(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110346
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】回転テーブル装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/00 20060101AFI20220722BHJP
B23Q 1/52 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B23Q1/00 E
B23Q1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005681
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 義夫
【テーマコード(参考)】
3C048
【Fターム(参考)】
3C048AA07
3C048BC03
3C048CC01
3C048CC04
3C048DD12
(57)【要約】
【課題】回転制御性能や回転位置決め精度の低下を抑制する。
【解決手段】回転テーブル装置は、回転テーブルと、回転可能に支持する筐体と、筐体に固定されたハウジングと、回転軸に対応する位置に回転テーブルに向けて立設されたセンターシャフトと、センターシャフトを囲む位置に、センターシャフトから離間して設けられたハウジングと、センターシャフトとハウジングの間配置されたセンタースリーブと、センターシャフト及び回転テーブルに配置された回転エンコーダと、内周面と外周面の少なくとも一方に形成された複数の凹部と、内周面と外周面とに挟持される位置に配置された複数のOリングと、ハウジングの内部に形成され、複数の凹部のそれぞれに連通するハウジング内流体流路と、センタースリーブの内部に形成され、複数の凹部のそれぞれに連通し、回転テーブルに設けられた流体の流路に流体を供給する複数のスリーブ内流体流路と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブル装置であって、
回転テーブルと、
前記回転テーブルを回転軸の周りに回転可能に支持する筐体と、
前記筐体に固定されたハウジングと、
前記回転軸に対応する前記筐体の位置に前記回転テーブルに向けて立設されたセンターシャフトと、
前記センターシャフトを囲む位置に、前記センターシャフトから離間して設けられ、前記回転軸に沿った予め定められた範囲に亘って断面円形の内周面を有するハウジングと、
前記センターシャフトの外側、かつ、前記ハウジングの内側に配置され、前記回転テーブルに固定されたセンタースリーブであって、前記内周面に対応した断面円形の外周面を有し、前記外周面が前記内周面と同心で回転するセンタースリーブと、
前記センターシャフト及び前記回転テーブルに配置され、前記回転テーブルの回転角を検出する回転エンコーダと、
前記内周面と前記外周面の少なくとも一方に形成され、流体の流路を形成する複数の凹部と、
前記内周面と前記外周面とに挟持される位置に配置され、複数の前記凹部からの流体の漏れを抑制する複数のOリングと、
前記ハウジングの内部に形成され、複数の前記凹部のそれぞれに連通するハウジング内流体流路と、
前記センタースリーブの内部に形成され、複数の前記凹部のそれぞれに連通し、前記回転テーブルに設けられた流体の流路に流体を供給する複数のスリーブ内流体流路と、
を備える、回転テーブル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転テーブル装置であって、
複数の前記凹部は、環状の溝形状を有する、回転テーブル装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の回転テーブル装置であって、
複数の前記凹部は、前記ハウジングの前記内周面に形成されている、回転テーブル装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転テーブル装置であって、
前記センターシャフトと前記センタースリーブとの間に回転支持部を備える、回転テーブル装置。
【請求項5】
請求項4に記載の回転テーブル装置であって、
前記回転支持部は、ベアリング装置またはドライブッシュで構成されている、回転テーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディストリビュータを有し、ワークやワークを加工する装置を固定する回転テーブルに、ディストリビュータを用いて空気や油などの流体を分配して供給する回転テーブル装置が知られている(例えば特許文献1)。ディストリビュータは、固定されたセンタースリーブと、センタースリーブに対して回転するセンターシャフトと、センタースリーブの内周に軸方向に複数設けられた環状の凹部と、凹部に外径側で半径方向に連通する第1パス穴と、凹部に内径側で半径方向に連通する第2パス穴とを有している。回転テーブル装置は、センタースリーブに設けられた流体流路から第1パス穴を経由して凹部へ流入し、第2パス穴を経由してセンターシャフト内に形成された流体流路に流体を供給している。センターシャフトは、テーブルに接続されており、センターシャフトの流体流路に供給された流体は、テーブルに送られ、チャック装置などテーブル上の装置を駆動するために用いられる。流体には、オイル、クーラント等の液体、エアーなどの気体がある。センタースリーブと、センターシャフトの境界面において、複数の凹部間の流体の漏れを抑制するため、軸方向において凹部の両側にOリングが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ディストリビュータによる空気や油の分配数が増加すると、凹部の数が増加し、Oリングの数も増加する。Oリングの数が増えると、センターシャフトの回転の際にOリングによる摺動抵抗が増加する。センターシャフトが回転すると、この摺動抵抗により、センタースリーブが捻れる。特許文献1に記載されていないが、軸方向において一端側にセンタースリーブとセンターシャフト間に回転テーブルの回転を検出するエンコーダが設けられている場合、センタースリーブの捻れにより、エンコーダの回転不検出帯が発生し、回転テーブルのロストモーションとなる。その結果、回転制御性能や回転位置決め精度の低下が想定される。したがって、Oリングの摺動抵抗に起因する回転制御性能や回転位置決め精度の低下を抑制する構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、回転テーブル装置が提供される。この回転テーブル装置は、回転テーブルと、前記回転テーブルを回転軸周りに回転可能に支持する筐体と、前記筐体に固定されたハウジングと、前記回転テーブルの回転中心に対応する前記筐体の位置に前記回転テーブルに向けて立設されたセンターシャフトと、前記センターシャフトを囲む位置に、前記センターシャフトから離間して設けられ、前記回転軸に沿った予め定められた範囲に亘って断面円形の内周面を有するハウジングと、前記センターシャフトの外側、かつ、前記ハウジングの内側に配置され、前記回転テーブルに固定されたセンタースリーブであって、前記内周面に対応した断面円形の外周面を有し、前記外周面が前記内周面と同心で回転するセンタースリーブと、前記センターシャフト及び前記回転テーブルに配置され、前記回転テーブルの回転角を検出する回転エンコーダと、前記内周面と前記外周面の少なくとも一方に形成され、流体の流路を形成する複数の凹部と、前記内周面と前記外周面とに挟持される位置に配置され、複数の前記凹部からの流体の漏れを抑制する複数のOリングと、前記ハウジングの内部に形成され、複数の前記凹部のそれぞれに連通するハウジング内流体流路と、前記センタースリーブの内部に形成され、複数の前記凹部のそれぞれに連通し、前記回転テーブルに設けられた流体の流路に流体を供給する複数のスリーブ内流体流路と、を備える。この形態の回転テーブル装置によれば、回転テーブルとセンタースリーブがハウジングに対して回転して、センタースリーブとハウジングとの間のOリングの摺動抵抗が生じても、Oリングは、センタースリーブとセンターシャフトのとの間には存在しないので、センターシャフトは、Oリングの摺動抵抗の影響を受けない。その結果、センターシャフトに設けられた回転エンコーダの回転不検出帯が発生せず、回転テーブルのロストモーションも発生しない。その結果、Oリングの摺動抵抗に起因する回転制御性能や回転位置決め精度の低下を抑制できる。
(2)上記形態の回転テーブル装置において、複数の前記凹部は、環状の溝形状を有してもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、凹部が環状の溝形状であるので、センタースリーブの回転位置によらずハウジングからセンタースリーブに流体を安定して供給できる。
(3)上記形態の回転テーブル装置において、複数の前記凹部は、前記ハウジングの前記内周面に形成されていてもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、センタースリーブに凹部が形成されないので、センタースリーブの厚さを薄くできる。
(4)上記形態の回転テーブル装置において、前記センターシャフトと前記センタースリーブとの間に回転支持部を備えてもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、センターシャフトとセンタースリーブの間の間隔を一定に保持し、センタースリーブの芯ブレを抑制できる。
(5)上記形態の回転テーブル装置において、前記回転支持部は、ローラーベアリング装置またはドライブッシュで構成されていてもよい。この形態の回転テーブル装置によれば、センターシャフトとセンタースリーブの間の摩擦を低減できる。
(6)本開示は、回転テーブル装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、加工装置、マシニングセンタ等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】回転テーブル装置を備える5軸マシニングセンタの説明図である。
【
図2】回転テーブル装置の構成を示す説明図である。
【
図3】
図2の領域IIIを拡大して示す説明図である。
【
図4】第2実施形態の回転テーブル装置の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
・第1実施形態:
図1は、回転テーブル装置30を備える5軸マシニングセンタ10の説明図である。5軸マシニングセンタ10は、ベッド20と、回転テーブル装置30と、チャック装置を内蔵したターニングスピンドル70と、コラム80と、サドル90と、を備える。5軸マシニングセンタ10は、横型であり、鉛直方向をy軸方向とし、y軸方向と交わる水平方向をx軸方向、z軸方向と呼ぶ。
【0009】
ベッド20は、z軸に沿って伸びる一対のレール21と、レール21の-z方向にワーク台25と、を備える。ワーク台25には、x軸に沿って伸びる一対のレール26が配置されている。レール26の上には、回転テーブル装置30が配置されている。回転テーブル装置30は、図示しないサーボモータにより、レール26上をx軸に沿って移動可能である。
【0010】
回転テーブル装置30は、回転テーブル31を有し、回転テーブル31は、B軸の周りに回転可能である。回転テーブル31の上には、チャック装置を内蔵したターニングスピンドル70が配置されている。ターニングスピンドル70は、ターニング主軸とも呼ぶ。ターニングスピンドル70は、ワーク100を把持するとともに、図示しないモータによりワーク100をA軸の周りに回転させることができる。このワーク100の把持に用いられる力は、回転テーブル装置30を介して供給される油圧により与えられる。この供給ルートについては、後述する。
【0011】
レール21の上には、コラム80が配置されており、コラム80は、図示しないサーボモータにより、レール21上をz軸に沿って移動可能である。コラム80には、y軸に沿って伸びる一対のレール81が配置されている。レール81の上には、サドル90が配置されている。サドル90は、サーボモータ82により、レール81上をy軸に沿って移動可能である。サドル90には、スピンドル91が設けられ、スピンドル91には、ワークを加工するための工具が取り付けられる。スピンドル91は、主軸とも呼ぶ。図示しないモータがスピンドル91を回転させることで、工具が回転し、工具がワーク100を加工する。工具としてスカイビング工具を用い、工具の回転とワーク100の回転を連動させ、ワーク100に対して工具を軸方向に移動させれば、ワーク100の歯面のスカイビング加工を行うことが出来る。後述する回転テーブル装置30を用いれば、歯面の加工精度が向上する。
【0012】
図2は、回転テーブル装置30の構成を示す説明図である。回転テーブル装置30は、回転する回転系部品と、回転しない固定系部品と、を備える。回転テーブル装置30は、回転系部品として、回転テーブル31(
図1参照。
図2では図示せず。)と、センタースリーブ40と、第1ロータ51と、第2ロータ52と、ビルトインモータのロータ磁石54と、転がり軸受の内輪55と、センタースリーブ40及び第2連結部57を連結する第1連結部56と、第2連結部57と、エンコーダの内側のロータ部63aと、を備える。また、回転テーブル装置30は、固定系部品として、筐体60と、センターシャフト61と、センターシャフト61及びケーシング63bを連結するエンコーダ載置部62と、エンコーダの外径側のケーシング63bと、ハウジング64と、ハウジング支持部65と、ビルトインモータのステータコイル66と、転がり軸受の外輪67と、を備える。
【0013】
筐体60は、回転テーブル装置30の底面を構成する円板部60bと、円板部60bの外周から立ち上がる円筒形の円筒部60aと、を備える。ここで、円板部60b側を「下」、円筒部60aが立ち上がる方向を「上」と呼ぶ。円板部60bの中心には、開口60cが形成されている。この開口60cには、エンコーダの外径側のケーシング63bからの出力を外部の制御装置(図示せず)に送るためのケーブルやその他の信号線(図示せず)が通っている。筐体60の中心であるB軸OBは、開口60cの中心を通っている。B軸OBは、回転テーブル31の回転軸である。円板部60bには、B軸OBを中心軸とした円筒形を有するセンターシャフト61が立設されている。センターシャフト61の下端には、フランジ形状をした固定部61aが形成され、固定部61aは、図示しないネジにより筐体60の円板部60bに固定されている。
図2では、各部材を固定するネジについては、図示しない。センターシャフト61の円板部60bと反対側(
図2では上側)には、エンコーダ載置部62がネジによりセンターシャフト61に固定されている。エンコーダ載置部62は、円筒形をしており、センターシャフト61と反対側にフランジ62aを有する。フランジ62aのセンターシャフト61と反対側は、中央部62bが凹んでおり、この凹んだ中央部62bには、エンコーダの外径側のケーシング63bがネジにより固定されている。エンコーダの外径側のケーシング63bは、円筒形を有しており、回転テーブル31と共に回転するロータ部63aとともに、回転テーブル31の回転角を検出する回転エンコーダ63を構成する。本実施形態では、ロータリーエンコーダとしては、磁気式、あるいは光学式のロータリーエンコーダが採用可能である。
【0014】
センターシャフト61の外側には、わずかな隙間を空けて回転系部材であるセンタースリーブ40が配置されている。センタースリーブ40は、B軸OBを同心とした円筒形を有している。センタースリーブ40の筐体60と反対側には、フランジ40aが形成されている。フランジ40aの外周には、B軸OBを同心とした円筒形の第1ロータ51が配置されている。第1ロータ51の外周側には、B軸OBを同心とした円筒形の第2ロータ52が配置されている。第2ロータ52の筐体60側には、ロータ磁石54が配置されている。ロータ磁石54は、固定系部品のステータコイル66とともに、ダイレクトドライブモータであるビルトインモータを構成している。第2ロータ52の外周には、転がり軸受の内輪55が配置されている。転がり軸受の内輪55は、固定系部品の転がり軸受の外輪67とともに、上下方向に支持し、径方向に支持する3ウェイ型の軸受を構成しているフランジ40aの筐体60と反対側には、第1連結部56がネジにより、固定されている。第1連結部56は、B軸OBを同心とした円筒形部56aと、円筒形部56aの回転テーブル31側(
図2の上側)の中央部に、穴56cが空けられた穴あき円板部56bを有している。穴56cには、第2連結部57が嵌め込まれ固定されている。
【0015】
センタースリーブ40は、断面円形の外周面を有し、外周面の外側には、わずかな隙間を空けてハウジング64が配置され、ネジにより、筐体60に固定されている。すなわち、センタースリーブ40とハウジング64とは、離間して配置されている。ハウジング64は、B軸OBを同心とした円筒形を有している。ハウジング64の外周側には、ハウジング支持部65が配置され、ネジにより、筐体60に固定されている。ハウジング支持部65は、外周側からハウジング64を支持している。
【0016】
筐体60の円筒形の円筒部60aの内側には、ステータコイル66が配置されている。このステータコイル66は、上述したように、ロータ磁石54とともに、ダイレクトドライブモータを構成している。
【0017】
ハウジング64は、B軸OBに沿った予め定められた範囲に亘って、断面円形の内周面を有し、内周面には、環状の溝形状を有する凹部64aが複数個形成されている。ハウジング64の内周面とセンタースリーブ40の外周面の間には、凹部64aのB軸OBに沿った方向の上下に、Oリング68が配置されている。Oリング68は、ハウジング64の内周面とセンタースリーブ40の外周面の間に挟持されており、凹部64aに供給される流体の漏れを抑制する。Oリング68は、センタースリーブ40が回転すると、摺動抵抗を生じさせるため、数が少ない方が好ましい。ここで、隣接する2つの凹部64aの間のOリング68は共用できるため、凹部64aの数をn個とすると、Oリング68は、n+1個あればよい。ハウジング64の中には、複数の凹部64aとそれぞれ連通する複数のハウジング内流体流路64bが形成されている。流体流路64bは、凹部64aに連通する径方向のバス穴と、軸方向に伸びる通路から構成されている。
【0018】
筐体60の円筒形の円筒部60a及び円板部60bには、複数の筐体内流体流路60dが形成されており、ハウジング64の複数のハウジング内流体流路64bとそれぞれ接続されている。円筒部60a及び円板部60bには、複数の筐体内流体流路60dにそれぞれ接続される流体供給管69が接続されている。
【0019】
センタースリーブ40の内部には、複数の凹部64aとそれぞれ接続される複数のスリーブ内流体流路40cが形成されている。流体流路40cは、凹部64aに連通する径方向のパス穴と、軸方向に伸びる通路から構成されている。このスリーブ内流体流路40cは、第1ロータ51の内部に形成された複数のロータ内流体流路51aを介して回転テーブル31の図示しない流体流路に接続されている。回転テーブル31の流体流路は、図示しないチューブを介して、チャック装置を内蔵したターニングスピンドル70に接続されている。ハウジング64とセンタースリーブ40とは、流体を分配する、いわゆるディストリビュータを構成している。凹部64aの数がこのディストリビュータの分配数となっている。
【0020】
図3は、
図2の領域IIIを拡大して示す説明図である。流体は、矢印で示すように、ハウジング64に形成された流体流路64bから供給され、凹部64aと、センタースリーブ40と、2つのOリングに囲まれた空間に供給され、さらに、センタースリーブ40に形成された流体流路40cに供給される。Oリング68は、上下方向への流体の漏れを抑制する。
【0021】
本実施形態では、軸方向において一端でエンコーダ63が連結されるセンターシャフト61とセンタースリーブ40の間には、Oリングが存在せず、Oリングは、センタースリーブ40とハウジング64との間に配置されている。そのため、センタースリーブ40が回転する際に、センタースリーブ40と、ハウジング64の間のOリング68に摺動抵抗が生じても、センターシャフト61には、摺動抵抗が作用しないため、センターシャフト61は捻れない。その結果、エンコーダ63の回転不検出帯も発生せず、回転テーブル31のロストモーションも発生しない。
【0022】
上記実施形態において、凹部64aをハウジング64に形成したが、センタースリーブ40に凹部を形成してもよく、凹部をハウジング64とセンタースリーブ40の両方の設けてもよい。すなわち、凹部は、ハウジング64とセンタースリーブ40の少なくとも一方に形成してもよい。凹部64aをハウジング64に形成すると、センタースリーブ40の厚さを薄くできる。
【0023】
凹部64aの形状を環状の溝形状とすれば、センタースリーブ40の回転位置によらずハウジング64からセンタースリーブ40に流体を安定して供給できる。
【0024】
・第2実施形態:
図4は、第2実施形態の回転テーブル装置を示す説明図である。上記第1実施形態において、センタースリーブ40と、センターシャフト61との間には、わずかな隙間があるが、第2実施形態では、この隙間に、回転支持部42を配置している。センターシャフト61とセンタースリーブ40の間の間隔を一定に保持し、センタースリーブ40の芯ブレを抑制できる。この回転支持部42として、例えば、ローラーベアリングのようなベアリング装置、あるいは、ドライブッシュが利用可能である。
【0025】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
10…5軸マシニングセンタ、20…ベッド、21…レール、25…ワーク台、26…レール、30…回転テーブル装置、31…回転テーブル、40…センタースリーブ、40a…フランジ、40c…スリーブ内流体流路、42…回転支持部、51…第1ロータ、51a…ロータ内流体流路、52…第2ロータ、54…ロータ磁石、55…軸受内輪、56…第1連結部、56a…円筒形部、56b…円板部、56c…穴、57…第2連結部、60…筐体、60a…円筒部、60b…円板部、60c…開口、60d…筐体内流体流路、61…センターシャフト、61a…固定部、62…エンコーダ載置部、62a…フランジ、62b…中央部、63…エンコーダ、64…ハウジング、64a…凹部、64b…ハウジング内流体流路、65…ハウジング支持部、66…ステータコイル、67…軸受外輪、68…Oリング、69…流体供給管、70…チャック装置を内蔵したターニングスピンドル装置、80…コラム、81…レール、90…サドル、91…スピンドル、100…ワーク