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特開2022-110716収穫機械の掻込装置、掻込部材及び収穫機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110716
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】収穫機械の掻込装置、掻込部材及び収穫機械
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/00 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A01D57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006299
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 大介
【テーマコード(参考)】
2B081
【Fターム(参考)】
2B081AA03
2B081BB25
2B081CC03
2B081CC45
2B081FB06
(57)【要約】
【課題】フィーダハウスへの作物の掻き込みをより確実に行いやすい収穫機械の掻込装置、掻込部材及び収穫機械を提供する。
【解決手段】掻込装置1は、掻込体10を備える。掻込体10は、回転軸Ax1を中心に回転する回転体5の外周面511のうち、フィーダハウス2の取込口21に対応する位置に配置される。掻込体10は、刈り取られた作物を取込口21からフィーダハウス2に掻き込む。掻込体10は、土台部11と、突起部12と、を有する。土台部11は、回転軸Ax1に沿って長さを有し、回転体5の外周面511から突出する。突起部12は、土台部11から部分的に突出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転する回転体の外周面のうち、フィーダハウスの取込口に対応する位置に配置され、刈り取られた作物を前記取込口から前記フィーダハウスに掻き込む掻込体を備え、
前記掻込体は、
前記回転軸に沿って長さを有し、前記回転体の前記外周面から突出する土台部と、
前記土台部から部分的に突出する突起部と、を有する、
収穫機械の掻込装置。
【請求項2】
前記突起部は、少なくとも前記回転軸に沿う方向の寸法が先端側ほど小さくなる先細り形状である、
請求項1に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記回転体の前記外周面の法線に対して、前記回転体の回転方向とは反対側に傾斜している、
請求項1又は2に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項4】
前記回転体の前記外周面に配置される掻込フィンガを更に備え、
前記掻込フィンガは、前記回転体の回転に伴って前記回転体の前記外周面から出没する、
前記掻込体と前記掻込フィンガの少なくとも一部とは、前記回転体の周方向に並ぶ、
請求項1~3のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項5】
前記回転体のうち、前記回転軸に沿う方向において、前記掻込体が配置される範囲は、前記掻込フィンガが配置される範囲よりも狭い、
請求項4に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項6】
前記回転体は、前記外周面から突出する螺旋状の一対の搬送体を有し、
前記一対の搬送体は、前記回転体の回転時に、前記回転軸に沿う方向において前記取込口の両側から前記作物を前記取込口側に搬送し、
前記掻込体は、前記一対の搬送体の間にわたって設けられている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項7】
前記掻込体は、前記回転体の周方向に並べて複数設けられており、
前記複数の前記掻込体の少なくとも一部は、前記回転軸に沿う方向にずれて配置されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項8】
前記掻込体は、前記回転軸に沿う方向における前記取込口の両端部間において隙間なく配置されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項9】
前記掻込体は、前記回転体に対して取り外し可能に取り付けられる、
請求項1~8のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項10】
前記掻込体は、前記回転軸と平行に配置されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項11】
前記掻込体は、前記突起部を複数有し、
前記複数の突起部の前記回転体の前記外周面からの高さは、前記回転軸に沿う方向における位置によって異なる、
請求項1~10のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項12】
前記複数の突起部の前記回転体の前記外周面からの高さは、前記回転軸に沿う方向における前記取込口の中心側ほど高い、
請求項11に記載の収穫機械の掻込装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置に前記掻込体として用いられる、
掻込部材。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の収穫機械の掻込装置と、
前記回転体及び前記フィーダハウスを含む本体と、を備える、
収穫機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り取られた作物をフィーダハウスに掻き込むための収穫機械の掻込装置、掻込部材及び収穫機械に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、穀稈の刈込装置部と、脱穀装置部と、刈り取られた作物(穀稈)を刈込装置部から脱穀装置部へ搬送する搬送装置部と、を備える収穫機械(コンバイン)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る収穫機械では、刈込装置部は、掻込リールと、刈刃と、掻込オーガと、を有する。
【0003】
掻込オーガは、ドラムの回転に従って出没可能な掻き込みフィンガと、刈り取られた作物を左右から中央へ寄せ集めるスパイラと、蝶蟠を介して掻込フィンガの出没に同調して起伏する掻込板と、を有する。刈込装置部の掻込リールで掻き込まれ、刈刃で刈り取られた作物は、掻込オーガから搬送装置部のフィーダハウスへと送られる。ここで、掻込板により、ドラムへの作物の巻き付き防止が図れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-14号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記関連技術の構成では、ドラムへの作物の巻き付きを防止するための掻込板が、フィーダハウスへ作物を掻き込む掻込オーガの動作に支障をきたして、作物の滞留が生じる場合がある。例えば、収穫機械の移動速度が比較的高速である場合等には、作物の滞留が生じて、フィーダハウスへの作物の掻き込みがうまく行われない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、フィーダハウスへの作物の掻き込みをより確実に行いやすい収穫機械の掻込装置、掻込部材及び収穫機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る収穫機械の掻込装置は、掻込体を備える。前記掻込体は、回転軸を中心に回転する回転体の外周面のうち、フィーダハウスの取込口に対応する位置に配置される。前記掻込体は、刈り取られた作物を前記取込口から前記フィーダハウスに掻き込む。前記掻込体は、土台部と、突起部と、を有する。前記土台部は、前記回転軸に沿って長さを有し、前記回転体の前記外周面から突出する。前記突起部は、前記土台部から部分的に突出する。
【0008】
本発明の他の局面に係る掻込部材は、前記収穫機械の前記掻込装置に前記掻込体として用いられる。
【0009】
本発明の他の局面に係る収穫機械は、前記収穫機械の前記掻込装置と、前記回転体及び前記フィーダハウスを含む本体と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィーダハウスへの作物の掻き込みをより確実に行いやすい収穫機械の掻込装置、掻込部材及び収穫機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る収穫機械の掻込装置を示し、刈取装置におけるフィーダハウスの取込口の周辺部位を正面から見た概略図である。
図2図2は、実施形態1に係る収穫機械の概略左側面図である。
図3図3は、実施形態1に係る収穫機械の概略平面図である。
図4図4は、実施形態1に係る収穫機械の掻込装置を示し、回転体の概略斜視図である。
図5図5は、実施形態1に係る収穫機械の掻込装置を示し、回転体の概略斜視図である。
図6図6は、実施形態1に係る収穫機械の掻込装置を示し、回転体の概略左側面図である。
図7A図7Aは、実施形態1に係る掻込体を示す概略図である。
図7B図7Bは、実施形態1に係る掻込体を示す概略右側面図である。
図8A図8Aは、実施形態1の第1変形例に係る掻込体を示す概略図である。
図8B図8Bは、実施形態1の第2変形例に係る掻込体を示す概略図である。
図8C図8Aは、実施形態1の第3変形例に係る掻込体を示す概略図である。
図8D図8Bは、実施形態1の第4変形例に係る掻込体を示す概略図である。
図9図9は、実施形態2に係る収穫機械の掻込装置を示し、刈取装置におけるフィーダハウスの取込口の周辺部位を正面から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0013】
(実施形態1)
[1]全体構成
まず、本実施形態に係る収穫機械4の全体構成について、図2及び図3を参照して説明する。収穫機械4は、走行装置41、刈取装置42、脱穀装置43、選別装置44、貯留装置45、動力装置46及び運転部47等を備える。本実施形態では、収穫機械4は、制御装置、通信端末、燃料タンク及びバッテリ等を更に備える。
【0014】
本開示でいう「収穫機械」は、圃場にて作物の収穫作業を行う機械であって、一例として、収穫作業に加えて脱穀及び選別を行うコンバイン(コンバインハーベスタ)等を含む。収穫機械4としてのコンバインは、主として穀物の収穫作業に用いられ、圃場内を移動(走行)しながら、作物の刈り取りを行い、刈り取った作物を収穫する。特に、コンバインには、刈り取った作物全体を脱穀機(脱穀装置43)に送り込む普通型(汎用)コンバインと、刈り取った作物の穂先のみを脱穀機に送り込む自脱型コンバインとがあるところ、本実施形態では、普通型コンバインを収穫機械4の例として説明する。また、本実施形態では一例として、収穫機械4は、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)により動作することとするが、これに限らず、収穫機械4は、自動運転により動作する無人機であってもよい。
【0015】
本開示でいう「圃場」は、収穫機械4が収穫作業を行う領域であって、例えば、稲、麦、大豆又はそば等の収穫対象となる作物(農産物)を生育する田んぼ、畑、果樹園及び牧草地等を含む。本実施形態では一例として、収穫機械4による収穫対象が「小麦」であって、圃場が小麦を生育する屋外の畑である場合を例に挙げて説明する。
【0016】
本実施形態に係る掻込装置1(図1参照)は、このような収穫機械4に用いられ、刈り取られた作物を収穫機械4のフィーダハウス2に掻き込むように機能する。具体的には、収穫機械4の掻込装置1は、例えば、刈取装置42に含まれており、刈取装置42で刈り取られた穀稈等の作物を、フィーダハウス2の取込口21(図1参照)からフィーダハウス2に掻き込む。
【0017】
また、本実施形態では、説明の便宜上、収穫機械4が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D1と定義する。さらに、図3に示すように、収穫機械4(の運転部47)に乗っている人(操作者)から見た方向を基準として、前後方向D2及び左右方向D3を定義する。ただし、これらの方向は、収穫機械4及び掻込装置1の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
【0018】
走行装置41は、収穫機械4を前後方向D2及び左右方向D3に移動させることができる。例えば、収穫機械4は、圃場内を蛇行しながら収穫作業を実施する。一例として、収穫機械4は、圃場内を外側から内側に向かって右(又は左)に旋回しながら移動してもよく、この場合、収穫機械4の移動軌跡は渦巻き状の経路となる。
【0019】
刈取装置42は、圃場の作物(本実施形態では一例として小麦)を刈り取る。刈取装置42は、リール421、カッター422、回転体5、搬送コンベア424及びロータ425等を有する。リール421は、回転することによって作物の穀稈をカッター422へ案内する。カッター422は、リール421によって案内された穀稈を切断する。これにより、圃場に生育されている作物は穀稈の途中で切断されることになり、少なくとも穂先を含む穀稈が収穫機械4によって刈り取られることになる。
【0020】
回転体5は、このようにして刈り取られた穀稈をフィーダハウス2の取込口21からフィーダハウス2に掻き込むための掻込オーガである。回転体5は、ケース423に支持されており、ケース423内で回転する。ケース423は、取込口21にてフィーダハウス2につながっている。具体的には、回転体5は、刈り取られた穀稈を、左右方向D3に搬送し、フィーダハウス2の取込口21の前方位置に集合させる横送りスクリューである。
【0021】
フィーダハウス2は、刈取装置42と脱穀装置43との間に、刈り取られた作物(穀稈)を通すための経路の外郭を構成する。本実施形態では、脱穀装置43は刈取装置42の斜め上後方に位置する。フィーダハウス2は、一例として、断面矩形状である中空筒状(角筒状)であって、刈取装置42のケース423から脱穀装置43に向けて斜め上方に延びるように配置されている。刈取装置42で刈り取られた穀稈は、フィーダハウス2の前方側に開口する取込口21からフィーダハウス2へと掻き込まれ、フィーダハウス2の内部空間を通して脱穀装置43へと送られる。
【0022】
搬送コンベア424は、フィーダハウス2内に配置されている。搬送コンベア424は、回転体5によってフィーダハウス2の取込口21の前方位置に集められ、取込口21からフィーダハウス2に掻き込まれた穀稈を、フィーダハウス2の内部を通してロータ425まで搬送する。ロータ425は、搬送コンベア424により搬送されてくる穀稈を脱穀装置43へ送り込む。
【0023】
脱穀装置43は、刈取装置42により刈り取られた穀稈に対する脱穀処理を実行する。脱穀処理では、穀稈から穀粒を含む脱穀物を分離する。脱穀物は脱穀装置43から下方の選別装置44へ落下する。
【0024】
選別装置44は、脱穀装置43から落下する脱穀物から、穀粒を選別する選別処理を実行する。選別装置44は、例えば、脱穀物に対して斜め下方から風を当てつつ脱穀物をふるいにかけることにより、脱穀物から穀粒を選別する。
【0025】
脱穀装置43は、例えば、穀稈を脱穀装置43の前部から後方へ搬送しつつ穀稈に対する脱穀処理を実行する。同様に、選別装置44は、例えば、脱穀物を選別装置44の前部から後方へ搬送しつつ脱穀物に対する選別処理を実行する。
【0026】
貯留装置45は、縦搬送ダクト451、縦搬送コンベア452、グレンタンク453及び排出オーガ454等を有する。縦搬送ダクト451は、選別装置44とグレンタンク453の上部の入口とをつなぐダクトである。縦搬送コンベア452は、縦搬送ダクト451内で回転することにより穀粒を選別装置44からグレンタンク453内へ搬送するスクリューコンベアである。排出オーガ454は、グレンタンク453内の穀粒を収穫機械4の周囲の任意の場所へ排出する。
【0027】
動力装置46は、走行装置41、刈取装置42、脱穀装置43、選別装置44及び貯留装置45等の駆動源である。動力装置46は、動力源として、例えばディーゼルエンジン等のエンジンを有する。また、動力装置46は、動力源としてモータ(電動機)を有していてもよいし、エンジンとモータとを含むハイブリッド式の動力源を有していてもよい。
【0028】
運転部47には、操作者が着席する運転座席、並びに、操作者により操作されるハンドル、各種の操作レバー及び各種の操作スイッチ等の操作装置が設けられている。制御装置は、操作装置が受け付ける操作に応じて、走行装置41、刈取装置42、脱穀装置43、選別装置44、貯留装置45及び動力装置46等を制御する。例えば、操作装置には、エンジンON/OFFキーが含まれており、制御装置は、エンジンON/OFFキーがオンに切り替えられた場合に動力装置46のエンジンを始動させ、エンジンON/OFFキーがオフに切り替えられた場合にエンジンを停止させる。
【0029】
通信端末は、収穫機械4の外部のサーバ等と通信を行う。ここでは、通信端末は、収穫機械4の稼働状況、収穫機械4の現在位置、作物の収穫量(収量)、作物の食味(タンパク質含有量又は水分含有量等を含む)、作業時間又は作業効率等に関する情報を、サーバ等に適宜送信する。本実施形態では、通信端末は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを用いて、収穫機械4の現在位置を検出可能に構成されている。また、通信端末は、収穫機械4の運転支援又は自動運転等に係る制御情報をサーバ等から受信してもよい。一例として、収穫量に関する情報(収量データ)は、収穫機械4に備わっているセンサー(穀粒センサー)により、収穫された穀粒量を検出することで取得可能である。この種のセンサーは、一例として、グレンタンク453の上面に取り付けられる歪みゲージ又は圧電素子等の衝撃検出部を含み、縦搬送コンベア452によってグレンタンク453へ向けて搬送された穀粒が、衝撃検出部に衝突した際の衝撃力を検出する。もちろん、収穫機械4の収穫量の取得手法は、これに限定されない。
【0030】
[2]掻込装置の構成
次に、本実施形態に係る収穫機械4の掻込装置1の構成について、図1図4図6を参照して説明する。
【0031】
図1は、刈取装置42におけるフィーダハウス2の取込口21の周辺部位を正面から見た状態を示す概略図であって、取込口21には網掛け(ハッチング)を付し、本来ならば取込口21内に見える搬送コンベア424等の図示を省略している。さらに、本実施形態では、収穫機械4に乗っている人から見た方向を基準として左右方向D3を定義しているため、収穫機械4を正面から見た図1においては、左右方向D3の「右」が紙面の「左」に、左右方向D3の「左」が紙面の「右」に相当する。
【0032】
本実施形態に係る掻込装置1は、刈取装置42の回転体5に取り付けられる(又は一体化される)ことで、刈取装置42で刈り取られた作物(穀稈)を、回転体5の回転に伴ってフィーダハウス2の取込口21からフィーダハウス2に掻き込む。本開示でいう「掻き込む」は、複数の対象物(刈り取られた作物等)を、掻き集めるようにして、ある位置から所定の位置へ送り込む、つまり移動させることを意味する。つまり、掻込装置1は、刈取装置42にて次々に刈り取られる作物(穀稈)を、フィーダハウス2の取込口21からフィーダハウス2の内部空間へと送り込むように機能する。
【0033】
まず前提として、本実施形態では、上述したように、回転体5は、刈り取られた穀稈を左右方向D3に搬送する横送りスクリューからなる、掻込オーガである。そのため、回転体5は、図1図4及び図5に示すように、回転軸Ax1を中心に回転する回転体本体51と、スクリューの羽根として機能する一対の搬送体52,53と、を有している。回転体5は、ケース423の内側で回転可能となるようにケース423に支持されており、動力装置46からの動力を受けて一方向に回転する。図4及び図5等においては、回転体5の回転方向を矢印「R1」で示している。
【0034】
より詳細には、回転体本体51は、左右方向D3の一方から見て円形状(真円形状)となる円柱状(円筒状)を有しており、左右方向D3に延びる回転軸Ax1を中心に回転(自転運動)する。ここで、回転体本体51の外周面が、回転体5の外周面511を構成する。また、ここでいう「回転軸」は、実体を伴わない仮想軸であって、本実施形態では、左右方向D3の一方から見たときの回転体本体51の中心を通る仮想軸を、回転軸Ax1としている。回転体本体51は、左右方向D3に長さを有しており、長手方向(左右方向D3)の両端部が、ケース423に支持される。
【0035】
一対の搬送体52,53は、回転体5の外周面511から突出する螺旋状の部品である。一対の搬送体52,53は、回転体5の回転時に、回転軸Ax1に沿う方向において取込口21の両側から作物を取込口21側に搬送する。具体的には、一対の搬送体52,53としての第1の搬送体52及び第2の搬送体53は、いずれも螺旋状の羽根である。第1の搬送体52は、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)に一定のピッチで螺旋状に形成されている。第2の搬送体53は、第1の搬送体52と同ピッチで、かつ第1の搬送体52とは逆巻き(逆位相)となる螺旋状に形成されている。第1の搬送体52は、回転体本体51の右端部から取込口21に対応する位置にかけて設けられている。第2の搬送体53は、回転体本体51から取込口21に対応する位置にかけて設けられている。そのため、回転体5(回転体本体51)の回転に伴って、第1の搬送体52は取込口21の右側から作物を左方へと搬送し、第2の搬送体53は取込口21の左側から作物を右方へと搬送する。これにより、回転体5が回転することで、一対の搬送体52,53は、左右方向D3における取込口21の両側から作物(穀稈)を取込口21の前方位置に集合させる。
【0036】
本実施形態に係る掻込装置1は、このような回転体5の外周面511に配置される掻込体10を備えており、刈り取られた作物(穀稈)を、掻込体10にてフィーダハウス2の取込口21からフィーダハウス2に掻き込む。本開示でいう「掻き込む」は、複数の対象物(刈り取られた作物等)を、掻き集めるようにして、ある位置から所定の位置へ送り込む、つまり移動させることを意味する。つまり、掻込装置1は、刈取装置42にて次々に刈り取られる作物(穀稈)を、フィーダハウス2の取込口21からフィーダハウス2の内部空間へと送り込むように機能する。
【0037】
ところで、例えば、収穫機械4の移動速度が比較的高速である場合等には、回転体5の回転速度(回転数)も高速になるため、掻込装置1による作物の掻き込みが不十分であると、ケース423内に作物が滞留しやすくなる。特に、本実施形態のように回転体5が回転に伴って、作物(穀稈)を取込口21の前方位置に集合させるような構成であれば、取込口21の前方位置からフィーダハウス2への掻き込みが不十分であると、取込口21の前方位置に作物が滞留する可能性がある。
【0038】
本実施形態に係る掻込装置1は、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより確実に行いやすい構成を採用することで、このような作物の滞留を生じにくくする。
【0039】
すなわち、掻込装置1は、図1に示すように、掻込体10を備えている。掻込体10は、回転軸Ax1を中心に回転する回転体5の外周面511のうち、フィーダハウス2の取込口21に対応する位置に配置される。掻込体10は、刈り取られた作物を取込口21からフィーダハウス2に掻き込むように機能する。ここで、掻込体10は、土台部11と、突起部12と、を有している。土台部11は、回転軸Ax1に沿って長さを有し、回転体5の外周面511から突出する。突起部12は、土台部11から部分的に突出する。
【0040】
このように本実施形態に係る掻込装置1では、掻込体10が、土台部11と、土台部11から部分的に突出する突起部12とを有することで、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより確実に行いやすくなる。要するに、掻込体10は、回転体5の外周面511に配置されているため、回転体5の回転に伴って、回転軸Ax1を中心に回転(公転運動)する。このとき、掻込体10の土台部11を作物に押し付けながら、回転軸Ax1周りで回転体5の外周面511に沿って掻込体10が作物を搬送することにより、掻込体10が取込口21の前方位置を通るタイミングで、フィーダハウス2に作物が掻き込まれる。そして、土台部11からは突起部12が部分的に突出するので、掻込体10の先端は、例えば鋸刃のように、平坦ではなくギザギザの形状となる。そのため、突起部12によれば、平坦な土台部11の先端に対して、作物の適度な引っ掛かり及び作物との適度な摩擦を付与することができる。
【0041】
したがって、掻込体10が作物に対して空回りするような状態が生じにくくなり、回転体5の回転時における掻込体10による作物の掻込効率が向上し、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより確実に行いやすい、という利点がある。その結果、本実施形態に係る掻込装置1によれば、作物の滞留を生じにくくすることができる。
【0042】
さらに詳細に説明すると、掻込体10は、図1の吹き出し内に示すように、左右方向D3に長さを有する矩形状(帯状)の土台部11と、土台部11の先端から部分的に突出する複数の突起部12を有している。掻込体10は、1つの土台部11に対して5つの突起部12を有している。本実施形態では、複数(ここでは5つ)の突起部12の形状は共通である。そして、突起部12は、少なくとも回転軸Ax1に沿う方向の寸法が先端側ほど小さくなる先細り形状である。例えば、図1に示すように、各突起部12は、正面視が略三角形状となるような先細り形状を有する。このような形状によれば、突起部12として必要な強度を維持しつつ、作物の適度な引っ掛かり及び作物との適度な摩擦を、突起部12にて付与しやすくなる。
【0043】
さらに、本実施形態では、掻込体10は、例えば金属板等の、板状の部品にて構成されている。特に、本実施形態では、掻込体10が3つの掻込片100を含んでおり、これら3つの掻込片100の各々が板状の部品からなる。3つの掻込片100は、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)に隙間をあけずに並んでいる。そして、3つの掻込片100のうち左右方向D3の両側に位置する掻込片100は、1つの突起部12を有し、中央に位置する掻込片100は、3つの突起部12を有する。そのため、左右方向D3の中央に位置する掻込片100は、左右方向D3の両側に位置する掻込片100に比較して、左右方向D3の寸法が3倍となる。図1の吹き出し内においては、土台部11と突起部12との境界を想像線(二点鎖線)で示しているが、実際には、土台部11と突起部12とはシームレスに連続する。
【0044】
また、本実施形態では、掻込体10は、回転体5に対して取り外し可能に取り付けられる。つまり、掻込体10は、例えば、溶接又は接着等により回転体5と一体化されているのではなく、少なくとも非破壊で回転体5から取り外せるような態様で、回転体5に固定されている。具体的には、回転体5の外周面511には、外周面511に対して一対の搬送体52,53の間にわたって取付台54が設けられている。取付台54は、一例として、図5及び図6に示すように、断面V字状のステー金具である。掻込体10は、例えば、複数(ここでは3つ)の掻込片100が取付ステー13(図5参照)に取り付けられることで一体化された状態で、取付ステー13を取付台54に結合することにより回転体5に取り付けられる。ここで、取付台54に対する取付ステー13の結合には、例えば、ねじ、ボルト又はナット等の締結具が用いられる。さらに、取付ステー13に対する掻込片100の取り付けに関しても、例えば同様の締結具が用いられることで、掻込片100が取付ステー13に対して取り外し可能に取り付けられることが好ましい。
【0045】
このように、掻込体10は、回転体5に対して取り外し可能であることで、例えば、掻込体10を収穫機械4のオプションとして任意に追加可能としたり、掻込体10を交換したりすることが可能となる。掻込体10が交換できれば、劣化した掻込体10の交換(メンテナンス)だけでなく、例えば、複数種類の掻込体10の中から任意の掻込体10を選択して取り付けること等も可能となる。一例として、収穫機械4の種類、収穫対象である作物の種類、又は圃場の状態等に応じて、掻込体10を変更することが好ましい。
【0046】
さらに、掻込体10は、1つ、2つ又は3つ等の所定数の突起部12を単位にして、回転体5から取り外し可能であってもよい。この場合、例えば、突起部12を2つだけ外す等により、突起部12の数(個数)及び配置を変更することが可能である。この場合、土台部11についても、突起部12と同様に複数に分割され、1つ、2つ又は3つ等の所定数の土台部11を単位にして、突起部12と共に取り外し可能に構成されることが好ましい。つまり、本実施形態のように、掻込体10が複数の掻込片100からなる場合には、掻込片100単位で、回転体5から取り外し可能であることが好ましい。
【0047】
ここで、掻込体10の取り付けは、取付台54に取付ステー13を結合する態様に限らず、例えば、取付台54を用いずに、掻込片100又は取付ステー13が、直接的に回転体5に取り付けられてもよい。さらに、回転体5の外周面511に、メンテナンス等に際して回転体本体51内へアクセスするための開口を塞ぐ蓋55が設けられている場合、この蓋55を固定する締結具を利用して掻込体10が取り付けられてもよい。つまり、蓋55を回転体本体51に固定するための締結具により、掻込片100又は取付ステー13を共締めすることで、掻込片100又は取付ステー13が、直接的に回転体5に取り付けられてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、掻込体10は、回転軸Ax1と平行に配置されている。すなわち、掻込体10は、土台部11の長手方向を回転軸Ax1と平行とするように配置されている。これにより、回転体5の回転に伴って、掻込体10が回転軸Ax1を中心に回転(公転運動)したときに、掻込体10を作物にまっすぐ押し付けることができ、掻込体10が作物に斜めに当たる場合に比べて、作物を効率的に搬送することができる。
【0049】
また、本実施形態では、掻込体10は、回転体5の周方向に並べて複数設けられている。つまり、本実施形態に係る掻込装置1は、複数の掻込体10を備えている。本実施形態では一例として、回転体5の周方向、つまり回転軸Ax1周りの回転体5の回転方向R1において、掻込体10が2つ設けられている。複数(本実施形態では2つ)の掻込体10は、回転体5の周方向に所定の間隔で配置されている。ここでは、2つの掻込体10は、同一の形状を採用しており、それぞれ突起部12を5つずつ有している。本実施形態では一例として、2つの掻込体10は、回転体5の周方向において180度の間隔で配置されている。このように、複数の掻込体10が設けられることで、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより効率的に実現可能となる。
【0050】
一方、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)においては、掻込体10は、少なくともフィーダハウス2の取込口21に対応する位置に配置される。つまり、掻込体10は、少なくとも一部がフィーダハウス2の取込口21に対応する位置(本実施形態では取込口21の前方位置)にあればよい。特に、掻込装置1が複数の掻込体10を備える場合、これら複数(本実施形態では2つ)の掻込体10のいずれもが、フィーダハウス2の取込口21に対応する位置に配置される。
【0051】
ここに、本実施形態では、図1に示すように、複数の掻込体10の少なくとも一部は、回転軸Ax1に沿う方向にずれて配置されている。つまり、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)において、2つの掻込体10のうちの一方の掻込体10は、他方の掻込体10に対してずれた位置に配置されている。図1の例では、各掻込体10が、それぞれ他方の掻込体10の端縁から、左右方向D3において突起部12の略4つ分だけはみだすように配置されている。本実施形態では、掻込体10が2つであるので、これら2つの掻込体10が互いにずれて配置されているが、掻込体10が3つ以上ある場合、3つ以上の掻込体10の一部(例えば1つの掻込体10)のみが、他の掻込体10に対してずれて配置されてもよい。もちろん、3つ以上の掻込体10の全てが、互いにずれて配置されてもよい。このように、複数の掻込体10がずれて配置されることで、個々の掻込体10の左右方向D3の寸法を小さく抑えながらも、複数の掻込体10全体でカバーできる左右方向D3の範囲を比較的大きく確保できる。したがって、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより効率的に実現可能となる。
【0052】
さらに、掻込体10は、回転軸Ax1に沿う方向における取込口21の両端部間において隙間なく配置されている。つまり、左右方向D3においては、取込口21の両端部間にわたって隙間を空けずに掻込体10が配置されている。具体的には、複数(2つ)の掻込体10が左右方向にずれて配置されているので、これら複数(2つ)の掻込体10は、左右方向D3において、互いに一部同士を重複(オーバーラップ)させるように配置されている。これにより、図1に示すように、左右方向D3における取込口21の幅W1に対応する範囲を、掻込体10にて隙間なくカバーすることができ、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより効率的に実現可能となる。ただし、掻込体10は、左右方向D3における取込口21の両端部の「間」(つまり中間部)において隙間なく配置されていればよく、左右方向D3における取込口21の両端部においては、掻込体10にてカバーされない「隙間」があってもよい。言い換えれば、掻込体10は、左右方向D3における取込口21の幅W1の略全域をカバーしていればよい。
【0053】
また、本実施形態では、掻込体10は、一対の搬送体52,53の間にわたって設けられている。すなわち、上述のように、回転体5は、左右方向D3における取込口21の両側から作物(穀稈)を取込口21の前方位置に集合させる一対の搬送体52,53を有している。これら一対の搬送体52,53は、取込口21に対応する位置(取込口21の前方位置)にもかかるように配置されているが、取込口21の幅W1内には、一対の搬送体52,53のいずれも存在しない領域がある。そこで、このように一対の搬送体52,53のいずれも存在しない領域を、掻込体10が埋めるように、掻込体10が一対の搬送体52,53の間にわたって設けられる。具体的には、複数(2つ)の掻込体10が左右方向にずれて配置されているので、これら複数(2つ)の掻込体10にて、一対の搬送体52,53の間を埋めるように、掻込体10が配置される。これにより、掻込体10は、一対の搬送体52,53と協働し、取込口21の両側から取込口21の前方位置に集合させられた作物を効率的にフィーダハウス2に掻き込むことができる。
【0054】
ところで、本実施形態に係る掻込装置1は、掻込フィンガ14を更に備えている。掻込フィンガ14は、回転体5の外周面511に配置される。掻込フィンガ14は、回転体5の回転に伴って回転体5の外周面511から出没する。掻込体10と掻込フィンガ14の少なくとも一部とは、回転体5の周方向に並ぶ。すなわち、掻込装置1は、掻込体10とは別に、回転体5の外周面511から出没可能に構成された掻込フィンガ14を備えている。本実施形態では、掻込装置1は、複数の掻込フィンガ14を備えている。これら複数の掻込フィンガ14のうちの少なくとも一部は、掻込体10と回転体5の周方向、つまり回転軸Ax1周りの回転体5の回転方向R1において、掻込体10と並ぶように配置されている。この構成によれば、掻込体10は、掻込フィンガ14と協働し、作物をより効率的にフィーダハウス2に掻き込むことができる。つまり、本実施形態の掻込体10と、掻込フィンガ14との相乗効果により、飛躍的に作物の掻込効率が向上する。
【0055】
さらに、回転体5のうち、回転軸Ax1に沿う方向において、掻込体10が配置される範囲は、掻込フィンガ14が配置される範囲よりも狭い。すなわち、図1及び図4に示すように、回転体5の外周面511において、掻込体10が配置される範囲は、左右方向D3における取込口21の幅W1に対応する範囲と略一致する。これに対して、複数の掻込フィンガ14は、取込口21の幅W1に対応する範囲を超えて、回転体本体51の全長にわたって配置されている。したがって、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)において、(複数の)掻込フィンガ14が配置される範囲よりも、掻込体10が配置される範囲の方が狭い。この構成によれば、掻込体10による強力な掻き込みは、必要な箇所(取込口21の幅W1に対応する範囲)でのみ行われ、例えば、一対の搬送体52,53による左右方向D3への作物の搬送等が掻込体10にて阻害されにくい。掻込フィンガ14について詳しくは「[4]掻込フィンガの具体的構成」の欄で説明する。
【0056】
ところで、上述した収穫機械4の掻込装置1に掻込体10として用いられる部品は、それ単独でも流通する。例えば、上述したように収穫機械4の種類等に応じて掻込体10を変更可能とする場合、掻込体10として用いられる部品(掻込部材)が複数種類用意される。言い換えれば、本実施形態に係る掻込部材は、上述した収穫機械4の掻込装置1に掻込体10として用いられる。
【0057】
また、上述した掻込装置1は、収穫機械4の本体40(図2及び図3参照)と共に、収穫機械4を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る収穫機械4は、収穫機械4の掻込装置1と、本体40と、を備える。本体40は、回転体5及びフィーダハウス2を含む。要するに、掻込装置1が本体40の回転体5に備わった状態では、掻込装置1は収穫機械4の構成要素の一部を成す。
【0058】
本実施形態では、掻込体10、取付ステー13及び掻込フィンガ等の、掻込装置1の構成要素は、基本的に金属製であって、必要な強度及び対候性等に応じて材質が選択される。ただし、掻込装置1の構成要素は金属製に限らず、例えば、樹脂又は木材等が適宜用いられてもよい。
【0059】
[3]掻込体の具体的構成
次に、本実施形態に係る掻込装置1の掻込体10の具体的構成について、図7A及び図7Bを参照して説明する。
【0060】
図7Aに示すように、掻込体10は、正面視矩形状の土台部11と、土台部11の先端(図7Aの上端)から突出する正面視略三角形状の突起部12と、を有している。ここで、突起部12の先端は平坦である。図7Aでは、突起部12を1つのみ有する掻込片100を単体で示している。つまり、図7Aに示すのは土台部11の一部であって、また、掻込体10は、図7Aのような突起部12を、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)に複数備えている。図7Aにおいては、土台部11と突起部12との境界を想像線(二点鎖線)で示しているが、実際には、土台部11と突起部12とはシームレスに連続する。
【0061】
ここで、掻込体10の突出方向において、土台部11の寸法L1と、突起部12の寸法L2とでは、土台部11の寸法L1の方が小さい関係にある(L1<L2)。ただし、土台部11の寸法L1と、突起部12の寸法L2との差は比較的小さいことが好ましい。そのため、土台部11の寸法L1は、突起部12の寸法L2以下で、寸法L2の3分の2以上であることが好ましい。さらに、土台部11の寸法L1は、寸法L2の5分の4以上であることがより好ましく、寸法L2の10分の9以上であることがより好ましい。一例として、土台部11の寸法L1が41mmのときに、突起部12の寸法L2は43mmである。
【0062】
また、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)において、突起部12の基端部の寸法L3と、先端部の寸法L4とでは、先端部の寸法L4の方が小さい関係にある(L4<L3)。ここで、突起部12の先端部の寸法L4は、基端部の寸法L3未満で、寸法L3の20分の1以上であることが好ましい。さらに、先端部の寸法L4は、寸法L3の10分の1以上であることがより好ましい。一例として、先端部の寸法L4が8mmのときに、基端部の寸法L3は76mmである。
【0063】
また、掻込体10を回転体5に取り付けるための取付孔15は、突起部12ではなく土台部11に設けられることが好ましい。取付孔15は、取付ステー13に対する掻込片100の取り付けに際し、例えばねじ、ボルト又はナット等の締結具が貫通する孔である。図7Aでは、取付孔15が4つ設けられているが、取付孔15の数を限定する趣旨ではなく、例えば、図1等のように、取付孔15は2つであってもよい。
【0064】
ここで、図7Bに示すように、突起部12は、回転体5の外周面511の法線L10に対して、回転体5の回転方向R1とは反対側に傾斜している。すなわち、突起部12は、先端側(土台部11とは反対側)が、法線L10に対して回転方向R1とは反対側に傾斜した、後傾姿勢をとる。法線L10に対する突起部12の傾斜角度θ1は、1度以上、30度以下であることが好ましい。傾斜角度θ1は、3度以上、5度以上又は7度以上であることがより好ましい。傾斜角度θ1は、20度以下、15度以下又は10度以下であることがより好ましい。一例として、傾斜角度θ1は8度である。これにより、掻込体10が作物を掻き込む際、突起部12への作物の過度な引っ掛かりが生じにくく、作物の掻き込みをより効率的に行うことができる。本実施形態では、土台部11及び複数の突起部12が同一平面内にあるので、土台部11についても、回転体5の外周面511の法線L10に対して、回転体5の回転方向R1とは反対側に傾斜する。
【0065】
[4]掻込フィンガの具体的構成
次に、本実施形態に係る掻込装置1の掻込フィンガ14の具体的構成について、図6を参照して説明する。図6においては、回転体5の回転方向R1は反時計回りである。
【0066】
掻込フィンガ14は、回転体5の周方向において、所定の間隔をあけて複数本で一組を成すように設けられている。図6の例では、4本の掻込フィンガ14が組を成し、これら4本の掻込フィンガ14は、回転体5の外周面511の周方向に90度間隔で配置された出没孔512内に挿通されている。掻込装置1は、回転体本体51の内部に出没機構16を備えている。出没機構16は、掻込フィンガ14の基端部に連結されており、回転体本体51の回転に伴って、掻込フィンガ14を回転体5の外周面511から間欠的に放射方向に向けて出没させる。
【0067】
すなわち、出没機構16は、回転軸Ax1からずれた位置にある偏心軸Ax2を中心に回転し、回転体本体51の回転と連動して、回転体本体51の外周面511の上部及び前部において、出没孔512を通して外周面511から掻込フィンガ14を突出させる。一方、出没機構16は、回転体本体51の外周面511の下部及び後部において、出没孔512を通して回転体本体51内に掻込フィンガ14を収容させる。この際、掻込フィンガ14は、前方に向く位置において、外周面511から最大限に突出される一方、後方に向く位置において、回転体本体51内に完全に収容される。
【0068】
そして、回転体本体51から突出した各掻込フィンガ14は、ケース423内に集結する作物(穀稈)に交差状に掻込作用し、作物を斜め後ろ下方、更には後方へ搬送し、取込口21からフィーダハウス2内に作物を掻き込む。掻込フィンガ14の突出量は、最大で、一対の搬送体52,53の外周面から更に突出する程度に設定される。
【0069】
[5]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0070】
掻込体10の形状及び寸法等は、実施形態1で説明した態様に限らない。例えば、図8A図8Dに示すように、様々な形状の掻込体10を採用し得る。図8A図8Dでは、突起部12を1つのみ有する掻込片100を単体で示している。つまり、図8A図8Dに示すのは土台部11の一部であって、また、掻込体10は、図8A図8Dのような突起部12を、回転軸Ax1に沿う方向(左右方向D3)に複数備えている。
【0071】
第1変形例に係る掻込体10は、図8Aに示すように、突起部12の先端が平坦ではなく鋭角である。第2変形例に係る掻込体10は、図8Bに示すように、突起部12が先細り形状ではなくピン形状(スパイク形状)である。第3変形例に係る掻込体10は、図8Cに示すように、突起部12が先細り形状ではあるものの、先端側ほど段階的(不連続)に細くなる階段形状である。第4変形例に係る掻込体10は、図8Dに示すように、突起部12の先端が湾曲したR形状である。もちろん、図8A図8Dは一例に過ぎず、さらに他の形状の掻込体10を採用してもよい。また、掻込装置1は、突起部12の形状が異なる掻込体10を組み合わせてもよく、一例として、掻込装置1は、1つの土台部11に対して、第1変形例に係る掻込体10の突起部12と、第2変形例に係る掻込体10の突起部12とを備えてもよい。
【0072】
また、掻込体10が備える突起部12の数についても、実施形態1で説明した数(5つ)に限らない。例えば、掻込体10は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は6つ以上の突起部12を備えていてもよい。さらに、掻込体10が、1又は複数の突起部12を含む複数の掻込片100に分割されることは必須の構成ではなく、1つの掻込片100にて掻込体10が実現さてもよい。
【0073】
また、突起部12が外周面511の法線L10に対して、回転体5の回転方向R1とは反対側に傾斜していることは、必須の構成ではない。つまり、突起部12は、外周面511の法線L10に対して平行であってもよいし、回転体5の回転方向R1側に傾斜していてもよい。
【0074】
また、掻込装置1が2つの掻込体10を備えることは必須の構成ではなく、掻込装置1は、1つの掻込体10、又は3つ以上の掻込体10を備えていてもよい。さらに、掻込体10が1つのみの場合にも、掻込体10は、回転軸Ax1に沿う方向における取込口21の両端部間において隙間なく配置されることが好ましい。ただし、掻込体10が取込口21の両端部間において隙間なく配置されることも必須の構成ではなく、掻込体10は取込口21の両端部間において隙間を空けて配置されてよい。
【0075】
また、複数の掻込体10の少なくとも一部が左右方向D3にずれて配置されることは必須の構成ではなく、複数の掻込体10は左右方向D3の同位置に配置されてもよい。さらに、掻込体10が一対の搬送体52,53の間にわたって設けられることも必須の構成ではなく、そもそも回転体5が一対の搬送体52,53を備えなくてもよい。
【0076】
また、掻込体10が配置される範囲が、掻込フィンガ14が配置される範囲よりも狭いことは必須の構成ではない。つまり、回転体5のうち回転軸Ax1に沿う方向において、掻込体10が配置される範囲は、掻込フィンガ14が配置される範囲と同じ、又は当該範囲より広くてもよい。さらに、掻込装置1が掻込フィンガ14を備えることも必須ではなく、掻込フィンガ14は適宜省略可能である。
【0077】
また、掻込体10の回転体5に対する取り付け態様は、締結具を用いる態様に限らず、例えば、嵌め込み式(嵌合方式)等であってもよい。さらに、掻込体10が回転体5に対して取り外し可能であることも必須ではなく、掻込体10は、例えば、溶接又は接着等により回転体5と一体化されてもよい。
【0078】
また、掻込体10が回転軸Ax1と平行に配置されることは必須の構成ではなく、掻込体10は、例えば、回転軸Ax1に対して傾斜した状態、又は湾曲した状態で配置されてもよい。
【0079】
また、掻込装置1が用いられる収穫機械4は、普通型コンバインに限らず、自脱型コンバインであってもよいし、コンバイン以外の収穫機械であってもよい。収穫機械4による収穫対象は、「小麦」に限らず、更には穀物にも限らない。
【0080】
(実施形態2)
本実施形態に係る掻込装置1Aは、図9に示すように、掻込体10の形状が、実施形態1に係る掻込装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0081】
本実施形態では、複数の突起部12の回転体5の外周面511からの高さが、回転軸Ax1に沿う方向における位置によって異なる。つまり、回転体5の外周面511からの高さ(突出量)は、複数の突起部12において均一ではなく、左右方向D3における突起部12の位置によって異なる。この構成によれば、回転体5の回転時に突起部12から作物(穀稈)に作用する力(掻込力)を、回転軸Ax1に沿う方向の位置ごとに調節することが可能となる。これにより、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより効率的に実現可能となる。
【0082】
特に、本実施形態では、複数の突起部12の回転体5の外周面511からの高さは、回転軸Ax1に沿う方向における取込口21の中心側ほど高い。つまり、回転体5の外周面511からの高さ(突出量)は、複数の突起部12の中でも、左右方向D3において取込口21の中心に近いほどに大きくなる。図9の例では、掻込体10が7つの突起部12を有しており、このうち取込口21の中心に近い5つの突起部12は、他の2つの突起部12よりも外周面511からの高さ(突出量)が大きい。この構成によれば、回転体5の回転時に突起部12から作物(穀稈)に作用する力(掻込力)を、取込口21の中心側で大きくなるように、調節することが可能となる。これにより、フィーダハウス2への作物の掻き込みをより効率的に実現可能となる。
【0083】
また、本実施形態に係る掻込装置1Aは、上述した事項以外に、1つの掻込片100につき1つの突起部12が設けられている点でも、実施形態1とは相違する。さらに、本実施形態に係る掻込装置1Aは、掻込フィンガ14を備えない点でも、実施形態1とは相違する。実施形態2の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,1A 掻込装置
2 フィーダハウス
4 収穫機械
5 回転体
10 掻込体(掻込部材)
11 土台部
12 突起部
14 掻込フィンガ
21 取込口
40 本体
52,53 搬送体
511 (回転体の)外周面
Ax1 回転軸
L10 法線
R1 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9