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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110397
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】洗浄水注出装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005786
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】野村 知仁
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 弥生
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA01
4D061DB08
4D061DB10
4D061EA02
4D061EB04
4D061EB12
4D061EB14
4D061EB19
4D061EB37
4D061EB38
4D061EB39
4D061ED12
4D061ED13
4D061GA01
4D061GA02
4D061GA12
4D061GA14
4D061GB18
4D061GB20
4D061GC18
(57)【要約】
【課題】性質の異なる複数種の洗浄水を選択または注出するための複数の操作ボタンを備えた洗浄水注出装置で、操作ボタンの操作によって選択または注出される洗浄水の性質を直感的に理解しやすくする。
【解決手段】洗浄水注出装置10は、性質の異なる複数種の洗浄水を選択または注出するための複数の操作ボタン12a~12cを操作パネル12に備え、操作パネル12には複数の操作ボタン12a~12cに対応する位置に各操作ボタン12a~12cによって選択または注出される洗浄水の性質に対応した図柄12a1~12c1を表示した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄に用いる洗浄水を注出する洗浄水注出装置であって、
前記洗浄水注出装置は性質の異なる複数種の洗浄水を選択または注出するための複数の操作ボタンを操作パネルに備え、前記操作パネルには前記複数の操作ボタンに対応する位置に各操作ボタンによって選択または注出される洗浄水の性質に対応した図柄を表示したことを特徴とする洗浄水注出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄水注出装置において、
前記図柄は洗浄水の性質に対応した使用用途に関連した図柄としたことを特徴とする洗浄水注出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の洗浄水注出装置において、
前記図柄は洗浄水の性質に対応した被洗浄物に関連した図柄としたことを特徴とする洗浄水注出装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の洗浄水注出装置において、
前記洗浄水は電解水生成装置により生成された電解水であり、
前記性質の異なる複数種の洗浄水は有効塩素濃度の異なる複数種の電解水としたことを特徴とする洗浄水注出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水を注出する洗浄水注出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には電解生成水用の注出装置の発明が開示されており、この注出装置は、電解酸性水と電解アルカリ性水との2種類の電解水を注出する第1及び第2の導出管路と、電解水生成装置の電解運転を制御する制御装置と、操作スイッチ等が配設された操作パネルとを備えている。この注出装置の操作パネルには、第1及び第2注出スイッチと、第1の導出管路の上側に配設された酸性水表示ランプとアルカリ性水表示ランプと、第2の導出管路の上側に配設された酸性水表示ランプとアルカリ性水表示ランプとが設けられている。
【0003】
また、電解水生成装置は有隔膜電解槽を備え、有隔膜電解槽の陽極側電解室で酸性電解水が生成され、有隔膜電解槽の陰極側電解室でアルカリ性電解水が生成される。有隔膜電解槽の各電解室に配設された電極は所定時間毎に極性を反転させるように制御されており、有隔膜電解槽の各電解室は陽極側電解室と陰極側電解室とに交互に変更される。第1及び第2の導出管路は電解水生成装置の有隔膜電解槽の一方と他方の電解室に接続されており、一方の電解室を陽極側電解室と他方の電解室を陰極性電解室としているときには、第1の導出管路からアルカリ性電解水が注出され、第2の導出管路から酸性電解水が注出され、一方の電解室を陰極側電解室と他方の電解室を陽極性電解室としているときには、第1の導出管路から酸性電解水が注出され、第2の導出管路からアルカリ性電解水が注出される。
【0004】
第1注出スイッチは、酸性電解水及びアルカリ性電解水を連続または定量注出させるためのものである。第1導出管路が陽極側電解室に接続され、第2導出管路が陰極側電解室に接続された状態で、第1注出スイッチを操作すると、第1の導出管路の上側のアルカリ性水表示ランプが点灯した状態で第1の導出管路からアルカリ性電解水が連続または定量注出され、第2の導出管路の上側の酸性水表示ランプが点灯した状態で第2の導出管路から酸性電解水が連続または定量注出される。
【0005】
第2注出スイッチは、手洗い洗浄用に酸性電解水及びアルカリ性電解水を注出させるためのものである。第1導出管路が陽極側電解室に接続され、第2導出管路が陰極側電解室に接続された状態で、第2注出スイッチを操作すると、第1の導出管路からアルカリ性電解水が注出され、第2の導出管路から酸性電解水が注出され、第1の導出管路の上側のアルカリ性水表示ランプが一定時間点灯後に、第2導出管路の上側の酸性水表示ランプが一定時間点灯され、ランプの表示によってアルカリ性電解水で手の洗浄をさせた後で酸性電解水で手の殺菌洗浄をさせるように促している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-075664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の電解水注出装置が用いられる電解水生成装置は、例えば有効塩素濃度が異なる(性質の異なる)電解水(洗浄水)を生成可能としたものもあり、有効塩素濃度の異なる電解水を注出することにより、電解水を洗浄水として用いた洗浄、殺菌等の種々のニーズに対応することができる。また、上述した特許文献1に記載した電解水注出装置のような操作パネルに配設された複数の注出スイッチ(操作スイッチ)を操作することで、有効塩素濃度の異なる電解水を注出させるようにすることができる。この場合に、各注出スイッチに注出される電解水に含まれる有効塩素濃度を表示することで、所望の有効塩素濃度の電解水を選択して注出させることができるが、多くのユーザは有効塩素濃度に応じた電解水の用途を把握しているわけでない。このため、例えば、食材の殺菌に過剰な有効塩素濃度の電解水を注出させたり、テーブル等の拭き掃除に充分な有効塩素濃度に満たない電解水を注出させたりするおそれがあった。本発明は、性質の異なる複数種の洗浄水を選択または注出するための複数の操作ボタンを備えた洗浄水注出装置で、操作ボタンの操作によって選択または注出される洗浄水の性質を直感的に理解しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、洗浄に用いる洗浄水を注出する洗浄水注出装置であって、洗浄水注出装置は性質の異なる複数種の洗浄水を選択または注出するための複数の操作ボタンを操作パネルに備え、操作パネルには複数の操作ボタンに対応する位置に各操作ボタンによって選択または注出される洗浄水の性質に対応した図柄を表示したことを特徴とする洗浄水注出装置を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した洗浄水注出装置においては、操作パネルには複数の操作ボタンに対応する位置に各操作ボタンによって選択または注出される洗浄水の性質に対応した図柄を表示したので、ユーザは求められる洗浄水の性質に対応した操作ボタンを図柄から直感的に選んで操作することができ、所望の性質の洗浄水を注出させることができるようになる。
【0010】
上記のように構成した洗浄水注出装置においては、図柄は洗浄水の性質に対応した使用用途に関連した図柄とするのが好ましい。このようにしたときには、ユーザは洗浄水の使用用途に関連した図柄を選んで操作することで、使用用途に応じた洗浄水を直感的に選んで注出させることができる。また、図柄は洗浄水の性質に対応した被洗浄物に関連した図柄とするのが好ましい。このようにしたときには、ユーザは洗浄水の種類に対応した被洗浄物に関連した図柄を選んで操作することで、被洗浄物に応じた洗浄水を直感的に選んで注出させることができる。
【0011】
上記のように構成した洗浄水注出装置においては、洗浄水は電解水生成装置により生成された電解水であり、性質の異なる複数種の洗浄水は有効塩素濃度の異なる複数種の電解水としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電解水生成装置により生成された電解水を洗浄水として本発明の洗浄水注出装置により注出するときの概略図である。
図2】洗浄水注出装置の斜視図である。
図3】洗浄水注出装置の正面図である。
図4】操作パネルの正面図である。
図5】洗浄水注出装置と電解水生成装置の作動を制御する制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の洗浄水注出装置の一実施形態を添付図面を参照して説明する。図1に示したように、本実施形態の洗浄水注出装置10は、電解水生成装置20にて生成された電解水を洗浄水として注出するものであり、電解水生成装置20にて生成された有効塩素濃度(性質)の異なる3種(複数種)の電解水を洗浄水として注出するものである。
【0014】
図2及び図3に示したように、洗浄水注出装置10は、ケーシング11と、ケーシング11の前面に設けた操作パネル12と、ケーシング11の下部に設けられた非接触式の注出センサ13と、ケーシング11の下部から導出された洗浄水の注出管14とを備えている。操作パネル12には、有効塩素濃度の異なる電解水を選択または注出するための3つ(複数)の操作ボタン(第1~第3操作ボタン12a~12c)と、6つの表示ランプ(第1~第6表示ランプ12d~12i)が設けられている。
【0015】
図2図4に示したように、第1~第3操作ボタン12a~12cは左右に並べて配置されており、第1操作ボタン12aは有効塩素濃度が20ppmの電解水を選択または注出させる機能を有し、第2操作ボタン12bは有効塩素濃度が35ppm以上(35ppm~40ppm)の電解水を選択または注出させる機能を有し、第3操作ボタン12cは有効塩素濃度が80ppm以上(80ppm~85ppm)の電解水を選択または注出させる機能を有している。第1~第3操作ボタン12a~12cの一つを押動操作すると、注出管14から注出される電解水の有効塩素濃度(性質)が選択される。第1~第3操作ボタン12a~12cによって電解水の有効塩素濃度が選択された状態で注出センサ13により操作信号が電解水生成装置20に出力されると、選択された有効塩素濃度の電解水が電解水生成装置20で生成され、選択された有効塩素濃度の電解水が注出管14から注出される。また、第1~第3操作ボタン12a~12cの一つを長押し操作する(2秒以上押し続ける)と、長押し操作された第1~第3操作ボタン12a~12cに対応した有効塩素濃度の電解水を生成するための操作信号が電解水生成装置20に出力される。電解水生成装置20では第1~第3操作ボタン12a~12cに対応した有効塩素濃度の電解水が生成され、長押し操作された第1~第3操作ボタン12a~12cに対応した有効塩素濃度の電解水が注出管14から定量注出(例えば10秒間連続で注出)される。
【0016】
第1操作ボタン12aは有効塩素濃度が20ppmの電解水を選択または注出させる機能を有しており、有効塩素濃度が20ppmの電解水は流水掛け流し状態で野菜や魚介類等の食材を洗浄するのに適している。このため、図4に示したように、第1操作ボタン12aには「標準」の文字以外に、有効塩素濃度が20ppmの電解水に対応した被洗浄物に関連した図柄として洗浄に供される食材(この実施形態では魚と野菜)の図柄12a1が表示されている。
【0017】
第2操作ボタン12bは有効塩素濃度が35ppm以上の電解水を選択または注出させる機能を有しており、有効塩素濃度が35ppm以上の電解水は流水掛け流し状態で食器や器具等を洗浄するのに適している。このため、図4に示したように、第2操作ボタン12bには「35ppm以上」の文字以外に、有効塩素濃度が35ppm以上の電解水に対応した被洗浄物に関連した図柄として洗浄に供される器具(この実施形態では包丁とまな板)の図柄12b1が表示されている。
【0018】
第3操作ボタン12cは有効塩素濃度が80ppm以上の電解水を選択または注出させる機能を有しており、有効塩素濃度が80ppm以上の電解水は流水掛け流し状態で洗浄しにくい机や椅子等の大型の機器を拭き掃除による洗浄をするのに適している。このため、図4に示したように、第3操作ボタン12cには「80ppm以上」の文字以外に、有効塩素濃度が80ppm以上の電解水に対応した被洗浄物に関連した図柄として拭き掃除による洗浄に供される大型の機器(この実施形態では机と椅子)の図柄12c1が表示されている。
【0019】
第1~第3操作ボタン12a~12cの上側には第1~第3表示ランプ12d~12fが配置されており、第1~第3表示ランプ12d~12fは第1~第3操作ボタン12a~12cが選択されていることを表示するものである。第4表示ランプ12gは電解水が定量注出されていることを表示するものであり、第1~第3操作ボタン12a~12cの一つが長押し操作されて、注出管14から第1~第3操作ボタン12a~12cに応じた有効塩素濃度(性質)の電解水が定量注出(例えば10秒間連続で注出)されると、第4表示ランプ12gが点灯する。第5表示ランプ12hは電解水生成装置20で電解水が生成されていること表示するものであり、注出管14から注出される電解水が電解水生成装置20で生成されているときに、第5表示ランプ12hが点灯する。第6表示ランプ12iは、電解水生成装置20の電解質水溶液(電解液)が不足した状態、または、電解水生成装置20の点検が必要な状態であることを表示するものであり、電解水生成装置20の電解質水溶液(電解液)が不足した状態となると、第6表示ランプ12iが点灯し、電解水生成装置20の点検が必要な状態となると、第6表示ランプ12iが点滅する。
【0020】
図3に示したように、ケーシング11の下部には非接触式の注出センサ13が設けられている。注出センサ13は前側にかざした手等から発する赤外線を検出し、電解水生成装置20に電解水を生成する電解運転をさせるための操作信号を出力する。第1~第3操作ボタン12a~12cの一つを押動操作して電解水の有効塩素濃度を選択した状態で、注出センサ13の前側に手等をかざすと、選択されている有効塩素濃度の電解水が生成されるように注出センサ13から電解水生成装置20に操作信号が出力され、電解水生成装置20では選択された有効塩素濃度の電解水が生成される。
【0021】
図1に示したように、電解水生成装置20は、次亜塩素酸を含む電解水を洗浄水として生成するものであり、この実施形態の電解水生成装置20は、被電解水を電解槽21内で電気分解することで微酸性電解水を生成するものであり、pH5.0~6.5、有効塩素濃度10~80ppmの微酸性電解水を生成するものである。電解水生成装置20は、被電解水を電気分解する電解槽21と、電解槽21内に原水を供給する原水供給管路30と、原水に塩酸を含む電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路40と、電解槽21内の電極22,23に直流電圧を印加する電源装置50とを備えている。電解槽21は一室型の無隔膜電解槽であり、電解槽21には一対の電極22,23が配設されている。電解槽21には、水道等の給水源から原水を供給する原水供給管路30と、電解槽21で生成された微酸性電解水を注出する注出管路24とが接続されており、注出管路24は洗浄水注出装置10の注出管14に接続されている。
【0022】
原水供給管路30には減圧弁31と通水弁32が介装されている。給水源から原水供給管路30を通る原水は、減圧弁31によって圧力が下げられ、通水弁32の開放によって電解槽21に供給される。また、原水供給管路30には温度センサ33と流量センサ34が介装されており、温度センサ33は原水供給管路30を通過する原水の温度を検出し、流量センサ34は原水供給管路30を通過する原水の流量を検出する。
【0023】
原水供給管路30には電解質水溶液供給管路40が接続されている。電解質水溶液供給管路40は電解質水溶液タンク41から電解質水溶液を原水供給管路30に供給するものである。電解質水溶液タンク41内に貯えられた電解質水溶液は少なくとも塩酸を含むものであり、この実施形態では飽和塩化ナトリウム水溶液に塩酸を所定濃度となるように調製したものである。電解質水溶液供給管路40には送出ポンプ42が介装されており、電解質水溶液タンク41内の電解質水溶液は送出ポンプ42の作動によって電解質水溶液供給管路40を通って原水供給管路30に送られる。送出ポンプ42は、流量可変型のポンプであり、パルス信号によるポンプのストローク数によって流量が調節可能である。
【0024】
電源装置50は、電解槽21内の電極22,23に直流電圧を印加して、電解槽21内の被電解水を電気分解するものである。電源装置50と電極22との間には電流計51が接続されており、電流計51は電源装置50から電極22を接続する配線を流れる電流を計測することで、電解槽21を流れる電解電流を計測するものである。電極22,23の間には電圧計52が接続されており、電圧計52は電極22,23に印加される電圧を計測することで、電解槽21の電解電圧を計測するものである。
【0025】
図5に示したように、電解水生成装置20は制御装置60を備えており、制御装置60は、洗浄水注出装置10(操作パネル12の各スイッチ12a~12c、表示ランプ12d~12i)、通水弁32、温度センサ33、流量センサ34、送出ポンプ42、電源装置50、電流計51及び電圧計52に接続されている。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0026】
制御装置60は、ROMに電解水を生成する際の電解制御プログラムを備えており、電解制御プログラムは被電解水を電気分解するときの設定電流と設定電圧が電解水の要求特性(特に、有効塩素濃度)を満たすように設定されている。制御装置60は、電解水の要求特性を満たす設定電流と設定電圧となるように、電解制御プログラムの実行中に送出ポンプ42と電源装置50との作動を制御しており、電解槽21内では洗浄水注出装置10の操作パネル12の各操作ボタン12a~12cによって選択された有効塩素濃度の電解水が生成される。
【0027】
洗浄水注出装置10から電解水を洗浄水として注出するときには、ユーザが所望の有効塩素濃度に対応した第1~第3操作ボタン12a~12cの一つを押動操作して電解水の有効塩素濃度を選択した状態で注出センサ13の前側に手をかざすと、注出センサ13から選択した有効塩素濃度の電解水を生成するための操作信号が電解水生成装置20の制御装置60に出力される。
【0028】
電解水生成装置20の制御装置60に電解水を生成する操作信号が入力されると、通水弁32を開放するとともに送出ポンプ42を作動させることにより、電解槽21内には電解質水溶液が含まれる被電解水が供給される。電解槽21内の被電解水は電源装置50から電解槽21内で電極22,23に印可される電圧によって電気分解される。このとき、制御装置60は、押動操作された第1~第3操作ボタン12a~12cに対応した有効塩素濃度の電解水となるように、電流計51及び電圧計52の検出電流及び検出電圧に基づいて、送出ポンプ42及び電源装置50の作動を制御している。電解槽21内で電気分解によって生成された電解水は注出管路24を通って洗浄水注出装置10に送られ、電解水は洗浄水として洗浄水注出装置10の注出管14から注出される。
【0029】
上記のように構成した洗浄水注出装置10は、洗浄に用いる洗浄水を注出するものであり、性質の異なる3種(複数種)の洗浄水を選択または注出するための3つ(複数)の操作ボタン12a~12cを操作パネル12に備え、操作パネル12には3つ(複数)の操作ボタン12a~12cに対応する位置に各操作ボタン12a~12cによって選択または注出される洗浄水の性質に対応した図柄12a1~12c1が表示されている。この実施形態の洗浄水注出装置10は、電解水を洗浄水として注出するものであり、有効塩素濃度(性質)の異なる3種の電解水よりなる洗浄水を選択または注出するための3つの操作ボタン12a~12cを操作パネル12に備え、操作パネル12には3つの操作ボタン12a~12cに各操作ボタン12a~12cによって選択または注出される洗浄水の性質に対応した図柄12a1~12c1が表示されている。
【0030】
この実施形態においては、各操作ボタン12a~12cに表示されている図柄は、洗浄水の性質として有効塩素濃度に対応した図柄が表示されており、特に、洗浄水の性質として有効塩素濃度に対応した使用用途及び被洗浄物に関連した図柄が表示されている。具体的には、第1操作ボタン12aにより選択または注出される洗浄水は有効塩素濃度が20ppmの電解水であり、この性質の洗浄水は、被洗浄物として野菜や魚介類等の食材を注出管14から流水掛け流し状態で洗浄するのに適しており(使用用途)、第1操作ボタン12aには使用用途及び被洗浄物に関連した図柄として魚と野菜(流水掛け流し状態で洗浄できる食材)の図柄12a1が表示されている。また、第2操作ボタン12bにより選択または注出される洗浄水は有効塩素濃度が35ppm以上の電解水であり、この性質の洗浄水は、被洗浄物として食器や小型の器具等を流水掛け流し状態で洗浄するのに適しており(使用用途)、第2操作ボタン12bには使用用途及び被洗浄物に関連した図柄として包丁とまな板(流水掛け流し状態で洗浄できる器具)の図柄12b1が表示されている。また、第3操作ボタン12cにより選択または注出される洗浄水は有効塩素濃度が80ppm以上の電解水であり、この性質の洗浄水は、流水掛け流し状態で洗浄しにくい被洗浄物として机や椅子等の大型の機器を拭き掃除により洗浄するのに適しており(使用用途)、第3操作ボタン12cには使用用途及び被洗浄物に関連した図柄として机と椅子(流水掛け流し状態で洗浄できない大型の機器)の図柄12c1が表示されている。
【0031】
このように、操作パネル12には、3つの操作ボタン12a~12cに対応する位置に各操作ボタン12a~12cによって選択または注出される洗浄水の性質に対応した図柄12a1~12c1が表示されている。ユーザは3つの操作ボタン12a~12cから求められる有効塩素濃度(性質)の洗浄水に対応した操作ボタン12a~12cを図柄12a1~12c1から直感的に選んで操作することができ、ユーザが所望の有効塩素濃度(性質)の洗浄水を注出させることができるようになる。これによって、ユーザが、使用用途や被洗浄物に対応した洗浄水の有効塩素濃度を知得していなくても、操作ボタン12a~12cの図柄12a1~12c1を直感的に選んで操作することで、使用用途や被洗浄物に対応した適切な有効塩素濃度を含む洗浄水を注出させることができるようになる。
【0032】
なお、図柄は上述したものに限られるものでなく、第1操作ボタン12aに対応する位置に表示される図柄として魚や野菜以外の他の食材の図柄や、食材に洗浄水を掛け流している図柄等の使用用途または被洗浄物に関連した図柄を表示したものであってもよい。また、第2操作ボタン12bに対応する位置に表示される図柄として皿等の食器や他の調理器具等の図柄や、器具に洗浄水を掛け流している図柄等の使用用途または被洗浄物に関連した図柄を表示したものであってもよい。また、第3作ボタン12cに対応する位置に表示される図柄として椅子や机以外に調理台や冷蔵庫等の機器の図柄や、機器を拭き掃除する布巾の図柄や、布巾を洗浄水に濡らしている図柄等の使用用途または被洗浄物に関連した図柄を表示したものであってもよい。
【0033】
上記の洗浄水注出装置10においては、洗浄水は電解水生成装置20により生成された微酸性の電解水であり、性質の異なる複数種の洗浄水は有効塩素濃度の異なる複数種の電解水を用いたものであるが、これに限られるものでなく、有隔膜の電解槽にて生成された酸性(強酸性または弱酸性)の電解水とアルカリ性の電解水を注出するようにしたものであってもよい。この場合には、複数の操作ボタンに酸性とアルカリ性の電解水の性質に対応した図柄を表示するようにしてもよい。また、洗浄水注出装置により注出する洗浄水は、電解水生成装置により生成された電解水に限られるものでなく、洗浄水の性質として次亜塩素酸を含む洗浄水や他の洗浄及び殺菌成分を含む洗浄水としたものであってもよく、複数の操作ボタンに洗浄水の性質に対応した図柄を表示するようにしてもよい。
【0034】
上記の洗浄水注出装置10においては、操作パネル12には複数の操作ボタンとして3つの操作ボタン12a~12cが設けられているが、これに限られるものでなく、操作パネル12に2以上の操作ボタンを設けたものであってもよい。また、3つの操作ボタン12a~12cに対応する位置として各操作ボタン12a~12cに各図柄12a1~12c1を表示させているが、これに限られるものでなく、操作ボタン12a~12cに対応する位置として各操作ボタン12a~12cの周囲(例えば上側、下側、左側または右側)に各図柄12a1~12c1を表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10…洗浄水注出装置、12…操作パネル、12a~12c…操作ボタン、12a1~12c1…図柄。
図1
図2
図3
図4
図5