(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110166
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】シート状クッション
(51)【国際特許分類】
A47C 7/74 20060101AFI20220722BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A47C7/74 A
A47C27/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005401
(22)【出願日】2021-01-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】313010839
【氏名又は名称】ヤザキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 和宏
【テーマコード(参考)】
3B084
3B096
【Fターム(参考)】
3B084JA05
3B096AA03
3B096AC12
(57)【要約】
【課題】 効率的な冷却効果や湿気の排出効果が得られるシート状クッションを提供すること。
【解決手段】 使用者が座る座面2a及び使用者の背中に当接する背もたれ面2bを有すると共に弾性材料で形成されたシート本体2と、シート本体に設置されたファン3とを備え、シート本体が、ファンから送風された空気を流通可能な空気流路4を備え、空気流路が、座面及び背もたれ面に露出して延在した複数の溝部4a,4bを有し、溝部の端部が、シート本体の外縁端に開口している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が座る座面及び前記使用者の背中に当接する背もたれ面を有すると共に弾性材料で形成されたシート本体と、
前記シート本体に設置されたファンとを備え、
前記シート本体が、前記ファンから送風された空気を流通可能な空気流路を備え、
前記空気流路が、前記座面及び前記背もたれ面に露出して延在した複数の溝部を有し、
前記溝部の端部が、前記シート本体の外縁端に開口していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状クッションにおいて、
前記シート本体が、前記座面を有する座面部と、
前記背もたれ面を有する背もたれ部とを備え、
前記溝部が、前記座面に形成された座面側溝と、
前記背もたれ面に形成され前記座面側溝と接続された背もたれ側溝とを備え、
前記背もたれ側溝が、前記背もたれ面において前記座面側の端部から前記座面とは反対側の端部まで延在していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項3】
請求項2に記載のシート状クッションにおいて、
前記空気流路が、前記ファンに接続された吸気口を前記座面部に有し、
前記吸気口が、前記座面部の前記背もたれ部とは反対側の端部に配され、
前記座面側溝が、前記吸気口側から前記背もたれ部側へ延在していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項4】
請求項3に記載のシート状クッションにおいて、
前記吸気口が、前記座面部の側面にも配されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
前記座面部と前記背もたれ部とが、連結部を介して連結されていると共に前記連結部で折り曲げ可能とされ、
前記座面側溝と前記背もたれ側溝とが、前記連結部で互いの端部が接続されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
前記座面の前記背もたれ部側が、前記背もたれ部とは反対側の端部よりも凹んだ凹曲面とされ、
前記座面側溝が、前記凹曲面にも形成されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
ベビーカーの座席に設置可能であり、
前記ベビーカーが、前記座席から突出して前記ベビーカーのベルトを嵌めるバックルを備え、
前記座面部が、前記バックルを挿通可能なバックル用孔又は前記バックルを嵌め込み又は挿入可能なバックル用凹部を有していることを特徴とするシート状クッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカー等に設置して送風により着座した使用者の温度等を調整可能なシート状クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーカーに乗った幼児(乳幼児も含む)は、ベビーカーのシートとの間で汗をかいて汗疹が生じることがあり、また自動車の車両座席等のシートに着座した運転車等の使用者も、シートとの間に発汗により湿気がこもって不快に感じることがある。
このため、従来、シートやクッションに送風機能を設け、通気により使用者の冷却及び湿気の排出を図るものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1~3には、内部にファン等から送り込まれた空気を通す通風路を備え、座面や背もたれ面に通風路を直接又は通気性材料を介して開口させることで、シートから幼児や運転者等の使用者に向けて空気を直接又は通気性材料を介して吹き付ける送風機能付きのクッションが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-95342号公報
【特許文献2】特開2000-116462号公報
【特許文献3】特開2015-205611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
すなわち、従来の送風機能付きのクッションでは、通風路に送り込まれた空気をシートから幼児や運転者等の使用者(以下、使用者と称す)に向けて空気を直接又は通気性材料を介して吹き付けているが、通風路の吹き出し孔や通気性材料の微細孔から吹き付けるために、抵抗が大きく、空気が吹き出し難いという問題があった。特に、通風路の吹き出し孔や通気性材料の微細孔を使用者の身体(臀部や背中)が塞いでしまい、空気が出難くなって冷却効果や湿気の排出効果が低下してしまう不都合があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、効率的な冷却効果や湿気の排出効果が得られるシート状クッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るシート状クッションは、使用者が座る座面及び前記使用者の背中に当接する背もたれ面を有すると共に弾性材料で形成されたシート本体と、前記シート本体に設置されたファンとを備え、前記シート本体が、前記ファンから送風された空気を流通可能な空気流路を備え、前記空気流路が、前記座面及び前記背もたれ面に露出して延在した複数の溝部を有し、前記溝部の端部が、前記シート本体の外縁端に開口していることを特徴とする。
【0008】
このシート状クッションでは、空気流路が、座面及び背もたれ面に露出して延在した複数の溝部を有しているので、露出した溝部上に使用者の身体(臀部や背中)が乗ることで溝部の上部開口が塞がれ、使用者の身体が空気流路を構成する壁の一部となる。また、溝部の端部が、シート本体の外縁端に開口しているので、使用者が乗っても空気流路が塞がれることがなく、湿気を効率的に排出できる。したがって、空気流路の壁の一部となった使用者の身体に空気が直接当たりながら溝部内を空気が流通することで、使用者の身体を気化熱により効果的に冷却することができる。また、シート本体の外縁端に配された溝部の開口端部から湿気を外部に効率的に排出することができ、湿気がこもることを抑制できる。
【0009】
第2の発明に係るシート状クッションは、第1の発明において、前記シート本体が、前記座面を有する座面部と、前記背もたれ面を有する背もたれ部とを備え、前記溝部が、前記座面に形成された座面側溝と、前記背もたれ面に形成され前記座面側溝と接続された背もたれ側溝とを備え、前記背もたれ側溝が、前記背もたれ面において前記座面側の端部から前記座面とは反対側の端部まで延在していることを特徴とする。
すなわち、このシート状クッションでは、背もたれ側溝が、背もたれ面において座面側の端部から座面とは反対側の端部まで延在しているので、背もたれ部の座面側の端部から反対側の端部にわたって背もたれ部の長さ方向全体で背もたれ側溝により冷却効果及び湿気排出効果を得ることができる。
【0010】
第3の発明に係るシート状クッションは、第2の発明において、前記空気流路が、前記ファンに接続された吸気口を前記座面部に有し、前記吸気口が、前記座面部の前記背もたれ部とは反対側の端部に配され、前記座面側溝が、前記吸気口側から前記背もたれ部側へ延在していることを特徴とする。
すなわち、このシート状クッションでは、吸気口が、座面部の背もたれ部とは反対側の端部に配され、座面側溝が、吸気口側から背もたれ部側へ延在しているので、吸気口から吸い込まれた空気が、吸気口側から背もたれ側にわたって座面部の長さ方向全体で座面側溝により冷却効果及び湿気排出効果を得ることができる。また、着座した使用者の足下に吸気口が配されていることで、吸気口に吸い込まれる空気の流れによって生じる風によって使用者の足も冷却される。
【0011】
第4の発明に係るシート状クッションは、第3の発明において、前記吸気口が、前記座面部の側面にも配されていることを特徴とする。
すなわち、このシート状クッションでは、吸気口が、座面部の側面にも配されているので、座面部の端部に配された吸気口だけでなく座面部の側面に配された吸気口からも吸気できることで、多くの空気を通気させることが可能になる。特に、座面部の端部に配された吸気口が使用者の足や衣服で塞がれてしまった場合でも、座面部の側面に配された吸気口から吸気できるため、冷却効果及び湿気排出効果が大幅に低減してしまうことを抑制可能である。
【0012】
第5の発明に係るシート状クッションは、第2から第4の発明のいずれかにおいて、前記座面部と前記背もたれ部とが、連結部を介して連結されていると共に前記連結部で折り曲げ可能とされ、前記座面側溝と前記背もたれ側溝とが、前記連結部で互いの端部が接続されていることを特徴とする。
すなわち、このシート状クッションでは、座面部と背もたれ部とが、連結部を介して連結されていると共に連結部で折り曲げ可能とされているので、載置するベビーカーや車両シートの背もたれ(シートバック)の傾きに対応して任意の角度で折り曲げることができる。また、座面側溝と背もたれ側溝とが、連結部で互いの端部が接続されているので、折り曲げた状態でも座面側溝から背もたれ側溝へと空気を流通させることができる。
【0013】
第6の発明に係るシート状クッションは、第2から第5の発明のいずれかにおいて、前記座面の前記背もたれ部側が、前記背もたれ部とは反対側の端部よりも凹んだ凹曲面とされ、前記座面側溝が、前記凹曲面にも形成されていることを特徴とする。
すなわち、このシート状クッションでは、座面の背もたれ部側が、背もたれ部とは反対側の端部よりも凹んだ凹曲面とされ、座面側溝が、凹み面にも形成されているので、着座した幼児等の使用者がずり落ちることを抑制できると共に、凹曲面の座面側溝によって凹曲面に乗った使用者の臀部を冷却及び湿気排出することができる。
【0014】
第7の発明に係るシート状クッションは、第1から第6の発明のいずれかにおいて、ベビーカーの座席に設置可能であり、前記ベビーカーが、前記座席から突出して前記ベビーカーのベルトを嵌めるバックルを備え、前記座面部が、前記バックルを挿通可能なバックル用孔又は前記バックルを嵌め込み若しくは挿入可能なバックル用凹部を有していることを特徴とする。
すなわち、このシート状クッションでは、座面部が、バックルを挿通可能なバックル用孔を有しているので、シート状クッションをベビーカーのシート上に設置した状態でもバックルをバックル用孔又は前記バックルを嵌め込み若しくは挿入可能なバックル用凹部に通して、ベルトをバックルに嵌めることができると共に、シート状クッションがベビーカーのシートから外れることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明のシート状クッションによれば、空気流路が、座面及び背もたれ面に露出して延在した複数の溝部を有し、溝部の端部が、シート本体の外縁端に開口しているので、使用者の身体が空気流路を構成する壁の一部となって空気が身体に直接当たりながら流通することで、気化熱により効果的に冷却することができると共に、使用者が乗っても空気流路が塞がれることがなく湿気を効率的に排出できる。
したがって、本発明のシート状クッションでは、特にベビーカーの座席に設置することで、幼児がベビーカーに乗った場合、座面に当接したおむつ等の湿気を外部に効果的に排出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るシート状クッションの第1実施形態において、シート状クッションを示す平面図である。
【
図2】第1実施形態において、折り曲げた状態のシート状クッションを示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態において、折り曲げた状態のシート状クッションを示す背面図である。
【
図6】本発明に係るシート状クッションの第2実施形態において、平面図である。
【
図7】第2実施形態において、折り曲げた状態のシート状クッションを示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態において、折り曲げた状態のシート状クッションを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明におけるシート状クッションの第1実施形態を、
図1から
図5に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態におけるシート状クッション1は、
図1から
図5に示すように、使用者が座る座面2a及び使用者の背中に当接する背もたれ面2bを有すると共に弾性材料で形成されたシート本体2と、シート本体2に設置されたファン3とを備えている。
特に、本実施形態のシート状クッション1は、ベビーカーの座席に設置可能なベビーカー用クッションである。
【0019】
上記シート本体2は、ファン3から送風された空気を流通可能な空気流路4を備えている。
上記空気流路4は、座面2a及び背もたれ面2bに露出して延在した複数の溝部4a,4bを有している。
上記溝部4a,4bの端部は、シート本体2の外縁端に開口している。
【0020】
シート本体2は、座面2aを有する座面部5Aと、背もたれ面2bを有する背もたれ部5Bとを備えている。
上記溝部4a,4bは、座面2aに形成された座面側溝4aと、背もたれ面2bに形成され座面側溝4aと接続された背もたれ側溝4bとを備えている。
本実施形態の溝部4a,4bは、6つの座面側溝4aと、6つの背もたれ側溝4bとで構成されている。
【0021】
上記背もたれ側溝4bは、背もたれ面2bにおいて座面2a側の端部から座面2aとは反対側の端部まで延在している。すなわち、背もたれ側溝4bの開口端部4dは、背もたれ部5Bの端部に配されている。
上記空気流路4が、ファン3に接続された吸気口4cを座面部5Aに有している。
上記吸気口4cは、座面部5Aの背もたれ部5Bとは反対側の端部に配されている。
また、吸気口4cは、座面部5Aの側面にも配されている。
本実施形態の吸気口4cは、座面部5Aの端部に一対設けられ、座面部5Aの両側面に三つずつ設けられている。
【0022】
各座面側溝4aは、座面部5Aの端部の吸気口4c側から背もたれ部5B側へ延在している。
上記座面部5Aと背もたれ部5Bとは、連結部6を介して連結されていると共に連結部6で折り曲げ可能とされている。
上記連結部6は、折り曲げ可能で座面部5A及び背もたれ部5Bよりも柔軟な材料、例えば軟質ウレタンフォームで形成されている。また、座面部5Aと背もたれ部5Bとは、例えば発泡ポリエチレンフォームで形成されている。
【0023】
座面側溝4aと背もたれ側溝4bは、連結部6で互いの端部が接続されている。
上記座面部5Aは、ベビーカーの座席から突出してベビーカーのベルトを嵌めるバックルを挿通可能なバックル用孔7を有している。
【0024】
また、本実施形態のシート状クッション1は、ファン3を駆動する電池ボックス8を座面部5Aの連結部6近傍の底面側に備えている。
上記電池ボックス8は、例えば単三電池4本を収納可能である。なお、電池ボックス8の代わりにバッテリー(充電池)を内蔵しても構わない。
上記ファン3は、座面部5Aの底部左右に一対内蔵されており、各ファン3の上方に3つの座面側溝4aが形成されている。
なお、各ファン3は、上方の座面側溝4aに向けて空気を送り込むように回転軸が垂直方向に設定されている。
【0025】
座面部5A端部の吸気口4cとこれに対応するファン3とは、座面部5A内に形成された吸気流路4gでそれぞれ接続されている。
また、座面部5Aの裏面において、一対のファン3間には、一対のファン3を接続する3つの接続溝4eが架け渡されて形成されている。なお、3つのうち2つの接続溝4eは、中間にバックル用孔7を介して延在している。
さらに、座面部5Aの裏面において、ファン3から座面部5Aの近傍に側面の吸気口4cまでには、側部溝4fが形成されている。すなわち、両側面に形成された三対の吸気口4cに対応して、三対の側部溝4fが裏面に形成されている。
【0026】
本実施形態のシート状クッション1では、
図3に示すように、空気の流れ方向Fに沿って流れる。すなわち、ファン3により座面部5A端部及び両側部の複数の吸気口4cから吸い込まれた空気が、吸気流路4g,側部溝4f及び接続溝4eを介してファン3から座面部5Aの複数の座面側溝4aと送り込まれ、さらに複数の座面側溝4aから連結部6を介して背もたれ部5Bの複数の背もたれ側溝4bへと流れ、最終的に端部4dから外部に排出される。
【0027】
このように本実施形態のシート状クッション1では、空気流路4が、座面2a及び背もたれ面2bに露出して延在した複数の溝部4a,4bを有しているので、露出した溝部4a,4b上に使用者の身体(臀部や背中)が乗ることで溝部4a,4bの上部開口が塞がれ、使用者の身体が空気流路4を構成する壁の一部となる。また、溝部4a,4bの端部4dが、シート本体2の外縁端に開口しているので、使用者が乗っても空気流路4が塞がれることがなく、湿気を効率的に排出できる。
【0028】
したがって、空気流路4の壁の一部となった使用者の身体に空気が直接当たりながら溝部4a,4b内を空気が流通することで、使用者の身体を気化熱により効果的に冷却することができる。また、シート本体2の外縁端に配された溝部4a,4bの開口端部4dから湿気を外部に効率的に排出することができ、湿気がこもることを抑制できる。
また、背もたれ側溝4bが、背もたれ面2bにおいて座面2a側の端部から座面2aとは反対側の端部まで延在しているので、背もたれ部5Bの座面2a側の端部から反対側の端部にわたって背もたれ部5Bの長さ方向全体で背もたれ側溝4bにより冷却効果及び湿気排出効果を得ることができる。
【0029】
また、吸気口4cが、座面部5Aの背もたれ部5Bとは反対側の端部に配され、座面側溝4aが、吸気口4c側から背もたれ部5B側へ延在しているので、吸気口4cから吸い込まれた空気が、吸気口4c側から背もたれ側にわたって座面2a部の長さ方向全体で座面2a側溝により冷却効果及び湿気排出効果を得ることができる。また、着座した使用者の足下に吸気口4cが配されていることで、吸気口4cに吸い込まれる空気の流れによって生じる風によって使用者の足も冷却される。
【0030】
また、吸気口4cが、座面部5Aの側面にも配されているので、座面部5Aの端部に配された吸気口4cだけでなく座面部5Aの側面に配された吸気口4cからも吸気できることで、多くの空気を通気させることが可能になる。特に、座面部5Aの端部に配された吸気口4cが使用者の足や衣服で塞がれてしまった場合でも、座面部5Aの側面に配された吸気口4cから吸気できるため、冷却効果及び湿気排出効果が大幅に低減してしまうことを抑制可能である。
【0031】
また、座面部5Aと背もたれ部5Bとが、連結部6を介して連結されていると共に連結部6で折り曲げ可能とされているので、載置するベビーカーや車両シートの背もたれ(シートバック)の傾きに対応して任意の角度で折り曲げることができる。また、座面側溝4aと背もたれ側溝4bとが、連結部6で互いの端部が接続されているので、折り曲げた状態でも座面側溝4aから背もたれ側溝4bへと空気を流通させることができる。
【0032】
本実施形態のシート状クッション1は、ベビーカーの座席に設置可能なベビーカー用であるので、幼児が乗った場合、座面2aに当接したおむつの湿気を外部に効果的に排出することが可能になる。
また、座面部5Aが、ベビーカーのバックルを挿通可能なバックル用孔7を有しているので、シート状クッション1をベビーカーのシート上に設置した状態でもバックルをバックル用孔7から通して、ベルトをバックルに嵌めることができると共に、シート状クッション1がベビーカーのシートから外れることを抑制できる。
【0033】
次に、本発明に係るシート状クッションの第2実施形態について、
図6から
図10を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0034】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、座面部5Aの座面2aが座面側溝4a及びバックル用孔7を除いて全体的に平坦面であるのに対し、第2実施形態のシート状クッション21では、
図6から
図10に示すように、座面部25Aの座面22aが凹んだ凹曲面とされている点である。
すなわち、第2実施形態では、座面22aの背もたれ部25B側が、背もたれ部25Bとは反対側の端部よりも凹んだ凹曲面とされている。このため、座面部25Aは、端部よりも背もたれ部25B側が薄く形成されている。
また、座面側溝4aは、凹曲面にも形成されている。
【0035】
また、第2実施形態では、一対のファン23が座面部25Aの端面に設置されており、一対のファン23の前面が吸気口24cとされている。
さらに、座面部25A内には、ファン23の背面側に空洞部24gが形成されており、空洞部24gを介してファン23と溝部4a,4bとが接続されている。
なお、各ファン23は、背面の空洞部24gに向けて空気を送り込むように回転軸が水平方向に設定されている。
また、電池ボックス28は、座面部25Aの端部の中央(一対のファン23の間)に設けられている。
【0036】
第2実施形態では、一対のファン23で吸気口24cから吸い込まれた空気は、ファン23背面側の空洞部24gを介して複数の溝部4a,4b(座面側溝4a及び背もたれ側溝4b)内に流れ、座面部25Aの座面22a側から背もたれ部25Bの背もたれ面2bに流れ、背もたれ部25Bの端部から外部に抜ける。
【0037】
このように第2実施形態のシート状クッション21では、座面2aの背もたれ部25B側が、背もたれ部25Bとは反対側の端部よりも凹んだ凹曲面とされ、座面側溝4aが、凹み面にも形成されているので、着座した幼児等の使用者がずり落ちることを抑制できると共に、凹曲面の座面側溝4aによって凹曲面に乗った使用者の臀部を冷却及び湿気排出することができる。
【0038】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態では、フレキシブルで屈曲可能な軟質材料の連結部を採用しているが、折り曲げ可能なヒンジ部材等で連結部を構成しても構わない。
また、上記実施形態では、ベビーカーのシート上に載置するベビーカー用のシート状クッションとしたが、車両シート,イス,車椅子等に設置したり、ベッド等に設置しても構わない。
さらに、上記実施形態では、バックルを挿通可能なバックル用孔を座面部に設けているが、バックルを嵌め込み若しくは挿入可能なバックル用凹部を座面部の端部中央に設けても構わない。この場合、バックル用凹部は、座面部の端部に背もたれ部側に向けて凹んでバックルが端部前方からバックル用凹部内に嵌め込み又は挿入可能な形状とされる。
【符号の説明】
【0040】
1,21…シート状クッション、2…シート本体、2a,22a…座面、2b…背もたれ面、3,23…ファン、4…空気流路、4a,4b…溝部、4a…座面側溝、4b…背もたれ側溝、4c,24c…吸気口、4d…溝部(背もたれ側溝)の端部、5A,25A…座面部、5B,25B…背もたれ部、6…連結部、7…バックル用孔
【手続補正書】
【提出日】2022-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が座る座面及び前記使用者の背中に当接する背もたれ面を有するシート本体と、
前記シート本体に設置されたファンとを備え、
前記シート本体が、前記ファンから送風された空気を流通可能な空気流路を備え、
前記空気流路が、前記座面及び前記背もたれ面に露出して延在した複数の溝部を有し、
前記溝部の端部が、前記シート本体の外縁端に開口していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状クッションにおいて、
前記シート本体が、前記座面を有する座面部と、
前記背もたれ面を有する背もたれ部とを備え、
前記溝部が、前記座面に形成された座面側溝と、
前記背もたれ面に形成され前記座面側溝と接続された背もたれ側溝とを備え、
前記背もたれ側溝が、前記背もたれ面において前記座面側の端部から前記座面とは反対側の端部まで延在していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項3】
請求項2に記載のシート状クッションにおいて、
前記空気流路が、前記ファンに接続された吸気口を前記座面部に有し、
前記吸気口が、前記座面部の前記背もたれ部とは反対側の端部に配され、
前記座面側溝が、前記吸気口側から前記背もたれ部側へ延在していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項4】
請求項3に記載のシート状クッションにおいて、
前記吸気口が、前記座面部の側面にも配されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
前記座面部と前記背もたれ部とが、連結部を介して連結されていると共に前記連結部で折り曲げ可能とされ、
前記座面側溝と前記背もたれ側溝とが、前記連結部で互いの端部が接続されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
前記座面の前記背もたれ部側が、前記背もたれ部とは反対側の端部よりも凹んだ凹曲面とされ、
前記座面側溝が、前記凹曲面にも形成されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
ベビーカーの座席に設置可能であり、
前記ベビーカーが、前記座席から突出して前記ベビーカーのベルトを嵌めるバックルを備え、
前記座面部が、前記バックルを挿通可能なバックル用孔又は前記バックルを嵌め込み又は挿入可能なバックル用凹部を有していることを特徴とするシート状クッション。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が座る座面及び前記使用者の背中に当接する背もたれ面を有するシート本体と、
前記シート本体に設置されたファンとを備え、
前記シート本体が、前記ファンから送風された空気を流通可能な空気流路を備え、
前記空気流路が、前記座面及び前記背もたれ面に露出して延在した複数の溝部を有し、
前記溝部の端部が、前記シート本体の外縁端に開口し、
前記シート本体が、前記座面を有する座面部と、
前記背もたれ面を有する背もたれ部とを備え、
前記溝部が、前記座面に形成された座面側溝と、
前記背もたれ面に形成され前記座面側溝と接続された背もたれ側溝とを備え、
前記背もたれ側溝が、前記背もたれ面において前記座面側の端部から前記座面とは反対側の端部まで延在していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状クッションにおいて、
前記空気流路が、前記ファンに接続された吸気口を前記座面部に有し、
前記吸気口が、前記座面部の前記背もたれ部とは反対側の端部に配され、
前記座面側溝が、前記吸気口側から前記背もたれ部側へ延在していることを特徴とするシート状クッション。
【請求項3】
請求項2に記載のシート状クッションにおいて、
前記吸気口が、前記座面部の側面にも配されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
前記座面部と前記背もたれ部とが、連結部を介して連結されていると共に前記連結部で折り曲げ可能とされ、
前記座面側溝と前記背もたれ側溝とが、前記連結部で互いの端部が接続されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
前記座面の前記背もたれ部側が、前記背もたれ部とは反対側の端部よりも凹んだ凹曲面とされ、
前記座面側溝が、前記凹曲面にも形成されていることを特徴とするシート状クッション。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシート状クッションにおいて、
ベビーカーの座席に設置可能であり、
前記ベビーカーが、前記座席から突出して前記ベビーカーのベルトを嵌めるバックルを備え、
前記座面部が、前記バックルを挿通可能なバックル用孔又は前記バックルを嵌め込み又は挿入可能なバックル用凹部を有していることを特徴とするシート状クッション。