(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110106
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】厳密にN個の電極および改善された乾式電極を用いてN個の神経を刺激するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20220721BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081640
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2019500578の分割
【原出願日】2017-07-06
(31)【優先権主張番号】62/360,265
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/432,519
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515196735
【氏名又は名称】カラ ヘルス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CALA HEALTH,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】ウォング,セレナ,ハンイン
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ,グレゴリー,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ハムナー,サミュエル,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブルース,キャスリン,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】コロンボ,ジョン,ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB23
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ05
4C053JJ21
4C053JJ27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特に振戦を治療する末梢神経を刺激するためのシステム、装置、および方法を提供する。
【解決手段】神経刺激は、手首または他の身体部分に装着するように構成されたバンドなどの装着可能な神経刺激装置によって達成することができる。装置は、周方向に離間して配置された電極を使用して標的神経刺激を達成することができる。一部の実施形態において、装置は、刺激される神経の数と同じ数の電極のみを使用してもよい。二相電荷均衡波形は、一方の活性化電極の近くの神経を選択的に刺激するために使用され得るが、他方の活性化電極の近くの神経を刺激するためには使用されない。装置は、長期間繰り返し使用するために乾式電極を使用してもよい。乾式電極は、導電性ベース層と、導電性充填材を含むポリマー、プラスチックまたはゴムの皮膚接触層とを含むことができる。充填材は、粉末、繊維、導電性コーティングなどであり得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の少なくとも2つの末梢神経を非侵襲的に刺激するためのシステムであって、
第1の電極および第2の電極であって、前記第1の電極は第1の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置されるように構成され、前記第2の電極は第2の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置されるように構成される第1の電極および第2の電極と、
電気刺激を生成するように構成された刺激装置であって、前記刺激装置は、前記第1の電極および前記第2の電極と電気的に連通している刺激装置と、
前記刺激装置による前記電気刺激の生成を制御するように構成されたコントローラであって、前記電気刺激は、電荷が均衡しており、興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含み、ここで前記第1の電極は興奮電極として機能し、前記第2の電極は電荷均衡電極として機能するコントローラとを含み、
前記システムは、刺激されるように構成された神経の数と厳密に同じ数の電極を含む、システム。
【請求項2】
前記第1の刺激波形の前記興奮相は前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相と同じ振幅および持続時間を有し、前記第1の刺激波形は前記第1の末梢神経および前記第2の末梢神経を同時に刺激するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の刺激波形の前記興奮相は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第1の刺激波形は前記第1の末梢神経を刺激し、前記第2の末梢神経を刺激しないように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラによって生成される前記電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形をさらに含み、前記第1の電極および前記第2の電極の極性は、前記第2の刺激波形において前記第1の電極が前記電荷均衡電極として機能し、前記第2の電極が興奮電極として機能するように、前記第1の刺激波形と前記第2の刺激波形との間で切り替えられており、前記第2の刺激波形の前記興奮相は、前記第2の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第2の刺激波形は、前記第2の末梢神経を刺激し、前記第1の末梢神経を刺激しないように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の電極および第2の電極は装着可能なバンド上に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の電極および前記第2の電極が前記第1の神経および前記第2の神経に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との間隔よりも離間して配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の神経および前記第2の神経が前記第1の電極および前記第2の電極に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔よりも小さい間隔で配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅より少なくとも約4倍大きい、請求項1または請求項3から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅よりも約10倍未満大きい、請求項1または請求項3から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔に基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項1または請求項3から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の神経および前記第2の神経の深さにさらに基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項1または3から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の電極および前記第2の電極は、導電性裏打ち層および前記導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層を含む乾式電極であり、前記皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含み、前記皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記乾式電極の前記導電性裏打ち層は金属箔を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記金属箔は可撓性ポリマー基板上に配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記導電性充填材料は、粉末または微粒子材料を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記導電性充填材料は、金属、炭素、またはそれらの混合物を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記導電層は、導電性コーティングで処理された多孔質材料を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記皮膚接触層は、約10Aから約100Aのショア硬さを有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記皮膚接触層は、約1オームセンチメートルから約2000オームセンチメートルの体積抵抗率を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記皮膚接触層の前記皮膚に面する表面を横切る複数の点で測定された抵抗またはコンダクタンスは、平均測定された抵抗またはコンダクタンスの約50%以内の標準偏差を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記皮膚接触層はシリコーンを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルまたは単層カーボンナノチューブを含み、前記導電性充填材料の均一性は、前記皮膚接触層を横切る抵抗率の差が約5%未満であるようなものである、請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
前記導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項24】
前記導電性充填材料は、単層カーボンナノチューブを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項25】
銀被覆ガラスバブルの前記充填量は、前記皮膚接触層の約3%から約30%である、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
単層カーボンナノチューブの前記充填量は、約1%から約5%である、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記皮膚接触層は、約25Aから約55Aのショア硬さを有する、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記皮膚接触層は、約50オームセンチメートルから約1000オームセンチメートルの体積抵抗率を有する、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
患者の少なくとも2つの末梢神経を非侵襲的に刺激するためのシステムであって、
第1の電極および第2の電極であって、前記第1の電極は第1の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置されるように構成され、前記第2の電極は第2の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置されるように構成される第1の電極および第2の電極と、
電気刺激を生成するように構成された刺激装置であって、前記刺激装置は、前記第1の電極および前記第2の電極と電気的に連通している刺激装置と、
前記刺激装置による前記電気刺激の生成を制御するように構成されたコントローラであって、前記電気刺激は、電荷が均衡しており、興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含み、ここで前記第1の電極は興奮電極として機能し、前記第2の電極は電荷均衡電極として機能し、前記第1の刺激波形の前記興奮相は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第1の刺激波形は前記第1の末梢神経を刺激し、前記第2の末梢神経を刺激しないように構成されるコントローラと
を含む、システム。
【請求項30】
前記システムは、2つ以下の電極を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記コントローラによって生成される前記電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形をさらに含み、前記第1の電極および前記第2の電極の極性は、前記第2の刺激波形において前記第1の電極が前記電荷均衡電極として機能し、前記第2の電極が興奮電極として機能するように、前記第1の刺激波形と前記第2の刺激波形との間で切り替えられており、前記第2の刺激波形の前記興奮相は、前記第2の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第2の刺激波形は、前記第2の末梢神経を刺激し、前記第1の末梢神経を刺激しないように構成される、請求項29または30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1の電極および前記第2の電極は装着可能なバンド上に配置される、請求項29から31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の電極および前記第2の電極が前記第1の神経および前記第2の神経に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との間隔よりも離間して配置される、請求項29から32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の神経および前記第2の神経が前記第1の電極および前記第2の電極に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔よりも小さい間隔で配置される、請求項29から33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅より少なくとも約4倍大きい、請求項29から34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅よりも約10倍未満大きい、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔に基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項29から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1の神経および前記第2の神経の深さにさらに基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
電極の数は刺激される神経の数に等しい、請求項29から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
1つ以上の追加の電極をさらに含み、追加の各電極は末梢神経の上に配置され、前記コントローラは前記電極のうちの1つを前記興奮電極として選択し、他の電極のうちの1つを前記電荷均衡電極として選択するように構成することができ、前記興奮電極の前記選択は、刺激される前記末梢神経に基づく、請求項29から39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記電荷均衡電極の前記選択は、部分的に前記興奮電極と前記電荷均衡電極との前記間隔に基づく、請求項29から40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
刺激される各末梢神経ごとに厳密に1つの電極を用いて、患者の複数の末梢神経を非侵襲的に刺激する方法であって、
第1の電極を第1の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置するステップと、
第2の電極を第2の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置するステップと、
前記第1の末梢神経を刺激するために前記第1の電極を通して第1の電気刺激を送達するステップとを含み、前記第1の電気刺激は、電荷均衡であり、かつ前記第1の電気刺激の間、前記第1の電極が興奮電極として機能し、前記第2の電極が電荷均衡電極として機能する興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含み、前記第1の刺激波形の前記興奮相は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第1の刺激波形は前記第1の末梢神経を刺激し、前記第2の末梢神経を刺激しないように構成される、方法。
【請求項43】
前記第2の末梢神経を刺激するために前記第2の電極を通して第2の電気刺激を送達するステップをさらに含み、前記第2の電気刺激は、電荷均衡であり、かつ前記第2の電気刺激の間、前記第2の電極が興奮電極として機能し、前記第1の電極が電荷均衡電極として機能する興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形を含み、前記第2の刺激波形の前記興奮相は、前記第2の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第2の刺激波形は、前記第2の末梢神経を刺激し、前記第1の末梢神経を刺激しないように構成される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の電極および前記第2の電極は装着可能なバンド上に配置される、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の電極および前記第2の電極が前記第1の神経および前記第2の神経に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との間隔よりも離間して配置される、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の神経および前記第2の神経が前記第1の電極および前記第2の電極に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔よりも小さい間隔で配置される、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅より少なくとも約4倍大きい、請求項42から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅よりも約10倍未満大きい、請求項42から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔に基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項42から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の神経および前記第2の神経の深さにさらに基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の神経は、尺骨神経、橈骨神経、および正中神経からなる群から選択される、請求項42から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の神経は、前記尺骨神経、前記橈骨神経、および前記正中神経からなる群から選択され、前記第2の神経は前記第1の神経とは異なる神経である、請求項42から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の神経は、陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択される、請求項42から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の神経は、前記陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択されてもよく、前記第2の神経は前記第1の神経とは異なる神経である、請求項42から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
刺激される各末梢神経ごとに厳密に1つの電極を用いて、患者の複数の末梢神経を非侵襲的に刺激する方法であって、
第1の電極を第1の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置するステップと、
第2の電極を第2の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置するステップと、
前記第1の末梢神経を刺激するために前記第1の電極を通して第1の電気刺激を送達するステップとを含み、前記第1の電気刺激は、電荷均衡であり、かつ前記第1の電気刺激の間、前記第1の電極が興奮電極として機能し、前記第2の電極が電荷均衡電極として機能する興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含み、前記第1の刺激波形は、前記第1の末梢神経および前記第2の末梢神経を同時に刺激するように構成される、方法。
【請求項56】
前記第1の刺激波形の前記興奮相は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相と同じ振幅および持続時間を有する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の電極および前記第2の電極は装着可能なバンド上に配置される、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の電極および前記第2の電極が前記第1の神経および前記第2の神経に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との間隔よりも離間して配置される、請求項55から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の神経および前記第2の神経が前記第1の電極および前記第2の電極に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔よりも小さい間隔で配置される、請求項55から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔に基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項55から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の神経および前記第2の神経の深さにさらに基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項55から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の神経は、前記尺骨神経、前記橈骨神経、および前記正中神経からなる群から選択される、請求項55から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第2の神経は、前記尺骨神経、前記橈骨神経、および前記正中神経からなる群から選択され、前記第2の神経は前記第1の神経とは異なる神経である、請求項55から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の神経は、前記陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択される、請求項55から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記第2の神経は、前記陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択されてもよく、前記第2の神経は前記第1の神経とは異なる神経である、請求項55から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
患者の少なくとも2つの末梢神経を非侵襲的に刺激するためのシステムであって、
第1の電極および第2の電極であって、前記第1の電極は第1の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置されるように構成され、前記第2の電極は第2の末梢神経に近接して前記患者の皮膚に対して配置されるように構成される第1の電極および第2の電極と、
電気刺激を生成するように構成された刺激装置であって、前記刺激装置は、前記第1の電極および前記第2の電極と電気的に連通している刺激装置と、
前記刺激装置による前記電気刺激の生成を制御するように構成されたコントローラであって、前記電気刺激は、電荷が均衡しており、興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含み、ここで前記第1の電極は興奮電極として機能し、前記第2の電極は電荷均衡電極として機能するコントローラとを含み、
前記システムは、刺激されるように構成された神経の数と厳密に同じ数の電極を含む、システム。
【請求項67】
前記第1の刺激波形の前記興奮相は前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相と同じ振幅および持続時間を有し、前記第1の刺激波形は前記第1の末梢神経および前記第2の末梢神経を同時に刺激するように構成される、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記第1の刺激波形の前記興奮相は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第1の刺激波形は前記第1の末梢神経を刺激し、前記第2の末梢神経を刺激しないように構成される、請求項66に記載のシステム。
【請求項69】
前記コントローラによって生成される前記電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形をさらに含み、前記第1の電極および前記第2の電極の極性は、前記第2の刺激波形において前記第1の電極が前記電荷均衡電極として機能し、前記第2の電極が興奮電極として機能するように、前記第1の刺激波形と前記第2の刺激波形との間で切り替えられており、前記第2の刺激波形の前記興奮相は、前記第2の刺激波形の前記電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し、前記第2の刺激波形は、前記第2の末梢神経を刺激し、前記第1の末梢神経を刺激しないように構成される、請求項66から68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記第1の電極および前記第2の電極は装着可能なバンド上に配置される、請求項66から60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の電極および前記第2の電極が前記第1の神経および前記第2の神経に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との間隔よりも離間して配置される、請求項66から70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項72】
前記第1の電極および前記第2の電極は、皮膚に配置されたときに、前記第1の神経および前記第2の神経が前記第1の電極および前記第2の電極に隣接するように、前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔よりも小さい間隔で配置される、請求項66から70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅より少なくとも約4倍大きい、請求項66または請求項68から72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
前記第1の刺激波形の前記興奮相の振幅は、前記第1の刺激波形の前記電荷均衡相の振幅よりも約10倍未満大きい、請求項66または請求項68から73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記第1の神経と前記第2の神経との前記間隔に基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項66または請求項68から74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記第1の神経および前記第2の神経の深さにさらに基づいて、前記第1の電極は前記第2の電極から離間して配置される、請求項66または68から74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
前記第1の電極および前記第2の電極は、導電性裏打ち層と、前記導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層とを含む乾式電極であり、前記皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含み、前記皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有する、請求項66から76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記乾式電極の前記導電性裏打ち層は金属箔を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
前記金属箔は可撓性ポリマー基板上に配置される、請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
前記導電性充填材料は、粉末または微粒子材料を含む、請求項77から79のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項81】
前記導電性充填材料は、金属、炭素、またはそれらの混合物を含む、請求項77から80のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項82】
前記導電層は、導電性コーティングで処理された多孔質材料を含む、請求項77から81のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項83】
前記皮膚接触層は、約10Aから約100Aのショア硬さを有する、請求項77から82のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項84】
前記皮膚接触層は、約1オームセンチメートルから約2000オームセンチメートルの体積抵抗率を有する、請求項77から83のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項85】
前記皮膚接触層の前記皮膚に面する表面を横切る複数の点で測定された抵抗またはコンダクタンスは、平均測定された抵抗またはコンダクタンスの約50%以内の標準偏差を有する、請求項77から84のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項86】
前記皮膚接触層はシリコーンを含む、請求項77から85のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項87】
前記導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルまたは単層カーボンナノチューブを含み、前記導電性充填材料の均一性は、前記皮膚接触層を横切る抵抗率の差が約5%未満であるようなものである、請求項77から86のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項88】
前記導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルを含む、請求項77から87のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項89】
前記導電性充填材料は、単層カーボンナノチューブを含む、請求項77から88のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項90】
銀被覆ガラスバブルの前記充填量は、前記皮膚接触層の約3%から約30%である、請求項88に記載のシステム。
【請求項91】
単層カーボンナノチューブの前記充填量は、約1%から約5%である、請求項89に記載のシステム。
【請求項92】
前記皮膚接触層は、約25Aから約55Aのショア硬さを有する、請求項87から91のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項93】
前記皮膚接触層は、約50オームセンチメートルから約1000オームセンチメートルの体積抵抗率を有する、請求項87から92のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項94】
経皮的電気刺激用の乾式電極であって、
導電性裏打ち層と、
前記導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層であって、前記皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含み、前記皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有する皮膚接触層とを含む、乾式電極。
【請求項95】
前記導電性裏打ち層は金属箔を含む、請求項94に記載の乾式電極。
【請求項96】
前記金属箔は可撓性ポリマー基板上に配置される、請求項95に記載の乾式電極。
【請求項97】
前記導電性充填材料は、粉末または微粒子材料を含む、請求項94から96のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項98】
前記導電性充填材料は、金属、炭素、またはそれらの混合物を含む、請求項94から97のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項99】
前記導電層は、導電性コーティングで処理された多孔質材料を含む、請求項94から98のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項100】
前記皮膚接触層は、約10Aから約100Aのショア硬さを有する、請求項94から99のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項101】
前記皮膚接触層は、約1オームセンチメートルから約2000オームセンチメートルの体積抵抗率を有する、請求項94から100のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項102】
前記皮膚接触層の前記皮膚に面する表面を横切る複数の点で測定された抵抗またはコンダクタンスは、平均測定された抵抗またはコンダクタンスの約50%以内の標準偏差を有する、請求項94から101のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項103】
前記皮膚接触層はシリコーンを含む、請求項94から102のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項104】
人が装着可能な電気装置用の装着可能なバンドであって、
身体部分の周りに装着されるように構成されたストラップと、
前記ストラップ上に配置された少なくとも2つの乾式電極であって、前記乾式電極は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含む、乾式電極と、
前記少なくとも2つの乾式電極と電気的に連通しており、前記ストラップ内に配置された可撓性回路と、
前記可撓性回路と電気的に連通しており、前記可撓性回路を前記電気装置と電気的に接続するように構成された電気接続機構とを含む、バンド。
【請求項105】
前記ストラップは、前記ストラップが身体部分の周りに締め付けられたときに皮膚に対して前記少なくとも2つの乾式電極に張力または圧力を加えるように構成された弾性部分を含む、請求項104に記載のバンド。
【請求項106】
前記ストラップは、面ファスナを含む、請求項104または105に記載のバンド。
【請求項107】
前記電気接続機構は、前記可撓性回路の延長部であるタブである、請求項104から106のいずれか一項に記載のバンド。
【請求項108】
前記電気装置は、電気神経刺激装置である、請求項104から107のいずれか一項に記載のバンド。
【請求項109】
前記電気神経刺激装置は、振戦を治療するために前記乾式電極を通して電気刺激を送達するようにプログラムされている、請求項104から108のいずれか一項に記載のバンド。
【請求項110】
前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料はシリコーンを含む、請求項104から109のいずれか一項に記載のバンド。
【請求項111】
経皮的電気刺激用の乾式電極であって、
導電性裏打ち層と、
前記導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層であって、前記皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含む皮膚接触層とを含み、
前記導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルまたは単層カーボンナノチューブを含み、
前記皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有し、
前記乾式電極は、約50オームセンチメートルから約1,000オームセンチメートルのバルク抵抗率を有し、
前記皮膚接触層は、約30Aから約50AのショアA硬さを有し、
前記導電性充填材料の均一性は、前記皮膚接触層を横切る抵抗率の差が約5%未満であるようなものである、乾式電極。
【請求項112】
前記皮膚接触層はシリコーンを含む、請求項111に記載の乾式電極。
【請求項113】
前記導電性充填材料は銀被覆ガラスバブルを含む、請求項111または112に記載の乾式電極。
【請求項114】
前記導電性充填材料は、単層カーボンナノチューブを含む、請求項111から113のいずれか一項に記載の乾式電極。
【請求項115】
銀被覆ガラスバブルの前記充填量は、前記皮膚接触層の約3%から約30%である、請求項113に記載の乾式電極。
【請求項116】
単層カーボンナノチューブの前記充填量は、約1%から約5%である、請求項114に記載の乾式電極。
【請求項117】
人に経皮的電気刺激を送達する方法であって、
少なくとも2つの乾式電極を含む装着可能な装置を提供するステップであって、少なくとも2つの乾式電極は、導電性裏打ち層および皮膚接触層を含み、前記皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含み、前記皮膚接触層は、前記ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料をさらに含むステップと、
前記乾式電極の前記皮膚接触層を前記皮膚上の所望の位置に配置するステップであって、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料は前記皮膚と直接接触しているステップと、
前記装置を作動させて、それによって前記乾式電極を通して前記皮膚上の前記所望の位置に電流を送達するステップとを含む、方法。
【請求項118】
前記所望の位置は、1つ以上の標的神経に隣接している、請求項117に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【参照による組み込み】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2016年7月8日に出願された米国仮特許出願第62/360,265号、および2016年12月9日に出願された米国仮特許出願第62/432,519号の利益を主張するものであり、それぞれの全体は参照により本出願に組み込まれる。本出願はまた、2016年6月10日に出願された国際出願番号第PCT/US2015/033809号、2016年9月27日に発行された米国特許第9,452,287号、2016年6月10日に出願された国際出願番号第PCT/US2016/37080号、2015年6月2日に出願された国際出願第PCT/US2015/033809号、2015年6月10日に出願された米国特許出願第62/173,894号、2016年8月1日に出願された国際出願第PCT/US2016/045038号、2016年9月23日に出願された国際出願第PCT/US2016/053513号、および2017年1月20日に出願された国際出願第PCT/US2017/014431号の全体を参照により組み込む。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施形態は、概して、神経を刺激するためのシステム、装置、および方法に関し、より詳細には、様々な障害を治療するために末梢神経を電気的に刺激するためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気刺激を経皮的電気神経刺激(TENS)システムを介して経皮的に送達して、上肢の正中神経、橈骨神経、尺骨神経、または下肢の脛骨神経、伏在神経、または腓骨神経、あるいは耳や首の迷走神経を刺激することができる。これらの神経の電気刺激は、運動障害(本態性振戦、パーキンソン振戦、起立性振戦、および多発性硬化症を含むがこれらに限定されない)、泌尿器系障害、胃腸障害、および心臓病を含むがこれらに限定されない様々な疾患にわたって治療効果をもたらすことが示されている。振戦などのいくつかの症状は、ある種の経皮的末梢神経刺激によって治療することができる。
【0004】
他の疾患もまた末梢神経神経刺激によって治療することができる。例えば、仙骨神経および/または脛骨神経の刺激は過活動膀胱および尿失禁の症状を改善することが示されており、迷走神経の刺激は高血圧および不整脈の症状を改善することが示されている。
【0005】
いくつかの前述の経皮的刺激装置は、腕の正中神経、橈骨神経、および尺骨神経の様々な組み合わせなどの複数の末梢神経を刺激するために、少なくとも3つの電極などの複数の電極を使用することを記載している。例えば、各神経は専用の電極対で刺激することができ、これには刺激する神経の数と比較して2倍の数の電極が必要となる。例えば、橈骨神経と正中神経の両方を刺激するには4つの電極が必要である。専用の戻り電極および各神経を覆って配置された個々の電極を有する周方向電極もまた使用され得る。例えば、周方向に間隔を置いて配置された3つの電極を用いてこれら2つの神経を刺激することにより、電極の数を1つ減らして3つの電極にすることもできる。
【0006】
刺激表面または消耗品のサイズおよびコストを低減するために、複数の神経を刺激するのに必要とされる電極の数をさらに減らすことが望ましいであろう。
【0007】
電気刺激を経皮的に送達するほとんどの市販の装置は、ヒドロゲル電極を利用して装着者に確実に快適な刺激を提供する(または導電性ジェルが塗布された乾式電極である)。ヒドロゲル電極は、電極の表面全体に均一な電流分布を提供し、(1)水またはジェルベースの電極表面は好ましい伝導特性電極を可能にし、(2)皮膚への接着性が高い皮膚適合性を提供するという、刺激の快適さを向上させる2つの有益な特性を有する。この適合性および接触の完全性は、場合によっては、皮膚表面下の感覚神経を快適に電気刺激するために重要となり得る。しかしながら、粘着性ヒドロゲル電極は、ヒドロゲル材料が移動(例えば、身体装着型装置の調整)を許さず、取り外しおよび取り付けが困難であり(例えば、その接着特性を失う可能性がある)、特に現実の環境では容易かつ迅速に汚れたりまたは劣化したりし、皮膚の炎症を引き起こす可能性があるので、装着者にとって使い勝手に潜在的な課題をもたらす可能性がある。したがって、ヒドロゲル電極は、一日中繰り返し装着するのには望ましくない場合がある。これらの理由のために、一部の実施形態において、特に長期の繰り返し装着を意図した身体装着型刺激装置のために、電気刺激を送達するための「乾式電極」として知られる、電極と皮膚との間の乾燥皮膚界面を開発することが有利であり得る。伝導を可能にする添加剤はまた材料の剛性を増加させる傾向があり、これは適合性を低下させ、皮膚界面に不快感をもたらすので、乾式電極材料を開発することもまた困難である可能性がある。さらに、少なくとも一部の場合において、皮膚電極界面に均一な電界を提供する乾式電極を製造することは非常に困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、概して、神経を刺激するためのシステム、装置、および方法に関し、より詳細には、様々な障害を治療するために末梢神経を電気的に刺激するためのシステム、装置、および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一部の実施形態では、患者の少なくとも2つの末梢神経を非侵襲的に刺激するためのシステムが提供される。システムは、第1の電極および第2の電極を含み得る。第1の電極は第1の末梢神経に近接して患者の皮膚に対して配置することができ、第2の電極は第2の末梢神経に近接して患者の皮膚に対して配置することができる。システムは、電気刺激を生成するように構成された刺激装置をさらに含み、この刺激装置は、第1の電極および第2の電極と電気的に連通している。システムは、刺激装置による電気刺激の生成を制御するように構成されたコントローラをさらに含む。電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含むことができ、第1の電極は興奮電極として(例えば、アノードとして)機能し、第2の電極は電荷均衡電極として(例えばカソードとして)機能する。システムは、刺激されるように構成された神経の数と厳密に同じ数の電極を含むことができる。
【0010】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の興奮相は、第1の刺激波形の電荷均衡相と同じ振幅および持続時間を有する。第1の刺激波形は、第1の末梢神経および第2の末梢神経を同時に刺激するように構成されている。
【0011】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の興奮相は、第1の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有する。第1の刺激波形は、第1の末梢神経を刺激し、第2の末梢神経を刺激しないように構成される。興奮相は、対応する反対の極性を有する電荷均衡相を備えた正または負に向かう電荷のどちらかを有することができる。
【0012】
一部の実施形態では、システムは2つ以下の電極を含む。
【0013】
一部の実施形態では、コントローラによって生成される電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形をさらに含む。第1の電極および第2の電極の極性は、第2の刺激波形において第1の電極が電荷均衡電極として機能し、第2の電極が興奮電極として機能するように、第1の刺激波形と第2の刺激波形との間で切り替えることができる。第2の刺激波形の興奮相は、第2の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有する。第2の刺激波形は、第2の末梢神経を刺激し、第1の末梢神経を刺激しないように構成される。
【0014】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は装着可能なバンド上に配置されている。
【0015】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は、皮膚に配置されたときに、第1の電極および第2の電極が第1の神経および第2の神経に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも離間して配置される。
【0016】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は、皮膚に配置されたときに、第1の神経および第2の神経が第1の電極および第2の電極に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも小さい間隔で配置される。
【0017】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅の約または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20倍、またはそれ以上であるか、前述の値のうちの任意の2つを組み込んだ範囲内である。
【0018】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅の約20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2分の1、またはそれ以下である。
【0019】
一部の実施形態において、第1の神経と第2の神経との間隔に基づいて、第1の電極は第2の電極から離間して配置されている。
【0020】
一部の実施形態では、第1の神経および第2の神経の深さにさらに基づいて、第1の電極は第2の電極から離間して配置されている。
【0021】
一部の実施形態では、電極の数は刺激される神経の数に等しい。
【0022】
一部の実施形態では、システムは1つ以上の追加の電極をさらに含む。追加の各電極は末梢神経の上に配置され、コントローラは電極のうちの1つを興奮電極として選択し、他の電極のうちの1つを電荷均衡電極として選択するように構成される。興奮電極の選択は刺激される末梢神経に基づいている。
【0023】
一部の実施形態では、電荷均衡電極の選択は、部分的に興奮電極と電荷均衡電極との間隔に基づく。
【0024】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は、導電性裏打ち層および導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層を含む乾式電極である。皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含む。皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有する。
【0025】
一部の実施形態では、乾式電極の導電性裏打ち層は金属箔を含み得る。金属箔は可撓性ポリマー基板上に配置されてもよい。導電性充填材料は、粉末または微粒子材料を含み得る。導電性充填材料は、金属、炭素、またはそれらの混合物を含み得る。導電層は、導電性コーティングで処理された多孔質材料を含み得る。皮膚接触層は、約10Aから約100Aのショア硬さを有し得る。皮膚接触層は、約1オームセンチメートルから約2000オームセンチメートルの体積抵抗率を有し得る。皮膚接触層の皮膚に面する表面を横切る複数の点で測定された抵抗またはコンダクタンスは、平均の測定された抵抗またはコンダクタンスの約50%以内の標準偏差を有し得る。皮膚接触層は、シリコーンを含み得る。導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルまたは単層カーボンナノチューブを含むことができ、導電性充填材料の均一性は、皮膚接触層を横切る抵抗率の差が約5%未満であるようなものである。導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルを含み得る。導電性充填材料は、単層カーボンナノチューブを含み得る。銀被覆ガラスバブルの充填量は、皮膚接触層の約3%から約30%であり得る。単層カーボンナノチューブの充填量は、約1%から約5%であり得る。皮膚接触層は、約25Aから約55Aのショア硬さを有し得る。皮膚接触層は、約50オームセンチメートルから約1000オームセンチメートルの体積抵抗率を有し得る。
【0026】
一部の実施形態では、患者の少なくとも2つの末梢神経を非侵襲的に刺激するためのシステムが提供される。システムは、第1の電極および第2の電極を含み、第1の電極は第1の末梢神経に近接して患者の皮膚に対して配置されるように構成され、第2の電極は第2の末梢神経に近接して患者の皮膚に対して配置されるように構成される。システムは、電気刺激を生成するように構成された刺激装置をさらに含む。刺激装置は、第1の電極および第2の電極と電気的に連通している。システムは、刺激装置による電気刺激の生成を制御するように構成されたコントローラをさらに含む。電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含み、第1の電極は興奮電極として機能し、第2の電極は電荷均衡電極として機能する。第1の刺激波形の興奮相は、第1の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有する。第1の刺激波形は、第1の末梢神経を刺激し、第2の末梢神経を刺激しないように構成される。
【0027】
一部の実施形態では、システムは2つ以下の電極を含み得る。コントローラによって生成された電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形をさらに含み得る。第1の電極および第2の電極の極性は、第2の刺激波形において第1の電極が電荷均衡電極として機能し、第2の電極が興奮電極として機能するように、第1の刺激波形と第2の刺激波形との間で切り替えることができる。第2の刺激波形の興奮相は、第2の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し得る。第2の刺激波形は、第2の末梢神経を刺激し、第1の末梢神経を刺激しないように構成され得る。
【0028】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は装着可能なバンド上に配置されてもよい。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の電極および第2の電極が第1の神経および第2の神経に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも離間して配置することができる。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の神経および第2の神経が第1の電極および第2の電極に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも小さい間隔で配置され得る。第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅より少なくとも約4倍大きい場合がある。第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅よりも約10倍未満大きい場合がある。第1の神経と第2の神経との間隔に基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。第1の神経および第2の神経の深さにさらに基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。電極の数は刺激される神経の数に等しくすることができる。システムは、1つ以上の追加の電極をさらに含むことができ、追加の各電極は末梢神経の上に配置される。コントローラは、電極のうちの1つを興奮電極として選択し、他の電極のうちの1つを電荷均衡電極として選択するように構成することができ、興奮電極の選択は、刺激される末梢神経に基づいてもよい。電荷均衡電極の選択は、部分的に興奮電極と電荷均衡電極との間隔に基づいてもよい。
【0029】
一部の実施形態では、刺激される各末梢神経ごとに厳密に1つの電極を用いて患者の複数の末梢神経を非侵襲的に刺激する方法が開示される。この方法は、第1の末梢神経に近接する患者の皮膚に対して第1の電極を配置することと、第2の末梢神経に近接する患者の皮膚に対して第2の電極を配置することと、第1の末梢神経を刺激するために第1の電極を通して第1の電気刺激を送達することとを含む。第1の電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含む。第1の電気刺激の間、第1の電極は興奮電極として機能し、第2の電極は電荷均衡電極として機能する。第1の刺激波形の興奮相は、第1の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有する。第1の刺激波形は、第1の末梢神経を刺激し、第2の末梢神経を刺激しないように構成される。
【0030】
一部の実施形態では、方法は、第2の末梢神経を刺激するために第2の電極を通して第2の電気刺激を送達することをさらに含む。第2の電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形を含む。第2の電気刺激の間、第2の電極は興奮電極として機能し、第1の電極は電荷均衡電極として機能する。第2の刺激波形の興奮相は、第2の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有する。第2の刺激波形は、第2の末梢神経を刺激し、第1の末梢神経を刺激しないように構成される。
【0031】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は装着可能なバンド上に配置されてもよい。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の電極および第2の電極が第1の神経および第2の神経に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも離間して配置することができる。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の神経および第2の神経が第1の電極および第2の電極に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも小さい間隔で配置され得る。第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅より少なくとも約4倍大きい場合がある。第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅よりも約10倍未満大きい場合がある。第1の神経と第2の神経との間隔に基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。第1の神経および第2の神経の深さにさらに基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。第1の神経は、尺骨神経、橈骨神経、および正中神経からなる群から選択されてもよい。第2の神経は、尺骨神経、橈骨神経、および正中神経からなる群から選択されてもよく、第2の神経は第1の神経とは異なる神経である。第1の神経は、陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択されてもよい。第2の神経は、陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択されてもよく、第2の神経は第1の神経とは異なる神経である。
【0032】
一部の実施形態では、刺激される各末梢神経ごとに厳密に1つの電極を用いて患者の複数の末梢神経を非侵襲的に刺激する方法が提供される。この方法は、第1の末梢神経に近接する患者の皮膚に対して第1の電極を配置することと、第2の末梢神経に近接する患者の皮膚に対して第2の電極を配置することと、第1の末梢神経を刺激するために第1の電極を通して第1の電気刺激を送達することとを含む。第1の電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含む。第1の電気刺激の間、第1の電極は興奮電極として機能し、第2の電極は電荷均衡電極として機能する。第1の刺激波形は、第1の末梢神経および第2の末梢神経を同時に刺激するように構成されている。
【0033】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の興奮相は、第1の刺激波形の電荷均衡相と同じ振幅および持続時間を有し得る。第1の電極および第2の電極は、装着可能なバンド上に配置されてもよい。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の電極および第2の電極が第1の神経および第2の神経に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも離間して配置することができる。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の神経および第2の神経が第1の電極および第2の電極に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも小さい間隔で配置され得る。第1の神経と第2の神経との間隔に基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。第1の神経および第2の神経の深さにさらに基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。第1の神経は、尺骨神経、橈骨神経、および正中神経からなる群から選択されてもよい。第2の神経は、尺骨神経、橈骨神経、および正中神経からなる群から選択されてもよく、第2の神経は第1の神経とは異なる神経である。第1の神経は、陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択されてもよい。第2の神経は、陰部神経、骨盤神経、脛骨神経、内側足底神経、外側足底神経、踵骨神経、および伏在神経からなる群から選択されてもよく、第2の神経は第1の神経とは異なる神経である。
【0034】
一部の実施形態では、患者の少なくとも2つの末梢神経を非侵襲的に刺激するためのシステムが提供される。システムは、第1の電極および第2の電極を含み、第1の電極は第1の末梢神経に近接して患者の皮膚に対して配置されるように構成され、第2の電極は第2の末梢神経に近接して患者の皮膚に対して配置されるように構成される。システムは、電気刺激を生成するように構成された刺激装置をさらに含む。刺激装置は、第1の電極および第2の電極と電気的に連通している。システムは、刺激装置による電気刺激の生成を制御するように構成されたコントローラをさらに含む。電気刺激は、電荷均衡であり、かつ興奮相および電荷均衡相を含む第1の刺激波形を含む。第1の電極は興奮電極として機能し、第2の電極は電荷均衡電極として機能する。システムは、刺激されるように構成された神経の数と厳密に同じ数の電極を含む。
【0035】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の興奮相は、第1の刺激波形の電荷均衡相と同じ振幅および持続時間を有し得る。第1の刺激波形は、第1の末梢神経および第2の末梢神経を同時に刺激するように構成されてもよい。第1の刺激波形の興奮相は、第1の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し得る。第1の刺激波形は、第1の末梢神経を刺激し、第2の末梢神経を刺激しないように構成され得る。
【0036】
一部の実施形態では、コントローラによって生成された電気刺激は、電荷が均衡しており、興奮相および電荷均衡相を含む第2の刺激波形をさらに含み得る。第1の電極および第2の電極の極性は、第2の刺激波形において第1の電極が電荷均衡電極として機能し、第2の電極が興奮電極として機能するように、第1の刺激波形と第2の刺激波形との間で切り替えることができる。第2の刺激波形の興奮相は、第2の刺激波形の電荷均衡相よりも大きい振幅および短い持続時間を有し得る。第2の刺激波形は、第2の末梢神経を刺激し、第1の末梢神経を刺激しないように構成され得る。
【0037】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は装着可能なバンド上に配置されてもよい。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の電極および第2の電極が第1の神経および第2の神経に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも離間して配置することができる。第1の電極および第2の電極は、皮膚上に配置されたときに、第1の神経および第2の神経が第1の電極および第2の電極に隣接するように、第1の神経と第2の神経との間隔よりも小さい間隔で配置され得る。第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅より少なくとも約4倍大きい場合がある。第1の刺激波形の興奮相の振幅は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅よりも約10倍未満大きい場合がある。第1の神経と第2の神経との間隔に基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。第1の神経および第2の神経の深さにさらに基づいて、第1の電極を第2の電極から離間して配置することができる。
【0038】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は、導電性裏打ち層および導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層を含む乾式電極であり得る。皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含み得る。皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有し得る。乾式電極の導電性裏打ち層は金属箔を含み得る。金属箔は可撓性ポリマー基板上に配置されてもよい。導電性充填材料は、粉末または微粒子材料を含み得る。導電性充填材料は、金属、炭素、またはそれらの混合物を含み得る。導電層は、導電性コーティングで処理された多孔質材料を含み得る。
【0039】
一部の実施形態において、皮膚接触層は、約10Aから約100Aのショア硬さを有し得る。皮膚接触層は、約1オームセンチメートルから約2000オームセンチメートルの体積抵抗率を有し得る。皮膚接触層の皮膚に面する表面を横切る複数の点で測定された抵抗またはコンダクタンスは、平均の測定された抵抗またはコンダクタンスの約50%以内の標準偏差を有し得る。皮膚接触層は、シリコーンを含み得る。導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルまたは単層カーボンナノチューブを含み得る。導電性充填材料の均一性は、皮膚接触層を横切る抵抗率の差が約5%未満であるようなものであり得る。銀被覆ガラスバブルの充填量は、皮膚接触層の約3%から約30%であり得る。単層カーボンナノチューブの充填量は、約1%から約5%であり得る。一部の実施形態において、皮膚接触層は、約25Aから約55Aのショア硬さを有し得る。皮膚接触層は、約50オームセンチメートルから約1000オームセンチメートルの体積抵抗率を有し得る。
【0040】
一部の実施形態では、経皮的電気刺激用の乾式電極が提供される。乾式電極は、導電性裏打ち層および導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層を含む。皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含む。皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有する。
【0041】
一部の実施形態において、導電性裏打ち層は金属箔を含み得る。金属箔は可撓性ポリマー基板上に配置されてもよい。導電性充填材料は、粉末または微粒子材料を含み得る。導電性充填材料は、金属、炭素、またはそれらの混合物を含み得る。導電層は、導電性コーティングで処理された多孔質材料を含み得る。皮膚接触層は、約10Aから約100Aのショア硬さを有し得る。皮膚接触層は、約1オームセンチメートルから約2000オームセンチメートルの体積抵抗率を有し得る。皮膚接触層の皮膚に面する表面を横切る複数の点で測定された抵抗またはコンダクタンスは、平均の測定された抵抗またはコンダクタンスの約50%以内の標準偏差を有し得る。皮膚接触層は、シリコーンを含み得る。
【0042】
一部の実施形態では、人が装着可能な電気装置用の装着可能なバンドが提供される。バンドは、身体部分の周りに装着されるように構成されたストラップと、ストラップ上に配置された少なくとも2つの乾式電極と、ストラップ内に配置された可撓性回路と、電気接続機構とを含む。乾式電極は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含む。可撓性回路は、少なくとも2つの乾式電極と電気的に連通している。電気接続機構は、可撓性回路と電気的に連通しており、可撓性回路を電気装置と電気的に接続するように構成されている。
【0043】
一部の実施形態では、ストラップは、ストラップが身体部分の周りに締め付けられたときに皮膚に対して少なくとも2つの乾式電極に張力または圧力を加えるように構成された弾性部分を含む。ストラップは、面ファスナを含んでもよい。電気接続機構は、可撓性回路の延長部であるタブとすることができる。電気装置は、電気神経刺激装置とすることができる。電気神経刺激装置は、振戦を治療するために乾式電極を通して電気刺激を送達するようにプログラムすることができる。ポリマー、プラスチック、またはゴム材料はシリコーンを含み得る。
【0044】
一部の実施形態では、経皮的電気刺激用の乾式電極が提供される。乾式電極は、導電性裏打ち層および導電性裏打ち層上に配置された皮膚接触層を含む。皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含む。導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルまたは単層カーボンナノチューブを含む。皮膚接触層は、ヒドロゲルまたは液体でコーティングされていない、皮膚に面する表面を有する。乾式電極は、約50オームセンチメートルから約1,000オームセンチメートルのバルク抵抗率を有する。皮膚接触層は、約30Aから約50AのショアA硬さを有する。導電性充填材料の均一性は、皮膚接触層を横切る抵抗率の差が約5%未満であるようなものである。
【0045】
一部の実施形態では、皮膚接触層はシリコーンを含み得る。導電性充填材料は、銀被覆ガラスバブルを含み得る。導電性充填材料は、単層カーボンナノチューブを含み得る。銀被覆ガラスバブルの充填量は、皮膚接触層の約3%から約30%であり得る。単層カーボンナノチューブの充填量は、約1%から約5%であり得る。
【0046】
一部の実施形態では、人に経皮的電気刺激を送達する方法が提供される。方法は、少なくとも2つの乾式電極を含む装着可能な装置を提供することを含む。乾式電極は、導電性裏打ち層および皮膚接触層を含む。皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料と、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料とを含む。皮膚接触層は、ポリマー、プラスチック、またはゴム材料全体に実質的に均一に分散された導電性充填材料をさらに含む。方法はさらに、乾式電極の皮膚接触層を皮膚上の所望の位置に配置することを含み、ここでポリマー、プラスチック、またはゴム材料は皮膚と直接接触しており、そして装置を作動させることを含む。装置を作動させると、乾式電極を通って皮膚上の所望の位置に電流が流れる。所望の位置は、1つ以上の標的神経に隣接し得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の一部の実施形態の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【0048】
【
図1A】振戦を軽減するための、個々の神経を標的にして末梢神経刺激を提供する装置およびシステムの実施形態の様々な図を示す。
【
図1B】振戦を軽減するための、個々の神経を標的にして末梢神経刺激を提供する装置およびシステムの実施形態の様々な図を示す。
【
図1C】振戦を軽減するための、個々の神経を標的にして末梢神経刺激を提供する装置およびシステムの実施形態の様々な図を示す。
【
図1D】振戦を軽減するための、個々の神経を標的にして末梢神経刺激を提供する装置およびシステムの実施形態の様々な図を示す。
【
図1E】振戦を軽減するための、個々の神経を標的にして末梢神経刺激を提供する装置およびシステムの実施形態の様々な図を示す。
図1A~1Dは装置の複数の多斜視図を示す。
図1Eは様々な電子部品を含む装置のハウジングの概略図を示す。
【0049】
【
図2A】複数の神経を刺激するのに必要な電極の数を減らすための手首の裏側の電荷均衡電極と、興奮対象の神経を選択的に刺激するために手首の周囲に配置された電極とを含む、手首上の電極の様々な実施形態を示す。
【
図2B】複数の神経を刺激するのに必要な電極の数を減らすための手首の裏側の電荷均衡電極と、興奮対象の神経を選択的に刺激するために手首の周囲に配置された電極とを含む、手首上の電極の様々な実施形態を示す。
【
図2C】複数の神経を刺激するのに必要な電極の数を減らすための手首の裏側の電荷均衡電極と、興奮対象の神経を選択的に刺激するために手首の周囲に配置された電極とを含む、手首上の電極の様々な実施形態を示す。
【0050】
【
図3A】一部の実施形態において、電極の配置に応じてバンド幅がどのように変化し得るかを示す。
【
図3B】一部の実施形態において、電極の配置に応じてバンド幅がどのように変化し得るかを示す。
図3Aは電極が電荷均衡電極と共に円周に沿って配置されると、バンド幅が減少することを示す。
図3Bは、列状配置は必要とされる手首バンドのサイズを増大させることを示す。
【0051】
【
図4A】2つの神経を独立して刺激するために使用することができる様々な2つの電極配置を示す。
【
図4B】2つの神経を独立して刺激するために使用することができる様々な2つの電極配置を示す。
【
図4C】2つの神経を独立して刺激するために使用することができる様々な2つの電極配置を示す。
【
図4D】2つの神経を独立して刺激するために使用することができる様々な2つの電極配置を示す。
【0052】
【
図5A】様々な電荷均衡波形と、神経を刺激するために使用することができる電極構成の概略図とを示す。
【
図5B】様々な電荷均衡波形と、神経を刺激するために使用することができる電極構成の概略図とを示す。
【
図5C】様々な電荷均衡波形と、神経を刺激するために使用することができる電極構成の概略図とを示す。
【
図5D】様々な電荷均衡波形と、神経を刺激するために使用することができる電極構成の概略図とを示す。
【
図5E】様々な電荷均衡波形と、神経を刺激するために使用することができる電極構成の概略図とを示す。
【
図5F】様々な電荷均衡波形と、神経を刺激するために使用することができる電極構成の概略図とを示す。
【
図5G】は、様々な電荷均衡波形と、神経を刺激するために使用することができる電極構成の概略図とを示す。
【0053】
【
図6A】複数の部位における神経刺激のための様々なスキームを示す。
【
図6B】複数の部位における神経刺激のための様々なスキームを示す。
図6Aは、2つの神経などの部位から感覚入力を受ける脳領域をディフェーズさせるための興奮スキームの一実施形態を示す。
図6Bは、4つの部位から感覚入力を受ける脳領域をディフェーズさせるための興奮スキームの一実施形態を示す。
【0054】
【
図7】2つの電極を有する装着可能なバンドの様々な実施形態を示す。
【
図8】2つの電極を有する装着可能なバンドの様々な実施形態を示す。
【0055】
【0056】
【
図10A】皮膚接触層がベース層を囲み、良好な接触を維持することを可能にすることができる、孔などの機械的要素の図を示す。
【
図10B】皮膚接触層がベース層を囲み、良好な接触を維持することを可能にすることができる、孔などの機械的要素の図を示す。
【
図10C】皮膚接触層がベース層を囲み、良好な接触を維持することを可能にすることができる、孔などの機械的要素の図を示す。
【0057】
【
図10D】本発明の一部の実施形態による星型乾式電極を示す。
【0058】
【
図10E】可変の充填材濃度を有する乾式電極の断面図を概略的に示す。
【0059】
【
図11A】鋭くない縁部および角部を有する電極形状の図を示す。
【
図11B】鋭くない縁部および角部を有する電極形状の図を示す。
【0060】
【
図12B】電極試験装置を示す。
図12Aは、乾式電極を一貫性および均一性について評価するための試験装置を示す。
図12Bは、乾式電極構成のインピーダンスを試験するための装置を示す。
【0061】
【
図13A】乾式電極を装着可能なバンドに取り付けることができる様々な非限定的な方法を示す。
【
図13B】乾式電極を装着可能なバンドに取り付けることができる様々な非限定的な方法を示す。
【0062】
【
図14A】TENS装置などの電気装置に取り付けるかまたは後付けすることができる乾式電極を有するバンドの一実施形態の多斜視図を示す。
【
図14B】TENS装置などの電気装置に取り付けるかまたは後付けすることができる乾式電極を有するバンドの一実施形態の多斜視図を示す。
【
図14C】TENS装置などの電気装置に取り付けるかまたは後付けすることができる乾式電極を有するバンドの一実施形態の多斜視図を示す。
【
図14D】TENS装置などの電気装置に取り付けるかまたは後付けすることができる乾式電極を有するバンドの一実施形態の多斜視図を示す。
【
図14E】TENS装置などの電気装置に取り付けるかまたは後付けすることができる乾式電極を有するバンドの一実施形態の多斜視図を示す。
【
図14F】TENS装置などの電気装置に取り付けるかまたは後付けすることができる乾式電極を有するバンドの一実施形態の多斜視図を示す。
【0063】
【
図15A】乾式電極を有するバンドの一実施形態の様々な層および構成要素の分解図を示す。
【
図15B】乾式電極を有するバンドの一実施形態の様々な層および構成要素の分解図を示す。
【
図15C】乾式電極を有するバンドの一実施形態の様々な層および構成要素の分解図を示す。
【
図15D】乾式電極を有するバンドの一実施形態の様々な層および構成要素の分解図を示す。
【0064】
【0065】
【
図17A】装着可能装置を用いて神経刺激によって振戦を治療した結果を示す。
【
図17B】装着可能装置を用いて神経刺激によって振戦を治療した結果を示す。
図17Aは、電極のアレイを使用する実施形態からのカスタマイズされた刺激を受けた患者についての振戦の減少を示すグラフを示す。
図17Bは、刺激前(左)および刺激後(右)に患者によって描かれたらせんの改善を示す。
【0066】
【
図18A】装着可能なバンドと、神経刺激用バンド使用時の快適性に関するユーザからのフィードバックとを示す。
【
図18B】装着可能なバンドと、神経刺激用バンド使用時の快適性に関するユーザからのフィードバックとを示す。
【
図18C】装着可能なバンドと、神経刺激用バンド使用時の快適性に関するユーザからのフィードバックとを示す。
【
図18D】装着可能なバンドと、神経刺激用バンド使用時の快適性に関するユーザからのフィードバックとを示す。
【
図18E】装着可能なバンドと、神経刺激用バンド使用時の快適性に関するユーザからのフィードバックとを示す。
【
図18F】装着可能なバンドと、神経刺激用バンド使用時の快適性に関するユーザからのフィードバックとを示す。
図18Aは、2つの乾式電極と調節可能なストラップとを有する装着可能なバンドの実施形態の例を示す。
図18B~
図18Fは、
図18Aの装着可能なバンドを用いた刺激がほとんどの装着者にとって快適であることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
末梢神経刺激装置および方法
本発明の一態様は、一部の実施形態によれば、個々の神経を標的にして末梢神経刺激を提供する装置およびシステムである。
図1A~
図1Eは、個人に提供される経皮的電気治療のカスタマイズおよび最適化を可能にする装置およびシステム10の実施形態を示す。特に、説明されている装置10は、2つ以上の神経を電気的に刺激するためのものである。例えば、2電極の実施形態は、振戦を治療するために手首または指の正中神経、橈骨神経、または尺骨神経のうちの任意の2つを刺激するために使用され得る。足や足首などの他の四肢の末梢神経、ならびに胴体および背中の末梢神経も標的とすることができる。適切にカスタマイズされた刺激を利用しながらこれらの特定の神経を標的とすることは、より効果的な治療(例えば、振戦、失禁または過活動膀胱症状、不整脈の減少または予防、血圧の正常化など)をもたらし得る。
【0068】
図1A~
図1Eは、振戦を軽減するための、個々の神経を標的にして末梢神経刺激を提供する装置およびシステム10の実施形態の様々な図を示す。一部の実施形態では、装置10は手首、腕、指、足、または足首に装着するように設計されており、ハウジング12およびバンド14から形成されている。
図1Aは、バンド14がストラップで固定されていない構成にある装置10の上面図を示す。
図1Bは、あたかもユーザの手首の周りに装着されているかのように、バンド14がストラップで固定されている構成にある装置10の上面図を示す。
図1Cは、バンド14がストラップで固定されていない構成にある装置10の斜視図を示す。
図1Dは、バンド14がストラップで固定されている構成にある装置10の側面断面図を示す。
図1Eは、装置10に収容することができる様々な電子部品の動作接続を概略的に示す。一部の実施形態では、電子回路はハウジング12内に配置されている。電子回路は、運動、心拍数、および/または皮膚伝導を測定し、および/または電気刺激波形を生成するためのセンサを有し得る。電子回路は、神経刺激パルスを生成するためのパルス生成器18、命令を実行するためのコントローラ22、運動を監視するための加速度計および/またはジャイロスコープなどの1つ以上のセンサ20、装置10と外部コンピュータまたはプロセッサとの間で(例えば無線で)データを送信するための通信モジュール28、装置10のユーザ操作を可能にし情報を提示するためのディスプレイおよび/またはボタンを含むことができるユーザインタフェース26、データ(例えば、命令、刺激プロトコル、および/または振戦測定値)を格納するためのメモリ24、装置10に電力を供給するために充電可能であり得るバッテリ30、および/またはバッテリ30を無線で充電するための任意選択の誘導コイル30を含み得る。バンド14および/またはハウジング12内の電気接点および/またはトレースは、刺激波形をパルス生成器18から使い捨てであり得る電極16に伝達することができる。バンド12内の接点の位置は、手首内の正中神経および橈骨神経などの特定の神経を標的とすることができるように配置することができる。ハウジング12はまた、刺激、測定データ、および履歴についてのフィードバックを装置10の装着者に提供するためのデジタル表示画面を有し得る。
【0069】
一部の実施形態では、治療装置10は、1)刺激装置またはパルス生成器18、センサ20、および他の関連する電子回路を含む電子回路箱またはハウジング12と、2)すべての構成要素を一緒にしっかりと保持し、装置を個人の手首または他の身体部分の周りに固定するバンド14と、3)バンド14の内面に配置された複数の電極16(例えば、2つの電極、3つの電極など)とを含む装着可能装置である。
周方向に離間して配置された電極
【0070】
図2A~
図2Cに概略的に示すように、装置の一態様は、2つの神経(例えば、正中および橈骨)を電気的に刺激するための3つの電極のみの使用であり、電極302、304が2つの神経306、308のそれぞれの上またはこれに近接して配置され、第3の電荷均衡電極300が2つの神経306、308と対向する身体部分(例えば、手首)に配置される。
図2Aは、ユーザの手首の背側(左側)および腹側(右側)を示し、2つの神経を標的とするためのユーザの手首上の3つの電極300、302、304の配置の一例を示す。3つの電極300、302、304はすべて、
図2Aに概略的に示すように、神経の標的刺激を調節するために単一のコントローラ301に動作可能に接続されてもよい。一部の実施形態では、第3の電極300(例えば、電荷均衡電極)は、腕または手首の背側の長手方向中央線のほぼ上に配置され得る。一部の実施形態では、第1の電極302は、正中神経を標的とするために、腕または手首の腹側の長手方向中央線のほぼ上に配置することができる。一部の実施形態では、第2の電極304を電荷均衡電極300と腹側に配置された電極302との間に配置して橈骨神経を標的にすることができる。一部の実施形態では、尺骨神経を標的とするためにさらに別の電極(図示せず)を配置することができ、または尺骨神経を標的とする電極を、正中神経306を標的とする第1の電極302または橈骨神経308を標的とする第2の電極304のいずれかと置き換えることができる。
【0071】
図2Bおよび
図2Cは、患者の手首や腕を遠位から見た横断面における電荷均衡電極300、腹側に配置された電極302、ならびに正中神経206および橈骨神経208に対する橈骨電極304の位置を示す。電極200、202、204は、腕または手首の横断面への射影において、正中神経306と電荷均衡電極300の中心を結ぶ線と、正中神経306と腹側に配置された電極303の中心を結ぶ線との間に90度から180度の角度α1があるように配置され、橈骨神経308と電荷均衡電極300を結ぶ線と、橈骨神経308と橈骨電極304を結ぶ線との間に90度から180度の角度α2があるように配置される。角度α1およびα2はそれぞれ、反時計回りの方向(α1が
図2Bに示されるように)または時計回りの方向(α1が
図2Cに示されるように)のいずれかで測定され得る。より一般的には、電極300、302、304は、電極300、302、304が患者の手首の周囲に周方向に配置されたときに各電極対とその標的神経との間に形成される角度の1つが約90度から180度の間であるように、所定の距離だけ離間して配置することができる。そのような配向は、電極対の各電極が一般的に標的神経の両側に配置されることをもたらす。言い換えれば、標的神経は、電極対のほぼ間に位置している。
【0072】
図3Aは、上記のように、2つの神経の標的刺激のための3つの電極400、402、404の配置を概略的に示す。
図3Bは、合計4つの電極で同じ2つの神経のそれぞれを標的とするための2つの電極400’、402’の従来の配置を概略的に示す。
図3Aおよび
図3Bと比較して示すように、手首の周囲に周方向に配置された3つの電極400、402、404は、(1)2つの電極400’、402’が同じ神経に沿って長手方向に配置される典型的な配置と比較して減少したバンドの幅、(2)2つの電極400’、402’が標的神経に関して腕の同じ側に配置される典型的な配置と比較して、一対の電極を対向させて配置して各神経を対象とすることによって組織のより深部を標的とすること、を可能にする。実施形態は2つの神経を刺激するための3つの電極を参照して説明されているが、代替の実施形態は、2つの電極を利用して単一の神経を刺激することが理解され、ここで2つの電極は、電極が神経の両側から神経を刺激することを可能にするために一定の間隔を有することができる。同様に、他の実施形態は3つ以上の電極を利用することができる。例えば、尺骨神経を標的とするために追加の電極を追加することができる。一部の実施形態では、5つ以上の電極を使用して4つ以上の神経を標的にすることができる。さらに、電極の異なる組み合わせを使用して、正中神経、橈骨神経、および尺骨神経の群からの1つ以上の神経を標的にすることができる。
【0073】
手首の大きさが異なる数人の神経のマッピングは、手首の周方向の位置を選択的に刺激し、ユーザが感覚異常を感じる場所を確認して、正中神経、橈骨神経、尺骨神経を特定することによって行われていた。マッピングは、手首の大きさに対する神経の位置の変動性、ならびに生理機能における個人の高い変動性を示した。個々の神経は、
図2Aに示す位置のような正しい位置に配置された電極を用いて、または本明細書の他の箇所で論じられるようにそれら個々の神経を標的とする電極の選択を可能にする複数の電極のアレイを用いることによって標的とすることができる。
N個の神経を刺激するN個の電極刺激装置
【0074】
一部の実施形態では、例えば、振戦、過活動膀胱、高血圧、不整脈、および他の状態などの様々な障害を治療するために、N個の電極(例えば、Nは2などの1より大きい整数であり、または少なくとも2つの電極)を有する刺激装置を使用して、同時にまたは交互のパターンでのいずれかで、厳密にN個の神経(例えば、Nは2などの1より大きい整数であり、または少なくとも2つの電極)を刺激することができる。例えば、一部の実施形態では、上記および、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2015/033809号(国際公開第2015/187712号)および米国特許出願第14/805,385号(米国特許出願公開第2015/0321000号)に記載されている3つ以上の電極ではなく、正中神経および橈骨神経などの2つの神経を、厳密に2つの電極で刺激することができる。他の実施形態では、厳密に3つの神経を厳密に3つの電極によって刺激することができ、厳密に4つの神経を厳密に4つの電極によって刺激することができ、他も同様である。電極の数を刺激される神経の数と厳密に同じになるように低減すること(例えば、2つの電極を刺激するための2つの電極)は、製造コストおよび電極設置時間の両方を低減させながら、装置の耐久性および/または堅牢性を高めることができ、これは一部の実施形態では、毎日など定期的に利用される必要があり得る。また、2つの異なる神経を刺激するために3つではなく2つの接触点しかないので、快適さも向上する可能性がある。電極の数を減らすことによって、手首の背面側の時計面の下に第3の電極を必要としないので、他の装着可能な装置(例えば、スマートウォッチディスプレイ)との統合も可能になり得る。さらに、一部の実施形態では、必要とされる電極の数が少ない構成(例えば、厳密に2つの神経に対応する厳密に2つの電極)は、第1の神経を刺激するが第2の神経を刺激しない独自の刺激パターン/波形を使用できる。
【0075】
一部の実施形態では、2つの電極、例えば厳密に2つ以下の電極を、例えば、正中神経、橈骨神経、および/または尺骨神経、または脛骨神経、三叉神経、伏在神経および/または腓骨神経、および/または他の末梢神経を興奮させるために、例えば、手首、足首、腕、または足などの身体部分の周りに装着することができるバンド上に配置することができる。
図4A~
図4Dに示すように、第1の電極400および第2の電極402(ただし、一部の実施形態では追加の電極はない)の2つの電極は、装着時に各電極が標的神経404、406の上または近傍の皮膚上に配置されるように離間してバンド上に配置することができる。一部の実施形態では、
図4Aに示すように、電極400、402は、電極が標的神経404、406にできるだけ近くなるように皮膚上に配置することができる。一部の実施形態では、
図4Bに示すように、2つの神経404、406が2つの電極400、402の間に配置されるように、電極400、402を2つの神経404、406に隣接するようにより広く離され得る。一部の実施形態では、
図4Cに示すように、電極400、402が2つの神経404、406の間に配置されるように、電極400、402を2つの神経404、406よりも狭く配置することができる。一部の実施形態では、
図4Dに示すように、2つの神経404、406が2つの電極400、402の間に引かれた直線上にほぼ収まるように電極400、402を配置することができる。他の実施形態では、各神経に対する上記の電極間隔の組み合わせを採用することができる(例えば、電極400、402および神経404、406を互い違いにすることができる)。
【0076】
一部の実施形態では、電極間の間隔は、生成された電界が到達し得る深さに影響を与えるので、電極間の間隔は、刺激される神経間の間隔および/または皮膚下の神経の深さに部分的に依存する。一般に、(反対の極性の)電極が離れるほど、電界は深く侵入する。この間隔は、四肢または身体部分の円周および四肢または身体部分内の標的神経の配置または位置にも基づいてもよい。一部の実施形態では、電極は、治療を受ける対象の同じ肢部または身体部分に配置することができ、場合によっては、約50cm、45cm、40cm、35cm、30cm、25cm、20cm、15cm、10cm、5cm、4cm、3cm、2cm、またはそれ以下内の距離で離される。
【0077】
一方では電極の幅と間隔との間に、他方では肢部の周囲と治療される神経の間隔との間にバランスがあり得る。これは、電極およびバンドのサイズ決定、ならびに患者の手首サイズの大部分を確実にカバーするためのバンドサイズの数にも影響を及ぼす。電極が互いに接近しすぎて配置されている場合、電場の侵入は皮膚の深さほど深くなく、標的神経に到達しない可能性があり、および/または不快感を引き起こす可能性がある。電極の間隔が広すぎると、単一の電極間隔では十分な手首サイズに対応できず(様々なサイズの手首に電極を適切に配置できないため)、製品ラインに対するバンドサイズと電極間隔の種類が多すぎる可能性がある。電極が狭すぎると神経を標的にすることが非常に困難になるが、電極が広すぎると手首の周囲に対して適切に離間させることができず、その場合、製品ラインには様々なサイズの製品ができる。手首の場合、約10mm~30mmの電極幅および約5mm~20mmの電極間隔は、例えば、約3つのバンドサイズを使用して全個体の大多数を包含することを可能にすることができる。
【0078】
一部の実施形態では、刺激波形は、
図5A~
図5Gに示すように二相性で電荷均衡がとれている。二相波形は、第1の極性の位相(例えば、正の電流)および反対の極性の位相(例えば、負の電流)を有する。波形が経時的に積分されると、荷電均衡波形は正味ゼロ電荷を有する(言い換えると、曲線の下の累積面積はゼロである)。刺激波形は、興奮相/パルスおよび反対の極性を有する電荷均衡相/パルスを有することができる。興奮相は興奮電極として機能する電極から生じ、電荷均衡相は電荷均衡電極として機能する電極から生じ得る。本明細書の他の箇所に記載されるように、興奮電極は、1つの神経(例えば、第1の神経)の上または近傍に配置され得、電荷均衡電極は、別の神経(例えば、第2の神経)の上または近傍に配置され得る。一部の実施形態では、刺激波形興奮相は、アノードの下の神経を興奮させることなく、カソードの近傍に位置する神経を興奮させることができる。他の実施形態では、興奮相は陽極相であり得、電荷均衡相は陰極相であり得る。一部の実施形態では、
図5Aおよび
図5Bに示すように、興奮相および電荷均衡相は、刺激振幅をY軸とし、時間をX軸として、同じ振幅および持続時間を有することができる。パルス幅、パルス間隔、および周期変数も示されている。この種の対称的刺激波形は、同時になどで、両方の神経を刺激する傾向があり得る。
図5Aは、立ち上がりの前縁を有する二相性刺激波形の実施形態を示し、
図5Bは、立ち下がりの前縁を有する二相性刺激波形の実施形態を示す。
図5A~
図5Bに示すような一部の実施形態では、波形は最大振幅での刺激を伴う正方形または長方形の形状を有することができる。他の実施形態は、最大振幅へのまたは最大振幅からのランプアップおよび/またはランプダウン期間があり得る曲線波形を含み得る。他の実施形態は正弦波形を含み得る。
【0079】
図5Cは、断面図で示される、波形および対象の肢部502の皮膚上に配置された刺激装置500を示す概略図を示す。装置500は、一部の実施形態では、交互対(対1および対2)としてグループ分けされた2つの神経(神経は図示せず)を刺激するための3つの電極を含むことができる。刺激の特定の段階中に活性化電極504および不活性化電極506として機能する電極が示されている。別の実施形態では、
図4A~4Dに概略的に示すように厳密に2つの神経を刺激するために厳密に2つの電極を利用することは、例えば
図5A~5Bに示すように厳密に2つの電極によって厳密に2つの神経を同時に刺激するような対称的刺激波形を利用することができる。
【0080】
他の実施形態では、刺激波形の興奮相および電荷均衡相は、異なる振幅および持続時間を有することができるが、それでもなお電荷均衡または実質的に電荷均衡のままである。例えば、
図5Dおよび5Eに示すように、興奮相と電荷均衡相は対称的ではない(例えば、互いに鏡像反転しない)ので、刺激振幅をY軸とし、時間をX軸として、第1の刺激波形は、興奮電極として機能する電極に近い神経を刺激するために、電荷均衡相よりも大きい振幅であるが短い持続時間を有する興奮相を有することができる。パルス幅、パルス間隔、および周期変数も示されている。このタイプの非対称刺激波形は、神経の交互刺激(例えば、場合によっては一度に1つの神経だけ)を可能にすることができる。
図5Dは、立ち上がりの前縁を有する二相性非対称刺激波形の実施形態を示し、
図5Eは、立ち下がりの前縁を有する二相性非対称刺激波形の実施形態を示す。示すように、非対称波形は、正方向パルス552の下の面積が負方向パルスの下の面積と等しくなり得るように電荷均衡になるように構成され得る。
図5D~
図5Eに示すような一部の実施形態では、波形は最大振幅での刺激を伴う正方形または長方形の形状を有することができる。他の実施形態は、最大振幅へのまたは最大振幅からのランプアップおよび/またはランプダウン期間があり得る曲線波形を含み得る。他の実施形態は正弦波形を含み得る。
【0081】
図5Fでは、電荷均衡相は、最初は興奮相以上の振幅を有するが、その持続時間は比較的短く、振幅は急速に低下して波形は興奮性にならず(神経は刺激されない)、容量性放電に似ている。一部の場合に重要なことは、電荷均衡波形は非興奮性であるということである。振幅および持続時間は、両方の神経ではなく一方の神経のみが刺激波形で刺激されるが、他方の(例えば第2の)神経は刺激波形によって刺激されないように構成することができる。第2の刺激波形は、電荷均衡相よりも振幅が大きいが持続時間が短い興奮相を有することもできるが、2つの電極の極性を逆にすることによって興奮電極および電荷均衡電極として機能する電極を切り替えることができ、それにより第2の神経は刺激され、第1の神経は刺激されない。
【0082】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の興奮相の振幅(例えば、平均、中央値、または最大振幅)は、第1の刺激波形の電荷均衡相の振幅(例えば、平均、中央値、または最大振幅)の約または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20倍、またはそれ以上であるか、前述の値のうちの任意の2つを組み込んだ範囲内である。一部の実施形態において、パルス幅は、例えば、約50μs~約1,000μsであり得る。刺激振幅は、場合によっては、約1~15mA、または約1~10mA、または約1~25mAであり得る。
【0083】
一部の実施形態では、第1の刺激波形の電荷均衡相の持続時間(全体として、または電荷均衡相が最大振幅にあるかまたは実質的に最大振幅にある期間のいずれか)は、第1の刺激波形の電荷均衡相の持続時間の約または少なくとも約1.25、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10倍、またはそれ以上であるか、前述の値のうちの任意の2つを組み込んだ範囲内である。
【0084】
一部の実施形態では、上述のように、同じ2つの電極が刺激波形/パルス間で興奮電極および電荷均衡電極として機能を切り替えて、各神経を連続的に刺激することができる(しかし必ずしも同時である必要はない)。一部の実装形態では、これは、患者の肢部502の厳密に2つの神経(N1およびN2)を刺激するための厳密に2つの電極を示す
図5Gに概略的に示すように、2つの電極の極性を切り替え、第2の電極から第1の電極と同じまたは類似の刺激波形を印加することによって達成することができ、アノード580およびカソード582として機能する電極は、所望の刺激パターンに応じて変更することができる。他の実装形態では、これは、同じ極性を保持しつつ陰極相および陽極相の振幅および期間を変更すること、またはその逆によって達成することができ、つまり陰極電極を使用して第1の神経を刺激し、陽極電極を使用して第2の神経を刺激する。一部の実施形態では、アレイの一部としての3つ、4つ、またはそれ以上の電極、または複数対の電極が、上述のように興奮電極または電荷均衡電極のいずれかとして交代することができる。
刺激タイミング
【0085】
上記の
図5Cに概略的に示すように、神経は独立して刺激され得るので、一部の実施形態では異なる時間に各神経を刺激することが可能である。例えば、
図6Aおよび6Bに示すように、第1の神経が刺激された後または刺激され始めた後、第2の神経は、振戦の周期Tに基づくことができる遅延の後に刺激を開始することができる。例えば、遅延は刺激される神経の数で振戦の期間を割ったものとすることができ、それは正中神経および橈骨神経だけが刺激されるとき厳密に2であり得る。
【0086】
一部の刺激方式は、異常な神経ネットワークをディフェーズ、オーバーライド、または不明瞭にするように設計することができる。例えば、
図6Aに示すように、手の振戦を軽減するための刺激のための一部の実施形態において、脳領域をディフェーズさせるためのサンプル興奮スキームを示す概念図は2つの部位から感覚入力を受ける。例えば、2つの部位は、正中神経および橈骨神経上の手首上の2つの位置であり得る。部位2での刺激は、部位1の後に時間T/2だけ遅延し、ここでTは先天性振戦の期間である。例えば、振戦が8Hzの場合、周期は125msであり、部位2の刺激は62.5ms遅れるであろう。刺激は、ニューロンの位相をリセットするように設計されており、これは、
図6Aおよび
図6Bに示すような高周波刺激(例えば、100Hzを超える)またはDCパルスを使用して実装することができる。
図6Bは、4つの部位から感覚入力を受ける脳領域をディフェーズさせるためのサンプル興奮スキームを示す概念図であり、後続の部位はT/4だけ遅延している。一部の実装形態では、刺激方式は周期的であり、ある期間にわたって所定間隔で刺激パルスを繰り返す。
装着可能バンド
【0087】
図7および
図8に示すような一部の実施形態では、電極は、手首、腕、足首、足、または他の肢部もしくは身体部分の周りに装着することができる装着可能なバンド上に配置することができる。装着可能バンドは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる「取り外し可能な治療および監視ユニットを用いて振戦を治療するための末梢神経刺激のためのシステムおよび方法」と題する国際特許出願第PCT/US2016/37080号にさらに記載されているように、取り外し可能なコントローラを含むことができる。
図7および
図8に示すように、装着型バンドは、最大2つの神経を刺激するのに使用できる2つの電極を有する。しかしながら、他の実施形態は、N個までの神経を刺激するためにN個の電極を有することができ、ここでNは、本明細書の他の箇所に記載されるように可変整数を表す。
【0088】
図7は、使い捨て電極802、804を有する装着可能バンド800を示す。一部の実施形態では、使い捨て電極802、804は、固体ヒドロゲルまたは導電性液体などの導電性材料でコーティングまたは被覆することができる。使い捨て電極802、804は、装着可能バンド800に取り外し可能に取り付けることができるストリップ806上に配置することができ、装着可能バンド800はストリップ806を受けるためのレセプタクル808を有することができる。他の実施形態は、ストリップ806をバンド800に取り付ける他の手段を含み得る。ストリップ806およびバンド800は、電極をコントローラ810に電気的に接続するための電気接点および可撓性回路を有することができる。様々な身体部分のサイズに適応するために、使い捨てストリップ806には様々な電極間隔を設けることができる。これにより、(例えば、調節可能な留め金または面ファスナを介して)調節可能であり得る1つのバンドサイズが、異なる身体部分サイズを有する使用者に適応することを可能にする。一部の実施形態では、ヒドロゲルでコーティングされた電極は、
図7に示すように、例えば1、2、3、4、5、6、または7日ごとのように定期的に配置および交換することができる、取り外し可能な電極と共に使用するのにより適している。
【0089】
図8は、一体型電極902、904を有する装着可能バンド900を示す。一部の実施形態では、一体型電極902、904は、装置を動作させるための電子回路および充電式であり得る電池を備える、コントローラ910と電気的に連通する、本明細書の他の場所に記載される乾式電極であり得る。一部の実施形態において、コントローラ910は、バンド900から取り外し可能であり得る。電極902、904は、バンド900内に埋め込まれた可撓性回路を介してコントローラ910と電気的に連通していてもよい。乾式電極は、バンドを交換する必要が生じるまでの少なくとも3ヶ月などの数ヶ月間使用することができる長期使用電極にさらに適している可能性がある。一部の実施形態では、バンドは、交換前に比較的長期間にわたって使用することができる使い捨てバンドであり得る。
乾式電極
【0090】
経皮的電気刺激および/または電気感知用の乾式電極は、振戦、変形性関節症、過活動膀胱、高血圧、不整脈、疼痛、糖尿病、および炎症性疾患を治療するための末梢神経刺激を含むがこれらに限定されない多くの用途に使用できる。乾式電極は、電気刺激を快適に伝達するのに十分な皮膚接触を達成するために、接着剤または導電性水分の層(ゲルまたはスプレーなど)を必要としないことが有利である。対照的に、湿式電極は、その接触および電気的接続を達成するために、一体型接着剤または導電性ゲルおよび水分のいずれかを利用する。一部のそのような例はヒドロゲルであり、これは接着性または非接着性であり得る。ゲルおよび水分は時間が経つにつれて乾燥する傾向があり、そして接着剤は、死んだ皮膚細胞の付着、汚れなどによる汚染のために一回の使用にのみ有効である傾向がある。そのようなものとして、湿式電極は、再使用可能でないか、または最適に保管された場合でさえも、短期間、例えば1日未満の間だけ再使用可能である傾向がある。乾式電極は、電極の交換が必要になるまでに約または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月、1、2、3、4、5年、またはそれ以上など、比較的長期間にわたって電極を効果的に使用することを可能にする。
【0091】
快適な経皮的刺激を提供する身体装着型装置における乾式電極の開発にはいくつかの課題がある。第一に、電極は、一部の場合には、皮膚の抵抗率に近いバルク抵抗率(例えば、コンダクタンスの逆数)、または電極を通る電流の均一な分布を可能にするのに十分高い抵抗率を有することができ、特に電極の縁の周りの電流の集中や電極表面の欠陥により、不快な刺激が起きる可能性がある。ほとんどの乾式電極材料は、カーボンなどの導電性充填材料を充填したシリコーンなどのポリマーベース材料を利用する。バルク抵抗率は、ベースポリマーに充填された充填材料の量、およびベースポリマーの抵抗率にも依存する。一部の実装形態では、身体装着型装置において良好な伝導を提供するための最適なバルク抵抗率は、約25~約2000オームセンチメートル、約50~約1000オームセンチメートル、または約100~約500オームセンチメートルであり得る。
【0092】
第二に、電極は、特に手首の橈骨および尺骨のような骨構造の周りで、皮膚に適合性を提供するのに十分に順応性があるように構成することができる。材料が硬すぎて皮膚に順応できない場合、電極表面の領域が皮膚から浮き上がり、電流の集中および不快な刺激を引き起こす可能性がある。電極の順応性は、ベースポリマー材料の特性、ベースポリマーに充填された導電性充填材料の量、および電極の厚さに依存する。例えば、充填材料を多くすると、電極がより順応性でなく(またはより堅く)なる傾向がある。さらに、電極が厚くなると、薄い電極よりも硬くなる傾向がある。一部の実装形態では、乾式電極への良好な適合性を提供するための好ましいデュロメータ硬さは、約25Aと約55Aの間、約30Aと約50Aの間、または約35Aと約45Aの間のショア硬さを有し得る。
【0093】
第三に、電極は、場合によっては、電極の表面にわたって均一な材料特性を有することがあり、これは製造中に制御されなければならない。抵抗率または表面仕上げなどの電極表面の特性における深刻な不均一性もまた、電流の集中を引き起こし、不快な刺激をもたらす可能性がある。一部の実装形態では、均一な電流分布を提供するための均一性の最適尺度は、電極表面全体の抵抗率における約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、またはそれ以下の差であり得る。乾式電極の均一な材料特性は、ベースポリマー中の導電性充填材料の均一な分布および電極全体にわたる均一な表面仕上げに依存し、後者は典型的には型の表面仕上げによって制御される。電極のこれら3つの特性は互いに影響を及ぼし合うので、快適な経皮的刺激を提供する費用効率が高く、製造可能で、耐久性のある乾式電極材料を設計するには、これらの複数のパラメータの最適化が必要となる。
【0094】
一部の実施形態では、
図9A~
図9Dに示すように、乾式電極100は、導電性プラスチック、ゴム、シリコーン材料、または他の適切な乾燥材料で作られた導電性ベース層102および導電性皮膚接触層104を含む。一部の実施形態では、ベース層102は、導電材料(例えば、銅、金、銀被覆銅、ステンレス鋼、銀、塩化銀、チタン、他の金属または金属合金、それらの組み合わせ、ポリジメチルシロキサンなど)の薄層を含むことができる。一部の実施形態では、ベース層102は、金属被覆ポリマーまたはプラスチックを含むことができる。別の構成では、ベース層102は、導電性ポリマーまたはプラスチックを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されているものなどの任意の2つ、3つ、またはそれ以上の材料を組み合わせて、ベース層102を作ることができる。ベース層102は、例えば、連続金属またはパターン化金属とすることができる。金属パターンのサイズは、例えば、ベース層102の表面積の約50%から約70%の間、またはベース層102の表面積の約または少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%(または前述の値のうちの任意の2つを含む範囲)など比較的大きくてもよく、依然として、供給される波形の周波数と共に、乾式電極100の導電率に応じて電極の電流密度の均一性を維持する。ベース層102を薄く保つことは、特に堅い材料が使用される場合、身体装着用途に望ましい、増加した可撓性を可能にし得る。パターン化された金属を使用することはまた、ベース層102の可撓性を高めることができる。
【0095】
一部の実施形態において、乾式電極100は、適切な電流で快適な経皮的電気刺激を送達するために、皮膚接触層104の表面にわたって良好な皮膚接触を維持する必要がある。このように、乾式電極100を構成する材料は、典型的には、導電性材料を充填したよりコンフォーマルな材料である。課題はまた、ベース層102が変形または破断することなく可撓性を維持する能力にある。一部の実施形態では2つ以上の異なる材料であるベース層102と導電層104との間の強力で確実な電気的接続もまた、場合によっては、コンダクタンスを大幅に低下させ得る層間剥離を防ぐために重要であり得る。
【0096】
一部の実施形態では、皮膚接触層104は、ベース層102上に配置、層状化、またはコーティングされ、シリコーン、ゴム、または熱可塑性ウレタンを含むがこれらに限定されない任意の成形可能なポリマー、ゴム、またはプラスチックを含み得る。材料は、金属、炭素(例えば、カーボンナノチューブまたはカーボンブラック)、グラファイト、および金属被覆粒子(例えば、銀被覆ガラスミクロ球またはガラスバブルなどの金属被覆粒子)を含むがこれらに限定されない1つ以上の導電性充填材で充填され得る。一部の実施形態において、導電性充填材料は、異なる導電性を有する異なる充填材料の混合物であり得る。例えば、一部の実施形態では、第2の充填材料の導電率を高めるために、第1の高導電材料(例えば、金属材料)を、第1の導電材料に対して導電率が低いカーボンブラックなどの第2の材料と混合することができる。第2の材料は、第1の材料よりも優れた物理的性質(例えば、低下した剛性)を有してもよい。 充填材料を混合することにより、使用する充填材料を少なくすることが可能になり、その結果、より柔軟な皮膚接触層104が得られる。
【0097】
一部の実施形態において、
図9Bに示すように、導電性充填材料は繊維状であり得る。
図9Cに示すような一部の実施形態では、導電性充填材料は、シリコーン、ゴム、またはプラスチック材料に添加されるときに粉末状または粒子状であり得る。一部の実施形態では、充填材料の表面全体にわたってより均一なコンダクタンスを作り出すために、繊維状よりも粉末状が好ましい場合がある。長い繊維長の材料は、皮膚接触層104の厚さ全体にわたって延びることがあり、および/または均一に分散することがより困難になることがあり、それによって一部の場所で高いコンダクタンスの領域や、繊維が存在しない低いコンダクタンスの領域を作り出す。コンダクタンスが高い部分は、皮膚に流れる電流が大きすぎて、痛みや不快感を引き起こす可能性がある。対照的に、粉末材料は皮膚接触層全体にわたってより容易かつより均一に分散され得るので、その表面全体にわたって均一なコンダクタンスを有する材料をもたらす。しかしながら、一部の実施形態では、繊維を含む材料を利用することができる。
【0098】
図9Dに示すような一部の実施形態では、皮膚接触層104は、フォームを導電性にする導電性表面コーティングで処理された連続気泡発泡体を含むことができる。連続気泡発泡体は、導電性コーティングの組み込みを増加させることを可能にする高い表面積対体積比を提供することができる。発泡体パターンは、一部の実施形態ではランダムであり、一部の実施形態ではランダムではない。一部の実施形態では、皮膚接触層104は、ベース層裏打ち102から皮膚接触層104に電流が流れることを可能にするコンフォーマル導電性コーティングで充填された、発泡体、ネオプレン、スポンジなどを含むがこれらに限定されない多孔質材料で作られる非導電性基材を含み得る。
【0099】
一部の実施形態では、繊維状充填材料は、粉末充填材料よりも充填材料の剛性またはデュロメータ硬さを増加させる傾向があり得る。また、より一般的には、より多くの充填材が添加され充填材の濃度が増加するにつれて、充填材料の剛性は増加する傾向がある。しかしながら、低いデュロメータ硬さの可撓性材料は、一部の実施形態において、皮膚への良好な適合性をもたらすために望ましいことがあり、これは、電極100を装着することの物理的快適性を改善する。さらに、皮膚への適合性が悪いと、場合によっては、依然として皮膚と接触しているより小さな領域に電極100を介して電流が集中し、その結果生じる電流密度が高すぎると痛みを知覚する可能性がある。したがって、可撓性を高めることが望ましい一部の実施形態では、粉末状の充填材料が好ましく、充填材料の量は、材料のデュロメータ硬さを所望の限度内に維持するために制限または減少させることができる。一部の実施形態では、粉末または粒子状充填材料は、皮膚接触層104の厚さの約1/3、1/4、1/5、1/10、1/100、またはそれ未満の直径、長さ、幅、および/または厚さを有することができる。充填材料の量は、伝導性および剛性の両方に影響を及ぼす。最適充填量は一般に、皮膚接触層104および導電性充填材の両方に使用される材料に依存するであろう。シリコーンベースポリマー材料を含む皮膚接触層104を有する実施形態では、例えば、約10μm~約100μm、約18μm~約50μm、または約18μm、25μm、35μm、または50μmの直径を有する銀被覆ガラスバブルは、例えば、約1%~約40%、約3%~約25%、約5%~約20%、または約5%、約10%、または約20%(重量または体積で測定)の充填量を有することができる。シリコーンベースポリマー材料を含む皮膚接触層104を有する実施形態では、導電性単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の好ましい充填量は、一部の実施形態では、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下、あるいは約1%~約5%(重量または体積で測定)であり得る。一部の実施形態において、そのような材料の組み込みは、乾式電極材料として使用されるときに予想外に有利であり得る。例えば、(気泡が空気で満たされているので)密度がほとんどのポリマーよりも低いので、ガラスバブルは材料の重量を減らすことができる。充填材料の導電率は、ガラスバブルに塗布される銀または銀合金の種類によって制御することができる。気泡の球形は、ベースポリマー中の均一または実質的に均一な分散を有利に可能にし得る。SWCNTは、ポリマー内の充填材料として高い導電率(例えば、106~107S/m)および頑強な機械的特性(剛性、強度、および靭性の組み合わせ)を有する。SWCNTの構造は、それらの機械的負荷のポリマーマトリックスへのより良い伝達を可能にするので、SWCNTの充填は、カーボンブラックまたはカーボンファイバーよりも(重量または体積で)より効率的であり得る。SWCNTの導電率は、グラフェンシートをどのように圧延してカーボンナノチューブを形成するかを示すパラメータであるカイラルベクトルC=(n、m)によって、製造中に制御することができる。どちらの材料も、必要な導電率を達成するために必要な体積による充填量を有利に少なくすることができ、導電率は、例えば印加圧力または着用中の力による電極材料の変形に対して変化しにくい。
【0100】
一部の実施形態では、任意の数の以下の材料、すなわち金属および金属合金(例えば、ステンレス鋼、チタン(例えば、6Al-4V(Ti64)またはコバルトクロム)、熱分解炭素で被覆されたグラファイト(例えば、熱分解炭素AXF-5Q POCO)、導電性インク/コーティング(例えば、銀または塩化銀で印刷されたインク)、例えば、ペンシルバニア州グレンロックのAdhesives Research社のARcare 90366などの導電性感圧接着剤を含み得る自己巻回転写接着剤、厚さ(Z軸)および接着剤の面(X、Y面)を通して電気を通す両面等方導電性感圧接着テープ(例えば、ミネソタ州メイプルウッドの3M社のXYZ軸導電性接着剤転写テープ9719)、多層を有する導電性布地(例えばスクリーン印刷された通気性布地電極アレイ)、銀被覆ナイロンを含む織物電極(例えば、銀ポリアミドおよび/またはスパンデックスを含む導電性布地)、銀メッキ、アルミニウム充填フルオロシリコーン、導電性粒子充填材(例えば、オハイオ州エイボンレイクのPolyOne Corp社のSTAT-TECH製X TP-1494502 自然色)を含む熱可塑性エラストマー、ナノ粒子(例えば、フロリダ州タンパのLeader Tech社のLTE-75などの銀ナノ粒子)で充填されたシリコーン、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TEO)、および/またはカーボンブラック(例えば、ミネソタ州ウィノナのRTP Co.,社のESD C2800 B-45A 黒)を含む熱可塑性加硫ゴム(TPV)スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)合金、導電性シリコーン(例えば、ニューヨーク州ボールストンスパのSpecialty Silicone Products, Inc社のSSP-2368などの銀メッキアルミニウム)、銀充填材を含むシリコーンエラストマー、カーボンブラックを含むシリコーン(例えば、カリフォルニア州カーピンテリアのNuSil Technology社のNuSil EPM-2461P)などの導電性エラストマー、および/またはヒドロゲル(例えば、カリフォルニア州フォールブルックのAxelgaard Manufacturing Co.Ltd社のAxelgaard AG735)を乾式電極に組み込むことができる。
【0101】
皮膚接触層904の抵抗は厚さに比例して増加し得るので、皮膚接触層904の厚さを最小化することによって、電極900の導電率を改善することができる。より厚い皮膚接触層904に起因する電極900におけるより高い抵抗は、所望の電流を維持するためにシステムにおいて必要とされる電力を増加させる可能性がある。しかしながら、皮膚接触層904が薄すぎる場合、処理における変動が、皮膚接触層904における材料特性および/またはコンダクタンスに著しい不均一性を引き起こす可能性がある。皮膚接触層904の厚さは、一部の実施形態では、約0.25mm~約5mm、約0.5mm~約2mm、約0.5mm~約1mm、約1mm~約2mm、約0.15mm~約10mm、または前述の値のうちの任意の2つを含む範囲、またはその間の範囲とすることができる。
【0102】
全体として、電極900の厚さは、その可撓性および剛性に影響を与える可能性があり、剛性は厚さが増すにつれて増加する。一部の実施形態では、皮膚接触層904の厚さは、シリコーンなどの選択された材料の材料特性(例えば、天然デュロメータ硬さ)、充填材の選択(例えば、導電率を提供するため)、および皮膚接触層904に充填される導電性充填材の所望のデュロメータ硬さおよび所望の抵抗率またはコンダクタンスに依存する。一部の実施形態では、電極900の皮膚接触層904は、約10A~約50A、約10A~約30A、約50OO~約50A、約40OO~約70A、または前述の値のうちの任意の2つを含む範囲、またはその間の範囲のデュロメータ硬さを有することができる。一部の実装態様では、これらのデュロメータ硬さは皮膚への良好な適合性を提供することができる。上述のように、デュロメータ硬さは、材料の選択、層の厚さ、ならびに皮膚接触層904に添加される導電性充填材の種類および/または量を含む様々な要因によって制御することができる。さらに、電極900の表面粘着性は、皮膚に対する把持(すなわち、剪断力に対する摩擦または抵抗)を増強または減少させるように修正することができる。(完全に滑らかな電極の場合のように)増強された把持は、皮膚の適合性と滑りの減少とを促進することができ、それは装着者が経験する刺激強度の不快な変化を減少させるであろう。一部の実施形態では、乾式電極900の皮膚接触面904は滑らかで平らであり、尖頭、突起、隆起、マイクロニードル、または同様の特徴がない。しかしながら、他の実施形態は、より多くの接触力を加え、滑りの可能性を減らすことによって、電流が供給される電極の中心で皮膚との接触を改善するのを促進することができる湾曲、ドーム型、または先細形状の電極表面を有することができる。一部の実施形態では、湾曲またはドーム型の電極1900は、
図9Eに示すように、良好な皮膚適合性のために適切な圧力を加えるために、電極材料1900と同程度またはそれ以上の適合性を有する裏打ち材料1902を有する。また、一部の実施形態では周方向であり、かつ本明細書の他の箇所に開示されているように間隔を置いて配置された複数の電極に取り付けるように構成され得るバンド1901が示される。一部の実施形態では、湾曲した乾式電極1900は、
図9Fに示すように、別個の裏打ち材料を必要としない。一部の実施形態では、
図9Gに示すように、裏打ち材料1902はまた、乾式電極1900の形状に一致するように湾曲またはドーム型であり、これは乾式電極アセンブリの製造または剛性制御中の2つの層の有益な接着を提供し得る。
図9Hは、電極の縁部における適合性および電流供給の制御を改善するための先細電極1000の側面図を概略的に示す。図示のように、電極1000は、電極の周縁部よりも電極の中心部で厚くすることができる。一部の実施形態では、電極1000の中心の厚さは、電極の周縁部の約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれ以上であり得る。
【0103】
さらに、電極の縁部による皮膚への集中的な電流供給は、場合によっては痛みまたは不快感を引き起こす可能性があり、湾曲した形状も縁部の半径を大きくして、電流集中の可能性を減らす。しかしながら、他の実施形態は、前述の特徴のうちの1つ以上を含み得る。しかしながら、粘着性が高すぎると、装着可能装置のバンドを付属物上で滑らせるのを困難にする可能性がある。この場合、表面をより微細にテクスチャ加工すること、および/またはコーティングで皮膚接触層904を処理することで、より適度なレベルの粘着性を提供することができる。
【0104】
ベース層902の厚さおよびパターニングはまた、場合により、例えば腕、手首、手、膝、足首、または足のような異なる身体部分に機械的に曲がって適合する電極の能力に影響を及ぼし得る。薄いポリイミド基板上の連続的な金属箔またはフィルムは、可撓性バンドを製造するための優れた候補となり得る。連続金属は、一部の実施形態では、特定の付属物に必要な屈曲部を生成するのに十分な延性があることが好ましく、例えば、典型的な金被覆可撓性処理では、銅をニッケルで被覆し、次いで金で不動態化する。一部の実施形態では、ニッケルは脆く亀裂する傾向があるので、ニッケルの薄層のみが望ましい。この可撓性は、裏打ち材料を曲げ方向に沿って蛇行状にパターニングすることによっても増大させることができる。さらに、銀などの他のより延性の高い金属を導電性ベース層裏打ち902に使用することができる。
【0105】
層間剥離は電流が装着者に流れることができない原因となり得るので、ベース層に対する皮膚接触層の接着は重要であり得る。
図10A~
図10Cに示すように、接着は機械的要素を使用して改善することができる。
図10Aは、皮膚接触層に接着するための機械的取り付けまたは接着手段を備えていないベース層1002を示す。
図10Bは、ベース層1002の周囲に均一に配置された複数の孔1003を有するベース層1002を示す。
図10Cは、ベース層1002の周囲に均一に配置された複数の孔1003と、ベース層1002のほぼ中央に配置されたより大きな孔1003’とを有するベース層1002を示す。これらの孔1003、1003’により、皮膚接触層材料(例えば、シリコーン)が、処理(例えば、オーバーモールド)時にベース層1002を囲み(例えば、侵入し)、良好な接触を維持することが可能になる。これらの孔1003、1003’の任意の組み合わせを、ベース層1002にわたって使用することができる。さらに、プライマー、コロナまたはプラズマ処理などの表面処理を使用して、皮膚接触層の接着を促進するためにベース層1002の材料の表面を処理することができる。
【0106】
一部の実施形態では、ベース層上に直接オーバーモールドする代わりに、充填された接着剤(例えば銀エポキシ)、またはテープの長さまたは幅に沿ってではなく、テープの厚さにわたってz軸方向(すなわち、接着面に対して垂直な方向)にのみ伝導を可能にするZ軸テープなどの他の導電性接着剤を使用して、皮膚接触層をベース層に接着することができる。界面が十分に薄いならば、一部の実施形態では非導電性接着剤も利用することができる。
【0107】
本明細書の他の箇所で論じられるように、装着者にとって快適な刺激を提供するために、電極のいくつかの特徴が、一部の実施形態において望ましい可能性がある。一部の実施形態における1つの電極特徴は、電極表面に実質的に等しい均一性のコンダクタンスを提供することであり、これは、電流が電極の皮膚接触表面にわたって均一に伝達されることを意味する。電極表面が実質的に等しいコンダクタンスの均一性を有するかどうかを検証するために、皮膚接触層あるいは皮膚接触層に加えられたベース層を備えた電極全体の端から端までの抵抗またはコンダクタンスを、電極の皮膚接触面全体にわたって複数の点で測定することができる。一部の実施形態では、複数の点で測定された抵抗率またはコンダクタンスの標準偏差は、(オームセンチメートルなどの絶対値、またはパーセンテージベースで)約10、15、20、25、30、35、40、45、または50未満だけ、測定された抵抗率またはコンダクタンスの平均値よりも多いまたは少ない。一部の実施形態では、皮膚接触面を通過する電流が均一であるかどうかを検証することは、電極の皮膚接触面全体にわたる複数の点で測定することができる。一部の実施形態では、複数の点で測定された電流の標準偏差は、(ミリアンペアなどの絶対値、またはパーセンテージベースで)約10、15、20、25、30、35、40、45、または50未満だけ、測定された電流の平均値よりも大きいまたは小さい。
【0108】
一部の実施形態では、乾式電極は、皮膚との良好な接触および良好な電気的接続を維持するために、場合によっては径方向内向きの圧力などの圧力を加えるバンド内に配置することができる。Dリング、または膨張式カフなどのバンドの様々な実施形態はすべて、薄い乾式電極と組み合わせたときに良好な電気的接触を提供するのに必要な皮膚適合性を提供できるバンドである。場合によっては、効果的な電気的接触を提供するのに必要な圧力は、約10~40mmHg、約5~50mmHg、約15~300mmHg、または前述の値のうちの任意の2つを含む範囲、またはその間の範囲である。
【0109】
一部の実施形態では、皮膚接触層を形成する導電性材料は、約1オームセンチメートル~約2000オームセンチメートル、約20オームセンチメートル~約200オームセンチメートル、約100オームセンチメートル~約1000オームセンチメートル、約5オームセンチメートル~約100オームセンチメートル、約1オームセンチメートル~約10,000オームセンチメートル、または前述の値のうちの任意の2つを含む範囲、またはその間の範囲とすることができる高い体積抵抗率を有する。これらの抵抗率範囲は、現在のヒドロゲル電極と同程度であり得る。体積抵抗率が低いと刺激中に不快感が生じる可能性がある一方で、体積抵抗率が高いと電力損失が生じる可能性がある。したがって、一部の実施形態では、中程度の体積抵抗率が最適であり得る。
【0110】
一部の実施形態では、電極の縁部を通して送達される電流の集中の可能性を低減する(すなわち、電極の表面にわたって電流を拡散する)ために、電極は、電極の中心に向かってより低い抵抗率および電極の縁部に向かってより高い抵抗率を有することができる。電極の縁部に起因する皮膚への集中的な電流送達は、痛みや不快感を引き起こす可能性がある。電極の抵抗率は、乾式電極の断面を概略的に示す
図10Eに示すように、電極1200全体にわたって導電性充填材料の濃度を変えることによって制御することができ、図において乾式電極は、電極の端部において充填材料がより少なく、比較的導電率が低い第1の外側区域1202、外側区域1202よりも充填材料が多く、比較的導電率が中間である第2の中間区域1204、および第1の外側区域1202および第2の中間区域1204よりも充填材料が多く、比較的導電率が高い第3の内側区域1206を含み得る。一部の実施形態は、2つ、4つ、5つ、またはそれ以上の異なる数の区域を有することができ、または各区域内で漸進的な導電率勾配を有することができる。一部の実施形態では、電極の抵抗率は、
図10Dに示すように星形パターン1100などの電極の輪郭形状を変えることによって、または先細輪郭を有する電極の側面図を示す
図9Eに示すように、中心に向かって厚くなり縁部に向かって薄くなる電極を有するなど、電極の厚さを変えることによって制御することができる。
図9Eは、電極の縁部における適合性および電流供給の制御を改善するための先細電極1000の側面図を概略的に示す。図示のように、電極1000は、電極の周縁部よりも電極の中心部で厚くすることができる。一部の実施形態では、電極1000の中心の厚さは、電極の周縁部の約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、またはそれ以上であり得る。
図10Dに示すように、星型電極1100の上面は、約または少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上などの複数の径方向外向きに延びる突起1104を備える中央ハブ1102を含むことができる。一部の実施形態では、電極を一体的に形成することができる。一部の実施形態では、パターン化された電極は、シリコーンなどの非導電性材料を含むことができ、ここで二部成形プロセスなどによって、星形または他のパターンは導電性であり、外側周囲材料は非導電性である。一部の実施形態では、例えば充填材料の量によって電極の空間抵抗率を制御することによって、電流送達の位置を制御して、1つ以上の好ましい位置で皮膚および神経を刺激することもできる。
【0111】
電極の形状はまた、皮膚に適合能力にも寄与し得る。例えば、正方形または長方形のように、電極が縁部および/または角部を有する場合、縁部および角部は変形して装着者の皮膚に向かって下方に曲がることがある。この変形により皮膚接触層に不均一な圧力がかかり、局所的な電流の集中および不快感をもたらす可能性がある。
図11Aおよび11Bは、皮膚との適合性および均一な電流分布を最適化することができる電極形状を示す。
図11Aは、電極1100の側面断面図を示す。
図11Bは、電極1100’の上面図を示しており、これは、
図11Aに示す電極1100と同じまたは異なる電極であり得る。
図11Aに示すよう先細状(例えば、丸みを帯びた、鋭利でない)縁部を有する枕形輪郭の電極、および/または
図11Bに示すような丸みを帯びた角部を有する電極などの形状は、人の皮膚に触れたときの角部および縁部周囲の電極の変形を減らすことによって不快感を防ぐ。一部の実施形態では、電極は概して正方形または長方形の形状を有することができる。一部の実施形態では、電極は(例えば、上から見て)弓状、例えば円または楕円の形状を有することができる。さらに、電極が人の皮膚に触れる最初の材料であることを確実にするために、電極がバンド表面を超えて突き出ていることがある。さらに、電極の形状も適合性に役立ち、例えば、角部が丸い正方形は、単一の点が皮膚に触れる可能性を減らすことができる。
試験装置
【0112】
図12Aおよび
図12Bは、乾式電極のコンダクタンスを試験するための試験装置の例を示す。
図12Aは、乾式電極の一貫性および乾式電極の表面にわたる抵抗またはコンダクタンスの均一性を評価するために使用することができるピンポイントテスタ1200の一実施形態を示す。ピンポイントテスタ1200は、試験する乾式電極の全領域に広がる電極の第1のアレイ1202を有する第1のプレートと、第1のアレイに対応する電極の第2のアレイを有する第2のプレート(見えない)とを有することができる。試験のために、乾式電極または単に皮膚接触層を2枚のプレートの間に挿入し、典型的な装着圧力に圧縮して電極アレイと乾式電極との間の接触を確実にすることができる。次いで、ピンポイントテスタ1200は、乾式電極の表面全体にわたる複数の離散点で乾式電極の抵抗またはコンダクタンスを同時に測定することができる。個々の点の抵抗またはコンダクタンスを統計的に比較して、電極表面にわたる材料特性の一貫性または均一性を判定することができる。
図12Bは、特定の圧力/バンド引張り力の下で円筒形テスタ1204の周りに取り付けられたバンドに取り付けられた電極の構成のインピーダンスを測定するために使用される円筒形テスタ1204の実施形態を示す。円筒形テスタ1204を使用して、バンドに加えられる圧力/力の量と電極のコンダクタンスとの関係を概算することができる。圧力/力が増加すると、乾式電極と円筒形テスタ1204とのより良好な接触/適合性が促進され、電極と円筒形テスタ1204とのより良好な伝導を可能にする。
乾式電極用に構成された装着可能バンド
【0113】
図13Aは、スナップ嵌合によってバンドに取り付けられた電極500の例を示す。電極500は、機械的スナップが電極500をバンドに固定することを可能にする、電極500の周囲などにいくつかの開口部を含むことができる。
図13Bは、溶接ワイヤ502または電気トレースを介してバンドに取り付けられた電極500’の例を示す。ワイヤ502は、電極500’に溶接されてもよく、バンドにねじ込まれるか、その他の方法でバンドに固定されてもよい。スナップ嵌合は直接ワイヤ接続よりも構造的支持を必要とし、それゆえ、スナップ嵌合はバンド上の電極の剛性を増大させる傾向がある。直接ワイヤ502または電気トレース接続を使用することによって、バンド上の電極500’の可撓性を向上させることができ、それによって皮膚の適合性が向上する。
【0114】
図14A~
図14Fは、3つの乾式電極602を含むバンド600の一実施形態を示す。
図14Aは、バンド600の下側または皮膚に面する側を示す。
図14Bは、神経刺激装置に取り付けるように構成された、バンド600の外側または皮膚に面していない側を示す。
図14Cは、神経刺激装置600を含むバンド600の上面斜視図を示す。
図14Dは、神経刺激装置604を含むバンド600の皮膚に面する側の底面図を示す。
図14Eは、あたかも肢部の周りに装着されているかのようなストラップ構成のバンド600の側面図を示す。
図14Fは、神経刺激装置604を含むバンド600の上面図を示す。一部の実施形態では、乾式電極602はバンド600の長手方向軸に沿って整列してもよい。乾式電極602は、
図14A~
図14Fに示すように離間して配置することができる。乾式電極602は、電気神経刺激装置604などの電気装置に電気的に取り付けることができる。バンド600は、例えば手首、腕、足首、または足などの身体部分の周りでバンド600に張力をかけることを可能にする弾性ストラップ606(
図14A)を有することができる。バンド600はまた、面ファスナ608(
図14B)を使用して、調整可能な量の張力および圧力を電極602によって装着者の皮膚に加えることを可能にする連続調整機能を提供することができる。本明細書の他の箇所でさらに説明されるように、電気神経刺激装置604に取り付けられるバンド600の側面の少なくとも1つの電気接続タブ610(
図14B)に電極602を電気的に接続する可撓性回路を、バンド600の1つ以上の層に組み込むことができる。電気接続タブ610は、電気神経刺激装置604に電気的に結合され物理的に固定されることができる。一部の実施形態では、バンド600上に2つのタブがあってもよく、両方とも電気神経刺激装置をバンド600に物理的に固定するために使用できるが、1つのタブだけが電気接続を提供し得る。一部の実施形態では、両方のタブが電気接続を提供する。一部の実施形態では、電気接続タブ610は、電気神経刺激装置604をバンド600に物理的に固定するために使用される取り付けタブまたは機構とは別個のものである。
【0115】
図15A~
図15Dは、乾式電極702を有するバンド700の実施形態を含むことができる様々な層および構成要素の例を示す。
図15Aに示すように、バンド700の最上層704は、弾性部分706と、バンド700の他方の端部を受け、かつバンド700の他方の端部がそれ自体でループバックできるようにバンド700の一方に取り付けられたDリング708と、バンド700を身体部分の周りに固定するための、バンド700の皮膚に面していない側の面ファスナ710(例えば、Velcro(商標))とを含むことができる。
図15Bは、オーバーモールド導電性シリコーン電極702および電気接続タブ714を有する可撓性回路712を示す。乾式電極702のベース層は、可撓性回路712に直接一体化されてもよい。電気接続タブ714は、電気神経刺激装置に接続することができる可撓性回路の延長部とすることができる。
図15Cは、可撓性回路712を
図15Dに示す最下層718に取り付けるために使用される裏打ち(例えば、3M(登録商標)社の接着剤)を有する接着剤層716を示す。したがって、接着剤層716は、両側で接着性であり得る。接着剤層716は、電極702を受けるための切欠きを有することができる。最下層718は、電極702を受けるための切り欠きと、最下層718を最上層704に取り付けるために最下層718の外側領域の周りに配置された接着剤(例えば、熱活性化接着剤)とを有する。
図15Dに示すように、最下層718の第1の領域719(より暗い/黒い領域)は、接着剤層716に対応してそれに取り付けられている。第1の領域719は、ポリカーボネートまたは接着剤層716に接着するように特に構成された別の材料であり得る。第2の領域720(より明るい色の領域)は、最上層704および最下層718を接着するために使用される接着剤を含み得る。最下層718の皮膚に面する側は、布地または他の快適な材料であり得る。
【0116】
図16A~
図16Fは、
図15A~
図15Dに示すバンド700および電極702の(工程番号1~7付きの)アセンブリを示す。
図16Aは、接着剤層716の一面の可撓性回路712への取り付けを示す。次に、
図16Bに示すように、最下層718を接着剤層716の他方の面に取り付けることができ、それによって可撓性回路712を最下層718に固定する。次に、
図16Cに示すように、最上層704および最下層718を接着するために使用される接着剤を活性化することができる(例えば、熱活性化またはUV活性化)。他の実施形態では、この工程の前に非活性化接着剤を塗布することができる。一部の実施形態では、接着剤は活性化されたときに色を変えることができ、それによってバンドの組立者は、最下層718が最上層704に取り付けられる準備ができたことがわかる。次いで、
図16Dに示すように、最上層704を最下層718に取り付けることができ、それによって最上層704と最下層718との間に可撓性回路層712を挟む。電気接続タブ714は、最上層704のスリットまたは開口部を通して挿入することができる。
図16Eは、装置をバンド700に固定するために使用することができる電気接続タブ714および別個の物理固定タブ720を示す。
図16Fは、完全に組み立てられたバンド700の両側を示し、工程6はバンド700の完全に組み立てられた皮膚に面している面を示し、工程7はバンド700の完全に組み立てられた皮膚に面していない面を示す。電気神経刺激装置は、本明細書の他の箇所に記載されているように、続いてバンド700の皮膚に面していない側に固定することができる。
【0117】
一部の実施形態では、バンドは、バンド長を予め選択された設定に調整する、または動作範囲から調整する、例えばボタンまたはダイヤルなどの制御を通じてバンドと相互作用することによって調整可能な2つ以上の張力設定を有し得る。第1の張力設定は、特定の刺激セッション期間中に良好な適合性および快適な刺激のために電極と装着者の皮膚との間に十分な圧力を加えるような張力であり得る。第2の張力設定は、装置を装着者の肢部に固定する第1の設定よりも小さい張力であり得るが、快適な終日装着を可能にするのに十分な皮膚適合性のための十分な圧力ではない。装置は、第2のより低い張力設定での刺激を防ぐことができるであろう。例えば、装着者の手首に取り付けられているバンドの長さを変えることによって、またはバンドを膨らませることによって、張力および圧力を調整することができる。
【実施例0118】
<実施例1>
図17Aおよび
図17Bは、本明細書に記載の実施形態による、患者の手首の神経に電気刺激を与えた後の劇的な振戦の減少を示す。
図17Aは、姿勢保持中の振戦エネルギーを測定するためのジャイロスコープを使用して検出された振戦減少の例である。振戦の激しさは、ハンドジャイロスコープによるエネルギー出力によって測定される。2つの基線測定値を刺激なしで記録した。本明細書の実施形態によって記載されるような神経刺激装置による治療刺激手順の適用前、適用中、または適用後のいずれかの姿勢保持の異なる期間(0、10、20、または30分)についてエネルギーを測定した。結果は、刺激中および刺激後の両方で手振戦の識別可能な減少を実証している。
図17Bは、神経刺激の前(左)および神経刺激の後(右)に患者にらせんを描かせることによって検出された振戦の減少の一例である。らせんパターンの歪みは、神経刺激治療後に著しく減っている。刺激は約40分間送達された。一部の実施形態では、刺激は、約40分から約120分の間、または場合により最大約8時間まで送達することができる。
【0119】
<実施例2>
図18Aは、電極が一日中使用するのに快適であるかどうかを判定するために15人の被験者に対して試験された2つの乾式電極1802を含む装着可能バンド1800の実施形態の例を示す。被験者は120分間刺激され、これは本態性振戦による手振戦を治療するための約3回の典型的な刺激セッションと同じである。さらに、被験者は、刺激なしでさらに8時間、1日当たり10時間の総装着期間、バンド1800を装着した。目標合格基準は、少なくとも80%の被験者が一日中使用するのに快適な装置であると判断することであった。
【0120】
図18B~
図18Fは、大多数の被験者が乾式電極の装着および使用が快適であると感じたことを示す研究からの予備データを示す。
図18Bは、14人の被験者についての手首サイズ(小、中、または大)の分布を示す。小型手首は13.5~15.5cmまたはそれ以下、中型手首は15.5~17.5cm、大型手首は17.5~19.5cmまたはそれ以上である。
図18Cに示すように、被験者の79%が乾式電極を用いた2時間の刺激から痛みを経験せず、被験者の14%が一過性の痛みのみを経験し、そして被験者の7%のみが持続性の痛みを経験した。
図18Dに示すように、被験者の少なくとも86%が、一日を通して電極を装着することが快適であると感じた(不快感を経験しなかった)。
図18Eに示すように、被験者の少なくとも79%が2時間の刺激からかゆみを感じず、被験者の14%のみが一過性のかゆみを感じたが、持続性のかゆみを報告した被験者はいなかった。
図18Fは、様々なレベル(電流)の神経刺激で相対的な痛み/快適さのレベル(快適、一過性のかゆみ、一過性の痛み、持続性の痛み)を経験している被験者数の予備分布を示す。
【0121】
特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素の「上に」あると言及される場合、それは別の特徴または要素の上に直接あることができ、または介在する特徴および/または要素も存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素の「上に直接」あると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が他の特徴または要素に「接続」、「取り付け」または「結合」されていると言及される場合、それは他の特徴または要素に直接接続、取り付けまたは結合されることができ、または介在する特徴または要素が存在してもよい。対照的に、特徴または要素が他の特徴または要素に「直接接続」、「直接取り付け」または「直接結合」されていると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。
【0122】
1つの実施形態に関して記載または図示されているが、そのように記載または図示された特徴および要素は、他の実施形態に適用することができる。別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴への言及が、隣接する特徴と重なり合うかまたはその基礎となる部分を有することができることも当業者には理解されよう。
【0123】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。例えば、本明細書中で使用される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数形も含むことを意図する。本明細書で使用されるとき、用語「含む」は、述べられた特徴、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の組み合わせを含み、「/」と省略されることがある。
【0124】
「下」、「上」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、説明を容易にするために、図に示されているような1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または動作中の装置の異なる向きを包含することが意図されていることが理解されよう。例えば、図中の装置が転回される場合、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」置かれるであろう。したがって、「下」という例示的な用語は、「上」と「下」の両方の向きを包含することができる。装置は、他の方向を向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。同様に、「上に」、「下に」、「垂直に」、「水平に」などの用語は、特に明記しない限り、本明細書では説明目的だけに使用される。
【0125】
本明細書では「第1」および「第2」という用語を(工程を含む)様々な特徴/要素を説明するために使用することができるが、文脈上別段の指示がない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別するために使用することができる。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下に説明する第1の特徴/要素は第2の特徴/要素と呼ぶことができ、同様に、以下に説明する第2の特徴/要素は第1の特徴/要素と呼ぶことができる。
【0126】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、文脈が他の意味を要求しない限り、「含む」という語およびその変形は、方法および物品において様々な構成要素(例えば、装置および方法を含む組成物および装置)を共同で使用することができることを意味する。例えば、「含む」という用語は、任意の記載された要素または工程の包含を意味するが、他の要素または工程の排除を意味するものではないと理解される。
【0127】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合(実施例で使用される場合を含む)および他に明示的に指定されない限り、すべての数字は、その用語が明示的に現れない場合でも、「約」または「およそ」という語句を頭に付けたものとして読むことができる。「約」または「およそ」という語句は、記載された値および/または位置を記述するときに、記述する値および/または位置が、値および/または位置の合理的な予想される範囲内にあることを示すため使用することができる。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の±0.1%の値、記載された値(または値の範囲)の±1%の値、記載された値(または値の範囲)の±2%の値、記載された値(または値の範囲)の±5%の値、記載された値(または値の範囲)の±10%の値を有してもよい。本明細書に示される任意の数値はまた、文脈上別段の指示がない限り、その約またはおよその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に列挙された任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての下位範囲を含むことが意図される。当業者によって適切に理解されるように、ある値が開示される場合、その値「以下」、「その値以上」および値の間の可能な範囲もまた開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示されている場合、「X以下」および「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示される。本出願を通して、データはいくつかの異なるフォーマットで提供され、かつこのデータは終点および開始点、およびデータ点の任意の組み合わせの範囲を表すこともまた理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示されている場合、10~15より大きい、10~15以上、10~15未満、10~15以下、および10~15と同じ、も10~15の間と同様に開示されている見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されていることも理解される。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
【0128】
以上、様々な実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対していくつかの変更を行うことができる。例えば、説明された様々な方法工程が実行される順序は、代替の実施形態ではしばしば変更されてもよく、他の代替実施形態では、1つ以上の方法工程が完全にとばされてもよい。様々な装置およびシステムの実施形態の任意選択の特徴は、一部の実施形態に含まれてもよく、他の実施形態に含まれなくてもよい。したがって、上記の説明は主に例示的な目的のために提供されるものであり、本発明の範囲が特許請求の範囲に記載されるものに限定されると解釈すべきではない。
【0129】
本明細書に含まれる例および図解は、本発明を実施することができる特定の実施形態を図示するものであり、限定するものではない。上述したように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を利用したりそこから導出したりできる。本発明の主題のそのような実施形態は、単に便宜的に、および発明または発明の概念の1つ以上が実際に開示されている場合は本出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定することなく、「発明」という用語によって個々にまたは集合的に言及されてもよい。したがって、特定の実施形態を本明細書に図示し説明してきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態に置き換えることができる。この開示は、様々な実施形態の任意のおよびすべての改造または変形を網羅することを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば当業者には明らかであろう。本明細書に開示された方法は、施術者によって取られる特定の行動を含むが、方法は、これらの行動に関する第三者の指示を明示的または暗示的に含むこともできる。例えば、「求心性末梢神経を経皮的に刺激する」などの行動は、「求心性末梢神経の刺激を指示すること」を含む。