IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DMG森精機株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110731
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ワーク装着システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20220722BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20220722BHJP
   B23B 31/00 20060101ALI20220722BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B25J13/00 A
B23Q7/04 B
B23Q7/04 K
B23B31/00 D
B23Q17/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006321
(22)【出願日】2021-01-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】長末 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
【テーマコード(参考)】
3C029
3C032
3C033
3C707
【Fターム(参考)】
3C029EE06
3C029EE20
3C032GG34
3C033BB01
3C033HH22
3C033HH27
3C033HH30
3C707BS10
3C707DS01
3C707ES03
3C707KS05
3C707KS16
3C707KS36
3C707KT02
3C707KT05
3C707KX02
3C707LT12
3C707LW03
3C707MT08
(57)【要約】
【課題】ロボットのハンド部によるワークの把持不良が生じたとしても、該ワークを工作機械のワーク装着部に所定のセット姿勢で装着可能なワーク装着システムを提供する。
【解決手段】ワーク装着システムは、ハンド部29に把持されたワークWを撮像可能なカメラ31a,31bと、ロボットのハンド部29にワークWが正規の姿勢で把持された状態でカメラ31a,31bにより撮像したワークWの画像を基準画像として予め記憶しておく基準画像記憶部と、ロボットを制御する制御装置とを備えている。制御装置は、ワークセット処理の実行に際して、ロボットのハンド部29にワークWを把持させた状態でカメラ31a,31bにワークWの画像を撮像させ、カメラ31a,31bによるワークWの撮像画像と基準画像記憶部に記憶された基準画像との比較を基に、ワーク装着部へのワークWのセット姿勢が所定のセット姿勢になるようにロボットの動作を制御する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンド部を有するロボットと、前記ロボットを制御することで、所定位置に載置されたワークを該ハンド部に把持させて工作機械内のワーク装着部にセットさせるワークセット処理を実行する制御装置と、を備えたワーク装着システムであって、
前記ロボットのハンド部に設けられ、該ハンド部に把持された前記ワークを撮像可能なカメラと、
前記ロボットのハンド部により前記ワークが正規の姿勢で把持された状態で前記カメラにより撮像した当該ワークの画像を基準画像として予め記憶しておく基準画像記憶部とをさらに備え、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記カメラに当該ワークの画像を撮像させ、該カメラによる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部への前記ワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることを特徴とするワーク装着システム。
【請求項2】
ハンド部を有するロボットと、前記ロボットを制御することで、所定位置に載置されたワークを該ハンド部に把持させて工作機械内のワーク装着部にセットさせるワークセット処理を実行する制御装置と、を備えたワーク装着システムであって、
前記工作機械に設けられ、該工作機械内において前記ロボットが所定姿勢を取った状態で前記ハンド部に把持された前記ワークを撮像可能なカメラと、
前記ロボットが前記所定姿勢を取り且つ前記ハンド部により前記ワークが正規の姿勢で把持された状態で前記カメラにより撮像した当該ワークの画像を基準画像として予め記憶しておく基準画像記憶部とを備え、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記ロボットに前記所定姿勢を取らせて、該所定姿勢において前記カメラに当該ワークの画像を撮像させ、該カメラによる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部への前記ワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることを特徴とするワーク装着システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記撮像画像と前記基準画像との前記比較に際して、両画像間にずれが存在するか否かを判定し、ずれが存在すると判定した場合には、このずれに関する情報を基に、前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢とのずれを算出して、算出した該ずれを基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるよう前記ロボットの動作補正を行う一方、前記両画像間にずれが存在しないと判定した場合には前記ロボットの動作補正を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のワーク装着システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記両画像間にずれが存在すると判定した場合であっても、該ずれに関する情報を基に算出される前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢とのずれの度合が所定以上であるときには、前記ロボットに、前記ハンド部にて把持したワークを前記所定位置に戻させた後、該ハンド部による当該ワークの把持をやり直させるように構成されていることを特徴とする請求項3記載のワーク装着システム。
【請求項5】
前記ワークは軸状部材であり
前記カメラは、複数設けられ
複数の前記カメラは、第一カメラと第二カメラとを含み、該第一カメラ及び第二カメラが、前記ロボットのハンド部に正規の姿勢で把持されたワークの軸線方向から見て、該ワークの軸線を通り且つ所定方向に延びる直線に対して線対称に位置するとともに、該第一カメラ及び第二カメラのそれぞれの光軸が前記所定方向に対して所定角度で傾斜するように配置されており、
前記基準画像記憶部には、前記基準画像として、前記第一カメラにより撮像した第一基準画像と、前記第二カメラにより撮像した第二基準画像とが記憶され、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記第一カメラ及び第二カメラに当該ワークの画像を撮像させ、前記第一カメラよる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第一基準画像との比較、及び、前記第二カメラよる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第二基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のワーク装着システム。
【請求項6】
前記所定角度は45°であることを特徴とする請求項5記載のワーク装着システム。
【請求項7】
前記ワークは軸状部材であり、
前記ワーク装着部は、水平方向に延びて前記ワークが挿入される挿入空間部からなり、
前記工作機械は、前記挿入空間部に対するワーク挿入方向及び鉛直方向の双方に直交する軸線回りに回動可能に構成されて前記カメラを保持する保持部材と、前記保持部材を、前記カメラの光軸が鉛直方向を向く第一位置と、該カメラの光軸が鉛直方向に対して所定角度で交差する第二位置との間で駆動する駆動部とを有し、
前記基準画像記憶部には、前記基準画像として、前記保持部材が前記第一位置にある状態で前記ハンド部に正規の姿勢で把持されたワークを前記カメラにより撮像した第一位置基準画像と、前記保持部材が前記第二位置にある状態で前記ハンド部に正規の姿勢で把持されたワークを前記カメラにより撮像した第二位置基準画像とが記憶されており、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記ロボットに前記所定姿勢を取らせて、該所定姿勢において前記駆動部により前記保持部材を前記第一位置に位置させた状態で前記カメラに撮像させた当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第一位置基準画像との比較、及び、前記所定姿勢において前記駆動部により前記保持部材を前記第二位置に位置させた状態で前記カメラに撮像させた当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第二位置基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のワーク装着システム。
【請求項8】
前記工作機械は、加工工具を着脱可能な工具主軸が設けられ、
前記カメラは、前記加工工具に代えて前記工具主軸に着脱可能に構成され、
前記工具主軸が前記保持部材として兼用されていることを特徴とする請求項7記載のワーク装着システム。
【請求項9】
前記ハンド部は、複数の把持部材によって、又は、エアーによる吸引力によって、又は、磁石の磁力によって前記ワークを把持するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のワーク装着システム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ハンド部を有するロボットと、ロボットを制御することで、所定位置に載置されたワークをハンド部に把持させて工作機械内のワーク装着部にセットさせるワークセット処理を実行する制御部とを備えたワーク装着システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述したワーク装着システムの一例として、特開2017-132002号公報(下記特許文献1)に開示されたワーク装着システムが知られている。このワーク装着システムでは、ロボットを搭載した無人搬送車が、工作機械に対して予め設定された作業位置に移動し、当該作業位置において、ロボットが工作機械に対してワークの着脱作業等を実行するようになっている。尚、ワーク装着システムの他の例として、特開2015-024475号公報(下記、特許文献2)に示すように、ロボットを無人搬送車に搭載せずに所定位置に固定するようにしたシステムも存在する。
【0003】
この種のワーク装着システムにおいて、ロボットは通常、ワークを把持するためのハンド部を有している。ハンド部にてワークを把持した際に、ワークが正規の姿勢からずれていた場合(把持不良が発生した場合)、ロボットがワーク装着部にワークを上手く装着することができないという問題が生じる。
【0004】
この問題に対処するべく、特許文献2に示すワーク装着システムでは、ハンド部によるワークの把持不良が発生した場合には、ロボット管理コンピュータによる制御の下、ロボットがその動作を停止して所定の待機姿勢に戻るようになっている。ここで、ロボットのハンド部にてワークの把持不良が発生したか否かは、該ハンド部に取付けられたセンサの出力に基づいてロボットコントローラにより判断される(特許文献2の段落[0038]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-132002号公報
【特許文献2】特開2015-024475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のワーク装着システムでは、ロボットコントローラによりワークの把持不良が検出される度に、ロボットが所定の待機姿勢に戻って停止するようになっている。このため、ロボットの稼働率が低下し、工作機械による部品の生産効率(単位時間当たりのワークの加工数)が低下するという問題がある。
【0007】
この問題を回避するためには、ロボットによるワークの把持不良の発生頻度を極力低下させることが好ましい。そのためには、例えば、ハンド部によるワークの把持力を出来るだけ高めてハンド部に把持されたワークが簡単に動かないようにすることが考えられる。
【0008】
しかし、ワークの形状にバラツキがあったり、ハンド部とワークとの間に異物噛み込み等が存在したりすると、ハンド部によるワークの把持力をいくら高めてもワークの把持不良を完全に無くすことはできない。
【0009】
そして、このような把持不良が生じたままロボットによるワーク装着動作を続行すると、ワーク装着部に対するワークのセット姿勢が所定のセット姿勢からずれてしまい、結果として、ワークの脱落や加工不良を招くという問題がある。
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであって、ロボットのハンド部にてワークの把持不良が発生したとしても、該ワークを工作機械のワーク装着部に所定のセット姿勢でセットすることができるワーク装着システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面では、
ハンド部を有するロボットと、前記ロボットを制御することで、所定位置に載置されたワークを該ハンド部に把持させて工作機械内のワーク装着部にセットさせるワークセット処理を実行する制御装置と、を備えたワーク装着システムであって、
前記ロボットのハンド部に設けられ、該ハンド部に把持されたワークを撮像可能なカメラと、
前記ロボットのハンド部により前記ワークが正規の姿勢で把持された状態で前記カメラにより撮像した当該ワークの画像を基準画像として予め記憶しておく基準画像記憶部とをさらに備え、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記カメラに当該ワークの画像を撮像させ、該カメラによる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されている。
【0012】
このワーク装着システムによれば、制御装置によるワークセット処理の実行に際して、ハンド部に設けられたカメラによって、該ハンド部に把持されたワークの画像が撮像される。一方、基準画像記憶部には、ロボットのハンド部に正規の姿勢で把持されたワークをカメラにより撮像した画像が基準画像として予め記憶されている。ここで、正規の姿勢とは、ロボットの動作補正を行わなくてもワークをワーク装着部に所定のセット姿勢でセット可能な姿勢である。
【0013】
そして、前記制御装置では、前記記憶部に記憶された基準画像と、前記カメラにより撮像した前記ワークの撮像画像との比較を基に、ワーク装着部へのワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるようにロボットの動作を制御する。
【0014】
これによれば、ワークの形状不良やハンド部とワークとの間の異物噛み込み等に起因してハンド部によるワークの把持姿勢が正規の姿勢からずれたとしても、ロボットの姿勢を制御(補正)することで、工作機械のワーク装着部にワークを所定のセット姿勢で装着することができる。しかも、カメラがロボットのハンド部に設けられているので、ロボットの姿勢ばらついたとしてもその影響を受けずに、カメラによるワークの撮像処理を実行することができる。
【0015】
本発明の他の局面では、
ハンド部を有するロボットと、前記ロボットを制御することで、所定位置に載置されたワークを該ハンド部に把持させて工作機械内のワーク装着部にセットさせるワークセット処理を実行する制御装置と、を備えたワーク装着システムであって、
前記工作機械に設けられ、該工作機械内において前記ロボットが所定姿勢を取った状態で前記ハンド部に把持された前記ワークを撮像可能なカメラと、
前記ロボットが前記所定姿勢を取り且つ前記ハンド部により前記ワークが正規の姿勢で把持された状態で前記カメラにより撮像した当該ワークの画像を基準画像として予め記憶しておく基準画像記憶部とを備え、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記ロボットに前記所定姿勢を取らせて、該所定姿勢において前記カメラに当該ワークの画像を撮像させ、該カメラによる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されている。
【0016】
このワーク装着システムによれば、ワークの画像を撮像するためのカメラがロボットのハンド部ではなく工作機械に設けられている。そして、制御装置によるワークセット処理の実行に際しては、該制御装置による制御の下、ロボットが工作機械内において所定姿勢を取ると、該ロボットのハンド部に把持されたワークの画像が前記工作機械に設けられたカメラにより撮像される。ここで、ワーク装着システムの基準画像記憶部には、ロボットに前記所定姿勢を取らせた状態でハンド部に正規の状態で把持されたワークを前記カメラにより撮像した撮像画像が予め記憶されている。制御装置では、前記ワークセット処理の実行に際して前記カメラにより撮像した画像と、基準画像記憶部に記憶された基準画像との比較を基に、ワーク装着部へのワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるようにロボットの動作を制御する。
【0017】
これによれば、ハンド部によるワークの把持姿勢が正規の姿勢からずれていたとしても、ロボットの姿勢を制御(補正)することで、工作機械のワーク装着部にワークを所定のセット姿勢で装着することができる。また、工作機械にカメラが設けられているので、例えば、複数のロボットが協働して一つの工作機械に対してワークの投入・払出し作業を行う場合に、各ロボットのそれぞれにカメラを設ける必要がない。よって、ワーク装着システム全体として、カメラの数を極力減らしてコストを低減することができる。
【0018】
前記制御装置は、前記撮像画像と前記基準画像との前記比較に際して、両画像間にずれが存在するか否かを判定し、ずれが存在すると判定した場合には、このずれに関する情報を基に、前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢とのずれを算出して、算出した該ずれを基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるよう前記ロボットの動作補正を行う一方、前記両画像間にずれが存在しないと判定した場合には前記ロボットの動作補正を行わないように構成されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、制御装置において、ワークの撮像画像と基準画像との比較を行うことで、両画像間にずれが存在するか否かを判定し、ずれが存在すると判定した場合には、このずれに関する情報を基に、前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢とのずれを算出する。このワークの姿勢のずれとしては、例えばワークの軸線の傾きやワーク先端の中心位置のずれ等が挙げられる。そして、制御装置では、算出したワークの姿勢のずれを基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるよう前記ロボットの動作補正を行う。一方、制御装置では、ワークの撮像画像と基準画像との比較を行った結果、両画像間にずれが存在しないと判定した場合には、ワークがハンド部に正規の姿勢で把持されているものとしてロボットの動作補正は行わない。
【0020】
これによれば、ハンド部に把持されたワークの撮像画像と基準画像とのずれに関する情報を基に、ワークの姿勢が正規の姿勢に対してどの程度ずれているかを容易に算出することができる。そして、算出したワークの姿勢のずれを基に、ロボットの動作補正を行うことで、ワーク装着部に対してワークが誤った姿勢で装着されるのを防止することができる。
【0021】
ところで、例えばハンド部とワークとの間に異物が噛み込む等してハンド部によるワークの把持姿勢が正規の姿勢から大きくずれている場合には、ロボットの動作補正を行ってもワーク装着部にワークを正しく装着することができないという問題がある。
【0022】
この問題を回避するべく、前記制御装置は、前記両画像間にずれが存在すると判定した場合であっても、このずれに関する情報を基に算出される前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢とのずれの度合が所定以上であるときには、前記ロボットに、前記ハンド部にて把持したワークを前記所定位置に戻させた後、該ハンド部による当該ワークの把持をやり直させるように構成されているこが好ましい。
【0023】
この構成によれば、前記カメラにより撮像した画像と、記憶部に記憶された基準画像との間にずれが存在すると制御装置が判定した場合であっても、ワークの正規の姿勢からのずれの度合が所定以上であるときには、前記制御装置による制御の下、ロボットがハンド部に把持したワークを所定位置に戻した後にハンド部によるワークの把持をやり直すこととなる。したがって、ハンド部によるワークの把持姿勢がロボットの姿勢補正により改善できないレベルに達している場合には、ロボットがワークの装着動作を試みるまでもなくハンド部によりワークを把持し直すことで、ロボットの無駄な動作を無くしてサイクルタイムを短縮することができる。
【0024】
前記一局面に係るワーク装着システムにおいて、ワークは軸状部材であり、前記カメラは、複数設けられ、複数の前記カメラは、第一カメラと第二カメラとを含み、該第一カメラ及び第二カメラが、前記ロボットのハンド部に正規の姿勢で把持されたワークの軸線方向から見て、該ワークの軸線を通り且つ所定方向に延びる直線に対して線対称に位置するとともに、該第一カメラ及び第二カメラのそれぞれの光軸が前記所定方向に対して所定角度で傾斜するように配置されており、前記基準画像記憶部には、前記基準画像として、前記第一カメラにより撮像した第一基準画像と、前記第二カメラにより撮像した第二基準画像とが記憶され、前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記第一カメラ及び第二カメラに当該ワークの画像を撮像させ、前記第一カメラよる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第一基準画像との比較、及び、前記第二カメラよる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第二基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、ワークの軸線方向から見て、ワークに対して異なる角度で配置された第一カメラ及び第二カメラによってワークの画像を撮像し、制御装置において、各カメラによる撮像画像をそれぞれの基準画像(第一基準画像及び第二基準画像)とを比較してロボットの動作制御を行うようにしたので、一つのカメラによる撮像画像を基にロボットの動作制御を行うようにした場合に比べてその制御精度を向上させることができる。すなわち、カメラが一つしかない場合には、該カメラの離接方向にワークの位置ずれ(傾きやオフセット)が生じたとしても、カメラによる撮像画像中にこの位置ずれが反映され難いが、二つのカメラをワークに対して異なる角度で配置することで、二つのカメラの少なくとも一方によってワークの位置ずれを確実に捉えることができる。延いては、撮像画像に基づくロボットの動作制御を精度良く行うことができる。
【0026】
前記所定角度は45°であることが好ましい。
【0027】
これにより、第一カメラ及び第二カメラをスペース効率良く配置することができる。
【0028】
前記他の局面に係るワーク装着システムにおいて、前記ワークは軸状部材であり、前記ワーク装着部は、水平方向に延びて前記ワークが挿入される挿入空間部からなり、前記工作機械は、前記挿入空間部に対するワーク挿入方向及び鉛直方向の双方に直交する軸線回りに回動可能に構成されて前記カメラを保持する保持部材と、前記保持部材を、前記カメラの光軸が鉛直方向を向く第一位置と、該カメラの光軸が鉛直方向に対して所定角度で交差する第二位置との間で駆動する駆動部とを有し、前記基準画像記憶部には、前記基準画像として、前記保持部材が前記第一位置にある状態で前記ハンド部に正規の姿勢で把持されたワークを前記カメラにより撮像した第一位置基準画像と、前記保持部材が前記第二位置にある状態で前記ハンド部に正規の姿勢で把持されたワークを前記カメラにより撮像した第二位置基準画像とが記憶されており、前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記ロボットに前記所定姿勢を取らせて、該所定姿勢において前記駆動部により前記保持部材を前記第一位置に位置させた状態で前記カメラに撮像させた当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第一位置基準画像との比較、及び、前記所定姿勢において前記駆動部により前記保持部材を前記第二位置に位置させた状態で前記カメラに撮像させた当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第二位置基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、制御装置によるワークセット処理の実行に際して、制御装置による制御の下、ロボットが所定姿勢を取ると、カメラを保持する保持部材が駆動部によって第一位置と第二位置とに駆動される。第一位置は、カメラの光軸が鉛直になるような位置とされ、第二位置は、カメラの光軸が鉛直方向に対して所定角度で交差するような位置とされている。制御装置による制御装置の下、前記カメラは、保持部材が第一位置にある状態と第二位置にある状態とのそれぞれにおいてハンド部に把持されたワークの画像を撮像する。制御装置では、保持部材が第一位置及び第二位置にある状態で前記カメラにより撮像した各画像を、記憶部に記憶された各位置における基準画像(第一位置基準画像及び第二位置基準画像)と比較し、この比較を基に、ワーク装着部へのワークのセット姿勢を所定のセット姿勢になるように制御する。
【0030】
したがって、このワーク装着システムによれば、工作機械に設けられた一つのカメラによってハンド部に把持されたワークを鉛直方向と鉛直方向に交差する方向との二方向から撮像して、撮像した二つの画像を基にハンド部によるワークの把持姿勢のずれを求めることができる。よって、複数のカメラを設ける場合に比べて、カメラの故障リスクや部品コストを低減しつつ、ハンド部によるワークの把持姿勢のずれを精度良く算出することができる。
【0031】
前記工作機械は、加工工具を着脱可能な工具主軸が設けられ、前記カメラは、前記加工工具に代えて前記工具主軸に着脱可能に構成され、前記工具主軸が前記保持部材として兼用されていることが好ましい。
【0032】
これによれば、工作機械に設けられた既存の工具主軸を前記カメラの保持部材として兼用することで部品点数を減らしてコストを低減することができる。
【0033】
前記ハンド部は、複数の把持部材によって、又は、エアーによる吸引力によって、又は、磁石の磁力によって前記ワークを把持する構成を採用することができる。
【0034】
このようなハンド部を有するロボットを使用した場合、ワークの形状誤差や異物噛込みに起因してハンド部によるワークの把持姿勢がばらつき易いので、本発明の構成が特に有用である。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明に係るワーク装着システムによれば、制御装置によるワークセット処理の実行に際して、ロボットのハンド部に設けられたカメラによるワークの撮像画像又は工作機械に設けられカメラによるワークの撮像画像と、ハンド部に正規の姿勢で把持させたワークを前記カメラにより予め撮像した基準画像との比較を基に、ワーク装着部へのワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるようにロボットの動作制御を行うようにしたことで、ロボットのハンド部にてワークの把持不良が生じたとしても、ワーク装着部にワークを所定のセット姿勢で確実に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】実施形態に係るワーク装着システムを含む生産システムを示す平面図である。
図2】実施形態に係るワーク装着システムを含む生産システムを示す斜視図である。
図3】ワーク装着システムの一部を構成するロボットを搭載した無人搬送車を示す斜視図である。
図4】無人搬送車の上面に載置されたバケットを上側から見た平面図である。
図5図4のV-V線断面図である。
図6】ロボットのハンド部を正面側から見た正面図である。
図7】ロボットのハンド部を側方から見た側面図である。
図8】工作機械の加工動作機構部を示す概略構成図である。
図9】工作機械のワーク主軸に取付けられたチャックを示す斜視図である。
図10】生産システムの制御構成を示すブロック図である。
図11】ロボットがワーク挿入開始姿勢又はワーク引抜き完了姿勢にある状態を示す斜視図である。
図12】ロボットがワーク挿入完了姿勢又はワーク引抜き開始姿勢にある状態を示す斜視図である。
図13】生産システムにおける自動運転制御の内容を示すフローチャートである。
図14】自動運転制御の一部としてAGV制御装置により実行されるワークの姿勢ずれ算出処理の詳細を示すフローチャートである。
図15A】基準画像記憶部に記憶された第一基準画像及び第二基準画像の一例を示す概略図である。
図15B】撮像画像記憶部に記憶された第一撮像画像及び第二撮像画像の一例を示す概略図である。
図15C】第一撮像画像及び第二撮像画像とそれぞれの基準画像との比較図である。
図16】実空間におけるワークの傾斜方向(A1方向~A8方向)を変化させたときの、第一撮像画像及び第二撮像画像におけるワークの軸線の傾斜角度の変化を示す図である。
図17】実施形態2を示す図8相当図である。
図18A】基準画像記憶部に記憶された第一位置基準画像及び第二位置基準画像の一例を示す概略図である。
図18B】撮像画像記憶部に記憶された第一位置撮像画像及び第二位置撮像画像の一例を示す概略図である。
図19】実施形態2を示す図13相当図である。
図20】第一位置撮像画像と第一位置基準画像との比較図である。
図21】第二位置撮像画像と第二位置基準画像との比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(実施形態)
図1及び図2は、本実施形態のワーク装着システム100を備えた生産システム1を示している。この生産システム1は、工作機械10、無人搬送車35、この無人搬送車35に搭載されるロボット25、ロボット25に取付けられた二つのカメラ31a,31b、ロボット25及び無人搬送車35を制御する制御装置40、並びに、工作機械10を制御する制御装置60などから構成される。以下の説明では、工作機械10の制御装置60を工作機械制御装置60と称し、無人搬送車35の制御装置40をAGV制御装置と称する。この工作機械制御装置60及びAGV制御装置40は、互いに通信しながら工作機械10とロボット25とを協働させてワークWの着脱及び加工等を含む一連の生産工程を無人で実行する。
【0039】
図1図3に示すように、前記無人搬送車35には、その上面である載置面36に前記ロボット25が搭載され、また、オペレータが携帯可能なAGV操作盤37(図1参照)が付設されている。尚、このAGV操作盤37は、データの入出力を行う入出力部、当該無人搬送車35及びロボット25を手動操作する操作部、並びに画面表示可能なディスプレイなどを備えている。
【0040】
また、無人搬送車35は、工場内における自身の位置を認識可能な位置センサ(例えば、レーザ光を用いた距離計測センサ)を備えており、AGV制御装置40による制御の下で、工場内を無軌道で走行するように構成され、本例では、前記工作機械10に対して予め設定された作業位置に経由する。本例では、AGV制御装置40は、無人搬送車35の筐体内に収容されている。
【0041】
図3に示すように、前記ロボット25は、第一アーム26、第二アーム27及び第三アーム28の3つのアームを備えた多関節型のロボットであり、第三アーム28の先端部には、ハンド部29が装着され、また、支持バー30を介して第一カメラ31a及び第二カメラ31bが装着されている。
【0042】
図3に示すように、ハンド部29は、ボディ291と、互い対向する一対の把持部材292とを有している。ハンド部29は、一対の把持部材292によりワークWを挟んで把持するように構成されている。ワークWは、本例では円柱状の軸状部材とされている。
【0043】
無人搬送車35の載置面36におけるロボット25よりも車両後側には、ワークWを収納するバケット38が載置されている。ロボット25は、無人搬送車35が工作機械10の作業位置に停車した状態で、バケット38内に収納された加工前のワークWを取出して工作機械10に投入する一方、加工後のワークWを工作機械10から取出してバケット38内の元の位置に収納する。
【0044】
図4及び図5に示すように、バケット38は偏平な矩形箱状をなしている。バケット38内には、複数のワークWが車両左右方向に間隔を空けて収納されている。バケット38内の底面には、各ワークWの両端部を支持する一対一組の支持板39が、複数組、突設されている。各支持板39の上端部には、ワークWの周面を支持するV字状の係合溝39aが形成されている。各ワークWは、両端部が支持板39の係合溝39aに係合することでバケット38内で動くことなく安定に収納されている。
【0045】
[カメラの詳細構成]
図6及び図7に示すように、ハンド部29におけるボディ291の側面には、第一カメラ31a及び第二カメラ31bを支持する支持バー30が取付けられている。支持バー30は、一対の把持部材292に正規の姿勢で把持されたワークWの軸線Jと直交する方向に延設されている。以下では、特に断らない限り、支持バー30がY軸方向に延びる状態(図6の状態)にあるものとして説明を行う。
【0046】
第一カメラ31a及び第二カメラ31bは、一対の把持部材292に正規の姿勢で把持されたワークWの軸線方向から見て(図6の紙面垂直方向から見て)、該ワークWの軸線Jを通り且つ鉛直方向に延びる直線L0に対して線対称に配置されている。第一カメラ31a及び第二カメラ31bは、それぞれの光軸L1,L2が鉛直方向に対して45°(所定角度の一例)で傾斜するとともにワークWの中心位置(軸線Jの位置)で交差するように配置されている。
【0047】
第一カメラ31a及び第二カメラ31bは、例えばCCDカメラやCMOSカメラにより構成されていて、多行多列の2次元に配置された複数の光電変換素子を備え、受光強度に応じて各光電変換素子から出力される電圧信号をデジタル化した後、これを濃淡レベル値に変換して、前記光電変換素子の配列と同配列の二次元濃淡画像データとして出力する。各カメラ31a,31bから出力された画像データは、後述するAGV制御装置40の撮像画像記憶部50に格納される。
【0048】
[工作機械の構成]
前記工作機械10は、固定工具を用いた旋削機能と、回転工具を用いたミーリング機能とを有する複合型のNC(数値制御)工作機械である。
【0049】
具体的には、工作機械10は、図2示すように、加工エリア内にてワークWを加工する加工動作機構部20と、加工動作機構部20の動作を制御する前記工作機械制御装置60(図1参照)と、オペレータが工作機械10に対して種々の設定及び指令を行うためのNC操作盤16とを備えている。
【0050】
図8に示すように、加工動作機構部20は、ワークWが装着されるチャック11と、先端部に該チャック11が取り付けられたワーク主軸12と、ワーク主軸12をその軸線回りに回転可能に支持するワーク主軸台(図示省略)と、回転工具Tr(加工工具の一例)が保持される工具主軸13と、工具主軸13を回転可能に支持する工具主軸台21と、旋削加工のための固定工具Tfが取付けられる下刃物台14とを有している。また、加工動作機構部20は、ワーク主軸12、工具主軸13及び下刃物台14のそれぞれを、X軸、Y軸及びZ軸のうち予め定めた一つ又は複数の軸に沿って送り駆動する送り装置(図示省略)をさらに有している。
【0051】
前記ワーク主軸12は、チャック11にワークWを保持させた状態でZ軸に平行な軸線回りに回転可能に構成されている。
【0052】
チャック11は、図9に示すように、中空円筒状の本体11aと、本体11aの端面にその軸線を中心として放射状に配置された三つの把持爪11bと、各把持爪11bを径方向に進退可能に駆動する爪駆動部(図示省略)とを有している。爪駆動部は、工作機械制御装置60からの指令を受けて、各把持爪11bを、本体11aの径方向に沿って開位置と閉位置との間で駆動する。各把持爪11bが開位置にある状態では、三つの把持爪11bの先端面の内側に、ワークWを挿入可能な挿入空間部Kが形成されている。この挿入空間K部に、ワークWを本体11aの軸線方向(Z軸方向)に沿って挿入した後、爪駆動部によって各把持爪11bを閉位置側(径方向内側)に駆動すると、ワークWが三つの把持爪11bにより三方向から圧着されて移動不能に固定される。尚、本例では、チャック11の一例として三つの把持爪11bを有する三つ爪チャックを挙げて説明したが、これに限ったものでなく、把持爪11bは二つであってもよいし、四つ以上であってもよい。
【0053】
工具主軸13は、回転工具Trを保持した状態でX軸に平行な軸線回りに回転可能に構成されている。工具主軸13を支持する工具主軸台21は、外観視が上下方向に長い略直方体状をなしていて、送り装置によりX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成されている。また、工具主軸台21は、図示しないチルトモータ(駆動部の一例)によってY軸に平行な軸線回りに揺動可能に構成されている。尚、以下の説明では特に断らない限り、工具主軸台21が鉛直状態にあるものとして説明を行う。
【0054】
前記回転工具Trは、工具ホルダ17を介して工具主軸13の下端部に着脱可能に装着される。工具主軸13は、工具ホルダ17のテーパシャンク17aに嵌合するテーパ状の嵌合穴13aと、嵌合穴13aに装着された工具ホルダ17を脱落不能に引き込むドローバー機構(図示省略)とを有している。嵌合穴13aに装着される工具ホルダ17は、工作機械10に搭載されたATC(Automatic tool changer)装置によって、不図示の工具マガジン内に収容された他の工具ホルダと交換可能になっている。
【0055】
下刃物台14は、Z軸と平行に延びる軸線回りに旋回可能なタレット141を有していて、送り装置によってZ軸方向及びX軸方向に移動可能に構成されている。タレット141には、複数の固定工具Tfが工具ホルダと共に放射状に取り付けられている。タレット141を軸線回りに回転させることで固定工具Tfの割り出しを行えるようになっている。
【0056】
以上のように構成された加工動作機構部20は、後述する工作機械制御装置60の数値制御部62からの指令を受けたサーボ機構によって駆動される。サーボ機構は、例えば、サーボアンプと、サーボアンプにより駆動されるサーボモータと、サーボモータの回転角度をフィードバックするエンコーダと(いずれも図示せず)から構成される。そして、加工動作機構部20は、X軸,Y軸及びZ軸の直交三軸方向において、回転工具Tr、固定工具Tf、及びワークWを相対移動させることでワークWを所定形状に加工する。
【0057】
前記工作機械10の正面側には、前記加工動作機構部20によるワークWの加工エリアにアクセスするためのアクセス開口10a(図2参照)が形成されている。アクセス開口10aは、Z軸方向にスライドする開閉カバー15によって開閉可能になっている。工作機械10におけるアクセス開口10aの右側には、NC操作盤16が設けられている。
【0058】
NC操作盤16は、オペレータによる各種操作を受付けるとともに必要な情報をディスプレイ上に表示可能に構成されている。具体的には、オペレータは、NC操作盤16を介してNCプログラムの入力操作を行ったり、手動運転モードと自動運転モードとの選択操作を行ったりすることができる。NC操作盤16は、オペレータの操作に応じた操作信号を工作機械制御装置60に送信する。
【0059】
[工作機械制御装置の構成]
図10に示すように、工作機械制御装置60は、大まかには、工作機械10の全体動作を制御するPLC(Programmable logic controller)61と、PLC61からの指令を受けて加工動作機構部20の動作を制御する数値制御部62と、AGV制御装置40との間で通信を行う無線通信部63とで構成されている。
【0060】
工作機械制御装置60は、手動運転モードが選択されている状態では、NC操作盤16からの操作信号に基づいて工作機械10の動作制御を行う一方、自動運転モードが選択されている状態では、AGV制御装置40との連携(通信)によってオペレータを介さずに、開閉カバー15の開閉動作、チャック11によるワークWのチャック動作及びアンチャック動作、並びにNCプログラムに基づくワークWの加工動作など、一連の工程動作を順次実行する。
【0061】
[AGV制御装置の構成]
図10に示すように、AGV制御装置40は、動作プログラム記憶部41、移動位置記憶部42、動作姿勢記憶部43、マップ情報記憶部44、マップ情報生成部45、位置認識部46、手動運転制御部47、自動運転制御部48、基準画像記憶部49、撮像画像記憶部50、ワーク姿勢ずれ算出部51、データ記憶部52、及び入出力インターフェース53等から構成される。そして、AGV制御装置40は、この入出力インターフェース53を介して、ロボット25、第一カメラ31a、第二カメラ31b、無人搬送車35及びAGV操作盤37に接続されている。また、AGV制御装置40は、入出力インターフェース53を介して工作機械制御装置60と無線通信可能に構成されている。
【0062】
尚、AGV制御装置40は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、マップ情報生成部45、位置認識部46、前記手動運転制御部47、自動運転制御部48、ワーク姿勢ずれ算出部51及び入出力インターフェース53は、コンピュータプログラムによってその機能が実現され、後述する処理を実行する。また、動作プログラム記憶部41、移動位置記憶部42、動作姿勢記憶部43、マップ情報記憶部44、基準画像記憶部49、撮像画像記憶部50及びデータ記憶部52は、ROM及びRAMなどの適宜記憶媒体から構成される。
【0063】
前記手動運転制御部47は、オペレータにより前記AGV操作盤37から入力される操作信号に従って、前記無人搬送車35、ロボット25、カメラ31a,31bを動作させる機能部である。即ち、オペレータは、この手動運転制御部47による制御の下で、AGV操作盤37を用いた、前記無人搬送車35、ロボット25及びカメラ31a,31bの手動操作を実行することができる。
【0064】
前記動作プログラム記憶部41は、生産時に前記無人搬送車35及び前記ロボット25を自動運転するための自動運転用プログラム、並びに後述する工場内のマップ情報を生成する際に前記無人搬送車35を動作させるためのマップ生成用プログラムを記憶する機能部である。自動運転用プログラム及びマップ生成用プログラムは、例えば、前記AGV操作盤37に設けられた入出力部から入力され、当該動作プログラム記憶部41に格納される。
【0065】
尚、この自動運転用プログラムには、無人搬送車35が移動する目標位置としての移動位置、移動速度及び無人搬送車35の向きに関する指令コードが含まれ、また、ロボット25が順次動作する当該動作に関する指令コード、及び前記カメラ31a,31bの操作に関する指令コードが含まれる。また、マップ生成用プログラムは、前記マップ情報生成部45においてマップ情報を生成できるように、無人搬送車35を無軌道で工場内を隈なく走行させるための指令コードが含まれる。
【0066】
前記マップ情報記憶部44は、無人搬送車35が走行する工場内に配置される機械、装置、機器など(装置等)の配置情報を含むマップ情報を記憶する機能部であり、このマップ情報は前記マップ情報生成部45によって生成される。
【0067】
前記マップ情報生成部45は、詳しくは後述する前記AGV制御装置40の自動運転制御部48による制御の下で、前記動作プログラム記憶部41に格納されたマップ生成用プログラムに従って無人搬送車35を走行させた際に、前記位置センサによって検出される距離データから工場内の空間情報を取得するとともに、工場内に配設される装置等の平面形状を認識する。そして、マップ情報生成部45は、予め登録された装置等の平面形状を基に、工場内に配設された具体的な装置、本例では、工作機械10の位置、平面形状等(配置情報)を認識する。マップ情報生成部45は、得られた空間情報及び装置等の配置情報を工場内のマップ情報として前記マップ情報記憶部44に格納する。
【0068】
前記位置認識部46は、前記位置センサによって検出される距離データ、及び前記マップ情報記憶部44に格納された工場内のマップ情報を基に、工場内における無人搬送車35の位置を認識する機能部であり、この位置認識部46によって認識される無人搬送車35の位置に基づいて、当該無人搬送車35の動作が前記自動運転制御部48によって制御される。
【0069】
前記移動位置記憶部42は、前記無人搬送車35が移動する具体的な目標位置としての移動位置であって、前記動作プログラム中の指令コードに対応した具体的な移動位置を記憶する機能部であり、この移動位置には、上述した工作機械10に対して設定される作業位置が含まれる。尚、この移動位置は、例えば、前記手動運転制御部47による制御の下、前記AGV操作盤37により前記無人搬送車35を手動運転して、目標とする各位置に移動させた後、前記位置認識部46によって認識される位置データを前記移動位置記憶部42に格納する操作によって設定される。この操作は所謂ティーチング操作と呼ばれる。
【0070】
前記動作姿勢記憶部43は、前記ロボット25が所定の順序で動作することによって順次変化するロボット25の姿勢(動作姿勢)であって、前記動作プログラム中の指令コードに対応した動作姿勢に係るデータを記憶する機能部である。この動作姿勢に係るデータは、前記手動運転制御部47による制御の下で、前記AGV操作盤37を用いたティーチング操作により、当該ロボット25を手動運転して、目標とする各姿勢を取らせたときの、当該各姿勢におけるロボット25の各関節(モータ)の回転角度データであり、この回転角度データが動作姿勢に係るデータとして前記動作姿勢記憶部43に格納される。
【0071】
動作姿勢記憶部43に記憶されるロボット25の動作姿勢は、撮像姿勢(所定姿勢)と待機姿勢と作業姿勢との三つに大別される。
【0072】
前記撮像姿勢は、ロボット25のハンド部29により把持されたワークWを各カメラ31a,31bにより撮像するための姿勢である。図3は、ロボット25が撮像姿勢にある状態の一例を示している。この撮像姿勢では、ハンド部29が平面視でバケット38よりも外側に位置しており、これにより、両カメラ31a,31bによる撮像画像中に、ハンド部29が把持したワークW以外のワークW(バケット38内に収納されたワークW)が映り込まないようになっている。本例では、ハンド部29は、前記ロボット25が撮像姿勢にある状態で、無人搬送車35におけるバケット38の載置面36よりも右側に位置している。ワークWは、ロボット25が撮像姿勢にある状態においてその軸線Jが無人搬送車35の左右方向に水平に延びるようにハンド部29に把持される。
【0073】
前記待機姿勢は、ロボット25を所定の中立位置で待機させた姿勢である。図2には、ロボット25が待機姿勢にある状態の一例を示している。
【0074】
前記作業姿勢は、無人搬送車35が工作機械10の作業位置に停車した状態で、ロボット25に各種作業を行わせるための姿勢である。
【0075】
本例では、この作業姿勢として、バケット38内に収容された加工前のワークWをハンド部29に把持させて取り出すためのワーク取出し姿勢(図示省略)と、加工前のワークWをハンド部29に把持させた状態で工作機械10内に進入させ、該ワークWをワーク主軸12と同軸に保持するワーク挿入開始姿勢(図11参照)と、ワークWをチャック11の挿入空間部Kに向けて挿入して行く複数のワーク挿入動作姿勢(図示省略)と、挿入空間部KへのワークWの挿入が完了したワーク挿入完了姿勢(図12参照)と、ワーク挿入完了姿勢と同じ姿勢であって、加工後のワークWの引抜きを開始するための引抜き開始姿勢(図12参照)と、加工後のワークWをワーク主軸12と同軸に維持しながらチャック11の挿入空間部Kから引抜いて行く複数の引抜き動作姿勢(図示省略)と、ワーク挿入開始姿勢と同じ姿勢であって、引抜いた加工後のワークWをチャック11から離間した位置で保持する引抜き完了姿勢(図11参照)と、引抜き完了姿勢でハンド部29により把持されているワークWを無人搬送車35のバケット38に収納するワーク収納姿勢(図示省略)とが設定されている。
【0076】
前記自動運転制御部48は、前記動作プログラム記憶部41に格納された自動運転用プログラムに従って、無人搬送車35、ロボット25及びカメラ31a,31bを動作させる機能部である。その際、前記移動位置記憶部42及び動作姿勢記憶部43に格納されたデータが必要に応じて使用される。自動運転制御部48による無人搬送車35、ロボット25及びカメラ31a,31bの具体的な制御処理については後述する。
【0077】
前記基準画像記憶部49は、ティーチング操作時に、無人搬送車35を工作機械10に対して設定された作業位置に停車させ且つロボット25に前記撮像姿勢を取らせた状態で、ハンド部29に正規の状態で把持されたワークWを第一カメラ31a及び第二カメラ31bによって撮像した画像をそれぞれ、第一基準画像S1及び第二基準画像S2(図15A参照)として記憶する機能部である。
【0078】
撮像画像記憶部50は、前記自動運転制御部48による制御の下で、前記ロボット25が前記自動運転用プログラムにしたがって、ハンド部29によってバケット38内に収納された加工前のワークWを取出した後、前記撮像姿勢に移行して前記第一カメラ31a及び第二カメラ31bによってワークWを撮像した第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2(図15B参照)を記憶する機能部である。撮像画像記憶部50に記憶される第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2は、各カメラ31a,31bによるワークWの撮像処理が実行される度に新たな撮像画像に更新される。
【0079】
前記ワーク姿勢ずれ算出部51は、撮像画像記憶部50に記憶された第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2を、それぞれに対応する第一基準画像S1及び第二基準画像S2と比較して、各撮像画像G1,G2とそれぞれの基準画像S1,S2とのずれに関する情報(例えば、ワークWの輪郭のずれに限らず、例えば輝度値(濃淡)のずれ等)を取得する。そして、ワーク姿勢ずれ算出部51は、取得した各撮像画像G1,G2とそれぞれの基準画像S1,S2とのずれに関する情報と、データ記憶部52に記憶された後述の角度算出用データとを基に、ロボット25のハンド部29に把持されたワークWの姿勢とその正規の姿勢とのずれを算出する。
【0080】
そして、自動運転制御部48は、ワーク姿勢ずれ算出部51が算出したワークWの姿勢のずれを基に、チャック11へのワークWのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように、ロボット25によるワークWの挿入開始姿勢、ワーク挿入完了姿勢、及び各ワーク挿入動作姿勢の補正量(例えばロボット25の各関節における直交三軸回りの回転角の補正量)を算出する。ここで、所定のセット姿勢とは、ワークWの軸線Jがワーク主軸12の回転軸線に対して同軸になるような姿勢である。
【0081】
[自動運転制御の説明]
図13は、AGV制御装置40により実行される無人搬送車35及びロボット25の自動運転制御の一例を示すフローチャートである。
【0082】
この自動運転制御では、先ず、自動運転制御部48が、動作プログラム記憶部41に記憶された自動運転用プログラムに従って、無人搬送車35を工作機械10に対して設定された作業位置に停車させた後、ロボット25に前記待機姿勢(図2参照)を取らせる(ステップSA1)。
【0083】
そして、自動運転制御部48では、入出力インターフェース53を介して受信した工作機械制御装置60の無線通信部63からの信号を基に、工作機械10側にてNCプログラムに基づく加工サイクルが終了したか否かを判定し(ステップSA2)、終了していないと判定した場合(ステップSA2でNOの場合)にはリターンする一方、加工サイクルが終了していると判定した場合(ステップSA2でYESの場合)には、ロボット25にワークWの払い出し動作を実行させる(ステップSA3)。具体的には、自動運転制御部48は、工作機械制御装置60と通信することにより、工作機械10の開閉カバー15が開放状態にあることを確認した後、ロボット25に上述したワーク引抜き開始姿勢、各ワーク引抜き動作姿勢、及びワーク引抜き完了姿勢を順次取らせることで、ロボット25にチャック11からワークWを引抜かせて、その後、ロボット25にワーク収納姿勢を取らせることでワークWをバケット38内に収納する。
【0084】
そうしてロボット25によるワークWの払い出し動作が完了した後は、自動運転制御部48が、ロボット25に上述したワーク取出し姿勢を取らせて、ハンド部29の一対の把持部材292を閉じることでバケット38内に収納された加工前のワークWを把持して取出す(ステップSA4)。そして、ハンド部29により加工前のワークWを取出した後、自動運転制御部48がロボット25に前記撮像姿勢(図3参照)を取らせる(ステップSA5)。次いで、自動運転制御部48は、ロボット25に撮像姿勢を取らせた状態で第一カメラ31a及び第二カメラ31bによる撮像処理を実行する(ステップSA6)。これにより、ハンド部29に把持されたワークWの画像が、第一カメラ31a及び第二カメラ31bに撮像される。各カメラ31a,31bによる撮像画像である第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2は、AGV制御装置40に送信されて撮像画像記憶部50(図10参照)に記憶される。
【0085】
そして、AGV制御装置40のワーク姿勢ずれ算出部51では、撮像画像記憶部50に記憶された第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2をそれぞれ、基準画像記憶部49に記憶された第一基準画像S1及び第二基準画像S2と比較する。そして、第一撮像画像G1と第二撮像画像G2との少なくとも一方の画像において対応する基準画像S1,S2との間でずれが存在するか否かを判定する(ステップSA7)。
【0086】
そして、ワーク姿勢ずれ算出部51において、第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2の双方が対応する基準画像S1,S2に一致している、つまり撮像画像と基準画像とのずれが存在しないと判定した場合(ステップSA7でNOの場合)には、自動運転制御部48が、ロボット25に上述したワーク取出し姿勢、ワーク挿入開始姿勢(図11参照)、各ワーク挿入動作姿勢(図示省略)及びワーク挿入完了姿勢(図12参照)を順次取らせることで、チャック11にワークWをセットし(ステップSA13)、その後、ロボット25を待機姿勢に戻して(ステップSA11)、工作機械制御装置60と通信することで、開閉カバー15を閉じて工作機械10にワークWの加工サイクルを開始させ(ステップSA12)、しかる後にリターンする。
【0087】
一方、ワーク姿勢ずれ算出部51において、第一撮像画像G1と第二撮像画像G2との少なくとも一方の画像について基準画像S1,S2との間でずれが存在すると判定した場合(ステップSA7でYESの場合)には、このずれに関する情報を取得して、取得したずれに関する情報を基に、ロボット25のハンド部29に把持されたワークWの姿勢と正規の姿勢とのずれ(実空間におけるずれ)を算出する(ステップSA8)。
【0088】
自動運転制御部48は、ワーク姿勢ずれ算出部51が算出したワークWの姿勢のずれを基に、ワークWをチャック11に所定のセット姿勢でセットするために必要なロボット25のワーク挿入時の各姿勢(前記ワーク挿入開始姿勢、各ワーク挿入動作姿勢、及びワーク挿入完了姿勢)の補正量を算出し(ステップSA9)、算出した補正量を用いて、ロボット25に工作機械10のチャック11へのワーク装着動作を実行させる(ステップSA10)。具体的には、先ず、自動運転制御部48が工作機械制御装置60との通信を行うことにより開閉カバー15が開放状態にあることを確認した後(開放状態にない場合には工作機械制御装置60に開閉カバー15の開放指令を行って工作機械制御装置60よりカバー開完了信号を受信した後)、ロボット25にワーク挿入開始姿勢(図11参照)、各ワーク挿入動作姿勢(図示省略)、及びワーク挿入完了姿勢(図12参照)を順次取らせてハンド部29に把持されたワークWをチャック11の挿入空間部Kに挿入する。このワークWの挿入過程においては、ロボット25に、動作姿勢記憶部43に記憶されたワーク挿入開始姿勢、各ワーク挿入動作姿勢、及びワーク挿入完了姿勢をそのまま取らせるのではなく、前記ステップSA9で算出した補正量に基づいて補正した姿勢を取らせる。
【0089】
そうして、チャック11に対するワークWの挿入(セット)が完了した後、自動運転制御部48が工作機械制御装置60に対して挿入完了信号を送信する。工作機械制御装置60は、挿入完了信号を受信すると、チャック11の爪駆動部(図示省略)によって三つの把持爪11bを閉側に駆動させる。これにより、ワークWがチャック11に挿抜不能に固定される。
【0090】
チャック11にワークWが固定された後は、自動運転制御部48がロボット25を待機姿勢に戻すとともに(ステップSA11)、工作機械制御装置60に対して完了信号を出力する。工作機械制御装置60では、この完了信号を受信すると、工作機械10の開閉カバー15を閉位置に駆動した後、工作機械10にNCプログラムに基づくワークWの加工サイクルを開始させ(ステップSA12)。そして、工作機械10におけるワークWの加工サイクルが開始した後はリターンする。
【0091】
図14は、前記ワーク姿勢ずれ算出部51により実行されるワークWの姿勢ずれ算出処理(ステップSA8)の詳細を示すフローチャートである。
【0092】
ワーク姿勢ずれ算出部51は、撮像画像記憶部50に記憶された第一撮像画像G1(第一カメラ31aによるワークWの撮像画像)及び第二撮像画像G2(第二カメラ31bによるワークWの撮像画像)を所定の閾値で二値化し、二値化した画像をラスター方向に走査してワークWの輪郭線をそれぞれ抽出する(ステップSA81)。
【0093】
次いで、ワーク姿勢ずれ算出部51は、第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2にてそれぞれ抽出したワークWの輪郭線のうち、ワークWの長手方向に直線状に延びる二本の輪郭線を特定し、特定した二本の輪郭線の間に位置し且つ各輪郭線からの距離が等しい点(画像)の集合を直線近似してワークWの軸線Jとして算出する(ステップSA82)。
【0094】
同様に、ワーク姿勢ずれ算出部51は、基準画像記憶部49に記憶された第一基準画像S1及び第二基準画像S2(図15B参照)に対して二値化処理及び輪郭抽出処理を実行した後、各基準画像S1,S2においてワークWの軸線Jを算出する(ステップSA83)。尚、第一基準画像S1及び第二基準画像S2については、ワークWの輪郭線と軸線Jとを予め算出して記憶しておいてもよい。
【0095】
そして、ワーク姿勢ずれ算出部51は、第一撮像画像G1におけるワークWの軸線Jと第一基準画像S1におけるワークWの軸線Jとのなす角度である第一交差角θ1(図15C参照)、及び、第二撮像画像G2におけるワークWの軸線Jとのなす角度である第二交差角θ2を算出する(ステップSA84)。
【0096】
ワーク姿勢ずれ算出部51は、算出した第一交差角θ1及び第二交差角θ2を基に、実空間におけるワークWの傾斜方向及び傾斜角を算出する(ステップSA85)。この傾斜方向及び傾斜角の算出に際しては、データ記憶部52に記憶された角度算出用データを使用する。この角度算出用データは、ワークWを正規の姿勢(ワークWの軸線JがZ軸方向を向く姿勢)から、ハンド部29を支点に図6のA1方向~A8方向に所定角度で傾斜させたときの第一交差角θ1及び第二交差角θ2の値をテーブル化したデータである。前記所定角度は、例えば0°~5°の間で等間隔に(本例では0.2°刻みに)設定される。角度算出用データに記述された第一交差角θ1及び第二交差角θ2は、予めテストを行うことにより実測してもよいし、コンピュータを用いて幾何学的に算出される理論値であってもよい。
【0097】
図16は、実空間においてワークWを正規の姿勢から図6のA1方向~A8方向にそれぞれ所定角度で傾斜させたときの第一交差角θ1及び第二交差角θ2の変化の一例を示す図である。ワークWの傾斜方向がA1方向である場合には、第一交差角θ1と第二交差角θ2は共にα°であり、ワークWの傾斜方向がA1方向と反対側のA5方向である場合には、第一交差角θ1と第二交差角θ2とは共に-α°であり、その他の場合には、第一交差角θ1と第二交差角θ2とは異なる角度になる。いずれにせよ、画像平面における第一交差角θ1及び第二交差角θ2が分かれば、前記角度算出用データを基に、実空間におけるワークWの傾斜方向及び傾斜角度を一意に求めることができる。
【0098】
このことを利用して、ワーク姿勢ずれ算出部51は、ステップSA84で算出した第一交差角θ1及び第二交差角θ2に対応するワークWの傾斜方向及び傾斜角度を、前記角度算出用データを基に算出する(ステップSA86)。この算出に際しては、線形補間を行うことで、角度算出用データのテーブルに載っていない第一交差角θ1及び第二交差角θ2に対するワークWの傾斜方向(A1~A8の間に位置する方向)及び傾斜角度を算出することができる。
【0099】
ワーク姿勢ずれ算出部51は、実空間におけるワークWの傾斜方向及び傾斜角度を算出した後は、第一撮像画像G1におけるワークWの先端縁と軸線Jとの交点と、第一基準画像S1におけるワークWの軸線Jとのオフセット量δ1(図15C参照)、及び、第二撮像画像G2におけるワークWの先端縁と軸線Jとの交点と、第二基準画像S2におけるワークWの軸線Jとのオフセット量δ2を算出する(ステップSA86)。
【0100】
その後、ワーク姿勢ずれ算出部51は、算出したオフセット量δ1,δ2を基に、実空間におけるワークWの先端位置のX軸方向及びY軸方向のオフセット量(ワークWの傾斜の影響を除くオフセット量)を算出する(ステップSA87)。このオフセット量の算出においても、例えば予め算出したテーブルデータを使用すればよい。そうして、ワーク姿勢ずれ算出部51は、実空間におけるワークWの傾斜方向及びその傾斜角度、並びに、ワークWの先端位置(先端中心位置)におけるX軸方向及びY軸方向のオフセット量を算出した後、図13のメインフローに戻る。
【0101】
以上のように構成されたワーク装着システム100を備えた生産システム1では、オペレータによりNC操作盤16を介して自動運転モードが設定されると、AGV制御装置40の自動運転制御部48による制御の下、無人搬送車35が工作機械10の作業位置に停車し、ロボット25が加工後のワークWを工作機械10から払い出してバケット38内に収納した後、加工前の一のワークWをバケット38内から取出して工作機械10のチャック11に装着(セット)する。
【0102】
このとき、加工前のワークWの形状ばらつきやハンド部29の把持部材292とワークWとの間の異物噛み込み等に起因して把持部材292によるワークWの把持姿勢が正規の姿勢からずれる場合がある。ワークWの把持姿勢が正規の姿勢からずれた状態でロボット25がチャック11の挿入空間部KにワークWを挿入しようとすると、ワークWがチャック11の把持爪11bと干渉して挿入不能になったり、仮にワークWを挿入空間部Kに挿入できてもワークWが傾いてセットされたりする虞がある。
【0103】
これに対して本実施形態では、AGV制御装置40は、ロボット25によってワークWをチャック11にセットさせるワークセット処理を実行する際に、ロボット25のハンド部29にワークWを把持させた状態で第一カメラ31a及び第二カメラ31bに当該ワークWの画像を撮像させ(ステップSA5)、各カメラ31a,31bによるワークWの撮像画像である第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2と、基準画像記憶部49に予め記憶された正規の把持姿勢にあるワークWの撮像画像である第一基準画像S1及び第二基準画像S2との比較を基に、チャック11へのワークWのセット姿勢が所定のセット姿勢になるようにロボット25の動作を制御するように構成されている(ステップSA8~S10)。
【0104】
これにより、ハンド部29により把持したワークWの把持姿勢が正規の姿勢からずれていたとしても、AGV制御装置40によってロボット25の動作を制御して、チャック11へのワークWのセット姿勢を所定のセット姿勢に制御することができる。
【0105】
具体的には、AGV制御装置40は、ワーク姿勢ずれ算出部51によって、第一撮像画像G1及び第二撮像画像G2と、それぞれの基準画像である第一基準画像S1及び第二基準画像S2との間にずれが存在するか否かを判定し(ステップSA7)、存在すると判定し場合(ステップSA7でYESの場合)には、このずれに関する情報を算出して(ステップSA84及びSA86)、算出した画像間のずれに関する情報を基に、ハンド部29に把持されたワークWの姿勢と正規の姿勢とのずれに関する情報を算出する(ステップSA85及びS87)。そして、AGV制御装置40の自動運転制御部48は、算出したワークWのずれに関する情報を基に、チャック11へのワークWのセット姿勢が所定のセット姿勢になるようロボット25の動作補正を行うように構成されている(ステップSA9及びSA10)。
【0106】
これによれば、ハンド部29に把持されたワークWの撮像画像G1,G2と基準画像S1,S2とのずれに関する情報を基に、ワークWの姿勢が正規の姿勢に対してどの程度ずれているかを容易に算出することができる。そして、算出したワークWの姿勢ずれを基に、ロボット25の動作補正を行うことで、チャック11に対してワークWが誤った姿勢で装着されるのを防止することができる。
【0107】
また、第一カメラ31a及び第二カメラ31bは、ロボット25のハンド部29に正規の姿勢で把持されたワークWの軸線方向から見て、該ワークWの軸線Jを通り且つ鉛直方向に延びる直線L0に対して線対称に配置されるとともに、該第一カメラ31a及び第二カメラ31bのそれぞれの光軸L1,L2が鉛直方向に対して所定角度θaで傾斜するように配置されている(図6参照)。
【0108】
これによれば、ワーク姿勢ずれ算出部51によってワークWの姿勢のずれを算出する際に、直線L0に対して線対称に配置された二つのカメラ31a,31bの撮像画像を使用するようにしたので、一つのカメラによって撮像した一つの撮像画像を使用する場合に比べて、前記ワークWの姿勢ずれの算出精度を向上させることができる。
【0109】
本実施形態においては、前記所定角度θaは45°とされている。
これにより、第一カメラ31a及び第二カメラ31bをスペース効率良くコンパクトに配置することができる。
【0110】
(実施形態2)
図17は実施形態2を示している。この実施形態では、ハンド部29に把持されたワークWを撮像するためのカメラの配置構成、及び、撮像した画像に基づくワークWの姿勢ずれ算出処理の内容が実施形態1とは異なっている。尚、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0111】
すなわち、本実施形態では、図17に示すように、工作機械10に設けられた一つのカメラ19aによって、ハンド部29に把持されたワークWの画像を二つの異なる位置から撮像するようにしている。
【0112】
カメラ19aは、工具ホルダ17に取付けられた撮像装置19に内蔵されている。撮像装置19を取付けた該工具ホルダ17は、回転工具Trを装着した他の工具ホルダ17と同様に不図示の工具マガジンに収容可能であり、必要に応じてATC装置により工具マガジンから取出されて工具主軸13の嵌合穴13aに装着される。そして、工具主軸13は、工具ホルダ17を介して撮像装置19のカメラ19aを保持可能になっている。本例では、この工具主軸13がカメラ19aを保持する保持部材として機能する。
【0113】
撮像装置19は、外観視が円筒状をなしていて、その下端面の中心部からカメラ19aの撮像レンズが露出するように構成されている。カメラ19aは、その光軸が撮像装置19の軸線と一致するように配置されている。
【0114】
工具主軸台21は、工作機械制御装置60の数値制御部62(図10参照)からの指令を受けたチルトモータによってY軸方向に平行な軸線回りに(チャック11へのワーク挿入方向及び鉛直方向の双方に直交する軸線回りに)揺動可能に構成されている。
【0115】
数値制御部62は、チルトモータによる工具主軸台21の揺動と、送り装置による工具主軸台21のX軸、Y軸及びZ軸方向の直線移動とを制御することで、工具主軸台21に保持された工具主軸13を後述する第一撮像位置と第二撮像位置とに切替え可能に構成されている。
【0116】
ロボット25は、工具主軸13が第一撮像位置及び第二撮像位置にある状態で予め定めた撮像姿勢を取る。ロボット25が撮像姿勢を取ることで、ワークWがハンド部29により工作機械10内の所定位置に保持される。具体的には、ワークWは、ロボット25が撮像姿勢を取った状態で、ワーク主軸12から離間した位置に該ワーク主軸12と同軸に保持される。尚、ロボット25の撮像姿勢は、上述したワーク挿入開始姿勢と同じ姿勢であってもよい。
【0117】
工具主軸13が第一撮像位置にある状態では、図17の実線で示すように、カメラ19aは、その光軸が鉛直方向に延びるように且つロボット25のハンド部29に正規の姿勢で把持されたワークWの先端中心位置を通るように配置される。
【0118】
工具主軸13が第二撮像位置にある状態では、図17の二点鎖線で示すように、カメラ19aは、その光軸が鉛直方向に対して所定角度θbで傾斜するように且つロボット25のハンド部29に正規の姿勢で把持されたワークWの先端中心位置を通るように配置される。前記所定角度θbは、例えば30°~60°であることが好ましく、45°であることがより好ましい。
【0119】
基準画像記憶部49には、工具主軸13が第一撮像位置にある状態で、ロボット25のハンド部29に正規の姿勢で把持されたワークWをカメラ19aにより撮像した第一位置基準画像Sp1(図18A参照)と、工具主軸台21が第二撮像位置にある状態でロボット25のハンド部29に正規の姿勢で把持されたワークWをカメラ19aにより撮像した第二位置基準画像Sp2とが記憶されている。
【0120】
図19は、実施形態2のAGV制御装置40により実行される無人搬送車35及びロボット25の自動運転制御の一例を示すフローチャートである。
【0121】
ステップSB1~SB4及びステップSB9~13の処理は、実施形態1のステップSA1~SA4、ステップSA9~SA13と同様の処理であるため詳細な説明を省略し、以下では、主に、実施形態1とは異なる処理であるステップSB5~SB8について説明する。
【0122】
すなわち、本実施形態では、自動運転制御部48がロボット25にバケット38内から加工前の一のワークWを取り出させた後、ロボット25に撮像姿勢を取らせる(ステップSB5)。この撮像姿勢では、実施形態1とは異なりハンド部29が工作機械10の加工エイラに進入して、ハンド部29に把持されたワークWはチャック11(ワーク主軸12)と同軸に保持される
【0123】
自動運転制御部48は、ロボット25に撮像姿勢を取らせた後、工作機械制御装置60に対して撮像指令を行う。工作機械制御装置60では、撮像指令を受信すると、数値制御部62によりチルトモータを駆動して工具主軸13を第一撮像位置に位置させるとともに、カメラ19aにワークWの撮像処理を実行させる(ステップSB6)。カメラ19aによるワークWの撮像画像は、無線通信部63を介してAGV制御装置40に送信されるとともに撮像画像記憶部50に第一位置撮像画像Gp1として記憶される。第一撮像位置におけるカメラ19aの撮像処理が終了した後、工作機械制御装置60は、数値制御部62によりチルトモータを駆動して工具主軸13を第二撮像位置に移動させて、カメラ19aによりワークWの撮像処理を実行させる(ステップSB6)。カメラ19aによるワークWの撮像画像は、無線通信部63を介してAGV制御装置40に送信されるとともに撮像画像記憶部50に第二位置撮像画像Gp2として記憶される。図18Bには、撮像画像記憶部50に記憶された第一位置撮像画像Gp1及び第二位置撮像画像Gp2の一例を示している。
【0124】
そして、AGV制御装置40のワーク姿勢ずれ算出部51では、撮像画像記憶部50に記憶された第一位置撮像画像Gp1及び第二位置撮像画像Gp2をそれぞれ、基準画像記憶部49に記憶された第一位置基準画像Sp1及び第二位置基準画像Sp2と比較する。そして、第一位置撮像画像Gp1と第二位置撮像画像Gp2との少なくとも一方の画像において対応する基準画像S1,S2との間でずれが存在するか否かを判定する(ステップSB7)。
【0125】
そして、ワーク姿勢ずれ算出部51において、当該ずれが存在しないと判定した場合(ステップSB7でNOの場合)には、実施形態1と同様にロボット25の動作補正を行わずにワークWをチャック11に装着した後(ステップSB13)、ロボット25を待機姿勢に戻して(ステップSB11)、工作機械10にワークWの加工サイクルを開始させ(ステップSB12)、しかる後にリターンする。
【0126】
一方、ワーク姿勢ずれ算出部51において、第一位置撮像画像Gp1と第二位置撮像画像Gp2との少なくとも一方の画像について対応する基準画像との間でずれが存在すると判定した場合(ステップSB7でYESの場合)には、このずれに関する情報を取得して、取得したずれに関する情報を基に、ロボット25のハンド部29に把持されたワークWの姿勢と正規の姿勢とのずれ(実空間におけるずれ)を算出する(ステップSB8)。
【0127】
具体的には、ワーク姿勢ずれ算出部51は、第一位置撮像画像Gp1及び第一位置基準画像Sp1に対してそれぞれ二値化処理及び輪郭線抽出処理を実行するとともに、抽出したワークWの輪郭線を基にその軸線Jを求める。そして、ワーク姿勢ずれ算出部51は、図20に示すように、第一位置撮像画像Gp1におけるワークWの軸線Jと、第一位置基準画像Sp1におけるワークWの軸線Jとの交差角θc、及び、第一位置撮像画像Gp1におけるワークWの先端中央位置と、第一位置基準画像Sp1におけるワークWの軸線Jとの距離δaを算出する。
【0128】
さらにワーク姿勢ずれ算出部51は、第二位置撮像画像Gp2及び第二位置基準画像Sp2に対してそれぞれ二値化処理及び輪郭線抽出処理を実行するとともに、抽出したワークWの輪郭線を基にその軸線Jを求める。そして、ワーク姿勢ずれ算出部51は、図21に示すように、第二位置撮像画像Gp2におけるワークWの先端面の輪郭線の間隔drと、第二位置基準画像Sp2におけるワークWの先端面の輪郭線の間隔dsとの比率σ(=dr/ds)を算出する。さらに、ワーク姿勢ずれ算出部51は、第二位置撮像画像Gp2におけるワークWの先端面の中心位置と、第二位置基準画像Sp2におけるワークWの先端面の中心位置との距離δbを算出する。
【0129】
そして、ワーク姿勢ずれ算出部51は、算出した距離δa及び距離δbを基に実空間におけるワークWの先端中心位置のX軸方向及びY軸方向のずれ量を求める。また、ワーク姿勢ずれ算出部51は、前記交差角θcを基に、実空間においてワークWの軸線Jの水平方向の傾斜角を算出し、前記比率σを基に、実空間におけるワークWの軸線Jの上下方向の傾斜角を算出する。
【0130】
自動運転制御部48は、ワーク姿勢ずれ算出部51がステップSB8で算出した実空間におけるワークWの軸線Jの傾斜方向、傾斜角、及びワーク先端中心位置のX軸方向及びY軸方向のずれ量(ワークWの姿勢ずれ)を基に、ワークWの軸線Jがチャック11の挿入空間部Kと同軸に挿入されるように(所定のセット姿勢になるように)、ワーク挿入開始姿勢、各ワーク挿入動作姿勢及びワーク挿入完了姿勢の補正量を算出する。そして、自動運転制御部48は、算出した補正量を基に、チャック11へのワークWのセット処理に際して、ロボット25の各姿勢を補正する。
【0131】
したがって、本実施形態のワーク装着システム100では、前記実施形態1と同様に、ハンド部29によるワークWの把持姿勢が正規の姿勢からずれたとしても、ロボット25のワーク挿入動作に関連する各姿勢を補正することで、工作機械10のチャック11にワークWを所定のセット姿勢で装着することができる。
【0132】
また、工作機械10にカメラ19aを設けるようにしたので、カメラ19aの数を極力低減することができる。すなわち、例えば、複数の無人搬送車35に搭載したロボット25が協働して一つの工作機械10に対してワークWの投入・払出し作業を行う場合に、一つのカメラ19aを複数のロボット25で共通に使用することができる。よって、実施形態1のように各ロボット25のそれぞれにカメラ31a,31bを設ける場合に比べてカメラの数を減らしてコストを低減することができる。
【0133】
また、本実施形態のワーク装着システム100によれば、工作機械10に設けられた一つのカメラ19aによってハンド部29に把持されたワークWを鉛直方向と鉛直方向に交差する方向との二方向から撮像し、撮像した二つの画像(第一位置撮像画像Gp1と第二位置撮像画像Gp2)を基にハンド部29によるワークWの把持姿勢のずれを精度良く求めることができる。よって、複数のカメラを設ける場合に比べて、カメラの故障リスクや部品コストを低減することができる。
【0134】
また、本実施形態では、カメラ19aを保持する保持部材として工具主軸13を利用するようにしている。これによれば、工具主軸台21を駆動するチルトモータや送り装置を前記保持部材の駆動部として利用することができる。よって、部品の共通化を図ってコストを低減することができる。
【0135】
(他の実施形態)
前記各実施形態では、撮像画像と基準画像との間にずれが存在する判定した場合(実施形態1のステップSA7でYESの場合、及び実施形態2のステップSB7でYESの場合)には、ワークWをチャック11に装着する際に必ずロボット25の動作補正を行うようにしているが、これに限ったものではない。例えば、ワーク姿勢ずれ算出部51によって画像間のずれが生じていると判定した場合であっても、該画像間のずれに関する情報を基に算出した実空間におけるワークWの姿勢のずれの度合が所定以上である場合には、自動運転制御部48によってハンド部29が把持したワークWを一旦、バケット38内の元の位置に戻して該ハンド部29によるワークWの把持動作をやり直させるようにしてもよい。
【0136】
これによれば、例えばハンド部29とワークWとの間に異物が噛み込む等して、ハンド部29によるワークWの把持姿勢のずれがロボット25の動作補正により改善できないレベルに達している場合には、ハンド部29によりワークWを把持し直すことで、ハンド部29によるワークWの把持姿勢を改善することがきる。
【0137】
また、前記実施形態1では、ロボット25に二つのカメラ31a,31bを設けるようにしているが、これに限ったものではない。カメラの数は、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0138】
前記各実施形態では、AGV制御装置40は、無人搬送車35に搭載されているが、これに限ったものではなく、例えば工場内の所定位置に固定された上位の管理コンピュータ等により構成されていてもよい。この場合、無人搬送車35及びロボット25は、AGV制御装置40により遠隔制御される。
【0139】
前記各実施形態では、ハンド部29は、二つの把持部材292によりワークWを挟持するように構成されているが、これに限ったものではない。例えば、中空状のワークWに対しては、ハンド部29に設けた複数の把持部材292をワークWの径方向内側から外側に拡張させることでワークWを把持するようにしてもよい。また、ハンド部29は、エアーの吸引力によって又は磁石の磁力によってワークWを吸着して把持するように構成されていてもよい。
【0140】
前記各実施形態では、ワーク装着部は、複数の把持爪11bを開閉させるチャック11により構成されているが、これに限ったものではない。ワーク装着部は、例えば中空状のワークWを内側から固定するコレットチャックなど、如何なる構成であってもよい。また、ワーク装着部は、マシニングセンタ等にワークをセットするためのワークパレットであってもよい。また、ワークWは軸状部材に限定されないことは言うまでもない。
【0141】
前記各実施形態では、工作機械10が複合型のターニングセンタとされているが、これに限ったものではなく、工作機械10はマシニングセンタ等であってもよい。
【0142】
尚、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と
均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0143】
10 工作機械
11 チャック(ワーク装着部)
13 工具主軸
19a カメラ
21 工具主軸台(保持部材)
25 ロボット
29 ハンド部
31a 第一カメラ
31b 第二カメラ
35 無人搬送車
40 制御装置
49 基準画像記憶部
60 制御装置
100 ワーク装着システム
292 把持部材
G1 第一撮像画像(撮像画像)
G2 第二撮像画像(撮像画像)
Gp1 第一位置撮像画像(撮像画像)
Gp2 第二位置撮像画像(撮像画像)
J 軸線
K 挿入空間部
L1 光軸
L2 光軸
S1 第一基準画像(基準画像)
S2 第二基準画像(基準画像)
Sp1 第一位置基準画像(基準画像)
Sp2 第二位置基準画像(基準画像)
Tf 固定工具
Tr 回転工具(加工工具)
W ワーク
θa 所定角度
θb 所定角度


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2021-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンド部を有するロボットと、前記ロボットを制御することで、所定位置に載置されたワークを該ハンド部に把持させて工作機械内のワーク装着部にセットさせるワークセット処理を実行する制御装置と、を備えたワーク装着システムであって、
前記ロボットのハンド部に設けられ、該ハンド部に把持された前記ワークを撮像可能なカメラと、
前記ロボットのハンド部により前記ワークが正規の姿勢で把持された状態で前記カメラにより撮像した当該ワークの画像を基準画像として予め記憶しておく基準画像記憶部とをさらに備え、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記カメラに当該ワークの画像を撮像させ、該カメラによる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部への前記ワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成され
前記制御装置は、前記撮像画像と前記基準画像との前記比較に際して、両画像間にずれが存在するか否かを判定し、ずれが存在すると判定した場合には、このずれに関する情報を基に、前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢との位置ずれ及び三次元の傾きのずれを算出して、算出した該位置ずれ及び三次元の傾きのずれを基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるよう前記ロボットの動作補正を行う一方、前記両画像間にずれが存在しないと判定した場合には前記ロボットの動作補正を行わないように構成されていることを特徴とするワーク装着システム。
【請求項2】
ハンド部を有するロボットと、前記ロボットを制御することで、所定位置に載置されたワークを該ハンド部に把持させて工作機械内のワーク装着部にセットさせるワークセット処理を実行する制御装置と、を備えたワーク装着システムであって、
前記工作機械に設けられ、該工作機械内において前記ロボットが所定姿勢を取った状態で前記ハンド部に把持された前記ワークを撮像可能なカメラと、
前記ロボットが前記所定姿勢を取り且つ前記ハンド部により前記ワークが正規の姿勢で把持された状態で前記カメラにより撮像した当該ワークの画像を基準画像として予め記憶しておく基準画像記憶部とを備え、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記ロボットに前記所定姿勢を取らせて、該所定姿勢において前記カメラに当該ワークの画像を撮像させ、該カメラによる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部への前記ワークのセット姿勢が所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成され
前記制御装置は、前記撮像画像と前記基準画像との前記比較に際して、両画像間にずれが存在するか否かを判定し、ずれが存在すると判定した場合には、このずれに関する情報を基に、前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢との位置ずれ及び三次元の傾きのずれを算出して、算出した該位置ずれ及び該三次元の傾きのずれを基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるよう前記ロボットの動作補正を行う一方、前記両画像間にずれが存在しないと判定した場合には前記ロボットの動作補正を行わないように構成されていることを特徴とするワーク装着システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記両画像間にずれが存在すると判定した場合であっても、該ずれに関する情報を基に算出される前記ロボットのハンド部に把持されたワークの姿勢と前記正規の姿勢とのずれの度合が所定以上であるときには、前記ロボットに、前記ハンド部にて把持したワークを前記所定位置に戻させた後、該ハンド部による当該ワークの把持をやり直させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のワーク装着システム。
【請求項4】
前記ワークは軸状部材であり
前記カメラは、複数設けられ
複数の前記カメラは、第一カメラと第二カメラとを含み、該第一カメラ及び第二カメラが、前記ロボットのハンド部に正規の姿勢で把持されたワークの軸線方向から見て、該ワークの軸線を通り且つ所定方向に延びる直線に対して線対称に位置するとともに、該第一カメラ及び第二カメラのそれぞれの光軸が前記所定方向に対して所定角度で傾斜するように配置されており、
前記基準画像記憶部には、前記基準画像として、前記第一カメラにより撮像した第一基準画像と、前記第二カメラにより撮像した第二基準画像とが記憶され、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記第一カメラ及び第二カメラに当該ワークの画像を撮像させ、前記第一カメラよる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第一基準画像との比較、及び、前記第二カメラよる当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第二基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のワーク装着システム。
【請求項5】
前記所定角度は45°であることを特徴とする請求項記載のワーク装着システム。
【請求項6】
前記ワークは軸状部材であり、
前記ワーク装着部は、水平方向に延びて前記ワークが挿入される挿入空間部からなり、
前記工作機械は、前記挿入空間部に対するワーク挿入方向及び鉛直方向の双方に直交する軸線回りに回動可能に構成されて前記カメラを保持する保持部材と、前記保持部材を、前記カメラの光軸が鉛直方向を向く第一位置と、該カメラの光軸が鉛直方向に対して所定角度で交差する第二位置との間で駆動する駆動部とを有し、
前記基準画像記憶部には、前記基準画像として、前記保持部材が前記第一位置にある状態で前記ハンド部に正規の姿勢で把持されたワークを前記カメラにより撮像した第一位置基準画像と、前記保持部材が前記第二位置にある状態で前記ハンド部に正規の姿勢で把持されたワークを前記カメラにより撮像した第二位置基準画像とが記憶されており、
前記制御装置は、前記ワークセット処理の実行に際して、前記ロボットのハンド部に前記ワークを把持させた状態で前記ロボットに前記所定姿勢を取らせて、該所定姿勢において前記駆動部により前記保持部材を前記第一位置に位置させた状態で前記カメラに撮像させた当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第一位置基準画像との比較、及び、前記所定姿勢において前記駆動部により前記保持部材を前記第二位置に位置させた状態で前記カメラに撮像させた当該ワークの撮像画像と前記基準画像記憶部に記憶された前記第二位置基準画像との比較を基に、前記ワーク装着部へのワークのセット姿勢が前記所定のセット姿勢になるように前記ロボットの動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のワーク装着システム。
【請求項7】
前記工作機械は、加工工具を着脱可能な工具主軸が設けられ、
前記カメラは、前記加工工具に代えて前記工具主軸に着脱可能に構成され、
前記工具主軸が前記保持部材として兼用されていることを特徴とする請求項記載のワーク装着システム。
【請求項8】
前記ハンド部は、複数の把持部材によって、又は、エアーによる吸引力によって、又は、磁石の磁力によって前記ワークを把持するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のワーク装着システム。
【請求項9】
前記ワークは軸状部材であり、
前記工作機械は、前記ワークを挿入可能な挿入空間部を有するとともに該挿入空間部に挿入されたワークをチャック可能なチャック装置を有しており、
前記ワーク装着部は前記チャック装置の挿入空間部であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のワーク装着システム。