(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011039
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220107BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220107BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111905
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】吉川 清士
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
5L049BB47
(57)【要約】
【課題】購入者の食品に対する満足度を高めることができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する消費過程情報管理部を備える情報処理装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する消費過程情報管理部
を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記消費過程情報は、前記センサ情報としての、前記購入者が前記食品を消費する際の様子を撮影した画像および/または映像から取得される
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記消費過程情報は、前記購入者が前記食品を消費した際の反応を含むフィードバック情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記消費過程情報は、前記食品の状態を示す情報である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記食品の属性を示す食品属性情報を管理する食品属性情報管理部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記食品属性情報管理部は、前記センサ情報に基づいて前記販売店が前記購入者に発送した前記食品の追跡状況を把握する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記購入者が前記食品を注文する際の好みを示す好み情報を管理する好み情報管理部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記好み情報は、汎用好み情報と特定好み情報とを有する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記汎用好み情報は、前記食品の種類を限定しない前記購入者の食品選択の際の好みを示す情報である
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記特定好み情報は、特定の食品について前記購入者の食品選択の際の好みを示す情報である
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記好み情報は、該好み情報を生成するために参照した前記消費過程情報の量に基づく信頼の度合いを示す信頼度が紐付けられている
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記好み情報と、前記食品属性情報とに基づいて前記販売店が前記購入者に発送する食品の具体的個体を決定する個体決定部を備える
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記食品の販売価格と前記消費過程情報とに基づいて前記食品についての購入者スコアを算出する購入者スコア算出部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記好み情報管理部は、前記購入者スコアと前記消費過程情報に基づいて前記好み情報を更新する
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記消費過程情報に基づいて前記食品の流通における要因を推定する要因推定部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記食品の在庫情報と、販売価格設定戦略情報と、前記好み情報に基づいて前記販売価格を決定する販売価格決定部を備える
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記食品は生鮮食品である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項18】
販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する
情報処理方法。
【請求項19】
販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する
情報処理方法をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及により、インターネット上におけるオンラインショップで食品を注文して、自宅などでその食品を受け取るいわゆるオンラインショッピングが広く利用されるようになっている。
【0003】
そのようなオンラインショッピングでは食品の品質に対する信頼性を高いこと、購入
/注文が容易であること、などが求められている。特に食品においては鮮度などにおいて他の分野の食品よりも高い信頼性が求められる場合がある。そこで、生鮮食料品データベースによって、生鮮食料品の情報の入力や利用を容易とし、生鮮食料品に対する信頼性を高くして取引を行うことができる生鮮食料品取引システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では生鮮食料品を購入した購入者側の観点、購入者の反応やフィードバックなどは含まれておらず、生鮮食料品に対する満足度を高くするという点などにおいて十分ではない。
【0006】
本技術はこのような点に鑑みなされたものであり、購入者の食品に対する満足度を高めることができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、第1の技術は、販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する消費過程情報管理部を備える情報処理装置である。
【0008】
また、第2の技術は、販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する情報処理方法である。
【0009】
さらに、第3の技術は、販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する情報処理方法をコンピュータに実行させる情報処理プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】情報処理システム10の構成を示すブロック図である。
【
図2】サーバ装置400の構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置100の構成を示すブロック図である。
【
図6】情報処理装置100による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態>
[1-1.実店舗における販売とオンラインショップにおける販売の違い]
[1-2.情報処理システム10の構成]
[1-3.情報処理装置100の構成]
[1-4.情報処理装置100における処理]
<2.変形例>
【0012】
<1.実施の形態>
[1-1.実店舗における販売とオンラインショップにおける販売の違い]
まず、実店舗における食品の販売と、オンラインショップにおける食品の販売との違いについて説明する。実店舗とは購入者が直接食品を見て、触れて、手にとって、確認した上で購入することができる、実在する店舗のことである。オンラインショップとはインターネット上のウェブサイトや総合ショッピングモールなどにおける仮想的な店舗である。オンラインショップでは購入者はパーソナルコンピュータやスマートフォンの画面に表示された食品を見て食品を注文し、オンラインショップの運営者が後日その食品を購入者に発送することで食品が購入者の元に届く。オンラインショップでは購入者は食品の実物を見ること、触れること、手にとることなどはできない。
【0013】
ここではりんごを具体的な食品の例として説明する。実店舗での販売においては、りんごの山など多数のりんごの中から購入者が自らの意志により購入するりんごを選択し、購入者が販売店から示される販売価格を支払うことで購入する。
【0014】
一方、オンラインショップにおいては、購入者は「りんご」という品目単位でしか注文を行うことができず、具体的にりんごのどの個体が購入者の手元に届くかは販売店側に委ねられている。
【0015】
食品の個体を購入者の責任で選択するのではなく、販売店が選択することの弊害としては、購入者に対してなぜその個体を選んで販売したかといった説明責任を果たす必要が生じる点である。なぜなら、公知の情報としておいしいりんごの見分け方が知られており、多くの購入者がこう言った基準に基づいておいしいりんごを手に入れたいと考えているからである。
【0016】
しかし、全購入者に平等に販売することは困難であるのと同時においしいりんごの基準を満たさない食品の取り扱いも販売店にとって課題となる。このため、販売店は食品の値付け時だけおいしいりんごの基準を満たすような不正・偽装(ツヤが出るようにワックスで磨く、赤く見えるようにするために赤色ライトを当てるなど)を行うことが危惧される。
【0017】
こういった不正・偽装は販売店だけでなく購入者側でも行われるおそれがある。例えば、購入者が受け取り後わざと外見を傷つけたり変色ライトを当てたりして販売価値にそぐわない食品であるとクレームを付けることも考えられる。もしくは、販売店から購入者に食品を届ける配送業者によるミスやトラブルによって食品の価値が下がってしまう可能性もあり得る。
【0018】
このように、実店舗での販売に比べてオンラインショップでの販売は個体選定の責任が購入者ではなく販売店側に委ねられるため、様々な課題が生じるし、購入者の食品に対する満足度が低くなってしまうおそれがある。本技術はこのような課題を解決し、オンラインショップを利用した購入者の食品購入における満足度を高めるものである。
【0019】
[1-2.情報処理システム10の構成]
図1を参照して情報処理システム10の構成について説明する。情報処理システム10は情報処理装置100、端末装置200およびカメラ300から構成されている。情報処理装置100はサーバ装置400などにおいて動作してクラウドシステムを構成する。端末装置200は食品をオンラインショップで販売する販売店に設けられている。カメラ300は購入者の自宅などにおいて、購入者がオンラインショップで購入した食品を受け取り、消費(確認、調理、加工、食べる、飲むなど)する空間を撮影できるように設けられている。
【0020】
販売店は、食品をオンラインショップで購入者に食品を販売する事業者の店舗である。なお、オンラインショップは販売店自らがウェブサイトやシステムを構築して作成したものでもよいし、インターネット上の総合ショッピングモールなどのシステムを利用して、そこに出店する形態でもよい。実店舗があってもなくてもよく、インターネットを介して購入者から注文を受け、その購入者に食品を発送することができればどのような形態でもよい。
【0021】
端末装置200はネットワークを介して情報処理装置100と接続されており、販売店において店員等が情報処理装置100に送信する各種情報の入力や、情報処理装置100から提供された情報の確認などに用いるものである。端末装置200は例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどにより構成される。
【0022】
販売店は、販売する食品の外観、重さ、産地、種別、生産時期、利益率といった販売店独自の基準により食品に販売価格付けを行う。この販売価格は販売店が定めた販売食品に対するスコアに相当する。なお、後述するように食品の販売価格は情報処理装置100の販売価格決定部106により自動で決定することもできるため、初期販売価格のみを販売店の店員等が決定し、それ以降は情報処理装置100で販売価格を決定してもよいし、初期販売価格も含めて全ての販売価格を情報処理装置100で決定してもよい。
【0023】
販売店は、商品として販売する食品ごとに販売商品ID(Identification)を付与する。販売商品IDは流通のトレーサビリティー管理を可能とするための一意の値である。販売商品IDは販売価格の根拠となる情報と紐づけられて情報処理装置100上で食品属性情報として管理される。販売価格の根拠とは、食品の外観、重さ、産地、種別、生産時期、利益率など食品の販売価格決定の根拠となる情報であり、販売店の店員等が入力する。例えば、4つのりんごを1セットとして一袋で販売するような、複数の個別の食品が一つの販売単位で販売されている場合、1セットに一つの販売商品IDが付与される。
【0024】
また、販売店は流通過程において食品の入れ替えや改ざんを防止するために販売商品IDが印刷されたセキュリティーシールで購入者に発送する食品に封をする。これにより食品が販売店から購入者に届き、購入者が食品を開封するまでの間に入れ替えや改ざんが起きないことを保証する。
【0025】
購入者は、オンラインショップを通じて販売店に食品の注文を行い、販売店から発送された食品を受け取る者である。購入者には購入した食品を消費する消費者、購入した食品を確認および陳列して販売するスーパーなどの販売業者、購入した食品を調理加工して客に提供する飲食業者などが含まれる。本実施の形態では購入者は消費者であるとして説明を行う。
【0026】
カメラ300は購入者の自宅などに設けられており、情報処理装置100が食品認識処理、消費過程情報取得を行うための画像および/または映像を取得して情報処理装置100に送信するためのものである。カメラは広義の意味でのセンサであり、撮影された画像/映像は特許請求の範囲におけるセンサ情報に相当するものである。本実施の形態ではカメラ300が撮影した画像が情報処理装置100に送信されるものとする。
【0027】
カメラ300は購入者による購入した食品に対する行動(消費、確認、陳列、調理加工など)を撮影可能な空間に設置されるものである。カメラ300の設置空間は、購入者が何者であり、どこで食品に対する行動をとるかによって決定するものである。購入者が消費者である場合、カメラ300は消費者が食品を消費する購入者宅内に設置する必要がある。購入者が販売業者である場合、カメラ300は販売業者が食品を確認、陳列等する店舗内に設置する必要がある。さらに、購入者が飲食業者である場合、カメラ300は飲食業者が食品を調理加工する飲食店内のなどに設置する必要がある。
【0028】
本実施の形態ではカメラ300はネットワークを通じて情報処理装置100と接続され、撮影した画像を情報処理装置100に送信することができるいわゆるネットワークカメラ300であるとして説明を行なう。消費社宅がすでにホームセキュリティーカメラのような屋内ネットワークカメラを備えている場合にはそれをカメラ300として利用してもよい。
【0029】
カメラ300は常時撮影状態で情報処理装置100に画像を送信し続けてもよいし、公知の人物検出技術を用いて画角内に人が存在することを検出した場合や、画像認識で販売商品IDを検出した場合に撮影を行い、画像を情報処理装置100に送信するようにしてもよい。
【0030】
また、カメラ300はスマートフォンなどの端末装置と専用アプリケーションにより販売店から配送された食品を認識したり、購入者が消費する過程をモニタリングして情報を情報処理装置100に送信できるものでもよい。
【0031】
情報処理装置100は販売店が販売する食品の属性を示す食品属性情報や在庫の管理、購入者が食品を注文する際の傾向を示す好み情報の管理、オンラインショップで注文した購入者に発送する食品個体の決定、食品の流通における要因の推定などを行うものである。
【0032】
情報処理装置100はサーバ装置400などにおいて動作し、クラウドシステムを構成する。サーバ装置400は、
図2に示すように制御部401、インターフェース402、記憶部403を備えて構成されている。
【0033】
制御部401は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access Memory)およびROM(Read Only Memory)などから構成されている。CPUがROMに記憶されたプログラムに従い様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによってサーバ装置400および情報処理装置100の全体および各部の制御を行う。
【0034】
インターフェース402は、端末装置200、カメラ300などの装置間やネットワークなどとの間のインターフェースである。インターフェース402は、有線または無線の通信インターフェースを含みうる。また、より具体的には、有線または無線の通信インターフェースは、3TTEなどのセルラー通信、4G、5G、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)、イーサネット(登録商標)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、USB(Universal Serial Bus)などを含みうる。また、情報処理装置100とそれが動作するサーバ装置400の全部または一部が同一の装置で実現される場合、インターフェース402は、装置内のバスや、プログラムモジュール内でのデータ参照などを含みうる。また、情報処理装置100が複数の装置に分散して実現される場合、インターフェース402は、それぞれの装置のための異なる種類のインターフェースを含みうる。例えば、インターフェース402は、通信インターフェースと装置内のインターフェースとの両方を含んでもよい。
【0035】
記憶部403は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリなどにより構成された大容量記憶媒体である。記憶部403には情報処理システム10の運用のためのプログラム、アプリケーション、その他のデータなどが保存されている。情報処理装置100における各種情報格納部、各種データベースは記憶部403を用いて構成されてもよい。
【0036】
情報処理システム10は以上のように構成されている。なお、
図1では販売店における端末装置200は一つ記載してあるが、複数の販売店の複数の端末装置200を情報処理装置100に接続して、複数の販売店における食品の販売を情報処理装置100で管理することも可能である。
【0037】
[1-3.情報処理装置100の構成]
次に
図3を参照して情報処理装置100の構成について説明する。情報処理装置100は、戦略情報格納部101、流通・在庫情報格納部102、好み情報格納部103、好み情報管理部104、好み情報用参照データベース105、販売価格決定部106、食品属性情報格納部107、食品属性情報管理部108、個体決定部109、食品認識部110、消費過程情報格納部111、消費過程情報管理部112、購入者スコア算出部113、要因推定部114、要因用参照データベース115を備えて構成されている。
【0038】
戦略情報格納部101は、販売店が食品の販売価格を決定する際の指針となる戦略である販売価格設定戦略情報、方針、食品ごとの利益率などを含む戦略情報を格納するものである。戦略情報は企業秘密であり、販売店の店員等が端末装置200に入力した戦略情報がネットワークを介して情報処理装置100に送信されることで戦略情報格納部101に格納される。
【0039】
流通・在庫情報格納部102は、販売店の食品仕入れ情報、各食品の流通経路情報、販売店における各食品の在庫情報などの流通・在庫情報を格納するものである。流通経路とは食品の生産者、流通業者、協同組合など食品が生産されてから販売店に到着するまでの経路である。流通・在庫情報は販売店の店員等が定期的に端末装置200に入力し、それがネットワークを介して情報処理装置100に送信されることで流通・在庫情報格納部102に格納される。または、販売店が使用する在庫管理システムなどから取得してもよい。
【0040】
好み情報格納部103は、購入者が販売店のオンラインショップで食品を注文する際の好み(傾向、基準、理由ともいえる)を示す好み情報を格納するものである。好み情報管理部104は購入者スコアや消費過程情報に基づいて好み情報の生成、更新など好み情報の管理を行なうものである。好み情報用参照データベース105は、好み情報を更新するために好み情報管理部104が参照する情報を格納するものである。
【0041】
図4Aに示すように、好み情報には汎用好み情報と特定好み情報とがある。汎用好み情報とは、食品の品目に関係なく購入者が注文する食品を選ぶ際の好みを示すものであり、食品を販売価格で選ぶ低価格志向と高価格志向、食品を産地で選ぶ産地志向、食品を品種で選ぶ品種志向、食品を鮮度で選ぶ鮮度志向、食品を見た目で選ぶ外観志向などがある。なお、ここに挙げた志向はあくまで例示であり、購入者が食品を注文する際の好み、傾向、基準、理由であればどのようなものでもよい。
【0042】
特定好み情報とは、特定の食品の品目について、購入者が食品を注文する際の傾向を示すものであり、上位特定好み情報と下位特定好み情報がある。上位特定好み情報とは、果物、野菜、精肉など具体的な食品を包含する上位の種別についての特定好み情報であり、例えば、購入者は野菜を注文する場合に鮮度志向であり、果物を注文する場合には産地志向である、などである。
【0043】
下位特定好み情報とは、下位の特定の具体的な食品についての好み情報であり、例えば、購入者はりんごを選ぶ場合には販売価格志向であり、みかんを選ぶ場合には産地志向である、などである。下位特定好み情報ではさらに具体的に好み情報を定義してもよい。例えば、赤いりんごにおけるおいしいりんごの見分け方として、果皮に張りがあってずっしりと重い、赤く染まっていて軸が太め、葉とらずりんごは色づきが悪くても甘い、お尻が緑色のものは酸味が強め、果皮のテカテカは熟した証し、などの条件が公知のものとして知られている。よって、りんごについての下位特定好み情報としては、張りがある果皮志向、重さ志向、全体が赤く染まっている志向、太い軸志向、緑色のお尻志向、てかりがある果皮志向、などがある。
【0044】
好み情報は実際に購入者が購入した食品に基づいて生成、更新されるものである。よって、好み情報には信頼度という尺度を付加する。信頼度とは、購入者の注文内容と注文回数に基づく尺度であり、好み情報が信頼性の高い情報であるか、または信頼性の低い情報であるかを示すものである。
【0045】
例えば、汎用好み情報については種類が異なる様々な食品を多数回購入したという食品購入情報に基づいている場合信頼度は高くなる。逆に、特定の食品のみの購入や、少ない購入回数からに基づく汎用好み情報の信頼度は低くなる。
【0046】
特定好み情報については、多数回購入したという食品購入情報に基づいている場合信頼度は高くなる。逆に、少ない購入回数から算出した特定好み情報の信頼度は低くなる。例えば、信頼度は
図4Aに示すように高、中、低という3段階の指標で定義してもよいし、5段階や10段階の点数で定義してもよい。
【0047】
特定好み情報は購入者の実際に消費した食品についての消費過程情報に基づいて更新されるため、購入したことがない食品、信頼度が低い食品については類似食品の具体的好み情報を使用するか、上位の特定好み情報を使用するか、または汎用好み情報を使用する。
【0048】
また、特定好み情報のうち上位に特定好み情報について、包含する下位の食品についての特定好み情報から類推することもできる。例えば、りんごについての下位特定好み情報は産地志向であるため、りんごを包含する果物についての上位特定好み情報も産地志向とする、などである。さらに特定好み情報から汎用好み情報を類推することもできる。例えば、所定数の特定の食品について特定好み情報が産地志向である場合、その購入者は食品の種別に関係なく産地志向であると汎用好み情報を類推する。このようにして好み情報を構築することもできる。
【0049】
好み情報は、まずは多くの購入者に共通する一般的な好み、もしくは、購入者が販売店のオンラインショップに登録した情報に基づいて作成される(例えば住居地域がいわゆる高級住宅街である場合、その購入者は販売価格志向である、など)。そして、好み情報は購入者が販売店のオンラインショップで食品を購入して消費するたびに好み情報管理部104によって更新されていき、購入者の好みを反映したものになり精度が上がっていく。
【0050】
図4Bに示すように、好み情報は購入者ID、住居地域、家族構成、利用頻度などの購入者情報と対応付けられており、購入者ごとに生成される情報である。
【0051】
購入者IDは購入者を識別するための購入者ごとの固有の識別情報である。住居地域は購入者が住んでいる地域を示す情報であり、具体的な住所単位でもよいし、県単位、市町村単位の情報でもよい。家族構成は購入者の家族構成である。利用頻度は購入者が販売店のオンラインショップで注文を行なう頻度である。
【0052】
家族構成情報、住居地域情報は販売店のオンラインショップに購入者がユーザ登録する際や初回の注文時に入力を要求して、その入力内容を元に作成してもよいし、紐付けられた他のオンラインショップやオンラインサービスなどから取得してもよい。また、利用頻度情報はユーザが入力してもよいし、販売店のオンラインショップに対する購入者の注文数から導き出してもよい。
【0053】
販売価格決定部106は流通・在庫情報、戦略情報、好み情報に基づいて食品の販売価格を決定する。好み情報を参照することによって、購入者の食品選択傾向や消費志向に基づいて販売価格を決定することができる。なお、好み情報は購入者ごとの情報であるが、その販売店が対象としている購入者全体の統計情報を参照することでその販売店オリジナルの販売価格が決定できる。販売価格決定に用いる戦略情報は販売店の店員等が決めるが、食品の具体的な販売価格は販売価格決定部106による処理で自動的に決定する。よって、食品の在庫状況や流通状況などに応じて販売価格を調整することもできる。例えば、色つやがいいりんごを多く売っている場合、在庫に色つやが良くないりんごが増えてしまう。そのような場合、その在庫情報に基づいて販売価格を下げる、ということも可能である。
【0054】
食品属性情報格納部107は、販売店が販売する食品に関する情報である食品属性情報を格納するものである。食品属性情報管理部108は属性情報の生成、更新など食品属性情報を管理するものである。食品属性情報はオンラインショップにおけるチラシもしくは販売食品選択画面を作成するためにも用いられたり、管理にも用いられる。
【0055】
食品属性情報は、
図5に示すように、販売商品ID、食品個別ID、品目名、追跡状況、販売価格、特徴情報などの情報を含んでいる。
【0056】
販売商品IDは上述したように1つの販売単位に一つ付けられるIDである。食品個別IDは食品の各個体を識別するために紐づけられ、流通のトレーサビリティー管理を可能とするための一意の値である。例えば、4つのりんごを1セット一袋で販売するような、複数の個別の食品が一つの販売単位で販売されている場合、1セットに一つの販売商品IDが付与され、さらにその中のりんご一つ一つに食品個別IDが紐付けられる。なお、個別の食品一つが販売単位である場合(例えば、一つのりんごが単体で販売されているような場合)は販売商品IDを付け、食品個別IDは紐付けてもよいし、紐付けなくてもよい。
【0057】
品目名は、りんご、みかん、大根、ネギなど具体的な食品の名称である。販売価格は、購入者が食品を購入した際の販売価格である。
【0058】
追跡状況は、食品の現在の状況を示すものであり、食品が店舗で販売されることを示す「販売中」、食品が店舗から配送されたことを示す「配送中」、購入者が食品を受け取ったことを示す「配送済」、購入者が食品を消費したこと示す「消費済」などがある。食品属性情報管理部108はカメラ300で撮影された画像や映像、販売店からの通知などに基づいて追跡状況を把握することができる。
【0059】
特徴情報は、食品の特徴を示すものであり、購入者の好み情報を購入者に発送する食品の個体決定に反映するための情報でもある。特徴情報としては外観、色合い、断面、大きさ、産地、収穫時期、種別などがある。さらに具体的な食品における特徴情報の例としては、例えばりんごの場合、果皮に張りがある、重さが所定値以上、全体が赤く染まっている、軸が太い、お尻が緑色、果皮にてかりがある、などがある。なお、
図5では一つの食品に対して一つの特徴情報が示されているが、特徴情報は一つの食品に対して複数あってもよい。特徴情報は販売店の店員などが端末装置200を用いて入力したものを情報処理装置100に送信してもよいし、販売店の在庫をカメラで撮影して画像認識により自動で取得してもよい。
【0060】
販売店は新たな食品を販売することを決定すると、店員等が端末装置200を用いてその新たな食品についての販売商品ID、食品個別ID、品目、価格、特徴情報を入力して情報処理装置100に送信する。情報処理装置100がそれらの情報を受信すると、食品属性情報管理部108が食品属性情報格納部107に登録してその食品についての食品属性情報を生成する。なお、追跡状況は初期状態では「販売中」となっている。
【0061】
個体決定部109は、販売店が購入者から食品の注文を受け付けると、食品属性情報と好み情報に基づいて販売店が有する在庫の中から購入者に発送する食品の個体を決定する。具体的には、好み情報が示す購入者が食品を注文する際の好みと、食品属性情報に含まれる産地、収穫時期などの特徴情報を照らし合わせ、好み情報と共通する特徴情報を有する個体を購入者に発送する個体として決定する。
【0062】
食品認識部110は、購入が食品を消費する場所である購入者宅に設置されたカメラ300で撮影された画像に基づいて購入者が受け取った食品を認識する。食品認識部110は、ディープラーニングや機械学習などによる公知の画像認識技術を用いることにより購入者が受け取った食品を認識する。また、食品認識部110は食品に付されている販売商品IDを認識することにより購入者が受け取った食品を認識することができる。画像認識と販売商品IDの認識を組み合わせることにより認識の精度を高めることができる。
【0063】
消費過程情報格納部111は、購入者が食品を消費する際の様子を撮影した画像から取得された消費過程情報を格納するものである。消費過程情報管理部112は消費過程情報の生成、更新など消費過程情報の管理を行なうものである。
【0064】
消費過程情報としては例えば、カメラ300で撮影された画像や映像に対する認識処理で取得できる、購入者が食品を消費する際の反応(食べたときの表情、動作など)、を含むフィードバック情報と、食品の外観、色合い、大きさなどの状態や、購入者が食品を調理した際(例えば切ったとき)に露出する食品の断面などの状態情報とを含むものである。消費過程情報は食品属性情報における食品個別IDと紐づけて格納される。なお、フィードバック情報として、購入者からスマートフォンなどを用いて入力して情報処理装置100に送信されるコメント、評価、購入者スコアなどを含めてもよい。なお、購入者が販売業者である場合、消費過程情報は販売業者が食品を確認等する際の反応(表情、動作など)であり、購入者が飲食業者である場合、消費過程情報は飲食業者が食品を確認、調理加工する際の反応(表情、動作など)である。
【0065】
なお、画像認識は精度が常に高いとは限らないため、例えば、食品が販売店から購入したものかが確実に認識できるとは限らない。そこで、消費過程情報はその情報の信頼性を示す指標である信頼度という尺度を付加してもよい。
【0066】
消費過程情報管理部112は、ディープラーニングや機械学習などによる公知の画像認識技術を用いることにより購入者の反応を認識し、その反応から購入者の食品に対する評価を導き出す。例えば、購入者の笑顔が検出された場合、購入者は食品がおいしいものであり、高く評価していると、導き出すことができる。このように購入者の反応から導き出す食品に対する評価も消費過程情報として保存する。
【0067】
購入者スコア算出部113は、食品属性情報および消費過程情報に基づいて、購入者にとっての食品のスコア(適切だと考える販売価格)を算出する。購入者スコアは食品属性情報に含まれる販売価格を基準として算出される値であり、販売価格との大小を比較できるように円単位で算出される。
【0068】
要因推定部114は、食品属性情報と消費過程情報に基づいて販売価格と購入者スコアの乖離の要因を推定する。致命的なある特定の食品属性情報と消費過程情報から要因を推定することもあれば、多くの購入者において共通する食品属性情報と消費過程情報から要因を推定することもある。要因用参照データベース115は、要因の推定に用いるために参照する情報を格納するものである。要因推定の詳細は後述する。
【0069】
情報処理装置100は以上のようにして構成されている。
【0070】
以上のようにして情報処理装置100が構成されている。なお、情報処理装置100は専用の装置として構成されるのみでなく、プログラムにより構成され、そのプログラムの実行によりサーバ装置400などが情報処理装置100として機能を備えるようにしてもよい。そのプログラムは予めサーバ装置400などにインストールされていてもよいし、ダウンロード、記憶媒体などで配布されてインストールされるようにしてもよい。
【0071】
[1-4.情報処理装置100による処理]
次に
図6のフローチャートを参照して情報処理装置100による処理について説明する。ここでは、販売店の店員等が端末装置200を用いて入力した戦略情報が予め戦略情報格納部101に格納され、流通・在庫情報が予め流通・在庫情報格納部102に格納されているものとする。また、好み情報管理部104により、販売店のオンラインショップで食品を購入したことがある購入者についての好み情報が生成されているものとする。さらに食品の販売価格が決定しているものとする。この販売価格は販売店の店員等が決定した販売価格でもよいし、販売価格決定部106が決定した販売価格でもよい。
【0072】
販売店がオンラインショップにおける宣伝広告、販売を行い、購入者から注文があった場合処理はステップS101からステップS102に進む(ステップS102のYes)。
【0073】
次にステップS102で個体決定部109が、好み情報と、注文があった食品の食品属性情報とに基づいて、店舗の在庫の中から購入者に発送する食品の具体的な個体を決定する。発送する食品の個体が決定するとその食品個体情報が販売店の端末装置200に送信されて、販売店がそれを参照して購入者に食品を発送する。
【0074】
個体決定部109は、購入者が注文した食品について下位特定好み情報が存在する場合、それに基づいて発送する個体を決定する。購入者が注文した食品について下位特定好み情報が存在しない場合、その上位特定好み情報に基づいて発送する個体を決定する。さらに、購入者が注文した食品について上位特定好み情報がない場合、汎用好み情報に基づいて発送する個体を決定する。
【0075】
例えば、購入者がりんごを注文した場合、りんごについての下位特定好み情報が存在する場合はその下位特定好み情報に合致する特徴情報を有するりんごを発送する個体として決定する。りんごについての下位特定好み情報がない場合、果物についての上位特定好み情報合致する特徴情報を有するりんごを発送する個体として決定する。りんごについての上位特定好み情報がない場合、汎用好み情報に合致する特徴情報を有するりんごを発送する個体として決定する。
【0076】
このように好み情報に基づいて購入者に発送する個体を決定するため、販売店は注文を行った購入者の注文する際の好みに合致した個体を購入者に発送することができる。
【0077】
購入者に対する食品の発送が完了したことが販売店から通知されると、処理はステップS103からステップS104に進む(ステップS103のYes)。次にステップS104で、食品属性情報管理部108が属性情報の追跡状況を「配送中」に更新する。
【0078】
次にステップS105で、食品認識部110がカメラ300から受信した画像に対する画像認識処理で認識した被写体および販売商品IDに基づいて購入者が受け取った食品を認識する。食品認識に使用した画像データは消費過程情報として保存される。
【0079】
食品認識部110により購入者が食品を受け取ったことが確認されたため、次にステップS106で、食品属性情報管理部108が食品属性情報の追跡状況を「配送済み」に更新する。
【0080】
購入者が食品を消費する際の様子を撮影した画像が購入者宅のカメラ300から送信されると、次にステップS107で消費過程情報管理部112が、購入者が食品を消費する際の消費過程情報を取得し、消費過程情報格納部111に食品個別IDと対応付けて格納する。
【0081】
購入者が食品を消費する際の様子を撮影した画像から購入者が食品を消費したことが確認されたため、次にステップS108で食品属性情報管理部108は食品属性情報の追跡状況を「消費済」に更新する。
【0082】
次にステップS109で、購入者スコア算出部113が食品属性情報と消費過程情報に基づいて購入者スコアを算出する。購入者スコアは販売価格を基準として、消費過程情報に特に問題となる結果がなければ購入者スコアは販売価格と同一とする。また、消費過程情報に購入者が販売価格に満足できない要因がある場合には購入者スコアを販売価格より低く算出する。さらに、消費過程情報に購入者が販売価格に満足する要因がある場合には販売価格より高く算出する。このようにして購入者スコアを算出する。
【0083】
購入者が販売価格に満足できない要因としては、例えば、食品に食品属性情報にない傷がある、切って露出した中身・断面が変色している、などがある。一方、購入者が販売価格に満足する要因としては、例えば食品が果物であれば熟して色づきが良い、中身に蜜が詰まっているなど一般的においしいとされる基準を満たす、などである。なお、購入者が入力するコメント、評価、購入者スコアなどの受け付けを可能とし、それらも購入者スコア算出の要因として扱ってもよい。
【0084】
次にステップS110で、購入者スコアと販売価格とが乖離している(購入者スコアと販売価格との差が所定値以上である)場合、処理はステップS111に進む(ステップS110のYes)。そしてステップS111で、その食品の消費過程情報を購入者スコアの乖離に寄与した乖離要因として購入者スコアとともに情報処理装置100に送信する。
【0085】
なお、購入者スコアと販売価格との乖離には、購入者スコアが販売価格よりも低い乖離(マイナスの乖離)と、購入者スコアが販売価格よりも高い乖離(プラスの乖離)がある。
マイナスの乖離はプラスの乖離は販売価格よりも購入者が食品に感じた価値の方が低い状態である。一方、プラスの乖離は販売価格よりも購入者が食品に感じた価値の方が高い状態である。
【0086】
次にステップS112で、販売価格よりも購入者スコアが低い場合、処理はステップS113に進む(ステップS112のYes)。
【0087】
次にステップS113で、要因推定部114が食品属性情報と消費過程情報に基づいて、生産者、流通業者、協同組合、販売店、購入者など食品が生産されてから購入者が消費するまでの経路におけるプラスの乖離、マイナスの乖離の要因を推定する。マイナスの乖離においてはその要因は購入者の満足度を高めるために改善すべき箇所となる。販売価格よりも購入者スコアが低い場合とは購入者が食品の品質に満足していないからである。プラスの乖離においてはその要因は購入者の満足度を高い理由であり、それが特定の購入者だけの現象なのか、あるまとまった集団において共通する現象なのかを販売店が把握することは食品の仕入れや販売戦略上メリットが高いと考えられる。
【0088】
要因の推定は要因用参照データベース115を参照とした知識ベースで行う。要因は下記のようにして推定できる。
【0089】
例えばマイナスの乖離においては、消費過程情報から「食品が購入者の元に到着後直ぐに鮮度が落ちる」という不満点が把握された場合で、同様の不満点が特定の配送会社と経由した食品にのみ発生する場合、それは配達時の問題である可能性が高く、配送会社に要因があると推定できる。
【0090】
また、同様の不満点が特定の販売店で発送した食品にのみ発生する場合、販売店における食品の保管の問題である可能性が高く、販売店に要因があると推定できる。
【0091】
また、同様の不満点が配送会社や販売店に関わらず特定の食品にのみ発生する場合、生産者による出荷が遅いなどの問題である可能性が高く、生産者に要因があると推定できる。
【0092】
さらに、同様の不満点が特定の購入者にのみ発生する場合、購入者の管理が悪い可能性が高く、購入者に要因があると推定できる。
【0093】
このように要因が推定できれば要因を有する生産者、配送会社、販売店に改善の指示を出したり、購入者にアドバイスを行なうこともできる。
【0094】
例えばプラスの乖離においては、消費過程情報から「食品が購入者の元に到着後日数が経過しても鮮度が保たれる」という満足点が把握された場合で、同様の満足点が特定の生産者の食品にのみ発生する場合、それは生産方法に要因がある可能性が高く、生産者に要因があると推定できる。
【0095】
フローチャートの説明に戻る。次にステップS210で、好み情報管理部104は購入者スコアとスコア乖離要因である消費過程情報などに基づいて好み情報の更新を行う。
【0096】
好み情報の更新は最も下位概念の食品の品目についての好み情報を更新し、それをその上位概念の食品の品目に反映する。具体的には、購入者がりんごを購入した場合、りんごについての好み情報を更新し、それを上位概念の果物の好み情報に反映させ、それをさらに汎用好み情報にも反映させる。このように好み情報を更新することにより、例えばりんごしか購入していない購入者がみかんを購入する際に果物についての上位特定好み情報をもとに個体決定部109が購入者に発送する個体を決定することができる。
【0097】
好み情報の更新は好み情報格納部103を参照した知識ベースとポイントを基準として行われる。例えば以下のようにして好み情報を更新できる。
【0098】
上述したように好み情報には、食品を販売価格で選ぶ低価格志向と高価格志向、食品を産地で選ぶ産地志向、食品を品種で選ぶ品種志向、食品を鮮度で選ぶ鮮度志向、食品を見た目で選ぶ外観志向などがある。各志向にはポイント(例えば0~300などの数値)があり、スコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報に基づいてこのポイントを増減させ、ポイントの値に基づいて購入者の好み情報を更新する。
【0099】
例えば、下位特定好み情報として特定の食品について、スコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「外観が悪いが販売価格が安い」というものである場合、その特定の食品についての低価格志向のポイントを増加させ、外観志向のポイントを減少させる。逆にスコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「価格が高くなってもキズものは受け入れない」というものである場合、低価格志向のポイントを減少させ、外観志向のポイントを増加させる。
【0100】
また、例えば、下位特定好み情報として特定の食品について、スコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「販売価格が安い」、「賞味期限間近」、「購入後即消費した」というものである場合、特定の食品についての低価格志向のポイントを増加させ、鮮度志向のポイントを減少させる。逆にスコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「価格が高くても消費期限が長い食品しか受け入れない」というものである場合、低価格志向のポイントを減少させ、鮮度志向のポイントを増加させる。
【0101】
また、例えば、下位特定好み情報として特定の食品について、スコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「販売価格が安い代わりに外国産も受け入れる」というものである場合、特定の食品についての低価格志向のポイントを増加させ、産地志向のポイントを減少させる。逆に、スコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「販売価格が高くても国産しか受け入れない」というものである場合、低価格志向のポイントを減少させ、産地志向のポイントを増加させる。
【0102】
さらに、例えば、下位特定好み情報として特定の食品について、スコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「販売価格が安い食品を選ぶ無名ブランドも受け入れる」というものである場合、特定の食品についての低価格志向のポイントを増加させ、産地志向のポイントを減少させる。逆にスコア乖離要因としての食品属性情報と消費過程情報が「販売価格が高くてもナショナルブランドしか受け入れない」というものである場合、低価格志向のポイントを減少させ、産地志向のポイントを増加させる。
【0103】
そして、最もポイントが高い志向をその特定の食品について志向として好み情報を更新する。例えば、特定の食品がりんごであり、りんごについて上述のように各志向についてポイント算出を行った結果、産地志向のポイントが最も高くなった場合、りんごについては産地志向であるとして好み情報が更新される。さらに、例えばその後、上述のように各志向についてポイント算出を行った結果、低価格志向のポイントが最も高くなった場合、りんごについては低価格志向であるとして好み情報が更新される。
【0104】
なお、各志向は当然異なるものであるため、志向をポイントで直接比較するのではなく、志向ごとの基準でポイントに応じたランク(例えば、高い方から順にA、B、Cの3段階など)を定め、そのランクに基づいて各志向を比較して好み情報を更新するようにしてもよい。例えば、価格志向は200ポイント以上でランクBとし、産地志向は50ポイント以上でランクAとする場合、ポイントで判断すると価格志向だがランクで判断すると産地志向であるため、好み情報は産地志向とする、などである。
【0105】
購入者が消費期限間近の販売価格が安い食品を購入し、受け取り後すぐに消費した場合、販売価格志向が高く、鮮度志向は低くするように好み情報を更新する。また、購入者が外観が悪いため販売価格が安い食品を購入した場合、外観志向を低く、鮮度志向も低くするように好み情報を更新する。
【0106】
なお、販売価格決定部106は流通要因が推定された場合や好み情報が更新された場合にその都度食品の販売価格を決定してもよいし、流通要因の推定や好み情報の更新に関わらず、所定のタイミングで販売価格を決定してもよい。
【0107】
以上のようにして本技術における処理が行われる。本技術によれば、購入者が食品を消費する際の情報である消費過程情報を管理することにより、購入者に発送した食品の状態や購入者が食品を消費する際の反応などを把握することができる。これにより、購入者の食品に対する好みを把握して、購入者の食品の好みに応じた個体を選択して発送することができるので購入者の食品購入における満足度を高めることができる。よって、オンラインショップにおける食品の販売において購入者が食品を直接見たり触ったりできないために購入者が満足できない食品が購入者の元に届いてしまうという問題を解決することができる。
【0108】
また、発送した食品の個体と購入者が受け取った個体とを対応付け、食品の状態や購入者の反応などに基づいて生産から発送、消費までの流通経路で要因を推定できるため、購入者の満足度を高めることができる。また、食品には同じ品目でも個体差があるが、購入を繰り返し、購入者の食品の好みに応じた個体を選択して発送することができるので購入者の満足度を高めることができる。
【0109】
購入者の好みや食品属性情報に基づいて食品の販売価格を決定するため、販売店はより適正な販売価格で食品を販売することができる。
【0110】
さらに、購入者側においてはカメラで撮影した画像を自動で情報処理装置に送信するだけなので購入者の手を煩わせたり、負担をかけることがなく、購入者は本技術のために何もする必要もなく、何も意識する必要もない。
【0111】
なお、本技術は、食品の中でも特に生鮮食品の販売において有用である。なぜなら生鮮食品は個体一つ一つの状態や特徴が全て異なっているため、どの個体を選んで購入するかが加工食品などの他の食品によりも重要だからである。
【0112】
<2.変形例>
以上、本技術の実施の形態について具体的に説明したが、本技術は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0113】
実施の形態では購入者がオンラインショップで注文した食品に基づいて好み情報を生成、更新したが、購入者が実店舗で購入した食品に基づいて好み情報を生成、更新することも可能である。その場合も、オンラインショップで購入した食品と同様に、購入者が実店舗で購入した食品を消費する際の様子をカメラ300で撮影した画像に基づいて消費過程情報を生成、更新する。購入者は実店舗で購入した食品とオンラインショップで購入した食品を意識することなく消費すればいいだけであるので、購入者に負担をかけることはない。実店舗で購入した食品は販売商品IDを認識することによりオンラインショップと同系列の実店舗で購入した食品であることを確認できる。
【0114】
実施の形態ではカメラ300が自動で画像を情報処理装置100に送信していたが、購入者がスマートフォンやタブレット端末などで撮影した食品の画像を購入者の操作で情報処理装置100に送信するようにしてもよい。
【0115】
実施の形態では食品を購入して消費する購入者を例にして説明を行ったが、食品を購入する者はその者自らが食品を消費する者だけでなく、購入した食品を確認して販売するスーパーなどの販売業者、飲食店の店員など購入した食品を調理加工して客に食事を提供する飲食業者などでもよい。購入者が販売業者である場合、購入者が食品を確認等し、カメラ300が設置されるのは販売店であり、購入者が飲食業者である場合、購入者が食品を調理加工し、カメラ300が設置されるのは飲食店の厨房などである。
【0116】
消費過程情報を取得するために、カメラ300に代えてまたは併用して音声を取得するマイクロホンや、購入者の体温を計測する温度センサなどを用いてもよい。カメラ300に限らず、購入者の食品に対するフィードバック情報、食品の状態情報を取得できるものであればどのようなものを用いてもよい。
【0117】
本技術で用いる各種ID、個人情報、消費過程情報、属性情報などの管理にブロックチェーン技術を用いることもできる。ブロックチェーンは分散型台帳技術とも称され、ブロックチェーンシステム上における全てのデータの送受信が履歴として保存される。これにより、ブロックチェーンシステムで接続された装置を使用する全てのユーザおよびコンテンツ監視サーバを提供する事業者はブロックチェーン上における全てのデータの送受信の履歴を確認することができるとともに、送受信されたデータのトレース(追跡)を行うこともできる。
【0118】
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する消費過程情報管理部
を備える情報処理装置。
(2)
前記消費過程情報は、前記センサ情報としての、前記購入者が前記食品を消費する際の様子を撮影した画像および/または映像から取得される(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記消費過程情報は、前記購入者が前記食品を消費した際の反応を含むフィードバック情報である(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記消費過程情報は、前記食品の状態を示す情報である(1)から(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5)
前記食品の属性を示す食品属性情報を管理する食品属性情報管理部を備える(1)から(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6)
前記食品属性情報管理部は、前記センサ情報に基づいて前記販売店が前記購入者に発送した前記食品の追跡状況を把握する(5)に記載の情報処理装置。
(7)
前記購入者が前記食品を注文する際の好みを示す好み情報を管理する好み情報管理部を備える(1)から(5)に記載の情報処理装置。
(8)
前記好み情報は、汎用好み情報と特定好み情報とを有する(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記汎用好み情報は、前記食品の種類を限定しない前記購入者の食品選択の際の好みを示す情報である(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記特定好み情報は、特定の食品について前記購入者の食品選択の際の好みを示す情報である(8)または(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記好み情報は、該好み情報を生成するために参照した前記消費過程情報の量に基づく信頼の度合いを示す信頼度が紐付けられている(7)から(10)のいずれかに記載の情報処理装置。
(12)
前記好み情報と、前記食品属性情報とに基づいて前記販売店が前記購入者に発送する食品の具体的個体を決定する個体決定部を備える(7)から(11)のいずれかに記載の情報処理装置。
(13)
前記食品の販売価格と前記消費過程情報とに基づいて前記食品についての購入者スコアを算出する購入者スコア算出部を備える(1)から(12)のいずれかに記載の情報処理装置。
(14)
前記好み情報管理部は、前記購入者スコアと前記消費過程情報に基づいて前記好み情報を更新する(13)に記載の情報処理装置。
(15)
前記消費過程情報に基づいて前記食品の流通における要因を推定する要因推定部を備える(1)から(14)のいずれかに記載の情報処理装置。
(16)
前記食品の在庫情報と、販売価格設定戦略情報と、前記好み情報に基づいて前記販売価格を決定する販売価格決定部を備える(7)に記載の情報処理装置。
(17)
前記食品は生鮮食品である(7)から(16)のいずれかに記載の情報処理装置。
(18)
販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する情報処理方法。
(19)
販売店がネットワークを介して注文を受けて購入者に発送した食品を前記購入者が消費する際の情報である消費過程情報をセンサ情報から取得して管理する情報処理方法をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0119】
100・・・情報処理装置
104・・・好み情報管理部
106・・・販売価格決定部
107・・・食品属性情報管理部
109・・・個体決定部
112・・・消費過程情報管理部
113・・・購入者スコア算出部
114・・・要因推定部