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▶ 今西 順治の特許一覧

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  • 特開-脳外科手術用具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110233
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】脳外科手術用具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A61B17/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005499
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】504074318
【氏名又は名称】今西 順治
(74)【代理人】
【識別番号】100100963
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 陽男
(72)【発明者】
【氏名】今西 順治
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA08
4C160AA11
(57)【要約】
【課題】 ヘラや吸引管を取り付けて用い、簡単な構造で位置の微調整ができるようにするとともに、繰り返し折り曲げても形状が劣化しないようにする。
【解決手段】 細長い形状をした支持板2の先端に、手の操作により折曲及び伸縮による変形が可能で、変形された形状を保持する蛇腹管1を着脱自在に取り付け、該蛇腹管1の先端にヘラ2や吸引管を着脱自在に取り付ける。ヘラとしては透明なプラスチック製のものを用い、脳ベラとして用いる際に、押さえた部分の組織の状態が上から見えるようにする。蛇腹管1の先端には、術部に残る血液や洗浄水等を吸引するための吸引管を取り付けることもできる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い形状をした支持板の先端に、手の操作により折曲変形が可能で、変形された形状を保持する可撓部材を着脱自在に取り付け、該可撓部材の先端に手術具を着脱自在に取り付けたことを特徴とする脳外科手術用具。
【請求項2】
前記可撓部材が、手の操作により折曲及び伸縮が可能な蛇腹管であることを特徴とする請求項1に記載の脳外科手術用具。
【請求項3】
前記手術具がヘラであることを特徴とする請求項1又は2に記載の脳外科手術用具。
【請求項4】
前記ヘラが透明なプラスチック製であることを特徴とする請求項3に記載の脳外科手術用具。
【請求項5】
前記手術具が吸引管であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脳外科手術用具。
【請求項6】
前記支持板を貫通するように前記吸引管と連通する貫通孔を設け、かつ、該貫通孔と連通する開口を前記支持板の表面に設けたことを特徴とする請求項5に記載の脳外科手術用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳外科手術を行う際に有用な脳外科手術用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳外科手術を行う際に術部の視界を確保するために、脳ベラを使って脳組織を押さえておくことがしばしば行われる。その際、脳組織を傷つけることがないように微妙な位置調整が必要になる。そのため、従来は、金属製の脳ベラを固定具で所定位置に固定した後、その脳ベラを折り曲げることにより微妙な位置調整を行っていた。
【0003】
しかしながら、金属製の脳ベラは、何度も繰り返して折り曲げると折り曲げ部がデコボコに変形して使い物にならなくなってしまう。そこで、例えば、特許文献1に示されるように、蛇腹本体の先端部に、脳ベラを把持する把持装置と位置調節具とを設け、脳ベラ固定器の基端部を手術台に固定し、蛇腹本体で位置決めした後、上記位置調節具で脳ベラ位置の微調節を行うようにした脳ベラ固定器が提案されている。
【0004】
また、脳外科手術を行っている際に、噴出した血液や、術部を洗浄した洗浄水等を除去するために、吸引管を用いるが、その吸引管も金属製で、真っすぐのままでは届きにくい個所もあるため、必要に応じて折り曲げて用いるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05-305098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の脳ベラ固定器を用いれば、脳ベラ位置の微調節が簡単にでき、安定した状態で脳ベラを固定することができる。しかしながら、そのような脳ベラ固定器では、複雑な構造の位置調節具が必要である上、金属製の脳ベラを使うと、脳ベラで押さえた部分の組織の状態が見えず、異変が生じて危険な状態になっても気づくことができないという問題点があった。
【0007】
また、従来の吸引管では、何度も繰り返して折り曲げると折り曲げ部が変形して元の状態に戻らなくなり、使い物にならなくなってしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、そのような問題点に鑑み、ヘラや吸引管を取り付けて、簡単な構造で位置の微調整ができるようにするとともに、繰り返し折り曲げても形状が劣化しないようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、細長い形状をした支持板の先端に、手の操作により折曲変形が可能で、変形された形状を保持する可撓部材を着脱自在に取り付け、該可撓部材の先端に手術具を着脱自在に取り付けたことを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記可撓部材が、手の操作により折曲及び伸縮が可能な蛇腹管であることを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記手術具
がヘラであることを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記ヘラが透明なプラスチック製であることを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記手術具が吸引管であることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記支持板を貫通するように前記吸引管と連通する貫通孔を設け、かつ、該貫通孔と連通する開口を前記支持板の表面に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る発明においては、細長い形状をした支持板の先端に、手の操作により折曲変形が可能で、変形された形状を保持する可撓部材を着脱自在に取り付け、該可撓部材の先端に手術具を着脱自在に取り付けたので、簡単な構造で簡単に曲げることができて、位置の微調整ができるようになる上、何度繰り返し折り曲げても先端に取り付けた手術具は変形せず、脳の手術に影響を与えることがなくなる。
【0016】
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に係る脳外科手術用具において、前記可撓部材を、手の操作により折曲及び伸縮が可能な蛇腹管としたので、折曲と伸縮を組み合わせて、より一層、位置の微調整が容易になる。
【0017】
また、請求項3に係る発明においては、請求項1又は2に係る脳外科手術用具において、前記手術具をヘラとしたので、脳ベラとして位置の微調整が容易になる。
【0018】
また、請求項4に係る発明においては、請求項3に係る脳外科手術用具において、前記ヘラを透明なプラスチック製としたので、脳ベラとして押さえた部分の組織の状態が見るようになり、異変が生じた際に、いち早く気づくことができる。
【0019】
また、請求項5に係る発明においては、請求項1又は2に係る脳外科手術用具において、前記手術具を吸引管としたので、簡単に曲げることができて、吸引位置の微調節ができ、何度繰り返し折り曲げても元の状態に戻るようになる。
【0020】
また、請求項6に係る発明においては、請求項5に係る脳外科手術用具において、前記支持板を貫通するように前記吸引管と連通する貫通孔を設け、かつ、該貫通孔と連通する開口を前記支持板の表面に設けたので、開口を指先で塞ぐことにより貫通孔を通して吸引を行い、指を開口から離せば吸引が止まるというように、吸引、吸引停止を簡単に切り替えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を脳ベラに適用した状態を示す図である。
図2】蛇腹管を示す図である。
図3図1のものを折り曲げた状態を示す図である。
図4】本発明を吸引器に適用した状態を示す図である。
図5】吸引管を示す図である。
図6】吸引管用支持板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例0023】
図1は、本発明を脳ベラに適用した状態を示す図である。図1において、符号1は蛇腹管、2は支持板、3はヘラである。蛇腹管1は、金属又はプラスチックにより形成されていて、図2に示すように、内部は中空になっていて、その中空部1aは、一端から他端まで貫通している。そして、両端部には、ヘラ3を着脱自在に嵌め合わせて連結するための手術具嵌着部1bと、支持板2を着脱自在に嵌め合わせて連結するための支持板嵌着部1cが設けられている。その蛇腹管1は、肉薄の材料で蛇腹状に形成されているため、手で簡単に折り曲げたり、伸ばしたりすることができ、手を離すと折り曲げられたり、伸ばされたりしたままの状態で保持される。
【0024】
支持板2は、細長い形状の板で、金属又はプラスチックにより形成されている。ヘラ3も金属又はプラスチックにより形成されるが、透明もしくは半透明のプラスチックで形成すれば、脳外科手術で脳ベラとして用いる際に、押さえた部分の組織の状態が見るようになり、異変が生じた際に、いち早く気づくことができる。
【0025】
蛇腹管1に支持板2とヘラ3を取り付けると、特許文献1に示されるような従来の脳ベラ固定器の把持装置に支持板2を把持させて、脳ベラとして用いることができる。そのようにすれば、脳ベラ固定器で、ある程度の位置決めを行った後、手で、図3に示すように折り曲げたり引き伸ばしたりして、ヘラ3の位置の微調節を行うことが簡単にできる。また、蛇腹管1は、何度屈曲や引き伸ばしを繰り返しても、自在に変形して、使用後は元に戻せるため、寿命長く使うことができる。
【実施例0026】
図4は、本発明を吸引器に適用した状態を示す図である。この実施例では、蛇腹管1の先に吸引管4を着脱自在に取り付けて、手術中に噴出した血液や、術部を洗浄した洗浄水等を除去するために使えるようにしている。吸引管4は、金属製又はプラスチック製で、図4に示すように、先端部が狭まっている管状体の根元部に、蛇腹管1の手術具嵌着部1bに着脱自在に連結可能な蛇腹管嵌着部4aが設けられている。さらに、吸引管4と連通する吸引装置接続部4bを設けていて、それに、パイプを介して図示しない吸引装置を接続できるようにしている。
【0027】
このようにすれば、簡単に曲げることができて、吸引位置の微調節ができ、何度繰り返し折り曲げても元の状態に戻すことができる吸引器となる。
【実施例0028】
吸引管4に吸引装置を接続する方法として、図5に示すように、吸引管4に可撓性パイプ4cとパイプ接続具4dを付加し、支持板として図6に示すような吸引管用支持板5を用いるようにしてもよい。すなわち、吸引管4の手元側に可撓性パイプ4cを連結し、その先端には、パイプ接続具4dが取り付ける。
【0029】
可撓性パイプ4cは、蛇腹管嵌着部4aに接続した蛇腹管1の中空部1aを通して手術具嵌着部1c側に突き出させ、図6に示すような吸引管用支持板5のパイプ受部5bに接続する。そして、蛇腹管1の支持板嵌着部1cに吸引管用支持板5の蛇腹管嵌着部5aを嵌着させる。
【0030】
吸引管用支持板5は、その中央を貫通するように吸引管4,可撓性パイプ4cと連通する貫通孔5cが設けられていて、吸引管用支持板5の表面には、貫通孔5cと連通する開口5dを設けている。また、吸引管用支持板5のパイプ受部5bとは反対側の端部には、
貫通孔5cと連通するようにして吸引装置接続部5eを設けていて、それに吸引装置を接続できるようにしている。
【0031】
そして、開口5dを指先で塞ぐと、吸引装置接続部5eに接続した吸引装置による吸引力が貫通孔5cに作用し、貫通孔5cを通して吸引を行うことができる。そして、指を開口5dから離せば、開口5dから空気が流入するため吸引装置による吸引力が貫通孔5cに作用しなくなり、吸引が止まる。このようにすれば、指による開口5dの開閉により吸引、吸引停止を簡単に切り替えることができるようになる。
【0032】
なお、上記実施例では、蛇腹管1として、断面が長方形のものを用いたが、それに限定されず、断面が楕円形、又は円形のものを用いてもよい。また、蛇腹管1の代わりに、手の操作により折曲及び伸縮による変形が可能な波板を用いてもよい。その場合、波板の波の山及び谷は、長手方向に対して直角方向に延びるように設ける。さらに、手の操作により折曲変形が可能な金属板等の可撓部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 蛇腹管
1a 中空部
1b 手術具嵌着部
1c 支持板嵌着部
2 支持板
3 ヘラ
3a 蛇腹管嵌着部
4 吸引管
4a 蛇腹管嵌着部
4b 吸引装置接続部
4c 可撓性パイプ
4d パイプ接続具
5 吸引管用支持板
5a 蛇腹管嵌着部
5b パイプ受部
5c 貫通孔
5d 開口
5e 吸引装置接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6