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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110530
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】太陽光集光装置
(51)【国際特許分類】
   F24S 23/77 20180101AFI20220722BHJP
   F24S 23/30 20180101ALI20220722BHJP
【FI】
F24S23/77
F24S23/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006000
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 博幸
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 悟史
(57)【要約】
【課題】広大な平らな土地を必要とせず、また、システムの規模に応じた装置の再設計も必要とせずに、集光される太陽光の量(システムの規模)を調整することができる、太陽光集光装置を提供すること。
【解決手段】太陽光集光装置10は、ヘリオスタット11と、ヘリオスタット11を支持する第1の本体12と、を有するヘリオスタットユニット1であって、第1の本体12は、ヘリオスタット11よりも上方まで延在し、第1の本体12の上部が、他のヘリオスタットユニット1の底部に下方から接触する部分を含む、ヘリオスタットユニット1と、集光器21と、集光器21を支持する第2の本体22と、を有する集光器ユニット2であって、第2の本体22は、集光器21よりも上方まで延在し、第2の本体22の上部が、他の集光器ユニット2の底部に下方から接触する部分を含む、集光器ユニット2と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリオスタットと、前記ヘリオスタットを支持する第1の本体と、を有するヘリオスタットユニットであって、前記第1の本体は、前記ヘリオスタットよりも上方まで延在し、前記第1の本体の上部が、他のヘリオスタットユニットの底部に下方から接触する部分を含む、ヘリオスタットユニットと、
集光器と、前記集光器を支持する第2の本体と、を有する集光器ユニットであって、前記第2の本体は、前記集光器よりも上方まで延在し、前記第2の本体の上部が、他の集光器ユニットの底部に下方から接触する部分を含む、集光器ユニットと、
を備える、太陽光集光装置。
【請求項2】
前記第1の本体と、前記第2の本体とは、別体である、請求項1に記載の太陽光集光装置。
【請求項3】
前記第1の本体と、前記第2の本体とは、互いに連結される、請求項1に記載の太陽光集光装置。
【請求項4】
前記第2の本体の高さが、前記第1の本体の高さと等しい、請求項1~3のいずれか一項に記載の太陽光集光装置。
【請求項5】
前記第1の本体の底部は、第1の凹部を含み、前記第1の本体の上部は、他のヘリオスタットユニットの前記第1の凹部と係合する第1の突起を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の太陽光集光装置。
【請求項6】
前記第1の突起は、前記第1の本体から取り外し可能である、請求項5に記載の太陽光集光装置。
【請求項7】
前記第2の本体の底部は、第2の凹部を含み、前記第2の本体の上部は、他の集光器ユニットの前記第2の凹部と係合する第2の突起を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の太陽光集光装置。
【請求項8】
前記第2の突起は、前記第2の本体から取り外し可能である、請求項7に記載の太陽光集光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽光集光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光は、様々な用途に使用され得る。例えば、特許文献1は、太陽光を発電に利用するシステムを開示する。このシステムは、地面から約20mの高さに支持されたセンターミラーと、センターミラーの下方に設置され、複数の太陽光発電モジュールを有する発電エリアと、センターミラーを中心に西-北-東を含む範囲に放射状に配置された複数のヘリオスタットと、を備える。複数のヘリオスタットから反射された太陽光は、センターミラーに集光され、センターミラーから発電エリアへと導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-38953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、複数のヘリオスタットが、センターミラーを中心に放射状に配置される。したがって、そのような大規模なシステムを建設する場合には、広大な平らな土地が必要になることから、建設可能な場所が限定されるという問題がある。また、集光される太陽光の量(システムの規模)に応じて装置を都度再設計する必要があり、システムの建設のための期間やコストが嵩むという問題がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を考慮して、広大な平らな土地を必要とせず、また、システムの規模に応じた装置の再設計も必要とせずに、集光される太陽光の量(システムの規模)を調整することができる、太陽光集光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ヘリオスタットと、ヘリオスタットを支持する第1の本体と、を有するヘリオスタットユニットであって、第1の本体は、ヘリオスタットよりも上方まで延在し、第1の本体の上部が、他のヘリオスタットユニットの底部に下方から接触する部分を含む、ヘリオスタットユニットと、ヘリオスタットから反射された光を集光させる集光器と、集光器を支持する第2の本体と、を有する集光器ユニットであって、第2の本体は、集光器よりも上方まで延在し、第2の本体の上部が、他の集光器ユニットの底部に下方から接触する部分を含む、集光器ユニットと、を備える、太陽光集光装置である。
【0007】
第1の本体と、第2の本体とは、別体であってもよい。
【0008】
第1の本体と、第2の本体とは、互いに連結されてもよい。
【0009】
第2の本体の高さが、第1の本体の高さと等しくてもよい。
【0010】
第1の本体の底部は、第1の凹部を含み、第1の本体の上部は、他のヘリオスタットユニットの第1の凹部と係合する第1の突起を含んでもよい。
【0011】
第1の突起は、第1の本体から取り外し可能であってもよい。
【0012】
第2の本体の底部は、第2の凹部を含み、第2の本体の上部は、他の集光ユニットの第2の凹部と係合する第2の突起を含んでもよい。
【0013】
第2の突起は、第2の本体から取り外し可能であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、広大な平らな土地を必要とせず、また、システムの規模に応じた装置の再設計も必要とせずに、集光される太陽光の量(システムの規模)を調整することができる、太陽光集光装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る太陽光集光装置を示す概略的な斜視図である。
図2図2は、図1の太陽光集光装置を示す概略的な側面図である。
図3図3は、図1の太陽光集光装置を示す概略的な平面図である。
図4図4は、図1の太陽光集光装置を複数備える太陽光集光システムを示す概略的な斜視図である。
図5図5は、図4の太陽光集光システムを示す概略的な側面図である。
図6図6は、図1の太陽光集光装置を備える他の太陽光集光システムを示す概略的な側面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る太陽光集光装置を複数備える太陽光集光システムを示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示される寸法、材料、および、具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能および構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る太陽光集光装置10を示す概略的な斜視図である。図2は、図1の太陽光集光装置10を示す概略的な側面図である。図3は、図1の太陽光集光装置10を示す概略的な平面図である。
【0018】
図1を参照して、太陽光集光装置(本開示において、単に「装置」とも称され得る)10は、ヘリオスタットユニット1と、集光器ユニット2と、を備える。本実施形態では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2は、別体である。本実施形態では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2は、地面G上に配置される。ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2は、例えば、地面G上の不図示の基台に搭載されてもよいし、または、直接地面G上に配置されてもよい。
【0019】
ヘリオスタットユニット1は、ヘリオスタット11と、第1の本体12と、を有する。ヘリオスタットユニット1は、不図示の他の構成要素を更に備えていてもよい(例えば、ヘリオスタット11の姿勢を制御するための制御装置および電源等)。
【0020】
図2を参照して、ヘリオスタット11は、太陽光SRを集光器ユニット2へと反射する。ヘリオスタット11は、1枚または複数枚の平面鏡を有する。平面鏡の姿勢(例えば、鉛直軸線周りの角度、および、水平軸線周りの角度)は、平面鏡から反射された太陽光SRが、所定の方向(本実施形態では、水平方向に平行な方向)に導かれるように制御される。例えば、ヘリオスタットユニット1は、平面鏡から反射された太陽光SRが、所定の方向に導かれているか否かを検知するための不図示のセンサを有していてもよい。
【0021】
ヘリオスタットユニット1に関する方向について、本開示では、水平方向のうち、ヘリオスタット11が太陽光SRを反射させる方向を前(図2において右)と称し、その反対を後(図2において左)と称する。前後方向と垂直な水平方向を、左右と称する。
【0022】
第1の本体12は、ヘリオスタット11を支持する。具体的には、第1の本体12は、ヘリオスタット11を支持するための支持部13を含む。図1を参照して、支持部13は、プレート13aと、フレーム13bと、を含む。プレート13aには、ヘリオスタット11の下部が取り付けられる。例えば、プレート13aは、四角形状を有する。フレーム13bは、例えば、四角枠形状を有し、プレート13aを囲っている。プレート13aは、フレーム13bに連結される。
【0023】
第1の本体12は、他のヘリオスタットユニット1を支持可能に構成される。具体的には、第1の本体12は、積載部14を含む。積載部14は、ヘリオスタット11よりも上方まで延在する。積載部14の上部は、平面視において、ヘリオスタットユニット1の底部(具体的には、積載部14の底部)と重複する部分を含む。積載部14の上部は、この重複部分において、他のヘリオスタットユニット1の底部と下方から接触(または、係合)することが可能である。本実施形態では、積載部14は、直方体状の外形を有する。また、本実施形態では、積載部14は、複数段(4段)のフレーム構造を有する。本実施形態では、積載部14の上部のフレームの形状は、平面視において、積載部14の下部のフレームの形状と一致する。積載部14は、その上部にプレート14aを含む。プレート14aは、フレーム構造の強度を向上させる。
【0024】
積載部14は、ヘリオスタット11へと向かう太陽光SRを遮らないように、ヘリオスタット11から水平方向(後方)に離間するように配置される。積載部14とヘリオスタット11との間の距離は、ヘリオスタット11の平面鏡の姿勢が制御される際に、平面鏡が積載部14に接触しないように設定される。
【0025】
上述の支持部13および積載部14は、互いに連結される。例えば、支持部13および積載部14は、一体型であってもよく、または、溶接若しくはボルト等の公知の固定手段によって連結されてもよい。本実施形態では、支持部13の底部および積載部14の底部は、互いに面一にされる。他の実施形態では、積載部14がヘリオスタット11よりも上方まで延在する限りにおいて、支持部13の底部が、積載部14の底部よりも上方に位置してもよい。図3を参照して、本実施形態では、支持部13および積載部14の幅(左右方向の長さ)は、同一である。
【0026】
図1を参照して、第1の本体12(積載部14)の高さは、例えば、2~3m程度である。第1の本体12の長さ(前後方向の長さ)および幅は、例えば、2~3m×2~3m程度である。第1の本体12のサイズは、上記に限定されず、様々な要求に応じて、適宜変更可能である。
【0027】
第1の本体12は、上記の構成に限定されず、ヘリオスタット11を支持でき、かつ、他のヘリオスタットユニット1を下方から支持可能である限りにおいて、他の構成を有することができる。例えば、積載部14は、直方体状以外の外形を有していてもよい。また、積載部14は、フレーム構造を有していなくてもよく、その外形は閉じられていてもよい。第1の本体12は、例えば、鋼若しくはアルミニウム等の金属等、様々な材料で形成されることができる。
【0028】
図2を参照して、本実施形態では、集光器ユニット2は、集光器21と、第2の本体22と、シャッタ23と、加熱炉24と、を有する。集光器ユニット2は、不図示の他の構成要素を更に備えていてもよい(例えば、シャッタ23および加熱炉24を制御するための制御装置および電源等)。なお、これらの制御装置および電源は、ヘリオスタットユニット1と共用されてもよい。
【0029】
集光器21は、ヘリオスタット11から反射された太陽光SRを、加熱炉24に点集光させる。他の実施形態では、集光器21は、太陽光SRの用途に応じて、太陽光SRを線集光させてもよい。例えば、集光器21は、フレネルレンズであってもよい。フレネルレンズは、例えば放物面鏡に比して、軽量でかつ安価である。したがって、フレネルレンズの使用は、集光器ユニット2の重量および製造コストを低減し得る。他の実施形態では、集光器21は、例えば、放物面鏡であってもよい。
【0030】
集光器21として、集光レンズ(例えば、フレネルレンズ)を使用する場合、ヘリオスタット11および集光レンズを利用するこの構成は、ヘリオスタット11と集光レンズとの間の距離を変化させても、同じように太陽光SRを集光することができるという性質を有する。したがって、本実施形態では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2が別体であるため、太陽光SRが集光器ユニット2によって遮られない限りにおいて、ヘリオスタットユニット1と集光器ユニット2とを互いに近づけることができる。よって、太陽光集光装置10の設置面積を低減することができる。
【0031】
集光器ユニット2に関する方向について、本開示では、水平方向のうち、集光器21が太陽光SRを受ける方向を前(図2において左)と称し、その反対を後(図2において右)と称する。前後方向と垂直な水平方向を、左右と称する。
【0032】
第2の本体22は、集光器21を支持する。具体的には、第2の本体22は、集光器21を支持するための支持部25を含む。本実施形態では、支持部25は、集光器21の光軸が水平方向に平行になるように、集光器21を支持する。支持部25は、集光器21を支持する縦フレーム25aを含む。縦フレーム25aは、鉛直方向に延在する。図3を参照して、支持部25は、集光器21を支持する横フレーム25bを含む。横フレーム25bは、左右方向に延在する。
【0033】
第2の本体22は、他の集光器ユニット2を支持可能に構成される。具体的には、図2を参照して、第2の本体22は、集光器21よりも上方まで延在する。第2の本体22の上部は、平面視において、集光器ユニット2の底部(具体的には、第2の本体22の底部)と重複する部分を含む。第2の本体22の上部は、この重複部分において、他の集光器ユニット2の底部と下方から接触(または、係合)することが可能である。本実施形態では、第2の本体22は、概ね立方体状(または、直方体状)の外形を有する。また、本実施形態では、第2の本体22は、複数段(3段)のフレーム構造を有する。第2の本体22の上部のフレームの形状は、平面視において、第2の本体22の下部のフレームの形状と概ね一致する。図1を参照して、第2の本体22は、その2段目に、加熱炉24を支持するためのプレート26を含む。また、第2の本体22は、その底部にプレート27を含む。プレート27は、フレーム構造の強度を向上させる。
【0034】
第2の本体22の高さは、第1の本体12の高さと等しく、例えば、2~3m程度である。また、第2の本体22の長さおよび幅は、例えば、第1の本体12の長さおよび幅と等しくてもよく、例えば、2~3m×2~3m程度である。代替的に、第2の本体22の長さおよび幅は、第1の本体12の長さおよび幅と等しくなくてもよい。
【0035】
第2の本体22は、上記の構成に限定されず、集光器21を支持でき、かつ、他の集光器ユニット2を下方から支持可能である限りにおいて、他の形状を有することができる。例えば、第2の本体22は、立方体以外の外形を有していてもよい。また、第2の本体22は、フレーム構造を有していなくてもよく、その外形は閉じられていてもよい。第2の本体22は、例えば、鋼若しくはアルミニウム等の金属等、様々な材料で形成されることができる。
【0036】
シャッタ23は、集光器21へ入射する(すなわち、加熱炉24に入射する)太陽光SRの量を調整する。具体的には、シャッタ23は、集光器21の前方に配置されており、ヘリオスタット11から反射された太陽光SRの一部または全てを遮断する。例えば、シャッタ23は、ブラインドと同様な構造を有する。例えば、シャッタ23は、全開位置と、全閉位置と、全開位置と全閉位置との間の半開位置と、の間で動作可能である。例えば、シャッタ23は、全開位置と全閉位置との間の任意の半開位置にリニアに調整可能である。シャッタ23は、太陽光SRを使用する装置(本実施形態では、加熱炉24)が最適温度に調整されるように、手動でまたは自動で制御される。
【0037】
加熱炉24は、集光された太陽光SRを、例えば、メタンの熱分解による水素および炭素の生産に使用する(CH4+太陽熱=2H2+C)。しかしながら、装置10によって集光された太陽光SRは、他の様々な用途に使用されることができる。例えば、太陽光SRは、メタンの水蒸気改質による合成ガスの製造(CH4+H2+太陽熱=3H2+CO)、または、蓄熱(顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、または、化学蓄熱)等に使用されてもよい。
【0038】
加熱炉24は、集光器21の後方において、集光器21の焦点上に位置するように配置される。集光器21および加熱炉24の位置は、第2の本体22に対して固定されてもよい。代替的に、集光器21または加熱炉24の少なくとも一方の位置が、鉛直方向または水平方向の少なくとも一方に調整可能であってもよい。そのような調整機構が、縦フレーム25aおよび横フレーム25b、または、プレート26の少なくとも一つに設けられてもよい。
【0039】
図4は、図1の太陽光集光装置10を複数備える太陽光集光システム100を示す概略的な斜視図である。図5は、図4の太陽光集光システム100を示す概略的な側面図である。
【0040】
図4および図5を参照して、太陽光集光システム100は、鉛直方向および水平方向に配列された複数の太陽光集光装置10を具備する。上記のように、ヘリオスタットユニット1が、他のヘリオスタットユニット1の第1の本体12の上に積載可能であり、かつ、集光器ユニット2が、他の集光器ユニット2の第2の本体22の上に積載可能であることから、複数の太陽光集光装置10は、鉛直方向に積載して使用することができる。また、太陽光集光装置10は、水平方向(左右方向)にも配列することができる。例えば、図4および図5では、8基の太陽光集光装置10が、2段×4列に配列される。このように、複数の太陽光集光装置10が2段に配置されることから、本実施形態の太陽光集光システム100は、ヘリオスタットの数が水平方向にのみ増やされるシステムに比して、集光される太陽光SRの量を2倍に増やすことができる。なお、段および列の数は、上記に限定されず、要求される太陽光SRの量に応じて、適宜調整可能である。
【0041】
図6は、図1の太陽光集光装置10を備える他の太陽光集光システム200を示す概略的な側面図である。
【0042】
太陽光集光システム200では、太陽光集光装置10のヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2が、それぞれ別の移動体(例えば、トラック等の車両)50に積載される。上記のように、太陽光集光装置10では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2が別体であるため、これらは別々の移動体50に積載可能である。例えば、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2の各々が、高さ2~3m程度、並びに、2~3m×2~3m程度の長さおよび幅を有する場合、これらは、一般的な中型トラック(例えば、5t程度の最大積載量を有するトラック)に別々に積載可能である。したがって、太陽光集光装置10の移動性が向上する。また、図6に示されるように、車両50上でヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2を互いに向き合わせることによって、太陽光集光装置10を車両50上で使用することができる。したがって、太陽光集光装置10を所望の場所に移動し、その場所で迅速に太陽光集光装置10を使用することができる。また、太陽光集光装置10を使用した後に、迅速に太陽光集光装置10を元の場所に戻すことができる。また、本実施形態では、車両50を移動させることによって、ヘリオスタットユニット1と集光器ユニット2との間の距離を容易に調整することができる。また、本実施形態では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2を互いに向き合わせながら2台の車両50を並走させることによって、車両50が走行している間に太陽光集光装置10を使用することができる。
【0043】
以上のような第1実施形態に係る太陽光集光装置10は、ヘリオスタット11と、ヘリオスタット11を支持する第1の本体12と、を有するヘリオスタットユニット1であって、第1の本体12は、ヘリオスタット11よりも上方まで延在し、第1の本体12の上部が、他のヘリオスタットユニット1の底部に下方から接触する部分を含む、ヘリオスタットユニット1と、集光器21と、集光器21を支持する第2の本体22と、を有する集光器ユニット2であって、第2の本体22は、集光器21よりも上方まで延在し、第2の本体22の上部が、他の集光器ユニット2の底部に下方から接触する部分を含む、集光器ユニット2と、を備える。したがって、第1の本体12の上部は、他のヘリオスタットユニット1を支持するこができる。また、第2の本体22の上部は、他の集光器ユニット2を支持することができる。このように、ヘリオスタットユニット1が、他のヘリオスタットユニット1の第1の本体12の上部に積載可能であり、かつ、集光器ユニット2が、他の集光器ユニット2の第2の本体22の上部に積載可能であることから、図4および図5に示されるように、太陽光集光装置10は、鉛直方向に積載して使用することができる。したがって、広大な平らな土地を必要としない。また、要求される太陽光集光システム100,200の規模に応じて、太陽光集光装置10の数を変えることによって、装置の再設計を必要とせずに、集光される太陽光の量(システムの規模)を調整することができる。また、太陽光集光装置10は、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2としてモジュール化されるので、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2を大量生産することによって、1装置当たりの生産コストを低減することができる。さらに、故障時にも、故障した単体のヘリオスタットユニット1または集光器ユニット2だけを停止・交換することができ、単体のヘリオスタットユニット1または集光器ユニット2の故障のために、太陽光集光システム100,200全体の稼働を長期間に亘って休止させる必要がなくなる。
【0044】
また、太陽光集光装置10では、第1の本体12と、第2の本体22とが、別体である。したがって、ヘリオスタットユニット1と集光器ユニット2との間の距離は、太陽光集光装置10が設置される地面Gの性状等に応じて、調整可能である。
【0045】
また、太陽光集光装置10では、第2の本体22の高さが、第1の本体12の高さと等しい。したがって、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2が平坦な場所に配置される場合、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2の高さを調整することなく、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2を積載することができる。
【0046】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る太陽光集光装置20を複数備える太陽光集光システム300を示す概略的な側面図である。第2実施形態は、太陽光集光装置20が、積載ユニット3と、補助機構4,12a,12b,12c,22a,22b,22cと、を更に備える点で、上記の第1実施形態の太陽光集光装置10と異なる。太陽光集光装置20のその他の点は、太陽光集光装置10と同様であり、その説明を省略する。
【0047】
積載ユニット3は、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2とは別体である。積載ユニット3は、上記のヘリオスタットユニット1の積載部14と同様な構成を有する。したがって、その詳細な説明は省略する。
【0048】
太陽光集光システム300では、1段目のヘリオスタットユニット1の後方に、2基の積載ユニット3が配列される。2段目のヘリオスタットユニット1は、1段目のヘリオスタットユニット1と積載ユニット3との上に跨って配置される。2段目のヘリオスタットユニット1の後方に、1基の積載ユニット3が配列される。3段目のヘリオスタットユニット1は、2段目のヘリオスタットユニット1と積載ユニット3との上に跨って配置される。このような構成によって、複数のヘリオスタットユニット1が、階段状に配置されている。このような構成によれば、上段のヘリオスタットユニット1は、下段のヘリオスタットユニット1および積載ユニット3の双方によって支持される。したがって、ヘリオスタットユニット1の積載の安定性が増す。また、上記の構成によれば、下段のヘリオスタット11の上方には、空間が確保される。したがって、上段のヘリオスタットユニット1が、下段のヘリオスタット11へ向かう太陽光SRを遮ることを防ぐことができる。
【0049】
同様に、1段目の集光器ユニット2の後方に、2基の積載ユニット3が配列される。2段目の集光器ユニット2は、1段目の集光器ユニット2と積載ユニット3との上に跨って配置される。2段目の集光器ユニット2の後方に、1基の積載ユニット3が配列される。3段目の集光器ユニット2は、2段目の集光器ユニット2と積載ユニット3との上に跨って配置される。このような構成によって、複数の集光器ユニット2が、階段状に配置されている。このような構成によれば、上段の集光器ユニット2は、下段の集光器ユニット2および積載ユニット3の双方によって支持される。したがって、集光器ユニット2の積載の安定性が増す。なお、ヘリオスタットユニット1、集光器ユニット2および積載ユニット3の数、並びに、段の数等の配置は、上記に限定されず、要求される太陽光SRの量に応じて、適宜調整可能である。
【0050】
補助機構は、積載されたヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2を支持する柱4を含む。柱4は、長尺の部材であり、下段の積載ユニット3と、上段のヘリオスタットユニット1の積載部14とを連結するように、鉛直方向に延在する。同様に、柱4は、下段の積載ユニット3と、上段の集光器ユニット2の第2の本体22とを連結するように、鉛直方向に延在する。柱4は、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2が移動することを防止する。例えば、柱4は、ボルト等の公知の固定手段によって、ヘリオスタットユニット1、集光器ユニット2、および、積載ユニット3に連結される。柱4は、例えば、鋼若しくはアルミニウム等の金属等、様々な材料で形成されることができる。
【0051】
また、補助機構は、ヘリオスタットユニット1の第1の本体12の底部に設けられた凹部(第1の凹部)12aと、第1の本体12の上部に設けられた突起(第1の突起)12bと、を含む。下段の突起12bは、上段の凹部12aに挿入される。本実施形態では、突起12bは、第1の本体12から取り外し可能なブロックとして準備されている。第1の本体12の上部には、突起12bを受け入れるための凹部12cが形成される。他の実施形態では、突起12bは、第1の本体12と一体に設けられてもよい。例えば、突起12bは、左右方向に延在する。凹部12aは、突起12bを受け入れるように、第1の本体12のフレーム構造に形成される。凹部12aは、前後方向に沿って、第1の本体12の底部に複数設けられる。突起12bおよび凹部12aの係合は、ヘリオスタットユニット1が、前後方向に移動することを防止する。
【0052】
同様に、補助機構は、集光器ユニット2の第2の本体22の底部に設けられた凹部(第2の凹部)22aと、第2の本体22の上部に設けられた突起(第2の突起)22bと、を含む。下段の突起22bは、上段の凹部22aに挿入される。本実施形態では、突起22bは、第2の本体22から取り外し可能なブロックとして準備されている。第2の本体22の上部には、突起22bを受け入れるための凹部22cが形成される。例えば、突起22bは、ヘリオスタットユニット1で突起12bとして使用されるブロックと同じであってもよい。ブロックは、例えば、鋼若しくはアルミニウム等の金属等、様々な材料で形成されることができる。他の実施形態では、突起22bは、第2の本体22と一体に設けられてもよい。例えば、突起22bは、左右方向に延在している。凹部22aは、突起22bを受け入れるように、第2の本体22のフレーム構造に形成される。凹部22aは、前後方向に沿って、第2の本体22の底部に複数設けられる。突起22bおよび凹部22aの係合は、集光器ユニット2が、前後方向に移動することを防止する。
【0053】
以上のような第2実施形態に係る太陽光集光装置20は、上記の太陽光集光装置10と同様な効果を奏する。
【0054】
また、太陽光集光装置20では、第1の本体12の底部は、凹部12aを含み、第1の本体12の上部は、他のヘリオスタットユニット1の凹部12aと係合する突起12bを含む。したがって、積載されたヘリオスタットユニット1が移動することを防止することができる。
【0055】
また、太陽光集光装置20では、突起12bは、第1の本体12から取り外し可能なブロックとして形成される。したがって、突起12bは、他のヘリオスタットユニット1でも使用されることができる。
【0056】
また、太陽光集光装置20では、第2の本体22の底部は、凹部22aを含み、第2の本体22の上部は、他の集光器ユニット2の凹部22aと係合する突起22bを含む。したがって、積載された集光器ユニット2が移動することを防止することができる。
【0057】
また、太陽光集光装置20では、突起22bは、第2の本体22から取り外し可能である。したがって、突起22bは、他の集光器ユニット2でも使用されることができる。さらに、太陽光集光装置20では、突起22bは、ヘリオスタットユニット1で突起12bとして使用されるブロックと同じである。したがって、このブロックは、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2の双方で使用することができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範囲において、様々な変更または修正に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると理解される。
【0059】
例えば、上記の実施形態では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2は、別体である。しかしながら、他の実施形態では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2は、フレーム等の部材によって、互いに連結されていてもよい。この場合、設置の際に、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2の間の相対位置を調整する必要がない。この場合、連結部材は、下段のヘリオスタット11に向かう太陽光SRを遮らないように、細いことが好ましい。
【0060】
図7の太陽光集光システム300では、ヘリオスタットユニット1および集光器ユニット2の積載に、積載ユニット3が使用される。しかしながら、他の実施形態では、積載ユニット3に代えてまたは加えて、コンクリートまたは土砂が使用されてもよい。
【0061】
図7に示される補助機構4,12a,12b,12c,22a,22b,22cは、図4および図5に示される太陽光集光システム100に適用されてもよい。
【0062】
本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」、目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」および目標12「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 ヘリオスタットユニット
2 集光器ユニット
10,20 太陽光集光装置
11 ヘリオスタット
12 第1の本体
12a 第1の凹部
12b 第1の突起
21 集光器
22 第2の本体
22a 第2の凹部
22b 第2の突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7