IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッドの特許一覧

特開2022-110129HCFO-1233zdを乾燥する方法
<>
  • 特開-HCFO-1233zdを乾燥する方法 図1
  • 特開-HCFO-1233zdを乾燥する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110129
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】HCFO-1233zdを乾燥する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/383 20060101AFI20220721BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
C07C17/383
C07C21/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022082761
(22)【出願日】2022-05-20
(62)【分割の表示】P 2017231402の分割
【原出願日】2017-12-01
(31)【優先権主張番号】15/368,027
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ユーオン・チウ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・エイ.・コットレル
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ティー.・ファム
(72)【発明者】
【氏名】ガスターボ・セリ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AD12
4H006BC51
4H006BC52
4H006EA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造プロセス中又はその後における1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)の向上した回収率を可能にする、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの分離方法を提供する。
【解決手段】1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの高純度の組成物を生成する分離技術(例えば蒸留及びデカンテーション)の種々の組合せと共に1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの共沸性又は共沸混合物様の組成物を用いる分離方法を利用し、同時に1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの高い収量を与える。かかる1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの高純度の組成物は、ポリマー技術においてモノマー又はコモノマーとしての有用な用途を見出すことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水を含む共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成し;
形成された共沸性又は共沸混合物様の組成物を分離器中に送り;そして
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む有機層を回収する;
ことを含む、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを回収する方法。
【請求項2】
組成物が、水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの合計重量を基準として、約0.05重量%~約30重量%の水、及び約70重量%~約99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物が、約14.7psiaの圧力において約17.4℃±1℃の沸点を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2015年3月19日出願の同じ出願人の共に係属している米国仮特許出願62/135,282からの国内優先権を主張する2016年2月18日出願の米国特許出願15/046,591に対する一部継続出願であり;本出願はまた、2008年10月28日出願の米国仮出願61/109,007の優先権の利益を主張する2009年10月26日出願の米国出願12/605,609(現在は米国特許8,163,196)の継続出願であり、2008年10月28日出願の米国出願12/259,694(現在は米国特許7,935,268)の一部継続出願(CIP)でもある2011年11月17日出願の米国出願13/298,452(現在は米国特許9,175,200)の継続出願である2015年11月2日出願の米国特許出願14/929,657の一部継続出願でもある。これらのそれぞれの開示事項はそれらの全部を参照として本明細書中に包含する。
【0002】
[0002]1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)の商業的製造においては、プロセスからの粗生成物は、HF、HCl、及び他の酸性成分を除去するために水性洗浄が必要な場合がある。本発明は、HFO-1234zdと水の共沸性又は共沸混合物様の組成物、及びかかる組成物の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]HCFO-1233zd(1233zd)に関する商業的な用途としては、フォーム発泡剤及び溶媒用途が挙げられる。かかる用途においては、通常は、顧客の要求を満足するために湿分含量の厳格な管理が必要である。時には、プロセスの問題のために、1233zd中の湿分レベルが仕様限界を超える場合がある。
【0004】
[0004]種々の1233zd製造プロセスが開示されている。1つの例は米国特許8,921,621において示されており、これには、(a)HCC-240とHFを高圧液相反応器内で反応させる工程を含み、「塔頂の粗HCFO-1233zd流を苛性スクラバーに供給して残留酸性度を除去し、スクラビングされた流れを乾燥剤で乾燥する」工程(h)を含む引き続く工程を有する、HCFO-1233zdを製造する方法が開示されている。
【0005】
[0005]‘621プロセスにおいては、1つの目的はプロセス流中の水を除去するのに十分な乾燥剤を与えることであり、塔頂の粗HCFO-1233zd蒸気流を水で完全に飽和することができるように調製しなければならない。かかる場合においては、生成するHCFO-1233zd蒸気1,000ポンドあたり少なくとも4ポンドの水を除去する必要がある可能性がある。したがって、約15重量%までの湿分を吸着することができる通常のモレキュラーシーブデシカントを用いる場合には、プロセス中で生成するHCFO-1233zdの1,000ポンドあたり約27ポンドまでのモレキュラーシーブを用いる必要があるだろう。本発明における幾つかの態様は、かかるプロセスのために必要なデシカントの消費を大きく減少し、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸性又は共沸混合物様の利益を用いるという更なる利益を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許8,921,621
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0006]本発明は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)の共沸性又は共沸混合物様の組成物を用いる分離方法を提供し、製造プロセス中又はその後における1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの向上した回収率を可能にする。かかる回収又は分離方法は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの高純度の組成物を生成する分離技術(例えば蒸留及びデカンテーション)の種々の組合せと共に共沸性又は共沸混合物様の組成物の独特の特性を利用することができ、同時に1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの高い収量を与えることができる。かかる1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの高純度の組成物は、ポリマー技術においてモノマー又はコモノマーとしての有用な用途を見出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを回収する方法には、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水を含むか、これらから実質的に構成されるか、又はこれらから構成される共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成し、形成された共沸性又は共沸混合物様の組成物を分離器中に送り、そして1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む有機層を回収することを含めることができる。種々の態様においては、この組成物には、約70重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、86重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、90重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのような少ない量、98.5重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、99重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのような多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内(例えば70重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの間)の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、並びに、0.05重量%の水、2.5重量%の水、10重量%の水のような少ない量、又は14重量%の水、20重量%の水、30重量%の水のような多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内(例えば0.05重量%の水と30重量%の水の間)の水を含めることができる。幾つかの態様においては、この組成物は、約14.7psiaの圧力において約17.4℃±1℃の沸点を有していてよい。
【0009】
[0008]種々の方法にはまた、水層をデカンテーションで除去すること、有機層を蒸留カラムに戻すこと、及び/又は蒸留によって有機層中の水を1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンから分離することのような更なる工程を含めることもできる。
【0010】
[0009]また、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の混合物を与え、混合物を、大部分が1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む有機層と水層に分離し、水層の一部を混合物からデカンテーションし、有機層を蒸留カラムに送り、蒸留カラム内で1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸性混合物を形成し、共沸性混合物を蒸留カラムから塔頂流として取り出し、そして実質的に純粋な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを蒸留カラムの塔底から取り出すことを含む方法も開示する。
【0011】
[0010]種々の態様においては、幾つかの方法によって、蒸留カラムから取り出した時点で実質的に純粋な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得ることができ、これは重量基準で約100ppm未満の水を含むようにすることができ、重量基準で約50ppm未満の水を含むようにすることができ、或いは重量基準で約40ppm未満の水を含むようにすることができる。幾つかの態様においては、実質的に純粋な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンは、蒸留カラムから取り出した時点で、約10ppm、11ppm、15ppmのような少ない量、又は20ppm、25ppm、30ppm、
40ppm、50ppm、100ppmのような多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内(例えば10ppm~40ppmの間)を含んでいてよい。
【0012】
[0011]この共沸性の混合物は、水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの合計重量を基準として、約70重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、86重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、90重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのような少ない量、98.5重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、99重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのような多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内(例えば70重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの間)の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、並びに、0.05重量%の水、2.5重量%の水、10重量%の水のような少ない量、又は14重量%の水、20重量%の水、30重量%の水のような多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内(例えば0.05重量%の水と30重量%の水の間)の水を有していてよい。この共沸性の混合物は、約14.7psiaの圧力において約17.4℃±1℃の沸点を有していてよい。
【0013】
[0012]また、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水を有する共沸性又は共沸混合物様の組成物も開示する。幾つかの態様においては、この組成物は、水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのみから構成することができる。
【0014】
[0013]この組成物は、約70重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、86重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、90重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのような少ない量、98.5重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、99重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのような多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内(例えば70重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの間)の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、並びに0.05重量%の水、2.5重量%の水、10重量%の水のような少ない量、又は14重量%の水、20重量%の水、30重量%の水のような多い量、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内(例えば0.05重量%の水と30重量%の水の間)の水を有していてよい。種々の態様においては、この組成物は、約14.7psiaの圧力において約17.4℃±1℃の沸点を有していてよい。
【0015】
[0014] 本発明の代表的な態様の以下の記載を添付の図面と組み合わせて参照すること
によって、本発明の上述及び他の特徴及び対象並びにそれを実施する手段がより明らかになり、本発明それ自体がより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0015]図1は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの回収に関するプロセス図である。
図2】[0016]図2は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを回収するための代表的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0017]図面は本発明の複数の態様を示しているが、図面は必ずしも等縮尺ではなく、本発明をより良好に示し且つ説明するために幾つかの特徴が誇張されている場合がある。ここに示す例示は発明の代表的な態様を種々の形態で示すものであり、かかる例示はいかな
るようにも発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0018】
[0018]上記で簡単に記載したように、本発明は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFC-1233zd)と水の共沸性又は共沸混合物様の組成物を用いる分離方法、並びに1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水を含む共沸性又は共沸混合物様の組成物から1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFC-1233zd)を回収する方法を提供する。
【0019】
[0019]1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンは、水と共沸性及び共沸混合物様の組成物若しくは混合物を形成し、より詳しくは、水と不均一な共沸性及び共沸混合物様の組成物若しくは混合物を形成する。
【0020】
[0020]1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンは、約19℃の沸点を有し、約30℃において1516hPaの蒸気圧を有し、次の構造:
【0021】
【化1】
【0022】
を有する。
[0021]本明細書において量に関連して用いる「約」という修飾語は、規定されている値を包含するものであり、文脈によって決定される意味を有する(例えば、これは少なくとも特定の量の測定値に関連する程度の誤差を含む)。範囲の文脈において用いる場合には、「約」の修飾語はまた、2つの端点の絶対値によって規定される範囲を開示するともみなすべきである。例えば、「約2~約4」の範囲は「2~4」の範囲も開示している。
【0023】
[0022]上記に記載したように、米国特許8,921,621においては、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(HCC-240fa)とHFの反応から商業規模で1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFC-1233zd)を製造する方法が記載されている。
【0024】
[0023]‘621プロセスの一態様においては、HCC-240fa及びHFを高圧で運転する液相反応器に供給する。得られる1233zd、HCl、HF、及び他の副生成物の生成物流を部分的に凝縮させて、相分離によってHFを回収する。回収されたHF相は反応器に再循環する。蒸気流からHClをスクラビングして、水溶液として回収する。所望のHCFC-1233zdを含む残りの有機成分は、スクラビングし、乾燥し、蒸留して商業的製品仕様を満足させる。
【0025】
[0024]図1は、水からの1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの回収に関するプロセス図である。一態様においては、苛性スクラバー出口からの湿潤状態で酸を含まない1233zd(HCFO-1233zd)の粗蒸気を凝縮器内で凝縮する。凝縮された湿潤状態の1233zdは、次に蒸留ポンプタンク又はデカンテーションタンク12中
に流入させ(図1においては流れ11として示す)、ここで水は上層(第1の水層14)として安定化し、1233zdは底層(第1の有機層16)として安定化する。スクラバー液同伴物を含む1233zdの1000~1500ポンド/時の製造速度においては、約2ガロン/時の遊離水が蒸留ポンプタンク(19,000ガロンの容量)内に蓄積されると予測される。したがって、タンク12は約4,000ガロンの遊離水を少なくとも一時的に容易に取り扱うことができると見積もられる。
【0026】
[0025]1233zdの工業的処理中において、1,500ポンド/時の粗1233zd製造速度においては3か月までの間この水を取り扱う必要はなく、水を除去する際にはそれは第1の除去流18として取り出すことができると予測される。水を第1の除去流18として取り出すことは、デカンテーション、選択的ポンプ移送、又は他の液-液分離プロセスによって行うことができる。例えば腐食又は溢流事故を防ぐためにこの水の体積及びその酸性度含量を追跡するための監視プログラムが開発された。この水は、約2,000ppmの粗1233zd又は約0.03ポンド/時の有機化合物を含むと予測される。本明細書において用いる「ppm」又は「100万分の1」という用語は、他に明確に示していない限りにおいては質量分率であると理解すべきである。この水は、有機化合物の回収及び処分のために苛性スクラバーに再循環することができる。
【0027】
[0026]第1の有機層16は、次に例えば第1の有機層を蒸留することによって更に処理することができる。而して、第1の有機層16は蒸留入口22を通して蒸留カラム20へ流すことができ、ここで1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水を蒸留することができ、例えば共沸混合物が形成されるまで蒸留することができる。
【0028】
[0027]本発明において用いる蒸留カラム20は、蒸留を用いて揮発性の差に基づいて混合物を成分部分又はフラクションに分離する任意の通常の分別カラム又は分級カラムを含むと理解することができる。而して、第1の有機層16は蒸留カラム内で蒸留して実質的に純粋な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの塔底物24を生成させることができ、一方で塔頂物26は凝縮して第1の分離器12及び/又は第2の相分離器30のいずれかに送ることができる。種々の態様においては、塔頂蒸気フラクション又は塔頂物26は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸性又は共沸混合物様の組成物である可能性がある。
【0029】
[0028]幾つかの態様においては、蒸留カラムの塔頂物中において、他の有機化合物及び/又は不純物(例えば1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze))も存在する可能性があり、及び/又は水と共沸混合物を形成している可能性もある。幾つかの態様においては、それ自体が水と共沸混合物を形成する組成物中の他の有機化合物及び/又は不純物を用いて、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の主たる共沸混合物中に取り込まれる水に加えて、更に蒸留カラム21の内容物から更なる水を有利に取り込んで、1233zdの回収生成物を更に乾燥及び精製することができる。更に、比較的低い沸点の不純物は、それ自体は水と共沸混合物を形成することができない場合であっても、それにもかかわらず揮発させて、それによって塔頂流中で除去することができる。しかして、本プロセスにおいては、不純物の水を含む共沸混合物及び/又は不純物の非共沸性組成物の両方を蒸留カラム20内で1233zdから引き抜いて、回収される1233zdの純度を向上させることができる。
【0030】
[0029]更に、幾つかの態様においては、例えばトレイの非効率さ又は蒸留カラムの非効率さのために、過剰の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが塔頂物中の共沸混合物組成物中に存在する場合がある。
【0031】
[0030]流体の熱力学的状態は、その圧力、温度、液体の組成、及び蒸気の組成によって
規定される。真の共沸性組成物に関しては、与えられた温度及び圧力範囲において液体組成と蒸気相が実質的に等しい。実際面では、これは成分を相変化中に分離することができないことを意味する。ここで開示するように、共沸混合物は、周囲の混合物組成物の沸点と比べて最高又は最低の沸点を示す液体混合物である。また、本明細書において用いる「共沸混合物様」という用語は、厳密に共沸性であるか、及び/又は概して共沸性混合物のように挙動する組成物を指す。
【0032】
[0031]共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、与えられた圧力下において液体形態である場合に実質的に一定の温度において沸騰し、その温度が個々の成分の沸点よりも高いか又は低い可能性があり、沸騰している液体組成物と実質的に同一の蒸気組成を与える2以上の異なる成分の混合物である。
【0033】
[0032]ここで用いる共沸性組成物は、共沸混合物様の組成物(これは、共沸混合物のように挙動し、即ち一定の沸点特性を有するか、或いは沸騰又は蒸発させることによって分別されない傾向を有する組成物である)を包含するように定義することができる。而して、沸騰又は蒸発中に形成される蒸気の組成は、元の液体の組成と同じか又は実質的に同じである。したがって、沸騰又は蒸発中において、液体の組成は、変化するとしても、最小又は無視できる程度までしか変化しない。これは、沸騰又は蒸発中に液体の組成が相当程度まで変化する非共沸混合物様の組成物とは対照的である。
【0034】
[0033]したがって、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物の重要な特徴は、与えられた圧力において、液体組成物の沸点が一定であり、沸騰している組成物の上方の蒸気の組成が実質的に沸騰している液体組成物のものであり、即ち、液体組成物の成分の分別が実質的に起こらないことである。共沸性組成物のそれぞれの成分の沸点及び重量%は両方とも、共沸混合物又は共沸混合物様の液体組成物を異なる圧力において沸騰にかけると変化する可能性がある。而して、共沸混合物又は共沸混合物様の組成物は、その成分間に存在する関係の観点、又は成分の組成範囲の観点、或いは規定圧力における一定の沸点によって特徴付けられる組成物のそれぞれの成分の実際の重量%の観点で規定することができる。
【0035】
[0034]本発明における種々の態様においては、共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成するのに有効な量の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水を含む組成物が提供される。本明細書において用いる「有効量」という用語は、他の成分と組み合わせた際に共沸混合物又は共沸混合物様の混合物を形成するそれぞれの成分の量である。
【0036】
[0035]本組成物は、好ましくは、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の組合せを含むか又はこれらから実質的に構成され、或いは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の組合せから構成される二元共沸混合物である。共沸混合物様の組成物又は混合物の成分に関して本明細書において用いる「実質的に構成される」という用語は、組成物が、示される成分を共沸混合物様の比で含み、更なる成分が新しい共沸混合物様の系を形成しないならば更なる成分を含んでいてもよいことを意味する。例えば、2種類の化合物から実質的に構成される共沸混合物様の混合物は、更なる成分が混合物を非共沸性にせず且つ化合物のいずれか又は両方と共沸混合物を形成しない(例えば三元共沸混合物を形成しない)ならば、場合によっては1以上の更なる成分を含んでいてもよい2元の共沸混合物を形成するものである。
【0037】
[0036]本明細書において用いる「ヘテロ共沸混合物」及び「不均一共沸混合物」という用語は、同時に2つの液相と共に存在する蒸気相を含む共沸混合物様の組成物を意味する。
【0038】
[0037]本発明はまた、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸性又
は共沸混合物様の組成物を生成させ、次に共沸混合物を不純物から単離することも包含する。本発明はまた、下記においてより詳細に議論するように、共沸性混合物から1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを分離及び精製する工程も含む。
【0039】
[0038]1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンは、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを1種類以上の不純物を含む反応物質混合物の一成分として生成させる当該技術において公知の1以上の方法を用いて製造することができる。
【0040】
[0039]精製の後、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸混合物の成分部分を、実質的に水を含まない精製形態の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンに分離することが望ましい場合もある。本明細書において用いる「実質的に水を含まない」又は「水を含まない」とは、1.0重量%未満の水を含む1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの組成物を指す。例えば、0.4重量%未満の水、又は0.1重量%未満の水を有する1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の組成物は、水を含まないとみなされる。
【0041】
[0040]分離方法としては、当該技術において一般的に知られている任意の方法を挙げることができる。例えば一態様においては、液-液相分離によって過剰の水を1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンから除去することができるが、別の方法としては蒸留又はスクラビングが挙げられる。次に、蒸留によるか、及び/又はモレキュラーシーブ、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、及びこれらの組合せのような1種類以上の乾燥媒体又はデシカントを用いることによって、残りの水を1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンから除去することができる。
【0042】
[0041]1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを回収するために、図2のフロー図において示されるもののような代表的な方法を用いることができる。回収方法1には、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水から実質的に構成される共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成し(工程2)、形成された共沸性又は共沸混合物様の組成物を分離器中に送り(工程3)、そして1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む有機層を回収する(工程4)ことを含めることができる。
【0043】
[0042]例えば、図1を続けて参照すると、塔頂物を、凝縮する前又は後に、軽質の有機化合物パージ25、及び水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの共沸性組成物を有していてよい塔頂生成物流26に分割することができ、これは凝縮して第2の相分離器30に送ることができる。幾つかの態様においては、軽質有機化合物パージは、第2の相分離器30の一部であってよい。軽質有機化合物パージは、製造システム中に存在する軽質有機化合物を取り出すために用いることができ、これは1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)異性体、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、及び幾つかの場合においては若干のHFO-1233zdのような成分を含んでいてよい。
【0044】
[0043]ここで、分離器30中に流入する塔頂生成物流26を用いて、第2の水相34及び第2の有機相36を形成することができる。第2の水相34は、デカンテーションによって取り除いて廃棄(示されている第2の廃棄流38)することができ、或いは(全部又は部分的に)再循環流32によって第1の相分離器12に再循環することができる。種々の態様においては、代表的なプロセス10によって、より高純度の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのより高い収量を可能にすることができる。幾つかの態様においては、第2の有機層36は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンに加えて他の有機化合物を有する可能性がある。例えば、幾つかの態様においては、第2の有機層からの還流流40は、相当量の1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-12
34ze)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、及び/又は他の不純物(例えば約70重量%のHFO-1234ze、約15重量%のHFC-245fa、及び約15重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)を含む可能性がある。
【0045】
[0044]蒸留カラム20から塔底流24として取り出される精製1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンは、50ppm未満、40ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、又は10ppm未満の水を含んでいてよく、或いは他の態様においては10ppm、15ppm、若しくは20ppmのような少ない量、又は25ppm、40ppm、若しくは50ppmのような多い量の水、或いは上記の値の任意の2つの間で規定される任意の範囲内の任意の量の水を含んでいてよい。精製1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd)は、冷媒、発泡剤、噴射剤、又は気体状滅菌剤用の希釈剤のような最終製品として用いることができ、或いはこれは別のHFO又は類似の化合物を製造するために、モノマーとして、中間体として用いることができ、又は他の形態で更に処理することができる。
【0046】
[0045]また、精製共沸混合物は、オゾン層破壊係数を有さず、温室効果地球温暖化に対する寄与が無視でき、不燃性である混合物に関する当該技術における現在の要求を満足する。かかる混合物は、冷媒、発泡剤、噴射剤、及び気体状滅菌剤用の希釈剤など(しかしながらこれらに限定されない)の広範囲の用途において用いることができる。本共沸混合物は、かかる目的のための他の有用な添加剤又は成分と組み合わせて提供することができる。
【実施例0047】
実施例1:1,000ポンドの粗HCFO-1233zdの処理:
[0046]苛性スクラバー出口からの1,000ポンドの湿潤状態で酸を含まない粗HCFO-1233zd蒸気を凝縮器内で凝縮した。次に、凝縮された湿潤状態のHCFO-1233zdをデカンター中に流入させた。水は上層として安定化し、一方でHCFO-1233zdは低層として安定化する。
【0048】
[0047]上部の水層を排出し、これは約4ポンドの水を有し、約2,000ppm又は0.008ポンドの溶解したHCFO-1233zdを含むと考えられる。この水は、有機化合物の回収のために苛性スクラバーに再循環するか、又は処分することができる。
【0049】
[0048]底部のHCFO-1233zd有機層を排出し、これは約1,000ポンドのHCFO-1233zdを有し、約400ppm又は0.4ポンドの溶解水を含むと考えられる。この得られたHCFO-1233zd流は、次に、モレキュラーシーブ3A又は4A、活性アルミナ、シリカゲル、CaSOなどのような乾燥剤で乾燥した。
【0050】
[0049]15%までの湿分を吸着することができる商業的な3Aモレキュラーシーブデシカントを用いると、この改良されたプロセスは、処理するHCFO-1233zdの1,000ポンドあたり2.7ポンドのモレキュラーシーブしか消費しなかった。
【0051】
[0050]この低いデシカント消費速度を考慮すると、乾燥装置の寸法を従来技術の処理において用いられるものよりも遙かに小さくすることができる。更に、モレキュラーシーブを再生することができることを考えると、最終的な乾燥剤の消費を最小にすることができる。
【0052】
実施例2:1,000ポンドの粗HCFO-1233zdの処理:
[0051]10ポンドのHFの酸を含む1,000ポンドの液体粗HCFO-1233zd
を約300ポンドの水及び/又は希釈苛性溶液と混合し、次に洗浄して混合物を液相に維持しながら過冷却温度で酸を除去した。次に、得られた湿潤状態で酸を含まないHCFO-1233zdをデカンター中に流入させた。水又は苛性溶液は上層として安定化し、一方でHCFO-1233zdは底層として安定化する。上記は段階的に行うことができる(例えば、まず水で洗浄してデカンテーションし、次に苛性水溶液で洗浄してデカンテーションする等)。
【0053】
[0052]上部の水又は苛性物質層を排出し、これは約300ポンドの水を有し、約2,000ppm又は0.6ポンドの溶解したHCFO-1233zdを含むと考えられる。この水又は苛性溶液は、次に加熱又はストリッピングして価値のある有機化合物を回収するか、又は処分することができる。
【0054】
[0053]底部のHCFO-1233zd有機層を排出し、これは約1,000ポンドのHCF-1233zdを有し、約400ppm又は0.4ポンドの溶解水を含むと考えられる。この得られたHCFO-1233zd流は、次に、モレキュラーシーブ3A又は4A、活性アルミナ、シリカゲル、CaSOなどのような乾燥剤で乾燥した。
【0055】
[0054]15%までの湿分を吸着することができる商業的な3Aモレキュラーシーブデシカントを用いると、この改良されたプロセスは、処理するHCFO-1233zdの1,000ポンドあたり2.7ポンドのモレキュラーシーブしか消費しなかった。水含量は、この処理の後は約10ppmであった。
【0056】
[0055]この低いデシカント消費速度を考慮すると、乾燥装置の寸法を従来技術の処理において用いられるものよりも遙かに小さくすることができる。更に、モレキュラーシーブを再生することができることを考えると、最終的な乾燥剤の消費を最小にすることができる。
【0057】
実施例3:パイロットプラントにおける粗1233zdの処理:
[0056]苛性スクラバー出口からの100ポンドの湿潤状態で酸を含まない粗HCFO-1233zd蒸気を凝縮器内で凝縮した。次に、凝縮された湿潤状態のHCFO-1233zdをデカンター中に流入させた。水は上層として安定化し、一方でHCFO-1233zdは低層として安定化する。
【0058】
[0057]上部の水層は排出して処分した。
[0058]底部のHCFO-1233zd有機層を排出した。この得られたHCFO-1233zd流は、次に、モレキュラーシーブ3A又は4A、活性アルミナ、シリカゲル、CaSOなどのような乾燥剤で乾燥した。
【0059】
[0059]15%までの湿分を吸着することができる商業的な3Aモレキュラーシーブデシカントを用いると、この改良されたプロセスは、処理するHCFO-1233zdの1,000ポンドあたり2.7ポンドのモレキュラーシーブしか消費しなかった。水含量は、この処理の後は約10ppmであった。
【0060】
[0060]或いは、水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを更に分離するために共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成することなどによって、有機層を更に処理することができる。
【0061】
[0061]下記の実施例4及び5に関しては、1,000ポンド/時の湿潤状態で酸を含まない1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン蒸気を凝縮器内で凝縮した。凝縮された1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを、蒸留カラムからの100ポンド
/時の湿潤状態の共沸性の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水と混合した。次に、得られた混合物を相分離器に送った。水は上層として安定化し、一方で1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンは底(有機)層として安定化した。水層は、2,000ppmの粗1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン又は約0.2ポンド/時の有機化合物を含んでいた。次に、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む水層を、実施例4及び5にしたがって下記のように処理した。
【0062】
実施例4:水からの1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの回収:
[0062]1,100ポンド/時の粗1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの混合物、及び0.4ポンド/時の水を蒸留カラム中に供給し、ここで水の実質的に全部を、約100ポンド/時の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと共に塔頂流中に留出させた。塔頂物は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸性混合物であることが分かった。
【0063】
[0063]次に、この塔頂混合物を相分離器又は苛性スクラバーに送って、塔頂物中に含まれる1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンから水を再び分離した。
[0064]塔底流は、約50ppm未満の湿分を含む約1,000ポンド/時の粗1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを与えた。
【0064】
実施例5:水からの1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの回収:
[0065]1,100ポンド/時の粗1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び0.4ポンド/時の水を蒸留カラム中に供給し、ここでは0.4ポンド/時の水の実質的に全部、及び約100ポンド/時の共沸性の粗1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが塔頂物中に含まれていた。次に、塔頂の共沸性混合物を第2の相分離器に送って、水相及び有機相を形成した。上層は0.4ポンド/時の水を含んでいることが分かり、これは第1の相分離器に再循環して戻すことができるか、処分することができるか、又は部分的に再循環することができる。第1の相分離器の水相も、処分するか又は更なる処理に送ることができる。有機相は、次に蒸留カラムに還流として戻した。第2の相分離器を用いた場合、塔底物はほぼ100%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを与えることが分かり、これに対して還流流40は約50ppmの水を含んでいることが分かった。
【0065】
[0066]更なる実験運転においては、塔底流の組成を制御して、11重量ppmの水~約90重量ppmの水の間を与えることができた。而して、実質的に純粋で乾燥状態の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが蒸留カラムから取り出された。
【0066】
[0067]而して、上記の実施例から分かるように、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸性又は共沸混合物様の組成物を用いて、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを経済的な方法で回収することができる。
【0067】
実施例6:1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水に関する共沸性データ:
[0068]その頂部上に石英温度計を更に取り付けた凝縮器を有する真空ジャケット付きチューブから構成される沸点測定器を用いた。約10ccのトランス-HFO-1233zdを沸点測定器に充填し、次に水を測定された少量ずつ加えた。水を加えた際に温度降下が観察され、これは二元の最小沸点共沸混合物が形成されたことを示した。0より多く約30重量%までの水において、組成物の沸点の変動は周囲圧力において約0.5℃未満であった。
【0068】
【表1】
【0069】
[0069]本明細書において用いる単数形の「a」、「an」、及び「the」は、記載が他に明確に示していない限りにおいて、複数のものを包含する。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメーターを、範囲、好ましい範囲、又はより高い好ましい値とより低い好ましい値のリストのいずれかとして与える場合には、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意のより高い範囲限界又は好ましい値と、任意のより低い範囲限界又は好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示すると理解すべきである。
【0070】
[0070]明細書において数値の範囲が示されている場合には、他に示されていない限りにおいて、この範囲はその端点及びこの範囲内の全ての整数及び小数を含むと意図される。本発明の範囲を、範囲を規定する際に示される具体的な値に限定することは意図しない。
【0071】
[0071]上記から、例示の目的のために具体的な例をここに記載したが、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく種々の修正を行うことができることが認識されるであろう。したがって、上記の詳細な記載は限定ではなく例示とみなされ、特許請求する主題を特に指摘し明確に主張することを意図するものは、下記の特許請求の範囲(全ての均等物を包含する)であると理解されると意図される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の混合物を与え、
該混合物を、大部分が1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む有機層と水層に分離し、
該有機層を蒸留カラムに送り、
蒸留カラム内でトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと水の共沸性混合物を形成し、
該共沸性混合物を蒸留カラムから塔頂流として取り出し、そして
実質的に純粋な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを蒸留カラムの塔底から取り出す、
ことを含む、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを回収する方法。
【請求項2】
蒸留カラムから取り出した実質的に純粋な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが、重量基準で約100ppm未満の水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蒸留カラムから取り出した実質的に純粋な1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが、重量基準で約11ppm~約20ppmの水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
共沸性混合物が、水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの合計重量を基準として、約0.05重量%~約30重量%の水、及び約70重量%~約99.95重量%のトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
共沸性混合物が、水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの合計重量を基準として、約0.05重量%~約14重量%の水、及び約86重量%~約99.95重量%のトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
共沸性混合物が、約14.7psiaの圧力において約17.4℃±1℃の沸点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
共沸性混合物が、水とトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンから実質的に構成される、請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
[0071]上記から、例示の目的のために具体的な例をここに記載したが、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく種々の修正を行うことができることが認識されるであろう。したがって、上記の詳細な記載は限定ではなく例示とみなされ、特許請求する主題を特に指摘し明確に主張することを意図するものは、下記の特許請求の範囲(全ての均等物を包含する)であると理解されると意図される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び水を含む共沸性又は共沸混合物様の組成物を形成し;
形成された共沸性又は共沸混合物様の組成物を分離器中に送り;そして
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む有機層を回収する;
ことを含む、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを回収する方法。
[2]
組成物が、水と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの合計重量を基準として、約0.05重量%~約30重量%の水、及び約70重量%~約99.95重量%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む、[1]に記載の方法。
[3]
組成物が、約14.7psiaの圧力において約17.4℃±1℃の沸点を有する、[1]に記載の方法。
【外国語明細書】