IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドライミックス事業協同組合の特許一覧

特開2022-110627コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法
<>
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図1
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図2
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図3
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図4
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図5
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図6
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図7
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図8
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図9
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図10
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図11
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図12
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図13
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図14
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図15
  • 特開-コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110627
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】コンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/04 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B28C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006148
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】309013989
【氏名又は名称】ドライミックス事業協同組合
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】代田 俊秋
(72)【発明者】
【氏名】代田 璃央
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CA01
4G056CB13
4G056CB17
(57)【要約】
【課題】 現場で使用可能な状態で輸送できるとともに、現場で添加物を計量する必要がないコンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法を提供すること。
【解決手段】上部に開口部が形成され、一方、底部に排出口が形成された袋本体と、排出口を開閉することができる開閉手段と、排出口を下部に位置させた状態で、かつ、該排出口を塞ぐことなく吊り上げられるように袋本体に取付けられた吊りロープと、袋本体内の下部に収納され、少なくとも粉状物乃至粒状物を含むコンクリート骨材と、骨材の上部に水溶解部材を介してコンクリート骨材と直接接触しないように袋本体に収納されたセメントと、コンクリート骨材と直接接触しないように袋本体に収納された添加物とからなるコンクリート原料。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部が形成され、一方、底部に排出口が形成された袋本体と、前記排出口を開閉することができる開閉手段と、前記排出口を下部に位置させた状態で、かつ、該排出口を塞ぐことなく吊り上げられるように前記袋本体に取付けられた吊りロープと、前記袋本体内の下部に収納され、少なくとも粉状物乃至粒状物を含むコンクリート骨材と、前記コンクリート骨材の上部に水溶解部材を介して前記コンクリート骨材と直接接触しないように前記袋本体に収納されたセメントと、前記コンクリート骨材と直接接触しないように前記袋本体に収納された添加物とからなるコンクリート原料。
【請求項2】
前記コンクリート骨材は、前記袋本体内の下部に収納された粒径が小さな細骨材と、前記細骨材の上部に収納され、かつ前記細骨材よりも粒径が大きい粗骨材とからなることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート原料。
【請求項3】
前記水溶解部材は、袋状に形成され、内部に前記セメント及び前記添加物が充填された状態で前記コンクリート骨材の上部に少なくとも一つ以上収納されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のコンクリート原料。
【請求項4】
前記袋本体に収納される前記添加物の重量は、前記セメントの重量の0.1%乃至20%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンクリート原料。
【請求項5】
袋本体の収納部の下部に粉状物乃至粒状物を含むコンクリート骨材を収納する骨材収納工程と、前記コンクリート骨材の上部に水溶解部材を介して前記コンクリート骨材と直接接触しないようにセメントを収納するセメント収納工程と、前記コンクリート骨材の上部に前記水溶解部材を介して前記コンクリート骨材と直接接触しないように添加物を収納する添加物収納工程とを含むコンクリート原料の製造方法。
【請求項6】
前記骨材収納工程は、前記袋本体の収納部の最下部に所定量の細骨材を収納する細骨材収納工程と、前記細骨材収納工程で収納された前記細骨材の上部に所定量の粗骨材を収納する粗骨材収納工程とからなることを特徴とする請求項5に記載のコンクリート原料の製造方法。
【請求項7】
前記水溶解部材は袋状に形成され、内部に前記セメント及び前記添加物が充填された状態で前記コンクリート骨材の上部に少なくとも一つ以上収納されていることを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載のコンクリート原料の製造方法。
【請求項8】
前記添加物収納工程で前記袋本体に収納される前記添加物の重量は、前記セメントの重量の0.1%乃至20%であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のコンクリート原料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現場で容易に生コンクリートを製造できるように輸送することができるコンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場で使用する生コンクリートは、生コン工場で製造した生コンクリートを建設現場へ輸送しているため、輸送時間によって生コンクリートの品質の低下が生じるという欠点があるとともに、水を加えた生コンクリートの輸送であるため、重量が重く、輸送効率が悪いという欠点があった。
【0003】
この欠点を解消するために、「上部に開口部が形成され、底部中央部に排出口が形成されたコンクリート骨材収納袋と、このコンクリート骨材収納袋の排出口を開閉することができる開閉手段と、前記コンクリート骨材収納袋の排出口を下部に位置させた状態で、かつ該排出口を塞ぐことなく吊り上げられるように、該コンクリート骨材収納袋に取付けられた吊りロープと、前記コンクリート骨材収納袋に収納された所定量のコンクリート骨材と、このコンクリート骨材が収納された前記コンクリート骨材収納袋内に、前記排出口より排出できる大きさで、水によって溶解する水溶解部材に収納された所定量のセメントとからなることを特徴とするコンクリート原料」が本願発明者によって発明されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、このようなコンクリート材料は、現場でそのまま使用することができるものの、製造する生コンクリートに対して石炭灰等の添加物を添加する場合には、現場で混練中のコンクリート材料に添加物を計量して添加しなければならず、手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-98121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、現場で使用可能な状態で輸送できるとともに、現場で添加物を計量する必要がないコンクリート原料及びコンクリート原料の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のコンクリート原料は、上部に開口部が形成され、一方、底部に排出口が形成された袋本体と、前記排出口を開閉することができる開閉手段と、前記排出口を下部に位置させた状態で、かつ、該排出口を塞ぐことなく吊り上げられるように前記袋本体に取付けられた吊りロープと、前記袋本体内の下部に収納され、少なくとも粉状物乃至粒状物を含むコンクリート骨材と、前記コンクリート骨材の上部に水溶解部材を介して前記骨材と直接接触しないように前記袋本体に収納されたセメントと、前記コンクリート骨材と直接接触しないように前記袋本体に収納された添加物とからなる。
上記構成に於いて、前記コンクリート骨材は、前記袋本体内の下部に収納された粒径が小さな細骨材と、前記細骨材の上部に収納され、かつ前記細骨材よりも粒径が大きい粗骨材とからなることを特徴とする(請求項2)。また前記水溶解部材は、袋状に形成され、内部に前記セメント及び前記添加物が充填された状態で前記コンクリート骨材の上部に少なくとも一つ以上収納されていることを特徴とする。また前記袋本体に収納される前記添加物の重量は、好ましくは前記セメントの重量の0.1%乃至20%であることを特徴とする。
【0009】
また本発明のコンクリート原料の製造方法は、袋本体の収納部の下部に粉状物乃至粒状物を含むコンクリート骨材を収納する骨材収納工程と、前記骨材の上部に水溶解部材を介して前記コンクリート骨材と直接接触しないようにセメントを収納するセメント収納工程と、前記コンクリート骨材の上部に前記水溶解部材を介して前記コンクリート骨材と直接接触しないように添加物を収納する添加物収納工程とを含む。
【0010】
上記構成に於いて、前記骨材収納工程は、前記袋本体の収納部の最下部に所定量の細骨材を収納する細骨材収納工程と、前記細骨材収納工程で収納された前記細骨材の上部に所定量の粗骨材を収納する粗骨材収納工程とからなることを特徴とする(請求項6)。また前記水溶解部材は袋状に形成され、内部に前記セメント及び前記添加物が充填された状態で前記コンクリート骨材の上部に少なくとも一つ以上収納されていることを特徴とする。さらに、前記添加物収納工程で前記袋本体に収納される前記添加物の重量は、前記セメントの重量の0.1%乃至20%であることを特徴とする。なお、後続の従属項は、先行の従属項をそのまま前提にするとこができる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)独立請求項(請求項1及び請求項5)に記載の各発明においては、粉状物としてのセメントだけでなく、粉状物乃至粒状物を含む添加物が袋本体(コンクリート骨材収納袋)に収納されるので、現場で添加物を計量して添加する必要がなく、容易に目的に応じた生コンクリートを製造することができる。
(2)また、粉状物としてのセメントや粉状物乃至粒状物を含む添加物は、骨材と直接接触しないように水溶性フィルム等の水溶解部材を介して収納されているので、保管時や輸送時に水分と接触することを確実に防止できる。したがって、意図せずセメントと水が反応することを防止できる。
(3)例えば請求項2及び請求項6に記載の各発明も、前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、コンクリート骨材収納袋内に、下方から細骨材と粗骨材を重なるように収納したので、セメントを収納した水溶解部材と細骨材が接触することを確実に防止できる。
したがって、保水力が大きく水分を含有しているおそれがある細骨材と水溶解部材とが直接接触することを防止できる。
(4)請求項3及び請求項7に記載の各発明も前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、セメントや添加物を容易に収納することができる。
(5)また、単位量のセメントを予め水溶解部材に収納しておくことにより、骨材の量によってセメントを収納した水溶解部材の個数を調整するだけでよく、容易に作業することができる。
(6)複数個の袋状の水溶解部材を用いる場合には、1個の水溶解部材の大きさが小さくなるため、排出口に引っかかることなく、スムーズに水溶解部材を排出することができる。
(7)さらに、請求項4及び請求項8に記載の各発明も前記(1)~(6)と同様な効果が得られるとともに、目的に応じて生コンクリートを適宜製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至図10は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図11乃至図13は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図14乃至図16は本発明の第4の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態を示すコンクリート原料の正面図。
図2】第1の実施形態を示すコンクリート原料の縦断面図(袋本体の底部が閉止された状態とそれが解かれた状態の拡大概略断面図も含む)。
図3】コンクリート骨材収納袋の説明図。
図4】第1の実施形態を示すコンクリート原料の製造方法の工程図。
図5】骨材収納工程の説明図。
図6】セメント収納工程及び添加物収納工程の説明図。
図7】ホッパーへ排出する状態の説明図。
図8】第2の実施形態を示すコンクリート原料の縦断面図。
図9】第2の実施形態を示すコンクリート原料の製造方法の工程図。
図10】セメント収納工程及び添加物収納工程の説明図。
図11】第3の実施形態を示すコンクリート原料の縦断面図。
図12】第3の実施形態を示すコンクリート原料の製造方法の工程図。
図13】セメント収納工程及び添加物収納工程の説明図。
図14】第4の実施形態を示すコンクリート原料の縦断面図。
図15】第4の実施形態を示すコンクリート原料の製造方法の工程図。
図16】水溶解部材収納容器の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1はコンクリート骨材工場から生コンクリートを使用する建設現場へトラック等で輸送される本発明のコンクリート原料である。
【0014】
このコンクリート原料1は図1及び図2に示すように、上部に開口部2が形成され、底部中央部に排出口3となる排出部4が形成された袋本体(コンクリート骨材収納袋)5と、このコンクリート骨材収納袋5の排出口3を開閉する開閉手段6として、前記排出部4の外周部に両端部6a、6aを除く中途の一部6bが縫着固定されたロープ6と、前記コンクリート骨材収納袋5の排出口3を下部に位置した状態で、かつ該排出口3を塞ぐことなく吊り上げられるように、該コンクリート骨材収納袋5の両側部にコ字状に縫着等によって取付けられた上部がループとなる複数本の吊りロープ7と、前記コンクリート骨材収納袋5の内部の収納部8の下部に収納された粉状物乃至粒状物を含む骨材9と、前記骨材9の上部に水溶解部材10を介して前記骨材9と直接接触しないように収納された所定量の粉状物としてのセメント11と、前記骨材9と直接接触しないように収納された所定量の添加物12とで構成されている。
【0015】
本実施形態では、水溶解部材10を前記排出口3より排出できる大きさの袋状に形成し、この袋状の水溶解部材10に密封状態でセメント11及び添加物12が充填されている。
【0016】
コンクリート骨材収納袋5は、図3に示すように、内部が収納部8となる袋状の部材で、コンクリート骨材等を収納した状態で運搬できる程度の強度が得られる素材で形成されている。
【0017】
このコンクリート骨材収納袋5の底部の略中央部には排出口3が形成されており、この排出口3には、筒状の排出部4が連通するように設けられている。この筒状の排出部4は、その上端部がコンクリート骨材収納袋5の底部の略中央部と連通するように逢着等によりコンクリート骨材収納袋5に固定され、開放状態の他端部からコンクリート骨材9や、セメント11及び添加物12が収納された袋状の水溶解部材10を生コンクリート製造装置等に下端部の排出口3から排出する。
【0018】
筒状の排出部4は通常状態(コンクリート骨材9等を収納している状態)においては、折りたたまれた状態で前記開閉手段6より閉状態を維持され、使用時には、開閉手段6であるロープ6を解くことにより、折りたたみ状態が解除されコンクリート骨材9等を排出部4から排出する(例えば図2図7参照)。
【0019】
なお、開口部2はコンクリート骨材9やセメント11、添加物12を収納した後は、ロープ等によって閉じられる。
【0020】
本実施形態では、コンクリート骨材9は、粒径が小さな細骨材13と、細骨材の上部に収納され、かつ前記細骨材よりも粒径が大きい粗骨材14とからなる。そして、コンクリート骨材収納袋5の内部の収納部8の最下部に細骨材13が収納され、前記細骨材13の上部に積み重なるように粗骨材14収納されている。
【0021】
細骨材13は、砂や人工細骨材等の粒径が小さい骨材で、10mmふるいをすべて通過し、5mm以下のものが重量で85%以上含まれるものが用いられる。
【0022】
一方、粗骨材14は、主に砂利や人工粗骨材等の粒径が比較的大きい骨材で、5mm以上のものが重量で85%以上含まれるものが用いられる。この粗骨材14は、前記細骨材13の上部に積層するようにコンクリート骨材収納袋5に収納される。
【0023】
この粗骨材14には、細骨材13と同等の寸法の粒子が最大15%程度含まれ得るが、小さい粒径の骨材の割合が少ないため保水力が小さく、また、粗骨材14の粒径が比較的大きいため、細骨材13と同等の寸法の粒子は、粗骨材14間の隙間から下方へ落下し、粗骨材14の上部に収納されるセメント11及び添加物12を収納した水溶解部材10と接触することがない。
【0024】
また、この水溶解部材10を用いてセメント11及び添加物12が粗骨材14と直接接触しないように収納されているため、セメント11及び添加物12が粗骨材14の隙間から落下し、セメント11及び添加物12と細骨材13が接触することもない。そのためセメント11及び添加物12が水分と反応し、凝固等の化学反応を起こすことをより確実に防止することができる。
【0025】
前記水溶解部材10は、水で溶解する材料、例えば、最適には水溶性フィルムで、アルカリに強い、ハイセロン(日本合成化学の商品名)Sタイプを用いており、本実施形態では袋状に形成されている。
【0026】
この袋状の水溶解部材10に所定量のセメント11及び添加物12を収納し、密封状態にする場合には、同じ材質(水溶性樹脂等)で形成された紐15で密封する、溶着や溶接等で密封する等が考えられる。
【0027】
添加物12は、コンクリートの強度を上昇させる、凝固速度を早くする等の目的で添加される混和材料(混和剤や混和材)で、例えばシリカフューム、石炭灰、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、アルミナ、石灰石、籾殻灰等の無機物が考えられる。これらの添加物は、製造する生コンクリートの仕様を鑑みて適切な添加物12を選択する。
【0028】
添加される添加物12の重量としては、セメントの重量に対して0.1%乃至20%の重量となるように添加されるが、好ましくは0.1%乃至2%の重量、より好ましくは1%前後の重量となるように添加されることが望ましい。
この添加物12は、本実施形態ではセメント11とともに袋状の水溶解部材10に収納されている。
【0029】
ところで、本発明のコンクリート原料の製造方法16は、図4に示すように、コンクリート骨材収納袋5の収納部8の下部に所定量の粉状物乃至粒状物を含む骨材9を収納する骨材収納工程17と、前記骨材収納工程17で収納された骨材9の上部に水溶解部材10を介して前記骨材9と直接接触しないように所定量のセメント11を収納するセメント収納工程18と、前記骨材収納工程17で収納された骨材9の上部に前記水溶解部材10を介して前記骨材9と直接接触しないように所定量の添加物12を収納する添加物収納工程19とで構成されている。
【0030】
本実施形態では前記骨材収納工程17は細骨材収納工程20と粗骨材収納工程21とから構成されており、細骨材収納工程20を行った後、粗骨材収納工程21を行う。
【0031】
細骨材収納工程20では、図4に示すように、底部の排出口3を開閉手段によって閉塞したコンクリート骨材収納袋5に、所定量計量された前記細骨材13を前記コンクリート骨材収納袋5の内部の収納部8の最下部に収納する工程で、細骨材13がコンクリート骨材収納袋5の収納部8の底部側を覆うように細骨材13を充填(収納)する。
【0032】
粗骨材収納工程21は、図6に示すように、所定量計量された前記粗骨材14を前記細骨材13の上部に積層するように収納する工程で、このように細骨材13の上部を覆うように粗骨材14を収納することにより、比較的乾燥しづらい細骨材13がセメント11及び添加物12を収納した袋状の水溶解部材10と直接接触することを防止する。
【0033】
セメント収納工程18は、図7に示すように、袋状の水溶解部材10に所定量のセメントを充填(収納)したのち、密閉し、粗骨材14の上面にセメント11が収納された袋状の水溶解部材10を所定の個数、本実施形態では、1つの袋状の水溶解部材10を載置して収納する。この袋状の水溶解部材10は、セメント11を収納した状態で、前記排出口3や排出部4を通過できる大きさに形成されている。
【0034】
ところで、本実施形態では添加物12もセメント11とともに袋状の水溶解部材10に密閉された状態でコンクリート骨材収納袋5に収納される。そのため、セメント収納工程18と添加物収納工程19は並行して行われ、袋状の水溶解部材10に所定量のセメント11を充填(収納)する際に、所定量の添加物も収納し、その後、水溶解部材10を密閉する。
【0035】
このセメント11及び添加物12が収納された水溶解部材10が粗骨材14の上面に載置され、セメント収納工程18と添加物収納工程19が終了する。
セメント収納工程18と添加物収納工程19が終了した後、適宜コンクリート骨材収納袋5の開口部2を閉塞する。
【0036】
このように構成されたコンクリート原料1を使用する場合には、図7に示すように、コンクリート骨材収納袋5をクレーン22のフック23に吊りロープ7を係止させて、コンクリートミキサー24のホッパー25上へ排出部4を位置させ、開閉手段6としてのロープ6を開放して、排出口3を開放することにより、コンクリート骨材収納袋5内の細骨材13、粗骨材14及び袋状の水溶解部材10に密封されたセメント11及び添加物12が排出部4の排出口3よりホッパー25内へ落下供給される。
【0037】
その後、コンクリートミキサー24内へ供給された細骨材13、粗骨材14及び袋状の水溶解部材10に密封されたセメント11及び添加物12に計量された水を加えて混練され、加えられた水によって水溶解部材10は溶解され、細骨材13、粗骨材14及び袋状の水溶解部材10に密封されたセメント11及び添加物12が混練され、目的に応じた生コンクリートが製造される。
【0038】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8乃至図15に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
図8乃至図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、単位重量のセメント11及び添加物12を収納した小さい袋状の水溶解部材10Aを用い、この袋状の水溶解部材10Aを複数個コンクリート骨材収納袋5に収納した点で、このようなコンクリート原料1Aや、このような袋状の水溶解部材10Aを収納するセメント収納工程18A及び添加物収納工程19Aを行うコンクリート原料の製造方法16Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0040】
なお、本実施形態ではセメント11と添加物12を水溶解部材10Aに混在させているが、例えばセメント11のみを収納した水溶解部材10Aと、添加物12のみを収納した水溶解部材10Aを別個に用意し、それぞれコンクリート骨材収納袋5に収納してもよい。
【0041】
図11乃至図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、粗骨材14の上部にシート状の水溶解部材11Bを介してセメント11及び添加物12を収納した点で、このようなコンクリート原料1B、このような水溶解部材10Bを用いて粗骨材14とセメント11及び添加物12が接触しないようにセメント収納工程18B及び添加物収納工程19Bを行うコンクリート原料の製造方法16Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0042】
図14及び図15に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、あらかじめ一定量に計量されたセメント11が収納された水溶解部材10Aを1個又は複数個収納することができる防水性のシートで形成した袋状の防水収納部材26を用い、この防水収納部材26にセメント11を収納した水溶解部材10A及び添加物12を収納するとともに、細骨材13と粗骨材14が混合したコンクリート骨材9Aを用いた点で、このようなコンクリート原料1Cや、コンクリート骨材9Aをコンクリート骨材収納袋5に収納する骨材収納工程17Aを行い、防水収納部材26にセメント11及び添加物を収納するセメント収納工程18C及び添加物収納工程19Cを行うコンクリート原料の製造方法16Cにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0043】
この防水収納部材26は、コンクリート骨材収納袋5の上部内壁面に縫着により固定又は上部をひもで縛り、該ひもをコンクリート骨材収納袋5 の上部をとじるロープ6に固定されており、防水収納部材26がコンクリート骨材収納袋5の排出口3からコンクリート骨材9Aが排出される際にコンクリート骨材収納袋5から排出されることはない。
防水収納部材26の下部は開口状態の供給部27が形成されており、通常時にはこの下部が折りたたまれて閉口状態となっている。
【0044】
排出口3からコンクリート骨材9Aが排出されると、通常折りたたまれている防水収納部材26の下部がまっすぐになって供給部27が開口状態となり、セメント11が収納された水溶解部材10A及び添加物12がコンクリート骨材収納袋5へ供給され、排出口3からホッパー25等へ排出される。
【0045】
なお、本実施形態で添加物12は防水収納部材26にそのまま収納されているが、セメント11とともに、又は、セメント11と別個に水溶解部材10Aに収納した状態で防水収納部材26に収納してもよい。
【0046】
また、本実施形態では防水収納部材26に水溶解部材10Aに収納したセメントや添加物12を収納したが、防水収納部材26と同様の形状の大きな袋状の水溶解部材に、小さい水溶解部材10Aに収納したセメント11等を収納しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明はコンクリート原料を製造する産業等で利用される。
【符号の説明】
【0048】
1、1A、1B、1C:コンクリート原料、
2:開口部、 3:排出口、
4:排出部、
5:袋本体(コンクリート骨材収納袋)、
6:開閉手段、 7:吊りロープ、
8:収納部、 9、9A:コンクリート骨材
10、10A、10B:水溶解部材、 11:セメント、
12:添加物、 13:細骨材、
14:粗骨材、 15:紐、
16、16A、16B、16C:コンクリート原料の製造方法、
17、17A:骨材収納工程、
18、18A、18B、18C:セメント収納工程、
19、19A、19B、19C:添加物収納工程、
20:細骨材収納工程、 21:粗骨材収納工程、
22:クレーン、 23:フック、
24:コンクリートミキサー、 25:ホッパー、
26:防水収納部材、 27:供給部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16