IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クラリオン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-放熱構造 図1
  • 特開-放熱構造 図2
  • 特開-放熱構造 図3
  • 特開-放熱構造 図4
  • 特開-放熱構造 図5
  • 特開-放熱構造 図6
  • 特開-放熱構造 図7
  • 特開-放熱構造 図8
  • 特開-放熱構造 図9
  • 特開-放熱構造 図10
  • 特開-放熱構造 図11
  • 特開-放熱構造 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110640
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】放熱構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K7/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006168
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神保 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 実
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA11
5E322AB11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322BC05
5E322EA10
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】発熱量が異なる複数の熱源を、より効率良く放熱する放熱構造を提供すること。
【解決手段】筐体2の吸気口10Aに繋がり、第1熱源D1を放熱する第1放熱器30が設けられた第1空間S1と、排気口12Aに繋がり、第1熱源D1よりも発熱量が大きな第2熱源D2を放熱する第2放熱器32が設けられた第2空間S2とが繋がる箇所にファン35が配置され、当該ファン35によって第1空間S1から第2空間S2へ空気を流す。第2放熱器32と筐体2の面とが、ファン35と排気口12Aとの間に延びるダクト70を構成し、当該ダクト70によって第2空間S2が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を取り込む吸気口、及び、空気を排出する排気口が設けられた筐体と、
ファンと、
第1熱源が発する熱量を放熱する第1放熱器と、
前記第1熱源よりも発熱量が大きな第2熱源の熱量を放熱する第2放熱器と、
を備え、
前記筐体の内部空間は、
前記吸気口に繋がり、前記第1放熱器が設けられた第1空間と、
前記排気口に繋がり、前記第2放熱器が設けられた第2空間と、
を含み、
前記ファンは、
前記第1空間と前記第2空間とが繋がる箇所に配置され、前記第1空間から前記第2空間へ空気を流し、
前記第2放熱器と前記筐体の面とが、前記ファンと前記排気口との間に延びるダクトを構成し、当該ダクトによって前記第2空間が形成されている、
ことを特徴とする放熱構造。
【請求項2】
前記第1放熱器は、前記吸気口に対面する、ことを特徴とする請求項1に記載の放熱構造。
【請求項3】
前記第2放熱器は、前記ダクト内に突出する複数のフィンを備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の放熱構造。
【請求項4】
前記排気口の開口面積は、前記ファンに近いほど小さい、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放熱構造。
【請求項5】
前記第2空間の容積が前記第1空間よりも小さい、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の放熱構造。
【請求項6】
前記ダクトは、前記ファンから遠いほど断面径が小さい、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の放熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却に関する技術として、特許文献1が知られている。
特許文献1の要約書において、「課題」の欄には、「熱源保有装置に対しより適正に、かつ、効率的に冷却処理を施すことができるようにする。」と記載されている。「解決手段」の欄には、「発熱量の小さい小発熱量熱源3と、発熱量の大きい大発熱量熱源4と、小発熱量熱源3を通って大発熱量熱源4へ向けて空気を送る通風路5と、通風路5内で気流を起こさせるファン装置6とが所定の装置本体2内に配設され、ファン装置6は、通風路5内における小発熱量熱源3の上流側に設けられた小容量ファン装置6aと、通風路内における大発熱量熱源4の上流側に設けられた大容量ファン装置6bとを備えて構成されている。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-86218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、装置本体2内に外気を取り込むファン(少容量ファン装置6a)と、装置本体2の内部で空気を掻き回すファン(大容量ファン装置6b)との2つのファンを備える必要がある。
【0005】
本発明は、発熱量が異なる複数の熱源を、より効率良く放熱する放熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、空気を取り込む吸気口、及び、空気を排出する排気口が設けられた筐体と、ファンと、第1熱源が発する熱量を放熱する第1放熱器と、前記第1熱源よりも発熱量が大きな第2熱源の熱量を放熱する第2放熱器と、を備え、前記筐体の内部空間は、前記吸気口に繋がり、前記第1放熱器が設けられた第1空間と、前記排気口に繋がり、前記第2放熱器が設けられた第2空間と、を含み、前記ファンは、前記第1空間と前記第2空間とが繋がる箇所に配置され、前記第1空間から前記第2空間へ空気を流し、前記第2放熱器と前記筐体の面とが、前記ファンと前記排気口との間に延びるダクトを構成し、当該ダクトによって前記第2空間が形成されている、ことを特徴とする放熱構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発熱量が異なる複数の熱源を、より効率良く放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る車載装置の正面側を視た斜視図である。
図2】車載装置の背面側を視た斜視図である。
図3】車載装置の筐体の底面を視た平面図である。
図4】筐体の内部構造を示す斜視図である。
図5】車載装置が備える放熱構造の概念図である。
図6図3のA-A線断面図である。
図7図3のB-B線断面図である。
図8】第2放熱器、及びファン装置の構成を示す斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る車載装置の底面を視た平面図である。
図10】車載装置の背面を視た平面図である。
図11】筐体の上面を外して車載装置の内部構造を示した図である。
図12図11のC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る車載装置1の正面側を視た斜視図である。図2は、車載装置1の背面側を視た斜視図である。
これらの図に示す車載装置1は、車載型の装置の一例であるIVI(In-Vehicle Infotainment)装置と称される装置である。この車載装置1は、図1に示すように、装置の外装を構成する略箱型の(すなわち、六面を有する)筐体2を備える。
車載装置1が設置される車両は、内装材の一種であるインストルメントパネルを備え、組込用ブラケットがインストルメントパネルに設けられている。車載装置1は、前面2Aを車室内に向けた姿勢で組込用ブラケットに筐体2が取り付けられる。本実施形態の車載装置1は、筐体2の両側の側面2B、2Bが組込用ブラケットに適宜の固定部材によって固定される。
また車載装置1は、図2に示すように、各種の配線を接続するための多種、及び多数のコネクタ6を備え、これらのコネクタ6が筐体2の背面2Cに設けられている。
【0010】
図3は、車載装置1の筐体2の底面2Dを視た平面図である。
図2、及び図3に示すように、筐体2は、外部から内部へ空気を取り込む吸気部10と、内部から外部へ空気を排出する排気部12と、を備え、これら吸気部10、及び排気部12が筐体2の底面2Dに設けられている。吸気部10、及び排気部12はそれぞれ、底面2Dに設けられた多数の吸気口10A、及び多数の排気口12Aによって構成されている。また、本実施形態の車載装置1は、排気口12Aが背面2Cにも設けられている。
【0011】
吸気部10(吸気口10A)、及び排気部12(排気口12A)が底面2Dに設けられることで、筐体2の上面2E(図1)に設けられた構成に比べ、水や塵埃が筐体2の内部に入りに難くなる。
また、前面2A、両側の側面2B、2B、及び背面2Cは、各種部材(例えば、コネクタ6や、組込用ブラケットへの固定部材など)が配置されているため、吸気部10、及び排気部12に割くスペースや位置が限定される。特に、組込用ブラケットへの固定位置は、車種などによって異なるため、側面2Bに吸気部10、及び排気部12を設けることは困難である。これに対し、底面2Dに配置される部材は、他の面に比べて少ないため、十分な吸気量、及び排気量が得られる開口面積の吸気口10A、及び排気口12Aを比較的自由な位置に設けることが容易となる。
【0012】
図4は、車載装置1の筐体2の内部構造を示す斜視図である。図5は、車載装置1が備える放熱構造20の概念図である。なお、図5は、放熱構造20の構成の把握を容易とすることを目的して描かれたものであり、各部材の寸法や向きなどは他の図と異なっている。
車載装置1は、図5に示すように、筐体2の内部空間Sに、第1熱源D1が発する熱量を放熱する第1放熱器30と、この第1熱源D1よりも発熱量が大きな第2熱源D2の熱量を放熱する第2放熱器32と、とを備える。
第1熱源D1、及び第2熱源D2はそれぞれ、1又は複数の発熱部品40を含み、また、第1熱源D1、及び第2熱源D2の発熱量は、それらが含む発熱部品40が発する熱量の総量である。発熱部品40は、典型的には電気部品、及び電子部品である。
【0013】
放熱構造20は、これら第1放熱器30、及び第2放熱器32から1つのファン35を用いて熱回収し、第1熱源D1、及び第2熱源D2を効率良く放熱する構造である。
具体的には、放熱構造20は、図5に示すように、上述した吸気部10(吸気口10A)及び排気部12(排気口12A)が設けられた筐体2と、ファン35と、上述の第1放熱器30、及び第2放熱器32と、を備えている。
筐体2は、その内部空間Sが、吸気部10に繋がり、第1放熱器30が設けられた第1空間S1と、排気部12に繋がり、第2放熱器32が設けられた第2空間S2と、を含んでいる。
ファン35は、筐体2の内部空間Sにおいて、これら第1空間S1と第2空間S2とが繋がる箇所に配置され、第1空間S1から第2空間S2に空気を送るように設けられている。
このファン35が動作することで、吸気部10、第1空間S1、ファン35、第2空間S2、及び排気部12の順に経る気流Eが筐体2の内部空間Sに生じるようになる。
そして、第1熱源D1、及び第2熱源D2が発したそれぞれの熱量が、第1空間S1の第1放熱器30、及び第2空間S2の第2放熱器32のそれぞれから気流Eによって回収され、これにより、第1熱源D1、及び第2熱源D2の放熱が行われることとなる。
【0014】
かかる放熱構造20によれば、ファン35は、吸込面、及び吐出面のいずれも外部に直接的に対面する必要がないため、筐体2の外装面(前面2A、背面2C、側面2B、底面2D、上面2E)に接する位置に制限されることなく配置可能となる。したがって、ファン35の配置位置は、第1空間S1、及び第2空間S2の形状や位置に応じて、筐体2の内部空間Sの中で適宜に設定可能になるため、内部空間Sにおけるレイアウトの自由度が高められる。
【0015】
また第1熱源D1、及び第2熱源D2の放熱は、第1放熱器30、及び第2放熱器32に分けて行われるため、第1熱源D1、及び第2熱源D2が含む発熱部品40の耐熱保証が容易となる。
詳述すると、車載装置1の一例であるIVI装置は、通常、消費電力が比較的低い部品(以下、「低消費電力部品」という)と、消費電力が比較的高い部品(以下、「高消費電力部品」という)とを備える。低消費電力部品は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリデバイスといった発熱部品40であり、発熱量が比較的小さく、耐熱温度も比較的低い部品である。高消費電力部品は、例えば、オーディオアンプを構成する部品や、電源を構成する発熱部品40であり、出力及び発熱量が比較的大きく、耐熱温度も比較的高い部品である。
【0016】
そして、本実施形態の放熱構造20において、低消費電力部品は第1熱源D1に含まれ、高消費電力部品は第2熱源D2に含まれており、これら低消費電力部品と高消費電力部品との放熱経路が熱的に分離されている。これにより、低消費電力部品が高消費電力部品の大きな発熱の影響を受け難くなり、低消費電力部品の耐熱保障が容易となる。
【0017】
また、放熱構造20において、発熱量が比較的小さな第1熱源D1を放熱する第1放熱器30が気流Eの上流側に位置することで、第1熱源D1の熱量が、吸気部10から取り込まれた直後の空気によって回収される。この空気の温度は、気流Eの下流側の空気よりも温度が低いため、この下流側に第1放熱器30を配置した構成に比べ、第1熱源D1を効率良く放熱することができる。
さらに、ファン35を通過する空気の温度は、第2熱源D2を放熱する第2放熱器32を気流Eの上流側に配置する構成に比べて低く抑えられるため、ファン35に加わる熱ストレスが抑えられ、当該熱ストレスによる経年劣化が抑えられる。
【0018】
次いで、本実施形態の車載装置1が備える放熱構造20の構成について、より具体的に説明する。
図6、及び図7は、車載装置1の内部構造を示す断面であり、図6図3のA-A線断面図、図7図3のB-B線断面図である。
第1熱源D1は、1又は複数の上述した発熱部品40(上述の低消費電力部品)と、当該発熱部品40が実装された実装基板42と、を備える。
第1放熱器30は、この実装基板42との間に発熱部品40を挟む位置に配置され、当該発熱部品40に熱的に結合されることで、当該発熱部品40から熱量が伝えられ、当該熱量を第1空間S1に放熱する。
【0019】
本実施形態の第1放熱器30は、高熱伝導性の材料(例えば金属材)から形成された略板状の部材である。この第1放熱器30は、一方の面30Aが発熱部品40に熱的に結合され、他方の面30Bが吸気部10に対面配置される。
より具体的には、第1放熱器30は、図7に示すように、他方の面30Bから一方の面30Aの側に凹む形状の凹み部33を有し、一方の面30Aにおいて凹み部33が発熱部品40に接触することで、発熱部品40と一方の面30Aとが熱的に結合される。
【0020】
第1空間S1は、図6、及び図7に示すように、かかる第1放熱器30の他方の面30Bと、吸気部10(吸気口10A)が設けられた底面2Dとの間の隙間によって形成される。
この構成によれば、第1熱源D1の第1放熱器30が吸気部10(吸気口10A)に対面し、第1放熱器30が外部から取り込まれた空気に直接曝されるため、第1熱源D1が発する熱量が効率良く回収される。
【0021】
一方、第2熱源D2は、図6に示すように、1又は複数の発熱部品40(上述の高消費電力部品)と、当該発熱部品40が実装された実装基板42と、を備える。本実施形態において、第2熱源D2の発熱部品40は、第1熱源D1が備える実装基板42に実装されているが、第1熱源D1と異なる実装基板に実装されてもよい。
第2放熱器32は、第2熱源D2の実装基板42との間に発熱部品40を挟む位置に配置され、当該発熱部品40に熱的に結合されることで、当該発熱部品40から熱量が伝えられ、当該熱量を第2空間S2に放熱する。
【0022】
図8は、第2放熱器32、及びファン35の構成を示す斜視図である。
第2放熱器32は、高熱伝導性の材料(例えば金属材)から形成され、ファン35が後述の取付部材60を介して一端部47Aに設けられた板状の部材である。この第2放熱器32は、図6に示すように、一方の面32Aが発熱部品40に熱的に結合され、他方の面32Bが排気部12(排気口12A:図7)に対面配置される。
【0023】
そして、本実施形態の放熱構造20は、この第2放熱器32と筐体2の底面2Dとによって、ファン35と排気部12(排気口12A)との間に延びるダクト70が構成されており、このダクト70によって第2空間S2が形成されている。
【0024】
詳述すると、図6図7、及び図8に示すように、第2放熱器32は、一端部47Aから他端部47Bに亘って延在する一対の側壁50、50を備え、これら側壁50、50が他方の面32B(図示例では、他方の面32Bの縁部)に設けられている。一対の側壁50は、筐体2の底面2Dに接する高さに形成されており、第2放熱器32の一対の側壁50、及び他方の面32Bと、筐体2の底面2Dとによって、直管状のダクト70が構成されている。
【0025】
この構成によれば、ファン35によって生じた気流Eはダクト70の内部(第2空間S2)を通って、第2放熱器32の一端部47Aから他端部47Bにかけて流れるため、第2熱源D2の熱量を第2放熱器32から効率良く回収することができ、またファン35が吐出した空気(第1空間S1で熱回収した空気)が筐体2の内部空間Sに環流することもない。
【0026】
また本実施形態の放熱構造20は、第2放熱器32が、図8に示すように、他方の面46上に設けられ、ダクト70内に突出する複数の板状のフィン48を備え、これらのフィン48によって熱回収効率が高められている。さらにフィン48は、一端部47Aから他端部47B(ファン35の側から排気口12Aの側)にかけて延び、互いに隙間をあけて設けられ、一端部47Aから他端部47Bにかけた気流Eを整流する整流板として機能する。これにより、一端部47Aから他端部47Bにかけた範囲において熱回収のムラを抑え、効率良く第2熱源D2を放熱させることができる。
【0027】
さらに、底面2Dに設けられた排気部12において、図3に示すように、排気口12Aの開口面積は、ファン35に近い位置Paに設けられた排気口12Aほど、ファン35から遠い位置Pbの側に設けられた排気口12Aよりも小さくなっている。これにより、ダクト70において、一端部47Aの側での外部への排気量が抑えられ、他端部47Bの側でも十分な流量が維持され、当該他端部47Bの側での放熱能力の低下を抑えることができる。
【0028】
上述した取付部材60は、第2放熱器32の一端部47Aにファン35を取り付けるための部材である。この取付部材60は、ダクト70と、ファン35の吐出側とを繋ぐ導風路61を備え、ファン35から吐出された空気が導風路61を通ってダクト70に導かれる。
【0029】
本実施形態の放熱構造20は、第2空間S2(ダクト70の内部空間)が、第1空間S1よりも小さな容積に形成されており、第2空間S2を流れる気流Eが第1空間S1に比べて、高圧、かつ高流速となっている。これにより、第1空間S1において熱回収した空気であっても、当該空気による第2空間S2での熱回収効率の低下が抑えられ、比較的発熱量が大きな第2熱源D2を十分に放熱させることができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0031】
本実施形態の放熱構造20において、筐体2の内部空間Sは、筐体2の吸気口10Aに繋がり、第1放熱器30が設けられた第1空間S1と、筐体2の排気口12Aに繋がり、第2放熱器32が設けられた第2空間S2と、を含み、ファン35が、第1空間S1と第2空間S2とが繋がる箇所に配置され、第1空間S1から第2空間S2へ空気を流す。
さらに第2放熱器32と筐体2の底面2Dとによってファン35と排気口12Aとの間に延びるダクト70が構成され、このダクト70によって第2空間S2が形成されている。
【0032】
この構成によれば、発熱量が比較的小さな第1熱源D1を放熱する第1放熱器30がファン35の動作によって生じる気流Eの上流側に位置するため、下流側に第1放熱器30を配置した構成に比べ、第1熱源D1を効率良く放熱することができる。
またファン35によって生じた気流Eはダクト70の内部(第2空間S2)を通って流れるため、第2熱源D2の熱量を第2放熱器32から効率良く回収することができ、またファン35が吐出した空気(第1空間S1で熱回収した空気)が筐体2の内部空間Sに環流することもない。
さらに、ファン35は、吸込面、及び吐出面のいずれも外部に直接的に対面する必要がないため、筐体2の外装面に接する位置に制限されることなく配置可能となる。
これに加えて、第1熱源D1、及び第2熱源D2の放熱は、第1放熱器30、及び第2放熱器32に分けて行われるため、第1熱源D1、及び第2熱源D2が含む発熱部品40の耐熱保証が容易となる。
また、ファン35を通過する空気の温度は、第2熱源D2を放熱する第2放熱器32を気流Eの上流側に配置する構成に比べて低く抑えられるため、ファン35に加わる熱ストレスが抑えられ、当該熱ストレスによる経年劣化が抑えられる。
【0033】
本実施形態の放熱構造20は、第1放熱器30が吸気口10Aに対面配置されている。
これにより、第1放熱器30が外部から取り込まれた空気に直接曝されるため、第1熱源D1が発する熱量が効率良く回収することができる。
【0034】
本実施形態の放熱構造20は、第2放熱器32がダクト70内に突出する複数のフィン48を備えため、当該第2放熱器32からの熱回収効率を高めることができる。
【0035】
本実施形態の放熱構造20は、排気口12Aの開口面積がファン35に近いほど小さいため、ダクト70内において、ファン35から遠い位置まで十分な量の空気を流すことができる。
【0036】
本実施形態の放熱構造20は、第2空間S2の容積が第1空間S1よりも小さくなっている。
これにより、第2空間S2を流れる気流Eが第1空間S1に比べて、高圧、かつ高流速となり、第1空間S1において熱回収した空気であっても、当該空気による第2空間S2での熱回収効率の低下が抑えられ、比較的発熱量が大きな第2熱源D2を十分に放熱させることができる。
【0037】
[第2実施形態]
第1実施形態の放熱構造20は、ダクト70が第2放熱器32と、筐体2の底面2Dとによって構成されている。本実施形態では、ダクト70が第2放熱器32と、筐体2の上面2Eとによって構成された放熱構造120を説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同じ部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図9は、本実施形態に係る車載装置100の底面2Dを視た平面図である。図10は、車載装置100の背面2Cを視た平面図である。
これらの図に示すように、車載装置100は、第1実施形態と同様に、吸気部10(吸気口10A)が筐体2の底面2Dに設けられている。一方、排気部12(排気口12A)は、筐体2の底面2Dではなく背面2C内の上面2Eに寄った位置に設けられている。
【0039】
図11は、筐体2の上面2Eを外して車載装置100の内部構造を示した図である。図12は、図11のC-C線断面図である。
図11、及び図12に示すように、本実施形態の放熱構造120において、第2熱源D2が含む発熱部品40は、第1実施形態と異なり、上面2Eに対向する側の実装基板42の面に実装されている。また第2放熱器132は、上面2Eに対面配置されており、底面2Dの側に突出した凸部136で発熱部品40に接触している。
これにより、第2放熱器132と筐体2の上面2Eとが、ファン35と排気口12Aとの間に延びるダクト170を構成し、ダクト170によって第2空間S2が形成されている。
【0040】
本実施形態の放熱構造120において、ダクト170(第2空間S2)は、図12に示すように、ファン35の側よりも排気口12Aの側で断面径が小さくなっている。これにより、ダクト170(第2空間S2)において、ファン35から遠い箇所での流速の低下が抑えられるため、ファン35から遠い箇所での熱回収効率の低下を抑えることができる。
【0041】
上述した第1実施形態、及び第2実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0042】
[第1実施形態の変形例]
第1実施形態の放熱構造20において、第2実施形態と同様に、排気部12(排気口12A)を背面2Cのみに設け、かつ、ダクト70の断面径をファン35から遠くなるほど小さくしてもよい。
【0043】
[第1実施形態、及び第2実施形態の変形例]
吸気部10は、筐体2の底面2Dのみならず、側面2Bなどの他の面に適宜に設けてもよい。
【0044】
車載装置1、100は、IVI装置に限られない。すなわち、車載装置1、100は、車載オーディオ装置、車載オーディオビジュアル装置、車載ナビゲーション装置、ナビゲーション装置とオーディオ装置との両方の機能が複合された装置であってもよい。
【0045】
[その他の変形例]
本発明の放熱構造が適用される装置は、車載装置に限らない。すなわち、本発明の放熱構造は、第1熱源D1と、第2熱源D2とを筐体2の内部に備える任意の装置に適用できる。
【0046】
上述した実施形態において、水平、及び垂直等の方向、各種の数値、及び形状に係る記載は、特段の断りがない限り、その方向の周辺、その数値の周辺、及び近似の形状を除外するものではない。すなわち、これらの方向、数値、及び形状と同じ作用効果を奏する限りにおいて、実施形態における方向、数値、及び形状は、その方向の周辺、その数値の周辺、及び近似の形状(いわゆる、均等の範囲)を含む。
【符号の説明】
【0047】
1、100 車載装置
2 筐体
2A 前面
2B 側面
2C 背面
2D 底面
2E 上面
10 吸気部
10A 吸気口
12 排気部
12A 排気口
20、120 放熱構造
30 第1放熱器
32、132 第2放熱器
35 ファン
40 発熱部品
42 実装基板
48 フィン
60 取付部材
61 導風路
70、170 ダクト
D1 第1熱源
D2 第2熱源
E 気流
S 内部空間
S1 第1空間
S2 第2空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12