(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110344
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】消毒・除菌液
(51)【国際特許分類】
A01N 33/12 20060101AFI20220722BHJP
A01N 65/06 20090101ALI20220722BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20220722BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20220722BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220722BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20220722BHJP
A23L 3/3454 20060101ALI20220722BHJP
A23L 3/3472 20060101ALI20220722BHJP
A23L 3/3526 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01N65/06
A01N65/00 F
A01N25/02
A01P3/00
A01P1/00
A23L3/3454
A23L3/3472
A23L3/3526
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005678
(22)【出願日】2021-01-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 一般社団法人CV研究センターが、株式会社Sothisに、多田駿が発明した消毒・除菌液(商品名:コロナキラーTD2(500ml))を販売
(71)【出願人】
【識別番号】521026138
【氏名又は名称】一般社団法人CV研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】多田 駿
【テーマコード(参考)】
4B021
4H011
【Fターム(参考)】
4B021LA41
4B021MC01
4B021MK05
4B021MK22
4B021MP03
4H011AA01
4H011AA02
4H011BA06
4H011BB04
4H011BB22
4H011DF04
(57)【要約】
【課題】食品などに接触する環境でも好適に使用できる非アルコール系消毒・除菌液を提供する。
【解決手段】水100質量部と、0.05~0.2質量部の第四級アンモニウム塩と、0.01~0.2質量部のヒノキ油と、を含有し、全量に対してアルコールの含有量が1質量%以下である消毒・除菌液。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水100質量部と、
0.05~0.2質量部の第四級アンモニウム塩と、
0.01~0.2質量部のヒノキ油と、を含有し、
全量に対してアルコールの含有量が1質量%以下である消毒・除菌液。
【請求項2】
前記第四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウムである請求項1に記載の消毒・除菌液。
【請求項3】
前記ヒノキ油の40~80質量%が、γ-テルピネン、p-シメン、テルピネン-4-オール、ツヨプセン、エレモール、α-ピネン、カンフェン、リモネン、δ-カジネン、サビネン、ミルセン、酢酸ボルニル、α-テルピネオール、テルピノレン、α-クベベンおよびテルピニルアセテートからなる群から選択される請求項1または請求項2に記載の消毒・除菌液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などに接触する環境でも好適に使用できる非アルコール系消毒・除菌液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的な感染症の広がりが生じ、新型コロナウイルスなどのウイルスや菌などに対して効果的な消毒・除菌液の開発が期待されている。ここで、高濃度のアルコール液は、良好な消毒・除菌作用を示し、アルコールと殺菌作用を有する塩化物を含有する除菌剤も提案されている(特許文献1等参照)。しかし、感染症の拡大期にはアルコールの需要がひっ迫する問題があり、また、アルコール過敏症の方は直接肌に接触する形で使用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の発明者は、新型コロナウイルスに対して有効である塩化ベンゼトニウム等の第四級アンモニウム塩を含有する非アルコール系消毒・除菌液の開発に着手した。その開発過程において、発明者は、塩化ベンゼトニウム水溶液などの消毒作用のある水溶液では、生鮮食品などの表面に付着した際、食品の腐敗を促進する場合があることを発見した。そこで、本発明の発明者は、上述のような問題点を解決すべく鋭意研究を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、食品などに接触する環境でも好適に使用できる非アルコール系消毒・除菌液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る消毒・除菌液は、
水100質量部と、
0.05~0.2質量部の第四級アンモニウム塩と、
0.01~0.2質量部のヒノキ油と、を含有し、
全量に対してアルコールの含有量が1質量%以下である。
【0007】
本発明に係る非アルコール系消毒・除菌液は、水100質量部に対して0.05~0.2質量部の第四級アンモニウム塩を含有するため、好適な消毒・除菌作用を奏する。また、非アルコール系であるため、アルコール過敏症の方でも、肌への付着を気にせず使用することができる。また、水100質量部に対して0.01~0.2質量部のヒノキ油を含むことにより、生鮮食品などの表面に付着した際における食品の腐敗を防止できる。
【0008】
また、たとえば、前記第四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウムであってもよい。
【0009】
第四級アンモニウム塩を含む消毒・除菌液のうち、塩化ベンゼトニウムおよび塩化ベンザルコニウムなどの水溶液は、新型コロナウイルスに対する消毒効果が認められている。第四級アンモニウム塩のなかでも、塩化ベンゼトニウムとヒノキ油の組み合わせが、食品の腐敗防止効果が優れている。
【0010】
また、たとえば、本発明に係る非アルコール系消毒・除菌液において、前記ヒノキ油の40~80質量%が、γ-テルピネン、p-シメン、テルピネン-4-オール、ツヨプセン、エレモール、α-ピネン、カンフェン、リモネン、δ-カジネン、サビネン、ミルセン、酢酸ボルニル、α-テルピネオール、テルピノレン、α-クベベンおよびテルピニルアセテートからなる群から選択されるものであってもよい。
【0011】
このようなヒノキ油は、非アルコール系消毒・除菌液において、優れた食品の腐敗防止効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る消毒・除菌液の製造方法の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態に係る消毒・除菌液は、水100質量部に対して、0.05~0.2質量部の第四級アンモニウム塩、0.01~0.2質量部のヒノキ油、を含有する。
【0014】
消毒・除菌液に含まれる第四級アンモニウム塩としては、塩化ベンゼトニウムや塩化ベンザルコニウムなどが挙げられるが、塩化ベンゼトニウムであることが、ヒノキ油との組み合わせによる食品の腐敗防止効果が顕著であり、好適である。なお、塩化ベンゼトニウムや塩化ベンザルコニウムの水溶液は、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する消毒効果が認められる。
【0015】
ヒノキ油としては、天然のヒノキの葉や幹などから抽出したものを用いることができるが、たとえば高知県産や大分県産などの国産(日本産)のヒノキの葉から抽出したヒノキ油が、好適なものとして例示される。
【0016】
ヒノキ油の成分は、ヒノキ油が天然抽出物であるため、たとえ産地を特定したとしても、季節などにより変動する場合がある。たとえば、ヒノキ油の40~80質量%が、γ-テルピネン、p-シメン、テルピネン-4-オール、ツヨプセン、エレモール、α-ピネン、カンフェン、リモネン、δ-カジネン、サビネン、ミルセン、酢酸ボルニル、α-テルピネオール、テルピノレン、α-クベベンおよびテルピニルアセテートからなる群から選択されることが好ましい。ただし、列挙した成分のうち、全く含有しない成分があってもよい。
【0017】
実施形態に係る消毒・除菌液は、水、第四級アンモニウム塩およびヒノキ油以外の成分を有していてもよいが、全量に対してアルコールの含有量は、1質量%以下である。また、消毒・除菌液の全量に対して、水、第四級アンモニウム塩およびヒノキ油以外の成分は、10質量%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る消毒・除菌液の製造方法の一例を示す概念図である。
図1に示すように、実施形態に係る消毒・除菌液は、所定量の水に対して、第四級アンモニウム塩(塩化ベンゼトニウム)、ヒノキ油を投入して攪拌することにより、製造することができる。製造に用いる水としては、不純物を除去した精製水を用いることが好ましく、純水を用いることがより好ましい。
【0019】
実施形態に係る消毒・除菌液は、たとえば、スプレーボトルなどに充填された形態で提供され、消毒・除菌したい対象に対して、霧状に散布することなどにより、使用される。
【0020】
実施例
以下に、実施例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0021】
実施例1として、水100質量部に対して、0.06質量部の塩化ベンゼトニウムと0.02質量部のヒノキ油を投入し、消毒・除菌液を製造した。これを、生イワシに散布し、27~28度、湿度40~60%の環境に9日間放置し、変化を観察した。
【0022】
実施例2~実施例4として、水100質量部に対するヒノキ油の量を、0.04質量部、0.06質量部および0.1質量部に変化させ、消毒・除菌液を製造した。実施例2~実施例4の消毒・除菌液は、ヒノキ油の量の含有量が異なることを除き、実施例1と同様である。
【0023】
比較例1では、除菌・消毒液ではなく水を生イワシに散布し、実施例1~実施例4と同様に放置し、変化を観察した。比較例2では、水100質量部に対して、0.06質量部の塩化ベンゼトニウムを投入して、消毒・除菌液を製造した。比較例2の消毒・除菌液は、ヒノキ油を含有しない。比較例2の消毒・除菌液についても、他の実施例・比較例と同様に生イワシに散布し、27~28度、湿度40~60%の環境に9日間放置し、変化を観察した。
【0024】
表1は、比較例と実施例の消毒・除菌液の成分と、生イワシを用いた食品劣化試験(9日間放置)の結果をまとめたものである。
【0025】
【0026】
表1に示すように、実施例1~実施例4については、生イワシの表面には目立った色の変化などは発生せず(食品劣化試験〇)、目立った乾燥や腐敗はみられなかった。これに対して、水を散布した比較例1では、生イワシの表面に目立った乾燥が見られ、かなり干乾びた状態であることが観察された。また、水と塩化ベンゼトニウムのみの比較例2では、生イワシの表面に茶色い変色が顕著にみられ、腐敗が進行していることが観察された。このように、比較例1と比較例2では、放置後の生イワシの表面に目立った劣化がみられた(食品劣化試験×)。
【0027】
このように、水と塩化ベンゼトニウムとヒノキ油とを含む非アルコール系の消毒・除菌液である実施例1~実施例4について、ヒノキ油を含まない比較例1や比較例2に対して、食品の腐敗を防止する効果が認められた。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水100質量部と、
0.05~0.2質量部の第四級アンモニウム塩と、
0.01~0.2質量部のヒノキ油と、を含有し、
全量に対してアルコールの含有量が1質量%以下であり、
前記ヒノキ油はヒノキから抽出したものであり、
前記第四級アンモニウム塩は、塩化ベンゼトニウムである消毒・除菌液。
【請求項2】
前記ヒノキ油の40~80質量%が、γ-テルピネン、p-シメン、テルピネン-4-オール、ツヨプセン、エレモール、α-ピネン、カンフェン、リモネン、δ-カジネン、サビネン、ミルセン、酢酸ボルニル、α-テルピネオール、テルピノレン、α-クベベンおよびテルピニルアセテートからなる群から選択される請求項1に記載の消毒・除菌液。