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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110688
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】車両用グリル
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/52 20060101AFI20220722BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B60R19/52 K
B60R13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006243
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】北郷 博也
(72)【発明者】
【氏名】呉 龍山
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AC12
3D023AD15
(57)【要約】
【課題】グリル本体部に対して固定されたモールを備える車両用グリルにおいて、グリル本体部のモールを支持する支持構造部を小型化可能とすることで軽量化を可能とする。
【解決手段】グリル本体部と、水平方向に延伸すると共にグリル本体部に固定されるモール3とを備えたラジエータグリルであって、グリル本体部が、モール3の延伸方向に沿って延伸すると共に下端11がモール3の下縁部よりも上方に位置する基部2d2と、基部2d2の表面に水平方向に延伸して突設されると共に先端部がモール3の下縁部よりも上方の位置でモール3の背面に当接される水平突設部2d3とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル本体部と、水平方向に延伸すると共に前記グリル本体部に固定されるモールとを備える車両用グリルであって、
前記グリル本体部は、
前記モールの延伸方向に沿って延伸すると共に下端が前記モールの下縁部よりも上方に位置する水平延伸部と、
前記水平延伸部の表面に水平方向に延伸して突設されると共に先端部が前記モールの前記下縁部よりも上方の位置で前記モールの背面に当接される水平突設部と
を備えることを特徴とする車両用グリル。
【請求項2】
前記グリル本体部は、前記水平延伸部の表面に鉛直方向に延伸して突設されると共に前記水平突設部の上方に配置された鉛直突設部を備えることを特徴とする請求項1記載の車両用グリル。
【請求項3】
前記鉛直突設部の上端部の表面が前記モールの上縁部の当接面であることを特徴とする請求項2記載の車両用グリル。
【請求項4】
前記鉛直突設部は、前記水平延伸部の延伸方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の車両用グリル。
【請求項5】
前記水平突設部は、前記水平延伸部の下縁部に設けられていることを特徴とする請求項1~4いずれか一項に記載の車両用グリル。
【請求項6】
前記水平突設部の先端部の表面が屈曲することなく円滑に接続された平面及び湾曲面からなることを特徴とする請求項1~5いずれか一項に記載の車両用グリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用グリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、車両の前部には、エンジンルームの内部に配置されたラジエータ等に空気を取り込むための開口が設けられている。また、この開口には、例えばエンジンルームの内部への異物の侵入を防ぐためのフロントグリルが設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-81034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロントグリル等の車両用グリルは、車両の外観印象を形成するものであることから、様々な装飾が施される。このため、例えば、車両用グリルには、樹脂製のグリル本体部に対して、金属めっきが表面に施された装飾用のモールを固定したものもある。このようなモールがグリル本体部に固定された車両用グリルによれば、モールによって金属光沢が付与されることとなる。
【0005】
ところで、一般的にモールは水平方向に延伸する長尺状の部材である。取付後のモールの剛性を向上させるために、モールの上縁部と下縁部とは、背面側からグリル本体部に当接されている。つまり、グリル本体部には、モールに背後から当接して支持する支持構造部が設けられている。また、この支持構造部は、モールの上縁部と下縁部とに当接可能な大きさを有している。
【0006】
しかしながら、このようにモールを背後から支持する支持構造部が大型であると、グリル本体部の重量が増加し、さらには車両用グリルの重量が増加することになる。近年においては、車両に搭載する部品の軽量化が求められており、車両用グリルについても軽量化を実現する必要がある。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、グリル本体部に対して固定されたモールを備える車両用グリルにおいて、グリル本体部のモールを支持する支持構造部を小型化可能とすることで軽量化を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の第1の態様は、グリル本体部と、水平方向に延伸すると共に上記グリル本体部に固定されるモールとを備える車両用グリルであって、上記グリル本体部が、上記モールの延伸方向に沿って延伸すると共に下端が上記モールの下縁部よりも上方に位置する水平延伸部と、上記水平延伸部の表面に水平方向に延伸して突設されると共に先端部が上記モールの上記下縁部よりも上方の位置で上記モールの背面に当接される水平突設部とを備えるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記グリル本体部が、上記水平延伸部の表面に鉛直方向に延伸して突設されると共に上記水平突設部の上方に配置された鉛直突設部を備えるという構成を採用する。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記鉛直突設部の上端部の表面が上記モールの上縁部の当接面であるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第4の態様は、上記第2または第3の態様において、上記鉛直突設部が、上記水平延伸部の延伸方向に沿って複数設けられているという構成を採用する。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4いずれかの態様において、上記水平突設部が、上記水平延伸部の下縁部に設けられているという構成を採用する。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第1~第5いずれかの態様において、上記水平突設部の先端部の表面が屈曲することなく円滑に接続された平面及び湾曲面からなるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、グリル本体部の水平延伸部の下端がモールの下縁部よりも上方に位置している。また、モールは、上記水平延伸部から突設した水平突設部がモールの下縁部よりも上方の位置にて背面に当接されることで支持されている。また、水平突設部が水平方向に延伸しているため、モールが水平突設部により安定的に支持されている。つまり、本発明においてモールは、下縁部に背面側から直接的に部材が当接されることなく支持されている。したがって、本発明によれば、モールの上縁部から下縁部に到達する大きさの支持構造部をグリル本体部に設けることなくモールを支持することが可能となる。よって、本発明によれば、グリル本体部に対して固定されたモールを備える車両用グリルにおいて、グリル本体部のモールを支持する支持構造部を小型化することが可能となり、軽量化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態におけるラジエータグリルを備える車両の正面図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるラジエータグリルが備える下方水平部とモールとの分解図である。
図3図1におけるA-A断面図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるラジエータグリルが備える水平突設部の先端部の表面の模式的な拡大図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるラジエータグリルが備える鉛直突設部を含む模式的な拡大斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態におけるラジエータグリルが備える下方水平部とモールとを含む模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用グリルの一実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明の車両用グリルをラジエータグリルに適用した例について説明する。しかしながら、本発明はラジエータグリルに限定されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本第1実施形態のラジエータグリル1(車両用グリル)を備える車両100の正面図である。本実施形態のラジエータグリル1は、車両の前部に設置されたフロントグリルであり、エンジンルームの内部に配置されたラジエータの前方に配置されている。このラジエータグリル1は、主として樹脂によって形成された外装部品である。本実施形態においてラジエータグリル1は、車体フレームに対して固定されたグリル本体部2と、グリル本体部2に装着されたモール3と、ラジエータグリル1の中央に配置されたレーダカバー4とを備えている。
【0019】
グリル本体部2は、本実施形態においては樹脂が表面に露出された樹脂の射出成形体である。なお、グリル本体部2は、必ずしも樹脂が表面に露出されたものである必要はない。例えば、グリル本体部2の全体あるいは一部にめっき処理や塗装等の表面処理が施されていても良い。本実施形態においてグリル本体部2は、フレーム2aと、網状部2bとを備えている。
【0020】
フレーム2aは、網状部2bを囲うように設けられた略矩形状の環状部であり、網状部2bやレーダカバー4を直接的あるいは間接的に支持する。このようなフレーム2aの裏側には、車体フレームに対して固定される不図示の車体取付部が設置されている。なお、本実施形態においてフレーム2aは、図1に示すように、レーダカバー4の上方に配置されて水平方向(車幅方向)に延伸する上方水平部2cと、レーダカバー4の下方に配置されて水平方向に延伸する下方水平部2dと、上方水平部2cと下方水平部2dとの端部同士を接続するように上下方向に延伸する2つの側部2eとを備えている。
【0021】
また、後により詳しく説明するが、これらの上方水平部2cと、下方水平部2dと、側部2eとのうち、下方水平部2dは、モール3の取付部となっている。つまり、モール3は、フレーム2aの下方水平部2dに取り付けられることによって支持されている。
【0022】
網状部2bは、フレーム2aに囲まれた領域に形成されており、ラジエータグリル1よりも車両の内側に異物が侵入することを抑止しつつエンジンルームへ外気を取り込み可能としている。なお、図1に示す網状部2bの形状は、あくまでも一例である。網状部2bは、車両の外観印象への影響が大きな部位であり、車両の種類ごとに様々な形状が採用される。また、網状以外の形状の部位をフレーム2aの内側に配置するようにしても良い。
【0023】
モール3は、本実施形態においては、樹脂の射出成形体の表面にめっき処理が施された部品である。このモール3は、図1に示すように、水平方向(車幅方向)に延伸する長尺状の部材であり、グリル本体部2の下方水平部2dに固定されている。このモール3の形状については、後にグリル本体部2の下方水平部2dと共により詳細に説明する。
【0024】
レーダカバー4は、グリル本体部2の中央部に配置されている。レーダカバー4は、エンジンルームの内部に配置されたレーダユニットの前方に配置されている。このレーダカバー4は、例えばエンブレム等の意匠が形成されており、レーダユニットで用いる電波を透過可能とされている。本実施形態においてレーダカバー4は、グリル本体部2の網状部2bに固定されることで支持されている。
【0025】
続いて、図2及び図3等を参照して、下方水平部2d及びモール3について、より詳細に説明する。図2は、下方水平部2dと、モール3との分解図である。また、図3は、図1におけるA-A断面図である。
【0026】
下方水平部2dは、上述のように、グリル本体部2が備えるフレーム2aの下部を形成しており、水平方向に延伸して設けられている。図2及び図3に示すように、下方水平部2dは、上壁部2d1と、基部2d2(水平延伸部)と、水平突設部2d3と、鉛直突設部2d4とを備えている。
【0027】
上壁部2d1は、図3に示すように、モール3の上方に配置されており、上述の網状部2bと接続される部位である。この上壁部2d1は、基部2d2と、水平突設部2d3と、鉛直突設部2d4とを直接的あるいは間接的に支持している。
【0028】
基部2d2は、上壁部2d1の下面に接続されており、モール3の延伸方向(すなわち本実施形態においては車幅方向)に沿って延伸している。この基部2d2は、水平突設部2d3及び鉛直突設部2d4がモール3側の表面に設けられる部位である。図3に示すように、本実施形態においてモール3は、背面側(車体フレーム側)が車両前方方向に向けて窪む略U型形状である。基部2d2は、このようなモール3の内側に入り込むように配置されている。
【0029】
また、図3に示すように、本実施形態において基部2d2の下端11は、モール3の下縁部(後述する底壁部3c)よりも上方に位置している。つまり、本実施形態においては、モール3の下縁部の後方には、下方水平部2d(すなわちグリル本体部2)が設けられていない。
【0030】
また、図2に示すように、基部2d2には、モール3を固定するための固定台12が複数設けられている。これらの固定台12は、不図示のビスが挿通される挿通孔を有している。この固定台12がモール3の後述する締結部3dと締結されることで、モール3が下方水平部2dに固定される。このような固定台12は、図2に示すように、基部2d2の延伸方向に沿って配列されている。なお、固定台12は、基部2d2の表面に複数形成された鉛直突設部2d4と干渉しない位置に設けられている。
【0031】
水平突設部2d3は、基部2d2の下縁部からモール3側に突出して設けられた部位であり、先端部がモール3の背面に当接される。本実施形態においては、水平突設部2d3は、車幅方向における基部2d2の一端から他端に至るまで水平方向に延伸して連続的に設けられている。しかしながら、水平方向に延伸する水平突設部2d3を、間隔を空けて複数設けることも可能である。
【0032】
上述のように基部2d2の下端11は、モール3の下縁部(底壁部3c)よりも上方に位置している。このため、基部2d2の下縁部に設けられた水平突設部2d3は、モール3の下縁部よりも上方に位置している。したがって、水平突設部2d3は、モール3の下縁部よりも上方の位置にて、モール3の背面に当接されている。
【0033】
図3に示すように、本実施形態においては、水平突設部2d3は、下方水平部2dの最も下部に設けられている。つまり、水平突設部2d3よりも下方には、下方水平部2dの部位は設けられていない。したがって、本実施形態においては、上述のように、モール3の下縁部の後方に、下方水平部2d(すなわちグリル本体部2)の一部が設けられていない。
【0034】
また、図3に示すように、水平突設部2d3の先端部の表面は、屈曲することなく円滑に接続された平面及び湾曲面からなる。図4は、水平突設部2d3の先端部の表面の模式的な拡大図である。この図に示すように、本実施形態の水平突設部2d3の表面は、モール3側に向けられた曲面である先端湾曲面21と、先端湾曲面21と屈曲することなく円滑に接続された平面である側面22とを有している。このような水平突設部2d3の先端部がモール3の背面に当接される。このため、モール3は、背面に屈曲した部位が当接されることなく、水平突設部2d3によって支持される。
【0035】
図5は、鉛直突設部2d4を含む模式的な拡大斜視図である。この図に示すように、鉛直突設部2d4は、基部2d2の表面に沿って鉛直方向に延伸して設けられた突部であり、水平突設部2d3の上方に配置されている。図3に示すように、鉛直突設部2d4の上端部31の表面は、モール3の上縁部(後述する天壁部3b)の先端面と当接される当接面である。モール3は、締結部3dがビスを用いて固定台12に締結されると共に、水平突設部2d3の先端部と鉛直突設部2d4の上端部31の表面とに当接されることで位置決めされる。
【0036】
また、鉛直突設部2d4の上端部31を除く途中部位32は、モール3の背面に対して僅かに隙間を空けて配置されている。このような途中部位32は、例えばモール3を下方水平部2dに対して取り付ける場合に、モール3が必要以上に下方水平部2dに近づくことを規制する。
【0037】
モール3は、図3に示すように、前壁部3aと、天壁部3bと、底壁部3cと、締結部3dとを有している。図3に示すように、モール3は、前壁部3aと、天壁部3bと、底壁部3cとによって、略U型形状に形成されている。前壁部3aは、最もモール3の前部に配置される壁部であり、表面を車両の前方に向けて配置されている。この前壁部3aの背面は、水平突設部2d3との先端部との当接面である。
【0038】
天壁部3bは、前壁部3aの上端と接続されており、前壁部3aから後方(水平突設部2d3)に向けて突出された壁部である。この天壁部3bは、上面が上方に向けられるように配置されている。また、天壁部3bは、水平方向に沿って延伸されており、モール3の上縁部を形成している。この天壁部3bの先端面は、鉛直突設部2d4の上端部31に対して当接されている。
【0039】
底壁部3cは、前壁部3aの下端と接続されており、前壁部3aから後方に向けて突出された壁部である。この底壁部3cは、下面が下方に向けられるように配置されている。また、底壁部3cは、水平方向に沿って延伸されており、モール3の下縁部を形成している。本実施形態においては、上述のように底壁部3cの後方には、下方水平部2dの部位が配置されていない。このため、図3に示すように、底壁部3cの先端は、下方水平部2dのいずれの部位にも当接されていない。
【0040】
締結部3dは、前壁部3aの背面に設けられており、グリル本体部2の固定台12と締結される部位である。図2に示すように、締結部3dは、グリル本体部2の固定台12の位置と合うように、水平方向に配列されて複数設けられている。各々の締結部3dは、不図示のビスによって固定台12と締結されている。この締結部3dが固定台12と締結されることで、モール3は、グリル本体部2に固定される。
【0041】
このような構成のモール3をグリル本体部2に取り付ける場合には、天壁部3bと底壁部3cとの間に下方水平部2dの基部2d2が入り込むように、モール3をグリル本体部2に対して位置決めする。このとき、前壁部3aの背面を水平突設部2d3に当接させ、天壁部3bの先端面を鉛直突設部2d4の上端部31の表面に当接させる。これによって、ビスによる締結前であっても、モール3の姿勢をグリル本体部2に対して安定的させることができる。
【0042】
続いて、グリル本体部2の背面側から不図示のビスを固定台12に挿通させ、グリル本体部2の固定台12とモール3の締結部3dとを締結する。このようにビスを用いて固定台12と締結部3dとを締結することによって、モール3がグリル本体部2に対して固定される。
【0043】
以上のような本実施形態のラジエータグリル1は、グリル本体部2と、水平方向に延伸すると共にグリル本体部2に固定されるモール3とを備えている。また、グリル本体部2は、モール3の延伸方向に沿って延伸すると共に下端11がモール3の下縁部よりも上方に位置する基部2d2と、基部2d2の表面に水平方向に延伸して突設されると共に先端部がモール3の下縁部よりも上方の位置でモール3の背面に当接される水平突設部2d3とを備えている。
【0044】
このような本実施形態のラジエータグリル1においては、グリル本体部2の基部2d2の下端11がモール3の下縁部よりも上方に位置している。また、モール3は、基部2d2から突設した水平突設部2d3がモール3の下縁部よりも上方の位置にて背面に当接されることで支持されている。また、水平突設部2d3が水平方向に延伸しているため、モール3が水平突設部2d3により安定的に支持されている。つまり、本実施形態のラジエータグリル1においてモール3は、下縁部に背面側から直接的に部材が当接されることなく支持されている。
【0045】
したがって、本実施形態のラジエータグリル1によれば、モール3の上縁部から下縁部に到達する大きさの支持構造部をグリル本体部2に設けることなくモール3を支持することが可能となる。よって、本実施形態のラジエータグリル1によれば、グリル本体部2に対して固定されたモール3を備えるラジエータグリル1において、グリル本体部2のモール3を支持する支持構造部を小型化することが可能となり、軽量化することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、グリル本体部2が、基部2d2の表面に鉛直方向に延伸して突設されると共に水平突設部2d3の上方に配置された鉛直突設部2d4を備えている。このような鉛直突設部2d4が設けられることによって、モール3をグリル本体部2に取り付ける際に、モール3が本来の取り付け位置よりもグリル本体部2に近づくように押し込まれることを抑止することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、鉛直突設部2d4の上端部31の表面がモール3の上縁部の当接面である。このため、モール3の上縁部(天壁部3b)の先端面を鉛直突設部2d4の上端部31の表面に当てることによって、モール3をグリル本体部2に対して容易に位置決めすることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、鉛直突設部2d4が、基部2d2の延伸方向に沿って複数設けられている。このため、車幅方向に長い長尺部材であるモール3のいずれの部位が撓むように変形しても、より確実にモール3が本来の取り付け位置よりもグリル本体部2に近づくように押し込まれることを抑止することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、水平突設部2d3が、基部2d2の下縁部に設けられている。このため、水平突設部2d3よりも下方において基部2d2の部位が設けられておらず、基部2d2をより軽量化することが可能となり、さらにラジエータグリル1を軽量化することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態のラジエータグリル1においては、水平突設部2d3の先端部の表面が屈曲することなく円滑に接続された平面及び湾曲面からなる。このため、モール3は、背面に屈曲した部位が当接されることなく、水平突設部2d3によって支持される。したがって、モール3の背面の表面が水平突設部2d3によって傷つくことを抑止し、モール3のめっき層が腐食することを抑止することが可能となる。
【0051】
さらに、水平突設部2d3の先端面を湾曲面とすることで、水平突設部2d3の先端面が平面である場合と比較して、水平突設部2d3とモール3との接触面積を減少させることができる。このため、グリル本体部2にモール3が擦れることによって生じる異音の発生を抑止することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本実施形態の第2実施形態について、図6を参照して説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0053】
図6は、本実施形態のラジエータグリルが備える下方水平部2dとモール3とを含む模式的な断面図である。上記第1実施形態においては、鉛直突設部2d4にモール3の天壁部3bの先端面が当接される上端部31が設けられていた。一方で、本実施形態においては、図6に示すように、鉛直突設部2d4に対して、モール3の天壁部3bの先端面が当接される上端部31が設けられていない。本実施形態のラジエータグリル1においては、基部2d2の表面に対して、モール3の天壁部3bの先端面が当接されている。
【0054】
このような本実施形態によれば、モール3は、締結部3dがビスを用いて固定台12に締結されると共に、水平突設部2d3の先端部と基部2d2の表面とに当接されることで位置決めされる。
【0055】
以上のような本実施形態のラジエータグリルにおいても、上記第1実施形態のラジエータグリル1と同様に、グリル本体部2の基部2d2の下端11がモール3の下縁部よりも上方に位置している。また、モール3は、基部2d2から突設した水平突設部2d3がモール3の下縁部よりも上方の位置にて背面に当接されることで支持されている。また、水平突設部2d3が水平方向に延伸しているため、モール3が水平突設部2d3により安定的に支持されている。つまり、本実施形態のラジエータグリルにおいてモール3は、下縁部に背面側から直接的に部材が当接されることなく支持されている。したがって、本実施形態のラジエータグリルによれば、グリル本体部2のモール3を支持する支持構造部を小型化することが可能となり、軽量化することが可能となる。
【0056】
さらに、本実施形態のラジエータグリルによれば、モール3の天壁部3bの先端面が基部2d2の表面に当接されるため、鉛直突設部2d4を短くすることが可能となる。このため、鉛直突設部2d4を小型化することができ、下方水平部2dつまりはラジエータグリルのさらなる軽量化を実現することが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態においては、本発明の車両用グリルをラジエータグリルに適用した例について説明した。しかしながら、本発明はラジエータグリルに限定されるものではなく、車両に当接されるリアグリルに本発明を適用することも可能である。
【0059】
また、電気自動車等のラジエータを搭載しない車両に、外装部品として車両用グリルを設置することも考えられる。このような電気自動車に設置される車両用グリルに本発明を適用することも可能である。つまり、本発明は、ラジエータに対向配置される車両用グリルに限定されるものではない。
【0060】
また、上記実施形態においては、ラジエータグリル1にレーダカバー4が設置された構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。レーダカバー4を備えない構成や、レーダカバー4に代えてエンブレムを設置した構成を採用することも可能である。
【0061】
また、上記実施形態においては、下方水平部2dが鉛直突設部2d4を備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。鉛直突設部が下方水平部を備えない構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1……ラジエータグリル(車両用グリル)、2……グリル本体部、2a……フレーム、2b……網状部、2c……上方水平部、2d……下方水平部、2d1……上壁部、2d2……基部(水平延伸部)、2d3……水平突設部、2d4……鉛直突設部、2e……側部、3……モール、3a……前壁部、3b……天壁部(上縁部)、3c……底壁部(下縁部)、3d……締結部、11……下端、31……上端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6