IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧 ▶ ダイキョーニシカワ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エンジン 図1
  • 特開-エンジン 図2
  • 特開-エンジン 図3
  • 特開-エンジン 図4
  • 特開-エンジン 図5
  • 特開-エンジン 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110645
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
F02M35/104 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006177
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中西 謙太
(72)【発明者】
【氏名】森崎 匡郎
(72)【発明者】
【氏名】森口 尚基
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊哉
(57)【要約】
【課題】車両が衝突し、インテークマニホールドが割れた場合でも、割れたインテークマニホールドの一部がデリバリーレールパイプを破損しないようにデリバリーレールパイプを保護できるエンジンを提供する。
【解決手段】エンジンは、車両幅方向に沿って気筒が配列されるエンジン本体と、前記エンジン本体の気筒配列方向に沿って設けられ、気筒ごとに燃料を供給するデリバリーレールパイプと、前記エンジン本体の前方に配置され、前記気筒ごとに空気を供給するインテークマニホールドと、を備え、前記インテークマニホールドは、前記エンジン本体に設けられた吸気ポートの延長線上に設けられる傾斜部分と、前記エンジン本体の前方において車両上下方向に沿って延びる直立部分と、前記傾斜部分と前記直立部分との間に設けられる湾曲部分と、を含み、前記湾曲部分は、前記傾斜部分及び前記直立部分よりも車両前後方向の強度が小さい弱部を有する。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向に沿って気筒が配列されたエンジン本体と、
前記エンジン本体の気筒配列方向に沿って設けられ、気筒ごとに燃料を供給するデリバリーレールパイプと、
前記エンジン本体の前方に配置され、前記気筒ごとに空気を供給するインテークマニホールドと、
を備え、
前記インテークマニホールドは、前記エンジン本体に設けられた吸気ポートの延長線上に設けられる傾斜部分と、前記エンジン本体の前方において車両上下方向に沿って延びる直立部分と、前記傾斜部分と前記直立部分との間に設けられる湾曲部分と、を含み、
前記湾曲部分は、前記傾斜部分及び前記直立部分よりも車両前後方向の強度が小さい弱部を有する、
エンジン。
【請求項2】
前記インテークマニホールドには、前記インテークマニホールドの延在方向に直交する方向に延びる第1リブが前記延在方向に亘って所定の間隔をおいて複数設けられ、
前記弱部は、複数の前記第1リブのうち所定の一対の第1リブの間隔を相対的に大きくすることで設けられている
請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記インテークマニホールドには、隣接する一対の第1リブ間を繋ぎ当該インテークマニホールドの延在方向に沿って延びる第2リブが形成されており、
前記第2リブは前記弱部には設けられていない
請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記弱部は、前記直立部分との境界側に設けられる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項5】
前記傾斜部分は、前記吸気ポートから前記湾曲部分に向かって上方に傾斜している
請求項1から4のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記エンジン本体は、直列四気筒であって、
前記弱部を有する湾曲部分は、車両幅方向両側に設けられる一番気筒と四番気筒に枝分かれする前記インテークマニホールドの管路に設けられる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記デリバリーレールパイプよりも車両幅方向に長く、前記デリバリーレールパイプの前方に設置された燃料保護プロテクターを備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジン本体に取り付けられ、気筒ごとに空気を供給するインテークマニホールドが開示されている。特許文献1に開示されたインテークマニホールドは、例えば、樹脂製であって、サージタンクから吸気ポートに向かう縦配管の外面に格子状に形成されたリブを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-121544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示するインテークマニホールドでは、車両幅方向に沿って気筒が配設されるようにエンジン本体が設置され、インテークマニホールドがエンジン本体の前方に配置されると、車両の衝突によってインテークマニホールドが割れる虞がある。インテークマニホールドの後方に設置されるデリバリーレールパイプには燃料が流れているので、割れたインテークマニホールドの一部がデリバリーレールパイプを破損しないようにデリバリーレールパイプを保護することが求められる。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の実施形態は、車両が衝突し、インテークマニホールドが割れた場合でも、割れたインテークマニホールドの一部がデリバリーレールパイプを破損しないようにデリバリーレールパイプを保護できるエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るエンジンは、車両幅方向に沿って気筒が配列されたエンジン本体と、前記エンジン本体の気筒配列方向に沿って設けられ、気筒ごとに燃料を供給するデリバリーレールパイプと、前記エンジン本体の前方に配置され、前記気筒ごとに空気を供給するインテークマニホールドと、を備え、前記インテークマニホールドは、前記エンジン本体に設けられた吸気ポートの延長線上に設けられる傾斜部分と、前記エンジン本体の前方において車両上下方向に沿って延びる直立部分と、前記傾斜部分と前記直立部分との間に設けられる湾曲部分と、を含み、前記湾曲部分は、前記傾斜部分及び前記直立部分よりも車両前後方向の強度が小さい弱部を有する。
【0007】
上記の構成によれば、インテークマニホールドは湾曲部分の車両前後方向の強度が小さい弱部で割れるので、インテークマニホールドの直立部分は車両後方に後退する。これにより、割れたインテークマニホールドの一部がデリバリーレールパイプに衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプを保護できる。
【0008】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記インテークマニホールドには、前記インテークマニホールドの延在方向に直交する方向に延びる第1リブが前記延在方向に亘って所定の間隔をおいて複数設けられ、前記弱部は、複数の前記第1リブのうち所定の一対の第1リブの間隔を相対的に大きくすることで設けられている。
【0009】
上記の構成によれば、第1リブがインテークマニホールドの延在方向に亘って所定の間隔をおいて複数設けられ、弱部は、複数の第1リブのうち所定の一対の第1リブの間隔を大きくすることで設けられているので、複数の第1リブが設けられたインテークマニホールドにおいて弱部の車両前後方向の強度を相対的に小さくできる。
【0010】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記インテークマニホールドには、隣接する一対の第1リブ間を繋ぎ当該インテークマニホールドの延在方向に沿って延びる第2リブが形成されており、前記第2リブは前記弱部には設けられていない。
【0011】
上記の構成によれば、インテークマニホールドには、隣接する一対の第1リブ間を繋ぎ当該インテークマニホールドの延在方向に沿って延びる第2リブが形成されており、第2リブは弱部には設けられていないので、第2リブが形成された領域に対する弱部の車両前後方向の強度差を相対的に大きくできる。
【0012】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記弱部は、前記直立部分との境界側に設けられる。
【0013】
上記の構成によれば、インテークマニホールドは、湾曲部分の直立部分との境界側に設けられた弱部で割れるので、インテークマニホールドの直立部分だけが車両後方に後退する可能性が大きくなる。これにより、インテークマニホールドの湾曲部分の破片が車両後方に後退する可能性が小さくなり、インテークマニホールドの湾曲部分の破片がデリバリーレールパイプに衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプを保護できる。
【0014】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記傾斜部分は、前記吸気ポートから前記湾曲部分に向かって上方に傾斜している。
【0015】
上記の構成によれば、傾斜部分が吸気ポートから湾曲部分に向かって上方に傾斜しているので、車両の衝突によって傾斜部分の先端に荷重が入力される。これにより、湾曲部分に設けられた弱部を割れやすくできる。
【0016】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記エンジン本体は、直列四気筒であって、前記弱部を有する湾曲部分は、車両幅方向両側に設けられる一番気筒と四番気筒に枝分かれする前記インテークマニホールドの管路に設けられる。
【0017】
上記の構成によれば、インテークマニホールドは一番気筒と四番気筒に枝分かれするインテークマニホールドの管路の湾曲部分の車両前後方向の強度が小さい弱部で割れる。これにより、一番気筒と四番気筒に枝分かれするインテークマニホールドの管路の直立部分は車両後方に後退する。この結果、割れたインテークマニホールドの一部がデリバリーレールパイプに衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプを保護できる。
【0018】
本発明の実施形態では、上記の構成において、前記デリバリーレールパイプよりも車両幅方向に長く、前記デリバリーレールパイプの前方に設置された燃料保護プロテクターを備える。
【0019】
上記の構成によれば、燃料保護プロテクターが、デリバリーレールパイプよりも車両幅方向に長く、デリバリーレールパイプの前方に設置されたので、割れたインテークマニホールドの一部がデリバリーレールパイプに衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプを保護できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態に係るエンジンによれば、割れたインテークマニホールドの一部がデリバリーレールパイプに衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプを保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るエンジンとラジエータを概略的に示す斜視図である。
図2図1に示したエンジンを示す斜視図である。
図3図1に示したエンジンを示す側面図である。
図4図1に示したインテークマニホールドと燃料保護プロテクターを示す斜視図である。
図5図4に示した燃料保護プロテクターの取付構造を示す斜視図である。
図6図4に示した燃料保護プロテクターの取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン1とラジエータ5を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示したエンジン1を示す斜視図であり、図3は、図1に示したエンジン1を示す側面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るエンジン1は、例えば、直列四気筒のエンジンであって、エンジン1(エンジン本体2)の気筒配列方向が車両幅方向に沿って設置される。本発明の実施形態に係るエンジン1は、エンジン本体2、デリバリーレールパイプ3及びインテークマニホールド4を備え、その前方にラジエータ5が設置される。デリバリーレールパイプ3は、エンジン本体2の気筒配列方向に沿って設けられ、気筒ごとに燃料を供給するように構成される。インテークマニホールド4は、エンジン本体2の前方に配置され、気筒ごとに空気を供給する。本発明の実施形態に係るインテークマニホールド4は、樹脂製であって、車両が衝突(正突)した場合に割れることがある。例えば、図2に示すように、車両幅方向外側に設けられる一番気筒に分岐する管路41と四番気筒に分岐する管路44が内側に設けられる二番気筒に分岐する管路42と三番気筒に分岐する管路43よりも前方に位置する場合には、一番気筒に分岐する管路41と四番気筒に分岐する管路44が割れることがある。
【0025】
図2及び図3に示すように、本発明の実施形態に係るエンジン1では、インテークマニホールド4は、傾斜部分41a,44a、直立部分41b,44b及び湾曲部分41c,44cを有する。傾斜部分41a,44aは、エンジン本体2に設けられた吸気ポートの延長線EL上に設けられる部分であり、吸気ポートから湾曲部分41c,44cに向かって上方に傾斜している。直立部分41b,44bは、エンジン本体2の前方において車両上下方向に沿って延びる部分である。湾曲部分41c,44cは、傾斜部分41a,44aと直立部分41b,44bとの間に設けられる部分であり、本発明の実施形態に係るインテークマニホールド4では、傾斜部分41a,44a及び直立部分41b,44bよりも車両前後方向の強度が小さい弱部41c1,44c1を有する。
【0026】
例えば、図2に示すように、車両幅方向外側に設けられる一番気筒に分岐する管路41と四番気筒に分岐する管路44が内側に設けられる二番気筒に分岐する管路42と三番気筒に分岐する管路43よりも前方に位置する場合には、一番気筒に分岐する管路41の湾曲部分41cと四番気筒に分岐する管路44の湾曲部分44cのそれぞれに弱部41c1,44c1を有する。
【0027】
図2に示すように、本発明の実施形態では、インテークマニホールド4の湾曲部分41c,44cに設けられる弱部41c1,44c1は、直立部分41b,44bとの境界側に設けられる。例えば、図2に示すように、車両幅方向外側に設けられる一番気筒に分岐する管路41と四番気筒に分岐する管路44が内側に設けられる2番気筒に分岐する管路42と三番気筒に分岐する管路43よりも前方に位置する場合には、一番気筒に分岐する管路41の湾曲部分41cに設けられる弱部41c1と四番気筒に分岐する管路44の湾曲部分44cに設けられる弱部44c1は直立部分41b,44bとの境界側に設けられる。
【0028】
図2に示すように、本発明の実施形態に係るインテークマニホールド4では、直立部分41b,44bと湾曲部分41c,44cの一部に延在方向(空気の流れ方向)に延びるリブ41b1,44b1,41c2,44c2と、延在方向に直交する方向に延びるリブ41b2,44b2,41c3,44c3を設けることによって、車両前後方向の強度を高め、湾曲部分41c,44cに傾斜部分41a,44a及び直立部分41b,44bよりも車両前後方向の強度が相対的に小さい弱部41c1,44c1を設ける。
【0029】
例えば、図2に示す例では、インテークマニホールド4の延在方向(空気の流れ方向)に直交する方向に延びる第1リブ41b2,44b2,41c3,44c3が延在方向に亘って所定の間隔をおいて複数設けられ、弱部41c1,44c1は複数の第1リブ41b2,44b2,41c3,44c3のうち所定の一対の第1リブ41b2,44b2,41c3,44c3の間隔を相対的に大きくすることで設けられている。このようにすれば、複数の第1リブ41b2,44b2,41c3,44c3が設けられたインテークマニホールド4において弱部41c1,44c1の車両前後方向の強度を相対的に小さくできる。
【0030】
また、例えば、図2に示す例では、隣接する一対の第1リブ41b2,44b2,41c3,44c3間を繋ぎ、当該インテークマニホールド4の延在方向に沿って延びる第2リブ41b1,44b1,41c2,44c2が形成されており、第2リブ41b1,44b1,41c2,44c2は弱部41c1,44c1には設けられていない。このようにすれば、第2リブ41b1,44b1,41c2,44c2が形成された領域に対する弱部41c1,44c1の車両前後方向の強度差を相対的に大きくできる。
【0031】
例えば、図2に示すように、車両幅方向外側に設けられる一番気筒に分岐する管路41と四番気筒に分岐する管路44が内側に設けられる二番気筒に分岐する管路42と三番気筒に分岐する管路43よりも前方に位置する場合には、一番気筒に分岐する管路41と四番気筒に分岐する管路44の直立部分41b,44bと湾曲部分41c,44cの一部に延在方向に延びるリブ41b1,44b1,41c2,44c2と、延在方向に直交する方向に延びるリブ41b2,44b2,41c3,44c3を設けることで、車両前後方向の強度を高め、湾曲部分41c,44cに傾斜部分41a,44a及び直立部分41b,44bよりも車両前後方向の強度が相対的に小さい弱部41c1,44c1を設ける。
【0032】
上述した本発明の実施形態に係るエンジン1によれば、車両の衝突によってインテークマニホールド4が割れる場合に、インテークマニホールド4の湾曲部分41c,44cに設けられた車両前後方向の強度が小さい弱部41c1,44c1で割れるので、インテークマニホールド4の直立部分41b,44bは車両後方に後退する。これにより、割れたインテークマニホールド4の一部がデリバリーレールパイプ3に衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプ3を保護できる。
【0033】
また、インテークマニホールドの傾斜部分41a,44aが吸気ポートから湾曲部分41c,44cに向かって上方に傾斜しているので、車両の衝突によって傾斜部分41a,44aの先端に荷重が入力される。これにより、湾曲部分41c、44cに設けられた弱部41c1,44c1を割れやすくできる。
【0034】
また、インテークマニホールド4の湾曲部分41c,44cに設けられる弱部41c1,44c1は、直立部分41b,44bとの境界側に設けられるので、インテークマニホールド4は、湾曲部分41c,44cの直立部分41b,44bとの境界側に設けられた弱部41c1,44c1で割れる。これにより、インテークマニホールド4の直立部分41b,44bだけが車両後方に後退する可能性が大きくなり、インテークマニホールド4の湾曲部分41c,44cの破片が車両後方に後退する可能性が小さくなる。この結果、インテークマニホールド4の湾曲部の破片がデリバリーレールパイプ3に衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプ3を保護できる。
【0035】
また、車両幅方向外側に設けられる一番気筒に分岐する管路41と四番気筒に分岐する管路44が内側に設けられる二番気筒に分岐する管路42と三番気筒に分岐する管路43よりも前方に位置する場合には、一番気筒に分岐する管路41の湾曲部分41cと四番気筒に分岐する管路44の湾曲部分44cのそれぞれに弱部41c1,44c1を有するので、インテークマニホールド4は一番気筒と四番気筒に枝分かれするインテークマニホールド4の管路41,44の湾曲部分41c,44cの車両前後方向の強度が小さい弱部41c1,44c1で割れる。これにより、一番気筒と四番気筒に枝分かれするインテークマニホールド4の管路41,44の直立部分41b,44bは車両後方に後退する。この結果、割れたインテークマニホールド4の一部がデリバリーレールパイプ3に衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプ3を保護できる。
【0036】
図4は、図1に示したインテークマニホールド4と燃料保護プロテクターを示す斜視図である。図5及び図6は、図4に示した燃料保護プロテクターの取付構造を示す斜視図である。
【0037】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るエンジン1は、さらに、燃料保護プロテクター6を備える。燃料保護プロテクター6は、割れたインテークマニホールド4の破片等からデリバリーレールパイプ3を保護するためのものであり、デリバリーレールパイプ3よりも車両幅方向に長く、デリバリーレールパイプ3の前方に配置される。
【0038】
図4に示すように、燃料保護プロテクター6は、車両幅方向に細長い板状体で構成され、デリバリーレールパイプ3の前方において後方から前方に向けて低くなるように斜めに設置される。燃料保護プロテクター6は、その両端部に取付部6a,6bが設けられている。一端部(例えば、図4において左端部)に設けられる取付部6aには取付ステー61が接合され、他端部(例えば、図4において右端部)に設けられる取付部6bにはボルトBが貫通する穴(図示せず)が設けられている。
【0039】
また、燃料保護プロテクター6は、取付部6a,6bに挟まれる部分の後縁が車両幅方向に沿って真っすぐに延び、取付部6a,6bに挟まれる部分の前縁が抉られて湾曲している。そして、取付部6a,6bに挟まれる部分の後縁と取付部6a,6bに挟まれる部分の湾曲している前縁にはリブ6c,6dが設けられている。これらのリブ6c,6dは、燃料保護プロテクター6の曲げ強度を高めるためのものであり、燃料保護プロテクター6の前縁と後縁を折り曲げることにより形成されている。また、取付部6a,6bに挟まれ部分の湾曲した前縁にはリブ6dからさらに前方に延びる一対の取付部6e,6fが設けられている。一対の取付部6e,6fにはそれぞれボルトBが貫通する穴(図示せず)が設けられている。
【0040】
燃料保護プロテクター6の取付部6aは、取付部6aに接合された取付ステー61によって、エンジン本体2に固定されている。図5に示す例では、取付部6aに接合された取付ステー61は、インテークマニホールド4に重なるように湾曲した胴部61aと、他端部に設けられたフランジ部61bとを有し、フランジ部61bに設けられた貫通穴(図示せず)、及びインテークマニホールド4のフランジ部4aに設けられた貫通穴(図示せず)を貫通するボルトBによって、エンジン本体2にインテークマニホールド4とともに共締めされる。
【0041】
燃料保護プロテクター6の取付部6bは、取付ステー62によってエンジン本体2に固定される。図6に示す例では、取付ステー62は、一端部(先端部)に設けられたフランジ部62aと、インテークマニホールド4に重なるように湾曲した胴部62bと、他端部(基端部)に設けられたフランジ部62cとを有し、燃料保護プロテクター6の取付部6bに設けられた穴を貫通するボルトBが取付ステー62の一端部に設けられたフランジ部の穴(図示せず)を貫通しナット(図示せず)に嵌合する一方、取付ステー62の他端部に設けられたフランジ部62cの穴、及びインテークマニホールド4のフランジ部4aを貫通するボルトBによって、エンジン本体2にインテークマニホールド4とともに共締めされる。
【0042】
また、燃料保護プロテクター6は、一対の取付部6e,6fにそれぞれ取り付けられる取付ステー63,64によってエンジン本体2に固定される。取付ステー63,64は、断面が直角に折り曲げられたL字状であって、上板部63a,64aに下方突出するビード63a1,64a1が設けられ、取付部6e,6fに設けられた穴を貫通するボルトBが取付ステーの一端部(先端部)に設けられた穴(図示せず)を貫通しナット(図示せず)に嵌合する一方、取付ステー63,64の他端部に設けられた穴(図示せず)、及びインテークマニホールド4のフランジ部4aを貫通するボルトBによって、エンジン本体2にインテークマニホールド4とともに共締めされる。
【0043】
上述した本発明の実施形態に係るエンジン1によれば、燃料保護プロテクター6がデリバリーレールパイプ3よりも車両幅方向に長く、デリバリーレールパイプ3の前方に設置されたので、割れたインテークマニホールド4の一部がデリバリーレールパイプ3に衝突する可能性を小さくでき、デリバリーレールパイプ3を保護できる。
【0044】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0045】
1 エンジン
2 エンジン本体
3 デリバリーレールパイプ
4 インテークマニホールド
4a フランジ部
41 一番気筒に分岐する管路
42 二番気筒に分岐する管路
43 三番気筒に文意する管路
44 四番気筒に分岐する管路
41a,44a 傾斜部分
41b,44b 直立部分
41b1,44b1 リブ(第2リブ)
41b2,44b2 リブ(第1リブ)
41c,44c 湾曲部分
41c1,44c1 弱部
41c2,44c2 リブ(第2リブ)
41c3,44c3 リブ(第1リブ)
5 ラジエータ
6 燃料保護プロテクター
6a,6b 取付部
6c,6d リブ
6e,6f 取付部
61 取付ステー
61a 胴部
61b フランジ部
62 取付ステー
62a フランジ部
62b 胴部
62c フランジ部
63,64 取付ステー
63a,64a 上板部
63a1,64a1 ビード

図1
図2
図3
図4
図5
図6