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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110319
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】皮むき工具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20220722BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20220722BHJP
   H01R 43/28 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
H02G1/12 060
B26B27/00 G
H01R43/28
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005641
(22)【出願日】2021-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】501297240
【氏名又は名称】株式会社マイセック
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕
(72)【発明者】
【氏名】上田 好隆
(72)【発明者】
【氏名】岡部 亮介
【テーマコード(参考)】
3C061
5G353
【Fターム(参考)】
3C061AA05
3C061AA26
3C061BA24
3C061BA26
3C061BA30
3C061EE22
5G353AB01
5G353AC01
5G353CA01
5G353DA03
5G353EA05
(57)【要約】
【課題】断面扁平状のヒータケーブルの端末処理時に、カッターナイフを主に用いずに、少なくとも外皮を比較的簡単にむくことが可能な皮むき工具を提供する。
【解決手段】皮むき工具2は、互いに離間して配置された一対の導体線15と、一対の導体線15を直接覆うとともに一対の導体線15の間を接続する発熱体14と、発熱体14の外周を覆う外皮11とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブル1の皮むきに用いられる。皮むき工具2は、外皮11が付いたヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された外皮用孔部211と、外皮用孔部211内に一部が突出しており、外皮11の片側の側面部にヒータケーブル1の軸方向に沿う切り込みまたは傷31を入れることが可能に構成された外皮用刃部212と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して配置された一対の導体線と、一対の上記導体線を直接覆うとともに一対の上記導体線の間を接続する発熱体と、上記発熱体の外周を覆う外皮とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブルの皮むきに用いられる皮むき工具であって、
上記外皮が付いた上記ヒータケーブルの端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された外皮用孔部と、
上記外皮用孔部内に一部が突出しており、上記外皮の片側の側面部に上記ヒータケーブルの軸方向に沿う切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された外皮用刃部と、
を有する、皮むき工具。
【請求項2】
上記外皮用刃部は、回転刃である、
請求項1に記載の皮むき工具。
【請求項3】
上記発熱体を露出させた上記ヒータケーブルの上記端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された発熱体用孔部と、
上記発熱体用孔部内に一部が突出しており、上記発熱体の片側の平面部における各上記導体線の配置部位よりも内側の部位に、上記ヒータケーブルの軸方向に沿う一対の切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された一対の発熱体用刃部と、
を有する、請求項1または請求項2に記載の皮むき工具。
【請求項4】
上記発熱体用刃部は、回転刃である、
請求項3に記載の皮むき工具。
【請求項5】
基台部と、上記基台部に隣接する本体部とを有しており、
上記外皮用孔部は、上記本体部に形成されており、
上記外皮用刃部は、上記本体部に設けられている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項6】
基台部と、上記基台部に隣接する本体部とを有しており、
上記発熱体用孔部は、上記基台部に形成された基台部側溝部と上記本体部に形成された本体部側溝部とが対向配置されることによって形成されている、
請求項3または請求項4に記載の皮むき工具。
【請求項7】
上記発熱体用刃部は、上記本体部に設けられている、
請求項6に記載の皮むき工具。
【請求項8】
上記基台部は、上記本体部側の面に突条部を有しており、
上記本体部は、上記基台部側の面に篏合溝を有しており、
上記突条部が上記篏合溝に篏合している、
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項9】
上記基台部と上記本体部との合わせ目に介在するばね部材を有しており、
上記ばね部材によって上記基台部に対して上記本体部が支持されることにより、上記合わせ目部分に隙間が形成されている、
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項10】
上記ヒータケーブルは、
上記発熱体と上記外皮との間に、上記発熱体の外周を覆う内皮を有しており、
上記皮むき工具は、
上記内皮を露出させた上記ヒータケーブルの上記端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された内皮用孔部と、
上記内皮用孔部内に一部が突出しており、上記内皮の片側の側面部に上記ヒータケーブルの軸方向に沿う切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された内皮用刃部と、
を有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項11】
上記内皮用刃部は、回転刃である、
請求項10に記載の皮むき工具。
【請求項12】
基台部と、上記基台部に隣接する本体部とを有しており、
上記内皮用孔部は、上記本体部に形成されており、
上記内皮用刃部は、上記本体部に設けられている、
請求項10または請求項11に記載の皮むき工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面扁平状のヒータケーブルに用いられる皮むき工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種産業分野において、被加熱対象物を加熱するため、ヒータケーブルが用いられることがある。この種のヒータケーブルとしては、例えば、互いに離間して配置された一対の導体線と、一対の導体線を直接覆うとともに一対の導体線の間を接続する発熱体と、発熱体の外周を覆う外皮とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブルが知られている。ヒータケーブルは、対をなす電極としての一対の導体線に電流を流すことにより、発熱体を発熱させることができる。
【0003】
ヒータケーブルでは、端末部を皮むきし、一対の導体線を露出させる端末処理がなされる。ヒータケーブルの分野では、端末処理に適した皮むき工具がないのが実情である。そのため、カッターナイフを用い、概ね、次のような端末処理が行われている。
【0004】
具体的には、先ず、ヒータケーブルの端末部における外皮の所定位置に、カッターナイフにてヒータケーブルの軸回り方向に切り込みを入れる。次いで、外皮の両側面部をカッターナイフにて削り取る。次いで、剥がれた外皮の根本部分をニッパにて切り取る。次いで、露出させた発熱体における各導体線の配置部位よりも内側の二か所の部位を、発熱体の先端部分から導体線に沿ってそれぞれ1cm程度ニッパにて切断する。次いで、発熱体内から各導体線をペンチにて剥がし取る。次いで、各導体線が取り出された発熱体の根本部分をニッパにて切り取る。このようにして、端末部にて一対の導体線を露出させたヒータケーブルが形成される。
【0005】
なお、断面扁平状のヒータケーブルの皮むき工具ではないが、先行する特許文献1には、断面円形状の電線の皮むき工具が開示されている。この電線の皮むき工具は、電線が嵌まる略U字状の切り欠きと、切り欠きの全周に形成された刃とを有している。この電線の皮むき工具によれば、次のようにして電線の外皮をむくことができる。先ず、皮むき工具の切り欠きに電線を嵌める。次いで、電線を手で持って固定し、皮むき工具を電線の軸回り方向に数周回転させて外皮に切り込みを入れる。次いで、皮むき工具を電線から引き抜く。これにより、電線の外皮をむくことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-104912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電線の皮むき工具は、電線の軸回り方向に皮むき工具を数周回転させて外皮に切り込みを入れるものである。このような工具操作は、断面扁平状のヒータケーブルに対して行うことができない。そのため、従来の電線の皮むき工具の技術は、断面扁平状のヒータケーブルの皮むき工具に適用することができず、カッターナイフを主に用いてヒータケーブルの皮むきを行うことが必要になる。カッターナイフを用いると、余分な部位に切り込みや傷をつけてしまうことがある。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、断面扁平状のヒータケーブルの端末処理時に、カッターナイフを主に用いずに、少なくとも外皮を比較的簡単にむくことが可能な皮むき工具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、互いに離間して配置された一対の導体線と、一対の上記導体線を直接覆うとともに一対の上記導体線の間を接続する発熱体と、上記発熱体の外周を覆う外皮とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブルの皮むきに用いられる皮むき工具であって、
上記外皮が付いた上記ヒータケーブルの端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された外皮用孔部と、
上記外皮用孔部内に一部が突出しており、上記外皮の片側の側面部に上記ヒータケーブルの軸方向に沿う切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された外皮用刃部と、
を有する、皮むき工具にある。
【発明の効果】
【0010】
上記皮むき工具は、上記構成を有する。そのため、上記皮むき工具によれば、断面扁平状のヒータケーブルの端末処理時に、例えば、以下のようにして外皮をむくことができる。
【0011】
上記皮むき工具の外皮用孔部内に、外皮が付いたヒータケーブルの端末部を差し込み、引き抜く。これにより、外皮用孔部内に一部が突出した外皮用刃部により、外皮の片側の側面部に、ヒータケーブルの軸方向に沿う線状の切り込みまたは傷が入る。次いで、外皮の上記片側とは反対側の側面部が外皮用刃部側となるようにして、上記皮むき工具の外皮用孔部内に、外皮が付いたヒータケーブルの端末部を再度差し込み、引き抜く。これにより、外皮用孔部内に一部が突出した外皮用刃部により、外皮の上記片側とは反対側の側面部に、ヒータケーブルの軸方向に沿う線状の切り込みまたは傷が入る。次いで、外皮によって覆われていた部分を間に挟むようにして外皮を二つに剥がす。次いで、二つに剥がれた外皮の根本部分をニッパにて切り取る。これにより、外皮をむくことができる。
【0012】
よって、上記皮むき工具によれば、断面扁平状のヒータケーブルの端末処理時に、カッターナイフを主に用いずに、少なくとも外皮を比較的簡単にむくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態の皮むき工具の斜視図である。
図2図2は、実施形態の皮むき工具の正面図である。
図3図3は、実施形態の皮むき工具の平面図である。
図4図4は、実施形態の皮むき工具の右側面図である。
図5図5は、実施形態の皮むき工具の左側面図である。
図6図6は、実施形態の皮むき工具の底面図である。
図7図7は、実施形態の皮むき工具のVII-VII線矢視断面図である。
図8図8は、実施形態の皮むき工具のVIII-VIII線矢視断面図である。
図9図9は、実施形態の皮むき工具のIX-IX線矢視断面図である。
図10図10は、実施形態の皮むき工具のX-X線矢視断面図である。
図11図11は、ヒータケーブルの構造を説明するための説明図である。
図12図12は、図11(a)に示される構造を有するヒータケーブルの端末部を示した図であり、(a)はヒータケーブルの平面図、(b)はヒータケーブルの側面図、(c)はヒータケーブルの端面を示した図である。
図13図13は、図12に示されるヒータケーブルの外皮に、本実施形態の皮むき工具により切り込みまたは傷を入れた状態を示した図であり、(a)はヒータケーブルの平面図、(b)はヒータケーブルの側面図、(c)はヒータケーブルの端面を示した図である。
図14図14は、露出させたヒータケーブルの内皮に、本実施形態の皮むき工具により切り込みまたは傷を入れた状態を示した図であり、(a)はヒータケーブルの平面図、(b)はヒータケーブルの側面図、(c)はヒータケーブルの端面を示した図である。
図15図15は、露出させたヒータケーブルの発熱体に、本実施形態の皮むき工具により切り込みまたは傷を入れた状態を示した図であり、(a)はヒータケーブルの平面図、(b)はヒータケーブルの端面図である。
図16図16は、本実施形態の皮むき工具を用いた端末処理後のヒータケーブルの平面図である。
図17図17は、実際に作製した実施例の皮むき工具を用いたヒータケーブルの皮むき手順を説明するための説明図である。
図18図18は、図17の続きであり、実際に作製した実施例の皮むき工具を用いたヒータケーブルの皮むき手順を説明するための説明図である。
図19図19は、図18の続きであり、実際に作製した実施例の皮むき工具を用いたヒータケーブルの皮むき手順を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の皮むき工具について、図1図19を用いて説明する。図1図19に例示されるように、本実施形態の皮むき工具2は、ヒータケーブル1の皮むきに用いられる手動工具である。
【0015】
皮むき工具2が適用されるヒータケーブル1は、図11(a)~図11(c)に例示されるように、互いに離間して配置された一対の導体線15と、一対の導体線15を直接覆うとともに一対の導体線15の間を接続する発熱体14と、発熱体14の外周を覆う外皮11とを少なくとも有している。ヒータケーブル1は、ヒータケーブル1の軸方向に垂直な断面視で断面扁平状に形成されている。
【0016】
ヒータケーブル1は、具体的には、図11(a)に例示されるように、さらに、発熱体14の外周を直接覆う内皮13と、内皮13の外周を直接覆う編組等からなるシールド導体12とを有することができる。この場合、外皮11がシールド導体12の外周を直接覆う。また、ヒータケーブル1は、図11(b)に例示されるように、シールド導体12を有さないものであってもよい。この場合、外皮11が内皮13の外周を直接覆う。また、ヒータケーブル1は、図11(c)に例示されるように、内皮13およびシールド導体12を有さないものであってもよい。この場合、外皮11が発熱体14の外周を直接覆う。
【0017】
ヒータケーブル1において、導体線15は、例えば、ニッケルめっき軟銅からなる素線を複数撚り合わせた撚り線などから構成することができる。また、発熱体14は、例えば、導電性カーボンが分散された架橋ポリマーなどから構成することができる。この場合には、ヒータケーブル1の周囲の温度が下がると、架橋ポリマーが収縮し、導電性カーボンのつながりが密になり、電気抵抗が小さくなる。そのため、多くの電流が流れ、発熱量が増加する。一方、ヒータケーブル1の周囲の温度が上がると、架橋ポリマーが膨張し、導電性カーボンのつながりが断たれて電気抵抗が大きくなる。そのため、電流の通り道が少なくなり、発熱量が減少する。したがって、上記の場合には、ヒータケーブル1は、自己制御型のヒータケーブル1となる。また、内皮13は、例えば、フッ素樹脂等の絶縁性樹脂などから構成することができる。また、シールド導体12は、例えば、スズめっき軟銅からなる素線が複数編み込まれてなる編組などから構成することができる。また、外皮11は、例えば、フッ素樹脂等の樹脂などから構成することができる。なお、外皮11を構成する樹脂は、絶縁性樹脂でなくてもよい。以下では、図11(a)の構造を有するヒータケーブル1の皮むきに好適に用いることができる皮むき工具2の例について説明する。
【0018】
図1図10に示されるように、皮むき工具2は、外皮用孔部211と、外皮用刃部212と、を少なくとも有している。外皮用孔部211は、外皮11が付いたヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜き可能に構成されている。外皮用刃部212は、外皮用孔部211内に一部が突出している。外皮用刃部212は、外皮11の片側の側面部にヒータケーブル1の軸方向に沿う切り込みまたは傷31(外皮加工線ということもできる)を入れることが可能に構成されている。以下、これを詳説する。なお、皮むき工具2は、図2に示される正面図における上方向を上側、下方向を下側、右方向を右側、左方向を左側、手前側を前側、奥側を後ろ側とする。
【0019】
本実施形態において、皮むき工具2は、基台部201と、基台部201に隣接する本体部202とを有している。具体的には、基台部201と本体部202とは、互いに合わせられている。本実施形態では、基台部201は、本体部202側の面に突条部201bを有している。具体的には、基台部201は、板状の基板部201aと、基板部201aの一方の板面上に突出して設けられた突条部201bとを有している。基板部201aは、例えば、直方体状等の形状を呈することができる。突条部201bは、基板部201aの一方縁部(前端縁部)から対向する他方縁部(後端縁部)にわたって延びている。本体部202は、基台部201側の面に篏合溝202cを有している。具体的には、本体部202は、ブロック体部202aと、ブロック体部202aの下端部から基板部201aの板面と平行方向(水平方向)に延設された一対の延設部202bとを有している。ブロック体部202aは、例えば、角形状等の形状を呈することができる。ブロック体部202aの下端面には、基台部201の突条部201bが篏合する篏合溝202cが形成されている。基台部201の本体部202側の面に設けられた突条部201bは、本体部202の基台部201側の面にある篏合溝202cに篏合している。なお、突条部201bの側壁面と篏合溝202cの内壁面とは、摺動するように構成することができる。基台部201および本体部202は、例えば、硬化性樹脂などから構成することができる。
【0020】
基台部201と本体部202とは、複数の締結部材203により締結されて一体化されている。具体的には、本体部202における各延設部202bに、延設部202bを貫通する貫通孔202dが互いに離間した状態で2カ所形成されている。基板部201aにおける各貫通孔202dに対応する部位には、それぞれナット部材203aが埋設されている。各貫通孔202dには、ボルト部材203bが挿通されている。ボルト部材203bは、基板部201aに埋設されたナット部材203aにそれぞれ螺合されている。
【0021】
基台部201と本体部202との合わせ目には、ばね部材204が介在している。具体的には、基板部201aと各延設部202bとの間に、それぞればね部材204が一つずつ配置されている。各ばね部材204の一方端部は、各ばね部材204の配置に対応して基板部201aに設けられた基台部側ばね収容部に収容されている。また、各ばね部材204の他方端部は、各ばね部材204の配置に対応して延設部202bに設けられた本体部側ばね収容部202eに収容されている。基台部201と本体部202との合わせ目部分には、ばね部材204によって基台部201に対して本体部202が支持されることにより、隙間205が形成されている。本体部202は、ばね部材204のばね弾性力により、基台部201に対して隙間205の分だけ上下動可能とされている。なお、本実施形態では、上述したボルト部材203bのナット部材203aへの締め込み量を調整することにより、隙間205の間隔が調整可能とされている。
【0022】
本実施形態において、外皮用孔部211は、本体部202に形成されている。具体的には、外皮用孔部211は、ブロック体部202aに形成されている。より具体的には、外皮用孔部211は、ブロック体部202aの下端部における、篏合溝202cの一方側(図2では右側)の領域に形成されている。外皮用孔部211は、本体部202の一方面から他方面(図2では、前側の面から後ろ側の面)にかけて貫通している。外皮用孔部211の軸方向に垂直な断面における外皮用孔部211の形状は、外皮11が付いたヒータケーブル1の外形に沿うように扁平状に形成されている。具体的には、外皮用孔部211の軸方向に垂直な断面における外皮用孔部211の形状は、外皮11の外形輪郭に沿った略楕円形状とされている。外皮用孔部211は、外皮用孔部211の軸方向に垂直な断面で見て、基板部201aの板面に垂直な線上に、外皮11が付いたヒータケーブル1の両側面部が配置されるように形成されている。したがって、本実施形態では、ヒータケーブル1の一方の側面部が上側、ヒータケーブル1の他方の側面部が下側となる向きで、外皮11の付いたヒータケーブル1の端末部を外皮用孔部211内に差し込み可能とされている。
【0023】
本実施形態において、外皮用刃部212は、本体部202に設けられている。具体的には、外皮用刃部212は、本体部202のブロック体部202aに設けられている。外皮用刃部212は、回転刃から構成されており、ブロック体部202aに設けられた刃部回転軸25回りに回転可能とされている。なお、刃部回転軸25は、頭部25aと、頭部25aから延びる軸部25bとを有しており、軸部25bはブロック体部202aを左右方向に貫通している。刃部回転軸25の先端部は、ブロック体部202aから露出している。刃部回転軸25の先端部には、ブロック体部202aから刃部回転軸25が脱落するのを防止するため、抜き止め部材25cが設けられている。
【0024】
本実施形態において、外皮用刃部212の大部分(回転刃の大部分)は、本体部202内に形成された外皮用刃部スリット212a内に配置されており、外皮用刃部212の一部(回転刃の一部)は、外皮用孔部211内に差し込まれる、外皮11の付いたヒータケーブル1の一方の側面部側に向かって外皮用孔部211内に突出している。外皮用孔部211内に突出する外皮用刃部212の突出量は、外皮11の一方の側面部にヒータケーブル1の軸方向に沿う切り込みまたは傷31を入れることが可能な量となるように予め調節されている。
【0025】
皮むき工具2は、さらに、内皮用孔部231と、内皮用刃部232と、を有することができる。本実施形態において、内皮用孔部231は、内皮13を露出させたヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜き可能に構成されている。内皮用刃部232は、内皮用孔部231内に一部が突出しており、内皮13の片側の側面部にヒータケーブル1の軸方向に沿う切り込みまたは傷33(内皮加工線ということもできる)を入れることが可能に構成されている。
【0026】
本実施形態において、内皮用孔部231は、本体部202に形成されている。具体的には、内皮用孔部231は、ブロック体部202aに形成されている。より具体的には、内皮用孔部231は、ブロック体部202aの下端部における、篏合溝202cの他方側(外皮用孔部211が形成されている篏合溝202cの一方側とは反対側、図2では左側)の領域に形成されている。内皮用孔部231は、本体部202の一方面から他方面(図2では、前側の面から後ろ側の面)にかけて貫通している。内皮用孔部231の軸方向に垂直な断面における内皮用孔部231の形状は、内皮13を露出させたヒータケーブル1の外形に沿うように扁平状に形成されている。具体的には、内皮用孔部231の軸方向に垂直な断面における内皮用孔部231の形状は、内皮13の外形輪郭に沿った略楕円形状とされている。内皮用孔部231は、内皮用孔部231の軸方向に垂直な断面で見て、基台部201における基板部201aの板面に垂直な線上に、内皮13が露出したヒータケーブル1の両側面部が配置されるように形成されている。したがって、本実施形態では、ヒータケーブル1の一方の側面部が上側、ヒータケーブル1の他方の側面部が下側となる向きで、内皮13が露出したヒータケーブル1の端末部を内皮用孔部231内に差し込み可能とされている。なお、内皮用孔部231の軸方向に垂直な断面における内皮用孔部231の外形は、外皮用孔部211の軸方向に垂直な断面における外皮用孔部211の外形よりも小さい。
【0027】
本実施形態において、内皮用刃部232は、本体部202に設けられている。具体的には、内皮用刃部232は、具体的には、ブロック体部202aに設けられている。内皮用刃部232は、回転刃から構成されており、ブロック体部202aに設けられた刃部回転軸25回りに回転可能とされている。
【0028】
本実施形態において、内皮用刃部232の大部分(回転刃の大部分)は、本体部202内に形成された内皮用刃部スリット232a内に配置されており、内皮用刃部232の一部(回転刃の一部)は、内皮用孔部231内に差し込まれる、内皮13が露出したヒータケーブル1の一方の側面部側に向かって内皮用孔部231内に突出している。内皮用孔部231内に突出する内皮用刃部232の突出量は、内皮13の一方の側面部にヒータケーブル1の軸方向に沿う切り込みまたは傷33を入れることが可能な量となるように予め調節されている。
【0029】
皮むき工具2は、さらに、発熱体用孔部241と、一対の発熱体用刃部242と、を有することができる。本実施形態において、発熱体用孔部241は、発熱体14を露出させたヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜き可能に構成されている。一対の発熱体用刃部242は、いずれも発熱体用孔部241内に一部が突出しており、発熱体14の片側の平面部における各導体線15の配置部位よりも内側の部位に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う一対の切り込みまたは傷34(発熱体加工線ということもできる)を入れることが可能に構成されている。
【0030】
本実施形態において、発熱体用孔部241は、基台部201に形成された基台部側溝部241aと、本体部202に形成された本体部側溝部241bとが対向配置されることによって形成されている。より具体的には、発熱体用孔部241は、基台部201における突条部201bの頂面部に形成された基台部側溝部241aと、本体部202における篏合溝202cの溝底面部に形成された本体部側溝部241bとが対向配置されることによって形成されている。発熱体用孔部241は、基台部側溝部241aと本体部側溝部241bとが合わせされることによって形成されることができ、発熱体用孔部241の孔部内壁面が閉じていなくてもよい(連続していなくてもよい)。発熱体用孔部241は、皮むき工具2の一方面から他方面(図2では、前側の面から後ろ側の面)にかけて貫通している。発熱体用孔部241の軸方向に垂直な断面における発熱体用孔部241の形状は、発熱体14が露出したヒータケーブル1の外形にほぼ沿うように扁平状に形成されている。具体的には、発熱体用孔部241の軸方向に垂直な断面における発熱体用孔部241の形状は、発熱体14の外形よりも若干大きな略楕円形状とされている。発熱体用孔部241は、発熱体用孔部241の軸方向に垂直な断面で見て、基板部201aの板面に平行な線上に、発熱体14が露出したヒータケーブル1の両側面部が配置されるようになっている。したがって、本実施形態では、ヒータケーブル1の一方の側面部が左側、ヒータケーブ1ルの他方の側面部が右側となる向きで、発熱体14が露出したヒータケーブル1の端末部を発熱体用孔部241内に差し込み可能とされている。
【0031】
本実施形態において、一対の発熱体用刃部242は、本体部202に設けられている。具体的には、一対の発熱体用刃部242は、具体的には、いずれもブロック体部202aに設けられている。一対の発熱体用刃部242は、いずれも、回転刃から構成されており、ブロック体部202aに設けられた刃部回転軸25回りに回転可能とされている。
【0032】
本実施形態において、各発熱体用刃部242の大部分(回転刃の大部分)は、本体部202内に形成された各発熱体用刃部スリット242a内に配置されており、各発熱体用刃部242の一部(各回転刃の一部)は、発熱体用孔部241内に差し込まれる、発熱体14が露出したヒータケーブル1の一方の平面部側に向かって発熱体用孔部241内に突出している。一方の発熱体用刃部242は、発熱体14の一方の平面部における一方の導体線15の配置部位よりも内側の部位に刃先が位置するように配置されている。また、他方の発熱体用刃部242は、発熱体14の一方の平面部における他方の導体線15の配置部位よりも内側の部位に刃先が位置するように配置されている。つまり、一対の発熱体用刃部242の各刃先は、差し込まれる発熱体14内に存在する一対の導体線15よりも内側となるように配置されている。発熱体用孔部241内に突出する各発熱体用刃部242の突出量は、いずれも発熱体14の一方の平面部にヒータケーブル1の軸方向に沿う切り込みまたは傷34を入れることが可能な量となるように予め調節されている。
【0033】
本実施形態において、外皮用刃部212、内皮用刃部232、一対の発熱体用刃部242は、回転軸が同軸とされている。また、外皮用刃部212、内皮用刃部232、一対の発熱体用刃部242は、同じ外径とされている。また、外皮用刃部212、内皮用刃部232、一対の発熱体用刃部242は、取り出しできないように本体部202内に収容されている。
【0034】
本実施形態の皮むき工具2は、例えば、3Dプリンタなどを用いて作製することができる。図17図19に、実際に作製した実施例の皮むき工具2を示す。図17図19に示される皮むき工具2は、具体的には、PLA樹脂(ポリ乳酸)を用い、3Dプリンタにより基台部201および本体部202を作製したものである。なお、ナット部材203aは、基台部201の作製途中に埋設したものである。また、外皮用刃部212、内皮用刃部232、および、発熱体用刃部242は、本体部202の作製途中に組み入れたものである。外皮用刃部212、内皮用刃部232、および、発熱体用刃部242は、材質:SK材、外径:28mm、刃厚:0.3mmとした。
【0035】
次に、本実施形態の皮むき工具2によるヒータケーブル1の皮むき手順について、図12図16図17図19を用いて説明する。なお、本実施形態では、図11(a)、図12に示す構造を有するヒータケーブル1の皮むき手順を説明する。図11(b)、図11(c)に示す構造を有するヒータケーブル1の皮むき手順は、以下に説明するヒータケーブル1の皮むき手順から容易に類推することができるので省略する。また、皮むき工具2以外の工具としては、ニッパ、ペンチが用いられる。
【0036】
先ず、図12に示されるヒータケーブル1の外皮をむく。具体的には、図17(a)~図17(b)に示されるように、皮むき工具2の外皮用孔部211内に、外皮11が付いたヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜く。これにより、図13に示されるように、外皮用孔部211内に一部が突出した外皮用刃部212により、外皮11の片側の側面部に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う線状の切り込みまたは傷31が入る。次いで、上記と同様にして、外皮11の上記片側とは反対側の側面部が外皮用刃部212側となるようにして、皮むき工具2の外皮用孔部211内に、外皮11が付いたヒータケーブル1の端末部を再度差し込み、引き抜く。これにより、図13に示されるように、外皮用孔部211内に一部が突出した外皮用刃部212により、外皮11の上記反対側の側面部に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う線状の切り込みまたは傷31が入る。次いで、図17(c)に示されるように、外皮11によって覆われていたシールド導体12部分を間に挟むようにして外皮11を二つに剥がす。次いで、図17(d)に示されるように、二つに剥がれた外皮11の根本部分をニッパにて切り取る。これにより、外皮11をむくことができる。
【0037】
次に、図17(e)、図14に示されるように、ヒータケーブル1のシールド導体12をずらし、シールド導体12の下にある内皮13を露出させる。
【0038】
次に、ヒータケーブル1の内皮13をむく。具体的には、図17(f)に示されるように、皮むき工具2の内皮用孔部231内に、内皮13が露出したヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜く。これにより、図14に示されるように、内皮用孔部231内に一部が突出した内皮用刃部232により、内皮13の片側の側面部に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う線状の切り込みまたは傷33が入る。次いで、上記と同様にして、内皮13の上記片側とは反対側の側面部が内皮用刃部232側となるようにして、皮むき工具2の内皮用孔部231内に、内皮13が露出したヒータケーブル1の端末部を再度差し込み、引き抜く。これにより、図14に示されるように、内皮用孔部231内に一部が突出した内皮用刃部232により、内皮13の上記反対側の側面部に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う線状の切り込みまたは傷33が入る。次いで、図18(a)に示されるように、内皮13によって覆われていた発熱体14部分を間に挟むようにして内皮13を二つに剥がす。次いで、図18(b)に示されるように、二つに剥がれた内皮13の根本部分をニッパにて切り取る。これにより、内皮13をむくことができる。
【0039】
次に、ヒータケーブル1の発熱体14をむく。具体的には、図18(c)~図18(d)に示されるように、皮むき工具2の発熱体用孔部241内に、発熱体14が露出したヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜く。これにより、図15に示されるように、発熱体用孔部241内に一部が突出した一対の発熱体用刃部242により、発熱体14の片側の平面部における両導体線15の配置部位よりも内側に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う一対の線状の切り込みまたは傷34が入る。次いで、上記と同様にして、発熱体14の上記片側の平面部とは反対側の平面部が発熱体用刃部242側となるようにして、皮むき工具2の発熱体用孔部241内に、発熱体14が露出したヒータケーブル1の端末部を再度差し込み、引き抜く。これにより、図15に示されるように、発熱体用孔部241内に一部が突出した発熱体用刃部242により、発熱体14の上記反対側の平面部における両導体線15の配置部位よりも内側に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う一対の線状の切り込みまたは傷34が入る。
【0040】
次いで、図18(e)に示されるように、発熱体14における各導体線15の配置部位よりも内側の二か所の部位を、発熱体14の先端部分から導体線15に沿ってそれぞれ1cm程度ニッパにて切断する。次いで、図18(f)~図19(a)に示されるように、各導体線15をニッパ(不図示のペンチでも可)にてつまみ、発熱体14内から引き出す。次いで、図19(b)に示されるように、発熱体14内から引き出した一対の導体線15の間にある残りの発熱体14の根本部分をニッパにて切り取る。次いで、図19(c)に示されるように、発熱体14内から引き出した一対の導体線15の表面に付着している発熱体14を手で取り除く。これにより、図19(d)に示されるように、一対の導体線15を露出させたヒータケーブル1が得られる。
【0041】
以上に示されるように、本実施形態の皮むき工具2を用いることにより、カッターナイフを主に用いることなく、比較的簡単に、ヒータケーブル1の外皮11、内皮13、および、発熱体14をむいて、一対の導体線15を露出させたヒータケーブル1を作製することができる。
【0042】
上述したように、本実施形態の皮むき工具2は、外皮用孔部211および外皮用刃部212を有している。そのため、本実施形態の皮むき工具2は、カッターナイフを主に用いずに、比較的簡単に外皮11をむくことができる。特に、皮むきするヒータケーブル1が編組からなるシールド導体12を有する場合、従来の皮むき方法では、カーターナイフにより外皮11をむく際に編組が切れてしまい、編組を構成する素線がばらばらとこぼれ落ちる問題があった。本実施形態の皮むき工具2によれば、このような問題も解決することができる。
【0043】
また、従来の皮むき方法では、ヒータケーブル1が内皮13を有する場合、内皮13についても外皮11と同様に、カッターナイフにより皮むきをする必要があった。これに対し、本実施形態の皮むき工具2は、内皮用孔部231および内皮用刃部232を有しているので、カッターナイフを主に用いずに、外皮11をむいた後に引き続き、比較的簡単に内皮13をむくことができる。
【0044】
また、ヒータケーブル1では、導体線15から発熱体14へ電流がよく流れるように、導体線15が発熱体14にしっかりと引っ付いている(密着している)。そのため、従来の皮むき方法では、発熱体14内から各導体線15をペンチにて剥がし取り難いという問題があった。これに対し、本実施形態の皮むき工具2は、発熱体用孔部241と、一対の発熱体用刃部242とを有している。そのため、本実施形態の皮むき工具2は、発熱体14の両平面部における両導体線15の配置部位よりも内側に、それぞれヒータケーブル1の軸方向に沿う一対の切り込みまたは傷34を入れることができる。そのため、本実施形態の皮むき工具2によれば、各導体線15をニッパまたはペンチにてつまみ、各導体線15を発熱体14内から容易に引きすことができる。また、各導体線15の表面に付着している発熱体14は、手で擦るなどすることにより簡単にぽろぽろと剥がすことができる。このように、本実施形態の皮むき工具2は、外皮11、内皮13をむいた後に引き続き、比較的簡単に発熱体14をむくことができる。
【0045】
なお、本実施形態の皮むき工具2において、外皮用刃部212、内皮用刃部232、および、発熱体用刃部242を、回転しない刃で構成する変形は可能ではある。しかし、この変形例では、いつも同じ刃部分を使用することになるため、早期に刃が切れ難くなる。これに対して、本実施形態の皮むき工具2では、外皮用刃部212、内皮用刃部232、および、発熱体用刃部242が、それぞれ回転刃であるため、回転刃の回転によって刃部分を全て使用することができる。そのため、この場合には、皮むき工具2の耐久性を向上させることができる。また、この場合には、回転刃の回転により、外皮用孔部211、内皮用孔部231、および、発熱体用孔部241へのヒータケーブル1の差し込み力、引き抜き力を低減させることができ、皮むき作業性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態の皮むき工具2は、基台部201と、基台部201に隣接する本体部202とを有している。そのため、本実施形態の皮むき工具2では、本体部202に外皮用孔部211を形成し、本体部202に外皮用刃部212を設けることができる。また、本実施形態の皮むき工具2では、本体部202に内皮用孔部231を形成し、本体部202に内皮用刃部232を設けることができる。また、本実施形態の皮むき工具2では、本体部202に内皮用孔部231を形成し、本体部202に内皮用刃部232を設けることができる。また、本実施形態の皮むき工具2では、基台部201と本体部202との合わせ目に発熱体用孔部241を形成し、本体部202に発熱体用刃部242を設けることができる。したがって、上記各構成を採用することにより、本実施形態の皮むき工具2を実現しやすくなる。
【0047】
また、本実施形態の皮むき工具2では、発熱体用孔部241が、基台部201に形成された基台部側溝部241aと本体部202に形成された本体部側溝部241bとが対向配置されることによって形成されている。この構成によれば、発熱体用孔部241が分割形成されるため、発熱体用孔部241に遊び部分が生じ、大きさにバラツキのある発熱体14を差し込みやすくなる。また、皮むき工具2が作業者の手で握られた際に、基台部側溝部241aと本体部側溝部241bとによって差し込まれた発熱体14を挟んだ後、発熱体14を引き抜くことができる。そのため、発熱体14の寸法誤差を許容しつつ、発熱体14の所定位置に切り込みまたは傷34を入れることができる。
【0048】
また、本実施形態の皮むき工具2では、基台部201の本体部202側の面に設けられた突条部201bが、本体部202の基台部201側の面にある篏合溝202cに篏合している。そのため、本実施形態の皮むき工具2によれば、基台部201に対して左右方向に本体部202が位置ずれすることを規制しつつ、基台部201に対して本体部202を上下動可能に構成することができる。
【0049】
また、本実施形態の皮むき工具2では、基台部201と本体部202との合わせ目に介在するばね部材204を有しており、ばね部材204によって基台部201に対して本体部202が支持されることにより、合わせ目部分に隙間205が形成されている。この構成によれば、ばね部材204のばね弾性力を利用して、合わせ目部分に形成される隙間205を小さくしたり大きくしたりすることができる。発熱体用孔部241が基台部側溝部241aと本体部側溝部241bとが合わさって形成されている場合には、発熱体14が差し込まれていない状態において、発熱体用孔部241に生じる遊び部分を一定に保つことができる。そのため、この場合には、上述した作用効果を得やすくなる。
【0050】
本発明は、上記実施形態、実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、実施形態、実施例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、基台部201が突条部201bを有しており、ブロック体部202aが突条部201bに篏合する篏合溝202cを有している皮むき工具2について説明したが、皮むき工具2は、突条部201bおよび篏合溝202cを有していない構成とすることもできる。この場合、基板部201aの基板面とブロック体部202aの基板部側の端面との合わせ目部分に、発熱体用孔部241を設けることができる。また、上述した実施形態では、本体部202が一対の延設部202bを有する皮むき工具2について説明したが、皮むき工具2において、本体部202は一対の延設部202bを有さないブロック体部202aから構成することもできる。この場合、ブロック体部202aの左右端部に締結部材203やばね部材204を設けることができる。もっとも、上述した実施形態の皮むき工具2のように延設部202bを設けた場合には、本体部202を小型化することができるので、延設部202bを設けない場に比べ、作業者が皮むき工具2を手で握りやすくなる利点がある。また、上述した実施形態では、外皮用刃部212、内皮用刃部232、一対の発熱体用刃部242が取り出しできないように本体部202内に収容されている例を示したが、外皮用刃部212、内皮用刃部232、一対の発熱体用刃部242は、取り出しできるように本体部202内に収容されていてもよい。また、皮むき工具2の色は、例えば、皮むきするヒータケーブル1の外皮11の色と同じ色とすることができる。この構成によれば、作業者が、ヒータケーブル1の皮むきに適した皮むき工具2を一目で選択することができるので、皮むき作業の効率を高めることが可能になる。
【0052】
以下、参考形態の皮むき工具を付記する。なお、以下に示される参考形態の皮むき工具は、上述した実施形態の皮むき工具に記載した各構成を任意に組み合わせることができる。
項1.互いに離間して配置された一対の導体線と、一対の上記導体線を直接覆うとともに一対の上記導体線の間を接続する発熱体と、上記発熱体の外周を覆う外皮とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブルの皮むきに用いられる皮むき工具であって、
上記ヒータケーブルは、
上記発熱体と上記外皮との間に、上記発熱体の外周を覆う内皮を有しており、
上記皮むき工具は、
上記内皮を露出させた上記ヒータケーブルの上記端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された内皮用孔部と、
上記内皮用孔部内に一部が突出しており、上記内皮の片側の側面部に上記ヒータケーブルの軸方向に沿う切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された内皮用刃部と、
を有する、皮むき工具。
上記項1に記載の皮むき工具によれば、断面扁平状のヒータケーブルの端末処理時に、カッターナイフを主に用いずに、少なくとも内皮を比較的簡単にむくことができる。
項2.互いに離間して配置された一対の導体線と、一対の上記導体線を直接覆うとともに一対の上記導体線の間を接続する発熱体と、上記発熱体の外周を覆う外皮とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブルの皮むきに用いられる皮むき工具であって、
上記発熱体を露出させた上記ヒータケーブルの上記端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された発熱体用孔部と、
上記発熱体用孔部内に一部が突出しており、上記発熱体の片側の平面部における各上記導体線の配置部位よりも内側の部位に、上記ヒータケーブルの軸方向に沿う一対の切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された一対の発熱体用刃部と、
を有する、皮むき工具。
上記項2に記載の皮むき工具によれば、断面扁平状のヒータケーブルの端末処理時に、カッターナイフを主に用いずに、少なくとも発熱体を比較的簡単にむくことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ヒータケーブル
11 外皮
14 発熱体
15 導体線
2 皮むき工具
211 外皮用孔部
212 外皮用刃部
31 切り込みまたは傷(外皮)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2021-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して配置された一対の導体線と、一対の上記導体線を直接覆うとともに一対の上記導体線の間を接続する発熱体と、上記発熱体の外周を覆う外皮とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブルの皮むきに用いられる皮むき工具であって、
上記外皮が付いた上記ヒータケーブルの端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された外皮用孔部と、
上記外皮用孔部内に一部が突出しており、上記外皮の片側の側面部に上記ヒータケーブルの軸方向に沿う切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された外皮用刃部と、
上記発熱体を露出させた上記ヒータケーブルの上記端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された発熱体用孔部と、
上記発熱体用孔部内に一部が突出しており、上記発熱体の片側の平面部における各上記導体線の配置部位よりも内側の部位に、上記ヒータケーブルの軸方向に沿う一対の切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された一対の発熱体用刃部と、
を有する、皮むき工具。
【請求項2】
上記外皮用刃部は、回転刃である、
請求項1に記載の皮むき工具。
【請求項3】
上記発熱体用刃部は、回転刃である、
請求項1または請求項2に記載の皮むき工具。
【請求項4】
基台部と、上記基台部に隣接する本体部とを有しており、
上記外皮用孔部は、上記本体部に形成されており、
上記外皮用刃部は、上記本体部に設けられている、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項5】
基台部と、上記基台部に隣接する本体部とを有しており、
上記発熱体用孔部は、上記基台部に形成された基台部側溝部と上記本体部に形成された本体部側溝部とが対向配置されることによって形成されている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項6】
上記発熱体用刃部は、上記本体部に設けられている、
請求項に記載の皮むき工具。
【請求項7】
上記基台部は、上記本体部側の面に突条部を有しており、
上記本体部は、上記基台部側の面に篏合溝を有しており、
上記突条部が上記篏合溝に篏合している、
請求項から請求項のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項8】
上記基台部と上記本体部との合わせ目に介在するばね部材を有しており、
上記ばね部材によって上記基台部に対して上記本体部が支持されることにより、上記合わせ目部分に隙間が形成されている、
請求項から請求項のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項9】
上記ヒータケーブルは、
上記発熱体と上記外皮との間に、上記発熱体の外周を覆う内皮を有しており、
上記皮むき工具は、
上記内皮を露出させた上記ヒータケーブルの上記端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された内皮用孔部と、
上記内皮用孔部内に一部が突出しており、上記内皮の片側の側面部に上記ヒータケーブルの軸方向に沿う切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された内皮用刃部と、
を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の皮むき工具。
【請求項10】
上記内皮用刃部は、回転刃である、
請求項に記載の皮むき工具。
【請求項11】
基台部と、上記基台部に隣接する本体部とを有しており、
上記内皮用孔部は、上記本体部に形成されており、
上記内皮用刃部は、上記本体部に設けられている、
請求項または請求項10に記載の皮むき工具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様は、互いに離間して配置された一対の導体線と、一対の上記導体線を直接覆うとともに一対の上記導体線の間を接続する発熱体と、上記発熱体の外周を覆う外皮とを少なくとも有する断面扁平状のヒータケーブルの皮むきに用いられる皮むき工具であって、
上記外皮が付いた上記ヒータケーブルの端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された外皮用孔部と、
上記外皮用孔部内に一部が突出しており、上記外皮の片側の側面部に上記ヒータケーブルの軸方向に沿う切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された外皮用刃部と、
上記発熱体を露出させた上記ヒータケーブルの上記端末部を差し込み、引き抜き可能に構成された発熱体用孔部と、
上記発熱体用孔部内に一部が突出しており、上記発熱体の片側の平面部における各上記導体線の配置部位よりも内側の部位に、上記ヒータケーブルの軸方向に沿う一対の切り込みまたは傷を入れることが可能に構成された一対の発熱体用刃部と、
を有する、皮むき工具にある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
皮むき工具2は、さらに、発熱体用孔部241と、一対の発熱体用刃部242と、を有してい。発熱体用孔部241は、発熱体14を露出させたヒータケーブル1の端末部を差し込み、引き抜き可能に構成されている。一対の発熱体用刃部242は、いずれも発熱体用孔部241内に一部が突出しており、発熱体14の片側の平面部における各導体線15の配置部位よりも内側の部位に、ヒータケーブル1の軸方向に沿う一対の切り込みまたは傷34(発熱体加工線ということもできる)を入れることが可能に構成されている。