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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110433
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】パネル構造体及びパネル板
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/38 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
E04C2/38 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005845
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】久田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 厳己
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162BB03
2E162CA24
(57)【要約】
【課題】パネル板の施工時の作業性を向上できるパネル構造体及びパネル板を提供する。
【解決手段】重力方向下側に位置する下辺部10A及び当該下辺部10Aの両端部に接続された一対の側辺部10B,10Cを有するパネル板10と、下辺部10Aに当接してパネル板10を支持する下辺支持体20と、下辺部10Aから離間して配置され、下辺支持体20を固定する第1固定枠31と、を備え、下辺部10Aの少なくとも1箇所には、凹状に切り欠かれた切り欠き部40が形成されており、下辺支持体20は、切り欠き部40に係合する係合部50を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力方向下側に位置する下辺部及び当該下辺部の両端部に接続された一対の側辺部を有するパネル板と、
前記下辺部に当接して前記パネル板を支持する下辺支持体と、
前記下辺部から離間して配置され、前記下辺支持体を固定する第1固定枠と、を備え、
前記下辺部の少なくとも1箇所には、凹状に切り欠かれた切り欠き部が形成されており、
前記下辺支持体は、前記切り欠き部に係合する係合部を有しているパネル構造体。
【請求項2】
前記第1固定枠に固定され、前記下辺部に接続された下側板面と対向する保持部材と、
前記下側板面と前記保持部材との間に配置されるシール部材と、を更に備えた請求項1に記載のパネル構造体。
【請求項3】
前記パネル板は、前記下辺部の前記両端部が第1端部および当該第1端部より低い第2端部となるように傾斜して配置されており、
前記第2端部に接続された前記側辺部と対向する第1側辺支持体と、
前記第1側辺支持体を固定する第2固定枠と、を更に備え、
前記下辺部の1箇所のみに前記切り欠き部が形成されている請求項1又は2に記載のパネル構造体。
【請求項4】
前記第2固定枠と前記第1側辺支持体との間に配置され、前記第1側辺支持体を支持する第1支持部材を更に備え、
前記第2固定枠が水平面に対して平行に配置されており、前記第1支持部材が前記第1側辺支持体のうち重力方向下側に位置する下辺部分の中央を挟む2箇所以上で接することによって前記第1側辺支持体を支持している請求項3に記載のパネル構造体。
【請求項5】
前記第1側辺支持体は、前記第2固定枠にボルトで固定されている請求項3に記載のパネル構造体。
【請求項6】
前記第1端部に接続された前記側辺部と対向する第2側辺支持体と、
前記第2側辺支持体を固定する第3固定枠と、を更に備えた請求項3から5のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項7】
前記第3固定枠と前記第2側辺支持体との間に配置され、前記第2側辺支持体を支持する第2支持部材を更に備え、
前記第3固定枠が水平面に対して平行に配置されており、前記第2支持部材が前記第2側辺支持体のうち重力方向下側に位置する下辺部分の中央を挟む2箇所以上で接することにより前記第2側辺支持体を支持している請求項6に記載のパネル構造体。
【請求項8】
前記第2側辺支持体は、前記第3固定枠にボルトで固定されている請求項6に記載のパネル構造体。
【請求項9】
前記切り欠き部は、前記パネル板の板面に垂直となる方向視において円の一部を切り欠いた弓形凹状であり、
前記係合部は、円の一部を切り欠いた弓形凸状である請求項1から8のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項10】
前記係合部の半径は、前記パネル板の厚みよりも大きい請求項9に記載のパネル構造体。
【請求項11】
前記パネル板は、前記第1固定枠に沿って配置された第1パネル板及び第2パネル板を有し、前記第1パネル板及び前記第2パネル板の前記下辺部の夫々に前記切り欠き部が形成されている請求項1から10のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項12】
前記パネル板は、前記第1パネル板と前記第2パネル板との間に、前記第1固定枠に沿って配置される少なくとも1枚のパネル板を有し、全てのパネル板に前記切り欠き部が形成されている請求項11に記載のパネル構造体。
【請求項13】
前記パネル板は、1枚のパネル板によって構成されている請求項1から10のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項14】
前記下辺支持体は、前記係合部を有するセッティングブロックと、前記セッティングブロック及び前記第1固定枠の間に配置される支持土台とによって構成される請求項1から13のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項15】
前記下辺支持体は、前記セッティングブロック及び前記支持土台が一体の樹脂材によって構成される請求項14に記載のパネル構造体。
【請求項16】
前記セッティングブロックにおいて前記パネル板との接触面は、ポリアセタール樹脂(POM)、または、フッ素系樹脂によって形成されている請求項14又は15に記載のパネル構造体。
【請求項17】
前記支持土台は金属によって形成されている請求項14又は16に記載のパネル構造体。
【請求項18】
前記パネル板の一対の前記側辺部の角部に当接する緩衝部材を更に備えた請求項1から17のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項19】
前記パネル板がガラスパネルである請求項1から18のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項20】
前記パネル板は、前記下辺部の前記両端部が第1端部および当該第1端部より低い第2端部となるように傾斜して配置されており、
前記第2端部に接続された前記側辺部と対向する第1側辺支持体と、
前記第1側辺支持体を固定する第2固定枠と、を備え、
前記第1側辺支持体は、少なくとも一部がガラスパネルによって構成されている請求項1から19のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項21】
前記パネル板は、前記下辺部の前記両端部が第1端部および当該第1端部より低い第2端部となるように傾斜して配置されており、
前記第1端部に接続された前記側辺部と対向する第2側辺支持体と、
前記第2側辺支持体を固定する第3固定枠と、を備え、
前記第2側辺支持体は、少なくとも一部がガラスパネルによって構成されている請求項1から20のいずれか一項に記載のパネル構造体。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項のパネル構造体に用いられるパネル板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル構造体及びパネル板に関する。
【背景技術】
【0002】
広大なガラス板等のパネル板を建物に取付けるために、パネル板を構造部材にボルト固定することがある。特許文献1には、パネル板(文献では、ガラス板)と接合部材とを接合するために、パネル板の端部とパネル板の端部に板面に対向配置される接合部材の双方に複数の貫通孔を形成し、当該貫通孔にボルトを挿入してパネル板を固定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-74624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される技術では、パネル板を接合部材にボルト固定するには、パネル板及び接合部材に複数の貫通孔を設け、且つ、当該貫通孔にボルトを挿入する必要がある。このため、パネル板の施工時の作業性が悪い。また、例えばガラス板を傾斜面に沿って配置する場合には、ガラス板が傾斜に沿ってずれ落ちないよう、ガラス板を位置保持しつつボルト固定する必要があり、パネル板の施工時の作業性はさらに悪化する。したがって、パネル板の施工時の作業性を高めるうえで、パネル構造体には改善の余地があった。
【0005】
上記実情に鑑み、パネル板の施工時の作業性を向上できるパネル構造体及びパネル板が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパネル構造体の特徴構成は、重力方向下側に位置する下辺部及び当該下辺部の両端部に接続された一対の側辺部を有するパネル板と、前記下辺部に当接して前記パネル板を支持する下辺支持体と、前記下辺部から離間して配置され、前記下辺支持体を固定する第1固定枠と、を備え、前記下辺部の少なくとも1箇所には、凹状に切り欠かれた切り欠き部が形成されており、前記下辺支持体は、前記切り欠き部に係合する係合部を有している点にある。
【0007】
本構成によれば、パネル板において重力方向下側に位置する下辺部を第1固定枠に固定される下辺支持体によって支持する。ここで、パネル板の下辺部には凹状の切り欠き部が形成され、下辺支持体はパネル板の切り欠き部に係合する係合部を有する。これにより、切り欠き部に係合部を係合させることで、下辺支持体はパネル板を簡易に支持して固定することができる。また、パネル板の下辺部の切り欠き部は、パネル板の端面を研削することで容易に形成できる。このように、パネル板に切り欠き部を設け、下辺支持体に切り欠き部に係合する係合部を設けるだけで、パネル板を下辺支持体に固定することが可能となるため、パネル板を下辺支持体にボルト固定する必要が無く、パネル板の施工時の作業性が向上する。
【0008】
他の特徴構成は、前記第1固定枠に固定され、前記下辺部に接続された下側板面と対向する保持部材と、前記下側板面と前記保持部材との間に配置されるシール部材と、を更に備えた点にある。
【0009】
本構成によれば、保持部材及びシール部材によって、パネル板の下側板面を密閉状態にしつつ保持することができる。
【0010】
他の特徴構成は、前記パネル板は、前記下辺部の前記両端部が第1端部および当該第1端部より低い第2端部となるように傾斜して配置されており、前記第2端部に接続された前記側辺部と対向する第1側辺支持体と、前記第1側辺支持体を固定する第2固定枠と、を更に備え、前記下辺部の1箇所のみに前記切り欠き部が形成されている点にある。
【0011】
本構成のように、パネル板が下辺部の両端部が第1端部および当該第1端部より低い第2端部となるように傾斜した場合、パネル板は第1端部と第2端部のうち重力方向の下側に位置する第2端部の側にずれ落ちる可能性がある。しかし、本構成では、第2端部を含む側辺部に第1側辺支持体が対向するので、パネル板の第2端部を含む側辺部を第1側辺支持体によって支持することができる。
また。本構成では、パネル板の下辺部の1箇所のみに切り欠き部が形成されているので、パネル板に対する切削加工を少なくすることができる。仮に、パネル板の下辺部に切り欠き部が2箇所形成されて、下辺支持体の係合部によって2箇所でパネル板の下辺部を支持した場合、地震時に一方の係合部に荷重が移動して、他方の係合部に荷重が掛からなくなるおそれがある。その場合には、荷重が掛かる係合部側が支点となって動くため、反対側の係合部は切り欠き部との係合が外れ易くなる。しかし、パネル板の下辺部に形成される切り欠き部が1つであれば、荷重がパネル板と下辺支持体との間の1箇所に掛かるため、パネル板の切り欠き部と下辺支持体の係合部との係合が外れ難い。
【0012】
他の特徴構成は、前記第2固定枠と前記第1側辺支持体との間に配置され、前記第1側辺支持体を支持する第1支持部材を更に備え、前記第2固定枠が水平面に対して平行に配置されており、前記第1支持部材が前記第1側辺支持体のうち重力方向下側に位置する下辺部分の中央を挟む2箇所以上で接することによって前記第1側辺支持体を支持している点にある。
【0013】
本構成によれば、第1側辺支持体が、水平面に対して平行に配置された第2固定枠との間の第1支持部材に2箇所以上で接した状態で支持される。したがって、第1側辺支持体は第2固定枠に安定した姿勢で保持されるので、パネル板は安定的に姿勢を保持することができる。
【0014】
他の特徴構成は、前記第1側辺支持体は、前記第2固定枠にボルトで固定されている点にある。
【0015】
本構成によれば、第1側辺支持体は第2固定枠にボルトで固定されているので、第1側辺支持体は鉛直方向軸周りに回転することなく、第1側辺支持体はより安定的に支持される。これにより、パネル板はより安定的に姿勢を保持することができる。
【0016】
他の特徴構成は、前記第1端部に接続された前記側辺部と対向する第2側辺支持体と、
前記第2側辺支持体を固定する第3固定枠と、を更に備えた点にある。
【0017】
本構成によれば、パネル板の両側辺部のうち、一方が第1側辺支持体によって支持され、他方が第2側辺支持体によって支持される。これにより、パネル板は、下辺支持体、第1側辺支持体、及び、第2側辺支持体によって、上辺を除く3辺が支持されるため、より安定的に姿勢を保持することができる。
【0018】
他の特徴構成は、前記第3固定枠と前記第2側辺支持体との間に配置され、前記第2側辺支持体を支持する第2支持部材を更に備え、前記第3固定枠が水平面に対して平行に配置されており、前記第2支持部材が前記第2側辺支持体のうち重力方向下側に位置する下辺部分の中央を挟む2箇所以上で接することにより前記第2側辺支持体を支持している点にある。
【0019】
本構成によれば、第2側辺支持体が、水平面に対して平行に配置された第3固定枠との間の第2支持部材に2箇所以上で接した状態で支持される。したがって、第2側辺支持体は第3固定枠に安定した姿勢で保持されるので、パネル板は安定的に姿勢を保持することができる。
【0020】
他の特徴構成は、前記第2側辺支持体は、前記第3固定枠にボルトで固定されている点にある。
【0021】
本構成によれば、第2側辺支持体は第3固定枠にボルトで固定されているので、第2側辺支持体は鉛直方向軸周りに回転することなく、第2側辺支持体はより安定的に支持される。これにより、パネル板はより安定的に姿勢を保持することができる。
【0022】
他の特徴構成は、前記切り欠き部は、前記パネル板の板面に垂直となる方向視において円の一部を切り欠いた弓形凹状であり、前記係合部は、円の一部を切り欠いた弓形凸状である点にある。
【0023】
本構成のごとく、切り欠き部を弓形凹部にし、係合部を弓形凸部にすることで、パネル板が側辺部に向けて回転したとしても、パネル板は係合部に沿ってスムーズに回転することができる。これにより、例えば地震時等において、パネル板に揺れが作用したとしてもパネル板において回転運動に変換することができる。その結果、パネル板の揺れを小さくすることででき、他の部材との接触による破損を抑制することができる。
【0024】
他の特徴構成は、前記係合部の半径は、前記パネル板の厚みよりも大きい点にある。
【0025】
本構成のごとく、係合部の半径がパネル板の厚みよりも大きいと、パネル板の切り欠き部と係合部との接触領域がパネル板の厚みよりも大きくなるため、切り欠き部におけるパネル板の破損を抑制することができる。
【0026】
他の特徴構成は、前記パネル板は、前記第1固定枠に沿って配置された第1パネル板及び第2パネル板を有し、前記第1パネル板及び前記第2パネル板の前記下辺部の夫々に前記切り欠き部が形成されている点にある。
【0027】
本構成によれば、パネル板が第1パネル板及び第2パネル板を有して構成されることで、パネル構造体はパネル板を左右方向に拡張して配置することができる。
【0028】
他の特徴構成は、前記パネル板は、前記第1パネル板と前記第2パネル板との間に、前記第1固定枠に沿って配置される少なくとも1枚のパネル板を有し、全てのパネル板に前記切り欠き部が形成されている点にある。
【0029】
本構成によれば、パネル板が第1パネル板及び第2パネル板と、両者の間に配置される少なくとも1枚のパネル板を有して構成されることで、パネル構造体はパネル板を左右方向により拡張して配置することができる。
【0030】
他の特徴構成は、前記パネル板は、1枚のパネル板によって構成されている点にある。
【0031】
本構成によれば、パネル板が1枚のパネル板であるので、パネル構造体はパネル板をコンパクトに配置することができる。
【0032】
他の特徴構成は、前記下辺支持体は、前記係合部を有するセッティングブロックと、前記セッティングブロック及び前記第1固定枠の間に配置される支持土台とによって構成される点にある。
【0033】
本構成によれば、下辺支持体は、係合部がセッティングブロックであり、係合部以外が支持土台であるので、係合部のみを切り欠き部の形状に合わせて個別に加工することができる。したがって、下辺支持体において係合部の加工を容易に行うことができる。
【0034】
他の特徴構成は、前記下辺支持体は、前記セッティングブロック及び前記支持土台が一体の樹脂材によって構成される点にある。
【0035】
本構成のごとく、下辺支持体を構成するセッティングブロック及び支持土台が一体の樹脂材であると、下辺支持体が一部材によって構成できるので、下辺支持体を容易に構成することができる。
【0036】
他の特徴構成は、前記セッティングブロックにおいて前記パネル板との接触面は、ポリアセタール樹脂(POM)、または、フッ素系樹脂によって形成されている点にある。
【0037】
ポリアセタール樹脂(POM)、及び、フッ素系樹脂は、摩擦係数が低い樹脂である。そのため、パネル板との接触面に上記樹脂を採用することで、例えば地震発生時においてパネル板が受ける揺れに伴うエネルギーがパネル板を回転させる運動エネルギーに変換され易くなる。したがって、ポリアセタール樹脂(POM)、及び、フッ素系樹脂は、他の樹脂に比べて変形し難い。セッティングブロックにおけるパネル板との接触面は、例えば、セッティングブロックの上面にテープ状にした上記樹脂を貼り付けたり、セッティングブロックの上面を上記樹脂によってコーティングしたりして構成することができる。また、セッティングブロックにおいてパネル板との接触面のみに上記樹脂を採用することで、下辺支持体において金属等の剛性の高い材料によって構成される土台領域を大きく確保することができる。これにより、係合部を構成するセッティングブロックにおいてパネル板との接触面の変形を抑制することができる。その結果、パネル板の揺れを小さくできるので、セッティングブロックによってパネル板を安定的に保持でき、セッティングブロックによってパネル板をロッキングすることもできる。
【0038】
他の特徴構成は、前記支持土台は金属によって形成されている点にある。
【0039】
本構成のごとく、下辺支持体において支持土台が金属であると支持土台を強固な材料で構成し易い。
【0040】
他の特徴構成は、前記パネル板の一対の前記側辺部の角部に当接する緩衝部材を更に備えた点にある。
【0041】
本構成の如く、パネル板の一対の側辺部の角部に当接する緩衝部材を備えると、地震等によってパネル板が揺れたとしても、緩衝部材がパネル板に当接することでパネル板の破損を防止することできる。
【0042】
他の特徴構成は、前記パネル板がガラスパネルである点にある。
【0043】
本構成の如く、パネル板がガラスパネルであると、パネル構造体はガラスパネルを介して視界を確保することができる。
【0044】
他の特徴構成は、前記パネル板は、前記下辺部の前記両端部が第1端部および当該第1端部より低い第2端部となるように傾斜して配置されており、前記第2端部に接続された前記側辺部と対向する第1側辺支持体と、前記第1側辺支持体を固定する第2固定枠と、を備え、前記第1側辺支持体は、少なくとも一部がガラスパネルによって構成されている点にある。
【0045】
本構成のごとく、第1側辺支持体の少なくとも一部がガラスパネルによって構成されていることで、パネル構造体において視界を広範囲に確保することができる。
【0046】
他の特徴構成は、前記パネル板は、前記下辺部の前記両端部が第1端部および当該第1端部より低い第2端部となるように傾斜して配置されており、前記第1端部に接続された前記側辺部と対向する第2側辺支持体と、前記第2側辺支持体を固定する第3固定枠と、を備え、前記第2側辺支持体は、少なくとも一部がガラスパネルによって構成されている点にある。
【0047】
本構成のごとく、第2側辺支持体の少なくとも一部がガラスパネルによって構成されていることで、パネル構造体において視界を広範囲に確保することができる。
【0048】
本発明に係るパネル板の特徴構成は、上記パネル構造体に用いられる点にある。
【0049】
本構成によれば、パネル構造体に用いられるパネル板によって、パネル板の施工時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】第1実施形態のパネル構造体の正面図である。
図2】パネル板の正面図である。
図3】パネル構造体の要部拡大図である。
図4】係合部の断面図である。
図5】係合部の平面図である。
図6図3のVI-VI矢視断面図である。
図7図1のVII-VII矢視断面図である。
図8】パネル構造体の要部拡大図である。
図9】第1実施形態の変形例1を示す正面図である。
図10】第1実施形態の変形例2を示す正面図である。
図11】第2実施形態のパネル構造体の正面図である。
図12】第2実施形態のパネル構造体の第1側辺支持体における要部拡大図である。
図13図12のXIII-XIII矢視断面図である。
図14】第2実施形態のパネル構造体の第2側辺支持体における要部拡大図である。
図15】第3実施形態のパネル構造体の正面図である。
図16】別実施形態のパネル構造体の切り欠き部及び係合部を示す図である。
図17】別実施形態のパネル構造体の切り欠き部及び係合部を示す正面図である。
図18】別実施形態のパネル構造体の切り欠き部及び係合部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、本発明に係るパネル構造体及びパネル板の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0052】
[第1実施形態]
図1図8に示されるように、パネル構造体100は、パネル板10と、パネル板10を支持する下辺支持体20と、下辺支持体20が固定される第1固定枠31と、を備える。パネル板10は例えば1枚のガラス板(ガラスパネルの一例)によって構成されている。パネル板10は、複数枚のガラス板の間にスペーサを挟み込むことにより離間配置したものや、複数枚のガラス板を直接重ね合わせて接着したものでもよく、強化ガラスであってもよい。パネル板10は、ガラス板に代えて金属パネル板や樹脂板で構成されていてもよい。本実施形態では、パネル構造体100は、更に、パネル板10の側辺部10B,10Cに対向する第1側辺支持体71及び第2側辺支持体72と、第1側辺支持体71を固定する第2固定枠32と、第2側辺支持体72を固定する第3固定枠33と、を備える。パネル板10の一対の側辺部10B、10Cと側辺支持体71,72との間には例えば不図示の緩衝部材が配置されている。パネル板10の一対の側辺部10B、10Cに対して側辺支持体71,72が接触して支持する構成されてもよい。
【0053】
図2に示されるように、パネル板10は、平行四辺形状に形成されている。パネル板10は、重力方向下側に位置する下辺部10A、当該下辺部の両端部に接続された一対の側辺部10B,10C、及び、重力方向上側に位置する上辺部10Dと、を有する。パネル板10は、下辺部10Aの少なくとも1箇所には、凹状に切り欠かれた切り欠き部40が形成されている。パネル板10は、下辺部10Aの1箇所のみに切り欠き部40が形成されている。
【0054】
図3及び図4に示されるように、下辺支持体20は、パネル板10の下辺部10Aに当接してパネル板10を支持する。第1固定枠31は、パネル板10の下辺部10Aから離間して配置され、下辺支持体21を固定する。下辺支持体20は、切り欠き部40に係合する係合部50を有している。
【0055】
パネル板10の切り欠き部40に下辺支持体20の係合部50を係合させることで、下辺支持体20はパネル板10を簡易に支持して固定することができる。また、パネル板10の下辺部10Aの切り欠き部40は、パネル板10の端面を研削することで容易に形成できる。このように、パネル板10に切り欠き部40を設け、下辺支持体20に切り欠き部40に係合する係合部50を設けるだけで、パネル板10を下辺支持体20に固定することが可能となるため、パネル板10を下辺支持体20にボルト固定する必要が無く、パネル板10の施工時の作業性が向上する。
【0056】
また、パネル板10の下辺部10Aの1箇所のみに切り欠き部40が形成されているので、パネル板10に対する切削加工を少なくすることができる。仮に、パネル板10の下辺部10Aに切り欠き部40が2箇所形成されて、下辺支持体20の係合部50によって2箇所でパネル板10の下辺部10Aを支持した場合、地震時に一方の係合部50に荷重が移動して、他方の係合部50に荷重が掛からなくなるおそれがある。その場合には、荷重が掛かる係合部50側が支点となって動くため、反対側の係合部50は切り欠き部40との係合が外れ易くなる。しかし、パネル板10の下辺部10Aに切り欠き部40が1つであれば、荷重がパネル板10と下辺支持体20との間の1箇所に掛かるため、切り欠き部40と係合部50との係合が外れ難い。
【0057】
切り欠き部40は、パネル板10の板面16(図6参照)に垂直となる方向視において円の一部を切り欠いた弓形凹状である。係合部50は、円の一部を切り欠いた弓形凸状である。ここで、弓形とは、円弧の両端を結ぶ線分(弦)によって切り取られる部分であって、弦は円の中心を通らずに半円よりも小さい。すなわち、切り欠き部40及び係合部50は、半円よりも小さい円弧を有している。切り欠き部40を弓形凹部にし、係合部50を弓形凸部にすることで、仮に、パネル板10が側辺部10B,10Cに向けて回転したとしても、パネル板10は係合部50に沿ってスムーズに回転することができる。これにより、例えば地震時等において、パネル板10に揺れが作用したとしてもパネル板10において回転運動に変換することができる。その結果、パネル板10の揺れを小さくすることででき、他の部材との接触による破損を抑制することができる。なお、本実施形態では、後述するシール部材61(図6参照)がパネル板10の板面16の両面に配置されている。したがって、シール部材61が弾性体として機能してパネル板10を保持するようになるため、パネル板10の回転運動は抑制される。また、本実施形態では、切り欠き部40の曲率と係合部50の曲率とを同等に構成して両者の密着性を高めている。なお、切り欠き部40が半円凹状であり係合部50が半円凸状であってもよい。
【0058】
係合部50において弓形の弦に相当する部分の半分長さW1(係合部50の半径に相当、図4参照)は、パネル板10の厚みW3(図6参照)よりも大きい。これにより、パネル板10の切り欠き部40と係合部50との接触領域がパネル板10の厚みW3よりも大きくなるため、切り欠き部40におけるパネル板10の破損を抑制することができる。さらに、図6に示されるように、係合部50の幅W2がパネル板10の厚みW3よりも大きい。これにより、係合部50によってパネル板10を確実に支持することができる。
【0059】
図3図6に示されるように、下辺支持体20は、係合部50を有するセッティングブロック25と、セッティングブロック25及び第1固定枠31の間に配置される支持土台26とによって構成される。支持土台26は、例えば金属によって形成されている。このように、下辺支持体20は、係合部50がセッティングブロック25であり、係合部以外が支持土台26であると、係合部50のみを切り欠き部40の形状に合わせて個別に加工することができる。したがって、下辺支持体20において係合部50の加工を容易に行うことができる。また、下辺支持体20において支持土台26が金属であると、支持土台26を強固な材料で構成し易い。
【0060】
セッティングブロック25は例えば樹脂材料で構成される。セッティングブロック25においてパネル板10との接触面は、ポリアセタール樹脂(POM)、または、フッ素系樹脂によって形成されている。フッ素系樹脂は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー)等である。本実施形態では、セッティングブロック25が一つの樹脂材料によって構成されている。セッティングブロック25は複数の樹脂材料によって構成してもよい。
【0061】
ポリアセタール樹脂(POM)、及び、フッ素系樹脂は、摩擦係数が低い樹脂である。そのため、パネル板10との接触面に上記樹脂を採用することで、例えば地震発生時においてパネル板10が受ける揺れに伴うエネルギーがパネル板10を回転させる運動エネルギーに変換され易くなる。したがって、ポリアセタール樹脂(POM)、及び、フッ素系樹脂は、他の樹脂に比べて変形し難い。セッティングブロック25におけるパネル板10との接触面は、例えば、セッティングブロック25の上面にテープ状にした上記樹脂を貼り付けたり、セッティングブロック25の上面を上記樹脂によってコーティングしたりして構成することができる。また、セッティングブロック25においてパネル板10との接触面に上記樹脂を採用することで、下辺支持体20において金属等の剛性の高い材料によって構成される土台領域を大きく確保することができる。これにより、係合部50を有するセッティングブロック25においてパネル板10との接触面の変形を抑制することができる。その結果、パネル板10の揺れを小さくできるので、セッティングブロック25によってパネル板10を安定的に保持でき、セッティングブロック25によってパネル板10をロッキングすることもできる。なお、セッティングブロック25においてパネル板10との接触面のみをポリアセタール樹脂(POM)またはフッ素系樹脂としてもよい。
【0062】
図6に示されるように、第1固定枠31には、パネル板10の下辺部10Aに接続された下側板面16Aと対向する保持部材60が固定されている。パネル構造体100は、パネル板10の下側板面16Aと保持部材60との間に配置されるシール部材61を備える。シール部材61はバックアップ材62に積層された状態で設けられる。保持部材60及びシール部材61によって、パネル板10の下側板面16Aを密閉状態にしつつ保持することができる。図1に示されるように、パネル構造体100は、パネル板10の上部を固定する上部固定枠30を備える。図7に示されるように、上部固定枠30には、パネル板10の上辺部10Dに接続された上側板面16Dと対向する保持部材63が固定されている。パネル構造体100は、パネル板10の上側板面16Dと保持部材63との間に配置されるシール部材64を備える。シール部材64はバックアップ材65に積層された状態で設けられる。本実施形態では、保持部材60と下辺支持体20との間に隙間を設けて排水経路を確保している。
【0063】
図1に示されるように、パネル板10は、下辺部10Aの両端部が第1端部10A1および当該第1端部10A1より低い第2端部10A2となるように傾斜して配置されている。第1側辺支持体71は第2端部10A2に接続された側辺部10Bと対向する。第2側辺支持体72は側辺部10Cと対向する。本実施形態の第1側辺支持体71及び第2側辺支持体72は、例えば金属製のパイプ材によって構成されている。
【0064】
パネル板10が傾斜して配置された場合には、パネル板10は第1端部10A1と第2端部10A2のうち重力方向の下側に位置する第2端部10A2の側にずれ落ちる可能性がある。しかし、本実施形態では、第2端部10A2を含む側辺部10Bに第1側辺支持体71が対向するので、パネル板10の第2端部10A2を含む側辺部10Bを第1側辺支持体71によって支持することができる。また、パネル板10の両側辺部10B,10Cのうち、側辺部10Bが第1側辺支持体71によって支持され、側辺部10Cが第2側辺支持体72によって支持される。これにより、パネル板10は、下辺支持体20、第1側辺支持体71、及び、第2側辺支持体72によって、上辺を除く3辺が支持されるため、より安定的に姿勢を保持することができる。
【0065】
図8に示されるように、第1側辺支持体71は第2固定枠32にボルト75で固定されている。図示しないが、第2側辺支持体72も同様に第3固定枠33にボルト(不図示)で固定されている。第1側辺支持体71が第2固定枠32にボルト75で固定されることで、第1側辺支持体71は鉛直方向軸周りに回転することなく、第1側辺支持体71は安定的に支持される。これにより、パネル板10は安定的に姿勢を保持することができる。
【0066】
[第1実施形態の変形例1]
パネル板10は、図9に示されるように矩形状であってもよい。また、パネル板10は正方形状でもよい。本変形例1では、パネル板10の下辺部10A及び一対の側辺部10B,10Cが傾斜している。
【0067】
[第1実施形態の変形例2]
パネル板10は、図10に示されるように傾斜しない形態であってもよい。本変形例2では、パネル板10は矩形状に形成されており、パネル板10の下辺部10A及び第1固定枠31が水平面に対して平行に配置されている。また、下辺部11Aに形成された切り欠き部40が三角凹状であり、下辺支持体20の係合部50が三角凸状であってもよい。
【0068】
[第2実施形態]
図11に示されるように、本実施形態のパネル構造体100は、パネル板10として第1パネル板11及び第2パネル板12を有して構成されている。第1パネル板11及び第2パネル板12は、いずれも第1固定枠31に沿って配置されている。第1パネル板11の下辺部11Aには切り欠き部41が形成され、第2パネル板12の下辺部12Aには切り欠き部42が形成されている。パネル板11,12に対して下辺支持体21,22が夫々配置され、パネル板11,12の切り欠き部41,42に下辺支持体21,22の係合部51,52が夫々係合する。このように、パネル板10が第1パネル板11及び第2パネル板12を有して構成されることで、パネル構造体100はパネル板10を左右方向に拡張して配置することができる。切り欠き部41,42、下辺支持体21,22、及び係合部51,52は、第1実施形態の切り欠き部40、下辺支持体20及び係合部50の各々と同様であるので、説明を省略する。
【0069】
本実施形態では、第1側辺支持体71の少なくとも一部がガラスパネルによって構成され、第2側辺支持体72の少なくとも一部がガラスパネルによって構成されている。具体的には、第1側辺支持体71がガラス板77及びパイプ体87によって構成され、第2側辺支持体72がガラス板78及びパイプ体88によって構成されている。第1側辺支持体71及び第2側辺支持体72の少なくとも一部がガラスパネルによって構成されていることで、パネル構造体100において視界を広範囲に確保することができる。
【0070】
図12に示されるように、第2固定枠32と第1側辺支持体71の一部であるガラス板77との間に配置され、ガラス板77を支持する第1支持部材35を備える。第1支持部材35は例えば上述したセッティングブロックや支持土台等によって構成される。第2固定枠32が水平面に対して平行に配置されている。第1支持部材35が、第1側辺支持体71であるガラス板77のうち重力方向下側に位置する下辺部分77Aの中央81を挟む2箇所以上で接することによって第1側辺支持体71を支持している。本実施形態では下辺部分77Aの2箇所77Aa、77Abで第1支持部材35が接している。ガラス板77のうち下辺部分77Aの中央81を挟む位置において第1支持部材35が接していれば、第1支持部材35と第1側辺支持体71とが接触する箇所が3箇所以上であってもよい。また、第1支持部材35が第1側辺支持体71の下辺部分77Aの全域に接していてもよい。
【0071】
本実施形態では、第1側辺支持体71が、水平面に対して平行に配置された第2固定枠32との間の第1支持部材35に2箇所以上で接した状態で支持される。したがって、第1側辺支持体71は第2固定枠32に安定した姿勢で保持されるので、パネル板10は安定的に姿勢を保持することができる。
【0072】
図13に示されるように、第2固定枠32には、第1側辺支持体71の一部であるガラス板77の下辺部分77Aに接続された下側板面82と対向する保持部材66が固定されている。パネル構造体100は、ガラス板77の下側板面82と保持部材66との間に配置されるシール部材67を備える。シール部材67はバックアップ材68に積層された状態で設けられる。本実施形態では、保持部材66と第1支持部材35との間に隙間を設けて排水経路を確保している。
【0073】
図14に示されるように、第3固定枠33と第2側辺支持体72の一部であるガラス板78との間に配置され、ガラス板78を支持する第2支持部材36を備える。第2支持部材36は例えば上述したセッティングブロックや支持土台等によって構成される。第3固定枠33は水平面に対して平行に配置されている。第2支持部材36は、第2側辺支持体72の一部であるガラス板78のうち重力方向下側に位置する下辺部分78Aの中央83を挟む2箇所以上で接することによって第2側辺支持体72を支持している。本実施形態では下辺部分78Aの2箇所78Aa、78Abで第2支持部材36が接している。ガラス板78のうち下辺部分78Aの中央83を挟む位置において第2支持部材36が接していれば、第2支持部材36と第2側辺支持体72とが接触する箇所が3箇所以上であってもよい。また、第2支持部材36が第2側辺支持体72の下辺部分78Aの全域に接していてもよい。
【0074】
図示しないが、第3固定枠33においても、図13に示される第2固定枠32と同様に、第2側辺支持体72であるガラス板78の下辺部分78Aに接続された下側板面と対向する保持部材が固定されており、パネル構造体100はガラス板78の下側板面と保持部材との間に配置されるシール部材を備える。
【0075】
図11に示されるように、パネル構造体100は、パネル板11,12の側辺部(例えば第1パネル板11の側辺部11B)の上端及び下端の角部に当接する緩衝部材79を備えている。具体的には、緩衝部材79は、第1パネル板11とガラス板77との間、第1パネル板11と第2パネル板12との間、第2パネル板12とガラス板78との間に設けられている。図11では、第1パネル板11の側辺部11Bの下端の角部11B1とガラス板77との間に配置された緩衝部材79のみを示す。パネル板10の一対の側辺部の角部に当接する緩衝部材79を備えると、地震等によってパネル板10が揺れたとしても、緩衝部材79がパネル板10に当接することでパネル板10の破損を防止することできる。
【0076】
[第3実施形態]
図15に示されるように、パネル構造体100は、パネル板10として3枚以上のパネル板を有して構成されていてもよい。具体的には、パネル構造体100は、パネル板10として、第1側辺支持体71に隣接する第1パネル板11と、第2側辺支持体72に隣接する第2パネル板12との間に、第1固定枠31に沿って配置される少なくとも1枚のパネル板を有してもよい。図15に示されるパネル構造体100では、パネル板10として、第1パネル板11と、第2パネル板12と、第1パネル板11と第2パネル板12との間に配置された第3パネル板13と、を備える。第1パネル板11及び第2パネル板12の下辺部11A,12Aに切り欠き部41,42が夫々形成されている。第3パネル板13の下辺部13Aには切り欠き部43が形成されている。パネル板11,12,13に対して下辺支持体21,22,23が夫々配置され、パネル板11,12,13の切り欠き部41,42,43に下辺支持体21,22,23の係合部51,52,53が夫々係合する。このように、パネル板10が第1パネル板11及び第2パネル板12と、両者の間に配置される少なくとも1枚のパネル板(第3パネル板13)を有して構成されることで、パネル構造体100はパネル板10を左右方向により拡張して配置することができる。切り欠き部43、下辺支持体23、及び係合部53は、第1実施形態の切り欠き部40、下辺支持体20及び係合部50の各々と同様であるので、説明を省略する。
【0077】
また、本実施形態では、第1側辺支持体71は、ガラス板77及びパイプ体87によって構成され、第1パネル板11にガラス板77が隣接し、ガラス板77にパイプ体87が隣接する。第2側辺支持体72は、ガラス板78及びパイプ体88によって構成され、第2パネル板12にガラス板78が隣接し、ガラス板78にパイプ体88が隣接する。すなわち、第1側辺支持体71の一部及び第2側辺支持体72の一部がガラス板77,78によって構成されている。
【0078】
[別実施形態]
(1)上記の実施形態では、パネル板10の下辺部10Aに形成される切り欠き部40が弓形凹部又は三角状凹部である例を示したが、切り欠き部40は他の形状であってもよい。例えば、切り欠き部40は、図16に示される四角状凹部や、図17に示される台形状凹部や、図18に示される楕円の一部によって形成される凹部であってもよい。また、下辺支持体21の係合部50は、切り欠き部40に対応する形状であればよく、図16に示される四角状凸部や、図17に示される台形状凸部や、図18に示される楕円の一部によって形成される凸部であってもよい。
【0079】
(2)上記の実施形態では、パネル板10の下辺部10A(11A,12A,13A)に、1つの切り欠き部40(41,42、43)設ける例を示したが、下辺部10A(11A,12A,13A)に複数の切り欠き部40を設け、下辺支持体21に複数の切り欠き部40に対応する複数の係合部50を設けてもよい。
【0080】
(3)上記の実施形態では、下辺支持体20~24が、セッティングブロック25及び支持土台26を個別に備えて構成される例を示したが、下辺支持体20~24のセッティングブロック25及び支持土台26は、一体の樹脂材によって構成されてもよい。こうすると、下辺支持体20~24は一部材によって構成できるので、下辺支持体20~24を容易に構成することができる。
【0081】
(4)上記の第2実施形態及び第3実施形態では、第1側辺支持体71がガラス板77及びパイプ体87によって構成され、第2側辺支持体72がガラス板78及びパイプ体88によって構成される例を示した。例えば、第1側辺支持体71及び第2側辺支持体72のうち、一方がガラス板及びパイプ体によって構成され、他方がパイプ体のみによって構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、パネル構造体及びパネル板に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 :パネル板
10A :下辺部
10A1 :第1端部
10A2 :第2端部
10B :側辺部
10C :側辺部
11 :第1パネル板
11B :側辺部
11B1 :角部
12 :第2パネル板
13 :第3パネル板
16 :板面
16A :下側板面
20,21,22,23:下辺支持体
25 :セッティングブロック
26 :支持土台
31 :第1固定枠
32 :第2固定枠
33 :第3固定枠
35 :第1支持部材
36 :第2支持部材
40,41,42,43:切り欠き部
50,51,52,53:係合部
60 :保持部材
61 :シール部材
71 :第1側辺支持体
72 :第2側辺支持体
79 :緩衝部材
81 :中央
83 :中央
100 :パネル構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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