接着剤、例えばグルーもしくはシリコーンまたは他の接着剤を用いて、ステンシル116を介してかかる接着剤を第2の層114に塗布しても良い。さらに、ステンシル116を介して塗布された物質は、導電性物質、例えばヒドロゲルまたは導電性フィラメントを有する物質であって良い。また、この物質は、繊維またはメッシュを含むのが良い。所望のインターフェース特性は、第2の層114と第3の層134との間のインターフェースのためにステンシル116を介して第2の層114に塗布される。
【0047】
本発明にしたがって模擬組織構造体の製造方法の次のステップが
図25に示されており、ここでは、第1の基層112、第1のステンシル層115a、第2の基層114および第2のステンシル層115bの組み合わせが第3の基層134と並置関係をなして配置されている。一形態では、第3の基層134は、第2のステンシル層115bおよび第2の基層114の頂面130に塗布されて硬化する未硬化シリコーンであるPCRTVSである。ステンシル116は、第1のステンシル層115aが第1の層112と第2の層114との間に位置した状態の第1の層112および第2の層114と第3の層134のサンドイッチを形成するよう取り外され、第2のステンシル層115bが第2の層114と第3の層134との間に配置されている。第3の層134は、底面138と相互連結されて実質的に一様な厚さを定める頂面136を有する。第2のステンシル層115bが接着剤を含む場合、第2の層114および第3の層134は、パターン付けされた第2のステンシル層115bの配置場所に強力な接着箇所を有することになる。第2のステンシル層115bがレジストまたは離型剤を含む場合、第2の層114および第3の層134は、第2の層114と第3の層134が第2のステンシル層115bの物質のドットの配置場所で簡単かつ容易に分離できる場所を有することになる。すなわち、第3の層134の底面138は、第2の層114の頂面130から取り外し可能でありまたは分離可能である。それ故、多数の層相互間のインターフェース特性の特注配置状態が作られる。結果的に得られる模擬組織構造体110は、この製造段階では完全であるとみなすことができ、または
図25の完成状態のサンドイッチを採用し、これを
図26に示されているように別のステンシル116と並置状態に配置して第3のステンシル層115cを形成することによって多層構造体の状態に作りあげることができもしくは進めることができる。ステンシル層115a,115bが
図26に示されたサンドイッチ構造に見え、というのは、第2の層114および第3の層134は、一形態では透明または半透明なシリコーン層だからである。
【0048】
依然として
図26を参照すると、ステンシル116を第3のシートまたは第3の層134上に載せてステンシル116の底面120が第3の層134の頂面136に接触しまたはこれに向くようにする。モールド離型剤、レジスト、グリース、粉末、潤滑剤、または他の物質がステンシル116に塗布されてこの物質が穴122を通って第3の層134の頂面124に塗布されるようになっている。ステンシル116は、取り外され、後には、
図26に示されているように第3の層134上に塗布された物質または第3のステンシル層115cのパターンが残る。この実施例では、第3のステンシル層115cは、第1のステンシル層115aおよび第2のステンシル層115bから僅かにオフセットした複数のパターン付けドットを有する。変形例として、離型剤ではなく、接着剤、例えばグルーもしくはシリコーンまたは他の接着剤を用いて、ステンシル116を介してかかる接着剤を第3の層134に塗布しても良い。さらに、ステンシル116を介して塗布される物質は、導電性物質、例えばヒドロゲルまたは導電性フィラメントを有する物質であっても良い。また、物質は、繊維またはメッシュを含むのが良い。第3の層134は、シリコーン、例えば白金硬化室温加硫シリコーン(PCRTVS)ゴムの硬化済みの層である。第3の層134は、KRATON、任意のエラストマーもしくはヒドロゲルまたは他の導電性物質もしくはポリマー材料で作られても良い。第3のステンシル層115cは、ステンシル116の取り外し前または後のいずれかに硬化するようにする。
図26は、ステンシル116が構成体から取り外され、第4の基層140が被着された模擬組織構造体110の少なくとも一部分を示している。ステンシル116により塗布された物質のうちの任意のものは、模倣の対象である解剖学的構造または模擬組織構造体110にとって所望の訓練および評価目的に適当な色、形状および構造を含むのが良い。本発明の一観点では、
図26の構造体は、完成状態の模擬組織構造体である。本発明の別の観点では、同種もしくは異種材料または機能特性の1つまたは2つ以上の追加のステンシル層115は、先に被着されたステンシル層115cの真上かあるいは先に被着されたステンシル層115cからオフセットしているかのいずれかの状態で同一または異なるステンシル116を通って被着されるのが良い。
図26に示されているように、色の興味あるパターンおよび/または他の材料特性が作られており、これが模擬組織構造体110中に組み込まれ、そしてこれらは、中間層の透明度によって高められる。ステンシル穴122の互いに異なる形状によって作られた色パターンは、色が暗く見える場合のある腫瘍色付けを含む本物の組織色付けを真似るようになっている。さらに、例えば1つまたは2つ以上の暗い色に着色され、黒色、茶色または暗赤色のドットの配置場所における手術法およびドットの同一または周囲の場所のモールド離型の性能により、模擬腫瘍場所を、本発明の模擬組織構造体110を利用した手技を練習する際に、本物のように除去することができる。離型/レジストまたは接着剤の配置場所またはパターンは、あらかじめ決定され、一形態では、外科医にメスまたは他の器具で取られるべき最適切除経路を教示するよう配置されている。
【0049】
依然として
図26を参照すると、第1の層112、第2の層114、第1の層と第2の層との間には位置された第1のステンシル層115a、第3の層134および第3の層134の頂面136上に配置された第3のステンシル層115cのサンドイッチ構成体が第4の層140と並置して配置されている。第4の層140は、第3のステンシル層115cをサンドイッチするよう第3の層134の頂面136上に配置された白金硬化室温加硫シリコーン(PCRTVS)の予備成形かつ予備硬化シートであるのが良い。変形例として、未硬化PCRTVSの第4の層140がサンドイッチ構成体上に注がれ、そして接着剤が設けられている場合に第3のステンシル層115cのドットの配置場所において強力に接着するか、あるいは離型剤またはレジストが用いられている場合に第3のステンシル層115cのドットの配置場所で容易に分離できるかのいずれかの第3のステンシル層115cの材料に応じて硬化する。
図26および
図27に示された模擬組織構造体110は、本発明の一形態では、第1の層112、第2の層114、第3の層134および第4の層140を含む最終構成体を示しており、第1のステンシル層115aが第1の層112と第2の層114との間に配置され、第2のステンシル層115bが第2の層114と第3の層134との間に配置され、第3のステンシル層115cが第3の層134と第4の層140との間に配置されている。一形態では、層112,114,134,140は、ステンシル層115a,115b,115cのドットが構造体110越しに少なくとも部分的に見える状態に保つよう透明である。ステンシル層115a,115b,115cの各々は、互いに異なる色で形成されるのが良い。例えば、第1のステンシル層115aは、緑色であり、第2のステンシル層115bは、青色であり、第3のステンシル層115cは、赤色である。その結果、RGB色空間および形状のモアレパターンが得られる。また、一形態では、
図26および
図27に示された構成体の場合、第4の層140である最も上の層は、皮膚を表すよう肌色または黄褐色に着色されている。模擬組織構造体110の層状化は、ステンシル層115および基層を更に追加して説明したように続くのが良く、それにより構成体の内部に位置する応答に適した区分およびインターフェースのサンドイッチスタックを作る。
【0050】
次に
図28を参照すると、ヒトの網(omentum)の動脈を真似るよう構成された複数の穴122を有するステンシル116の別の形態が示されている。
図28のステンシル116は、複数の穴122を通って網動脈の独特の形状をなして赤色に着色されたシリコーンを第1の基層(図示せず)上に置くために用いられる。網の動脈構造を第1の基層との間にサンドイッチするために第2の基層が採用されるのが良く、それにより模擬網が完成される。ステンシル116は、網の動脈構造の形成には限定されず、所望の結果が得られるよう特定の臓器/組織の構造または独特の形状を真似る独特の穴122とともに使用できる。
【0051】
次に
図29を参照すると、第1の基層112と並置した第1のステンシル116aの別の形態が示されている。第1の基層112は、上述したようなシリコーンの扁平なシートである。第1のステンシル116aは、少なくとも1つの穴122を有する。特に、第1のステンシル116aは、円形の穴122および細長い穴122aを含む第1の組をなす穴122を有する。各細長い穴122aは、例えばシリコーン、接着剤、離型剤、ヒドロゲル、導電性材料、ファイバーフィル、メッシュ、フィラメントまたは任意他の所望の材料で作られた第1のステンシル層115aを被着させる形状を定める第1の端152および第2の端154を有する。
図30には、第1の基層112の頂面に被着された第1のステンシル層115aが示されている。ステンシル116aの穴122aは、第1の基層112上に細長い構造およびドットを有する第1のステンシル層115aを形成しており、各細長い構造は、第1の端152aおよび第2の端154aを有する。模擬組織構造体は、
図31に示されているように第2の基層114が第1のステンシル層115aおよび第1の基層112を覆った状態で作られている。模擬組織構造体は更に、
図32に示されているように第2のステンシル116bが付けられた状態で作られている。第2のステンシル116bは、複数の穴122を有する。特に、第2のステンシル116bは、円形の穴122および細長い穴122bを含む第1の組をなす穴122を有する。各細長い穴122bは、例えばシリコーン、接着剤、離型剤、ヒドロゲル、導電性材料、ファイバーフィル、メッシュ、フィラメントまたは任意他の所望の材料で作られた第2のステンシル層115bを被着させる形状を定める第1の端156および第2の端158を有する。
図33には、第2の基層114の頂面に被着された第2のステンシル層115bが示されている。ステンシル116bの穴122bは、第2の基層114上に細長い構造およびドットを有する第2のステンシル層115bを形成しており、各細長い構造は、第1の端156aおよび第2の端158aを有する。
図34は、第2のステンシル層115bおよび第2の基層114の上方に被着された第3の基層134を示している。
図35は、
図34の構成体と並置した第3のステンシル116cを示している。第3のステンシル116cは、各々が第1の端160および第2の端162を有する細長い構造を含む複数の穴122cを有する。第3のステンシル116cは、
図36に示されているように第3のステンシル層115cを印刷するよう第3の基層134の上に配置されている。第3のステンシル層115cは、複数のドットおよび細長い構造を有し、各構造は、第1の端160aおよび第2の端160bを有する。次に、第4の基層140が
図37に示されているように第3のステンシル層115cおよび第3の基層134上に重ね合わされて構造体110を完成している。
図38の模擬組織構造体110の透視図は、ステンシル層115a,115b,115cによって形成された複数のドットがインターフェースに沿って可変付着度の機能的パターンをどのようにして作っているかを示している。さらに
図38は、ステンシル層の複数の印刷ドットが、特に基層112,114,134,140のうちの任意の1つまたは2つ以上が透明である場合に色パターンをどのようにして作ることができるかを示している。結果として得られる独特の色パターンは、解剖学的特徴部、例えば血管系、動脈および管を表す場合がある層の細長い構造体の存在場所を突き止めるのが困難であるのを増大させる真に迫った図を作っている。ステンシル116a,116b,116cは、各基層上に解剖学的構造を印刷するよう順番に用いられるよう構成されており、その結果、解剖学的構造は、X‐Y平面内で印刷されるインターフェース内で広がるだけでなく、
図39で理解できるように模擬組織構造体のX‐Y平面に垂直なZ軸に沿って見たときに模擬組織構造体全体のX‐Y平面内で広がるように見える。一形態では、解剖学的構造は、基層と交差せず、単にこれらの端点のところでオーバーラップし、それにより解剖学的構造が連続している外観が与えられている。例えば、第1のステンシル116aは、近位端152aおよび遠位端154aを有する少なくとも1つの解剖学的構造を第1の基層112上に印刷するために用いられ、第2のステンシル116bは、Z軸に沿って見たときにインターフェースを横切る解剖学的構造の連続性の外観を与えるよう先に印刷された解剖学的構造の遠位端154aのところにまたはこれに隣接したもしくはこれとオーバーラップした近位端152aを第2の基層114上に印刷することによって、少なくとも1つの解剖学的構造の連続性を第2の基層114上に印刷するために用いられている。さらに、第3のステンシル116cは、Z軸に沿って解剖学的構造の連続性の外観を与えるよう先に印刷された解剖学的構造の遠位端158aのところにまたはこれに隣接したもしくはこれとオーバーラップした近位端160aを第3の基層134上に印刷することによって、少なくとも1つの解剖学的構造の連続性を第3の基層134上に印刷するために用いられている。別の形態では、基層114a,134aは、解剖学的構造のオーバーラップした端の存在場所に穴を備え、その結果、解剖学的構造を印刷したときに印刷の際に用いられる湿潤状態のシリコーンまたは他の物質が基層114a,134aの穴を通ってZ軸を横切る不連続性を除くことができるようになっている。ヒドロゲル材料または他の導電性もしくは非導電性材料が解剖学的構造の印刷の際に用いられる場合、導電性/非導電性流体回路が印刷され、この流体回路は、次に、アースおよび模擬電気外科または他の手術のための電源に接続されるのが良い。
【0052】
本発明にしたがって形成された模擬組織構造体110は、有利には、ステンシルを用いて印刷される機能層を非機能的基層または支持層相互間に導入する。機能層の印刷の際、ステンシルは、材料を基層上にパターン付けするために用いられ、次に、ステンシルが取り外される。各機能層は、1つまたは2つ以上の機能的目的を果たすことができる。また、多数の機能層が2つの隣り合う基層相互間に連続的に印刷できまたは互いに異なる機能層が互いに異なるインターフェース配置場所に印刷することができる。上述したように、ステンシル層は、2つの基層相互間の機械的相互作用を提供する機能を果たすことができる。例えば、接着剤および/または離型剤の配設場所ならびに接着剤および/または離型の度合いは、離型剤/接着剤または他の物質がその特定のインターフェースについてカスタマイズされた特性を作るよう機械的特性の形式および強度を提供するにせよそうでないにせよいずれにせよ、器械の相互作用の場所および印刷される材料の形式を提供するよう特定の形状、パターンをなして印刷された機能層によって提供できる。弱い機械的連結部の領域は、離型剤/レジスト材料などを印刷することによって提供できる。基層相互間の強い機械的取り付け領域は、未硬化シリコーンを硬化済みシリコーンの基層上に印刷しまたは接着剤、グルーなどを印刷することによって提供できる。機能層によって達成される別の目的は、例えば電気外科を練習するのに適した模擬組織構造体を作るために導電経路を提供することにある。かかる場合、ヒドロゲルがステンシルを介して基層上に印刷される。ヒドロゲルの流体回路が機能層のドットまたは他のパターンを相互連結し、機能層をアースまたは電源に更に接続するようパターン付けされるのが良い。回路を作ることは、導電性のための経路を与えるよう導電性フィラメントなどを含むヒドロゲル以外の導電性材料を印刷するとともに非導電性領域/経路を提供することによって実施できる。機能層がもたらすことができる別の機能的目的は、縫合性である。かかる場合、ステンシルは、メッシュ、繊維などと一緒にシリコーンを敷いて縫合糸を保持するための領域を強化するために用いられる。ステンシル層の別の機能は、剥離であるのが良い。例えば、ポリフィル(polyfill)材料が用いられてステンシルを介して乾燥したまたは濡れたシリコーン基層上に塗布されてポリフィル材料を特定の場所で基層相互間に埋め込むことができ、次に、シリコーンの隣接した湿潤層を被着させてポリフィル繊維を切断することによって剥離しまたは分離するのが容易な機能的インターフェースを作ることができる。機能層は、真に迫った色付けを層に提供するのに役立つことができ、あるいは、透明なまたは半透明な基層と関連して用いられた場合、色パターンは、他の色の機能層とオーバーラップして全体的効果を作ることができる。また、上述したように、機能層は、基層相互間および/または基層を横切って解剖学的構造を配置するために使用できる。種々の解剖学的構造を表す独特の形状は、ステンシルを用いて形成でき、かかる形成の仕方としては、例えばトルト筋膜の形状および色、網、解剖学的ランドマーク/構造体などを印刷することが挙げられるが、これには限定されない。本発明の別の形態では、ステンシルは、構成体から取り外されず、模擬組織構造体の一体形部品となるよう残される。例えば、ステンシルは、解剖学的骨構造または軟骨を表すよう形作られるのが良く、そして隣接の基層が未硬化状態で被着される2つの基層相互間に配置され、それによりステンシルを埋め込むよう隣接の基層とインターロックする。別の形態では、ステンシルは、残されたままの状態では解剖学的構造を表さず、結果として得られる構造体に構造的剛性を付与するよう設計されるとともに構成される。さらに別の形態では、ステンシルは、2つの基層相互間に中間の機能層を被着するようには採用されず、これとは異なり、ステンシル開口部によって画定された選択された領域内で隣接の基層に取り付け可能にステンシルの穴を通る隣接の未硬化シリコーン基層の被着を単に可能にするのに役立つ。
【0053】
本発明の模擬組織構造体110は、腹腔鏡下手技に特に適しており、かかる模擬組織構造体を腹腔鏡的訓練装置に用いることができるが、本発明は、是には限定されず、本発明の模擬組織構造体110は、ファーストエントリー外科的手技を同等に効果的に訓練するよう単独で使用できる。
【0054】
理解されるように、本明細書において開示された人工組織シミュレーションの実施形態およびこれら実施形態の製造方法の種々の改造が可能である。したがって、上述の説明は、本発明を限定するものと解されてはならず、好ましい実施形態の単に例示として介されるべきである。当業者であれば、本発明の範囲および精神に属する他の改造例を想到するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模擬組織構造体であって、
第1の側面および第2の側面を備えた扁平な第1の基層を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間には実質的に一様な厚さが定められ、
模擬組織構造体は、
第1の側面および第2の側面を備えた扁平な第2の基層を有し、前記第1の側面と前記第2の側面との間には実質的に一様な厚さが定められ、前記第2の基層の前記第2の側面は、前記第1の基層の前記第1の側面に向き、前記第2の基層は、前記第1の基層に付着し、
模擬組織構造体は、
前記第1の基層と前記第2の基層との間に配置された機能材料を備えた少なくとも1つの機能層を有する、模擬組織構造体。
【請求項2】
前記少なくとも1つの機能層は、前記第1の基層と前記第2の基層との付着度を増大させるよう構成された材料から成る、請求項1記載の模擬組織構造体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの機能層は、前記第1の基層と前記第2の基層との付着度を減少させるよう構成された材料から成る、請求項1記載の模擬組織構造体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機能層は、着色シリコーンから成り、前記第1の基層および前記第2の基層のうちの1つまたは2つ以上は、透明でありまたは部分的に透明である、請求項1~3の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機能層は、解剖学的構造体の形をした着色シリコーンから成る、請求項1~4の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項6】
前記少なくとも1つの機能層は、前記機能材料を被着させるための少なくとも1つの穴を備えたステンシルを介して形成されている、請求項1~5の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの穴が、所望のパターンに形成された複数の穴からなる、請求項6に記載の模擬組織構造体。
【請求項8】
前記機能材料が、未硬化シリコーン、接着剤、レジスト、剥離剤、ポリフィル(polyfill)、ヒドロゲル、導電性材料、メッシュ、およびフィラメントから成る群から選択される、請求項1~7の何れか1項記載の模擬組織構造体。
【請求項9】
前記機能材料が、前記第1の基層と前記第2の基層との間の界面においてカスタマイズされた機械的特性を提供するように構成されている、請求項1~8の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項10】
前記少なくとも1つの機能層は、前記第1の基層と前記第2の基層との間の器械の相互作用の場所を提供するように構成されている、請求項1~9の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項11】
前記器械の相互作用の場所が、接着または離型のための特定のパターンを使用して提供される、請求項10に記載の模擬組織構造体。
【請求項12】
模擬組織構造体を製造する方法であって、
扁平な第1の基層を用意するステップと、
少なくとも1つの穴を備えた第1のステンシルを用意するステップと、
前記第1のステンシルを前記第1の基層に被着させるステップと、
前記第1のステンシルを介して第1のステンシル層を前記第1の基層に被着させるステップと、
前記第1のステンシルを取り外すステップと、
扁平な第2の基層を用意するステップと、
前記ステンシル層および前記第1の基層上に前記第2の基層を被着させるステップと、
前記第2の基層を前記第1の基層に付着させるステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記第1のステンシル層を被着させるステップが、未硬化シリコーン、接着剤、レジスト、リリース、ポリフィル、ヒドロゲル、導電性材料、メッシュ、及びフィラメントからなる群より選択される材料を適用するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の基層を被着させるステップは、未硬化のシリコーンを適用することを含み、前記シリコーンを硬化させるステップをさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの穴を備えた第2のステンシルを用意するステップと、
前記第1のステンシル層および前記第1の基層上に前記第2のステンシルを被着させるステップと、
前記第2のステンシルを介して第2のステンシル層を前記第1の基層および/または前記第1のステンシル層上に被着させるステップと、を更に含む、請求項12~14の何れか1項に記載の方法。
【外国語明細書】