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特開2022-110229進入車両検出装置、検出方向調整方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110229
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】進入車両検出装置、検出方向調整方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/04 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
G08G1/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005494
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000243881
【氏名又は名称】名古屋電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金森 公洋
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宗徳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博司
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181DD07
5H181FF25
5H181LL07
(57)【要約】
【課題】煩雑な作業を要することなく、規制エリアへの進入車両を検出する。
【解決手段】道路上において交通規制された規制エリアへの進入車両を検出する第1のセンサと、規制エリアを示す規制材の検出結果を取得する取得部と、検出結果に基づいて、第1のセンサの検出方向を調整する調整部とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上において交通規制された規制エリアへの進入車両を検出する第1のセンサと、
前記規制エリアを示す規制材の検出結果を取得する取得部と、
前記検出結果に基づいて、前記第1のセンサの検出方向を調整する調整部と
を備える進入車両検出装置。
【請求項2】
前記調整部は、複数の規制材の配列に基づいて、前記第1のセンサの前記検出方向を調整する、請求項1に記載の進入車両検出装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記規制材の数に基づいて、前記第1のセンサの前記検出方向を調整する、請求項1又は2に記載の進入車両検出装置。
【請求項4】
前記第1のセンサは、物体との距離を示す距離画像を得る距離画像センサである、請求項1乃至3の何れか1項に記載の進入車両検出装置。
【請求項5】
前記第1のセンサは、画像を撮影する撮影部である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の進入車両検出装置。
【請求項6】
前記調整部は、複数の方向それぞれにおける前記規制材の前記検出結果に基づいて、前記第1のセンサの前記検出方向を調整する、請求項4又は5に記載の進入車両検出装置。
【請求項7】
前記規制材の検出は、前記第1のセンサが行う、請求項1乃至6の何れか1項に記載の進入車両検出装置。
【請求項8】
前記第1のセンサと異なる第2のセンサを備え、
前記規制材の検出は、前記第2のセンサが行う、請求項1乃至6の何れか1項に記載の進入車両検出装置。
【請求項9】
道路上において交通規制された規制エリアを示す規制材の検出結果を取得する取得ステップと、
前記検出結果に基づいて、前記規制エリアへの進入車両を検出する第1のセンサの検出方向を調整する調整ステップを含む、検出方向調整方法。
【請求項10】
コンピュータを、
道路上において交通規制された規制エリアを示す規制材の検出結果を取得する取得部及び
前記検出結果に基づいて、前記規制エリアへの進入車両を検出する第1のセンサの検出方向を調整する調整部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進入車両検出装置、検出方向調整方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路において事故処理等、人による作業が行われる場合には、ラバーコーン(カラーコーン(登録商標))などの規制材を道路上に設置することで、作業領域、すなわち規制車線への車両の進入を防いでいる。しかしながら、規制線に車両が進入する可能性があるという問題がある。これに対し、特許文献1には、衝撃センサが備えられ、衝撃を受けた場合に警報信号を出力するカラーコーンが開示されている。これにより、車両がカラーコーンに衝突した場合に、規制車線にいる作業者に知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-26699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両がラバーコーンの間を通り抜けて規制車線に進入した場合には、特許文献1のラバーコーンでは車両の進入を検出できないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、煩雑な作業を要することなく、規制エリアへの進入車両を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、進入車両検出装置であって、道路上において交通規制された規制エリアへの進入車両を検出する第1のセンサと、前記規制エリアを示す規制材の検出結果を取得する取得部と、前記検出結果に基づいて、前記第1のセンサの検出方向を調整する調整部とを備える。
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の他の形態は、検出方向調整方法であって、道路上において交通規制された規制エリアを示す規制材の検出結果を取得する取得ステップと、前記検出結果に基づいて、前記規制エリアへの進入車両を検出する第1のセンサの検出方向を調整する調整ステップを含む。
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明の他の形態は、プログラムであって、コンピュータを、道路上において交通規制された規制エリアを示す規制材の検出結果を取得する取得部及び前記検出結果に基づいて、前記規制エリアへの進入車両を検出する第1のセンサの検出方向を調整する調整部として機能させるためのプログラムである。
【0009】
以上説明した本発明の構成によれば、規制材の検出結果に基づいて、進入車両を検出するための第1のセンサの検出方向を調整することができる。このように、検出方向が自動で調整されるため、作業者が検出方向を設定する必要がない。すなわち、本発明によれば、煩雑な作業を要することなく、規制エリアへの進入車両を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】進入車両検出装置の配置例を示す図である。
図2】進入車両検出装置による検出結果の説明図である。
図3】進入車両検出装置の外観図である。
図4】進入車両検出装置のブロック図である。
図5】検出方向調整処理を示すフローチャートである。
図6】検出方向を決定する処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)進入車両検出装置の概要:
(2)進入車両検出装置の構成:
(3)検出方向調整処理:
(4)変形例:
【0012】
(1)進入車両検出装置の概要:
図1は、進入車両検出装置10の設置例を示す図である。図1に示すように、道路上で例えば事故車両の撤去や道路工事等の作業が行われる場合には、道路上にラバーコーンや工事看板等の規制材Rが設置されることで、規制エリアAへの車両の進入を防いでいる。ここで、規制エリアAは、車両の通行が規制されるエリアであり、規制材Rを境界線とする領域である。
【0013】
このように、規制材Rにより規制エリアAが設定されているものの、暴走車両等が規制エリアAに進入してくる可能性がある。従来技術において説明したように、暴走車両等が規制材に衝突した場合には、規制材Rに設けられた衝撃センサで検出することができる。しかしながら、暴走車両等が規制材Rの間を通り抜けて規制エリアに進入することも想定される。
【0014】
これに対し、本実施形態においては、距離画像センサ11を備えた進入車両検出装置10を規制エリアA内に設置する。進入車両検出装置10は、距離画像センサ11の検出結果に基づいて、規制エリアAへの進入車両を検出する。このように、進入車両検出装置10は、距離画像センサ11の検出結果を用いることにより、規制材Rに衝突した車両だけでなく、規制材Rの間を通り抜ける進入車両も検出することができる。なお、進入車両とは、規制エリアAに実際に進入した車両及び規制エリアAに進入する可能性のある車両を含む。図1においては、1台の進入車両検出装置10のみを示しているが、規制エリアAには、複数台の進入車両検出装置10が設置され、各進入車両検出装置10が進入車両を検出してもよい。
【0015】
進入車両検出装置10が進入車両を検出するためには、距離画像センサ11が進入車両を検出できるように、距離画像センサ11の向き、すなわち距離画像センサ11の検出方向が調整されている必要がある。作業者が、進入車両が規制エリアAに向かってくる方向に、距離画像センサ11の検出方向を調整することも考えられるが、規制エリアAには、車両が進入する可能性があるため、距離画像センサ11の設定に係る時間はできるだけ短いことが望ましい。これに対し、本実施形態に係る進入車両検出装置10は、距離画像センサ11の向き、すなわち検出方向を自動で調整する。以下、進入車両検出装置10による、距離画像センサ11の検出方向を調整する処理について説明する。なお、本実施形態においては、図1に示すように、片側二車線の道路の一車線が規制され、規制エリア内に進入車両検出装置10が設置された場合を例に説明する。
【0016】
(2)進入車両検出装置の構成:
図2は、進入車両検出装置10の外観図である。進入車両検出装置10は、距離画像センサ11と、雲台12と、スピーカ13と、三脚17と、を備えている。距離画像センサ11は、投光部111と受光部112とを有し、距離画像センサ11と物体との距離を示す距離画像を撮影する。投光部111は、複数のLEDを有している。受光部112は、2次元に配置された複数の受光素子を有している。投光部111の投光タイミングから、投光された光を受光素子が受光するまでの時間を距離に換算することで物体までの距離が得られる。2次元に配置された各受光素子が、投光された領域に対応した光を受光するので、2次元に配置された受光素子それぞれの受光結果から、2次元の距離画像が得られる。なお、距離画像センサ11としては、例えば、Time-of-flightカメラが挙げられる。ここで、距離画像センサ11は、第1のセンサの一例である。本実施形態においては、距離画像センサ11は、道路上を走行する車両(進入車両)及び規制材を検出する。
【0017】
本実施形態においては、進入車両検出装置10は、図1に矢印Dで示すように、規制エリアAに隣接する車線の上流方向の範囲が距離画像に含まれるように、距離画像センサ11の向き、すなわち検出方向を調整する。なお、本実施形態においては、規制エリアに隣接する車線の上流方向100m先までの範囲が含まれることを検出方向設定条件とし、進入車両検出装置10は、検出方向設定条件を満たすように距離画像センサ11の検出範囲、すなわち距離画像センサ11の検出方向を調整する。検出方向設定条件は、例えば記録媒体15等に予め設定されているものとする。
【0018】
距離画像センサ11の向きが自動的に調整されることで、進入車両検出装置10は、図3に示すように、隣接する車線の上流方向の範囲の距離画像30を得ることができる。なお、図3においては、検出範囲の理解のために、便宜的に通常のカメラによる撮影画像を示しているが、実際には、この検出範囲の距離画像30が得られる。
【0019】
距離画像センサ11は、雲台12の上に固定されており、距離画像センサ11の検出方向は、雲台12が回転することにより調整される。雲台12は、進入車両検出装置10が設置された状態で、鉛直方向(進入車両検出装置10の上下方向)において、所定の角度範囲で回転可能である。上下方向の角度範囲は、例えば、鉛直方向に対して垂直な方向(進入車両検出装置10の横方向)を中心に上下に120°の角度範囲とする。また、雲台12は、横方向に360°回転可能である。なお、雲台12の可動範囲は、進入車両が検出可能な角度範囲であればよく、上記範囲に限定されるものではない。すなわち、雲台12の上下方向の回転角度は、120°でなくてもよく、また、横方向の回転範囲は、360°よりも小さい範囲であってもよい。距離画像センサ11は、雲台12の上に固定されているので、雲台12が横方向及び上下方向に動くと、雲台12に連動して距離画像センサ11の検出方向も変化する。進入車両検出装置10は、雲台12を横方向及び上下方向に回転させることで、距離画像センサ11の検出方向を調整する。
【0020】
図4は、進入車両検出装置10の構成を示すブロック図である。進入車両検出装置10は、距離画像センサ11、雲台12及びスピーカ13に加えて、制御部14、記録媒体15及びユーザI/F部16を備えている。記録媒体15は、各種情報及び各種プログラムを格納する。
【0021】
制御部14は、CPUとRAMとROM等を備えたコンピュータである。制御部14は、記録媒体15やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。ユーザI/F部16は、不図示のボタン等であり、ユーザ操作を受け付ける。本実施形態の制御部14は、このプログラムの1つとして、進入車両検出プログラム140を実行することができる。制御部14は、進入車両検出プログラム140の処理により、距離画像センサ11の検出方向を調整する。進入車両検出プログラム140は、進入車両検出装置10のコンピュータを、雲台制御部141、センサ制御部142、取得部143、距離演算部144、物体検出部145、調整部146、進入車両検出部147及び警告部148として機能させるためのプログラムである。以下において、雲台制御部141、センサ制御部142、距離演算部144、物体検出部145、調整部146、進入車両検出部147及び警告部148が行うものとして記載する処理は、制御部14(CPU)が進入車両検出プログラム140を実行することにより実現される処理、すなわち制御部14が実行する処理である。
【0022】
雲台制御部141は、雲台12を横方向及び上下方向に回転するよう制御する。雲台12の回転制御により、進入車両検出装置10の検出方向が調整される。センサ制御部142は、距離画像センサ11の投光部111の投光タイミングの制御など、測距に係る処理を行う。取得部143は、距離画像センサ11の検出結果を取得する。距離演算部144は、距離画像センサ11の検出結果、すなわち距離画像センサ11の投光部111の投光のタイミングから受光部112の受光タイミングまでの時間から距離を演算することで、2次元の距離画像を生成する。
【0023】
物体検出部145は、距離画像に基づいて物体を検出する。物体検出部145は、距離画像において距離が不連続になる線を境界線として物体を検出する。本実施形態においては、距離画像に、路面、車両及び規制材が含まれることから、これらが物体として検出される。物体検出部145は、路面、車両及び規制材を区別して検出する。物体検出部145は、物体内において距離が連続的に変化する領域を路面と判定する。また、物体検出部145は、車両と規制材は実際のサイズが異なることを利用して、車両と規制材を区別して検出する。具体的には、記録媒体15には、進入車両検出装置10と物体との距離毎に、物体が規制材である場合の物体(規制材)のサイズ、物体が車両である場合の物体(車両)のサイズが予め格納されているものとする。そして、物体検出部145は、進入車両検出装置10から物体までの距離と、この物体のサイズとの関係が、記録媒体15において対応付けられた、距離と規制材のサイズとの関係と一致する場合に、この物体は規制材であると判定する。物体検出部145は、進入車両検出装置10から物体までの距離と、この物体のサイズとの関係が、記録媒体15において対応付けられた、距離と車両のサイズとの関係と一致する場合に、この物体は車両であると判定する。なお、ここで、一致とは、一定範囲の誤差を許容するものである。このように、物体検出部145は、進入車両検出装置10から物体までの距離と、物体のサイズとに基づいて、検出された物体が規制材であるのか車両であるのかを判別する。
【0024】
他の例としては、物体検出部145は、同一の検出方向において、時系列に得られた複数の距離画像を参照し、移動する物体を車両、距離が変わらない物体を規制材と判断してもよい。
【0025】
調整部146は、物体検出部145により得られた複数の規制材の位置や数に基づいて、距離画像センサ11の検出方向を調整する。調整部146の具体的な処理については、図5を参照しつつ後に詳述する。
【0026】
進入車両検出部147は、物体検出部145により車両が検出された場合に、検出された車両が進入車両か否かを判定する。進入車両検出部147は、物体検出部145により検出された車両の位置が規制材と規制材の間である場合に、進入車両を検出したと判定する。また、進入車両検出部147は、時系列に得られた複数の距離画像それぞれから特定された車両の位置変化から当該車両の進行方向を特定し、進行方向が規制エリアに向かう方向である場合に、進入車両と判定する。なお、進入車両検出部147は、距離画像において、規制材よりも進入車両検出装置10との距離が近い側の路面が規制エリアと特定する。なお、他の例としては、進入車両検出部147は、複数の距離画像から特定された車両の位置変化から当該車両の車速を特定し、さらに車速に基づいて、進入車両か否かを判定してもよい。警告部148は、進入車両検出部147により進入車両が検出された場合に、警告音を出すようスピーカ13を制御する。
【0027】
(3)検出方向調整処理:
図5は、進入車両検出装置10が実行する検出方向調整処理を示すフローチャートである。検出方向調整処理は、ユーザ操作に応じて開始される。作業者は、規制エリア内に進入車両検出装置10を設置し、例えば、ユーザI/F部16としての開始ボタンを押下する。開始ボタンが押下されると、進入車両検出装置10の調整部146は、開始ボタンの押下に応じて検出方向調整処理の開始指示を受け付け、開始指示に従い、検出方向調整処理を開始する。
【0028】
検出方向調整処理において、まず、調整部146は、距離画像センサ11の検出方向を横方向に所定角度ずつ変更させながら、パノラマ画像を生成するよう制御する(ステップS100)。なお、進入車両検出装置10の設置時の雲台12の向きは、横方向及び上下方向とも特に制限されない。設置時の雲台12の向きは、例えば、前回の電源オフ時の設定であってもよい。ここで、パノラマ画像は、距離画像センサ11の検出方向を横方向に所定角度ずつ変化させて得られた複数の距離画像から構成される距離画像である。以下、検出方向のうち、横方向を適宜「検出方向(横方向)」と称し、上下方向を適宜「検出方向(上下方向)」と称する。
【0029】
ステップS100における調整部146の制御に従い、センサ制御部142が距離画像センサ11に投光の指示を出し、距離画像の撮影が行われる。また、雲台制御部141は、距離画像が得られる度に、雲台12を横方向に所定角度回転させることで、距離画像センサ11の検出方向(横方向)を変更する。そして、取得部143は、各検出方向(横方向)における検出結果を取得し、距離演算部144は、検出結果に基づいて、各検出方向における距離画像を生成する。そして、距離演算部144は、検出方向(横方向)に360°分の距離画像からパノラマ画像を生成する。距離演算部144は、さらに上下方向及び横方向を含む、距離画像センサ11の検出方向と、当該検出方向において得られた距離画像とを対応付けて、記録媒体15に格納する。
【0030】
次に、物体検出部145は、ステップS100において得られた、パノラマ画像において、規制材を検出する(ステップS102)。次に、調整部146は、パノラマ画像から検出された規制材の数と予め設定された閾値を比較する(ステップS104)。規制材の数が閾値以下の場合には(ステップS104でN)、調整部146は、検出方向を上下方向に所定角度だけ変更し(ステップS106)、その後処理をステップS100へ進める。制材の数が閾値以下の場合には、検出方向が上過ぎているか、または下過ぎていると予測される。そこで、このように検出方向を上下方向に所定角度だけ変更する。
【0031】
ステップS104において、規制材の数が閾値よりも大きい場合には(ステップS104でY)、このときの検出方向(上下方向)を、進入車両検出装置10の設置時の距離画像センサ11の検出方向(上下方向)として決定する(ステップS108)。すなわち、距離画像センサ11の検出方向のうち上下方向が決定される。以上のように、調整部146は、距離画像において検出された規制材の数に基づいて検出方向を決定できる。なお、他の例としては、調整部146は、上下方向において所定角度おきにすべての範囲でパノラマ画像を撮影し、規制材の数が最大となる角度を上下方向の検出方向として決定してもよい。
【0032】
次に、調整部146は、規制エリアの境界線を特定する(ステップS110)。調整部146は、具体的には、記録媒体15に格納されている、パノラマ画像において検出された規制材を繋いだ線を規制エリアの境界線として特定する。これにより、図1に示す複数の規制材を結んだ線が境界線として特定される。
【0033】
次に、調整部146は、規制材の配置に基づいて、規制エリアが含まれる車線に隣接する車線の上流方向候補を特定する(ステップS112)。調整部146は、まず進入車両検出装置10との距離が境界線よりも遠い方の路面の領域を、規制エリアが含まれる車線に隣接する車線として特定する。そして、調整部146は、規制材の配列方向を上流方向候補として特定する。例えば、図3に示す距離画像30においては、右上から左下に向かう方向と、左下から右上に向かう方向の2方向が車線の上流方向候補として特定される。
【0034】
右上から左下に向かう方向と、左下から右上に向かう方向のいずれも上流方向の可能性があり、この時点ではいずれが上流方向かは特定できない。また、例えば、図6に示すように、進入車両検出装置10が規制エリアAのテーパー部A1のうち先端領域A2に設置された場合には、上流側には規制材が存在しないことから、進入車両検出装置10を起点として下流方向にのみ規制材が配列される。ここで、テーパー部A1とは、規制エリアAの道路幅方向の長さが道路の下流方向に向けて徐々に長くなっている領域である。また、先端領域A2とは、テーパー部A1のうち、上流側の先端の領域であり、その上流側に規制材が配置されていない領域である。進入車両検出装置10が先端領域A2に設置された場合には、進入車両検出装置10の位置から規制材に沿って進入車両検出装置10から離れる方向のみが上流方向候補として特定される。
【0035】
次に、調整部146は、上流方向候補が2つ特定された場合には(ステップS114でY)、規制エリアが片側の二車線のうち右車線に含まれるのか左車線に含まれるのかを判定する(ステップS116)。本実施形態においては、ユーザI/F部16としての選択ボタンにより、規制エリアが右車線又は左車線のいずれであるかを示す情報が入力されるものとする。調整部146は、この入力情報に基づいて、右車線であるか左車線であるかを判定する。
【0036】
規制エリアが左車線に含まれる場合には(ステップS116で左車線)、調整部146は、検出方向設定条件に従い、右車線の上流方向100m先までの範囲が含まれるような検出方向を決定する(ステップS118)。規制エリアが右車線に含まれる場合には(ステップS116で右車線)、調整部146は、検出方向設定条件に従い、左車線の上流方向100m先までの範囲が含まれるような横方向の検出方向を決定する(ステップS120)。
【0037】
以下、ステップS116~ステップS120の処理について説明する。図3に示す距離画像30は、左車線の規制エリア内に設置された進入車両検出装置10により得られた上流側の画像であるが、右車線の規制エリア内に設置された進入車両検出装置10が下流側を撮影した場合にも同様の画像が得られる。このため、距離画像における規制材の配置から上流方向を特定することができないが、規制エリアが右車線であるか左車線であるかわかると、上流方向を特定することができる。そこで、まず、調整部146は、規制エリアが右車線と左車線のいずれに位置するかを特定する。そして、ステップS118及びステップS120においては、調整部146は、規制エリアが右車線であるか左車線であるかに基づいて、隣接する車線の上流方向を特定し、検出方向設定条件を満たすような検出方向を決定する。なお、ここで決定されるのは、検出方向のうち横方向である。
【0038】
規制エリアが左車線に含まれる場合には(ステップS116で左車線)、上流方向の距離画像においては、図3に示す距離画像30のように、距離画像において、右上から左下に向かう規制材の配列が得られるはずである。そこで、調整部146は、規制エリアが左車線に含まれる場合には、パノラマ画像を構成する複数の距離画像の中から、右上から左下に向かう規制材の配列を含み、隣接する車線(右車線)の上流側100m先までの路面が含まれる距離画像を抽出する。そして、調整部146は、検出された距離画像に対応付けられた検出方向(横方向)を距離画像センサ11の設置時の検出方向(横方向)として決定する(ステップS118)。
【0039】
また、規制エリアが右車線に含まれる場合には(ステップS116で右車線)、上流方向の距離画像においては、図3に示す距離画像30を左右反転した画像のように、距離画像において、左上から右下に向かう規制材の配列が得られるはずである。そこで、調整部146は、規制エリアが右車線に含まれる場合には、パノラマ画像を構成する複数の距離画像の中から、左上から右下に向かう規制材の配列を含み、隣接する車線(左車線)の上流側100m先までの路面が含まれる距離画像を抽出する。そして、調整部146は、検出された距離画像に対応付けられた検出方向(横方向)を距離画像センサ11の設置時の検出方向(横方向)として決定する(ステップS120)。
【0040】
また、ステップS114において、上流方向候補が1つ特定された場合には(ステップS114でN)、調整部146は、規制エリアの境界線に基づいて、距離画像センサ11の設置時の検出方向(横方向)を決定し(S122)、その後処理をS124へ進める。以下、本処理について図6を参照しつつ説明する。調整部146は、テーパー部A1の境界線A3の方向を特定する。テーパー部A1における規制材の配置方向に相当する境界線A3と車線の端との角度θ1は既知であり、調整部146は、境界線A3の方向に対し、この角度θ1を加えることで下流方向を特定し、下流方向に180°加えることで上流方向を特定する。そして、調整部146は、検出方向設定条件に従い、規制エリアに隣接する車線の上流方向100m先までの範囲が含まれる検出方向を決定する。なお、境界線A3の先が隣接する車線として特定される。
【0041】
このように、調整部146は、規制材の配列に基づいて、検出方向を決定することができる。さらに、調整部146は、距離画像センサ11の検出方向を上下方向及び横方向に変更させることで得られた異なる検出方向の距離画像それぞれにおける規制材の検出結果に基づいて、距離画像センサ11の検出方向を調整する。
【0042】
ステップS118、ステップS120又はステップS122において検出方向(横方向)が決定されると、次に、調整部146は、決定された上下方向及び横方向の検出方向に基づいて、雲台12を調整するよう制御する(ステップS124)。調整部146の制御に従い、雲台制御部141は、進入車両検出装置10の検出方向が、決定された上下方向及び横方向の検出方向となるように、雲台12を制御する。以上で、検出方向調整処理が完了し、距離画像センサ11は、隣接する車両の上流方向100m先までの範囲を検出範囲とするように検出方向の調整が完了する。
【0043】
以上のように、本実施形態の進入車両検出装置10は、進入車両を検出するためのセンサ(距離画像センサ)の検出方向を自動で調整することができる。このように、進入車両検出装置10は、検出方向を自動で調整するため、作業者が検出方向を調整する必要がない。すなわち、進入車両検出装置10は、煩雑な作業を要することなく、規制エリアへの進入車両を検出することができる。
【0044】
(4)変形例:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、進入車両検出装置10は、複数の装置によって実現されてもよい。例えば、進入車両検出装置10は、進入車両を検出すると、進入車両検出装置10と異なる音声出力装置に出力指示を送信し、音声出力装置が警報音を出力してもよい。また、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0045】
検出方向設定条件は、実施形態に限定されるものではない。例えば、上流方向の距離は任意に設定することができる。また、本実施形態においては、規制された車線に隣接する車線が距離画像に含まれることとした。ただし、他の例としては、規制エリアに隣接する車線に替えて、又は規制エリアに隣接する車線と共に、規制エリアを含む車線の上流側が距離画像に含まれるように、検出方向が調整されてもよい。これにより、規制に気付かずに、規制エリアが設けられた車線を上流側から直進してくる進入車両を検出することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、片側二車線の道路を例に説明したが、片側三車線以上の道路や片側一車線の道路においても、進入車両検出装置10による距離画像センサ11の自動調整が可能である。なお、片側一車線の道路においては、規制エリアが設けられた車線の上流側が含まれるような検出方向に設定されるものとする。
【0047】
また、本実施形態においては、ステップS114において、ユーザ操作に応じた入力により、規制エリアが左車線であるか右車線であるかを判定したが、本処理は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、調整部146は、時系列に複数の距離画像を撮影し、車両の走行方向を特定することで、規制エリアが左車線であるかを判定してもよい。
【0048】
本実施形態においては、進入車両を検出するセンサ、すなわち第1のセンサは、距離画像センサであるものとしたが、進入車両を検出するセンサは、距離画像センサに限定されるものではない。他の例としては、進入車両を検出するセンサ(第1のセンサ)は、画像を撮影する撮影部、すなわちカメラであってもよい。この場合には、制御部14は、物体の特徴量に基づいて画像認識により、車両と規制材とを判別すればよい。また、この場合には、制御部14は、撮影画像に含まれる車線の幅のサイズ等から、進入車両検出装置10からの距離を推定すればよい。
【0049】
また、他の例としては、検出方向を調整するために規制材を検出するためのセンサと、進入車両を検出するセンサとは異なる種類のセンサであってもよい。例えば、進入車両を検出するセンサ(第1のセンサ)は距離画像検出センサであって、規制材を検出するセンサ(第2のセンサ)は、撮像部であってもよい。この場合、進入車両検出装置10は、これら2つのセンサを備え、2つのセンサの検出方向は略同一となるように固定されているものとする。
【0050】
さらに、本発明のように、進入車両を検出するセンサの検出方向を調整する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0051】
10…進入車両検出装置、11…距離画像センサ、12…雲台、13…スピーカ、14…制御部、15…記録媒体、16…ユーザI/F部、141…雲台制御部、142…センサ制御部、143…取得部、144…距離演算部、145…物体検出部、146…調整部、147…進入車両検出部、148…警告部
図1
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図3
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図6