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特開2022-110315医療機関における商品の在庫を管理する装置、方法及びそのためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110315
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】医療機関における商品の在庫を管理する装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220722BHJP
   G16H 20/10 20180101ALI20220722BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005633
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】516302270
【氏名又は名称】株式会社カケハシ
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴史
(72)【発明者】
【氏名】山本 惇一
(72)【発明者】
【氏名】保坂 桂佑
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047KK01
4C047KK14
4C047KK25
4C047KK28
4C047KK31
4C047KK32
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】新たな管理コードを用いることで、医療機関における商品の在庫のより正確な管理を可能とする。
【解決手段】管理コード100は、商品の薬効成分を表す第1の領域101と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域102と、商品の製造業者名を表す第3の領域103とを有する。例として、YJコードの先頭9桁を第1の領域101とし、YJコードの末尾3桁又はそれを含む文字列を第3の領域103とすることができる。YJコードの末尾3桁には、製造業者が反映されているからである。また、第2の領域102により表される属性として、包装形態、味、粒状、容量等が例として挙げられる。また、製造業者名を表す第3の領域103は、任意領域として管理コードに必ずしも含まれないものとすることも考えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関における商品の在庫を管理する方法であって、
入庫された商品に関する入庫データの入力を受け付けるステップと、
前記入庫データに含まれる、包装単位を識別するための識別コードに基づいて、前記識別 コードに対応づけられた管理コードを判定するステップと、
前記入庫データに含まれる注文数に基づいて、前記入庫された商品の数量を判定するステップと、
判定された管理コードに対応づけられた在庫量に判定された数量を加算して、管理コードと在庫量との対応づけである在庫データを更新するステップと
を含み、
前記管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記属性は、包装形態、味、容量、粒状及びこれらの組み合わせのうちのいずれかである。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法であって、
前記管理コードは、製造業者名を表す第3の領域をさらに有する。
【請求項4】
コンピュータに、医療機関における商品の在庫を管理する方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
入庫された商品に関する入庫データの入力を受け付けるステップと、
前記入庫データに含まれる、包装単位を識別するための識別コードに基づいて、前記識別コードに対応づけられた管理コードを判定するステップと、
前記入庫データに含まれる注文数に基づいて、前記入庫された商品の数量を判定するステップと、
判定された管理コードに対応づけられた在庫量に判定された数量を加算して、管理コードと在庫量との対応づけである在庫データを更新するステップと
を含み、
前記管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【請求項5】
医療機関における商品の在庫を管理する装置であって、
入庫された商品に関する入庫データの入力を受け付け、
前記入庫データに含まれる、包装単位を識別するための識別コードに基づいて、前記識別コードに対応づけられた管理コードを判定し、
前記入庫データに含まれる注文数に基づいて、前記入庫された商品の数量を判定し、
判定された管理コードに対応づけられた在庫量に判定された数量を加算して、管理コードと在庫量との対応づけである在庫データを更新し、
前記管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【請求項6】
医療機関における商品の在庫を管理する方法であって、
処方箋データの入力を受け付けるステップと、
前記処方箋データに含まれるYJコードに基づいて、前記YJコードに対応する各管理コードに関連づけられた在庫量から、前記YJコードの処方数量を各管理コードの割合に応じて減算して前記在庫データを更新するステップと
を含み、
各管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、
前記決定は、前記処方箋データを入力した薬局における前記YJコードの出庫履歴に基づく予測を含む。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、
前記予測は、前記処方箋データを入力した薬局における前記YJコードの出庫履歴を用いた機械学習により得られた予測モデルに基づく予測である。
【請求項9】
コンピュータに、医療機関における商品の在庫を管理する方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
処方箋データの入力を受け付けるステップと、
前記処方箋データに含まれるYJコードに基づいて、前記YJコードに対応する各管理コードに関連づけられた在庫量から、前記YJコードの処方数量を各管理コードの割合に応じて減算して前記在庫データを更新するステップと
を含み、
各管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【請求項10】
医療機関における商品の在庫を管理する装置であって、
処方箋データの入力を受け付け、
前記処方箋データに含まれるYJコードに基づいて、前記YJコードに対応し得る1又は複数の管理コード又はその一部を判定し、
判定された管理コード又はその一部の数が複数か否かを判定し、
単数である場合、判定された管理コード又は判定された管理コードの一部に対応する管理コードに関連づけられた在庫量から、前記YJコードの処方数量を減算して管理コードに在庫量を関連づけた在庫データを更新し、複数である場合、前記YJコードに対応する各管理コード又はその一部の割合を決定し、各管理コード又は各管理コードの一部に対応する各管理コードに関連づけられた在庫量から、前記YJコードの処方数量を決定された割合に応じて減算して前記在庫データを更新し、
各管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関における商品の在庫を管理する装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤には、各商品を識別するためのコードが付与されており、我が国においては、たとえばYJコードと呼ばれるコードが用いられている。たとえば、「ロキソニン錠60mg」には「1149019F1560」という12桁のコードが設定されている。薬効成分が同一であっても、たとえば、製造業者が異なれば、別商品として異なるYJコードが設定されるものもある。
【0003】
実際の流通においては、一定の単位で卸売業者等の販売業者から薬局等の医療機関に各商品の販売がなされ、最小注文単位である販売包装単位、販売包装単位の商品を複数梱包した元梱包装単位等がある。これらの包装単位を識別するためのコードも付与されており、GS1と呼ばれるコード体系が国際的に用いられている。たとえば、「ロキソニン60mg錠」を10錠包装したPTP包装シート10枚という販売包装単位にはGS1体系に従ったコードとして「14987081105400」が設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来用いられているコードでは、実在庫の管理が十分にできていない。上述の「ロキソニン錠60mg」に関して言えば、YJコードは同一であるが、10錠を包装したPTP包装シート10枚には「14987081105400」、10錠をPTP包装したシート100枚には「14987081105417」、ボトルに入った1000錠バラには「14987081105431」と異なるGS1コードが設定されている。また、液体タイプの経腸栄養剤「エンシュア(登録商標)・リキッド」を例に挙げれば、YJコードは「3259114S1026」であるが、味によってGS1コードが異なり、250mL×24缶の包装単位において、バニラ味には「14987439095780」、コーヒー味には「14987439095797」、ストロベリー味には「14987439095803」というように設定されている。GS1コードによって管理した場合、「ロキソニン錠60mg」のような例では商品として不必要な包装単位の区別を含んでしまい、YJコードによって管理した場合、「エンシュア・リキッド」のような例では味の違いという商品として必要な区別ができない。いずれのコードを用いても実在庫の管理が十分にできていない。このことは、商品単位の正確な需要予測もできていないことを意味する。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、新たな管理コードを用いることで、医療機関における商品の在庫のより正確な管理を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、医療機関における商品の在庫を管理する方法であって、入庫された商品に関する入庫データの入力を受け付けるステップと、前記入庫データに含まれる、包装単位を識別するための識別コードに基づいて、前記識別コードに対応づけられた管理コードを判定するステップと、前記入庫データに含まれる注文数に基づいて、前記入庫された商品の数量を判定するステップと、判定された管理コードに対応づけられた在庫量に判定された数量を加算して、管理コードと在庫量との対応づけである在庫データを更新するステップとを含み、前記管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【0007】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様であって、前記属性は、包装形態、味、容量、粒状及びこれらの組み合わせのうちのいずれかである。
【0008】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様であって、前記管理コードは、製造業者名を表す第3の領域をさらに有する。
【0009】
また、本発明の第4の態様は、コンピュータに、医療機関における商品の在庫を管理する方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、入庫された商品に関する入庫データの入力を受け付けるステップと、前記入庫データに含まれる、包装単位を識別するための識別コードに基づいて、前記識別コードに対応づけられた管理コードを判定するステップと、前記入庫データに含まれる注文数に基づいて、前記入庫された商品の数量を判定するステップと、判定された管理コードに対応づけられた在庫量に判定された数量を加算して、管理コードと在庫量との対応づけである在庫データを更新するステップとを含み、前記管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【0010】
また、本発明の第5の態様は、医療機関における商品の在庫を管理する装置であって、入庫された商品に関する入庫データの入力を受け付け、前記入庫データに含まれる、包装単位を識別するための識別コードに基づいて、前記識別コードに対応づけられた管理コードを判定し、前記入庫データに含まれる注文数に基づいて、前記入庫された商品の数量を判定し、判定された管理コードに対応づけられた在庫量に判定された数量を加算して、管理コードと在庫量との対応づけである在庫データを更新し、前記管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【0011】
また、本発明の第6の態様は、薬局における商品の在庫を管理する方法であって、処方箋データの入力を受け付けるステップと、前記処方箋データに含まれるYJコードに基づいて、前記YJコードに対応する各管理コードに関連づけられた在庫量から、前記YJコードの処方数量を各管理コードの割合に応じて減算して前記在庫データを更新するステップとを含み、各管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【0012】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様であって、前記決定は、前記処方箋データを入力した薬局における前記YJコードの出庫履歴に基づく予測である。
【0013】
また、本発明の第8の態様は、第7の態様であって、前記予測は、前記処方箋データを入力した薬局における前記YJコードの出庫履歴に用いた機械学習により得られた予測モデルに基づく予測である。
【0014】
また、本発明の第9の態様は、コンピュータに、医療機関における商品の在庫を管理する方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、処方箋データの入力を受け付けるステップと、前記処方箋データに含まれるYJコードに基づいて、前記YJコードに対応する各管理コードに関連づけられた在庫量から、前記YJコードの処方数量を各管理コードの割合に応じて減算して前記在庫データを更新するステップとを含み、各管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【0015】
また、本発明の第10の態様は、医療機関における商品の在庫を管理する装置であって、処方箋データの入力を受け付け、前記処方箋データに含まれるYJコードに基づいて、前記YJコードに対応対応する各管理コードに関連づけられた在庫量から、前記YJコードの処方数量を各管理コードの割合に応じて減算して前記在庫データを更新し、各管理コードは、薬効成分を表す、YJコードの一部を含む第1の領域と、商品選択に用いられる属性を表す第2の領域とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、GS1コード又はYJコードという既存のコードでは表現されない、商品選択に用いられる属性を表す新たな形式の管理コードを用いることで適切な在庫管理を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態にかかる管理コードを模式的に示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態にかかる管理コードの具体例を示す図である。
図3】本発明の第2の実施形態にかかる商品在庫の管理装置を示す。
図4】本発明の第2の実施形態にかかる商品の入庫処理の流れを示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態にかかる商品の出庫処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる管理コードを模式的に示す図である。管理コード100は、商品の薬効成分を表す第1の領域101と、患者又は薬剤師による商品選択に用いられる属性を表す第2の領域102と、商品の製造業者名を表す第3の領域103とを有する。
【0021】
図2に示す表の例では、「ロキソニン錠60mg」について、第1の領域101はその包装形態及び包装単位を問わず「1149019F1」となる。「1149019F1」は「ロキソニン60mg錠」に設定されたYJコードの一部であり、薬効成分、投与経路、剤形等を表す。「ロキソニン錠60mg」は、それを服薬する患者にとっては、どのような包装形態であるかが違いを生み、具体的には、10錠を包装したPTP包装シートか、ボトルに入った1000錠バラかといった違いがある。第2の領域102は、この例では、こうした包装形態を属性として表す。表では、前者は「002894」、後者は「002985」となっている。
【0022】
第3の領域103は、製造業者名を表し、表ではABC株式会社が「00054」となっている。別の例として、YJコードの先頭9桁を第1の領域101とし、YJコードの末尾3桁又はそれを含む文字列を第3の領域103とすることができる。YJコードの末尾3桁には、製造業者が反映されているからである。製造業者とは別に販売元を識別する場合がある。この場合には、一例として、第3の領域103をYJコードの末尾3桁を含む文字列として、販売元を表す桁を加えればよい。
【0023】
数量としてはPTP包装シート10枚は100錠となり、GS1コードとして「14987081105400」が設定され、100枚は1000錠となり、GS1コードとして「14987081105417」が設定されている。本実施形態にかかる新たな形式の管理コードは、GS1コードでは表現されない商品選択に用いられる属性を用いることで適切な在庫管理を可能とする。なお、本明細書において、包装単位を識別するためのコードをより一般に「識別コード」と呼ぶことがある。
【0024】
また、図2に示す表の例では、「エンシュア・リキッド」について、第1の領域101はその味を問わず「3259109S1」となる。「3259109S1」は「ロキソニン錠60mg 」の場合と同様に「エンシュア・リキッド」に設定されたYJコードの一部である。「エンシュア・リキッド」は、それを服用する患者にとっては、どのような味であるかが違いを生み、具体的には、バニラ味か、コーヒー味か、ストロベリー味かといった違いがある。第2の領域102は、この例では、こうした味を属性として表す。
【0025】
数量としては250mLを24缶で1200mLとなり、GS1コードが味ごとに設定されている。GS1コードは「ロキソニン錠60mg」の例でみたように実在庫の管理に適切ではないところ、既存の他のコードとしてはYJコードを用いることが考えられる。しかしながら、YJコードでは味の違いを判別できない。本実施形態にかかる新たな形式の管理コードは、YJコードでは表現されない商品選択に用いられる属性を用いることで適切な在庫管理を可能とする。
【0026】
なお、本実施形態にかかる管理コードは、第1乃至第3の領域の特定の順序の例を示したが、これらの領域は順不同であり、適宜入れ替えてよい。また、各領域は、図2に示すように、第1の領域101、第2の領域102、第3の領域103の順に、9桁、5桁、6桁とすることができるが、これはあくまで例示である。
【0027】
また、第2の領域102により表される属性として、上述の包装形態及び味のほかに、粒状、容量等が例として挙げられる。ここで、「粒状」とは粒の形状、大きさ等を表す。
【0028】
また、製造業者名を表す第3の領域103は、任意領域として管理コードに必ずしも含まれないものとすることも考えられる。
【0029】
(第2の実施形態)
図3に、本発明の第2の実施形態にかかる商品在庫の管理装置を示す。管理装置300は、各商品の在庫量を表す在庫データを管理するための装置であり、入庫データ及び処方箋データの入力を受け、各商品の在庫量を増減させる。在庫データは、各商品の管理コードと、当該商品の在庫量とを対応づけるデータである。
【0030】
管理装置300は、通信インターフェースなどの通信部301と、プロセッサ、CPU等の処理部302と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部303とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができる。管理装置300は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部303又は管理装置300からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部302において実行することができる。図3では、管理装置300からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体としてデータベース304を示している。データベース304は、管理装置300を構成する構成要素としてもよく、また、そこに記憶されるデータを記憶部303に記憶してもよい。
【0031】
以下、入庫処理、出庫処理の順で在庫量がどのように増減するかを説明する。本明細書において、「入庫」とは商品が受け取られて在庫に加わることを意味し、「出庫」とは商品が販売されて在庫から取り除かれることを意味する。
【0032】
なお、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0033】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【0034】
また、以下に示す図4又は5において示される「開始」及び「終了」は、一例を示すものに過ぎず、本実施形態にかかる方法がS401又はS501によって必ず開始され、S403又はS505によって必ず終了することを意味するものではない。
【0035】
入庫処理
管理装置300は、発注済みの商品の入庫に伴い、入庫データの入力を受ける(S401)。入庫データは、コンピュータネットワークを介して管理装置300が受信する場合のほか、入庫された商品の包装に記載された情報を薬局において情報処理端末で読み取り、それを管理装置300に送信したり、当該情報を確認して管理装置300にデータを入力するための入力画面から手入力で入力したりすることが挙げられる。
【0036】
入庫データは、1又は複数の商品について、各商品のGS1コード及び注文数を含む。たとえば、包装形態がバニラ味250mLのエンシュア・リキッド24缶の商品を2つ発注している場合には、GS1コード「14987439095780」、注文数「2」として表される。
【0037】
次に、管理装置300は、GS1コードと管理コードとの第1の対応づけを参照して、当該商品に対応づけられた管理コードを判定する(S402-1)。また、管理装置300は、GS1コードと当該GS1コードに関連づけられた包装単位当たりの数量との第2の対応づけを参照して、入庫された数量を判定する(S402-2)。ここで、必要となる第1及び第2の対応づけは、必要に応じて単一のテーブルとして記憶してもよく、別個のテーブルとして記憶してもよく、またテーブル形式のデータ構造に限られない。たとえば、B木を採用してもよい。
【0038】
そして、管理装置300は、入庫された1又は複数の商品の数量を在庫データが含むそれらの商品の在庫量に加算して在庫データを更新する(S403)。
【0039】
出庫処理
管理装置300は、患者から受け取った処方箋の処方箋データの入力を受ける(S501)。処方箋データは、患者から受け取った処方箋に記載された情報を薬局において情報処理端末で読み取り、それを管理装置300に送信する場合のほか、当該情報を確認して管理装置300にデータを入力するための入力画面から手入力で入力したり、コンピュータネットワークを介して管理装置300が受信したりすることが挙げられる。
【0040】
処方箋データは、1又は複数の商品について、各商品のYJコード及び処方数量を含む。たとえば、バニラ味のエンシュア・リキッド2500mLが処方されている場合には、YJコード「3259109S1025」、処方数量「2500mL」として表される。
【0041】
次に、管理装置300は、YJコードと当該YJコードに対応し得る1又は複数の管理コードとの第3の対応づけを参照して、処方された商品に対応し得る1又は複数の管理コードを判定する(S502)。ここで、第3の対応づけは、管理コードに代替して、又は加えて、管理コード100に含まれる一部である第2の領域102又はそれが表す属性をYJコードに対応づけるものとしてもよいが、以下では管理コードの例で説明する。
【0042】
次いで、管理装置300は、処方箋データに含まれる各商品のYJコードに対応し得る管理コードの数が複数か否かの判定を行う(S503)。複数である場合、管理装置300は、各YJコードに対応する各管理コードの割合を決定 し(S504)、各管理コードに対応づけられた在庫量から、当該YJコードの処方数量を予測された割合に応じて減算して在庫データを更新する(S505)。単数である場合、管理装置300は、当該管理コードに対応づけられた在庫量から当該YJコードの処方数量を減算して在庫データを更新する(S505)。
【0043】
ここでは、YJコードに対応する管理コードが単数か複数かの判定を行うものとして記述したが、より一般には、YJコードに1又は複数の管理コードを対応づけ、対応づけられた各管理コードの割合に応じて当該YJコードで表される商品の処方数量を減算して在庫データを更新すればよい。
【0044】
図2に示すYJコードと管理コードとの関係に基づけば、YJコード「3259109S1025」には味によって3つの管理コード「3259109S1-00273-015584」、「3259109S1-00273-015585」及び「3259109S1-00273-015586」が対応し得る。各商品のYJコードに対応する各管理コードの割合の決定は、薬局ごとの出庫履歴データを用いた機械学習により生成された予測モデルに基づいて行うことができる。一例として、YJコード「3259109S1025」を含む処方箋を受け取った薬局における過去の出庫履歴データから、当該YJコードに対応し得る管理コードが付与された各商品の出庫の傾向を説明変数として、各管理コードの割合を予測する機械学習モデルを構築し、これを用いることが挙げられる。このモデルにより、バニラ味250mL、コーヒー味250mL、ストロベリー味250mLがそれぞれ70%、30%、0%処方されたと予測された場合には、 管理コード単位の在庫管理上「3259109S1-00273-015584」に対応づけられた在庫量から処方数量の70%を減算し、「3259109S1-00273-015585」に対応づけられた在庫量から処方数量の30%を減算することが挙げられる。
【0045】
また、複数の薬局の出庫履歴データを用いた機械学習により生成された予測モデルに基づいて行ってもよく、このようにした場合は出庫履歴データがまだ蓄積していない薬局についての予測も可能となる。より単純に、薬局ごとの出庫履歴データにおける各商品の販売比率に基づく推定、または薬局ごと又は複数の薬局の出庫履歴データを用いた最尤推定により、YJコードに対応させるべき管理コードの割合を決定してもよい。また、機械学習は、最尤推定を含む機械学習としてもよい。さらに、YJコードに対応させるべき1又は複数の管理コードの割合の決定のための予測モデルについては、出庫履歴データを用いることのほかに、薬局ごと又は複数の薬局の発注履歴データ、処方箋データ等を用いることも考えられる。これらのデータは、単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
【0046】
上記の例で言えば、仮に処方箋を受け取った薬剤師がいずれの味であるかを管理装置300に対して手入力をすることができれば、各管理コードについて減算すべき処方数量を正確に定めることができるところ、薬剤師がこのような作業を必ずしも負担できるとは限らないことから、上述の予測が有用となることがある。薬剤師による入力がなされた場合には、当該入力に基づいてYJコードに対応する1又は複数の管理コードの割合を決定してもよいが、例えば、薬剤師による入力がなされない場合に機械学習により生成された予測モデルを用いて割合決定を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
100 管理コード
101 第1の領域
102 第2の領域
103 第3の領域
300 管理装置
301 通信部
302 処理部
303 記憶部
304 データベース
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関における商品の在庫を管理する方法。