(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110614
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】経路誘導システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20220722BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20220722BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220722BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220722BHJP
G08G 1/16 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/0968 B
G01C21/26 A
G09B29/10 A
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006126
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】内山 勇司
(72)【発明者】
【氏名】星 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 嵩寛
(72)【発明者】
【氏名】鹿子田 嵩大
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2F129AA03
2F129AA04
2F129AA05
2F129BB03
2F129DD53
2F129EE52
2F129EE55
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF32
2F129FF72
2F129GG04
2F129GG05
2F129GG06
2F129GG17
5H181AA01
5H181AA06
5H181AA14
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC17
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF14
5H181KK07
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】車両の衝突や同一リンクでのデッドロックなどを抑制して安全な経路誘導が実現できる経路誘導システムを提供する。
【解決手段】経路誘導システムは、出発地40から目的地41までの自動運転車両の走行ルートを、複数のリンクL1,L2,L3,…,La1,La2,La3,…と、これらリンクが交差するノードN1,N2,N3,…とで設定し、複数台の自動運転車両を予め設定された優先順位に従って誘導するものである。そして、出発地から目的地までの誘導経路を形成するリンクに対して危険空間A1,A2と通行権を設定し、複数台の自動運転車両の誘導経路がノードで交錯する場合に、優先順位が低い自動運転車両の誘導経路における交錯するノードの手前のリンクで待機させ、優先順位が高い自動運転車両がノードを通過した後に誘導を再開する、ことを特徴とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両の誘導経路を、複数のリンクと、これらリンクが交差するノードとで設定するシステムであって、
複数台の自動運転車両の誘導経路が前記ノードで交錯する場合に、優先順位が低い自動運転車両の誘導経路における前記交錯するノードの手前のリンクで待機させ、優先順位が高い自動運転車両が前記ノードを通過した後に誘導を再開する、ことを特徴とする経路誘導システム。
【請求項2】
危険事象発生時に、迂回可能なノードに囲まれたリンクは、前記複数台の自動運転車両の誘導経路から外す、ことを特徴とする請求項1に記載の経路誘導システム。
【請求項3】
前記危険事象は、前記誘導経路上の障害物である、ことを特徴とする請求項2に記載の経路誘導システム。
【請求項4】
前記誘導経路は、駐車場の駐車スペース間の通路であり、駐車場の入口から複数台の自動運転車両を予め設定された優先順位に従って駐車スペースに誘導する、ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1つの項に記載の経路誘導システム。
【請求項5】
前記誘導経路は、駐車場の駐車スペース間の通路であり、駐車スペースに駐車された複数台の自動運転車両を、予め設定された優先順位に従って駐車場の出口に誘導する、ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1つの項に記載の経路誘導システム。
【請求項6】
前記誘導経路は、駐車場の駐車スペース間の通路であり、駐車場の入口から駐車スペースに誘導する自動運転車両の誘導経路と、駐車スペースから駐車場の出口に誘導する自動運転車両の誘導経路とが交錯した場合には、駐車場の出口に誘導する自動運転車両を優先とする、ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1つの項に記載の経路誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駐車場などの限定空間において、複数台の自動運転車両を優先順位に従って誘導する経路誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、出発地から目的地までの経路を探索し、走行困難区間を含む経路を探索した場合に、当該経路のコストに所定のペナルティコストを加算し、経路候補のコスト総和が小さいものを選択する経路探索方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている経路探索方法は、自動運転車両に対して走行困難区間を回避する経路を提供するだけであり、安全性を考慮していない。このため、安全を確保するためには、予め安全な経路を選定した上で、最適な経路を算出し直す必要があり、処理が煩雑で手間がかかる、という課題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、車両の衝突や同一リンクでのデッドロックなどを抑制して安全な経路誘導が実現できる経路誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る経路誘導システムは、自動運転車両の誘導経路を、複数のリンクと、これらリンクが交差するノードとで設定するシステムであって、複数台の自動運転車両の誘導経路が前記ノードで交錯する場合に、優先順位が低い自動運転車両の誘導経路における前記交錯するノードの手前のリンクで待機させ、優先順位が高い自動運転車両が前記ノードを通過した後に誘導を再開する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の経路誘導システムによれば、複数台の自動運転車両の誘導経路がノードで交錯する場合に、優先順位が低い自動運転車両の誘導経路における交錯するノードの手前のリンクで待機させ、優先順位が高い自動運転車両がこのノードを通過した後に誘導を再開することで、車両の衝突や同一リンクでのデッドロックなどを抑制でき、安全な経路誘導が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る経路誘導システムが適用される運行管理システムの概略構成図である。
【
図2】
図1における自動運転車両の概略構成図である。
【
図3】
図1における監視装置について説明するためのもので、交差点に設置される装置の概略構成図である。
【
図4】
図1における監視装置について説明するためのもので、乗降車ポートに設置される装置の概略構成図である。
【
図5】
図1における監視装置について説明するためのもので、車庫や駐車場に設置される装置の概略構成図である。
【
図6】
図3に示した監視装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図4に示した監視装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図5に示した監視装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る経路誘導システムにおける誘導経路の生成について説明するための模式図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る経路誘導システムにおける経路誘導方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図10に続く経路誘導方法を示すフローチャートである。
【
図12】
図11に続く経路誘導方法を示すフローチャートである。
【
図13】駐車場をノードとリンクの情報から作図した模式図である。
【
図15】
図14における優先順位が最も高い車両の経路生成について説明するための模式図である。
【
図16】
図15に対応する仮想信号について説明するための模式図である。
【
図17】
図14における優先順位が2番目に高い車両が中間ノードに到着した状態について説明するための模式図である。
【
図18】
図17に対応する仮想信号について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る経路誘導システムが適用される運行管理システムの概略構成を示している。この運行管理システムは、クラウド1上に各種のシステム(サーバ)が設けられており、バスやタクシー事業者などの指令室2、利用者の情報端末(スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなど)3、自動運転車両4及びフィールドの監視装置(インフラストラクチャー)5が、インターネット回線、携帯電話事業者などの通信事業者が提供するモバイル回線、あるいは専用の無線通信回線などを介してクラウド1上の各種システムのサーバと相互に接続されている。また、自動運転車両4と監視装置5は、クラウド1上の各種システムを介さずに相互接続されている。
【0010】
クラウド1上には、例えば運行管理システム、集中制御システム、インフラ管理システム、ウェブサーバ、ダイヤ管理システム及び遠隔操縦システムなどのサーバが設けられている。経路誘導システムは、クラウド1上の運行管理システムのサーバと集中制御システムのサーバを用いて自動運転車両4の経路誘導を行う。
【0011】
指令室2では、監視者が運行管理モニタを見ながら自動運転車両4(通常、複数台)の運行状況を監視し、異常発生時に遠隔操縦に切り替えるようになっている。運行管理モニタは、クラウド1上の運行管理システム、集中制御システム、インフラ管理システム、ダイヤ管理システム及び遠隔操縦システムなどのサーバから、遠隔監視と遠隔操縦のための各種の情報を受け取るようになっている。この運行管理モニタには、例えば経路情報や車両の位置、運転状況、道路情報、車両の周辺の画像、及び車両内の画像などが表示される。
【0012】
監視者は、これら運行管理モニタに表示される情報にしたがって、監視対象の自動運転車両4(例えばバスやタクシー)が危険な状態になりそうなときには、遠隔操縦システムを利用して操縦することにより危険を回避する。また、交差点、乗降車ポート、車庫・駐車場なども監視装置5からの画像により監視している。
【0013】
一方、利用者は、情報端末3を使って、登録情報と予約情報をクラウド1上のウェブサーバに送信することで、タクシーの配車予約、バスの乗車予約、駐車場への自動駐車や駐車場からの自動出庫などができるようになっている。ウェブサーバには、利用者の登録情報が記憶されており、情報端末3から入力された登録情報と一致すると予約が可能となる。例えば、利用者が情報端末3のトップ画面から「予約する」を選択し、次の画面で「特定の場所への配車」、「乗降車ポート」、「自動駐車」、「自動出庫」、「利用条件」などを入力すると予約が確定する。これらの情報は、情報端末3に表示された場所や時間、条件から利用者が選択するようにしても構わない。
【0014】
自動運転車両4は、クラウド1上の運行管理システムのサーバと集中制御システムのサーバから地図情報、経路情報、及び出発(停止)情報などを受信し、自車両の位置情報と車両状態情報を送信する。この自動運転車両4は、
図2に示すように、操舵やエンジンの制御に用いられる各種アクチュエータ11、これらのアクチュエータ11や各種の機器を制御するECU(Electronic Control Unit)12、運行指令車載装置(AIPC+通信ユニット)13、LiDAR(light detection and ranging)14などを備えている。
【0015】
また、自動運転車両4の走行経路の路面15には、磁気マーカ16,16,…が埋設されており、これら磁気マーカ16,16,…を、図示しない磁気センサで検出して自動運転車両4の絶対位置を算出し、ステアリングを制御するように構成されている。
【0016】
LiDAR14は、レーザー光を照射して物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測し、物体までの距離や方向を測定するものである。LiDAR14を用いることで自動運転車両4の周辺を走行する車両や歩行者の位置、及びこれらの動作を三次元で把握することができる。また、図示しない高精度三次元地図の点群情報とスキャンマッチングすることで自動運転車両4の自己位置推定を行い、ステアリングを制御するように構成されている。
【0017】
更に、ECU12には、GNSS(Global Navigation Satellite System)システム17から測位情報が入力され、自車位置を認識し、インターネット回線、携帯電話事業者などの通信事業者が提供するモバイル回線、あるいは専用の無線通信回線などを介して位置情報がクラウド1上の運行管理システムのサーバに入力される。また、このECU12から得た各種の車両状態情報も、クラウド1上の運行管理システムのサーバに入力される。
【0018】
図3乃至
図5はそれぞれ、
図1における監視装置5について説明するためのもので、要部を抽出して概略構成を示しており、
図3は交差点、
図4は乗降車ポート、
図5は車庫や駐車場に設置されている。
図3に示すように、交差点の信号灯器21には、カメラ22aが内蔵されている。このカメラ22aで撮影した交差点内、あるいは交差点近傍の画像を画像処理装置23aに読み込んで画像処理し、車両、自転車及び歩行者などの移動体を検出する。画像処理装置23aの処理結果(移動体情報)は制御モジュール24aに入力される。
【0019】
制御モジュール24aには、図示しない交通信号制御機から信号情報と、カメラ22aから移動体情報がそれぞれ入力される。この制御モジュール24aでは、カメラ22aからの移動体情報により、車両、自転車及び歩行者などの移動体の移動ベクトルが検出され、これら移動体の将来位置を予測した路側情報SA5(信号情報SA1や危険情報などを含む)が運行管理システムのサーバに送信される。
【0020】
また、
図4に示すように、乗降車ポートにはカメラ22bが設けられており、撮影した乗降車ポートの画像を画像処理装置23bに読み込んで画像処理し、乗降車ポートに停車しているバスやタクシー(自動運転車両4)、乗降者を検出する。画像処理装置23bの処理結果は制御モジュール24bに入力され、乗降車ポートのバスやタクシー、乗降者の有無がポート情報SA7として運行管理システムのサーバに送信される。
【0021】
更に、
図5に示すように、車庫・駐車場には、カメラ22cが設けられている。このカメラカメラ22cは、車庫、駐車場、駐車スペース間の通路を撮影し、撮影した車庫や駐車場、通路の画像を画像処理装置23cに読み込んで画像処理し、車両や通路の障害物、駐車場の利用者などを検出する。画像処理装置23cの処理結果は制御モジュール24cに入力され、車両や通路の障害物、駐車場の利用者の有無、車庫・駐車場の満空情報などが駐車情報SA8として運行管理システムのサーバに送信される。
【0022】
そして、監視装置5から移動体情報や移動ベクトルから抽出した危険情報と、交通信号制御機からの信号情報とがバスやタクシー(自動運転車両4)に送信され、自動運転車両4から監視装置5には将来経路情報が送信される。
【0023】
図6は、
図3に示した監視装置5の具体的な構成例を示している。本例では、監視装置5が通信事業者の提供するモバイル回線を介して基地局30に接続され、この基地局30からクラウド1上の各種サーバと情報の授受を行う。同様に、自動運転車両4-1,4-2,4-3も、モバイル回線を介して基地局30に接続され、この基地局30からクラウド1上の各種サーバと情報の授受を行うようになっている。
【0024】
監視装置5の筐体31内には、制御モジュール24a、交通信号制御機33、ハブ34及びモバイルルータ35が収容されている。制御モジュール24aには、交通信号制御機33から信号情報SA1、環境センサ36から気象条件や路面状態などの環境情報SA3、GNSSシステム17から測位情報SA6がそれぞれ入力される。また、本例では、2台のカメラ22a-1,22a-2が設けられており、これらのカメラに対応して画像処理装置23aが画像処理部23a-1と23a-2で構成される。カメラ22a-1で撮影された交差点内または交差点近傍の画像は画像処理部23a-1で処理され、車両や歩行者などの移動体情報SA2aがハブ38,34を介して制御モジュール24aに入力される。
【0025】
同様に、カメラ22a-2で撮影された画像は画像処理部23a-2で処理され、車両や歩行者などの移動体情報SA2bがハブ38,34を介して制御モジュール24aに入力される。そして、制御モジュール24aで車両や歩行者などの移動体の移動ベクトルが算出され、この移動ベクトルと自車両の現在位置や将来位置に基づいて危険情報が算出される。
【0026】
信号情報SA1、環境情報SA3、測位情報SA6、及び移動体情報SA2a,SA2bなどから制御モジュール24aで路側情報SA5(危険情報など)が算出される。この路側情報SA5と信号情報SA1は、制御モジュール24aからハブ34、モバイルルータ35、LTEアンテナ39、モバイル回線を経由して基地局30に送信され、この基地局30から対応する識別情報の自動運転車両4-1に送信される。
また、この路側情報SA5と信号情報SA1は、制御モジュール24aからハブ34、モバイルルータ35、LTEアンテナ39、モバイル回線を経由して基地局30に送信され、この基地局30からクラウド1上のサーバに送信される。
【0027】
一方、自動運転車両4-1,4-2,4-3からの将来経路情報SA4は、通信事業者が提供するモバイル回線を使用して基地局30に送信され、この基地局30からLTEアンテナ39、モバイルルータ35、ハブ34を経由して制御モジュール24aに入力される。
【0028】
図7は、
図4に示した監視装置5の具体的な構成例を示している。監視装置5の筐体31内には、制御モジュール24b、ハブ34及びモバイルルータ35が収容されている。制御モジュール24bには、環境センサ36から環境情報SA3、GNSSシステム17から測位情報SA6がそれぞれ入力される。
【0029】
また、カメラ22b-1で撮影された乗降車ポートの画像が画像処理部23b-1で処理され、乗降車ポート情報SA2cがハブ38,34を介して制御モジュール24bに入力される。同様に、カメラ22b-2で撮影された画像は画像処理部23b-2で処理され、乗降車ポート情報SA2dがハブ38,34を介して制御モジュール24bに入力される。
【0030】
一方、乗降車ポートのバスやタクシーの有無、乗降者の有無などのポート情報SA7は、制御モジュール24bからハブ34、モバイルルータ35、LTEアンテナ39、モバイル回線を経由して基地局30に送信され、この基地局30から対応する識別情報の自動運転車両4-1に送信される。また、このポート情報SA7は、制御モジュール24bからハブ34、モバイルルータ35、LTEアンテナ39、モバイル回線を経由して基地局30に送信され、この基地局30からクラウド1上のサーバに送信される。
【0031】
図8は、
図5に示した監視装置5の具体的な構成例を示している。基本的な構成は、
図7と同様であるので同一部分に同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、監視装置5の筐体31内には、制御モジュール24c、ハブ34及びモバイルルータ35が収容されている。制御モジュール24cには、環境センサ36から環境情報SA3、GNSSシステム17から測位情報SA6がそれぞれ入力される。
【0032】
また、カメラ22c-1で撮影された画像は画像処理部23c-1で処理され、車庫や駐車場の情報SA2eがハブ38,34を介して制御モジュール24cに入力される。同様に、カメラ22c-2で撮影された画像は画像処理部23c-2で処理され、車庫や駐車場の情報SA2fがハブ38,34を介して制御モジュール24cに入力される。
【0033】
一方、車庫や駐車場のなどの空きを示す駐車情報SA8は、制御モジュール24cからハブ34、モバイルルータ35、LTEアンテナ39、モバイル回線を経由して基地局30に送信され、この基地局30から対応する識別情報の自動運転車両4-1に送信される。また、この駐車情報SA8は、制御モジュール24cからハブ34、モバイルルータ35、LTEアンテナ39、モバイル回線を経由して基地局30に送信され、この基地局30からクラウド1上のサーバに送信される。
【0034】
[実施形態]
次に、上述したクラウド1上の運行管理システムと集中制御システムのサーバを用い、自動運転車両4(4-1,4-2,4-3,…)に対する経路誘導と自動駐車(AVP:Automated Valet Parking)を行う場合について詳しく説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る経路誘導システムにおける誘導経路の生成について説明するための模式図である。
図9における出発地40と目的地41の間の自動運転車両4の誘導経路を、複数のリンクと、これらリンクが交差するノードとで設定する。
【0035】
ここでは、経路L1,L2,L3,…、La1,La2,La3,…、Lb1,Lb2,Lb3,…、Lc1,Lc2,Lc3,…、Ld1,Ld2,Ld3,…、Le1,Le2,Le3,…をリンクと呼び、各経路の交点N1,N2,N3,…をそれぞれノードと呼ぶ。リンクは、例えば駐車場における駐車スペース間の通路に対応させ、これらの通路が交わる点をノードに対応させる。
【0036】
本経路誘導システムは、駐車場などの限定空間において、複数台の自動運転車両を重複することのない優先順位に従って誘導するもので、例えば駐車場への自動駐車や、駐車場から自動出庫させて駐車場の出口へ誘導するものである。そして、複数台の自動運転車両の誘導経路が特定のノードで交錯する場合に、優先順位が低い自動運転車両は交錯する手前のリンクで待機させ、優先順位が高い自動運転車両が特定のノードを通過した後に誘導を再開する。
【0037】
誘導経路の生成には、危険空間の認識と安全タイミングの生成が必要であり、
図5及び
図8に示した車庫・駐車場の監視装置5から自動運転車両4の位置と障害物情報を取得し、走行経路と安全タイミングを生成して、自動運転車両4を空いている駐車スペースへ誘導する。そして、事故や障害物などの危険事象発生時には、迂回可能なノードに囲まれたリンクを危険空間A1,A2として認識(定義)し、経路選択からは外すようにしている。
【0038】
図9においては、例えば事故の発生したノードN4,N7間のリンクL4(危険空間A1)と、障害物があるノードN10,N11間のリンクLd2(危険空間A2)が経路選択から外されることになる。
【0039】
安全タイミングの生成は、次のようにして行う。複数台の自動運転車両における誘導経路が交差するポイントにおいては、時間差による調停では通信遅延や時刻ズレなどで算出結果と異なり衝突する危険がある。そこで、経路を優先する側に仮想の通行権を与えて(逆側が停止)、必ず交錯しない状態を生成して誘導する。
【0040】
このように、駐車場の駐車スペース間の通路に危険空間と通行権(停止エリア)を設定して、駐車場の入口から予め設定された優先順位に従って駐車スペースに誘導する、あるいは駐車スペースに駐車された複数台の自動運転車両を、予め設定された優先順位に従って、駐車スペース間の通路を介して駐車場の出口に誘導する。もし、駐車場の入口から駐車スペースに誘導する自動運転車両の誘導経路と、駐車スペースから駐車場の出口に誘導する自動運転車両の誘導経路とが交錯した場合には、駐車場の出口に誘導する自動運転車両を優先とする。
【0041】
上述したように、出発地から目的地までの誘導経路を形成するリンクに対して、危険空間と通行権(停止エリア)を設定することで、車両の衝突、同一リンクでのデッドロックなどを抑制して安全な経路誘導が実現できる。
【0042】
図10乃至
図12はそれぞれ、上述したような経路誘導システムの動作を示すフローチャートである。駐車場の通路に対応するリンクとノードの情報は、駐車場作図システムで生成された駐車場地図データから、クラウド1上の運行管理システムのサーバに読み込む。駐車場作図システムとは、例えば
図13に示すように、駐車場をノードとリンクの情報から作図したものである。駐車場の駐車スペース間の通路をリンクに、通路の交差部をノードN0~N12にそれぞれ対応させる。
【0043】
図14は経路誘導の初期状態を示しており、ノードN0に自動運転車両Aが、ノードN4に自動運転車両Bが、ノードN1に自動運転車両Cがそれぞれ停車しているものとする。
このような初期状態から、自動運転の車両A、車両B、車両Cの優先順位が、運行管理システムにより、例えば「A>B>C」の順に決定される(ステップS1)。このように、優先順位が決定された状態で、経路誘導システムによる経路誘導が開始される。
まず、優先順位が「A>B>C」での各車両の最適な走行ルート(経路)を算出する(ステップS2)。この最適経路計算の結果から、ノード毎にどの車両が通過するのかの情報を算出し、この情報を順番込みで保持する。
【0044】
ここでは、自動運転車両AがノードN0から、実線で示すようにノードN2,N6,N10,N12を通過し、ノードN12の先の駐車スペースに自動駐車するものとする。また、自動運転車両BはノードN4から、点線で示すようにノードN5,N6,N7,N8を通過し、ノードN8の先の駐車スペースに自動駐車する。自動運転車両CはノードN1から、破線で示すようにノードN2,N6,N10,N11を通過し、ノードN11の先の駐車スペースに自動駐車する例を示している。
【0045】
各ノードには専有情報の先頭の車両のみ進入でき、進入した車両が移動して通過すると、専有情報からその車両を削除して次の車両が進入できるようになる。このノードの専有情報は、鉄道信号で用いられる軌道の閉塞の概念に近いものである。
【0046】
次に、走行ルート上に障害物などがないか判定する(ステップS3)。障害物がないと判定されると、走行ルートに基づいた最適経路計算後のノード専有情報を作成し(ステップS4)、障害物があると判定されると、ステップS2に戻って迂回可能なノードに囲まれたリンクを危険空間として認識(定義)し、経路選択からは外して他の走行ルートを算出する。
【0047】
次のステップS5では、車両Aの優先経路を生成する。優先順位の最も高い車両Aは、ノードN0,N2,N6,N10,N12の全てのノードが侵入可能なので、出発地点であるノードN0から目的地であるノードN12までの詳細経路を生成して車両Aに通知する。
次に、車両Aの優先経路の全ノードに車両A側に対する通行権を与える(ステップS6)。これによって、車両Aが優先経路指示に従って自動走行を開始する(ステップS7)。
【0048】
続くステップS8では、車両Aの走行ルートと交錯するノードの抽出があるか判定し、ある場合には他の車両B、車両Cが車両Aと交錯しないノード(交錯するノードの手前)まで誘導する(ステップS9)。本例では、
図15において各ノードに通過車両を重ねて示すように、ノードN2,N6,N10に交錯があり、ノードN2は車両Aと車両C、ノードN6は車両Aと車両Bと車両C、ノードN10は車両Aと車両Cが交錯する。
【0049】
そこで、
図16に示すように、ノードN0からノードN2へのリンクの仮想信号機を青信号、ノードN2からノードN6へのリンクの仮想信号機を青信号、ノードN6からノードN10へのリンクの仮想信号機を青信号に設定する。また、ノードN6からノードN2へのリンクの仮想信号機、ノードN10からノードN6へのリンクの仮想信号機、ノードN12からノードN10へのリンクの仮想信号機もそれぞれ青信号に設定する。
【0050】
一方、ノードN1からノードN2へのリンクの仮想信号機を赤信号、ノードN3からノードN2へのリンクの仮想信号機を赤信号、ノードN5からノードN6へのリンクの仮想信号機を赤信号、ノードN7からノードN6へのリンクの仮想信号機を赤信号、ノードN9からノードN10へのリンクの仮想信号機を赤信号、及びノードN11からノードN10へのリンクの仮想信号機をそれぞれ赤信号に設定する。
【0051】
なお、
図16において、仮想信号機が青信号は走行ルート上の白丸、仮想信号機が赤信号は丸印内にバツを付けた記号で表している。仮想信号機とは実際には存在せず、自動運転車両同士の調停を制御するものである。この仮想信号機により、通行権を優先順位が一番高い車両にのみ与えることで安全なタイミングを実現する。仮想信号機は、経路生成システムが制御する。
この状態では、車両BをノードN5まで誘導し、車両CはノードN1で待機させることになる(ステップS10)。
これに対し、ステップS8で、車両Aと交錯するノードの抽出がない場合には、ステップS15に移動する。
【0052】
上述した仮想信号機の設定において、ノード専有情報があるノードに設定された信号は、全ての向きについて赤信号にする。また、ノード専有情報がなくても連結するノードに専有情報がある場合、そのノードとの行き来を含む信号は赤信号にする。更に、進行方向により灯色状態が異なるが信号機に方向指示器がなく設定できない場合は赤信号とする。ノードに紐付いた信号がなければ特に何もしない。
【0053】
次のステップS11では、ノードN2を車両Aが通過したか否か判定し、通過した場合には車両BはノードN5で待機させ(ステップS12)、通過しない場合にはステップS10に戻って車両BのノードN5までの誘導と、車両CのノードN1での待機状態を維持する。
次のステップS13では、ノードN6を車両Aが通過したか否か判定し、通過した場合には車両AはノードN12(目的地)を通過して空いている駐車スペースに到着する(ステップS14)。通過しない場合にはステップS12に戻って車両BのノードN5での待機状態を維持する。
【0054】
次のステップS15では、車両Bの走行ルートと交錯するノードの抽出があるか判定し、ある場合には他の車両Cが車両Bと交錯しないノード(交錯するノードの手前)まで誘導する(ステップS16)。本例では、車両BをノードN6まで誘導し、車両CはノードN2で待機することになる(ステップS17)。
一方、ステップS15で、車両Bと交錯するノードの抽出がない場合には、ステップS20に移動する。
【0055】
次のステップS18では、ノードN6を車両Bが通過したか否か判定し、通過した場合には車両BはノードN8(目的地)を通過して空いている駐車スペースに到着し(ステップS19)、通過していない場合にはステップS17に戻って車両CのノードN2での待機状態を維持する。
次のステップS20では、車両Cと交錯するノードの抽出があるか否か判定し、
図17に示すように何れの場合にも車両CはノードN6からノードN10を経由し、ノードN11(目的地)を通過して空いている駐車スペースに到着する。この時点では、
図18に示すようにノードN2の仮想信号機の設定は解除され、全ての方向が走行可能となる。
【0056】
上記のような構成の経路誘導システムによれば、出発地から目的地までの誘導経路を形成するリンクに対して、危険空間と通行権(停止エリア)を設定することで、車両の衝突や同一リンクでのデッドロックなどを抑制でき、安全且つ快適な経路誘導が実現できる。
【0057】
以上の実施形態で説明された回路構成や動作手順等については、本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0058】
例えば、駐車場を例に取って説明したが、限定された地域において、信号灯器の無い交差点などに仮想信号機を設定することで、自動運転車両の経路誘導を行うことができる。
また、複数台の自動運転車両の経路を誘導する場合を例に取って説明したが、自動運転車両以外の一般車両にも適用でき、仮想信号機を使って運転者に発進、走行、停止、右折、左折などの指示を与えることで同様な経路誘導を行うこともできる。
【0059】
更に、優先順位が高い車両の通過を待機している時間が所定時間より長い場合には、異常や故障が発生していると判定し、当該優先順位が高い車両を停止させ、待機していた車両を通過させるようにしても良い。
このように構成することで、デッドロックを効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0060】
1…クラウド、2…指令室、3…情報端末、4,4-1,4-2,4-3…自動運転車両、5…監視装置、11…アクチュエータ、12…ECU、13…運行指令車載装置、14…LiDAR、15…路面、16…磁気マーカ、17…GNSSシステム、21…信号灯器、22a,22b,22c,22a-1,22a-2,22b-1,22b-2,22c-1,22c-2…カメラ、23a,23b,23c…画像処理装置、23a-1,23a-2,23b-1,23b-2,23c-1,23c-2…画像処理部、24a,24b,24c…制御モジュール、30…基地局、31…筐体、33…交通信号制御機、34,38…ハブ、35…モバイルルータ、36…環境センサ、39…LTEアンテナ、40…出発地、41…目的地、L1,L2,L3,La1,La2,La3,Lb1,Lb2,Lb3,Lc1,Lc2,Lc3,Ld1,Ld2,Ld3…リンク、N1,N2,N3…ノード、A1,A2…危険空間、SA1…信号情報、SA2a,SA2b…移動体情報、SA2c,SA2d…乗降車ポート情報、SA3…環境情報、SA4…将来経路情報、SA5…路側情報、SA6…測位情報、SA7…ポート情報、SA8…駐車情報