(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110136
(43)【公開日】2022-07-28
(54)【発明の名称】取っ手
(51)【国際特許分類】
A45C 13/26 20060101AFI20220721BHJP
A45C 7/00 20060101ALI20220721BHJP
【FI】
A45C13/26 J
A45C7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022083258
(22)【出願日】2022-05-20
(62)【分割の表示】P 2020096530の分割
【原出願日】2018-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】306030312
【氏名又は名称】株式会社ウオーク社
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(74)【代理人】
【識別番号】100182604
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 二美
(72)【発明者】
【氏名】楢原 寛
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045CE09
3B045FA02
3B045FC01
3B045FC04
3B045FC05
3B045GA01
3B045GB01
3B045GD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】風呂敷等のシート体の姿態を取っ手付手提げ包装体状に保持できる取っ手を提供する。
【解決手段】取っ手は、風呂敷Sの対向二辺が重なるよう中央で二つ折りにし、その端部a,bを係止部205に固定する。この固定は、対向する隅部a,bを係止部205のそれぞれの穴202,203に裏面から通し、表に出す第一工程と、隅部a,bをもう一つの穴203,202に互いに交差するように表面から通し、裏面に出す第二工程から成る。係る係止は、もう一方の係止部205においても同様に行う。これにより、風呂敷Sが二つ折りの状態で取っ手に装着され、袋状のバッグの姿態で保持され、内部に所望の物品を収納可能となる。本体は薄板短冊形状であるため、鞄等に収納しやすい。また、係止部205は、複数の穴202,203から構成されるので、製造が簡単である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体の少なくとも二箇所を係止して当該シート体をバッグ状の姿態に保持する取っ手において、
薄厚のバンド形状である本体と、
当該本体の両端にそれぞれ設けられた複数の穴の組から構成される、シート体を係止する係止部と、
を備えたことを特徴とする取っ手。
【請求項2】
前記係止部を構成する穴の組は、長手方向に近接して設けた少なくとも2つの穴からなることを特徴とする請求項1に記載の取っ手。
【請求項3】
前記係止部を構成する穴の組は、幅方向に近接して設けた少なくとも2つの穴からなることを特徴とする請求項1に記載の取っ手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風呂敷等のシートをバッグ状の姿態で支持する取っ手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されている取っ手が知られている。この取っ手は、革製のバンドの両端のぞれぞれに金属製のリングを2つ設け、この2つのリングに対し、風呂敷の端部を通し、当該端部を一つのリングの外側で折返し、他のリングの内側を通し、風呂敷の端部を固定する。この作業をバンドの両端で行うことで、風呂敷をバッグ状に形成する。風呂敷を取り付けていない状態では、取っ手は略平面的な姿態となり、この状態で風呂敷と共に鞄等に収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の取っ手では、金属製のリングを革製のバンドの両端に取り付ける必要があるため、製造に手間がかかるという問題点があった。また、2つのリングを両端に設けているため、収納時に重く、嵩張るという問題点があった。本発明は、係る問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題点を解決するために、本発明の取っ手は、シート体の少なくとも二箇所を係止して当該シート体をバッグ状の姿態に保持する取っ手において、薄厚のバンド形状である本体と、当該本体の両端にそれぞれ設けられた複数の穴の組から構成される、シート体を係止する係止部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
前記係止部を構成する穴の組は、長手方向に近接して設けた少なくとも2つの穴から構成するのが好ましい。
【0007】
また、前記係止部を構成する穴の組は、幅方向に近接して設けた少なくとも2つの穴から構成するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る取っ手を示す説明図である。
【
図3】風呂敷を取っ手に装着した状態を示す説明図である。
【
図4】本発明に係る取っ手の実施例を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る取っ手を示す説明図である。
【
図7】風呂敷を取っ手に装着した状態を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る取っ手の実施例を示す説明図である。
【
図9】本発明の実施の形態3に係る取っ手を示す説明図である。
【
図10】この取っ手の使用方法を示す説明図である。
【
図11】この取っ手の使用方法を示す説明図である。
【
図12】風呂敷を取っ手に装着した状態を示す説明図である。
【
図13】本発明に係る取っ手の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る取っ手を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)はA-A断面図、(e)はB-B断面図、(f)はC-C断面図である。この取っ手100は、風呂敷等のシート体をバッグ状の姿態に保持するものであって、革製または樹脂製の薄厚バンド形状又は薄板短冊形状の本体1の両端に、それぞれ2つの穴2,3を長手方向に設けた構成である。本体1の中央付近は、ユーザが手に持つ把持部4となる。前記両端にそれぞれ設けられた2つの穴2,3の組が係止部5となる。本体1の長さは、手提げ鞄のように用いる場合は、比較的短く15cm~30cm、ショルダーバッグのように用いる場合は、30cm~90cmの範囲で設定する。
【0010】
本体1の幅は、2cm~5cmの範囲で設定する。なお、同図では、本体1の長手方向で幅が均一であるが、係止部5の幅を把持部4の幅と異なるものとしても良い。例えば、把持部4の幅を係止部5の幅より小さくする。これにより、折り曲げやすく且つ係止部5にシート体を取り付けやすくなる。本体1の厚さは、取っ手100の用途により設定する。手提げ鞄のように用いる場合、比較的厚くして強度を確保する。ショルダーバッグのように用いる場合は、比較的柔らかい素材を用いたり或いは薄くして柔軟性を確保する。
【0011】
本体1の両端に設けた前記一組の穴2,3は、風呂敷の端部を通すのに適したものとするため、最端側が大きくなる。穴2,3の形状は、円形としたがこれに限定されない。例えば、三角形、四角形、その他の多角形であっても良い。更に、ハート形等のデザイン性の高い穴としても良い。穴2と穴3との間隔は、シート体にかかる荷重を受ける強度を確保でき、シート体の端部を通す操作を行いやすく且つシート体端部を固定しやすい所定の間隔とする。
【0012】
次に、この取っ手100の使用方法を説明する。
図2は、この取っ手の使用方法を示す説明図である。
図3は、風呂敷を取っ手に装着した状態を示す説明図である。なお、
図2では、取り付け方の手順を説明するため、ひも状のものを示す。シート体には風呂敷を用いる。
図2(a)に示すように、四角形の風呂敷Sの対向する二辺が重なるように、その中央で二つ折りにし、その状態で風呂敷Sの二箇所の端部a,bを係止部5に固定する。前記係止部5への固定は、
図2(b)に示すように、係止部5の裏面から前記端部側の穴3に風呂敷Sの端部a,bを通す第一工程と、当該端部a,bを係止部5の表面から中央よりの穴2に通す第二工程と、当該中央よりの穴2で前記風呂敷Sの端部a,bを折り返して再び端部側の穴3に裏面から前記通した風呂敷Sの端部a,bを避けて表面に通す第三工程と、前記通した風呂敷Sの端部a,bを跨ぐように前記端部を再び端部側の穴3に通し、裏面に出す第四工程から成る。端部c,dについても、端部a,bと同様に、取っ手100の他端の係止部5の穴2,3に通す。
【0013】
これにより、風呂敷Sが二つ折りの状態で取っ手100に装着されるので、当該風呂敷Sが袋状のバッグの姿態で保持される。この風呂敷Sを取っ手に対して引く又は中に入れた荷物の重量で風呂敷Sが引かれると、前記第一工程から第三工程で取っ手100の穴2と穴3の間に巻き付けた風呂敷Sの端部a、b又はc、dが巻き締まり、係止部5と風呂敷Sとの間の摩擦力が生じると共に、曲げ性のある革、又は樹脂製の取っ手が、引かれた方向に湾曲する。これにより、前記取っ手係止部5と風呂敷が直線状になり、前記第一工程と第二工程で通した風呂敷Sの端部a,b又はc,dが、前記第三工程と第四工程で通した風呂敷Sの端部a,b又はc,dを押し上げ係止部5の穴3に押し付けることとなり、風呂敷Sの最先端部すなわち第三工程と第四工程で通した端部a,b又はc,dが摩擦力により係止部5に係止される。この摩擦力は、風呂敷Sの引っ張り力が増大すると比例して増大し、これにより前記取っ手100の穴2と穴3の間に巻き付けた風呂敷Sの端部はより強固に巻き締り、常に引く力よりも摩擦力が大きくなり抜けることなく確実に係止される。
【0014】
また、
図3に示すように、風呂敷Sを取っ手の係止部100に係止した状態で当該風呂敷Sがバッグ状になるため、内部に所望の物品を収納可能となる。
【0015】
以上、本考案に係る取っ手100によれば、風呂敷等のシート体をバッグ状の姿態に保持できると共に、本体1が薄板短冊形状であるため、軽く、薄く、コンパクトになり、バッグの取っ手として使用する時には使い易く、又、シート体を固定していない状態では、鞄等に収納しやすいものとなる。更に、係止部5は、複数の穴2,3から構成されるので、製造が簡単である。また、取っ手100を2本使って、1本を風呂敷Sの端部aとb、もう1本を同端部cとdに固定すれば、中身の取り出し易い2本取っ手付きの風呂敷バッグを構成することができる(図示省略)。
【0016】
図4に、取っ手100の実施例を示す。厚み4.0mmの牛革製で、幅25mm、長さ250mm、前記穴2の内径11mm(直径)、前記穴3の内径15mm(直径)で製作した。その結果、同様なサイズのリング付取っ手に比べ、重量が約1/5、製造コストが約1/3になり、風呂敷も確実に係止できた。取っ手100の軽さと風呂敷Sの軽さとが相まって、軽くてバランスの良い、使い易い風呂敷バッグが実現できた。また、この取っ手を2本使用し、2本の取っ手付風呂敷バッグを作ったところ、バッグの口を大きく開けられる、中身の取り出し易い風呂敷バッグが得られた。
【0017】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る取っ手を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)はA-A断面図、(e)はB-B断面図である。この取っ手200は、実施の形態1に係る取っ手100と略同一の構成であるが、係止部205の穴202,203の形状が異なるものである。その他の構成要件は実施の形態1と同じであるので、同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。係止部205を構成する穴202,203は、本体1の幅方向に一定間隔を離して且つ略平行して2つ設けられる。各穴202,203は、長穴であって端部側が細く絞られた形状が好ましい。両端の形状は半円形でも角形でも鋭角な形でも構わない。
【0018】
図6は、この取っ手の使用方法を示す説明図である。
図7は、風呂敷を取っ手に装着した状態を示す説明図である。なお、
図6では、取り付け方の手順を説明するため、ひも状のものを示す。シート体には風呂敷を示す。
図6(a)に示すように、矩形の風呂敷Sの対向する二辺が重なるように、その中央で二つ折りにし、その状態で風呂敷Sの端部a,bを係止部205に固定する。前記係止部205への固定は、
図6(b)に示すように、対向する隅部a,bを前記係止部205のそれぞれの穴202,203に裏面から通し、表に出す第一工程と、隅部a,bをもう一つの穴203,202に互いに交差するように表面から通して、裏面に出す第二工程から成る。第二工程における隅部aは、穴203で第一工程で通した隅部bの位置よりも最先端側に、第二工程で通す隅部bは穴202で、第一工程で通した隅aの位置よりも最先端側に通す。係る係止は、もう一方の係止部205においても同様に行う。
【0019】
これにより、風呂敷Sが二つ折りの状態で取っ手200に装着されるので、当該風呂敷Sが袋状のバッグの姿態で保持される。この風呂敷Sを取っ手200に対して引く又は中に入れた荷物の重量で風呂敷Sが引かれると、曲げ性のある革や樹脂等で作られた取っ手200が引かれた方向に湾曲する。これにより、係止部205と風呂敷Sが略直線状になり、力のベクトルは係止部205の長手方向の端側を向く。一方、係止部205の穴202,203に通している風呂敷Sの隅部a,bは、穴202には、係止部205の端側から前記第二工程で通した隅部b、前記第一工程で通した隅部aの順番で入っており、穴203には、係止部205の端側から前記第二工程で通した隅部a、前記第一工程で通した隅部bの順番で入っている。前記風呂敷Sにかかる力のベクトルが係止部205の長手方向端側に向いていることから、穴202に通している隅部aには端方向に押し付ける力が働き、穴202の最先端に通している隅部bを押し付ける。また、穴203に通している隅部bにも端方向に押し付ける力が働き、穴203の最先端に通している隅部aを押し付ける。この押しつけ力により、隅部aは隅部bの先端を、隅部bは隅部aの先端をそれぞれ穴202、穴203の先端に押し込み圧縮し、布の穴部分での押し込み圧力による布と係止部205間の摩擦力と圧縮による絞り効果による摩擦力増大により、隅部a,bの先端部分が係止部205に係止される。この圧縮力と摩擦力は、風呂敷Sを引っ張る力が大きくなるとそれに比例して大きくなるため、係止部205の穴202,203と風呂敷Sを常に安定した係止状態とし抜けなくすることができる。更に、穴202,203の形状を長穴で先端側が細く絞った形状にすることで、前記圧縮による絞り効果を大きくできると共に、この係止方法の基本原理である穴202,203に通している風呂敷Sの隅部a,bの位置関係を長期安定に保持させる効果がある。
【0020】
また、
図7に示すように、風呂敷Sを取っ手200の係止部205に係止した状態で風呂敷Sがバッグ状になるため、内部に所望の物品を収納可能となる。
【0021】
以上、本考案に係る取っ手200によれば、風呂敷等のシート体の姿態をバッグ状に保持できると共に、本体1が薄板短冊形状であるため、軽く、薄く、コンパクトになり、バッグの取っ手として使用する時には使い易く、又、シート体を固定していない状態では薄くコンパクトになり、鞄等に収納しやすいものとなる。更に、係止部205は、複数の穴から構成されるので、製造が簡単である。
【0022】
図8に、取っ手200の実施例を示す。厚み4.0mmの牛革製で、幅30mm、長さ230mm、前記穴202,203の幅5mm、長さ25mmで製作した。係止部205は二つの穴をあけた時の強度を考慮し幅を広くし、中央の持ち手の部分は握るのに最適な幅に設定し製作した。その結果、同様なサイズの金属リング付取っ手に比べ、重量が約1/5、製造コストが約1/3になり、風呂敷も確実に係止でき、長期間テスト使用しても緩むことなく安定して使用できた。風呂敷は軽く携帯に便利な他、荷物の形状にとらわれず自由に包み、その日の気分や服装に合わせて柄を選んだり、サイズを変えたり、何よりも使う人の想像力を楽しむ自由さが魅力であるが、この取っ手200は、風呂敷の持つ軽さや、自由さ、携帯性を損なうことなく、軽くてバランスの良い風呂敷バッグが実現でき、人々が身近に広くふろしきを活用することにつながる効果が期待できる。
【0023】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3に係る取っ手を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は上面図、(d)はA-A断面図である。この取っ手300は、実施の形態1に係る取っ手100と略同一の構成であるが、係止部305の穴302,303の形状が異なるものである。その他の構成要件は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。係止部305を構成する穴302,303の組は、略円形状の穴を長手方向に分離した、換言すれば2つの半円形状を略円形になるように近接させた形状である。この二つの半円形状の間にスリットバー306を設けている。穴303の面積は穴302の面積よりもやや小さくすることが好ましい、また、取っ手300の両端に設けられたスリットバー306間の距離は包もうとする弁当箱等箱状物Hの長さよりも短いことが好ましい。なお、穴302,303の組の形状は、略四角形状でも略菱形形状でもその他多角形でも、長手方向に分離しスリットバーがあれば形状にとらわれない。
【0024】
図10及び
図11は、この取っ手の使用方法を示す説明図である。
図12は、風呂敷を取っ手に装着した状態を示す説明図である。なお、
図10(b)では、取り付け方の手順を説明するため、ひも状のものを示す。シート体には風呂敷Sを用いる。四角形の風呂敷Sの対向する二辺の端部を係止部に固定する。まず、
図10(a)に示すように、弁当箱のような箱状物Hを風呂敷Sの中央に置いて、
図11に示すように、風呂敷Sの対向する二辺の端部b,dを箱状物Hの上に重ねて包み、且つ、他の二辺の端部a,cを係止部305の裏面から前記中央側の穴302に風呂敷Sの端部a,cを通す。次に、
図10(b)に示すように、当該端部a,cを係止部305の表面から端部よりの穴303に前記スリットバー306を巻き込む形で通し、当該端部a,cを両側に引くと、
図12に示すように取っ手両端のスリットバー306間の距離が箱物状Hの長さよりも短く設定されているため、風呂敷Sの端部どうしが引き付けられて、箱状物Hがしっかり包まれる。
【0025】
これにより、風呂敷Sが取っ手300に装着され、当該風呂敷Sが箱状物Hを手提げ包装体の姿態の中で保持する。この風呂敷Sを取っ手300に対して引く又は中に入れた荷物の重量で風呂敷Sが引かれると、前記取っ手両端のスリットバー306間の距離が箱物状Hの長さよりも短いため、力のベクトルは係止部305の端の方向を向き、スリットバー306に巻き付いている風呂敷Sの端部a,bに巻き締り力が働くと同時に、係止部305の端の方向に引かれることにより、革や樹脂などの弾性体で作られている取っ手のスリットバー306は、係止部305の端の方向に撓み穴303に通している風呂敷Sの最端部a,bを押える。これにより係止部305と風呂敷Sとの間で巻き締りによる摩擦力が生じ、係止部305の穴302,303と風呂敷Sとが安定した係止状態となり抜けなくなる。
【0026】
以上、本発明に係る取っ手300によれば、風呂敷等のシート体の姿態を取っ手付手提げ包装体状に保持できると共に、本体301が薄板短冊形状であるため、シート体を固定していない状態では薄くコンパクトになり、鞄等に収納しやすいものとなる。更に、係止部305は、複数の穴から構成されるので、製造が簡単である。
【0027】
図13に、取っ手300の実施例を示す。厚み4.0mmの牛革製で、幅32mm、長さ120mm、前記穴302,303の幅21mm、スリットバー306の厚み6mmで製作した。係止部305は二つの穴をあけた時の強度を考慮し幅を広くし、中央の持ち手の部分は握るのに最適な幅に設定し製作した。その結果、同様なサイズの金属リング付取っ手に比べ、重量が約1/5、製造コストが約1/3になり、弁当箱を包み取っ手を付けると、風呂敷も確実に係止でき、長期間テスト使用しても緩むことなく安定して使用できた。従来弁当箱を包む場合、取っ手300を付ける位置を結んでいたが、その時結び目が瘤になり、バッグなどに入れて持ち運ぶのに邪魔になる他、結んだりほどいたりする手間がかかっていたが、取っ手の穴に通すだけで簡単に着脱できる他、接続部が平たくなり、持ちやすく、バッグなどへの収納も簡単になった。また、この取っ手は風呂敷Sを安定に装着するための係止部305の最適な形状やサイズを決めておけば、外形や模様のデザインは自由に行えることから、
図12(a)に示す通り、取っ手に猫のキャラクターのデザインを入れた取っ手も製作してみたら、テーマを決めてデザインを楽しむユニーク且つ魅力的な取っ手ができた。この取っ手300はランチバッグとして、着脱、持ち運びが簡単便利で、且つ、キャラクターなどのデザインを楽しむ取っ手として、人々が広く活用でき生活を豊かにする効果が期待できる。
【0028】
上記実施の形態では、風呂敷Sをシート体の例として示したが、ビニールシート、ハンカチ、手ぬぐい、タオル、マフラー、ストール等も使用できる。特に、マフラー等の別用途で使用するものでバッグを形成する場合、上記取っ手のみを持ち運べば済む。更に、係止部への係止形態についても、上記図に示したような方法に限定されるものではなく、シート体を袋状に形成して保持し且つその端部が係止できれば、どのような係止方法であっても良い。更に、本体は、革製であるが、合成皮革や短冊形状の型の外装に布を貼着したものであっても良い。
【0029】
また、収納物に応じてシート体の大きさを変更できる。大きなものを収納する場合には大き目のシート体をバッグ状の姿態に保持する。弁当箱のような小さなものを保持する場合は、小さ目のシート体をバッグ状の姿態に保持する。
【符号の説明】
【0030】
100 取っ手
1 本体
2,3 穴
4 把持部
5 係止部
S 風呂敷
a~d 端部