(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011071
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】シート給送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/52 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
B65H3/52 310K
B65H3/52 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111957
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中山 美里
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FA03
3F343FB02
3F343FB03
3F343FB04
3F343FC01
3F343FC23
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD02
3F343JD08
3F343JD14
3F343JD33
3F343KB05
3F343KB17
3F343LA03
3F343LB02
3F343LC07
(57)【要約】
【課題】分離パッドにおけるシートに対する分離負荷を最適化して、薄紙から厚紙まで分離可能なシート給送装置を提供する。
【解決手段】積載部に積載された複数のシートを給送する給送ローラ14と、給送ローラ14に対向する位置に配置され、給送ローラ14によって送られたシートを一枚ずつ分離する分離パッド30とを備え、分離パッド30は、給送ローラ14との間でシートを挟み込み分離する第1分離部31と、シートの幅方向における給送ローラの外側の位置でシートと接触して分離する第2分離部32と、第2分離部32における幅方向の外側に設けられ、シートをその厚み方向において給送ローラ14側に付勢する付勢部33とを有することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載台に積載された複数のシートを給送する給送ローラと、
前記給送ローラに対向する位置に配置され、前記給送ローラによって送られた前記シートを一枚ずつ分離する分離パッドと
を備え、
前記分離パッドは、前記給送ローラとの間でシートを挟み込み分離する第1分離部と、シートの幅方向における前記給送ローラの外側の位置でシートと接触して分離する第2分離部と、前記第2分離部における前記幅方向の外側に設けられ、シートをその厚み方向において前記給送ローラ側に付勢する付勢部とを有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記第2分離部は、前記給送ローラ側に向く弾性力を有する弾性部材と、前記弾性部材における前記給送ローラ側に貼り付けられた平板状の前記付勢部とを有し、
前記付勢部においてシートに接する面の面積は、前記幅方向における内側よりも外側の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記付勢部においてシートに接する面の摩擦係数は、前記弾性部材においてシートに接する面の摩擦係数よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記付勢部は、前記弾性部材の表面に貼り付けられたフィルム部材であることを特徴とする請求項2または3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記付勢部は、前記幅方向における内側の端部が、シートの給送方向の下流側にいくにつれて前記幅方向の外側に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積載台に積載したシートを1枚ずつ給紙するシート給送装置では、複数枚のシートが重なって搬送路に送り込まれないよう、シートを1枚ずつ分離するための分離部材を設けている。一例としては、分離部材として摩擦部材がシート状になった分離パッドが用いられており、分離パッドをシート束に押圧することでシートを分離する。
【0003】
分離パッドをシートに押圧する手段として、圧縮ばねを使用することもあるが、小型のシート搬送装置は、スペースを削減するためにスポンジを使用している。圧縮ばねは、ばね定数を小さくし薄紙と厚紙にかかる力を調整することができるが、スポンジはばね定数が大きく薄紙と厚紙にかかる力の差が大きい。そのため、小型のシート搬送装置では、コピー紙などの一般的な厚みのシートは搬送できるが、はがきなどの厚紙を搬送したときに給紙できない問題が発生することがある。そこで、シートに対する分離負荷を最適化する技術が特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシート給送装置では、シートの厚みにより分離負荷に差がでるため、用紙によっては十分に分離することができないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を鑑み、本発明に係るシート給送装置は、
積載部に積載された複数のシートを給送する給送ローラと、
前記給送ローラに対向する位置に配置され、前記給送ローラによって送られた前記シートを一枚ずつ分離する分離パッドと
を備え、
前記分離パッドは、前記給送ローラとの間でシートを挟み込み分離する第1分離部と、シートの幅方向における前記給送ローラの外側の位置でシートと接触して分離する第2分離部と、前記第2分離部における前記幅方向の外側に設けられ、シートをその厚み方向において前記給送ローラ側に付勢する付勢部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
分離パッドにおけるシートに対する分離負荷を最適化して、薄紙から厚紙まで分離するシート給送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像読取装置の概略断面図。
【
図2】本実施形態に係る画像読取装置の制御ユニットのブロック図。
【
図3】本実施形態に係る分離パッドと送りローラ周辺の拡大斜視図。
【
図4】本実施形態に係る分離パッドを
図3の矢印A方向から見た図。
【
図5】本実施形態に係る分離部を
図3の矢印C方向から見た断面図。
【
図6】本実施形態に係る分離部を
図4の矢印B方向から見た断面図(薄紙搬送時)。
【
図7】本実施形態に係る分離部を
図4の矢印B方向から見た断面図(厚紙搬送時)。
【
図8】第二の実施形態に係る分離パッドを
図3の矢印A方向から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本実施形態の構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものである。
図1は本実施形態に係るシート給送装置の一例としての画像読取装置10の概略図である。
【0010】
<装置の構成>
画像読取装置10は、積載台12に積載された一又は複数のシートSを給紙口から1つずつ装置内に搬送してその画像を読み取り、駆動ローラ20、従動ローラ21によって装置外に排出する装置である。読み取るシートSは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。
【0011】
<給紙>
経路RTに沿ってシートSを給紙する給紙機構としての第1搬送部50が設けられている。第1搬送部50は本実施形態の場合、送りローラ14(給送ローラ)と、送りローラ14に対向配置される分離パッド30と、を備え、積載台12上のシートSを給送方向Dに一つずつ順次搬送する。送りローラ14には、モータ等によって構成された駆動部15から不図示の伝達部を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(シートSを搬送させる方向)に回転駆動される。
【0012】
<駆動部>
駆動部15と送りローラ14とを接続する伝達部は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、シートSを停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ14は伝達部により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。
【0013】
<分離構造>
送りローラ14に対向配置される分離パッド30は、シートSを1枚ずつ分離するための部材であり、送りローラ14に圧接している。この圧接状態を確保するため、分離パッド30には圧縮可能なスポンジ部材35(弾性部材)が設けられる。スポンジ部材35の弾性力によって、後述する第1摩擦部材31および第2摩擦部材を送りローラ14側へ付勢するように構成される。
【0014】
<搬送構造>
第1搬送部50の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部51は、駆動ローラ16と、駆動ローラ16に従動する従動ローラ17とを有し、第1搬送部50から搬送されてきたシートSをその下流側へ搬送する。駆動ローラ16には駆動部15から駆動力が伝達されて回転駆動される。従動ローラ17は駆動ローラ16に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ16に連れ回る。この従動ローラ17は、ばね等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ16に対して付勢された構成としてもよい。
【0015】
このような第2搬送部51よりも搬送方向下流側にある第3搬送部52は、駆動ローラ20と、駆動ローラ20に従動する従動ローラ21とを備え、第2搬送部51から搬送されてきたシートSを装置外へ排出する。つまり、この第3搬送部52は排出機構として機能する。
【0016】
駆動ローラ20には駆動部15から駆動力が伝達されて回転駆動される。従動ローラ21は駆動ローラ20に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ20に連れ回る。この従動ローラ21は、ばね等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0017】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置10では、第2搬送部51と第3搬送部52との間に配置される画像読取ユニット18、19によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部51及び第3搬送部52はシートSを定速搬送する。このときの搬送速度は常に第1搬送部50の搬送速度以上とすることで、先行シートSに後続シートSが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部51及び第3搬送部52によるシートSの搬送速度が、第1搬送部50によるシートSの搬送速度よりも速くなるように、駆動部15から第1搬送部50に駆動伝達する伝達部の減速比を、駆動部15から第2搬送部51及び第3搬送部52に駆動伝達する伝達部の減速比よりも大きくしている。
【0018】
なお、第2搬送部51及び第3搬送部52によるシートSの搬送速度と、第1搬送部50によるシートSの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部15を制御して第1搬送部50側の駆動のみを制御し、後続シートSの給紙開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行シートSと後続シートSとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0019】
<レジストセンサ>
第1搬送部50より搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ41、42は画像読取ユニット18、19よりも上流側で第1搬送部50よりも下流側に配置された搬送路RT上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部50により搬送されるシートSの位置、詳細には、媒体検出センサ41、42の検出位置にシートSの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ41、42としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部とその受光部とを備え、シートSの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理としてシートSを検出する。なお、この媒体検出センサ41、42は、上記の光学センサに限定されず、例えば、シートSの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RT内に突出したレバー型のセンサでもよい。
【0020】
<CISの配置>
媒体検出センサ41、42よりも下流側にある画像読取ユニット18、19は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット18、19は経路RTの両側に一つずつ配置されており、シートSの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、シートSの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット18,19を経路RTを挟んで対向配置しているが、例えば、経路RTの搬送方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0021】
<ブロック図の説明>
図2を参照して制御部80について説明する。
図2は画像読取装置10の制御部80のブロック図である。
【0022】
制御部80はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部85を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置10全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0023】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0024】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部15、伝達部等が含まれる。センサ87には、媒体検出センサ41、42、画像読取ユニット18、19等が含まれる。
【0025】
<PCからの開始指示受信による駆動>
画像読取装置10の基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば画像読取装置10が接続された外部パソコンから画像読み取りの開始指示を受信すると、第1搬送部50から第3搬送部52の駆動を開始する。積載台12に積載されたシートSはその最も下に位置するシートSから1つずつ搬送される。
【0026】
また、後述するように、画像読取装置10の操作部83に設けられたスタートキーによって画像の読み取りを開始し、その後画像読取の開始を外部パソコンに通知するようにしてもよい。
【0027】
<レジストセンサの出力に応じた読取開始>
制御部80は、媒体検出センサ41、42の検出結果に基づくタイミングで、シートSの、画像読取ユニット18、19による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られたシートSは第3搬送部52により装置外へ排出されてそのシートSの画像読取処理が終了する。
【0028】
<分離パッド詳細>
図3は、本発明の実施形態1に係る分離パッド30と送りローラ14の配列を説明するための斜視図である。
図3(a)は上流側から分離パッド30と送りローラ14を見た状態、
図3(b)は、下流側から分離パッド30のみを見た状態を示している。
図4は、分離パッド30を
図3の矢印A方向から見た図である。
図5は、分離部を
図3の矢印C方向から見た断面図である。
図6は、薄紙搬送時の、送りローラ14、分離パッド30、シートSの状態を
図4の矢印B方向から見たときの断面図で、
図7は、厚紙搬送時の、送りローラ14、分離パッド30、シートSの状態を
図4の矢印B方向から見たときの断面図である。
【0029】
図3(a)に示すように、送りローラ14は、ローラ軸14bに複数(図では2つ)のローラ部材14aが軸方向に間隔をおいて設けられている。
【0030】
図4に示すように、分離パッド30は、シートSを分離する第1摩擦部材31、第2摩擦部材32と、シートSを送りローラ14側に付勢する付勢部33とを備える。第1摩擦部材31は、送りローラ14の2つのローラ部材14aにそれぞれ接触する2つのローラ接触部31bを有する。第2摩擦部材32は、第1摩擦部材31に対し、ローラ軸14bの軸方向における外側に配置され、ローラ接触部31bとともにシートSと接触する。
【0031】
また、
図3(a)に示すように、第2摩擦部材32は、2つのローラ部材14aの軸方向外側に、ローラ部材14aから軸方向に離れた位置で該ローラ部材14aに対して軸方向にオーバーラップ(重なり合う)するように2箇所配置される。
【0032】
図3(b)、
図4に示すように、この第1摩擦部材31と第2摩擦部材32は、単一の平板状で矩形の摩擦部材(一例として、ゴム)に対し、4つの切欠きを入れることによって形成されている。さらに、これに対し、同様に、平板状で矩形の低摩擦部材(一例としてマイラーで形成されたフィルム部材)で形成された付勢部33に対し、4つの切欠きを入れたものを貼り付けている。付勢部33におけるローラ部材14aの軸方向の外側の部分、すなわち、第2摩擦部材32に貼り付けられる部分は、第2摩擦部材32よりも
図4に示す給送方向Dの下流側への突出量が短くなっており、さらに、軸方向の外側よりも内側の突出量が小さくなるように、段部が設けられている。
【0033】
図3(b)に示すように、本実施形態においては、この第1摩擦部材31および第2摩擦部材32に対し、シートSの厚み方向における給送ローラ14とは反対側(裏面)に、スポンジ部材35を貼り付けている。スポンジ部材35の第1摩擦部材31、第2摩擦部材32との反対側の面は、ホルダ36に突き当たるように両面テープ38によって貼り付けられている。
【0034】
上述したように、このスポンジ部材35の復元力(弾性力)によって、第1摩擦部材31、第2摩擦部材32を給送ローラ14側に付勢しており、第1摩擦部材31と給送ローラ14との間には、ニップが形成され、第2摩擦部材32は、軸方向において給送ローラ14のローラ部材14aと重なる位置まで突出している。
【0035】
また、給送方向Dにおける上流側における付勢部33、第1摩擦部材31、第2摩擦部材32のホルダ36への固定は、固定板金37によってホルダ36と付勢部33、第1摩擦部材31、第2摩擦部材32とを挟持することによって行っている。なお、スポンジ部材35のホルダ36への取り付けに両面テープ38を用い、付勢部33、第1摩擦部材31、第2摩擦部材32の上流側におけるホルダ36への固定に固定板金37を用いたが、これに限られない。
【0036】
図4に示すように、付勢部33、第2摩擦部材32、第1摩擦部材31は、連続して櫛歯形状をなしている。付勢部33は、第1摩擦部材31、第2摩擦部材32より摩擦係数が小さい部材からなり、
図5に示すように、第2摩擦部材32の厚み方向において送りローラ14側に貼り付けられて配置される。
【0037】
2つの第1摩擦部材31の間の部分(幅方向の中央部分)では、
図4における下方向(給送方向Dの方向)に対し、付勢部33は、第2摩擦部材32と同程度に突出している。
【0038】
幅方向において、第2摩擦部材32が設けられた部分においては、付勢部33は第2摩擦部材32の先端側に向けて第2摩擦部材32の途中まで突出して設けられており、送りローラ14の軸方向における内側よりも外側の方が
図4の下方向(給送方向Dの)下流側)に突出するように段部が設けられている。
【0039】
このように、付勢部33は、シートSを第1摩擦部材31、第2摩擦部材32で1枚ずつに分離する時、シートSに接触するよう配置される。
【0040】
次に、
図5、
図6、
図7、
図8を参照して、送りローラ14と分離パッド30とによるシートSの分離動作について説明する。
【0041】
図4、
図5に示すように、積載台12に積載された複数枚のシートSの先端部は、付勢部33に当接する。送りローラ14が不図示の駆動手段により給送方向に回転駆動されると、付勢部33に当接した複数枚のシートSの下層部分のシートSの束が送りローラ14のローラ部材14aと第1摩擦部材31のローラ接触部31bとのニップ部に進む。その際、第1摩擦部材31あるいは第2摩擦部材32や付勢部33の根元部分は、シートSの束の先端が斜めになるように捌きながらローラ部材14aと第1摩擦部材31のローラ接触部31bとのニップ部へとガイドしていく。
【0042】
シートSがローラ部材14aとローラ接触部31bとのニップ部を通過すると同時、またはその後に、シートSは第2摩擦部材32と付勢部33の先端側(自由端側)とに接触する。このとき、第1摩擦部材31により捌かれたシートSは、付勢部33、第2摩擦部材32に接触することで、下層のシートSが1枚ずつ分離され、給送方向下流側に搬送される。
【0043】
該接触圧により第2摩擦部材32と付勢部33は、撓み変形する。なお、シートSに接触する部材の後方(厚み方向において送りローラ14と反対側)には、例えば、スポンジ等の弾性変形する部材を設置してシート分離部を構成し、接触圧により撓み変形させる。
【0044】
図5、
図6、
図7を参照して、薄紙と厚紙搬送時の送りローラ14と分離パッド30とによるシートSの分離動作について説明する。
【0045】
第1摩擦部材31のローラ接触部31bとのニップ部に到達した薄紙のシートSは、
図6に示すように、第2摩擦部材32と第1摩擦部材31のローラ接触部31bと付勢部33の接触により、1枚ずつに分離される。薄紙のシートSは、コシが弱く幅方向に波状に撓み変形するため、第2摩擦部材32と十分に接触し、大きな分離負荷が作用する。一方、第1摩擦部材31のローラ接触部31bとのニップ部に到達した厚紙のシートSは、
図7に示すように、第1摩擦部材31のローラ接触部31bと付勢部33の接触により、1枚ずつに分離される。厚紙のシートSは、コシが強く撓みにくいため、第2摩擦部材32に接触しにくく、厚いシートSは薄いシートSに比べると分離負荷が小さくなる。
【0046】
これにより、薄紙のシートSに対しては第2摩擦部材32の接触面積が大きいため大きい分離負荷が作用し、厚紙のシートSに対しては第2摩擦部材32の接触面積が小さいため小さい分離負荷が作用する。従って、厚紙のシートSであっても過大な分離負荷が作用するのを回避することができるため、シートSの厚みに応じで分離負荷が最適化される。
【0047】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、付勢部33における第2摩擦部材32の根元部分を、軸方向における内側よりも外側の方が第2摩擦部材32の先端側(自由端側)に突出するようにすることで、コシの弱い薄紙に対しては第2摩擦部材32による摩擦が大きく、コシの強い厚紙に対しては第2摩擦部材31による摩擦が小さくなるようにしているが、同様の効果を得られるものであれば構わない。一例としては、線状に形成された付勢部33が内側よりも外側の方が本数を多くすることなどでも良いし、外側から内側に向けて突出するような波のような形状であっても良い。
【0048】
また、付勢部33における第2摩擦部材32の根元部分の形状を、下流側に同じ幅で伸びる形状にしているが、
図8のように、下流側の端部を給送方向下流側にいくにつれて狭くした形状にすることも可能である。具体的には、送りローラ14の軸方向における内側よりも外側の方が
図8の下方向(給送方向Dの)下流側)に突出するように設けられている。換言すると、付勢部33の幅方向における内側の端部は、給送方向Dの下流側にいくにつれて外側に位置するように設けられている。
【0049】
以上、本発明を一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態では、分離パッド30を有する画像読取装置を一例に挙げて説明したが、本発明は勿論これに限定されず、例えば、シートを分離給送するシート給送装置(シートフィーダー等)であってもよいし、このようなシート給送装置を搭載した画像読取以外の画像処理装置(プリンタや複合機、FAX等)の事務機全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
S シート
D 給送方向
10 画像読取装置
12 積載台
14 送りローラ
14a ローラ軸
14b ローラ部材
30 分離パッド
31 第1分離部
31b ローラ接触部
32 第2分離部
33 付勢部