(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110418
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】電子機器および液晶表示の制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20220722BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20220722BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220722BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220722BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
G09G3/36
G06F3/14 320C
G09G3/20 621D
G09G3/20 680Z
G09G3/20 G
G02F1/133 505
G05B23/02 301Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005818
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】中野 誠也
【テーマコード(参考)】
2H193
3C223
5B069
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZC27
2H193ZH01
2H193ZH52
3C223AA30
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF13
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3C223HH15
3C223HH22
5B069AA18
5B069HA01
5C006AF31
5C006AF35
5C006AF42
5C006AF45
5C006BA11
5C080AA10
5C080EE01
5C080EE05
5C080EE13
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080KK25
(57)【要約】
【課題】ユーザに画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】このガス検知装置(電子機器)100は、1行単位で更新が行われる液晶表示部35と、液晶表示部35の表示を制御する制御部30と、を備える。制御部30は、複数の領域Aに分割された液晶表示部35の領域Aごとに画像を更新する制御を行うように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1行単位で更新が行われる液晶表示部と、
前記液晶表示部の表示を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の領域に分割された前記液晶表示部の前記領域ごとに画像を更新する制御を行うように構成されている、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の領域の各々において、更新が必要な連続して設けられる行を更新する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の領域の少なくとも2つの前記領域にわたって表示される所定の画像がある場合に、前記所定の画像が表示される前記領域同士の境界に、前記所定の画像の前記境界に沿った線を表示する制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記所定の画像は、グラフであり、
前記線は、前記グラフの目盛を示す目盛線である、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記グラフは、順次更新されるグラフである、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
検知対象のガスを検知するためのガス検知部をさらに備え、
前記液晶表示部には、前記ガス検知部による前記ガスの検知結果が表示される、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
1行単位で更新が行われる液晶表示部の表示を制御するステップ、を備え、
前記液晶表示部の表示を制御するステップは、複数の領域に分割された前記液晶表示部の前記領域ごとに画像を更新するステップを含む、液晶表示の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器および液晶表示の制御方法に関し、特に、液晶表示部を備える電子機器および液晶表示の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示部を備える電子機器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、記憶性液晶のディスプレイを備える画像表示装置(電子機器)が開示されている。この画像表示装置は、現在表示されている画像と、更新後の画像とに基づいて、ディスプレイの更新領域を決定するように構成されている。具体的には、この画像表示装置は、現在表示されている画像と、更新後の画像とを含む領域を、ディスプレイの更新領域として決定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された画像表示装置では、現在表示されている画像と、更新後の画像とを含む領域を、ディスプレイの更新領域として決定するため、現在表示されている画像と、更新後の画像とが同じ画像部分を含む場合にも、本来更新が不要な同じ画像部分もディスプレイの更新領域として決定されてしまうという不都合がある。この場合、更新が不要な部分まで画像の更新を行う必要があるため、本来更新すべき部分の画像の更新が遅れてしまう。この結果、ユーザに画像の更新が遅れがちな(更新が遅い)印象を与えるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ユーザに画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することが可能な電子機器および液晶表示の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による電子機器は、1行単位で更新が行われる液晶表示部と、液晶表示部の表示を制御する制御部と、を備え、制御部は、複数の領域に分割された液晶表示部の領域ごとに画像を更新する制御を行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による電子機器では、上記のように、制御部を、複数の領域に分割された液晶表示部の領域ごとに画像を更新する制御を行うように構成する。これにより、液晶表示部の領域ごとに画像が更新されるので、更新が必要な領域の画像の更新だけを行い、更新が不要な領域の画像の更新を行わないようにすることができる。その結果、更新が不要な部分まで画像の更新を行う場合と異なり、本来更新すべき画像の更新が遅れることを抑制することができる。これにより、ユーザに画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、複数の領域の各々において、更新が必要な連続して設けられる行を更新する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、複数の領域の各々において、更新が必要な連続して設けられる行(更新が必要な連続する複数の行からなる更新部分)を更新するので、複数の領域の各々において、画像の更新を迅速に行うことができる。
【0010】
上記第1の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、複数の領域の少なくとも2つの領域にわたって表示される所定の画像がある場合に、所定の画像が表示される領域同士の境界に、所定の画像の境界に沿った線を表示する制御を行うように構成されている。ここで、液晶表示部を複数の領域に分割した場合に、複数の領域の少なくとも2つの領域にわたって表示される所定の画像がある場合、所定の画像の更新が、2回以上に分割されて行われることになる。この場合、領域同士の境界において、所定の画像がずれたような表示になるため、ユーザに視覚的な違和感を与える場合がある。そこで、上記のように、複数の領域の少なくとも2つの領域にわたって表示される所定の画像がある場合に、所定の画像が表示される領域同士の境界に、所定の画像の境界に沿った線を表示すれば、領域同士の境界と、所定の画像の境界に沿った線とを合わせることができるので、所定の画像の境界に沿った線の位置(区切りのように見える位置)において、所定の画像がずれたような表示になるようにすることができる。その結果、領域同士の境界と、所定の画像の境界に沿った線とを合わせない場合に比べて、ユーザの視覚的な違和感を軽減することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、所定の画像は、グラフであり、線は、グラフの目盛を示す目盛線である。このように構成すれば、領域同士の境界と、グラフの目盛線とを合わせることができるので、グラフの目盛線の位置(区切りのように見える位置)において、グラフがずれたような表示になるようにすることができる。その結果、グラフを更新する場合において、ユーザの視覚的な違和感を軽減することができる。
【0012】
上記所定の画像がグラフである構成において、好ましくは、グラフは、順次更新されるグラフである。このように構成すれば、ユーザの視覚的な違和感が発生しやすい順次更新されるグラフにおいて、領域同士の境界と、グラフの目盛線とを合わせて、ユーザの視覚的な違和感を効果的に軽減することができる。
【0013】
上記第1の局面による電子機器において、好ましくは、検知対象のガスを検知するためのガス検知部をさらに備え、液晶表示部には、ガス検知部によるガスの検知結果が表示される。このように構成すれば、ガス検知装置としての電子機器において、本来更新すべきガスの検知結果の画像の更新が遅れることを抑制することができるので、ユーザにガスの検知結果の画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による液晶表示の制御方法は、1行単位で更新が行われる液晶表示部の表示を制御するステップ、を備え、液晶表示部の表示を制御するステップは、複数の領域に分割された液晶表示部の領域ごとに画像を更新するステップを含む。
【0015】
この発明の第2の局面による液晶表示の制御方法では、上記のように、液晶表示部の表示を制御するステップを、複数の領域に分割された液晶表示部の領域ごとに画像を更新するステップを含むように構成する。これにより、上記第1の局面による電子機器と同様に、ユーザに画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することが可能な液晶表示の制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、ユーザに画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態によるガス検知装置を示した模式図である。
【
図2】一実施形態によるガス検知装置を示したブロック図である。
【
図3】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部の表示を説明するための模式図である。
【
図4】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部の分割された複数の領域を説明するための模式図である。
【
図5】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部の領域分割した場合の更新を説明するための模式図である。
【
図6】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部の領域分割しない場合の更新を説明するための模式図である。
【
図7】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部のグラフの表示を説明するための模式図である。
【
図8】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部のグラフの目盛線と領域同士の境界とを合わせたことを説明するための模式図である。
【
図9】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部のグラフの目盛線と領域同士の境界を合わせた場合の更新を説明するための模式図である。
【
図10】一実施形態によるガス検知装置の液晶表示部のグラフの目盛線と領域同士の境界を合わせない場合の更新を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1~
図10を参照して、一実施形態によるガス検知装置100の構成について説明する。なお、ガス検知装置100は、特許請求の範囲の「電子機器」の一例である。
【0020】
(ガス検知装置の構成)
ガス検知装置100は、
図1に示すように、ガス導入部11から流入した被検知ガス1を検知するガス検知装置である。ガス検知装置100は、検査箇所に存在する被検知ガス1をガス導入部11から取得して、取得した被検知ガス1の濃度を検出するように構成されている。なお、被検知ガスとは、ガス検知装置100が検知すべき検知対象のガスである。
【0021】
ガス検知装置100は、ガス流路10と、第1ガス検知部21と、第2ガス検知部22と、第3ガス検知部23と、第4ガス検知部24と、制御部30と、第1ポンプ41と、第2ポンプ42と、希釈部50と、を備えている。
図1に示した各部(第1ガス検知部21、第2ガス検知部22、第3ガス検知部23、第4ガス検知部24、制御部30、第1ポンプ41、第2ポンプ42、希釈部50)は、ガス検知装置100の筐体5内に収容されている。筐体5は、箱状形状を有するガス検知装置100の外装である。なお、第1ガス検知部21、第2ガス検知部22、第3ガス検知部23、および、第4ガス検知部24は、いずれも、特許請求の範囲の「ガス検知部」の一例である。
【0022】
ガス流路10は、ガス導入部11と排気口12および排気口13とを接続している。ガス流路10は、ガスを流通させるための管部材(ガスチューブなど)の組み合わせにより構成されている。第1ポンプ41および第2ポンプ42を含む吸引手段によって、外部の被検知ガス1がガス導入部11から吸引され、ガス流路10を通じて排気口12および排気口13へ送り出される。
【0023】
ガス流路10は、低濃度検知流路10aと、高濃度検知流路10bと、を含むように分岐部14において分岐している。ガス流路10は、上流端でガス導入部11と接続されるとともに、低濃度検知流路10aおよび高濃度検知流路10bの各下流端でそれぞれ別々の(合計2個の)排気口12および排気口13と接続されている。低濃度検知流路10aは、相対的に低濃度の被検知ガス1を検知するための流路である。高濃度検知流路10bは、相対的に高濃度の被検知ガス1を検知するための流路である。
【0024】
ガス導入部11と分岐部14との間に、第1ポンプ41が配置されている。第1ポンプ41は、ガス導入部11からガス流路10内に被検知ガス1を吸引して、下流側の低濃度検知流路10aおよび高濃度検知流路10bへ送り出す。低濃度検知流路10aでは、第1ポンプ41から送り出された被検知ガス1が、第1ガス検知部21、第2ガス検知部22を通過して、排気口12へ送り出される。
【0025】
低濃度検知流路10aは、分岐部14と排気口12とを接続している。低濃度検知流路10aには、第1ガス検知部21、および、第2ガス検知部22が設けられている。低濃度検知流路10aの排気口12には、ガスの流入防止のための逆止弁が設けられている。
【0026】
高濃度検知流路10bは、低濃度検知流路10aと並列的に設けられており、分岐部14と排気口13とを接続している。高濃度検知流路10bには、第3ガス検知部23、および、第4ガス検知部24が設けられている。また、高濃度検知流路10bには、希釈部50、および、第2ポンプ42が設けられている。
【0027】
〈低濃度検知流路〉
第1ガス検知部21は、ガス流路10に導入された被検知ガス1を検知するように構成されている。第2ガス検知部22は、ガス流路10の第1ガス検知部21より下流において、被検知ガス1を検知するように構成されている。
【0028】
第1ガス検知部21および第2ガス検知部22は、いずれも、ガス検知素子により構成されている。ガス検知素子は、被検知ガス1との接触により、被検知ガス1の濃度に応じた信号を出力する。ガス検知素子は、特に限定されないが、本実施形態では接触燃焼式ガス検知素子である。接触燃焼式ガス検知素子は、ヒータ電極を構成する貴金属線コイルに、燃焼触媒を担持させた金属酸化物からなる感応層が設けられた構造を有する。接触燃焼式ガス検知素子は、通電発熱により動作温度まで加熱された感応層が被検知ガス1に接触すると、触媒作用により被検知ガス1の接触燃焼を生じ、接触燃焼に伴う温度変化に起因して素子の電気抵抗値が変化する。この電気抵抗値の変化が、図示しない検出回路を介して、ガス濃度に応じた出力信号として制御部30により取得される。
【0029】
第1ガス検知部21と第2ガス検知部22とは、複数の検知対象成分に対して感度を有するとともに、検知対象成分に対する感度特性が異なる。本実施形態では、第1ガス検知部21および第2ガス検知部22の両方の出力に基づいて、被検知ガス1に含まれるガス種および濃度が検知される。このように、本実施形態のガス検知装置100は、複数種類の被検知ガス1(ガス種)を検知可能に構成されている。なお、ガス種および濃度の検知手法については、後述する。
【0030】
このように、低濃度検知流路10aでは、上流側から下流側に向かって、分岐部14、第1ガス検知部21、第2ガス検知部22、および、排気口12が、この順で配置されている。
【0031】
〈高濃度検知流路〉
高濃度検知流路10bでは、上流側から下流側に向かって、希釈部50、第4ガス検知部24、第3ガス検知部23、第2ポンプ42、および、排気口13が、この順で配置されている。
【0032】
希釈部50は、高濃度検知流路10bに流入する被検知ガス1を外部空気と混合することによって希釈するように構成されている。希釈部50は、空気導入部51と、絞り弁52と、を含んでいる。空気導入部51は、筐体5から外部に開口するように設けられた吸引口である。絞り弁52は、空気導入部51と分岐部14との間に設けられ、開度調整可能に構成されている。絞り弁52の開度調整により、分岐部14からの被検知ガス1と、空気導入部51からの外部空気との混合比率(つまり、被検知ガス1の希釈割合)が調整可能である。希釈部50は、たとえば、高濃度検知流路10bに流入する被検知ガス1を外部空気により25倍に希釈する。
【0033】
第3ガス検知部23および第4ガス検知部24は、第1ガス検知部21および第2ガス検知部22よりも高濃度の被検知ガス1を検知するように構成されている。
【0034】
第3ガス検知部23および第4ガス検知部24は、それぞれ、ガス検知素子により構成されている。本実施形態では、第3ガス検知部23は、第1ガス検知部21と同じガス検知素子により構成されている。第4ガス検知部24は、第2ガス検知部22と同じガス検知素子により構成されている。したがって、第3ガス検知部23と第4ガス検知部24とは、検知対象成分に対する感度特性が異なる。そして、第3ガス検知部23および第4ガス検知部24の両方の出力に基づいて、被検知ガス1に含まれるガス種および濃度が検知される。
【0035】
第3ガス検知部23および第4ガス検知部24は、所定倍率(25倍)に希釈された被検知ガス1に対して信号出力を行う。第3ガス検知部23および第4ガス検知部24の出力に基づき、制御部30において、希釈倍率を考慮した実際の(希釈前の)被検知ガス1の濃度値が取得される。これにより、第3ガス検知部23および第4ガス検知部24では、第1ガス検知部21および第2ガス検知部22による測定濃度範囲よりも高い上限濃度値の濃度範囲における被検知ガス1が検知可能となっている。
【0036】
一例として、本実施形態では、被検知ガス1は、燃料ガスである。ガス検知装置100は、燃料ガスのうち、都市ガス(13Aの都市ガスなど)、LPガス、メタンガスの3種のガス種および濃度が検知可能である。低濃度検知流路10aの第1ガス検知部21および第2ガス検知部22では、測定濃度範囲として、0%LEL~100%LELまでのLEL濃度値が検知される。高濃度検知流路10bの第3ガス検知部23および第4ガス検知部24では、測定濃度範囲として、0%VOL~100%VOLまでのVOL濃度値が検知される。LELは、爆発下限界(Lower Explosive Limit)の略語であり、100%LELがそのガス種における爆発下限界濃度値である。VOL濃度値は、単位体積当たりの被検知ガス1の割合(体積比)を百分率で示した値である。ガス種によるが、100%LELは、数%VOL程度である。
【0037】
第2ポンプ42は、高濃度検知流路10bの第3ガス検知部23と排気口13との間に配置されている。第2ポンプ42は、希釈部50における空気導入部51から高濃度検知流路10b内に外部空気を吸引するとともに、絞り弁52から被検知ガス1を高濃度検知流路10b内に吸引して、被検知ガス1を希釈させる。第2ポンプ42は、希釈された被検知ガス1を排気口13まで送り出す。
【0038】
〈制御系〉
ガス検知装置100は、
図2に示すように、上記した制御部30に加えて、記憶部31と、電源部32と、スピーカ33と、表示操作部34と、液晶表示部35とを備えている。
【0039】
制御部30は、CPUなどのプロセッサと、RAMなどのメモリとを含んでいる。記憶部31は、半導体記憶素子などにより構成されている。制御部30は、記憶部31に記憶された動作プログラムを実行することにより、ガス検知装置100の全体を制御する制御部として機能する。制御部30は、第1ポンプ41および第2ポンプ42の動作を制御するように構成されている。制御部30は、第1ガス検知部21、第2ガス検知部22、第3ガス検知部23、および、第4ガス検知部24に対する検知動作の制御を行うように構成されている。
【0040】
電源部32は、ガス検知装置100の各部(制御部30、記憶部31、スピーカ33、表示操作部34、液晶表示部35、第1ポンプ41、第2ポンプ42、各ガス検知部)への電力供給を行う。本実施形態のガス検知装置100は、バッテリ式であり、電源部32は、電池および電力供給用の回路により構成されている。電源部32は、外部の商用電源に接続可能であってもよい。
【0041】
スピーカ33は、制御部30の制御の下、各種の音声を出力するように構成されている。表示操作部34は、たとえば機械式ボタンなどの入力装置を含むように構成されている。液晶表示部35は、所定の解像度(たとえば、400列×240行)の液晶モニタを含むように構成されている。また、液晶表示部35は、1行単位で更新が行われるように構成されている。
【0042】
制御部30は、各ガス検知部による検知結果、ガス検知装置100の状態(バッテリ残量やエラーの有無)などの各種情報を液晶表示部35に表示させるように構成されている。制御部30は、表示操作部34を介して検知動作の開始指示などの入力操作を受け付ける。検知結果は、被検知ガス1のガス種を示す情報、および、検知されたガス種の濃度情報を含んでいる。制御部30は、たとえば検知したガス濃度値が、LEL範囲(0%LEL~100%LEL)内で表示可能であれば、濃度情報をLEL濃度値で表示させ、LEL範囲を越えた高濃度値の場合、濃度情報をVOL濃度値で表示させる。
【0043】
(液晶表示部の表示の制御)
図3に示すように、制御部30は、液晶表示部35の表示を制御するように構成されている。具体的には、制御部30は、1行単位で液晶表示部35の画像を更新する制御を行うように構成されている。より具体的には、制御部30は、液晶表示部35の画像を更新する場合、一度の更新で、更新が必要な連続して設けられる行を更新する制御を行うように構成されている。更新が必要な連続して設けられる行からなる更新部分を定期的に液晶表示部35に送信することにより、液晶表示部35の画像が順次更新される。
【0044】
また、制御部30は、DMA(Direct Memory Access)でバッググラウンド送信する方式で、液晶表示部35の画像の更新を行うように構成されている。具体的には、制御部30は、更新部分に対応する送信先の行のアドレスと、更新部分に対応する画像データとのセットをRAM上に記憶するとともに、更新部分に対応するセットをDMAでRAMから液晶表示部35にバッググラウンド送信する制御を行うように構成されている。これにより、液晶表示部35の更新部分の画像がDMAで更新される。
【0045】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、制御部30は、複数(6つ)の領域Aに分割された液晶表示部35の領域Aごとに画像を更新する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部30は、複数の領域Aの各々において、更新が必要な連続して設けられる行を更新する制御を行うように構成されている。より具体的には、制御部30は、液晶表示部35の画像を更新する場合、複数の領域Aのうち、更新対象の領域Aにおいて、更新が必要な連続して設けられる行からなる更新部分を更新する制御を行うように構成されている。なお、更新対象の領域Aの全部が更新部分である場合には、更新対象の領域Aの全部(すなわち、更新対象の領域Aの全部の行)が更新されるが、更新対象の領域Aの全部が必ず更新されなければならないわけではない。更新対象の領域Aの一部が更新部分である場合には、更新対象の領域Aの一部(すなわち、更新対象の領域Aの一部の連続する行)が更新される。
【0046】
なお、
図4では、理解の容易化のため、領域A同士の境界Bを破線により示しているが、実際の液晶表示部35には、領域A同士の境界Bは表示されていない。
【0047】
複数の領域Aは、まとめて更新されることが多い単位で区切られている。具体的には、複数の領域Aは、上バー、タイトルバー、識別結果、メイン領域上部、メイン領域下部、および、下バーを含んでいる。
図4に示す例では、上バーの領域Aには、電池残量、日時、および、ポンプアイコンが表示されている。また、タイトルバーの領域Aには、表示の種類(
図4では、「MONITOR」)、および、表示されている濃度がLPG換算であることが表示されている。また、識別結果の領域Aには、識別したガスの種類(
図4では、「LPG etc」)が表示されている。また、メイン領域上部の領域Aおよびメイン領域下部の領域Aには、ガス濃度が表示されている。下バーの領域Aには、ボタン操作などによる遷移先の表示の種類(
図4では、「GRAPH」)が表示されている。また、複数の領域Aは、連続して設けられる複数の行を含むようにソフトウェア的に設定されている。すなわち、液晶表示部35は、ソフトウェア的に複数の領域Aに分割されている。
【0048】
ここで、
図5を参照して、液晶表示部35の画像の更新の一例を説明する。
図5では、上バーの領域Aのポンプアイコンと、メイン領域上部の領域Aおよびメイン領域下部の領域Aのガス濃度を書き換える例を示している。
【0049】
この場合、
図5に示すように、まず、上バーの領域Aのポンプアイコンを含む連続する行からなる更新部分が、液晶表示部35に送信される。これにより、上バーの領域Aのポンプアイコンを含む連続する行からなる更新部分が更新される。そして、次の送信タイミングで、メイン領域上部の領域Aのガス濃度を含む連続する行からなる更新部分が、液晶表示部35に送信される。これにより、メイン領域上部の領域Aのガス濃度を含む連続する行からなる更新部分が更新される。そして、次の送信タイミングで、メイン領域下部の領域Aのガス濃度を含む連続する行からなる更新部分が、液晶表示部35に送信される。これにより、メイン領域下部の領域Aのガス濃度を含む連続する行からなる更新部分が更新される。
図5に示す例では、上バーの領域A、メイン領域上部の領域Aおよびメイン領域下部の領域Aを含む更新が必要な領域Aの画像の更新だけが行われ、タイトルバーの領域Aおよび識別結果の領域Aを含む更新が不要な領域A(画像の変更がない領域A)の画像の更新は行われない。
【0050】
一方、液晶表示部35を複数の領域Aに分割しない場合には、
図6に示すような、液晶表示部35の画像の更新が行われる。具体的には、
図6に示す例では、ポンプアイコンと、ガス濃度とを含む連続する行からなる更新部分が液晶表示部35に送信されて、更新される。この場合、タイトルバーの領域Aおよび識別結果の領域Aを含む更新が不要な領域Aの画像の更新が行われるため、画像の更新に要する時間が増加し、ユーザに画像の更新が遅れがちな印象を与えることとなる。
【0051】
図7および
図8に示すように、本実施形態では、制御部30は、複数の領域Aの少なくとも2つの領域Aにわたって表示される所定の画像60がある場合に、所定の画像60が表示される領域A同士の境界Bに、所定の画像60の境界Bに沿った線70を表示する制御を行うように構成されている。言い換えると、制御部30は、複数の領域Aの少なくとも2つの領域Aにわたって表示される所定の画像60がある場合に、所定の画像60が表示される領域A同士の境界Bに、所定の画像60の境界Bに沿った線70が一致する(重なる)ように、所定の画像60を表示する制御を行うように構成されている。
【0052】
また、本実施形態では、所定の画像60は、グラフである。具体的には、グラフは、順次更新されるグラフである。より具体的には、グラフは、ガスの検知結果(ガス濃度およびガス種類など)を示す棒グラフであり、時間と共に変化するガスの検知結果を表示するために順次更新されるグラフである。
図7および
図8に示すグラフでは、縦軸がガス濃度を示し、横軸が時間を示している。また、
図7および
図8に示すグラフは、一定の時間間隔で、図面左側にずれながら、順次更新されるように構成されている。また、
図7および
図8に示すグラフは、メイン領域上部の領域Aおよびメイン領域下部の領域Aの2つの領域Aにわたって表示されている。
【0053】
また、本実施形態では、領域A同士の境界Bと一致する線70は、グラフの目盛を示す目盛線である。具体的には、目盛線は、縦軸の目盛線であり、ガス濃度の目盛線である。また、目盛線は、グラフの中央値を示す目盛線である。また、グラフは、細線(でかつ破線)で表された複数(8つ)の第1目盛線71と、第1目盛線よりも太い太線(でかつ実線)で表された1つの第2目盛線72とを含んでいる。第1目盛線71と、第2目盛線72とのうち、領域A同士の境界Bと一致する線70としての目盛線は、第2目盛線72である。また、
図7および
図8に示すグラフでは、線70は、メイン領域上部の領域Aとメイン領域下部の領域Aとの境界Bと一致するように表示されている。
【0054】
ここで、
図9を参照して、液晶表示部35の所定の画像60であるグラフの更新の一例を説明する。
【0055】
図9に示すように、まず、メイン領域上部の領域Aのグラフを含む連続する行からなる更新部分が、液晶表示部35に送信される。これにより、メイン領域上部の領域Aのグラフを含む連続する行からなる更新部分が更新される。この際、メイン領域上部の領域Aとメイン領域下部の領域Aとの境界Bにおいて、グラフがずれたような表示になる。しかしながら、メイン領域上部の領域Aとメイン領域下部の領域Aとの境界Bと、グラフの線70とを合わせているので、丁度区切りのように見える位置において、グラフがずれたような表示になるようにすることが可能である。その結果、グラフがずれたような表示になったとしても、ユーザに視覚的な違和感を与えることを軽減することが可能である。
【0056】
そして、次の送信タイミングで、メイン領域下部の領域Aのグラフを含む連続する行からなる更新部分が、液晶表示部35に送信される。これにより、メイン領域下部の領域Aのグラフを含む連続する行からなる更新部分が更新される。その結果、グラフのずれたような表示が解消される。その後、グラフは、一定の時間間隔で、ガスの検知結果が更新されるごとに、図面左側にずれながら、順次更新されていくこととなる。
【0057】
一方、グラフの目盛線と境界Bとを合わせない場合には、
図10に示すような、液晶表示部35の所定の画像60であるグラフの更新が行われる。具体的には、
図10に示す例では、細線である第1目盛線71の間に、メイン領域上部の領域Aとメイン領域下部の領域Aとの境界Bが存在している。この場合、メイン領域上部の領域Aのグラフを含む連続する行からなる更新部分が、液晶表示部35に送信されて更新されると、グラフの目盛線と合わせていないメイン領域上部の領域Aとメイン領域下部の領域Aとの境界Bにおいて、グラフがずれたような表示になる。
図10に示す例では、メイン領域上部の領域Aとメイン領域下部の領域Aとの境界Bと、グラフの線70とを合わせていないので、空白部分の位置において、グラフがずれたような表示になる。その結果、グラフがずれたような表示になることに起因してユーザに視覚的な違和感を与えることとなる。また、液晶表示部35の更新制御よりも優先する他の制御により、液晶表示部35の更新制御が遅延した場合には、ユーザへ与える視覚的な違和感がさらに増加する。また、グラフが順次更新される場合には、グラフの順次更新ごとに、グラフがずれたような表示になるため、ユーザに視覚的な違和感を頻繁に与えることとなる。
【0058】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0059】
本実施形態では、上記のように、制御部30を、複数の領域Aに分割された液晶表示部35の領域Aごとに画像を更新する制御を行うように構成する。これにより、液晶表示部35の領域Aごとに画像が更新されるので、更新が必要な領域Aの画像の更新だけを行い、更新が不要な領域Aの画像の更新を行わないようにすることができる。その結果、更新が不要な部分まで画像の更新を行う場合と異なり、本来更新すべき画像の更新が遅れることを抑制することができる。これにより、ユーザに画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、制御部30は、複数の領域Aの各々において、更新が必要な連続して設けられる行を更新する制御を行うように構成されている。これにより、複数の領域Aの各々において、更新が必要な連続して設けられる行(更新が必要な連続する複数の行からなる更新部分)を更新するので、複数の領域Aの各々において、画像の更新を迅速に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、制御部30は、複数の領域Aの少なくとも2つの領域Aにわたって表示される所定の画像60がある場合に、所定の画像60が表示される領域A同士の境界Bに、所定の画像60の境界Bに沿った線70を表示する制御を行うように構成されている。ここで、液晶表示部35を複数の領域Aに分割した場合に、複数の領域Aの少なくとも2つの領域Aにわたって表示される所定の画像60がある場合、所定の画像60の更新が、2回以上に分割されて行われることになる。この場合、領域A同士の境界Bにおいて、所定の画像60がずれたような表示になるため、ユーザに視覚的な違和感を与える場合がある。そこで、上記のように、複数の領域Aの少なくとも2つの領域Aにわたって表示される所定の画像60がある場合に、所定の画像60が表示される領域A同士の境界Bに、所定の画像60の境界Bに沿った線70を表示すれば、領域A同士の境界Bと、所定の画像60の境界Bに沿った線70とを合わせることができるので、所定の画像60の境界Bに沿った線70の位置(区切りのように見える位置)において、所定の画像60がずれたような表示になるようにすることができる。その結果、領域A同士の境界Bと、所定の画像60の境界Bに沿った線70とを合わせない場合に比べて、ユーザの視覚的な違和感を軽減することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、所定の画像60は、グラフであり、線70は、グラフの目盛を示す目盛線である。これにより、領域A同士の境界Bと、グラフの目盛線とを合わせることができるので、グラフの目盛線の位置(区切りのように見える位置)において、グラフがずれたような表示になるようにすることができる。その結果、グラフを更新する場合において、ユーザの視覚的な違和感を軽減することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、グラフは、順次更新されるグラフである。これにより、ユーザの視覚的な違和感が発生しやすい順次更新されるグラフにおいて、領域A同士の境界Bと、グラフの目盛線とを合わせて、ユーザの視覚的な違和感を効果的に軽減することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、検知対象のガスを検知するためのガス検知部21~24をさらに備え、液晶表示部35には、ガス検知部21~24によるガスの検知結果が表示される。これにより、ガス検知装置100としての電子機器において、本来更新すべきガスの検知結果の画像の更新が遅れることを抑制することができるので、ユーザにガスの検知結果の画像の更新が遅れがちな印象を与えることを抑制することができる。
【0065】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0066】
たとえば、上記実施形態では、本発明が、ガス検知装置としての電子機器に適用される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、液晶表示部を備える電子機器であれば、ガス検知装置以外の電子機器に適用されてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ガス検知装置が、4つのガス検知部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガス検知装置が、1~3または5つ以上のガス検知部を備えていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、ガス検知装置の検知対象のガスが、燃料ガス(都市ガス、LPガス、メタンガスなど)である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガス検知装置の検知対象のガスが、燃料ガス以外のガスであってもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、液晶表示部が、6つの領域に分割されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、液晶表示部が、2~5または7つ以上の領域に分割されていてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、複数の領域の少なくとも2つの領域にわたって表示される所定の画像が、グラフである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の領域の少なくとも2つの領域にわたって表示される所定の画像が、グラフ以外の表などであってもよい。所定の画像が表である場合には、領域同士の境界に、領域同士の境界に沿った表の罫線を表示してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、所定の画像が、2つの領域にわたって表示される画像である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の画像が、3つ以上の領域にわたって表示される画像であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、グラフが、棒グラフである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、グラフが、棒グラフ以外の折れ線グラフなどであってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、領域同士の境界と一致する線が、グラフの目盛線である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、領域同士の境界と一致する線が、グラフの目盛線以外の線であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
21 第1ガス検知部(ガス検知部)
22 第2ガス検知部(ガス検知部)
23 第3ガス検知部(ガス検知部)
24 第4ガス検知部(ガス検知部)
30 制御部
35 液晶表示部
60 所定の画像
70 線
100 ガス検知装置(電子機器)
A 領域
B 境界