IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐々木 ベジの特許一覧

<>
  • 特開-基板、積層基板の製造方法及び製品 図1
  • 特開-基板、積層基板の製造方法及び製品 図2
  • 特開-基板、積層基板の製造方法及び製品 図3
  • 特開-基板、積層基板の製造方法及び製品 図4
  • 特開-基板、積層基板の製造方法及び製品 図5
  • 特開-基板、積層基板の製造方法及び製品 図6
  • 特開-基板、積層基板の製造方法及び製品 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110616
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】基板、積層基板の製造方法及び製品
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220722BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20220722BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20220722BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H05K3/46 S
H05K3/46 B
H05K1/03 630H
B32B15/04 A
B32B15/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006130
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】500308314
【氏名又は名称】佐々木 ベジ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 ベジ
【テーマコード(参考)】
4F100
5E316
【Fターム(参考)】
4F100AB00B
4F100AB00D
4F100AB00E
4F100AB17B
4F100AB17D
4F100AB33B
4F100AB33D
4F100AK00C
4F100AK00E
4F100AR00A
4F100BA02
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100EJ05A
4F100GB43
4F100JB12C
4F100JB15C
4F100JG04A
5E316AA02
5E316AA12
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC12
5E316CC13
5E316CC32
5E316DD32
5E316GG28
5E316HH33
5E316JJ12
5E316JJ13
(57)【要約】
【課題】簡易な方法によって積層でき、かつ導体層と絶縁層との間に異物が混入するリスクを低減できる積層基板を製造する方法を提供する。
【解決手段】積層基板の製造方法は、第一金属層20及び第一樹脂層10が一体になった第一金属層付き樹脂層100を準備する工程と、対象基板に前記第一金属層付き樹脂層100の第一樹脂層10とを接着する工程と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料の主成分を全体の1割以上9割以下の範囲で架橋反応させた絶縁層と、
前記絶縁層に設けられた金属層と、
を備える基板。
【請求項2】
第一金属層及び第一樹脂層が一体になった第一金属層付き樹脂層を準備する工程と、
対象基板に前記第一金属層付き樹脂層の第一樹脂層を接着する工程と、
を備える積層基板の製造方法。
【請求項3】
対象基板は、第二樹脂層と、前記第二樹脂層に設けられた第二金属層と、を有する第二金属層付き樹脂層であり、
前記第二金属層は回路層となっており、
前記第二金属層付き樹脂層の回路層を前記第一金属層付き樹脂層の第一樹脂層内に埋設するように、前記第二金属層付き樹脂層と前記第一金属層付き樹脂層とを接着する請求項2に記載の積層基板の製造方法。
【請求項4】
前記第一樹脂層は半硬化状態となっている請求項3に記載の積層基板の製造方法。
【請求項5】
半硬化状態の樹脂を搬送部によって搬送しつつ、当該樹脂に供給部によって金属層を設ける、又は金属層を搬送部によって搬送しつつ、当該金属層に供給部によって樹脂を設けることで前記第一金属層付き樹脂層を準備する請求項2乃至4のいずれか1項に記載の積層基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の基板又は請求項2乃至4のいずれか1項によって製造された積層基板を含む製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、積層基板の製造方法及び製品に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板においては完成品として片面板と両面板の他に何層も積層された基板が提供されている。例えば、特許文献1では、導体層上に部品が実装された第二支持体に開口された樹脂層をレイアップし、当該レイアップした中でプリプリグ最上位の上に第一支持体をレイアップし積層した後で、積層体から第一キャリアと第二キャリアを剥離して積層体を得ることが開示されている([0041]参照)。
【0003】
この特許文献1で示されているとおり、これまでは例えば4層板においては中心に両面板の回路を作成した上で導体層と樹脂層を別々に準備し、これらをレイアップ工程で重ね合わせてから熱を加え硬化させる積層法が用いられていた。それはあらかじめ銅箔等の導体層と絶縁層を密着させてから内層回路にくっ付けようとすると絶縁層の材料が熱硬化性樹脂(主にエポキシ)を主成分としているので一度硬くしてしまうと二度目(積層時)の熱圧着をしても軟らかくならない性質があるため積層そのものが不可能とされていたからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011―138873号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来はこのように、導体層と絶縁層を別々に準備して積層基板を製造していた。しかしこの態様では導体層の銅箔が傷やヒビが入ったりシワになったり、あるいは絶縁層と箔の間に異物(チリやゴミ)が入ったりする危険性があるため非常に微妙な調整をする手作業又はそれに近い複雑な工程が存在していた。従って製造方法が煩雑になるだけでなく前記の数々の危険性だけでなく導体層表面の打痕、キズ、絶縁層内のエアだまり(ボイド)などの不良の発生を余儀なくされていた。
【0006】
本発明は、このような点の改善を考慮したものであり、より簡易な方法によって積層板を製造することで生産性を向上させ加えて前記数々の不良化リスクを低減できる(シールドを含む)積層基板を製造するための基板と積層基板の製造方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による積層基板の製造方法は、
第一金属層及び第一樹脂層が一体になった第一金属層付き樹脂層を準備する工程と、
対象基板に前記第一金属層付き樹脂層の第一樹脂層を接着する工程と、
を備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な方法によって積層することで生産性を向上させ、かつ前記した様々な不良化リスクを低減できる(シールドを含む)積層基板を製造するための基板と積層基板の製造方法等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態による製造方法において、第二樹脂層の両面において第一金属層付き樹脂層を設ける態様を説明した断面図である。
図2図2は、図1の態様を用いて生成された4層の積層基板を示した断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態による製造方法において、第二樹脂層の一方面において第一金属層付き樹脂層を設ける態様を説明した断面図である。
図4図4は、図3の態様を用いて生成された積層基板を示した断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態において、片面に金属層が設けられた金属層付き樹脂層を製造する工程を説明するための断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態において、両面に金属層が設けられた金属層付き樹脂層を製造する工程を説明するための断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態による積層基板において、第一金属層と第一樹脂層との間に接着層が設けられ、第二樹脂層と第二金属層との間に接着層が設けられている態様をした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一例として、図1及び図3に示すように、第一金属層20及び第一樹脂層10が一体になった第一金属層付き樹脂層100を用いる。この第一金属層付き樹脂層100の第一樹脂層10は、絶縁材料の主成分を全体の1割以上9割以下の範囲で架橋反応させた層となってもよい。第一金属層20は金属箔等であり、一例として、第一金属層付き樹脂層100は、絶縁材料の主成分を全体の1割以上9割以下の範囲で架橋反応(結晶化、ガラス転移化)させた絶縁層に金属箔等からなる金属層を密着させた金属張積層板である。この金属張積層板は、プリント基板における内層回路入り金属箔張り積層板(シールド)であってもよいし、表面に回路が形成されている積層基板であってもよい。第一樹脂層10において、絶縁材料の主成分は全体の3割以上となってもよいし、7割以下となってもよい。第一金属層20の厚みは例えば10mm以下であってもよいし、9mm以下であってもよい。
【0011】
対象基板の一例として、第二樹脂層30と、第二樹脂層30に設けられた第二金属層40と、を有する第二金属層付き樹脂層200を用いる。この第二金属層付き樹脂層200の第二樹脂層30は、絶縁材料の主成分を全体の1割以上9割以下の範囲で架橋反応させた層となってもよい。第二金属層40は金属箔等であり、一例として、第二金属層付き樹脂層200は、絶縁材料の主成分を全体の1割以上9割以下の範囲で架橋反応(結晶化、ガラス転移化)させた絶縁層に金属箔等からなる金属層を密着させた金属張積層板である。
【0012】
本実施の形態では、第二樹脂層30がコア層となり、第二金属層40が回路層になっている態様を用いて説明するが、これに限られることはない。第一金属層付き樹脂層100は典型的には金属層付きプリプレグである。第二樹脂層30及び第一樹脂層10は同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。第二樹脂層30及び第一樹脂層10はともに絶縁性の材料であってもよい。
【0013】
本実施の形態では、一例として、第二金属層付き樹脂層200の回路を構成する第二金属層40を第一金属層付き樹脂層100の第一樹脂層10内に埋設するように、第二金属層付き樹脂層200と第一金属層付き樹脂層100とを接着することで、積層基板を製造する(図1乃至図4参照)。この接着の際には、固定用プレート500を用いて、第二金属層付き樹脂層200に第一金属層付き樹脂層100を押し付けてもよい。
【0014】
第一金属層付き樹脂層100の第一樹脂層10は半硬化状態となってもよい。このように半硬化状態となっていることで、第一金属層付き樹脂層100を第二金属層付き樹脂層200に押し付けるだけで、回路になった第二金属層40を第一樹脂層10内に容易に埋設することができる。
【0015】
本実施の形態における「半硬化状態」とは、液体とは異なって一定の形状を有するが、完全には固まっておらず、例えば押圧することで変形可能な状態であることを意味している。なお、第一樹脂層10としては半硬化状態とはなっておらず、硬化した状態のものであってもよい。この場合において、第二金属層40が回路からなるときには、第一樹脂層10の一部を切除する等して凹部を設け、当該凹部内に第二金属層40を嵌め込むようにしてもよい。第二金属層40には半導体素子、抵抗、コンデンサ等の電子素子(図示せず)が、はんだ等の導電性接着剤(図示せず)を介して設けられてもよい。
【0016】
従来の態様では、メーカが異なることから、金属箔等の金属層と樹脂層とが別体に製造されていた。そして、いわゆるレイアップ工程によって、金属層と樹脂層とを貼り付けることを行っていた。これに対して、本件発明者が経営するグループ会社では、樹脂層を製造する会社と金属箔等の金属層を製造する会社の両方が存在したことから、金属箔等の金属層と樹脂層とを別々に製造するのではなく、金属箔付き第一樹脂層を一連の工程で製造することとした。このため、従来のようにレイアップ工程によって金属箔等の金属層と樹脂層とを貼り付けることは必要なくなる。この結果、積層工程での作業効率を格段に挙げることができる。また、レイアップ工程では、金属層と樹脂層との間に異物が混入するリスクがあるが、金属層及び樹脂層が一体になった金属層付き樹脂層を準備することによって、このような異物混入のリスクを低減することができる。
【0017】
図1及び図2に示すように、第二金属層40は、第二樹脂層30の一方面(おもて面;図1の上方側の面)と他方面(裏面;図1の下方側の面)の両面に設けられてもよい。この場合には例えば一対の第一金属層付き樹脂層100を準備する。そして、第二樹脂層30の一方面に設けられた第二金属層40が一方の第一金属層付き樹脂層100の第一樹脂層10内に埋設するように第二金属層付き樹脂層200と一方の第一金属層付き樹脂層100とを接着し、第二樹脂層30の他方面に設けられた第二金属層40が他方の第一金属層付き樹脂層100の第一樹脂層10内に埋設するように第二金属層付き樹脂層200と他方の第一金属層付き樹脂層100とを接着するようにしてもよい。
【0018】
また、第二金属層40は、第二樹脂層30の一方面又は他方面だけに設けられてもよい(図3及び図4参照)。この場合には例えば一つの第一金属層付き樹脂層100を準備する。そして、第二樹脂層30に設けられた第二金属層40が第一金属層付き樹脂層100の第一樹脂層10内に埋設するように第二金属層付き樹脂層200と第一金属層付き樹脂層100とを接着するようにしてもよい。
【0019】
第一金属層20及び第二金属層40の各々は例えば銅箔等の金属箔からなってもよい。第一樹脂層10が接着性を有する場合には第一金属層20と第一樹脂層10は直接接合されてもよい。同様に、第二樹脂層30が接着性を有する場合には第二樹脂層30と第二金属層40は直接接合されてもよい。但し、これに限られることはなく、図7に示すように、第一金属層20と第一樹脂層10との間に接着層70が設けられてもよい。同様に、第二樹脂層30と第二金属層40との間に接着層70が設けられてもよい。
【0020】
第一樹脂層10及び第二樹脂層30の材料としては、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、半芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を用いてもよい。
【0021】
一例としては、図5で示すように半硬化状態の第一樹脂層10をベルトコンベア等の搬送部310によって搬送しつつ、当該第一樹脂層10に供給ローラ等の供給部320によって銅箔等からなる第一金属層20を設けることで、第一金属層付き樹脂層100を製造することができる。
【0022】
両面に第一金属層20を設ける場合には、図5のように第一樹脂層10の片面に第一金属層20を設けた後で、片面に第一金属層20が設けられた第一樹脂層10を反転させて、第一金属層20をさらに設けてもよい(図6参照)。
【0023】
なお、構成を逆にしてもよく、金属層をベルトコンベア等の搬送部310によって搬送しつつ、当該金属層に供給ローラ等の供給部320によって樹脂を設けることで、第一金属層付き樹脂層100を製造してもよい(図5及び図6参照)。
【0024】
第一金属層20に回路を形成する場合には、このようにして形成された第一金属層付き樹脂層100の第一金属層20をパターニングすることで形成される。
【0025】
第二金属層付き樹脂層200は第一金属層付き樹脂層100と同様に生成してもよい。この場合には、第二金属層40及び第二樹脂層30が一体になった第二金属層付き樹脂層200が提供されることになる。またこの場合も、図5及び図6で示すような態様で生成された第二金属層40をパターニングすることで回路を形成してもよい。
【0026】
本実施の形態の基板及び積層基板は、自動車、飛行機、船舶、ヘリコプター、パソコン、家電等のあらゆる実装装置に組み込まれてもよい。また、本実施の形態のような基板及び積層基板を用いた絶縁プリント基板、住宅等が提供されてもよい。本実施の形態の製品には、電子部品、デバイス、電気製品、通信機器、車等あらゆる物が含まれてもよい。
【0027】
上述した実施の形態の記載、変形例及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0028】
10 第一樹脂層
20 第一金属層
30 第二樹脂層
40 第二金属層
100 第一金属層付き樹脂層
200 第二金属層付き樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7