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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110340
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】眼鏡型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220722BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220722BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005673
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安藤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【テーマコード(参考)】
2H088
2H199
【Fターム(参考)】
2H088EA10
2H088EA13
2H088EA35
2H088GA02
2H088GA13
2H088HA02
2H088HA18
2H088HA22
2H088JA06
2H088MA06
2H088MA20
2H199CA02
2H199CA13
2H199CA23
2H199CA44
2H199CA47
2H199CA63
(57)【要約】
【課題】画像光形成部が形成した画像に外景像を重畳させる第1の領域では外界光を遮光し、それ以外の領域では、外界光の透過率を高くした調光パネルを用いた眼鏡型表示装置を得る。
【解決手段】両面の電極間にゲストホスト液晶を設置した調光パネルを有し、前記調光パネルの第1の領域に偏光板を有し、前記第1の領域に、画像光形成部が形成した画像光を反射して使用者の目で画像を視認させるハーフミラーを形成した反射部を有し、
前記調光パネルの前記電極に電圧を印加することで外界光の透過率を制御するとともに、前記調光パネルの外界光の透過率を高く制御した場合に、前記第1の領域では前記偏光板によって外界光を遮光させる眼鏡型表示装置を用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に外景像とともに画像光形成部が作成した画像を視認させる眼鏡型表示装置であって、
両面の電極間にゲストホスト液晶を設置した調光パネルを有し、前記調光パネルの第1の領域に偏光板を有し、前記第1の領域に、前記画像光形成部が形成した画像光を反射して使用者の目で画像を視認させるハーフミラーを形成した反射部を有し、
前記調光パネルの前記電極に電圧を印加することで外界光の透過率を制御するとともに、前記調光パネルの外界光の透過率を高く制御した場合に、前記第1の領域では前記偏光板によって外界光を遮光させる
ことを特徴とする眼鏡型表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の眼鏡型表示装置であって、前記調光パネルの前記電極を、前記第1の領域の電極と、前記第1の領域以外の領域の電極とに分割して形成し、
前記調光パネルの前記第1の領域の電極に印加する電圧と前記第1の領域以外の領域の電極に印加する電圧を独立させて印加することで、前記ゲストホスト液晶の外界光の透過率を前記第1の領域と前記第1の領域以外の領域とで独立させて制御する
ことを特徴とする眼鏡型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に画像を視認させる眼鏡型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、画像光形成部が形成して出射した画像光を反射部のハーフミラーで反射させて使用者の目で画像を視認させるとともに、前記調光パネルを透過した外界光による外景像を使用者の目で視認させることで、画像光形成部が形成した画像と外景像とを、重畳させるシースルー型の眼鏡型表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-044717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシースルー型の眼鏡型表示装置では、外界光が強い環境下では画像光形成部が形成した画像が鮮明に見えないため、液晶減光フィルター等の調光パネルで外界光を減光して視認性を高めている。
【0005】
画像光形成部が形成した画像は外光の光量が少ない方が視認性が高くなるため、調光パネルの、画像光形成部が形成した画像に外景像を重畳させる領域(第1の領域)での外界光の透過率は低い範囲で調整できる方がよい。一方、調光パネルのそれ以外の領域では、外界光が暗いと外景像の視認性が悪くなるため、透過率が高い範囲で調整可能な眼鏡型表示装置が望まれる。
【0006】
調光パネルに偏光板付液晶パネルを用いる場合は、遮光時の透過率は1%未満等となり、画像光形成部が形成した画像に調光パネルとして用いると表示が見やすくなる。しかし、透過時の透過率は偏光板により50%未満となり、比較的暗い外界光の環境下では外景像が見づらい問題がある。
【0007】
それに対して、調光パネルにゲストホスト液晶パネルを用いる場合は、偏光板が不要であるため、色素濃度調整により透過率を50%以上にすることができる。そのため、外界光が暗い環境下での外景像の視認性が高い効果がある。しかし、ゲストホスト液晶パネルでは、遮光時の透過率が高いため、強い外界光の環境下では画像光形成部が形成した画像が見づらい問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決し、調光パネルの、画像光形成部が形成した画像に外景像を重畳させる領域(第1の領域)では外界光を遮光し、調光パネルのそれ以外の領域では、外界光の透過率を高くした調光パネルを用いた眼鏡型表示装置を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、使用者に外景像とともに画像光形成部が作成した画像を視認させる眼鏡型表示装置であって、両面の電極間にゲストホスト液晶を設置した調光パネルを有し、前記調光パネルの第1の領域に偏光板を有し、前記第1の領域に、前記画像光形成部が形成した画像光を反射して使用者の目で画像を視認させるハーフミラーを形成した反射部を有し、前記調光パネルの前記電極に電圧を印加することで外界光の
透過率を制御するとともに、前記調光パネルの外界光の透過率を高く制御した場合に、前記第1の領域では前記偏光板によって外界光を遮光させることを特徴とする眼鏡型表示装置である。
【0010】
本発明は、この構成によって、調光パネルを透過した外界光による外景像と画像光形成部が作成した画像を重畳させる第1の領域では外界光を遮光し、調光パネルのそれ以外の領域では、外界光の透過率を高くした調光パネルを用いた眼鏡型表示装置が得られる効果がある。
【0011】
また、本発明は、上記の眼鏡型表示装置であって、前記調光パネルの前記電極を、前記第1の領域の電極と、前記第1の領域以外の領域の電極とに分割して形成し、前記調光パネルの前記第1の領域の電極に印加する電圧と前記第1の領域以外の領域の電極に印加する電圧を独立させて印加することで、前記ゲストホスト液晶の外界光の透過率を前記第1の領域と前記第1の領域以外の領域とで独立させて制御することを特徴とする眼鏡型表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、眼鏡型表示装置の調光パネルにゲストホスト液晶を用いる。これにより、調光パネルの外界光の透過率を高くでき、外界光が暗い環境下での外景像の視認性が高い効果がある。
【0013】
また、本発明は、調光パネルを透過した外界光による外景像と画像光形成部が作成した画像を重畳させる第1の領域の調光パネルに偏光板を設け、調光パネルの外界光の透過率を高くした場合に、調光パネルの第1の領域では偏光板によって外界光を遮光させることができる効果がある。
【0014】
これにより、ゲストホスト液晶のみの調光パネルの領域の外界光の透過率を高くして外景像の視認性を高くするとともに、ゲストホスト液晶に偏光板を設置した第1の領域では外界光を遮光させて、その第1の領域で観察する、画像光形成部が形成した画像を視認し易くできる効果がある。
【0015】
また、本発明は、調光パネルの前記第1の領域の電極に印加する電圧と前記第1の領域以外の領域の電極に印加する電圧を独立させて印加することで、前記ゲストホスト液晶の外界光の透過率を前記第1の領域と前記第1の領域以外の領域とで独立させて制御できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態の眼鏡型表示装置の光学系の構成を示す図である。
図2】(a)本発明の第1の実施形態の眼鏡型表示装置の調光パネルの平面図である。(b)同、調光パネルの断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態の眼鏡型表示装置の調光パネルと反射部を通して観察される外景像と画像の一例を説明する図である。
図4】(a)本発明の第2の実施形態の眼鏡型表示装置の調光パネルの動作において、第1の領域A1と第2の領域A2との全領域の電極間に電圧を印加しない場合の断面図。(b)同、第2の領域A2の電極間にのみ電圧を印加する場合の断面図。(c)同、第1の領域A1の電極間にのみ電圧を印加する場合の断面図。
図5】本発明の第3の実施形態の眼鏡型表示装置の調光パネルの平面図である。
図6】本発明の第4の実施形態の眼鏡型表示装置の光学系の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る眼鏡型表示装置の光学系の構成を示す模式図である。
【0018】
本実施形態の眼鏡型表示装置は、使用者に画像光Imgを視認させる眼鏡形状を有する眼鏡部を使用者が装着して使用する。この眼鏡型表示装置は、眼鏡部の前面に位置する調光パネル10と反射部20と画像光形成部30を備える。
【0019】
そして、調光パネル10の第1の領域A1を透過させた外界光Out1による外景像に、反射部20で反射させて使用者の目EYEの方向に向けた画像光Imgによる画像を重ね合わせて使用者に視認させる。それと同時に、調光パネル10の第1の領域A1以外の領域である第2の領域A2を透過させた外界光Out2のみによって外景像を直接視認可能にした光学透過型(いわゆる、シースルー型)の眼鏡型表示装置である。
【0020】
(調光パネル10)
眼鏡型表示装置の前面に調光パネル10を位置させ、調光パネル10は、ゲストホスト液晶11の両面に透明電極又はマトリクス状に配置された電極12を形成した透過型液晶パネルで構成する。
【0021】
調光パネル10の液晶パネルは、ゲストホスト液晶11を用いることで、偏光板を用いずとも、電極12に5Vの電圧を印加することで、前面から入射する外界光Outの光透過率を50%から100%の間で調整する制御を行う。それにより、使用者の眼に入る外界光の光量を調節し、外界光を遮光することで、第1の領域A1の画像光Imgによる画像の視認のし易さを調整する。
【0022】
(画像光形成部30)
画像光形成部30は、液晶ディスプレイ等の画像の画像光Imgを出射する表示素子31を有する。表示素子31は、液晶パネルとバックライトで構成し、生成した画像の画像光Imgを反射部20に向けて出射する。
【0023】
(反射部20)
反射部20は、ハーフミラー21を含む。反射部20は、調光パネル10の第1の領域A1の位置で、使用者の目EYE側の位置に設置する。反射部20は、画像光形成部30が出射した画像光Imgをハーフミラー21で反射させて使用者の眼EYEに向けるとともに、調光パネル10を透過した第1の領域の外界光Out1を透過させて使用者の目EYEに導く。
【0024】
(調光パネルの領域の構成)
調光パネル10は、使用者の眼EYEの方に入射する外界光Outの透過率を調整する。調光パネル10は、図2(a)の平面図の様に、反射部20を設置する位置の、外界光Outを透過させて第1の領域の外界光Out1に変換して反射部20に導く第1の領域A1を有する。調光パネル10の第1の領域A1には偏光板13を設置する。また、調光パネル10は、それ以外の領域の第2の領域A2を持つ。
【0025】
(第1の領域A1)
調光パネル10は、外界光Outを、第1の領域A1では、偏光板13を介してゲストホスト液晶11を透過させて第1の領域の外界光Out1に変換する。その外界光Out1を、反射部20を透過させて使用者の眼EYEに導く。
【0026】
また、第1の領域A1の反射部20では、画像光形成部30の表示素子31が出射した
画像光Imgをハーフミラー21で反射させて使用者の眼EYEに向ける。そうすることで、反射部20では、第1の領域の外界光Out1による外景像に、画像光形成部30の表示素子31が形成した画像を重ね合わせて使用者の目EYEに観察させる。
【0027】
(第2の領域A2)
調光パネル10は、画像光Imgによる画像を観察させる第1の領域A1の周りに第2の領域A2を設ける。第2の領域A2では、外界光Outを偏光板13を介さずにゲストホスト液晶11を透過させて第2の領域の外界光Out2に変換する。第2の領域A2では、第2の領域の外界光Out2による外景像を使用者の目EYEに観察させる。
【0028】
(調光パネルの層構成)
液晶パネルは、図2(b)の断面図の様に、ゲストホスト液晶11を一対の透明基板14の間に充填して構成する。ゲストホスト液晶11は、液晶分子11aから成るホスト液晶に二色性色素分子11bを添加した液晶層を一対の透明基板14の間に設ける。その一対の透明基板14の内面に、互いに対向する電極12を設ける。そして、透明基板14の、ゲストホスト液晶11側の内面に、透明基板14からゲストホスト液晶11までに、順に、電極12と配向膜15の層を設ける。透明基板14の外側の面には偏光板13を設置する。
【0029】
配向膜15は、図2(a)のラビング方向にラビング布で擦ることで、配向膜15に溝を形成する。その溝に沿ってゲストホスト液晶11の液晶分子11aを配向させる。このゲストホスト液晶11は、電極間12に印加する電圧を制御することにより、前記液晶層の液晶分子11aおよび二色性色素分子11bの配向状態を変化させることで、外界光Outがゲストホスト液晶11を透過する第2の領域の外界光Out2の光量および偏光方向を変化させる。
【0030】
(第2の領域A2での外界光Outの透過)
ゲストホスト液晶11には、図2(b)の断面図のように、調光パネル10の両面の電極12間に電圧を加えない無電界状態において、液晶分子11aおよび二色性色素分子11bが透明基板14の基板面に対してほぼ垂直に立ち上がり配向するゲストホスト液晶11を用いる。その場合に、第2の領域A2では、外界光Outが二色性色素分子11bによる吸収をほとんど受けずに透過して第2の領域の外界光Out2に変換される。
【0031】
ゲストホスト液晶11の電極12間に5Vの電圧を加えた場合は、その電極12間に生じる電界によって、液晶分子11aおよび二色性色素分子11bが、基板面に対して倒伏した配向状態に配向する。その場合に、第2の領域A2では、外界光Outが二色性色素分子11bにより吸収されて50%に減光して暗くなった第2の領域の外界光Out2に変換される。
【0032】
(第1の領域A1での外界光Outの透過)
調光パネル10の第1の領域A1に設置した偏光板13の偏光方向は、図2(a)のPola1及びPola2の方向に向ける。
【0033】
偏光板13の偏光方向をその方向に向けることで、調光パネル10の両面の電極12間に電圧を加え無い場合にゲストホスト液晶11が第2の領域A2では、外界光Outをほとんど吸収せずに外界光Out2を透過する。その場合には、第1の領域A1では、偏光板13の偏光方向を図2(a)の様に向けることで、偏光板13が外界光Outを弱めた外界光Out1に変換する。
【0034】
調光パネル10の両面の電極12間に5Vの電圧をかけた場合に、ゲストホスト液晶1
1が第2の領域では、外界光Outを50%に吸収して減光させた外界光Out2を透過する。その場合には、ゲストホスト液晶11の偏光特性が、液晶分子11aが、基板面に対して倒伏して配向することで変化する。それにより、第1の領域A1では、偏光板13は外界光Outを弱めずに、第2の領域A2を透過する外界光Out2と同じくらいの明るさの外界光Out1に変換する。
【0035】
すなわち、第2の領域A2の外界光Out2が強い場合には、調光パネル10の両面に偏光板13を設けた第1の領域A1では、外界光Outを減光させた第1の領域A1の外界光Out1に変換する。それにより、ハーフミラー21で反射させた表示素子31が形成した画像光Imgによる画像を使用者の目EYEに鮮明に識別させる。
【0036】
図3は、第2の領域A2を透過した外界光Out2が強い場合の、第1の領域A1の外界光Out1の像と画像光Imgの像とを重ねた像の例と、外界光Out2の像の例を示す説明図である。
【0037】
(全領域の電圧をOFF)
調光パネル10の両面の電極12間に電圧を加え無い場合に、第2の領域A2を透過する外界光Out2が強く、第2の領域A2の外界光Out2によって、背景として外景像が透けて見える。
【0038】
その場合に、図2(b)に示す様に、両面に偏光板13を設けた第1の領域A1では、透過する外界光Out1が遮光される。そのため、第1の領域A1では、ハーフミラー21で表示素子31が形成した画像光Imgの反射光による画像には、外界光Out1によっては外景像が重ならず、表示素子31が形成した画像光Imgによる画像が鮮明に観察できる。
【0039】
(全領域の電圧をON)
一方で、調光パネル10の両面の電極12間に5Vの電圧を印加した場合場合に、第2の領域A2を透過する外界光Out2が50%に減光して暗くなる。その場合には、図2(b)に示す様に、第1の領域A1では、透過する外界光Out1が第2の領域A2の外界光Out2と同じくらいに暗い外界光Out1による外景像が観察される。第1の領域A1では、その暗い外景像を、ハーフミラー21で反射させた画像光Imgによる画像に重ねて使用者の目EYEで観察させる。
【0040】
その様に、電極12間に5Vの電圧をかけてゲストホスト液晶11の第2の領域の外界光Out2を50%に減光した場合には、第2の領域A2の背景の外景像と、第1の領域A1の背景の外景像を同じ暗さで観察させる。第1の領域A1では、その外景像に、表示素子31が形成した画像光Imgによる画像を重ねる。その場合には、第2の領域の外界光Out2も第1の領域の外界光Out1も弱いので、画像光Imgによる画像は外界光Out1による外景像に妨害されずに鮮明に識別できる。
【0041】
また、その場合に、第1の領域A1の外界光Out1と第2の領域A2の外界光Out2を同じくらいの光量にして、第1の領域A1と第2の領域A2の外景像に境い目を設けずに外景像を一体に表示することで、使用者の目EYEに外景像を視認し易くする。
【0042】
こうして、調光パネル10の両面の電極12間に5Vの電圧を印加して第2の領域A2を透過させる外界光Out2を弱くした場合には、外景像を視認し易くして、使用者が周囲の状況を確認し易くする。
【0043】
以上の様にして、電極12間に電圧を印加するか否かによって第2の領域A2の第2の
領域の外界光Out2の明るさを変える事に応じて、第1の領域の外界光Out1を加減して画像光Imgによって、使用者に、表示素子31が形成した画像を鮮明に識別させる事ができる効果がある。
【0044】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について図4を参照して説明する。
【0045】
第2の実施形態の眼鏡型表示装置100では、図4の様に、調光パネル10の第1の領域A1の透過率と、第2の領域A2の透過率とを互いに独立に制御するように構成する。すなわち、第1の領域の外界光Out1と第2の領域の外界光Out2を独立して減光する制御を行う。
【0046】
これにより、調光パネル10を透過した第1の領域の外界光Out1による外景像に重畳させる画像光Imgによる画像の視認のし易さと、第2の領域の外界光Out2による外景像の視認のし易さを独立して調整する。
【0047】
(調光パネル10)
図4の様に、調光パネル10の第1の領域A1には、ゲストホスト液晶11の外側の両面に、偏光方向を、図2(a)のPola1及びPola2の方向に向けた偏光板13を設置する。
【0048】
第2の実施形態では、特に、ゲストホスト液晶11の両面に電極12を形成するが、第1の領域A1と第2の領域A2とで電極12を分けて、第1の領域A1と第2の領域A2とで、電極12間に印加する電圧を異ならせる制御を行う。第1の領域A1と第2の領域A2とで異なる電極12間に異なる電圧を印加することで、前面から入射する外界光Outの光透過率を第1の領域A1と第2の領域A2とで異ならせる制御を行う。
【0049】
(全領域の電圧をOFF)
図4(a)の動作モードでは、第1の領域A1と第2の領域A2ともに、電極12間に電圧を印加しない。それにより、第2の領域A2では、外界光Outが二色性色素分子11bによる吸収をほとんど受けずに透過して第2の領域の外界光Out2に変換される。
【0050】
一方、第1の領域A1では、偏光板13が、透過する外界光Outを弱め、外界光Outをほとんど遮断して第1の領域の外界光Out1に変換した外景像に、ハーフミラー21で表示素子31が形成した画像光Imgの反射光による画像を重ねる。そのため、第1の領域A1では外界光Out1による外景像は透けて見えず、表示素子31が形成した画像光Imgによる画像が鮮明に観察できる。
【0051】
(第2の領域A2のみ電圧ON)
図4(a)の動作モードでは、第1の領域A1では電極12間に電圧を印加せず、第2の領域A2では、電極12間に電圧を印加する。それにより、第2の領域A2では、第2の領域の外界光Out2を50%に減光する。そのため、第2の領域A2で観察される外景が暗くなる。
【0052】
一方、第1の領域A1では、偏光板13が、透過する外界光Outを弱め、外界光Outをほとんど遮断して第1の領域の外界光Out1に変換した外景像に、ハーフミラー21で表示素子31が形成した画像光Imgの反射光による画像を重ねる。そのため、第1の領域A1では外界光Out1による外景像は透けて見えず、第2の領域の外景像も暗いので、表示素子31が形成した画像光Imgによる画像がより一層鮮明に観察できる。
【0053】
(第1の領域A1のみ電圧ON)
図4(a)の動作モードでは、第1の領域A1では電極12間に電圧を印加し、第2の領域A2では、電極12間に電圧を印加しない。それにより、第2の領域A2では、外界光Outが二色性色素分子11bによる吸収をほとんど受けずに透過して第2の領域の外界光Out2に変換される。
【0054】
一方、第1の領域A1では、電極12間に電圧を印加することで、外界光Outが調光パネル10を偏光板13を介して透過する第1の領域の外界光Out1の光量が増える。それにより、第2の領域の外界光Out2とともに第1の領域の外界光Out1の光量を増して外景像を明るくして見やすくする。
【0055】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態として、図5の様に、第1の領域A1において、偏光板12を設置した領域の端の透明基板14の電極12の上にブラックマトリクス16を形成する。ブラックマトリクス16を透明基板14の電極12上に形成することにより、偏光板寸法精度や貼り付け精度等による表示への影響をなくし、良好な表示が可能となる。
【0056】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態として、図6の眼鏡型表示装置の光学系の構成を示す模式図の様に、画像光形成部30に投写光学系32を設けることで、第1の領域A1にビューファインダを構成する。
【0057】
(画像光形成部30)
画像光形成部30は、液晶ディスプレイ等の画像光Imgを形成する表示素子31と、投写光学系32とを有する。表示素子31は、液晶パネルとバックライトで構成し、生成した画像光Imgの光を投写光学系32に向けて射出する。
【0058】
投写光学系32は、投写レンズ群から構成され、表示素子31から射出された画像光Imgの光を、平行状態の光束にして、使用者の目EYEが視認する像に変換し、反射部20に向けて出射する。
【0059】
(反射部20)
反射部20は、画像光形成部30が出射した画像光Imgをハーフミラー21で反射させて使用者の眼EYEに向けるとともに、調光パネル10を透過した第1の領域の外界光Out1を透過させて使用者の目EYEに導く。
【0060】
投写光学系32は、反射部20のハーフミラー21で反射させた画像光Imgを、投写レンズで、使用者の目EYEが視認する像に変換する。使用者は、ハーフミラー21後の投写レンズをビューファインダとして、投写レンズを目EYEで覗くことによって、画像を観察する。
【0061】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、調光パネル10に用いるゲストホスト液晶11には、調光パネル10の両面の電極12間に電圧を加えない無電界状態において、液晶分子11aおよび二色性色素分子11bが透明基板14の基板面に対して倒伏した配向状態に配向するゲストホスト液晶11を用いることができる。
【0062】
その場合は、第2の領域A2では、外界光Outが二色性色素分子11bにより吸収されて50%に減光して暗くなった第2の領域の外界光Out2に変換され、第1の領域A1では、偏光板13は外界光Outを弱めずに、第2の領域A2を透過する外界光Out2と同じくらいの明るさの外界光Out1に変換する。
【0063】
一方で、ゲストホスト液晶11の電極12間に5Vの電圧を加えた場合は、その電極12間に生じる電界によって、液晶分子11aおよび二色性色素分子11bが、基板面に対してほぼ垂直に立ち上がり配向する。
【0064】
その場合は、第2の領域A2では、外界光Outが二色性色素分子11bによる吸収をほとんど受けずに透過して第2の領域の外界光Out2に変換され、第1の領域A1では、外界光Outを偏光板13によって減光させた第1の領域A1の外界光Out1に変換する。
【符号の説明】
【0065】
10・・・調光パネル
11・・・ゲストホスト液晶
12・・・電極
13・・・偏光板
14・・・透明基板
15・・・配向膜
16・・・ブラックマトリクス
20・・・反射部
21・・・ハーフミラー
30・・・画像光形成部
31・・・表示素子
32・・・投写光学系
A1・・・第1の領域、
A2・・・第2の領域、
EYE・・・目
Img・・・画像光(画像)
Out・・・外界光
Out1・・・第1の領域の外界光(外景像)
Out2・・・第2の領域の外界光(外景像)
Pola1、Pola2・・・偏光板の偏光方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6