(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110368
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】バンドストッパー
(51)【国際特許分類】
B65D 63/14 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B65D63/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005729
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】390027915
【氏名又は名称】ナックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】村井 勇輝
【テーマコード(参考)】
3E085
【Fターム(参考)】
3E085BA21
3E085BB05
3E085BC09
3E085BD08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バンドストッパーとしての機能の他に、ストッパーとしての役目を終えた後も、樹脂袋等の口部を封止するクリップとして利用できるバンドストッパーを提供する。
【解決手段】合成樹脂材からなり、内側にバンド挿通穴1を有する略四角形の環状体で形成された枠体2と、枠体2の一側に連結部3を介して枠体2の上面に折り返しできるように連結された棒杆4とからなるバンドストッパーであって、棒杆4の先端に爪片5が形成され、棒杆4が枠体2の上面に折り返されたときに前記爪片5が弾力的に係合する係合部6が枠体2に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材からなり、内側にバンド挿通穴を有する略四角形の環状体で形成された枠体と、この枠体の一側に連結部を介して枠体上面に折り返しできるように連結された棒杆とからなるバンドストッパーであって、前記棒杆の先端に爪片が形成され、前記棒杆が前記枠体の上面に折り返されたときに前記爪片が弾力的に係合する係合部が前記枠体に形成されているバンドストッパー。
【請求項2】
前記棒杆が2本であって所定の間隔をあけて平行に形成されている請求項1に記載のバンドストッパー。
【請求項3】
前記棒杆の爪片が係合する係合部は、前記枠体の前記連結部を設けた側部とは反対側の側部に連なって形成された傾斜片に設けられている請求項1または請求項2に記載のバンドストッパー。
【請求項4】
前記棒杆の上下面並びに当該棒杆に平行な枠体の辺の上下面に滑り止め用の突起が設けられている請求項1~3の何れかに記載のバンドストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱等の物品収納箱の周囲を締め付けて梱包するバンドのストッパー(留め具)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品梱包箱を締結するバンドのストッパーとして、例えば特許文献1で開示されているものが広く用いられている。
【0003】
この従来のバンドストッパーの構成並びに使用方法を、
図7を参照にして説明する。このバンドストッパーは、ポリプロピレン等の合成樹脂材による一体成型品であって、内側にバンド挿通穴21を有する四角形の環状体で形成された枠体22の一側に、肉薄の連結部23を介して枠体上面に折り返し可能に連結された2本の平行な棒杆24が間隔をあけて一体的に設けられている。
【0004】
使用に際して、先ず
図7(a)に示すように、バンド10の一端部分を二つ折りにして端縁10aを上側にした状態で枠体22の下方からバンド挿通穴21に挿通させ、上方に立ち上がったループ10bを形成する。そして、このループ10bに一方の棒杆24を折り返して挿入し、その姿勢を保持させた状態で下側のバンド10を引張って
図7(b)に示すように締め付ける。
次いで、梱包すべき箱体を一周させたバンド10の反対側の一部を上記同様な手法で他方の棒杆24に巻き付け、
図7(c)に示すように、上側に位置するバンド10cを矢印方向に引張って締め付けたあと、点線Tの部分からカッター等で切断して作業を終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した従来のバンドストッパーでは、棒杆を折り返してバンドのループに差し込んだ際に、棒杆が連結部の反発力によってループから抜け出ることがあるので、バンドが棒杆に巻き付く状態になるまで指先などで押さえ込んでおく必要があり、操作が面倒であった。
【0007】
また、従来のバンドストッパーは、専ら物品梱包箱を締結するバンドのストッパーとしてのみ使用され、使用後はゴミとして廃棄処分されていた。
【0008】
本発明者は、このような「物」としての価値を充分に生かし切れておらずに無駄となっている現状に鑑み、ストッパーとしての役目を終えた物品を廃棄処分することなく、別の目的で使用できるようにして資源の有効利用を図ることにも着眼した。
即ち本発明は、バンドストッパーとして上記の従来課題を解決して効率的にバンドを締結することができると共に、ストッパーとしての役目を終えた後も別の用途で再利用できるようにして、製品の価値を高めることのできるバンドストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では次のような技術的手段を講じた。即ち、本発明のバンドストッパーは、合成樹脂材からなり、内側にバンド挿通穴を有する略四角形の環状体で形成された枠体と、この枠体の一側に連結部を介して枠体上面に折り返しできるように連結された棒杆とからなるバンドストッパーであって、前記棒杆の先端に爪片が形成され、前記棒杆が前記枠体の上面に折り返されたときに前記爪片が弾力的に係合する係合部が前記枠体に形成されている構成とした。
ここで、前記棒杆が2本であって、間隔をあけて平行に形成されている構成とするのがよい。
また、前記棒杆の爪片が係合する係合部は、前記枠体の前記連結部を設けた側部とは反対側の側部に連なって形成された傾斜片に設けられている構成とするのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記の構成としたので、バンドストッパーとして用いる際に、棒杆の折り返し姿勢が爪片と係合部との係合によって安定保持させることができ、これにより、指先などで棒杆を押さえ続ける必要が無くなって作業の効率化を図ることができるとともに、ストッパーとしての役目を終えた後も、ビニール袋などのような薄い樹脂シートで形成された袋の口部を封止するクリップとして再利用することができ、これにより「物」としての無駄をなくした価値あるバンドストッパーを提供することができる、といった効果がある。
【0011】
本発明において、前記棒杆の上下面並びに当該棒杆に平行な枠体の辺の上下面に滑り止め用の突起を設けた構成とするのがよい。
これにより、バンドストッパーとしての使用の際に、バンドを締め付けた状態において、棒杆と枠体との間に挟着されたバンドの弛みを抑制して確実に締結状態を維持することができる。また袋体口部のクリップとして使用の際も棒杆と枠体との間で袋体の口部をより確実に挟着保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例であるバンドストッパーの斜視図。
【
図3】上記バンドストッパーをストッパーとして使用した場合の手順を示す斜視図。
【
図4】本発明のバンドストッパーの別実施例を示す平面図。
【
図5】本発明のバンドストッパーの更に別の実施例を示す平面図。
【
図6】本発明のバンドストッパーをクリップとして使用した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例について
図1~
図3を参照にして説明する。
【0014】
本発明のバンドストッパーAは、合成樹脂材からなる一体成型品であって、内側にバンド挿通穴1を有する略四角形の環状体で形成された枠体2と、この略四角形の枠体2の一側面2aに連結部3を介して枠体上面に折り返しできるように連結された2本の棒杆4、4とを備えている。連結部3を含む2本の棒杆4、4は枠体2の側面2aに対して直角方向に延び、かつ互いに間隔をあけて平行に形成されている。
【0015】
更に、棒杆4、4の先端には爪片5、5が形成されていて、棒杆4を連結部3を介して枠体2の上面に折り返したときに、この爪片5の先端が弾力的に係合して棒杆4の折り返し姿勢を保持する係合部6が前記枠体2に形成されている。
【0016】
係合部6は、枠体2の上記棒杆4を設けた側面とは反対側の側面2bから斜め外方に、好ましくは略45°の角度で一体的に立ち上がる傾斜片7に設けられている。なお、係合部6は傾斜片7を貫通する孔で形成されている。
【0017】
また、棒杆4の上下面並びに枠体2の上下面に滑り止め用の歯形突起8、9が設けられている。
【0018】
バンドストッパーAの素材となる合成樹脂材は、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系の樹脂やポリエステル系の樹脂、或いはポリ乳酸系の生分解性樹脂など射出成形機による成形法を適用できる熱溶融性樹脂を用いることができる。これら樹脂基材に有機・無機系の各種充填剤や添加剤を配合した複合組成物とすることもできる。配合によりハンドストッパーの性能・物性に対して改質・向上が期待される成分事例として、シリカ系、タルク、金属塩類、セルロース系微粉体などがある。
なお本実施例では、
図2の平面図において、枠体2部分の短辺の長さL1が25mm、長辺の長さL2が29、全長L3が75mm、板厚が3.8mmとしたがその寸法は限定されない。
【0019】
本バンドストッパーAをバンドのストッパー(留め具)として使用する場合は、先に説明した従来のストッパーの場合と同じ手順で行われる。
即ち、
図3(a)に示すように、バンド10の一端部分を二つ折りにして端縁10aを上側にした状態で枠体2の下方からバンド挿通穴1に挿通させ、上方に立ち上がったループ10bを形成する。そして、このループに一方の棒杆4を指先などで折り返して挿入し、爪片5を係合部6に係合させて折り返し姿勢を保持させる。その状態で下側のバンドを引張って
図3(b)に示すように締め付ける。
次いで、梱包すべき箱体を一周させたバンドの反対側の一部を上記同様な手法で他方の棒杆に巻き付け、
図3(c)に示すように、上側に位置するバンド10cを矢印方向に引張って締め付けたあと、バンド10cを点線Tの部分からハサミやカッター等で切断して締結作業を終了する。
【0020】
本バンドストッパーAでは、上記の作業過程において、棒杆4の折り返し姿勢が爪片5と係合部6との係合によって安定保持されるので、指先などで棒杆を抑え続ける必要が無くなり、楽に作業を行うことができる。また、バンドを締め付けた状態において、棒杆と枠体の上下面に歯形突起8、9が設けられているので、滑りが抑制されてバンドの弛みをなくし確実に締結状態を維持することができる。
【0021】
本発明のバンドストッパーAは、バンドのストッパーとしての役目を終えた後も、ビニール袋などのような薄い樹脂シートで形成された袋の口部を封止するクリップとして利用することができる。
図6はその使用例を示すものであって、袋Bの上部の開口部分を棒杆4と枠体2との間で挟み込んで棒杆4を爪片5と係合部6で係合して挟着することにより、袋Bの口部を封止することができる。また、袋Bを挟着させた状態において、棒杆と枠体の相対する面に歯形突起8、9が設けられているので、袋Bをより確実に保持することができる。
【0022】
以上のように本発明によれば、バンドストッパーとして用いる際に、棒杆の折り返し姿勢が爪片5と係合部6との係合によって安定保持されるので、指先などで棒杆を押さえ続ける必要が無くなって作業の効率化を図ることができるとともに、ストッパーとしての役目を終えた後も、ビニール袋などのような薄い樹脂シートで形成された袋の口部を封止するクリップとして再利用することができ、これにより「物」としての無駄をなくした価値あるバンドストッパーを提供することができる。
【0023】
以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではない。例えば、
図4や
図5で示すように、棒杆4を一個だけにしてバンドの一端のみを掛け留めするバンドストッパーにも適用することが可能である。また、図示はしないが、係合部6を穴に代えて爪片5の先端を受け入れる凹部や段部で形成することもできる。
その他本発明では、本発明の目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、段ボール箱等の物品収納箱の周囲を締め付けて梱包するバンドのストッパー(留め具)としての他に、ビニール袋などの口部を封止するクリップとして利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
A バンドストッパー
B 袋
1 バンド挿通穴
2 枠体
3 連結部
4 棒杆
5 爪片
6 係合部
7 傾斜片
8 突起
9 突起
10 バンド