(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110523
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】熱交換器の流路部材、及び熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 7/10 20060101AFI20220722BHJP
F28F 27/02 20060101ALI20220722BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20220722BHJP
F01N 5/02 20060101ALI20220722BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20220722BHJP
【FI】
F28D7/10 A ZAB
F28D7/10 Z
F28F27/02 A
F28F1/40 G
F01N5/02 B
F01N13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021005990
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】赤埴 達也
(72)【発明者】
【氏名】川口 竜生
(72)【発明者】
【氏名】吉原 誠
【テーマコード(参考)】
3G004
3L103
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004DA14
3G004FA02
3G004FA07
3L103AA37
3L103BB39
3L103CC02
3L103CC08
3L103CC09
3L103CC27
3L103DD10
3L103DD36
3L103DD38
(57)【要約】
【課題】熱回収量を向上させることが可能な熱交換器の流路部材を提供する。
【解決手段】第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒10と、第2流体を供給可能な供給口21及び第2流体を排出可能な排出口22を有し、内筒10との間に第2流体の流路R1,R2を構成するように内筒10の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒20と、供給口21に接続される供給管30と、排出口22に接続される排出管40とを備える熱交換器の流路部材100とする。供給口21及び排出口22は、外筒20の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられている。供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路抵抗が、供給口21と排出口22との間の長周側の第2流体の流路抵抗よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒と、
第2流体を供給可能な供給口及び前記第2流体を排出可能な排出口を有し、前記内筒との間に前記第2流体の流路を構成するように前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒と、
前記供給口に接続される供給管と、
前記排出口に接続される排出管と
を備え、
前記供給口及び前記排出口は、前記外筒の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路抵抗が、前記供給口と前記排出口との間の長周側の前記第2流体の流路抵抗よりも大きい、熱交換器の流路部材。
【請求項2】
前記供給口と前記排出口とは、前記外筒の同一周上に位置する、請求項1に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項3】
前記供給口と前記排出口とは、前記外筒の異なる周上に位置する、請求項1に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項4】
前記供給管及び前記排出管は、流れ調整部を介して前記供給口及び前記排出口にそれぞれ嵌合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項5】
前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路に設けられる流路抵抗増大構造部、及び前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路に設けられる流路抵抗増大部材の少なくとも1つを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項6】
前記流路抵抗増大構造部及び/又は前記流路抵抗増大部材は、前記第1流体の流通方向に沿って設けられている、請求項5に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項7】
前記流路抵抗増大構造部及び/又は前記流路抵抗増大部材は、前記第2流体の流路断面積を部分的に小さくすることが可能な構造を有する、請求項5又は6に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項8】
前記流路抵抗増大構造部及び/又は前記流路抵抗増大部材は蛇腹構造を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項9】
前記第1流体の流通方向に直交する断面において、前記内筒の中心部が、前記外筒の中心部に対して、前記供給口及び前記排出口側に位置するように前記内筒が偏心している、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱交換器の流路部材。
【請求項10】
第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒と、
第2流体を供給可能な供給口及び前記第2流体を排出可能な排出口を有し、前記内筒との間に前記第2流体の流路を構成するように前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒と、
前記供給口に接続される供給管と、
前記排出口に接続される排出管と
を備え、
前記供給口及び前記排出口は、前記外筒の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
前記供給口と前記排出口とは、前記外筒の同一周上に位置し、
前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路に設けられる流路抵抗増大構造部、及び前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路に設けられる流路抵抗増大部材の少なくとも1つを備える、熱交換器の流路部材。
【請求項11】
第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒と、
第2流体を供給可能な供給口及び前記第2流体を排出可能な排出口を有し、前記内筒との間に前記第2流体の流路を構成するように前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒と、
前記供給口に接続される供給管と、
前記排出口に接続される排出管と
を備え、
前記供給口及び前記排出口は、前記外筒の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
前記供給口と前記排出口とは、前記外筒の同一周上に位置し、
前記第1流体の流通方向に直交する断面において、前記内筒の中心部が、前記外筒の中心部に対して、前記供給口及び前記排出口側に位置するように前記内筒が偏心している、熱交換器の流路部材。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の熱交換器の流路部材と、
前記内筒内に収容される熱回収部材と
を備える熱交換器。
【請求項13】
前記熱回収部材が、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有するハニカム構造体である、請求項12に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の流路部材、及び熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の燃費改善が求められている。特に、エンジン始動時などのエンジンが冷えている時の燃費悪化を防ぐため、冷却水、エンジンオイル、オートマチックトランスミッションフルード(ATF:Automatic Transmission Fluid)などを早期に暖めて、フリクション(摩擦)損失を低減するシステムが期待されている。また、排ガス浄化用触媒を早期に活性化するために触媒を加熱するシステムが期待されている。
【0003】
上記のようなシステムとして、例えば、熱交換器がある。熱交換器は、内部に第1流体を流通させるとともに外部に第2流体を流通させることにより、第1流体と第2流体との間で熱交換を行う装置である。このような熱交換器では、高温の流体(例えば、排ガスなど)から低温の流体(例えば、冷却水など)へ熱交換することにより、熱を有効利用することができる。例えば、特許文献1には、第1流体の流路となる複数のセルが区画形成された隔壁を有する柱状ハニカム構造体と、柱状ハニカム構造体の外周面を覆うように配置されたケーシングとを備え、ケーシングが内筒及び外筒を有し、内筒と外筒との間に第2流体の流路が形成された熱交換器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の熱交換器は、第2流体の供給口及び排出口が外筒の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられている。そのため、供給口から供給された第2流体は、供給口と排出口との間の長周側の流路に比べて、供給口と排出口との間の短周側の流路を流れ易く、熱回収量(熱交換量)が低いという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、熱回収量を向上させることが可能な熱交換器の流路部材、及び熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、以下の本発明によって解決されるものであり、本発明は以下のように特定される。
【0008】
本発明は、第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒と、
第2流体を供給可能な供給口及び前記第2流体を排出可能な排出口を有し、前記内筒との間に前記第2流体の流路を構成するように前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒と、
前記供給口に接続される供給管と、
前記排出口に接続される排出管と
を備え、
前記供給口及び前記排出口は、前記外筒の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路抵抗が、前記供給口と前記排出口との間の長周側の前記第2流体の流路抵抗よりも大きい、熱交換器の流路部材である。
【0009】
また、本発明は、第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒と、
第2流体を供給可能な供給口及び前記第2流体を排出可能な排出口を有し、前記内筒との間に前記第2流体の流路を構成するように前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒と、
前記供給口に接続される供給管と、
前記排出口に接続される排出管と
を備え、
前記供給口及び前記排出口は、前記外筒の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
前記供給口と前記排出口とは、前記外筒の同一周上に位置し、
前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路に設けられる流路抵抗増大構造部、及び前記供給口と前記排出口との間の短周側の前記第2流体の流路に設けられる流路抵抗増大部材の少なくとも1つを備える、熱交換器の流路部材である。
【0010】
また、本発明は、第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒と、
第2流体を供給可能な供給口及び前記第2流体を排出可能な排出口を有し、前記内筒との間に前記第2流体の流路を構成するように前記内筒の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒と、
前記供給口に接続される供給管と、
前記排出口に接続される排出管と
を備え、
前記供給口及び前記排出口は、前記外筒の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
前記供給口と前記排出口とは、前記外筒の同一周上に位置し、
前記第1流体の流通方向に直交する断面において、前記内筒の中心部が、前記外筒の中心部に対して、前記供給口及び前記排出口側に位置するように前記内筒が偏心している、熱交換器の流路部材である。
【0011】
さらに、本発明は、前記熱交換器の流路部材と、
前記内筒内に収容される熱回収部材と
を備える熱交換器である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱回収量を向上させることが可能な熱交換器の流路部材、及び熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材の斜視図である。
【
図3】
図1のA-A’線及び
図2のB-B’線の断面図である。
【
図4】従来の熱交換器の流路部材の外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【
図9】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の上面図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【
図11】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【
図12】本発明の実施形態1に係る別の熱交換器の流路部材の斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し変更、改良などが適宜加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0015】
(実施形態1)
(1)熱交換器の流路部材
図1は、本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材の斜視図である。
図2は、
図1の熱交換器の流路部材の上面図である。
図3は、
図1のA-A’線及び
図2のB-B’線(外筒及び内筒の軸方向に直交する方向)の断面図である。
本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材100は、第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒10と、第2流体を供給可能な供給口21及び第2流体を排出可能な排出口22を有し、内筒10との間に第2流体の流路R1,R2を構成するように内筒10の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒20と、供給口21に接続される供給管30と、排出口22に接続される排出管40とを備える。また、外筒20の供給口21及び排出口22は、外筒20の周方向において、半周未満の領域に位置するように設けられている。
なお、
図1では、内筒10と外筒20との間が接続部材50によって接続された一例を示しているが、内筒10の両端部を拡径すること及び/又は外筒20の両端部を縮径することによって、内筒10と外筒20とを直接接続してもよい。
【0016】
ここで、従来の熱交換器の流路部材について、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図を
図4に示す。
従来の熱交換器の流路部材では、供給管30から供給口21を介して供給された第2流体は、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1又は供給口21と排出口22との間の長周側の第2流体の流路R2のいずれか一方を流通し、排出口22を介して排出管40から排出される。なお、
図4において、矢印は第2流体の流通方向D2を表す。しかし、第2流体は、供給口21と排出口22との間の距離が長い長周側の第2流体の流路R2に比べて、供給口21と排出口22との間の距離が短い短周側の第2流体の流路R1を流通する割合が高く、第2流体が内筒10と接触する機会が少なくなることで、熱回収量が低下する一因となっていた。
【0017】
本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材100は、一態様において、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路抵抗(流路R1の抵抗)が、供給口21と排出口22との間の長周側の第2流体の流路抵抗(流路R2の抵抗)よりも大きい。このように流路抵抗を制御することにより、供給口21と排出口22との間の距離が短い短周側の第2流体の流路R1に比べて、供給口21と排出口22との間の距離が長い長周側の第2流体の流路R2を流通する第2流体の割合が高くなるため、第2流体が内筒10と接触する機会を増加させ、熱回収量を増加させることができる。短周側の第2流体の流路抵抗及び長周側の第2流体の流路抵抗は、例えば、以下の方法によって求めることができる。短周側の第2流体の流路抵抗は、長周側の第2流体の流路を塞ぎ、第2流体(例えば、水)を10L/分で流通させた時の圧力損失から流路抵抗を算出することができる。また、長周側の第2流体の流路抵抗は、短周側の第2流体の流路を塞ぎ、第2流体(例えば、水)を10L/分で流通させた時の圧力損失から流路抵抗を算出することができる。
【0018】
供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路抵抗を、供給口21と排出口22との間の長周側の第2流体の流路抵抗よりも大きくする方法としては、特に限定されないが、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に流路抵抗増大構造部23を設けてもよいし、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に流路抵抗増大部材を配置してもよいし、これらを組み合わせてもよい。
流路抵抗増大構造部23は、第2流体の流路R1に面する内筒10、外筒20又はこれらの両方に設けることができるが、生産性の観点から外筒20であることが好ましい。同様に、流路抵抗増大部材は、第2流体の流路R1に面する内筒10、外筒20又はこれらの両方に配置してもよいが、生産性の観点から外筒20であることが好ましい。
なお、流路抵抗増大構造部23は、内筒10及び/又は外筒20を形状加工することによって形成される部分であるのに対し、流路抵抗増大部材は、内筒10及び/又は外筒20とは別に設けられる部材である点で両者は異なる。
【0019】
ここで、
図1~3は、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に面する外筒20に流路抵抗増大構造部23を設けた場合の一例である。その他の例を
図5~7に示す。
図5は、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に面する内筒10に流路抵抗増大構造部23を設けた場合の一例である。
図6及び7は、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に面する外筒20に流路抵抗増大部材60を配置した場合の一例である。
図8は、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に面する内筒10に流路抵抗増大部材60を配置した場合の一例である。
なお、
図5~8は、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の熱交換器の流路部材の断面図である。これらの熱交換器の流路部材の斜視図及び上面図は、
図1~3を参酌することで容易に理解できるため省略する。
【0020】
流路抵抗増大構造部23及び/又は流路抵抗増大部材60は、第1流体の流通方向D1に沿って設けられることが好ましい。このように流路抵抗増大構造部23及び/又は流路抵抗増大部材60を設けることにより、供給口21と排出口22との間の距離が長い長周側の第2流体の流路R2を流通する第2流体の割合をより一層高めることができるため、熱回収量がより一層増加する。
【0021】
流路抵抗増大構造部23及び/又は流路抵抗増大部材60は、
図3及び5~8に示されるように、第2流体の流路断面積を部分的に小さくすることが可能な構造を有することが好ましい。このような構造とすることにより、第2流体の流路抵抗を大きくすることができる。
【0022】
第2流体の流路断面積を部分的に小さくすることが可能な構造としては、特に限定されず、
図3及び5~8に示されるような形状などを含む様々な構造とすることができる。なお、
図6~8に示されるような流路抵抗増大部材60は、複数に分割されていてもよく、幅や厚みなども適宜調整することができる。また、これらの構造の中でも、
図6に示されるような蛇腹構造とすることが好ましい。蛇腹構造は、表面積が大きいため、供給口21と排出口22との間の距離が短い短周側の第2流体の流路R1においても熱交換がし易くなり、熱回収量を増加させることができる。
【0023】
以下、熱交換器の流路部材100について、構成部材ごとに詳細に説明する。
<内筒10について>
内筒10は、第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な筒状の部材である。
内筒10の形状としては、特に限定されず、軸方向に垂直な断面が円形である円筒状、当該断面が三角形、四角形、五角形、六角形などの角筒状、当該断面が楕円形の楕円筒状などにすることができる。その中でも内筒10は、円筒状であることが好ましい。
内筒10の内周面は、熱回収部材の軸方向(第1流体の流通方向D1)の外周面と直接的に接していても間接的に接していてもよいが、熱伝導性の観点から、熱回収部材の軸方向の外周面と直接的に接していることが好ましい。この場合、内筒10の内周面の断面形状は、熱回収部材の外周面の断面形状と一致する。また、内筒10の軸方向は、熱回収部材の軸方向と一致し、内筒10の中心軸は熱回収部材の中心軸と一致することが好ましい。
【0024】
内筒10の径(外径及び内径)は、特に限定されないが、軸方向の両端部が拡径していることが好ましい。このような構成とすることにより、外筒20と直接接合することができるため、接続部材50を省略することができる。また、内筒10と外筒20との間に中筒を設ける場合に、拡径した内筒10の軸方向の両端部の外周面に中筒を直接設けることができる。
【0025】
熱回収部材を流通する第1流体の熱は、熱回収部材を介して内筒10に伝達されるため、内筒10は、熱伝導性に優れた材料から形成されていることが好ましい。内筒10に用いられる材料としては、例えば、金属、セラミックスなどを用いることができる。金属としては、ステンレス鋼、チタン合金、銅合金、アルミ合金、真鍮などが挙げられる。耐久信頼性が高いという理由により、内筒10の材料はステンレス鋼であることが好ましい。
【0026】
<外筒20について>
外筒20は、内筒10の径方向外側に間隔をおいて配置された筒状の部材である。
外筒20の形状としては、特に限定されず、軸方向に垂直な断面が円形である円筒状、当該断面が三角形、四角形、五角形、六角形などの角筒状、当該断面が楕円形の楕円筒状などにすることができる。その中でも外筒20は、円筒状であることが好ましい。
外筒20は、内筒10と同軸に配置されていてもよい。具体的には、外筒20の軸方向は、内筒10の軸方向と一致し、外筒20の中心軸は、内筒10の中心軸と一致していてもよい。
外筒20の軸方向長さは、内筒10に収容される熱回収部材の軸方向長さよりも長く設定されていることが好ましい。また、外筒20の軸方向において、外筒20の中央位置は、内筒10の中央位置と一致することが好ましい。
【0027】
外筒20の径(外径及び内径)は、特に限定されないが、軸方向の両端部が縮径していることが好ましい。このような構成とすることにより、内筒10と直接接合することができるため、接続部材50を省略することができる。また、外筒20と内筒10との間に中筒を設ける場合に、縮径した外筒20の軸方向の両端部の内周面に中筒を直接設けることができる。
【0028】
外筒20に用いられる材料としては、例えば、金属、セラミックスなどを用いることができる。金属としては、ステンレス鋼、チタン合金、銅合金、アルミ合金、真鍮などが挙げられる。耐久信頼性が高いという理由により、外筒20の材料はステンレス鋼であることが好ましい。
【0029】
外筒20は、第2流体を供給可能な供給口21及び第2流体を排出可能な排出口22を有する。供給口21及び排出口22の位置は、外筒20の周方向において、半周未満の領域に位置するように設けられていれば特に限定されない。
例えば、
図2に示されるように、供給口21と排出口22とが外筒20の同一周上に位置するように、供給口21及び排出口22を設けることができる。より好ましくは、供給口21の中心部P1と排出口22の中心部P2とが外筒20の同一周上に位置するように、供給口21及び排出口22を設けることができる。ここで、供給口21の中心部P1と排出口22の中心部P2とが外筒20の同一周上に位置するとは、供給口21の中心部P1と排出口22の中心部P2とが外筒20の軸方向に直交する1つの周線L上に位置することを意味する。
また、供給口21と排出口22とが外筒20の異なる周上に位置するように、供給口21及び排出口22を設けてもよい。このような態様の熱交換器の流路部材の上面図を
図9に示す。ここで、供給口21と排出口22とが外筒20の異なる周上に位置するとは、供給口21の中心部P1と排出口22の中心部P2とが外筒20の軸方向に直交する2つの周線L1,L2にそれぞれ位置することを意味する。このように供給口21及び排出口22を設けることにより、第2流体の流通方向D2が、第1流体の流通方向D1に対して対向することになるため、熱回収量を増加させることができる。
【0030】
<供給管30及び排出管40について>
供給管30及び排出管40は、第2流体が流通可能な筒状の部材である。
供給管30及び排出管40は、供給口21及び排出口22にそれぞれ接続される。接続方法としては、特に限定されず、焼き嵌め、圧入、ろう付け、拡散接合などの公知の方法を用いることができる。
供給管30及び排出管40の形状としては、特に限定されず、軸方向に垂直な断面が円形である円筒状、当該断面が三角形、四角形、五角形、六角形などの角筒状、当該断面が楕円形の楕円筒状などにすることができる。その中でも供給管30及び排出管40は、円筒状であることが好ましい。
【0031】
供給管30及び排出管40の軸方向は、特に限定されない。例えば、外筒20の軸方向に垂直な断面において、
図10に示されるように供給管30及び排出管40の軸方向が外筒20の中心部P4に向くように構成してもよいし、
図3~8に示されるように、供給管30及び排出管40の軸方向が長周側の第2流体の流路R2に向くように構成してもよい。その中でも、供給管30及び排出管40の軸方向が長周側の第2流体の流路R2に向くように構成することにより、長周側の第2流体の流路R2に第2流体が流通し易くなるため、第2流体が内筒10と接触する機会を増加させ、熱回収量を増加させることができる。
また、
図11に示されるように、外筒20の軸方向に垂直な断面において、供給管30の供給口21側端部にバッファ部31を設け、当該バッファ部31を長周側の第2流体の流路R2に第2流体が優先的に流通するように構成してもよい。なお、
図11では、供給管30にバッファ部31を設けた例を示しているが、排出管40の排出口22側端部にバッファ部を設けてもよい。このような構成とすることにより、第2流体が内筒10と接触する機会が増加するため、熱回収量を増加させることができる。
【0032】
供給管30及び排出管40に用いられる材料としては、例えば、金属、セラミックスなどを用いることができる。金属としては、ステンレス鋼、チタン合金、銅合金、アルミ合金、真鍮などが挙げられる。耐久信頼性が高いという理由により、供給管30及び排出管40の材料はステンレス鋼であることが好ましい。
【0033】
供給管30及び排出管40は、
図12に示されるように、流れ調整部70を介して供給口21及び排出口22にそれぞれ嵌合されていてもよい。
供給管30及び排出管40が外筒20の供給口21及び排出口22に直接嵌合されている場合、供給管30及び排出管40の嵌合部周辺において第2流体が淀んで沸騰してしまい、以下の(1)~(3)などの問題が生じることがある。
(1)熱交換器が局所的に高温となって熱交換器自体に不具合が生じる。
(2)熱が過剰に回収される。
(3)発生した気泡(蒸気)が他部品の特性を低下させる。
流れ調整部70を介して供給管30及び排出管40を供給口21及び排出口22にそれぞれ嵌合することにより、供給管30及び排出管40の嵌合部周辺における第2流体の淀みを抑制することができる。
【0034】
流れ調整部70の構造は、第2流体の流れを調整することが可能な構造であれば特に限定されないが、外筒20の外周方向の一部に設けられ、外筒20の径方向外側に拡張した構造を有することが好ましい。このような構造とすることにより、供給管30及び排出管40の嵌合部周辺における第2流体の淀みを安定して抑制することができる。
【0035】
流れ調整部70は、少なくとも1つの平面領域を有し、平面領域に供給管30及び排出管40の嵌合部を設けることが好ましい。このような構成とすることにより、流れ調整部70に供給管30及び排出管40を接合し易くすることができる。
【0036】
<接続部材50について>
接続部材50は、必要に応じて、内筒10の上流側と外筒20の上流側との間、及び内筒10の下流側と外筒20の下流側との間を接続する筒状部材である。
なお、上記でも説明しているが、内筒10の上流側及び下流側を拡径すること及び/又は外筒20の上流側及び下流側を縮径することによって内筒10と外筒20とが直接接続されていれば、接続部材50を設ける必要はないことに留意すべきである。
【0037】
接続部材50の軸方向は、内筒10及び外筒20と同軸に配置されていることが好ましい。具体的には、接続部材50の軸方向は、内筒10及び外筒20の軸方向と一致し、接続部材50の中心軸は、内筒10及び外筒20の中心軸と一致することが好ましい。
【0038】
接続部材50は、内筒10と外筒20との間を接続するために、フランジ部を有する。フランジ部の形状は、特に限定されず、各種公知の形状とすることができる。
接続部材50に用いられる材料としては、特に限定されず、内筒10及び外筒20で例示した材料と同じものを用いることができる。
【0039】
<中筒について>
中筒は、必要に応じて、内筒10と外筒20との間に設けることができる。
中筒の形状としては、特に限定されず、軸方向に垂直な断面が円形である円筒状、当該断面が三角形、四角形、五角形、六角形などの角筒状、当該断面が楕円形の楕円筒状などにすることができる。その中でも中筒は、円筒状であることが好ましい。
中筒の軸方向は、内筒10及び外筒20の軸方向と一致し、中筒の中心軸は内筒10及び外筒20の中心軸と一致することが好ましい。
中筒の軸方向長さは、内筒10に収容される熱回収部材の軸方向長さよりも長く設定されていることが好ましい。また、中筒の軸方向において、中筒の中央位置は、外筒20の中央位置と一致することが好ましい。
【0040】
中筒は、内筒10と外筒20との間に配置され、外筒20と中筒との間に第2流体が流通可能な第1流路、及び内筒10と中筒との間に第2流体が流通可能な第2流路を形成する。
中筒は、第1流路と第2流路との間を第2流体が流通可能な連通孔を有する。このような構成とすることにより、第2流路内に第2流体を流通させることができる。
連通孔の形状としては、第2流体が通過可能な形状であれば特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状などの各種形状とすることができる。また、中筒の軸方向又は周方向に沿ってスリットを連通孔として設けてもよい。
連通孔の数は、特に限定されず、中筒の軸方向に複数あってもよく、一般には、連通孔の形状に応じて適宜設定すればよい。
【0041】
第2流路が液体の第2流体で満たされているとき、熱回収部材から内筒10に伝えられた第1流体の熱が、第2流路の第2流体を介して第1流路の第2流体に伝えられる。一方、内筒10の温度が高く、第2流路内で気体状態の第2流体(第2流体の蒸気(気泡))が発生したとき、第2流路の第2流体を介する第1流路の第2流体への熱伝導が抑制される。これは、液体の流体に比べて気体の流体の熱伝導率が低いためである。すなわち、第2流路内で気体状態の第2流体が発生するか否かにより、熱交換を促進する状態と熱交換を抑制する状態とを切り替えることができる。この熱交換の状態は、外部からの制御を必要としない。したがって、中筒を設けることにより、外部から制御することなく、第1流体と第2流体との間の熱交換の促進と抑制との切り替えを容易に行うことが可能になる。
なお、第2流体は、熱交換を抑制したい温度域に沸点を有する流体を使用すればよい。
【0042】
本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材100は、別の態様において、次のような構成としてもよい。
第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒10と、第2流体を供給可能な供給口21及び第2流体を排出可能な排出口22を有し、内筒10との間に第2流体の流路R1,R2を構成するように内筒10の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒20と、供給口21に接続される供給管30と、排出口22に接続される排出管40とを備え、
供給口21及び排出口22は、外筒20の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
供給口21と排出口22とは、外筒20の同一周上に位置し、
供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に設けられる流路抵抗増大構造部23、及び供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に設けられる流路抵抗増大部材60の少なくとも1つを備える、熱交換器の流路部材100。
このような構成を有する熱交換器の流路部材100であっても、熱回収量を向上させることができる。
【0043】
上記のような構造を有する本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材100は、公知の方法に準じて製造することができる。具体的には、本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材は、次のようにして製造することができる。
まず、内筒10を準備し、内筒10の外周面に流路抵抗増大構造部23を設ける場合には、成形加工などによって流路抵抗増大構造部23を形成する。また、内筒10の外周面に流路抵抗増大部材60を配置する場合には、内筒10の外周面に流路抵抗増大部材60を配置し、溶接などによって固定する。成形加工としては、プレス加工、エンボス加工などが挙げられる。
同様に、供給管30及び排出管40を設けた外筒20を準備し、外筒20の内周面に流路抵抗増大構造部23を設ける場合には、成形加工などによって流路抵抗増大構造部23を形成する。また、外筒20の内周面に流路抵抗増大部材60を配置する場合には、外筒20の内周面に流路抵抗増大部材60を配置し、溶接などによって固定する。
次に、上記の外筒20内に上記の内筒10を配置し、溶接などによって固定する。
なお、上記の製造方法は一例であり、工程の順序などは適宜変更することができる。
【0044】
本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材100は、上記のような構造を有しているため、熱回収量を向上させることができる。
【0045】
(2)熱交換器
本発明の実施形態1に係る熱交換器は、上記の熱交換器の流路部材100と、内筒10内に収容される熱回収部材とを備える。
熱回収部材としては、熱を回収できるものであれば特に限定されない。例えば、熱回収部材としてハニカム構造体を用いることができる。
ハニカム構造体は、一般的に柱状の構造体である。ハニカム構造体の軸方向に直交する断面形状は、特に限定されず、円、楕円又は四角若しくはその他の多角形とすることができる。
【0046】
ハニカム構造体は、外周壁と、外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有する。
隔壁及び外周壁は、セラミックスを主成分とする。第1端面及び第2端面は、ハニカム構造体の軸方向(セルが延びる方向)の両側の端面である。
各セルの断面形状(セルが延びる方向に垂直な断面の形状)は、特に限定されず、円形、楕円形、扇形、三角形、四角形、五角角形以上の多角形などの任意の形状とすることができる。
また、各セルは、ハニカム構造体の軸方向に垂直な断面において放射状に形成されていてもよい。このような構成とすることにより、セルを流通する第1流体の熱をハニカム構造体の径方向外側に向けて効率良く伝達させることができる。
【0047】
ハニカム構造体の外周壁は、隔壁よりも厚いことが好ましい。このような構成とすることにより、外部からの衝撃、第1流体と第2流体との間の温度差による熱応力などによって破壊(例えば、ひび、割れなど)が起こり易い外周壁の強度を高めることができる。
【0048】
隔壁の厚みは、特に限定されず、用途などに応じて適宜調整すればよい。例えば、隔壁の厚みは、0.1~1mmとすることが好ましく、0.2~0.6mmとすることがより好ましい。隔壁の厚みを0.1mm以上とすることにより、ハニカム構造体の機械的強度を十分に確保することができる。また、隔壁の厚さを1mm以下とすることにより、開口面積の低下によって圧力損失が大きくなったり、第1流体との接触面積の低下によって熱回収効率が低下したりする問題を抑制することができる。
【0049】
ハニカム構造体は、次のようにして製造することができる。
まず、セラミックス粉末を含む坏土を所望の形状に押し出し、ハニカム成形体を作製する。ハニカム構造体の材料としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、Si含浸SiC複合材料を主成分とするハニカム構造体を製造する場合、所定量のSiC粉末に、バインダーと、水又は有機溶媒とを加え、得られた混合物を混練し坏土とし、成形して所望形状のハニカム成形体を得ることができる。
次に、得られたハニカム成形体を乾燥し、減圧の不活性ガス又は真空中で、ハニカム成形体中に金属Siを含浸焼成することによって、隔壁によって第1流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造体を得ることができる。
【0050】
ハニカム構造体を内筒10内に収容する場合、ハニカム構造体を内筒10に挿入し、所定の位置に配置した後、焼き嵌めればよい。このとき、焼き嵌めの代わりに、圧入やろう付け、拡散接合などを用いてもよい。
【0051】
本発明の実施形態1に係る熱交換器は、上記の熱交換器の流路部材100を用いているため、熱回収量を向上させることができる。
【0052】
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材の、外筒及び内筒の軸方向に直交する方向の断面図である。
なお、本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材200の説明において、本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材100の説明の中で登場した符号と同一の符号を有する構成要素は、本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材200の構成要素と同一であるので、その詳細な説明は省略する。
【0053】
本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材200は、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路抵抗を、供給口21と排出口22との間の長周側の第2流体の流路抵抗よりも大きくする方法が、実施形態1に係る熱交換器の流路部材100と異なっており、それ以外は実施形態1に係る熱交換器の流路部材100と同じである。
すなわち、本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材200は、第1流体の流通方向D1に直交する断面において、内筒10の中心部P3が、外筒20の中心部P4に対して、供給口21及び排出口22側に位置するように内筒10が偏心している。このように内筒10を偏心させることにより、供給口21と排出口22との間の距離が短い短周側の第2流体の流路抵抗を増加させることで、供給口21と排出口22との間の距離が長い長周側の第2流体の流路R2を流通する第2流体の割合を高めることができるため、熱回収量が増加する。
【0054】
本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材200は、外筒20内に内筒10を配置する際に、内筒10が偏心するように配置し、溶接などによって固定することによって製造することができる。
本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材200は、本発明の実施形態1に係る熱交換器の流路部材100に比べて、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に流路抵抗増大構造部23を設けたり、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に流路抵抗増大部材60を配置したりする必要がないため、生産性が高いとともに、製造コストを抑えることができる。
ただし、第2流体の流路R1,R2を流通する第2流体の割合を微調整する観点から、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に流路抵抗増大構造部23を設けたり、供給口21と排出口22との間の短周側の第2流体の流路R1に流路抵抗増大部材60を配置したりしてもよい。
【0055】
本発明の実施形態2に係る熱交換器の流路部材200は、別の態様において、次のような構成としてもよい。
第1流体が流通可能な熱回収部材を収容可能な内筒10と、第2流体を供給可能な供給口21及び第2流体を排出可能な排出口22を有し、内筒10との間に第2流体の流路R1,R2を構成するように内筒10の径方向外側に間隔をおいて配置される外筒20と、供給口21に接続される供給管30と、排出口22に接続される排出管40とを備え、
供給口21及び排出口22は、外筒20の周方向において半周未満の領域に位置するように設けられており、
供給口21と排出口22とは、外筒20の同一周上に位置し、
第1流体の流通方向D1に直交する断面において、内筒10の中心部P3が、外筒20の中心部P4に対して、供給口21及び排出口22側に位置するように内筒10が偏心している、熱交換器の流路部材。
このような構成を有する熱交換器の流路部材200であっても、熱回収量を向上させることができる。
【0056】
本発明の実施形態2に係る熱交換器は、上記の熱交換器の流路部材200と、内筒10内に収容される熱回収部材とを備える。この熱交換器は、上記の熱交換器の流路部材200を用いているため、熱回収量を向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 内筒
20 外筒
21 供給口
22 排出口
23 流路抵抗増大構造部
30 供給管
31 バッファ部
40 排出管
50 接続部材
60 流路抵抗増大部材
70 流れ調整部
100,200 熱交換器の流路部材
R1,R2 第2流体の流路
D1 第1流体の流通方向
D2 第2流体の流通方向