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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110542
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】車載電子機器の接続不良検出方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20220722BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20220722BHJP
【FI】
B60R16/02 650P
G01R31/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006017
(22)【出願日】2021-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】末永 俊之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友昭
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB33
(57)【要約】
【課題】電子機器に生じた異常が電子機器本体に起因するものであるのか、あるいは接触不良に起因するものであるのかを容易に判断する事のできる車載電子機器の接続不良検出方法を提供する。
【解決手段】少なくとも電源電力寸断時の電力を賄う蓄電手段14と、記憶手段16、及び演算手段18とを有する電子機器10における接続不良の検出方法であって、演算手段18は、電子機器10の機能停止を検出した際に、予め定められた速度以上の車両速度を検出した場合、電源電力の遮断、あるいは寸断が生じた旨を記憶手段16に対してログとして書き込む処理を行うことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電源電力寸断時の電力を賄う蓄電手段と、記憶手段、及び演算手段とを有する車載電子機器における接続不良の検出方法であって、
前記演算手段は、
前記車載電子機器の機能停止を検出した際に、予め定められた速度以上の車両速度を検出した場合、
前記電源電力の遮断、あるいは寸断が生じた旨を前記記憶手段に対してログとして書き込む処理を行うことを特徴とする車載電子機器の接続不良検出方法。
【請求項2】
前記演算手段は、前記車載電子機器に対する電源電力の供給が再開された際に前記記憶手段に前記ログが書き込まれている事を検出した場合、
前記車載電子機器や、車両に搭載されたナビゲーションシステム、あるいは車両を運転するドライバーが保有する携帯電話のディスプレイに、電源電力の遮断、あるいは寸断が生じた旨を表示する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の車載電子機器の接続不良検出方法。
【請求項3】
少なくとも電源電力寸断時の電力を賄う蓄電手段と、記憶手段、及び演算手段とを有し、常時電源に接続された電源電力供給経路の他に、ACC電源からの電力供給の有無により機能のモード切替を成す車載電子機器における接続不良の検出方法であって、
前記演算手段は、
前記車載電子機器における機能のモード切替を検出した際に、予め定められた速度以上の車両速度を検出した場合、
前記ACC電源からの電力供給の遮断、あるいは寸断が生じた旨を前記記憶手段に対してログとして書き込む処理を行うことを特徴とする車載電子機器の接続不良検出方法。
【請求項4】
前記演算手段は、前記記憶手段に対するログの書き込み処理を行った後、あるいは当該書き込み処理と同時に、前記車載電子機器や、車両に搭載されたナビゲーションシステム、あるいは車両を運転するドライバーが保有する携帯電話のディスプレイに、電源電力またはACC電源からの電力供給の遮断、あるいは寸断が生じた旨を表示する処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載電子機器の接続不良検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載される電子機器の接続状態の検出に係り、特に電力供給系統における接続不良の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
アフターマーケットにおける車載電子機器は、アクセサリー電源(ACC電源)やバッテリーから、あるいは当該電源からの分岐配線から電源電力の供給を受けることが多い。このため、取り付け作業の仕様や経年的な状態変化によって、電源配線に接触不良が生じる場合がある。
【0003】
このような接触不良により電源電力の供給が寸断されると、電子機器の正常な動作を妨げることとなる。しかし、表面的に表れる電子機器の異常からは、その症状が電子機器本体の問題であるのか、それとも単なる接触不良であるのかといった点を判別する事が難しい。このため、単なる接触不良であっても、製品異常として製造元に確認を委ねるなどといった実状があり、ユーザーが再び電子機器を使用する事ができるようになるまでに必要以上の時間を要してしまう事がある。
【0004】
車載電子機器における電源電圧の寸断によるトラブルを回避する手段としては、特許文献1に開示されているような技術が知られている。特許文献1に開示されている技術は、車載電子機器における記録情報の処理を行う装置に関するものであって、車両バッテリーからの電力の供給が遮断された際、給電系統を補助コンデンサに切り替え、揮発性メモリに記録されていた情報を不揮発性メモリに記録する処理を行うというものである。この処理により、電源電力が遮断された場合であっても、揮発性メモリに記録されたデータを損失してしまう事が無くなるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6407381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている技術は、電源電力の寸断や、電源機能に異常が発生した場合に、記録データを保護するという面では有効であると考えられる。しかし、特許文献1に開示されている技術を適用した場合であっても、異常の原因が電子機器本体の問題であるのか、接触不良であるのかという点についての判別を行う事はできない。
【0007】
そこで本発明では、電子機器に生じた異常が電子機器本体に起因するものであるのか、あるいは接触不良に起因するものであるのかを容易に判断する事のできる車載電子機器の接続不良検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法は、少なくとも電源電力寸断時の電力を賄う蓄電手段と、記憶手段、及び演算手段とを有する車載電子機器における接続不良の検出方法であって、前記演算手段は、前記車載電子機器の機能停止を検出した際に、予め定められた速度以上の車両速度を検出した場合、前記電源電力の遮断、あるいは寸断が生じた旨を前記記憶手段に対してログとして書き込む処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、上記のような特徴を有する車載電子機器の接続不良検出方法において前記演算手段は、前記車載電子機器に対する電源電力の供給が再開された際に前記記憶手段に前記ログが書き込まれている事を検出した場合、前記車載電子機器や、車両に搭載されたナビゲーションシステム、あるいは車両を運転するドライバーが保有する携帯電話のディスプレイに、電源電力の遮断、あるいは寸断が生じた旨を表示する処理を行うようにしても良い。このような特徴を有する事によれば、車載電子機器に対する電源電力の供給が再開された場合、電源供給経路に不具合が生じていた事を視認する事が可能になる。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法は、少なくとも電源電力寸断時の電力を賄う蓄電手段と、記憶手段、及び演算手段とを有し、常時電源に接続された電源電力供給経路の他に、ACC電源からの電力供給の有無により機能のモード切替を成す車載電子機器における接続不良の検出方法であって、前記演算手段は、前記車載電子機器における機能のモード切替を検出した際に、予め定められた速度以上の車両速度を検出した場合、前記ACC電源からの電力供給の遮断、あるいは寸断が生じた旨を前記記憶手段に対してログとして書き込む処理を行うことを特徴とするものであっても良い。
【0011】
さらに、上記のような特徴を有する車載電子機器の接続不良検出方法において前記演算手段は、前記記憶手段に対するログの書き込み処理を行った後、あるいは当該書き込み処理と同時に、前記車載電子機器や、車両に搭載されたナビゲーションシステム、あるいは車両を運転するドライバーが保有する携帯電話のディスプレイに、電源電力またはACC電源からの電力供給の遮断、あるいは寸断が生じた旨を表示する処理を行うようにすることが望ましい。このような特徴を有する事によれば、電源電力またはACC電源からの電力供給が遮断、あるいは寸断されたタイミングで、電源供給経路に不具合が生じている事を視認する事が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上記のような特徴を有する車載電子機器の接続不良検出方法によれば、電子機器に生じた異常が電子機器本体に起因するものであるのか、あるいは接触不良に起因するものであるのかを容易に判断する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法を適用可能な電子機器の基本構成を示すブロック図である。
図2】発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法を適用する電子機器としてドライブレコーダを採用する場合の例を説明するためのブロック図である。
図3】第1実施例に係る車載電子機器の接続不良検出方法を説明するためのフロー図である。
図4】発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法を適用する電子機器として、録画モードの切り替え機能を有するドライブレコーダを採用する場合の例を説明するためのブロック図である。
図5】ACC線に断線、あるいは接続不良が生じた場合における接続不良検出方法を説明するためのフロー図である。
図6】+B線またはGND線に断線、あるいは接続不良が生じた場合における接続不良検出方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の車載電子機器の接続不良検出方法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な形態の一部に過ぎず、その効果を奏する限りにおいて、構成や方法の一部を変更したとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0015】
まず、図1を参照して、本発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法を適用可能な電子機器の基本的な構成について説明する。本実施形態に係る車載電子機器の接続不良検出方法を適用する電子機器10は、電子機器本来の機能を発揮させる構成12の他に、少なくとも、蓄電手段14と、記憶手段16、及び演算手段18を備え、車両速度検出機能20を有し、電源供給経路22からの電力供給を受けるものであれば良い。
【0016】
蓄電手段14は、電子機器10に対する電源電力が寸断した際、詳細を後述するログを記憶手段16に書き込むための電力(瞬時電力)を賄うための要素である。記憶手段16が搭載されている電子機器10では、電源停止時に記録ファイルをクローズ処理するための要素としてキャパシタ等の蓄電手段14が搭載されている事が一般的であり、これを利用しても良い。また、瞬間的に僅かな電力を賄う事ができれば良いため、キャパシタの代用として、小型の二次電池などを蓄電手段14として搭載するようにしたものであっても良い。
【0017】
記憶手段16は、電子機器10のメインメモリであれば良い。記憶手段16には、少なくとも、電源電力の遮断、あるいは寸断が生じた旨をログとして書き込む容量があれば良い。なお、記憶手段16としては、必ずしもメインメモリとする必要は無く、外部メモリ等であっても良い。
【0018】
演算手段18は、電源電力に遮断、あるいは寸断が生じた旨を記憶手段16に対してログとして書き込む処理を行う要素である。電源電力の遮断、あるいは寸断についての判断は、電子機器10としての機能停止の有無と、機能停止時に検出されていた車両速度に基づいて成されるようにすれば良い。ここで、車両速度についての判定は、車両速度検出機能20により検出される速度が、予め定められた速度(閾値)以上の速度を検出している状態の場合に、車両速度“有り”との判定を行うようにすれば良い。
【0019】
なお、車両速度検出機能20とは、電子機器10に備えられる要素に基づくものであっても良いし、車両機能からの検出であっても良い。すなわち、電子機器10にGPSなどの位置情報検出機能を有するシステムが備えられている場合には、このGPSに基づく物体(電子機器)の移動速度を車両速度として判定を行うようにすれば良い。また、車両機能からの検出の場合は、車両の速度パルスを検出し、このパルスに基づいて車両速度を算出して判定を行うようにすれば良い。
【0020】
また、演算手段18は、電子機器10が起動した際、演算手段18が記憶手段16の読出しを行い、電源電力遮断、あるいは寸断に関するログの有無を確認し、ログが存在する場合には、電源電力の遮断、あるいは寸断が有った旨を電子機器10や車両の表示手段(いずれも不図示)、あるいは車両を運転するドライバーの携帯電話(例えばスマートフォン)などのディスプレイ(不図示)などの表示手段に表示する処理を行うように構成されている。
【0021】
[第1実施例]
次に、本発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法を適用する電子機器をドライブレコーダ10Aとする場合について、ドライブレコーダ10Aの構成と、接続不良検出の流れを図2図3を参照して説明する。
【0022】
ドライブレコーダ10Aは、カメラ本体12aの構成として、記憶手段としてのメモリ16aや、演算手段18aを備える。また、蓄電手段としては、キャパシタ14aを有し、速度検出機能としては、GPS20aの機能を利用した速度検出を行う構成としている。また、電力供給経路には、電源ユニット24が設けられ、この電源ユニット24に対してACC線22aとGND線22bが接続されている。
【0023】
[車載電子機器の接続不良検出]
上記のような構成のドライブレコーダ10Aについては、次のようにして接続不良の検出が成される(図3参照)。まず、車両のエンジンが始動(スタート)されると、車両側のACC電源がONとなり、ドライブレコーダ10Aに電力が供給される。これにより、カメラ本体12aの機能が発揮され、常時録画が開始される(S10)。
【0024】
エンジン始動により電源電力の供給が開始されると演算手段18aは、メモリ16aの記録情報を読み出し、電源電力の遮断、あるいは寸断、すなわちACC線またはGND線の断線、あるいは接触不良に関するログ(以下、単に断線ログと称す)の有無を確認する(S20)。
【0025】
S20において、メモリ16aに断線ログが存在した場合、演算手段18aはドライブレコーダ10Aや、車両のナビゲーションシステムのディスプレイ、あるいは車両を運転するドライバーの携帯電話のディスプレイなどの表示手段に、ACC線またはGND線に断線、あるいは接触不良が生じた旨の表示を出力するための処理を実行する。なお、断線が生じた旨の表示について、ドライブレコーダ10Aのディスプレイに表示を行う場合には、例えば単純に“ACC線またはGND線に断線、あるいは接触不良有り”との表示を出力するようにすれば良い。このような処理を行う事により、ACC線またはGND線に断線や接触不良といった不具合(接続不良)が生じた事を視認する事が可能となる。
【0026】
一方、車両のナビゲーションシステムのディスプレイや、携帯電話のディスプレイなどに表示する場合には、“ドライブレコーダのACC線またはGND線に断線、あるいは接触不良有り”と、対象となる電子機器の名称や略称と共に断線や接触不良などの症状を表示することが望ましい。また、ナビゲーションシステムのディスプレイや、携帯電話のディスプレイ等、ドライブレコーダ10A以外の表示手段に断線等の表示を行う場合には、ドライブレコーダ10Aと、各表示機器とを有線、あるいは無線により接続し、通信可能な状態を確保しておくようにする。なお、有線による機器の接続は、専用、あるいは汎用のケーブルにより機器同士を接続すれば良い。また、無線による機器の接続は、既知の短距離無線通信手段による接続方式(例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等)を用いれば良い(S30)。
【0027】
一方、S20においてメモリ16aに断線ログが存在しない場合、及びディスプレイ等に断線等が生じた旨の表示をした後には、演算手段18aによるドライブレコーダ10Aの起動状態の監視が成される。具体的には、常時録画の状態監視である。ドライブレコーダ10Aにおいて、電源電力の供給と共に開始された常時録画の停止は、電源電力の供給(本実施例ではACC線とGND線を介した電力の供給)が停止された事を意味する。よって、常時録画が停止された場合には、ACC線からの電力供給が停止されたと判断することができる(S40)。
【0028】
常時録画の停止(ACC線からの電力供給停止)を検出した後、演算手段18aは車両速度の確認を行う。本実施例では、GPS20aに基づく移動速度を車両速度として認識して判断を行うようにする。ここで、例えば30km/hを閾値とする(S50)。そして、GPS20aに基づく車両速度が閾値以上であった場合には、演算手段18aは電源電力の異常な遮断、あるいは寸断(本実施例ではACC線またはGND線の断線、あるいは接触不良)が生じたと判断する(S60)。一方、演算手段18aにより確認(検出)された車両速度が閾値未満(例えば0km/h)である場合には、車両が停止し、エンジンが切られた状態、すなわち正常に電源電力の供給が絶たれたと判断し、常時録画停止は、正常に成されたと判断する(S70)。
【0029】
演算手段18aは、電源電力の異常な遮断、あるいは寸断(本実施例ではACC線またはGND線の断線、あるいは接触不良)が生じたと判断した場合(S60の場合)、メモリ16aに断線ログの書き込みを行う。この時、ドライブレコーダ10Aのように、基本構成にクロック機能を有する電子機器の場合、電源電力の異常な遮断、あるいは寸断が生じた日時を合わせて記録する(S80)。
【0030】
[効果]
上記のような方法によれば、ドライブレコーダ10Aに再度電源電力が供給された際には、演算手段18aがメモリ16aに書き込まれた断線ログを検出し、ACC線またはGND線に断線、あるいは接触不良が生じた事を出力することとなる。このため、ドライブレコーダ10A等の電子機器に生じた異常が電子機器本体に起因するものであるのか、あるいは電力供給経路の断線や接触不良に起因するものであるのかを容易に判断する事が可能となる。
【0031】
[応用例]
上記実施例では、演算手段18aがACC線22aまたはGND線22bの断線、あるいは接触不良が生じたと判断した際、メモリ16aに断線ログを書き込む事で演算手段18aの処理が終了するように記載した。しかしながら、ドライブレコーダ10A等の電子機器に搭載されているキャパシタ14aの容量が大きい場合や、電源電力が遮断された場合に非常用の二次電池に電力供給系統の切り替えが成されるように構成されている場合、演算手段18aは、次のような処理を実行するようにしても良い。
【0032】
具体的には、断線ログの書き込みと共に、ドライブレコーダ10A等の電子機器に搭載されたディスプレイや、車両のナビゲーションシステムのディスプレイ、あるいは車両を運転するドライバーが所有する携帯電話のディスプレイなどに、ACC線またはGND線に断線、あるいは接触不良が生じた旨を表示するといった処理である。このような処理を実行する事で、電源電力の再度の供給を待つ事なく、電子機器に対する異常が、電力供給経路の異常に起因するものであることを知る事が可能となる。
【0033】
また、上記実施形態では、ACC線22aまたはGND線22bに断線、あるいは接触不良が生じた事を前提として接続不良の検出を行うように説明した。しかしながら、本発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法では、電力供給経路に生じた異常であれば、その場所の如何に関わらず、接続不良として検出することが可能となる。例えば上記実施例のように、電力供給経路に電源ユニット24のような別体ユニットを有する電子機器(ドライブレコーダ10A)では、電子機器本体と電源ユニット24等の別体ユニットを接続する中継線28に断線や電力の寸断といった異常が生じた場合であっても、接触不良が生じたとして検出し、記録や表示を行う事が可能となる。
【0034】
[第2実施例]
次に、図4から図6を参照して、駐車監視モードを有するドライブレコーダ10Bに対する接続不良検出方法の適用について説明する。なお、本実施例を適用するドライブレコーダ10Bの構成は、駐車監視ユニット26と、+B線22cを備える点以外の構成については、上述した第1実施例を適用するドライブレコーダ10Aの構成と同様である。よって、その機能を同様とする構成については、図面に同一符号を付して詳細な説明は省略することとする。
【0035】
ドライブレコーダ10Bにおいて、+B線22cとは、車両のバッテリーにおけるプラス側端子に接続される電力供給経路であり、エンジン始動の有無に関わらず、電子機器に対して常時電力を供給することを可能とするための経路である。また、駐車監視ユニット26とは、ドライブレコーダ10Bの録画モードの切り替えを実行するための要素であり、本実施例においては、常時録画と駐車監視の2つのモードの切り替えが成される。モード切替のためのトリガは、駐車監視ユニット26に対するACC線からの電力の供給の有無である。具体的には、ACC線からの電力の供給がある場合には、エンジンが始動されている状態と判定し、常時録画モードでの撮影が成される。一方、ACC線からの電力の供給が無い場合には、エンジンが停止している状態と判定し、駐車監視モードに移行される。よって、本実施例に係るドライブレコーダ10Bの機能を発揮するための電源電力は、+B線とGND線によって供給されることとなる。
【0036】
[車載電子機器の接続不良検出]
次に、上記のような機能切替モードを備えた電子機器(ドライブレコーダ10B)に対する接続不良検出方法について説明する。なお、本実施例の場合、電力供給経路の接続不良は、ACC線に起因する場合と、+B線またはGND線に起因する場合とにパターン分けすることができる。以下、それぞれのパターンについて、図5図6に示すフローを参照して説明する。
【0037】
[ACC線の断線または接触不良に起因する不具合が生じた場合]
まず、図5を参照してACC線の断線または接触不良の検出について説明する。図4に示すドライブレコーダ10Bでは、エンジンを始動すると、車両のACC電源がONとなり、常時録画モードでの撮影が開始される(S110)。演算手段18aは、常時録画が開始されると、メモリ16aの記録情報を読み出し、ACC線に関する断線ログの有無を確認する(S120)。
【0038】
S120において、メモリ16aに断線ログが存在した場合、演算手段18aはドライブレコーダ10Bや、車両のナビゲーションシステムのディスプレイ、あるいは車両を運転するドライバーの携帯電話のディスプレイなどの表示手段に、ACC線に断線、あるいは接触不良が生じた旨の表示を出力するための処理を実行する(S130)。
【0039】
一方、S120においてメモリ16aに断線ログが存在しない場合、及びディスプレイ等に断線等が生じた旨の表示をした後には、演算手段18aによるドライブレコーダ10Bの起動状態の監視が成される。具体的には、常時録画モードから駐車監視モードへの切り替えの有無についての状態監視である。ドライブレコーダ10Bにおいて、駐車監視モードの開始は、ACC線からの電力供給が停止された事を意味する。よって、駐車監視モードが開始された場合には、ACC線からの電力供給が停止されたと判断することができる(S140)。
【0040】
駐車監視モードの開始(ACC線からの電力供給停止)を検出した後、演算手段18aは車両速度の確認を行う。本実施例では、GPS20aに基づく移動速度を車両速度として認識して判断を行うようにする(S150)。そして、GPS20aに基づく車両速度が閾値以上であった場合には、演算手段18aはACC線からの電力供給の異常な遮断、あるいは寸断が生じたと判断する(S160)。一方、演算手段18aにより確認(検出)された車両速度が閾値未満である場合には、車両が停止し、エンジンが切られた事により、ACC電源がOFFとなった事により電力の供給が絶たれたと判断し、駐車監視モードへの移行は正常なものであると判断する(S170)。
【0041】
演算手段18aは、ACC線からの電力供給について、異常な遮断、あるいは寸断が生じたと判断した場合(S160の場合)、メモリ16aに断線ログの書き込みを行う。この時、ドライブレコーダ10Bのように、基本構成にクロック機能を有する電子機器の場合、電源電力の異常な遮断、あるいは寸断が生じた日時を合わせて記録する。なお、本実施形態に係るドライブレコーダ10Bは、電源電力の供給を+B線から受けているため、ACC線からの電力の供給が遮断された状態であっても、電子機器の機能を発揮するための電力の供給は維持される。このため、断線ログの書き込み処理と共に、ドライブレコーダ10Bのディスプレイや、車両のナビゲーションシステムのディスプレイ、あるいは車両を運転するドライバーが保有する携帯電話のディスプレイなどに、ACC線に断線、あるいは接触不良が生じた旨の表示を出力する処理を実行しても良い(S180)。
【0042】
[+B線またはGND線の断線または接触不良に起因する不具合が生じた場合]
次に、図6を参照して+B線またはGND線の断線、あるいは接触不良について説明する。図4に示すドライブレコーダ10Bでは上述したように、エンジンを始動すると、車両のACC電源がONとなり、常時録画モードでの撮影が開始される(S210)。演算手段18aは、常時録画が開始されると、メモリ16aの記録情報を読み出し、+B線またはGND線に関する断線ログの有無を確認する(S220)。
【0043】
S220において、メモリ16aに断線ログが存在した場合、演算手段18aはドライブレコーダ10Bや、車両のナビゲーションシステムのディスプレイ、あるいは車両を運転するドライバーの携帯電話のディスプレイなどの表示手段に、+B線またはGND線に断線、あるいは接触不良が生じた旨の表示を出力するための処理を実行する(S230)。
【0044】
一方、S220においてメモリ16aに断線ログが存在しない場合、及びディスプレイ等に断線等が生じた旨の表示をした後には、演算手段18aによるドライブレコーダ10Bの起動状態の監視が成される。具体的には、常時録画の状態監視である。ドライブレコーダ10Bにおいて、駐車監視モードへの切り替えの無い常時録画の停止は、+B線とGND線を介した電源電力の供給が停止された事を意味する。よって、常時録画が停止された場合には、+B線からの電力供給が停止されたと判断することができる(S240)。
【0045】
常時録画の停止(+B線からの電力供給停止)を検出した後、演算手段18aはGPS20aに基づく車両速度の検出、及び判断を行う(S250)。ここで、GPS20aに基づく車両速度が閾値以上であった場合には、演算手段18aは電源電力の異常な遮断、あるいは寸断(本実施例では+B線またはGND線の断線、あるいは接触不良)が生じたと判断する(S260)。一方、演算手段18aにより確認(検出)された車両速度が閾値未満である場合には、車両が停止し、エンジンが切られた状態、すなわち正常に電源電力の供給が絶たれたと判断し、常時録画停止は、正常に成されたと判断する(S270)。
【0046】
演算手段18aは、電源電力の異常な遮断、あるいは寸断(本実施例では+B線またはGND線の断線、あるいは接触不良)が生じたと判断した場合(S260の場合)、メモリ16aに断線ログの書き込みを行う。この時、ドライブレコーダ10Bのように、基本構成にクロック機能を有する電子機器の場合、電源電力の異常な遮断、あるいは寸断が生じた日時を合わせて記録する(S280)。
【0047】
[効果]
上記のような方法によれば、電子機器に生じた異常がドライブレコーダ10B等の電子機器本体に起因するものであるのか、あるいは接触不良に起因するものであるのかを容易に判断する事が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上記実施例ではいずれも、車載用電子機器としてドライブレコーダを例に挙げて説明している。しかしながら、図1に示すような基本構成を有する電子機器であれば、ドライブレコーダ以外の電子機器であっても、本発明に係る車載電子機器の接続不良検出方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10………電子機器、10A………ドライブレコーダ、10B………ドライブレコーダ、12………電子機器本来の機能を発揮させる構成、12a………カメラ本体、14………蓄電手段、14a………キャパシタ、16………記憶手段、16a………メモリ、18………演算手段、18a………演算手段、20………速度検出機能、20a………GPS、22………電力供給経路、22a………ACC線、22b………GND線、22c………+B線、24………電源ユニット、26………駐車監視ユニット,28………中継線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6