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特開2022-110629事故点探査支援装置および事故点探査支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110629
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】事故点探査支援装置および事故点探査支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20220722BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220722BHJP
   H02G 1/02 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
G01R31/08
H02J13/00 301D
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006151
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】日下 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】森安 邦
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 悦生
(72)【発明者】
【氏名】中田 肇
(72)【発明者】
【氏名】山口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小山 英彦
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】若林 良茂
(72)【発明者】
【氏名】上 敬次
【テーマコード(参考)】
2G033
5G064
5G352
【Fターム(参考)】
2G033AA01
2G033AB01
2G033AC02
2G033AD18
5G064AA09
5G064AB01
5G064BA02
5G064BA09
5G064CB19
5G064DA03
5G352AB09
5G352AM02
5G352AM05
(57)【要約】
【課題】事故点探査装置が取り付け可能な電柱を迅速、かつ、精度よく事前に特定する。
【解決手段】電柱に設置された配電設備に関する配電設備情報を取得する手段(配電設備情報取得タスク651)と、電柱の設置位置と、電柱の周辺に関する情報とが示された地図情報を取得する手段(地図情報取得タスク652)と、配電設備情報および地図情報に基づいて、事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定する手段(電柱特定手段654)と、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する手段(情報提示タスク655)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線事故による停電発生時に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する事故点探査支援装置であって、
前記電柱に設置された配電設備に関する配電設備情報を取得する手段と、
前記電柱の設置位置と、前記電柱の周辺に関する情報とが示された地図情報を取得する手段と、
前記配電設備情報および前記地図情報に基づいて、前記事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、前記事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、前記事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定する手段と、
前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する手段と、
を備えることを特徴とする事故点探査支援装置。
【請求項2】
前記停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置を示す落雷情報を取得する手段を備え、
前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱が複数存在する場合には、前記落雷の位置から近い順に、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示することを特徴とする請求項1に記載の事故点探査支援装置。
【請求項3】
前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱が複数存在する場合には、前記車両の出発位置から近い順に、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示することを特徴とする請求項1または2に記載の事故点探査支援装置。
【請求項4】
前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関して提示される情報には、前記電柱の設置位置と、前記停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置とが示された地図画像が含まれることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の事故点探査支援装置。
【請求項5】
前記事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置されている電柱を特定することができなかった場合に、作業者が登って高圧配電線に前記事故点探査装置を取り付けることが可能な電柱を特定することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の事故点探査支援装置。
【請求項6】
前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する処理を、前記配電設備情報および前記地図情報が入力されると、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱が出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の事故点探査支援装置。
【請求項7】
配電線事故による停電発生時に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する事故点探査支援プログラムであって、
コンピュータを、
前記電柱に設置された配電設備に関する配電設備情報を取得する手段、
前記電柱の設置位置と、前記電柱の周辺に関する情報とが示された地図情報を取得する手段、
前記配電設備情報および前記地図情報に基づいて、前記事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、前記事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、前記事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定する手段、および、
前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する手段として機能させる、
ことを特徴とする事故点探査支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事故点探査支援装置および事故点探査支援プログラムに関し、具体的には、配電線事故による停電発生時に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線事故による停電発生時に事故点を探査する装置として、課電式の事故点探査装置が知られている(特許文献1参照)。この課電式の事故点探査装置は、停電区間内の電柱に接続されて直流の高電圧パルスを課電し、当該停電区間の高圧配電線に流れる充電電流と放電電流の様子から事故点の探査を行なう。
【0003】
課電式の事故点探査装置は、2台の変圧器が設置されている電柱に接続する必要がある。また、課電式の事故点探査装置は、サイズが比較的大型であり、車両に搭載された状態で使用されるため、事故点探査装置が接続される電柱の周辺には、車両が乗り入れ可能な駐車スペースが必要である。さらに、課電式の事故点探査装置は、地面に接地する必要があるため、事故点探査装置が接続される電柱の周辺には、接地可能な地面が存在することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-224267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の事故点の探査作業では、電柱に設置されている変圧器のリストや、現場周辺の地図などを確認し、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を事前に検討してから、配電線事故の現場へ出かけている。しかしながら、この検討作業には時間がかかるという問題があった。また、実際の現場では、変圧器の設置数や、電柱の設置状況などが事前検討した内容と違っており、事故点探査装置を取り付けることができず、現場で事故点探査装置が取り付け可能な電柱を新たに特定することがあった。
【0006】
そこでこの発明は、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を迅速、かつ、精度よく事前に特定することが可能な、事故点探査支援装置および事故点探査支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、配電線事故による停電発生時に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する事故点探査支援装置であって、前記電柱に設置された配電設備に関する配電設備情報を取得する手段と、前記電柱の設置位置と、前記電柱の周辺に関する情報とが示された地図情報を取得する手段と、前記配電設備情報および前記地図情報に基づいて、前記事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、前記事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、前記事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定する手段と、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する手段と、を備えることを特徴とする事故点探査支援装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の事故点探査支援装置において、前記停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置を示す落雷情報を取得する手段を備え、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱が複数存在する場合には、前記落雷の位置から近い順に、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の事故点探査支援装置において、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱が複数存在する場合には、前記車両の出発位置から近い順に、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載の事故点探査支援装置において、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関して提示される情報には、前記電柱の設置位置と、前記停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置とが示された地図画像が含まれることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の事故点探査支援装置において、前記事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置されている電柱を特定することができなかった場合に、作業者が登って高圧配電線に前記事故点探査装置を取り付けることが可能な電柱を特定することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1~5のいずれか1項に記載の事故点探査支援装置において、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する処理を、前記配電設備情報および前記地図情報が入力されると、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱が出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて行うことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、配電線事故による停電発生時に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する事故点探査支援プログラムであって、コンピュータを、前記電柱に設置された配電設備に関する配電設備情報を取得する手段、前記電柱の設置位置と、前記電柱の周辺に関する情報とが示された地図情報を取得する手段、前記配電設備情報および前記地図情報に基づいて、前記事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、前記事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、前記事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定する手段、および、前記事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する手段として機能させることを特徴とする事故点探査支援プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および請求項7の発明によれば、配電設備情報および地図情報に基づいて、事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定することができるので、事故点探査装置を取り付けるべき電柱を精度よく特定し、配電線事故を迅速に復旧することが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、落雷位置から近い順に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示するので、配電線事故の原因の可能性が高い、落雷位置に近い電柱に事故点探査装置を取り付けることが可能となる。したがって、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0016】
請求項3の発明によれば、事故点探査装置が搭載された車両の出発位置から近い順に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示するので、車両の到着が早い電柱に事故点探査装置を取り付けることが可能となる。したがって、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0017】
請求項4の発明によれば、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関して提示される情報には、電柱の設置位置と、停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置とが示された地図画像が含まれる。したがって、落雷位置が複数存在する場合であっても、複数の作業者で提示された情報を確認し、手分けして事故点を探査することができるので、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0018】
請求項5の発明によれば、事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置されている電柱を特定することができなかった場合に、作業者が登って高圧配電線に事故点探査装置を取り付けることが可能な電柱を特定するので、配電線事故の現場で、高圧配電線に接続可能な電柱を探す必要がなく、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0019】
請求項6の発明によれば、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する処理を、配電設備情報および地図情報が入力されると、事故点探査装置が取り付け可能な電柱が出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて行われるので、事故点探査装置が取り付け可能な電柱の特定を精度よく行うことができ、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態に係る事故点探査支援装置を適用した配電システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
図2図1の配電地図情報システムにより表示される地図画面を示す図である。
図3図1の配電地図情報システムにより表示される地図画面及び設備画像を示す図である。
図4図1の配電地図情報システムの設備台帳データベースのデータレイアウトの例を示す図である。
図5図1の配電地図情報システムの設備画像データベースのデータレイアウトの例を示す図である。
図6図1の地図情報提供システムから取得される航空写真画像の例を示す図である。
図7図6の航空写真画像に電柱の位置と、配電経路とを示した例を示す図である。
図8図7の航空写真画像に落雷位置を示した例を示す図である。
図9】教師データデータベースの構成の例を示す概念図である。
図10図1の情報提示タスクにより表示部に表示される情報の例を示す図である。
図11図1の情報提示タスクにより表示部に表示される情報の別の例を示す図である。
図12】事故点探査支援装置による事故点探査装置が取り付け可能な電柱の特定手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態に係る事故点探査支援装置を含む配電システム1の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の配電システム1は、高圧の配電系統を管理するためのシステムであり、配電自動化システム2、配電地図情報システム3、地図情報提供システム4、落雷位置評定システム5、および事故点探査支援装置6などから構成されている。配電自動化システム2、配電地図情報システム3、落雷位置評定システム5、および事故点探査支援装置6は、例えば、電力会社に設置されている。また、地図情報提供システム4は、地図情報の提供事業を行う企業などに設置されている。配電自動化システム2、配電地図情報システム3、地図情報提供システム4、落雷位置評定システム5、および事故点探査支援装置6は、相互に信号・情報の送受信を行うことができるように、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を含む各種の無線/有線の通信回線網NWを介して接続されている。
【0023】
配電自動化システム2は、配電系統運転業務の省力化・効率化や供給信頼度向上を目的としたシステムである。配電自動化システム2は、配電系統の区分開閉器を遠隔監視制御することにより、配電系統の計画的な切り替えや、配電線事故などの突発的な停電発生時に事故区間以外の区間に送電を行うように配電系統の自動的な切り替えなどを行う。配電自動化システム2は、配電線事故などによる停電が発生すると、高圧配電線停電情報を事故点探査支援装置6へ送信する。高圧配電線停電情報には、停電区間に関する情報が含まれている。
【0024】
配電地図情報システム3は、地図画像上に高圧配電系統に関する情報を重ね合わせて表示することにより、配電設備の種類や数、設置位置などを確認できるようにするためのシステムである。配電地図情報システム3は、詳しくは図示しないが、CPU(Central Processing Unit)などの中央処理部、RAM(Random Access Memory)などのメモリ、ハードディスクなどの記憶部、キーボードやマウス等の入力部、ディスプレイ等の表示部、通信回線網NWを通じて通信を行うための通信部などを備えた汎用のコンピュータにより構成されている。
【0025】
配電地図情報システム3の記憶部には、地図情報データベース(以下、データベースをDBともいう)31と、設備台帳データベース32と、設備画像データベース33などが記憶されている。地図情報DB31は、建築物、道路、鉄道線路、河川などの地図情報が記録・蓄積されているデータベースである。設備台帳DB32は、高圧配電系統に設置されている各種配電設備に関する配電設備情報が記憶されているデータベースである。設備画像DB33は、配電設備がデジタルカメラやスマートフォンなどの携帯端末などにより撮像された設備画像(装柱画像ともいう)の画像データが記憶されているデータベースである。設備画像は、本発明の配電設備情報に含まれる。
【0026】
図2は、配電地図情報システム3により表示部に表示される地図画面34の一例を示している。地図画面34には、利用者の入力部の操作により選択された地図画像35が表示される。地図画像35には、高圧配電系統の線路名や電柱番号の他、電柱や電線、変圧器などの配電設備を示す設備記号35a~35lなどが重ね合わせるようにして表示される。この地図画像35において、入力部により設備記号を選択すると、選択された設備記号に該当する配電設備の設備画像が地図画面34の上に表示される。図3は、例えば、設備記号35cの電柱(電柱番号:009M06)が選択された状態を示しており、地図画面34の右側には設備記号35cの電柱の設備画像36が表示される。
【0027】
図4は、配電地図情報システム3の設備台帳DB32のデータレイアウトの一例を示す。なお、図4~5では各データを文字列で表記しているが、実際には、電算処理において利用可能であるように、適当なコード化処理が施されたり、例えば位置情報が緯度・経度に変換されるなどのような適当な変換処理が施されたりする。
【0028】
配電地図情報システム3の設備台帳DB32には、配電設備情報として、高圧配電系統の線路名、電柱番号および電柱の位置情報と、高圧配電線、変圧器および開閉器に関する情報とが記憶されている。高圧配電線に関する情報には、高圧配電線の「本数」が記憶されている。変圧器に関する情報には、変圧器の「容量」と、「種別」と、「用途」とが含まれている。開閉器に関する情報には、開閉器の「容量」と、「種別」とが含まれている。
【0029】
図5は、配電地図情報システム3の設備画像DB33のデータレイアウトの一例を示す。配電地図情報システム3の設備画像DB33には、設備画像の「撮影位置情報」と、「ファイル名」とが対応付けて記憶されている。設備画像の画像データは、配電設備の工事完了後に撮像され、工事担当者によって配電地図情報システム3の設備画像DB33に取り込まれる。「撮影位置情報」は、設備画像の撮像に用いられたデジタルカメラや携帯端末に内蔵されているGNSS(Global Navigation Satellite System)受信器から取得され、画像データとともに設備画像DB33に取り込まれる。
【0030】
地図情報提供システム4は、2次元の地図画像情報や、衛星写真画像(又は航空写真画像)、予め各地点における周囲の画像が撮像されたパノラマ画像などを提供するシステムである。この地図情報提供システム4の一例としては、グーグル(登録商標)社により提供されているグーグルマップ(登録商標)、グーグルアース(登録商標)、ストリートビュー(登録商標)などを挙げることができる。なお、本実施の形態では、地図情報提供システム4から提供を受ける地図情報として、電柱の周辺に関する情報が取得可能な航空写真画像を利用する。
【0031】
落雷位置評定システム5は、落雷位置、落雷時刻、雷電流の大きさ、雷電流の極性などを検出するシステムである。落雷位置評定システム5は、複数の落雷観測センサと、中央処理装置から構成され、落雷時に発生するLF帯の電磁波を落雷観測センサにより捕捉し、中央処理装置に伝送する。中央処理装置は、落雷観測センサから送られたデータを演算・解析し、リアルタイムに落雷位置を標定するとともに、落雷の時刻、雷電流の大きさ、雷電流の極性などを算出する。落雷位置評定システム5は、落雷位置、落雷時刻などを含む落雷情報を事故点探査支援装置6に送信する。
【0032】
事故点探査支援装置6は、配電線事故による停電発生時に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定するための装置である。本実施形態で利用される事故点探査装置は、例えば、課電式の事故点探査装置であり、停電区間内の電柱に接続されて直流の高電圧パルスを課電し、当該停電区間の高圧配電線に流れる充電電流と放電電流の様子から事故点の探査を行なう。この課電式の事故点探査装置は、サイズが比較的大型であり、車両に搭載された状態で使用されるため、事故点探査装置が接続される電柱の周辺には、車両が乗り入れ可能な駐車スペースが必要である。さらに、課電式の事故点探査装置は、地面に接地する必要があるため、事故点探査装置が接続される電柱の周辺には、接地可能な地面が必要となる。
【0033】
事故点探査支援装置6は、主として、入力部61、表示部62、記憶部63、メモリ64、メインタスク65、通信部66、およびこれらを制御などする中央処理部67を備える。事故点探査支援装置6は、例えば、パーソナルコンピュータなどに、装置全体の制御プログラムや、配電設備情報の不一致を特定して修正するための各種処理を行うためのアプリケーション(事故点探査支援プログラム631)がインストールされて構成される。
【0034】
入力部61は、利用者の命令などを受けて事故点探査支援装置6へ情報を入力する機能を備えるインターフェースであり、例えばキーボードやマウスによって構成される。
【0035】
表示部62は、入力部61を介して入力される情報を表示したり、事故点探査支援装置6としての処理結果を表示したり、などする機能を備え、例えば液晶ディスプレイによって構成される。
【0036】
記憶部63は、各種の情報、プログラム、およびデータなどを記憶する機能を備える記憶領域/記憶装置であり、例えばハードディスクによって構成される。記憶部63には、事故点探査支援装置6全体の制御プログラムや事故点探査支援プログラム631が格納されている。また、記憶部63には、配電地図情報システム3から取得した配電設備情報および設備画像と、地図情報提供システム4から取得した航空写真画像と、落雷位置評定システム5から取得した落雷情報とに基づいて、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定するための学習済みモデル632と、学習済みモデル632の機械学習に用いられる教師データのデータベース633とが格納されている。
【0037】
メモリ64は、中央処理部67が事故点探査装置の取り付け可能な電柱を特定するための各種処理を実行する際に生成される情報・データを一時的に記憶などするための作業領域となる機能を備える記憶領域/記憶装置であり、例えばRAMにより構成される。
【0038】
メインタスク65は、記憶部63に格納されている事故点探査支援プログラム631が実行されることによって実現される、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定するための各種処理を実行するタスク群である。
【0039】
通信部66は、通信回線網NWを介して伝送される信号・情報の送受信/入出力を行う機能を備える通信インターフェースである。
【0040】
中央処理部67は、事故点探査支援装置6を構成する各部を統制して制御などする機能を備え、例えば、CPUなどの中央演算処理装置を含んで構成され、記憶部63に格納されている制御プログラムや事故点探査支援プログラム631に従って各機能を実現する。
【0041】
事故点探査支援装置6は、例えば、配電自動化システム2から送信された高圧配電線停電情報を受信すると、停電区間内の複数の電柱から、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定するための各種処理を実行する。この処理は、記憶部63に格納されている事故点探査支援プログラム631が実行されることにより構成される、メインタスク65によって行われる。メインタスク65は、配電設備情報取得タスク651、地図情報取得タスク652、落雷情報取得タスク653、電柱特定タスク654、情報提示タスク655、および学習タスク656を含む。
【0042】
配電設備情報取得タスク651は、電柱に設置された配電設備に関する配電設備情報を取得する手段に相当する。地図情報取得タスク652は、電柱の設置位置と、電柱の周辺に関する情報とが示された地図情報を取得する手段に相当する。落雷情報取得タスク653は、停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置を示す落雷情報を取得する手段に相当する。電柱特定タスク654は、配電設備情報および地図情報に基づいて、事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定する手段に相当する。情報提示タスク655は、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する手段に相当する。
【0043】
また、学習タスク656は、配電設備情報および地図情報が入力されると、事故点探査装置が取り付け可能な電柱が出力されるように、過去の実績データである教師データDB633を用いて学習済みモデル632を機械学習する手段に相当する。
【0044】
配電設備情報取得タスク651は、事故点探査支援プログラム631が実行されると、通信回線網NWを介して、配電地図情報システム3の設備台帳DB32から停電区間内の配電設備情報を取得し、設備画像DB33から停電区間内の設備画像を取得する。取得された配電設備情報および設備画像は、メモリ64に一時的に記憶される。
【0045】
地図情報取得タスク652は、事故点探査支援プログラム631が実行されると、通信回線網NWを介して、地図情報提供システム4から停電区間を含む航空写真画像を取得する。取得された航空写真画像は、メモリ64に一時的に記憶される。また、地図情報取得タスク652は、取得した航空写真画像に対し、配電設備情報に基づいて、電柱の位置を示す記号と、配電経路を示す線と、配電系統の線路名および電柱番号とを重ね合わせるようにして表示する。
【0046】
図6は、地図情報取得タスク652により、地図情報提供システム4から取得した航空写真画像6521の一例を示している。また、図7は、地図情報取得タスク652により、航空写真画像6521に電柱の位置を示す記号Sy1と、配電経路を示す線L1、L2およびL3と、配電系統の線路名および電柱番号とを重ね合わせて表示した状態の一例を示している。なお、配電経路を示す線は、送電が行われている健全区間と、停電している停電区間とで線の太さが異なっている。図7に示す例では、馬桑支005~馬桑支009B6に沿って図中水平方向に伸びている線L1と、馬桑支009B1~馬桑支014に沿って図中垂直方向に伸びている線L21とが健全区間を示し、馬桑支009B1~馬桑支009M07に沿って図中垂直方向に伸びている線L3が停電区間を示し、線L3の太さは、線L1、L2よりも細くなっている。
【0047】
落雷情報取得タスク653は、事故点探査支援プログラム631が実行されると、通信回線網NWを介して、落雷位置評定システム5から、停電発生時に停電区間の近傍(例えば、停電区間の電柱から500mの範囲)で発生した落雷の位置を示す落雷情報を取得する。取得された落雷情報は、メモリ64に一時的に記憶される。なお、停電発生時に落雷が発生していない場合には、落雷情報は取得されない。
【0048】
地図情報取得タスク652は、取得した航空写真画像に対し、落雷情報に基づいて、落雷の位置を示す記号と、落雷の時刻とを重ね合わせるようにして表示する。図8は、地図情報取得タスク652により、航空写真画像6521に落雷の位置を示す記号Sy2と、落雷時刻とを重ね合わせて表示した状態の一例を示している。
【0049】
電柱特定タスク654は、配電地図情報システム3から取得した配電設備情報および設備画像と、地図情報提供システム4から取得して電柱の位置や配電経路、落雷の位置などが示された航空写真画像とに基づいて、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する。
【0050】
電柱特定タスク654では、配電設備情報、設備画像および航空写真画像が入力されると、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報(例えば、電柱番号、電柱の位置情報など)が出力されるように機械学習された学習済みモデル632が用いられる。
【0051】
具体的には、電柱特定タスク654は、配電設備情報と、設備画像の解析結果とに基づいて、停電区間内の複数の電柱から、事故点探査装置が接続可能な2台の変圧器が設置されている電柱を特定する。また、電柱特定タスク654は、電柱の位置や配電経路、落雷の位置などが示された航空写真画像に基づいて、2台の変圧器が設置されている電柱の中から、事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を特定する。地図情報として航空写真画像を用いることにより、電柱の周辺に関する情報が取得可能となるため、車両が乗り入れ可能な駐車スペースや、事故点探査装置が接地可能な地面が存在するか否かを判定することができる。
【0052】
また、電柱特定タスク654は、航空地図画像に落雷位置が記されていて、かつ、事故点探査装置が取り付け可能な電柱が複数存在する場合には、事故点探査装置が取り付け可能な複数の電柱に対し、落雷位置から近い順に順位付けを行う。詳しくは後述するが、情報提示タスク655は、この順位付けに基づいて、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報の提示を行う。
【0053】
また、電柱特定タスク654は、事故点探査装置が取り付け可能な電柱が複数存在する場合には、事故点探査装置が搭載されている車両の出発位置から近い順に、事故点探査装置が取り付け可能な複数の電柱に対して順位付けを行う。詳しくは後述するが、情報提示タスク655は、この順位付けに基づいて、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報の提示を行う。
【0054】
学習済みモデル632は、学習タスク656によって作成される。学習タスク656は、記憶部63に格納されている教師データDB633に記録・蓄積されている過去の実績データを用いて、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習アルゴリズムにより学習済みモデル632を作成する。教師データDB633は、入力情報として、過去に取得された配電設備情報、設備画像および航空写真画像と、これらの情報に基づいて特定された電柱に関する情報(電柱番号および電柱の位置情報)と、特定された電柱が事故点探査装置の取り付けに利用されたか否かとが対応付けられた実績データ(図9参照)が記録・蓄積されているデータベースである。
【0055】
学習タスク656は、ニューラルネットワークを利用した機械学習・深層学習を用い、教師データDB633に記録されている実績データに基づいて、例えば、配電設備情報、設備画像および航空写真画像を入力層とするとともに、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を出力層とする、中間層を含むニューラルネットワークを作成する。そして、学習タスク656は、教師データDB633の実績データを学習データとして用いて、中間層における各種パラメータについて学習を行う。学習タスク656は、配電設備情報、設備画像および航空写真画像から迅速、かつ、精度よく事故点探査装置が取り付け可能な電柱が特定されるように、中間層における各種パラメータの学習を行う。
【0056】
なお、配電設備情報や設備画像から変圧器の正確な設置台数が特定できない場合には、配電設備情報または設備画像から高圧配電線の本数を特定し、高圧配電線が3本接続されている電柱を、事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定してもよい。また、停電区間内の電柱から、2台の変圧器が設置されている電柱や、3本の高圧配電線が接続されている電柱が特定できなかった場合には、事故点探査装置を高圧配電線に接続して事故点の探査を行うので、事故点探査装置が高圧配電線に接続しやすい電柱を特定するようにしてもよい。なお、事故点探査装置が高圧配電線に接続しやすい電柱とは、作業者が電柱に登って事故点探査装置を高圧配電線に接続するに際し、周囲に樹木や建築物などの障害物が存在せず、作業者が登りやすい電柱を特定するのが好ましい。
【0057】
情報提示タスク655は、電柱特定タスク654の処理結果を表示部62に表示することにより、ユーザへ事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する。具体的には、図10に示すように、情報提示タスク655は、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する電柱提示情報6551Aと、地図情報取得タスク652にて電柱の位置や配電経路、落雷の位置などが示された航空写真画像6552Aとを含む情報提示画面6553Aを表示部62に表示する。
【0058】
電柱提示情報6551Aには、事故点探査装置が取り付け可能な電柱が複数存在する場合には、複数の電柱に関する情報が提示される。また、上述したように、電柱特定タスク654において、落雷位置に基づいて、事故点探査装置が取り付け可能な複数の電柱が順位付けされている場合には、その順位に応じて、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報が提示される。図10に示す電柱提示情報6551Aは、例えば、図8に示す航空写真画像6521に基づいて順位付けされた電柱に関する情報を提示している。図8に示す航空写真画像6521において、例えば、馬桑支009M3、馬桑支009M4および馬桑支009M5が、事故点探査装置が取り付け可能な電柱である場合、電柱特定タスク654は、落雷位置Sy2からの距離に応じて、馬桑支009M4、馬桑支009M3、馬桑支009M5の順に順位付けを行い、情報提示タスク655は、この順位に応じて、上から順に電柱に関する情報の提示を行う。これにより、配電線事故の原因の可能性が高い落雷位置に近い電柱に事故点探査装置を取り付けることが可能となるので、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0059】
また、上述したように、電柱特定タスク654において、事故点探査装置が搭載されている車両の出発位置に基づいて、事故点探査装置が取り付け可能な複数の電柱が順位付けされている場合には、その順位に応じて、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報が提示される。図11に示す情報提示画面6553Bの電柱提示情報6551Bは、例えば、図7に示す航空写真画像6521に基づいて順位付けされた電柱に関する情報を提示している。図7に示す航空写真画像6521において、例えば、馬桑支009M3、馬桑支009M4および馬桑支009M5が、事故点探査装置が取り付け可能な電柱であり、事故点探査装置が搭載されている車両が、馬桑支009M7から馬桑支009M1へ向かって出発する場合、電柱特定タスク654は、車両の出発位置に応じて、馬桑支009M5、馬桑支009M4、馬桑支009M3の順に順位付けを行い、情報提示タスク655は、この順位に応じて、上から順に電柱に関する情報の提示を行う。これにより、車両の到着が早い電柱に事故点探査装置を取り付けることが可能となるので、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0060】
なお、落雷位置と、事故点探査装置が搭載されている車両の出発位置との両方に基づいて複数の電柱の順位付けを行う場合には、配電線事故の原因の可能性が高い落雷位置に近い電柱に事故点探査装置を取り付けることができるので、落雷位置の順位を優先するのが好ましい。また、落雷位置に基づく順位と、車両の出発位置に基づく順位との平均を用いて順位付けを行ってもよいし、どちらの順位を優先するかをユーザが選択できるようにしてもよい。
【0061】
次に、図12に示すフローチャートに基づいて、上記実施の形態の作用について説明する。事故点探査支援装置6は、例えば、配電自動化システム2から送信された高圧配電線停電情報を受信すると、停電区間内の複数の電柱から、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定するための各種処理を実行する(ステップS1)。
【0062】
事故点探査支援プログラム631の実行により構成されたメインタスク65は、配電設備情報取得タスク651により、通信回線網NWを介して、配電地図情報システム3の設備台帳DB32から停電区間内の配電設備情報を取得し、設備画像DB33から停電区間内の設備画像を取得する(ステップS2)。配電設備情報および設備画像は、メモリ64に一時的に記憶される。
【0063】
地図情報取得タスク652は、通信回線網NWを介して、地図情報提供システム4から停電区間を含む航空写真画像を取得する(ステップS3)。取得された航空写真画像は、メモリ64に一時的に記憶される。また、地図情報取得タスク652は、取得した航空写真画像に対し、配電設備情報に基づいて、電柱の位置を示す記号と、配電経路を示す線と、配電系統の線路名および電柱番号とを重ね合わせるようにして表示する。
【0064】
落雷情報取得タスク653は、通信回線網NWを介して、落雷位置評定システム5から、停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置を示す落雷情報を取得する(ステップS4)。取得された落雷情報は、メモリ64に一時的に記憶される。なお、停電発生時に落雷が発生していない場合には、落雷情報は取得されない。
【0065】
電柱特定タスク654は、配電地図情報システム3から取得した配電設備情報および設備画像と、地図情報提供システム4から取得して電柱の位置や配電経路、落雷の位置などが示された航空写真画像とに基づいて、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する(ステップS5)。電柱特定タスク654では、配電設備情報、設備画像および航空写真画像が入力されると、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報が出力されるように機械学習された学習済みモデル632が用いられる。
【0066】
情報提示タスク655は、電柱特定タスク654の処理結果を表示部62に表示することにより、ユーザへ事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示する(ステップS6)。ユーザは、表示部62に表示された処理結果を確認して配電線事故の現場へ出かけ、処理結果を参考にして電柱に事故点探査装置を取り付けし、事故点の探査を行う。
【0067】
以上のように、この事故点探査支援装置6および事故点探査支援プログラム631によれば、配電設備情報および地図情報に基づいて、事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置され、かつ、事故点探査装置を搭載した車両が乗り入れ可能な駐車スペースと、事故点探査装置が接地可能な地面とが周辺に存在する電柱を、事故点探査装置が取り付け可能な電柱として特定することができるので、事故点探査装置を取り付けるべき電柱を精度よく特定し、配電線事故を迅速に復旧することが可能となる。
【0068】
また、この事故点探査支援装置6および事故点探査支援プログラム631によれば、落雷位置から近い順に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示するので、配電線事故の原因の可能性が高い、落雷位置に近い電柱に事故点探査装置を取り付けることが可能となる。したがって、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0069】
さらに、この事故点探査支援装置6および事故点探査支援プログラム631によれば、事故点探査装置が搭載された車両の出発位置から近い順に、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関する情報を提示するので、車両の到着が早い電柱に事故点探査装置を取り付けることが可能となる。したがって、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0070】
また、この事故点探査支援装置6および事故点探査支援プログラム631によれば、事故点探査装置が取り付け可能な電柱に関して提示される情報には、電柱の設置位置と、停電発生時に停電区間の近傍で発生した落雷の位置とが示された地図画像が含まれる。したがって、落雷位置が複数存在する場合であっても、複数の作業者で提示された情報を確認し、手分けして事故点を探査することができるので、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0071】
さらに、この事故点探査支援装置6および事故点探査支援プログラム631によれば、事故点探査装置が接続可能な2台以上の変圧器が設置されている電柱を特定することができなかった場合に、作業者が登って高圧配電線に事故点探査装置を取り付けることが可能な電柱を特定するので、配電線事故の現場で、高圧配電線に接続可能な電柱を探す必要がなく、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【0072】
また、この事故点探査支援装置6および事故点探査支援プログラム631によれば、事故点探査装置が取り付け可能な電柱を特定する処理を、配電設備情報および地図情報が入力されると、事故点探査装置が取り付け可能な電柱が出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習された学習済みモデルを用いて行われるので、事故点探査装置が取り付け可能な電柱の特定を精度よく行うことができ、配電線事故の迅速な復旧が可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 配電システム
2 配電自動化システム
3 配電地図情報システム
32 設備台帳データベース
33 設備画像データベース
34 地図画面
35 地図画像
36 設備画像
4 地図情報提供システム
5 落雷位置評定システム
6 事故点探査支援装置
63 記憶部
631 事故点探査支援プログラム
632 学習済みモデル
633 教師データデータベース
65 メインタスク
651 配電設備情報取得タスク
652 地図情報取得タスク
653 落雷情報取得タスク
654 電柱特定タスク
655 情報提示タスク
656 学習タスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12