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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110481
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005935
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】庄野 幸司
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082CC01
3E082EE01
3E082EE04
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】飲料水の通過を調整可能な弁機構が固着して開状態へ移行が不可となる現象を従来よりも低減させることができるウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】ウォーターサーバーは、飲料水が流れるための流路R1~R3と、流路R1~R3を開閉可能な弁機構V1~V3と、弁機構V1~V3が閉状態となっている閉状態時間を計測する時間計測部5と、時間計測部5が計測する閉状態時間が所定時間を超えた場合に、弁機構V1~V3を開閉させる制御部50と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水が流れるための流路と、
前記流路を開閉可能な弁機構と、
前記弁機構が閉状態となっている閉状態時間を計測する時間計測手段と、
前記時間計測手段が計測する前記閉状態時間が所定時間を超えた場合に、前記弁機構を開閉させる制御手段と、
を備えることを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
前記流路は、温度が異なる飲料水が流れる複数の温度別の流路であり、
前記弁機構は、前記複数の温度別の流路の各々を開閉可能な複数の温度別の弁機構であり、
前記制御手段は、前記複数の温度別の弁機構のうちの一の弁機構の前記閉状態時間が前記所定時間を超えた場合に、前記複数の温度別の弁機構のうちの他の温度別の弁機構を開状態に駆動させたときに、前記一の弁機構を開閉させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記流路は、温度が異なる飲料水が流れる複数の温度別の流路、及び前記複数の温度別の流路よりも飲料水流れ方向の下流に配置されて前記複数の温度別の流路の飲料水を出水するために兼用される出水用の流路であり、
前記弁機構は、前記複数の温度別の流路の各々を開閉可能な温度別の弁機構、及び前記出水用の流路を開閉可能な出水用の弁機構であり、
前記制御手段は、前記所定時間が経過したときに、前記出水用の弁機構を閉状態にしたまま前記温度別の弁機構を開閉させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水ボトルからの飲料水を冷水タンクや温水タンクに供給して冷却や加熱を行うと共に、冷却又は加熱された飲料水を筐体前方の出水口から出水するウォーターサーバーが知られている。このウォーターサーバーは、冷水タンク及び温水タンクから出水口まで飲料水を誘導する流路が形成されると共に、流路上に飲料水の通過を調整可能な電磁弁(以下、弁機構という)が設けられており、弁機構の開閉によってユーザに飲料水の提供又は飲料水の提供の停止をする(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-178360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなウォーターサーバーの構成において、弁機構を使用しない期間が続くと、弁機構が固着して開状態にさせ難く、飲料水を出水し難くなる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、飲料水の通過を調整可能な弁機構が固着して開状態への移行が不可となる現象を従来よりも低減させることができるウォーターサーバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るウォーターサーバーは、飲料水が流れるための流路と、前記流路を開閉可能な弁機構と、前記弁機構が閉状態となっている閉状態時間を計測する時間計測手段と、前記時間計測手段が計測する前記閉状態時間が所定時間を超えた場合に、前記弁機構を開閉させる制御手段と、を備える。
【0007】
本発明のウォーターサーバーによれば、制御手段は、閉状態時間が所定時間を超えた場合に弁機構を開閉させるので、ある程度の期間が経過すると弁機構が開けられることになり、長期間にわたる閉状態によって弁機構が固着してしまう可能性を低減させることができる。その結果、飲料水の通過を調整可能な弁機構が固着して開状態への移行が不可となる現象を従来よりも低減させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲料水の通過を調整可能な弁機構が固着して開状態への移行が不可となる現象を従来よりも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るウォーターサーバーを示す斜視図である。
図2】(a)は、ウォーターサーバーの内部の概略構成図である。(b)は、弁機構の弁体が弁座に接触した状態を示す概略断面図である。(c)は、弁機構の弁体が弁座から離間した状態を示す概略断面図である。
図3】(a)は、ウォーターサーバーの一部を示す構成図である。(b)は、ウォーターサーバーの一部の内部構造を示す概略断面図である。
図4】(a)は、制御部の制御工程を示すフローチャートである。(b)~(e)は、制御部が3つの温度別の弁機構を制御する様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るウォーターサーバー1を示す斜視図である。図1に示すウォーターサーバー1は、外観視して略四角柱形状となる筐体10を基本構成とし、この筐体10の前面側に出水口21を有する出水用の流路R4、操作パネル30、及び容器載置部35が設けられて構成されている。このようなウォーターサーバー1は、筐体10の上部に飲料水ボトルB(飲料水タンク)が載置されている。この飲料水ボトルBは、内部に例えば天然水等を保有している。なお、飲料水ボトルBは、筐体10の上部に限らず、下部に内蔵されるようになっていても良い。
ここでいうウォーターサーバー1は、水道の蛇口から出る飲料水中の汚染物質を低減する目的で水道の蛇口に対して用いられる使用場所設置型浄水装置(POU:Point of Use)を含んでも良い。このような浄水装置として用いられる例としては、例えば、飲料水ボトルBと水道の蛇口とを直結して飲料水ボトルBが水道を受け入れられるようにし、この飲料水ボトルBの下流に浄水フィルタカートリッジを取付けられた構成等が該当する。
あるいは、ここでいうウォーターサーバー1は、飲料水ボトルBに水道水を注いで、注いだ水道水を浄水フィルタでろ過するリフィルサーバーであっても良い。
【0012】
出水用の流路R4は、飲料水を出水する流路として機能する筒状部材であって、出水口21を有するものである。この出水用の流路R4は、筐体10の前面から後方に向けて奥まるように形成された凹部11に少なくとも一部が収納された状態で形成されている。操作パネル30は、ユーザからの操作を受け付ける操作部であって、例えば冷水(第1所定温度(例えば20℃)未満の温度の水)の出水操作、温水(第2所定温度(例えば40℃)以上の温度の水)の出水操作、温水の加熱操作等、種々の操作が可能となっている。
【0013】
容器載置部35は、出水用の流路R4から供給される飲料水を受ける飲料容器が載置されるものであって、出水用の流路R4の下側の所定高さ箇所に設けられている。このような容器載置部35はその一部が凹部11内に収まっており、他の部分が筐体10の前方に突出した状態で設置されている。なお、本実施形態において飲料容器とは、コップやグラス等の飲料を飲むための容器の他、炊飯釜、鍋、急須、水筒及びペットボトル等も含まれる。
【0014】
図2(a)は、図1に示したウォーターサーバー1の内部の概要を示す概略構成図である。図2(b)は、弁機構V1(V2,V3)の弁体91が弁座92に接触した状態を示す概略断面図である。図2(c)は、弁機構V1(V2,V3)の弁体91が弁座92から離間した状態を示す概略断面図である。図3(a)は、ウォーターサーバー1の一部を示す概略構成図である。図3(b)は、ウォーターサーバー1の一部の内部構造を示す概略断面図である。図2図3に示されるように、ウォーターサーバー1は、筐体10(図1参照)の内部に、冷水タンクT1(飲料水タンク)と、温水タンクT2(飲料水タンク)と、冷水用の流路R1(温度別の流路)と、常温水用の流路R2(温度別の流路)と、温水用の流路R3(温度別の流路)と、冷水用の弁機構V1(温度別の弁機構)と、常温水用の弁機構V2(温度別の弁機構)と、温水用の弁機構V3(温度別の弁機構)と、出水用の流路R4と、弁機構V4(出水用の弁機構)と、制御部50(制御手段)と、を備えている。
【0015】
冷水タンクT1は、飲料水ボトルBから飲料水を導入して貯留するタンクである。冷水タンクT1には、冷却器Gが設けられており、冷水タンクT1内に導入された常温の飲料水が冷却器Gによって冷却されて冷水化される。
【0016】
冷水タンクT1は、内部を上下に仕切る仕切り板20を有する。仕切り板20は、冷水タンクT1の内部の飲料水について、冷却器Gによって冷却され難い上層(常温水の部分)と、冷却器Gによって冷却される下層(冷水の部分)とに分ける。
【0017】
温水タンクT2は、配管を通じて冷水タンクT1の下方に接続されており、冷水タンクT1からの飲料水を導入して貯留するタンクである。この温水タンクT2の内部にはヒータH等の加熱機構が設けられており、温水タンクT2内の飲料水はヒータHによって加熱されて温水化される。温水タンクT2は、冷水タンクT1の上層(常温水の部分)からの飲料水を導入する。
【0018】
[温度別の流路]
流路の一部を構成する冷水用の流路R1、常温水用の流路R2、温水用の流路R3といった複数(3つ)の流路R1,R2,R3は、飲料水を貯留する飲料水ボトルB、冷水タンクT1又は温水タンクT2内の温度が異なる飲料水が流れるための温度別の流路である。
【0019】
冷水用の流路R1は、誘導流路R11と、誘導流路R11の下流側が屈曲して水平よりも僅かに傾斜する傾斜流路R12と、を有し、冷水タンクT1内の冷水を出水用の流路R4まで導くための流路である。流路R1は、例えば一端が冷水タンクT1に接続され、他端が出水用の流路R4の上部に接続されている。
【0020】
常温水用の流路R2は、常温水を出水用の流路R4まで導くための流路である。流路R2の一端は、例えば、冷水タンクT1の内部を仕切る仕切り板20に接続されて仕切り板20の上方に通じ、流路R2の他端は、出水用の流路R4の上部に接続されている。この構成により、冷水タンクT1内における仕切り板20の上方の部分と出水用の流路R4とが接続される。
【0021】
温水用の流路R3は、誘導流路R31と、誘導流路R31の下流側が屈曲して水平よりも僅かに傾斜する傾斜流路R32と、を有し、温水タンクT2内の温水を出水用の流路R4まで導くための流路である。流路R3は、例えば一端が温水タンクT2に接続され、他端が出水用の流路R4の上部に接続されている。
【0022】
[温度別の弁機構]
冷水用の弁機構V1、常温水用の弁機構V2、温水用の弁機構V3といった複数(3つ)の弁機構V1,V2,V3は、複数の流路R1,R2,R3の各々の内部における温度が異なる飲料水の通過及び停止を切り替えるために開閉可能な機構である。まず、弁機構V1は、出水用の流路R4よりも上流側の流路R1上に設けられ、横並びとなる3つの弁機構V1~V3のうち一方側に配置され、冷水用の流路R1を開閉可能な温度別の弁機構である。弁機構V2は、出水用の流路R4よりも上流側の流路R2上に設けられ、横並びとなる3つの弁機構V1~V3のうち中央に配置され、常温水用の流路R2を開閉可能な温度別の弁機構である。弁機構V3は、出水用の流路R4よりも上流側の流路R3上に設けられ、横並びとなる3つの弁機構V1~V3のうち他方側に配置され、温水用の流路R3を開閉可能な温度別の弁機構である。
【0023】
図2(b)(c)のように、各々の弁機構V1~V3は、弁体91及び弁座92を有する。図2(b)のように、その弁体91が弁座92に接触した状態で飲料水の出水が停止される。これとは反対に、図2(c)のように、その弁体91が弁座92から離間した状態で飲料水が矢印のように出水する。また、弁機構V1~V3としては、電磁弁が用いられる。
【0024】
この弁機構V1~V3があるため、冷水は、弁機構V1が開放されたとき流路R1を通じて出水用の流路R4に至り、出水用の流路R4を通じて出水口21から出水される。常温水は、弁機構V2が開放されたとき流路R2を通じて出水用の流路R4に至り、出水用の流路R4を通じて出水口21から出水される。温水は、弁機構V3が開放されたとき流路R3を通じて出水用の流路R4に至り、出水用の流路R4を通じて出水口21から出水される。
【0025】
[出水用の流路]
流路の一部を構成する出水用の流路R4は、流路R1,R2,R3(複数の流路)よりも飲料水流れ方向の下流に配置され、流路R1,R2,R3を通過する飲料水を出水するために兼用される垂直方向に延びる流路である。出水用の流路R4の上部には、傾斜流路R12の端部、傾斜流路R32の端部、及び流路R2の端部が接続されている。出水用の流路R4の下方端は、出水口21となっている。
【0026】
[出水用の弁機構]
出水用の弁機構V4は、出水用の流路R4を開閉可能な弁機構である。出水用の弁機構V4は、弁機構V1~V3と同様に、弁体91を弁座92に対して動作させることで飲料水の通過及び停止を切り替えるために開閉可能なものである。このように、弁機構V1~V3の他に弁機構V4が設けられることにより、弁機構V1~V3だけが設けられている場合よりも飲料水の漏れの発生の可能性が低減する。また、出水用の弁機構V4には、電磁弁が用いられる。
【0027】
制御部50は、ウォーターサーバー1の全体を制御するものであって、特に操作パネル30に対する操作に応じて、温度別の弁機構V1~V3及び出水用の弁機構V4の開閉制御を行うものである。制御部50は、時間計測部5(時間計測手段)を有する。時間計測部5は、温度別の弁機構V1~V3及び出水用の弁機構V4の各々について閉状態となっている閉状態時間をカウント(計測)する。
【0028】
制御部50は、弁機構V1~V3の閉状態時間が所定時間(例えば24時間)を超えた場合に、フラグを立て、フラグを立てた弁機構V1~V3を瞬間的(例えば0.5ms)に開閉させる。より詳しくは、制御部50のモードには、第1モード及び第2モードがあり、それぞれのモードで閉状態時間が所定時間を超えた場合に、長期閉フラグを立てて弁機構V1~V3を開閉させる。
【0029】
前述の第1モードは、制御部50が、複数の弁機構V1~V3のうちの一の温度別の弁機構の閉状態時間が所定時間(例えば、飲料水の固着が生じ難い時間)を超えた場合であって、複数の弁機構V1~V3のうちの他の温度別の弁機構を開状態に駆動させた場合に、一の弁機構を瞬間的に開閉させるモードである。
例えば、制御部50は、温水用の弁機構V3の閉状態時間が所定時間を超えた場合に、常温水用又は冷水用の弁機構V2,V1の少なくともいずれかを開状態に駆動させたときに、温水用の弁機構V3を瞬間的に開閉させる。
【0030】
前述の第2モードは、制御部50が、複数の弁機構V1~V3のうちの一の温度別の弁機構の閉状態時間が所定時間(例えば、飲料水の固着が生じ難い時間)を超えた場合に、出水用の弁機構V4を閉状態にしたまま一の弁機構を瞬間的に開閉させるモードである。
例えば、制御部50は、温水用の弁機構V3の閉状態時間が所定時間を超えた場合に、常温水用の弁機構V2及び冷水用の弁機構V1に出水指示がないときには、出水用の弁機構V4を閉状態にしたまま温水用の弁機構V3を瞬間的に開閉させる。
【0031】
なお、制御部50は、弁機構V1~V3を開状態に移行(開閉する過程での開状態も含む)させた後に、閉状態時間のカウントをリセットして再び閉状態時間をカウントする。
【0032】
次に、本実施形態に係るウォーターサーバー1の弁機構V1~V3の開閉動作を説明する。図4(a)は、制御部50の制御工程を示すフローチャートである。図4(a)を参照しつつ、制御部50の制御について以下説明する。なお、図4(a)中で、一の弁機構が温水用の弁機構V3であり、他の弁機構が常温水用の弁機構V2又は冷水用の弁機構V1である場合について説明する。まず、ウォーターサーバー1の電源がONされると、制御部50は、時間計測部5における一の弁機構V3の閉状態時間のカウントをリセットする(S1)。制御部50は、時間計測部5により一の弁機構V3の閉状態時間をカウントする(S2)。制御部50は、一の弁機構V3を開状態にしたかを判断する(S3)。
【0033】
一の弁機構V3を開状態にした場合(S3:YES)には、制御部50は、再び時間計測部5における一の弁機構V3の閉状態時間のカウントをリセットする(S1)。一の弁機構V3を開状態にしていない場合(S3:NO)には、一の弁機構V3の閉状態時間が所定時間を超えたかを判断する(S4)。
【0034】
一の弁機構V3の閉状態時間が所定時間を超えていない場合(S4:NO)には、制御部50は、再び時間計測部5により一の弁機構V3の閉状態時間をカウントする(S2)。一の弁機構V3の閉状態時間が所定時間を超えた場合(S4:YES)には、制御部50は、一の弁機構V3に長期閉フラグを立てる(S5)。制御部50は、ユーザの選択により第1モードにされたか否かを判断する(S6)。
【0035】
ユーザの選択により第1モードにされていないと判断した場合(S6:NO)には、ユーザの選択により第2モードにされたと判断することになり、制御部50は、出水用の弁機構V4が閉状態かを判断する(S7)。
【0036】
出水用の弁機構V4が閉状態ではないと判断した場合(S7:NO)には、制御部50は、出水用の弁機構V4が閉状態となるまで閉状態かを判断する(S7)。出水用の弁機構V4が閉状態であると判断した場合(S7:YES)には、制御部50は、一の弁機構V3を開閉し(S8)、制御を終了する。
【0037】
ユーザの選択により第1モードにされたと判断した場合(S6:YES)には、制御部50は、第1モードとして、他の弁機構(常温水用の弁機構V2又は冷水用の弁機構V1)に出水指示が有るかを判断する(S9)。
【0038】
他の弁機構(常温水用の弁機構V2又は冷水用の弁機構V1)に出水指示が無いと判断した場合(S9:NO)には、制御部50は、他の弁機構(常温水用の弁機構V2又は冷水用の弁機構V1)に出水指示があるまで出水指示があるかを判断する(S9)。他の弁機構(常温水用の弁機構V2又は冷水用の弁機構V1)に出水指示が有ると判断した場合(S9:YES)には、制御部50は、一の弁機構を開閉し(S8)、制御を終了する。前述してきた制御を電源OFFまで繰り返し実行する。
【0039】
なお、一の弁機構が常温水用の弁機構V2であり、他の弁機構が温水用の弁機構V3又は冷水用の弁機構V1である場合についても、同様である。また、一の弁機構が冷水用の弁機構V1であり、他の弁機構が常温水用の弁機構V2又は温水用の弁機構V3である場合についても、同様である。
【0040】
次に、図4(a)のフローチャートと対応を取りながら図4(b)~(e)を参照して、制御部50が3つの温度別の弁機構V1,V2,V3を制御する工程を説明する。図4(b)~(e)は、制御部50が3つの温度別の弁機構V1,V2,V3を制御する様子を示す概念図である。図4(b)に示されるように、制御部50は、3つの温度別の弁機構である温水用の弁機構V3、常温水用の弁機構V2、冷水用の弁機構V1のカウントをリセット(図4中「RST」と記載、以下同じ)する。この過程は、図4(a)の一の弁機構が弁機構V3,V2,V1の各々であった場合にS1の過程が相当する。
【0041】
図4(c)に示されるように、制御部50は、時間計測部5により冷水用の弁機構V1の閉状態時間をカウントしている途中で開状態に移行させて通常出水(普通に冷たい飲料水を飲むために出水)した場合には、冷水用の弁機構V1の閉状態時間のカウントをリセットする。この過程は、図4(a)の一の弁機構が冷水用の弁機構V1であった場合にS2、S3のYES、S1の過程が相当する。
この一方で、制御部50は、時間計測部5により温水用の弁機構V3の閉状態時間及び常温水用の弁機構V2の閉状態時間のカウントを継続する。この過程については、図4(a)の一の弁機構が温水用の弁機構V3、及び常温水用の弁機構V2であった場合にS2、S3のNO、S4のNO、S2の過程が相当する。
【0042】
図4(d)に示されるように、制御部50は、温水用の弁機構V3及び常温水用の弁機構V2が長期にわたって閉状態であると判断した場合にはこれらに長期閉フラグ(図4(d)中「FLG」と記載)を立てる。この過程については、図4(a)の一の弁機構が温水用の弁機構V3及び常温水用の弁機構V2であった場合にS4、S5の過程が相当する。
この一方で、制御部50は、途中で出水したために他の弁機構V3,V2よりも閉状態時間が少ない冷水用の弁機構V1については、閉状態時間のカウントを継続する。この過程については、図4(a)の一の弁機構が冷水用の弁機構V1であった場合にS4のNO、S2の過程が相当する。
【0043】
図4(e)に示されるように、制御部50は、常温水の出水指示があって常温水用の弁機構V2を開状態に移行させて通常出水(普通に常温の飲料水を出水)させて閉状態時間のカウントをリセットさせる。この過程については、図4(a)の他の弁機構が常温水用の弁機構V2であった場合にS9のYESの過程、図4(a)の一の弁機構が常温水用の弁機構V2であった場合にS3のYES、S1が相当する。
この一方で、制御部50は、温水用の弁機構V3を開閉させて(このとき弁機構V3の瞬間的に開閉による出水もする)閉状態時間のカウントをリセットする。この過程については、図4(a)の一の弁機構が温水用の弁機構V3であった場合にS8、S1の過程が相当する。
なお、制御部50は、冷水用の弁機構V1の閉状態時間のカウントを継続する。この過程については、図4(a)の一の弁機構が冷水用の弁機構V1であった場合にS2の過程が相当する。
【0044】
前述したように、本実施形態に係るウォーターサーバー1の構成によれば、制御部50は、閉状態時間が所定時間を超えた場合に弁機構V1~V3を開閉させるので、ある程度の期間が経過すると弁機構V1~V3が開けられることになり、長期間にわたる閉状態によって弁機構V1~V3が固着してしまう可能性を低減させることができる。その結果、飲料水の通過を調整可能な弁機構V1~V3が固着して開状態への移行が不可となる現象を従来よりも低減させることができる。ひいては、ウォーターサーバー1の弁機構V1~V3の固着による出水不良も低減させることができる。
【0045】
また、制御部50は、複数の温度別の弁機構V1~V3のうちの一の弁機構V3の閉状態時間が所定時間を超えた場合に、複数の弁機構V1~V3のうちの他の温度別の弁機構V2,V1を開状態に駆動させたときに、一の弁機構V3を開閉させる。こうした構成によれば、一の温度別の弁機構V3が開閉している間に他の温度別の弁機構V2,V1が開状態となって飲料水を流しているので、一の温度別の弁機構V3の開閉によって流れる飲料水が、開状態となっている他の温度別の弁機構V2,V1によって流れる飲料水と混じり合い、一の温度別の弁機構V3が固着抑制のために開閉して飲料水を漏出していることがより目立たないようにすることができる。
【0046】
また、制御部50は、所定時間が経過したときに、出水用の弁機構V4を閉状態にしたまま温度別の弁機構V1~V3を開閉させる。こうした構成によれば、出水用の弁機構V4が閉状態になった状態のまま温度別の弁機構V1~V3が開閉されるので、飲料水は、開閉している温度別の弁機構V1~V3を通過できても、閉状態の出水用の弁機構V4を通過できないので、温度別の弁機構V1~V3が飲料水を漏出していることがより目立たないようにすることができる。
【0047】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えても良いし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせても良い。
【0048】
本実施形態では、制御部50は、第1モード又は第2モードの制御を経由した後に一の弁機構を開閉する制御を行っていたが、第1モード又は第2モードの制御を経由せずに一の弁機構の閉状態時間が所定時間を超えたら、開閉するという制御であっても良い。例えば、図4(a)でいうS4の過程の次にS9の過程を配置するフローであっても良い。
【0049】
本実施形態では、ウォーターサーバー1が出水用の弁機構V4を備える構成であったが、出水用の弁機構V4を備えない構成であっても良い。
【0050】
本実施形態では、制御部50が、弁機構V1~V3の各々の長期閉フラグが立った場合には、弁機構V1~V3の各々を瞬間的に開閉させる構成であったが、弁機構V1~V3の全ての長期閉フラグが立った場合には、弁機構V1~V3の各々を定期的に開閉させる構成であっても良い。
【0051】
本実施形態では、制御部50は、弁機構V1~V3の各々について、時間計測部5が計測する閉状態時間が所定時間を超えた場合に、弁機構V1~V3を開閉させるように構成されていたが、弁機構V1~V3に限定されなくても良い。すなわち、制御部50は、弁機構V4についても、時間計測部5が計測する閉状態時間が所定時間を超えた場合に、弁機構V4を開閉させるように構成されていても良い。
【0052】
本実施形態では、冷水用の弁機構V1の閉状態時間、常温水用の弁機構V2の閉状態時間、温水用の弁機構V3の閉状態時間が、共に同じ所定時間を基準に判断されていたが、同じ所定時間に限定されなくても良い。すなわち、弁機構V1の閉状態時間、弁機構V2の閉状態時間、弁機構V3の閉状態時間が、異なる所定時間を基準に判断されても良い。例えば、弁機構V1の閉状態が所定時間m1であり、弁機構V2の閉状態が所定時間m2であり、弁機構V3の閉状態が所定時間m3であり、m1<m2<m3の関係に設定されても良い。飲料水の温度が温かい場合よりも冷たい場合の方が飲料水が固まって弁機構の固着が生じ易いとも考えられ、前述の制御によれば、飲料水の温度が冷たい程に弁機構の開閉を頻繁に行うことができ、弁機構の固着を抑制し易い。
【0053】
本実施形態では、制御部50は、ユーザにより第1モード又は第2モードが選択される制御をするものであったが、ユーザの選択によらない制御であっても良い。すなわち、制御部50は、通常、第1モードに固定されていても良い。または、制御部50は、通常、第2モードに固定されていても良い。
なお、ユーザの選択による部分とよらない部分とを併せ持つ制御であっても良い。すなわち、制御部50は、通常第1モードに固定されていて、ユーザの操作により第2モードに設定されても良い。または、制御部50は、通常第2モードに固定されていて、ユーザの操作により第1モードに設定されても良い。
【0054】
本実施形態では、制御部50は、複数の弁機構V1,V2,V3,V4を1回開閉する制御を行っていたが、上記実施形態に限定されず、複数回開閉する制御であっても良い。
【0055】
本実施形態では、飲料水ボトルBを用いる構成であったが、図2の構成において飲料水ボトルBを用いずに水道の蛇口と冷水タンクT1とを直接に接続する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 :ウォーターサーバー
5 :時間計測部(時間計測手段)
10 :筐体
11 :凹部
20 :仕切り板
21 :出水口
30 :操作パネル
35 :容器載置部
50 :制御部(制御手段)
91 :弁体
92 :弁座
B :飲料水ボトル(飲料水タンク)
C :導水路
H :ヒータ
T1 :冷水タンク(飲料水タンク)
T2 :温水タンク(飲料水タンク)
m1,m2,m3 :所定時間
R1,R2,R3,R4 :流路
R11,R31 :誘導流路
R12,R32 :傾斜流路
V1,V2,V3,V4 :弁機構
図1
図2
図3
図4