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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110747
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】可搬型非常用蓄電池
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220722BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220722BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 301B
H01M2/10 E
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006352
(22)【出願日】2021-01-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)公開内容 ウェブサイトの掲載日 2020年10月19日 ウェブサイトのアドレス https://tozaishoji.co.jp/store/(東西商事公式通販サイト) (2)公開内容 ウェブサイトの掲載日 2020年9月28日 ウェブサイトのアドレス(株式会社イプロスウェブサイト) https://www.ipros.jp/product/detail/2000549993 https://premium.ipros.jp/tozaishoji/product/detail/2000549993/?hub=148+2697844)https://tozaishoji.co.jp/store/ https://www.ipros.jp/catalog/detail/541818 (3)公開内容 ウェブサイトの掲載日 2020年9月3日 ウェブサイトのアドレス(株式会社産経デジタルが運営するウェブサイト「SankeiBiz」) https://www.sankeibiz.jp/business/news/200903/bsc2009030500009-n1.htm (4)公開内容 発行者名 株式会社日刊工業新聞社 刊行物名 日刊工業新聞 発行日 2020年10月15日 (5)公開内容 開催日 2020年10月14日 展示会名 第7回「震災技術対策展」大阪 開催場所 コングレコンベンションセンター(大阪市北区大深3-1グランフロント大阪北館B2F) (6)公開内容 開催日 2020年12月2日 展示会名 株式会社デンザイ東亜展示会 開催場所 大分県花津留一丁目15番1号株式会社デンザイ東亜本社
(71)【出願人】
【識別番号】521026770
【氏名又は名称】東西商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】廣比 公一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB02
5G503DA05
5G503DA18
5G503EA07
5G503FA03
5H030AA01
5H030AS03
5H030BB01
5H030FF42
5H040AA36
5H040AS22
5H040AY03
(57)【要約】
【課題】可搬型非常用蓄電池が継続して電力を供給できる時間を長くできるようにする。
【解決手段】可搬型非常用蓄電池1は、筐体2と、筐体2に収容する蓄電池3と、給電出力部6とを備えており、蓄電池3への充電と蓄電池3による給電とを制御する制御装置4と、蓄電池3と制御装置4とを導通接続する接続部材10とを備える。接続部材10は、蓄電池側コネクタ10dと、蓄電池側コネクタ10dと導通接続する制御装置側コネクタ10bとを有する。制御装置側コネクタ10bは、蓄電池側コネクタ10dとの導通接続を外して筐体2に収容されない拡張蓄電池11が有する拡張蓄電池側コネクタ12bと電気接続可能である。制御装置4は、蓄電池3の電力に代えて拡張蓄電池11の電力を給電出力部6に給電する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に収容する蓄電池と、電気機器を接続する給電出力部とを備える可搬型非常用蓄電池において、
前記蓄電池に対する充電と前記蓄電池による給電とを制御する制御装置と、
前記蓄電池と前記制御装置とを導通接続する接続部材とを備えており、
前記接続部材は、蓄電池側コネクタと、前記蓄電池側コネクタと導通接続する制御装置側コネクタとを有しており、
前記制御装置側コネクタは、前記蓄電池側コネクタとの導通接続を外して前記筐体に収容されない拡張蓄電池が有する拡張蓄電池側コネクタと電気接続可能に構成されており、
前記制御装置は、前記蓄電池の電力に代えて前記拡張蓄電池の電力を前記給電出力部に給電する
可搬型非常用蓄電池。
【請求項2】
前記筐体は、前記接続部材を前記筐体の内部から引き出すための開閉可能な引出し口を有する
請求項1記載の可搬型非常用蓄電池。
【請求項3】
前記接続部材は、前記制御装置から伸長する制御装置側配線を有しており、
前記制御装置側配線は、前記制御装置から伸長する末端に前記制御装置側コネクタを有しており、前記制御装置側コネクタを前記引出し口から前記筐体の外に引き出し可能な長さを有する
請求項2記載の可搬型非常用蓄電池。
【請求項4】
前記接続部材は、前記蓄電池から伸長する蓄電池側配線を有しており、
前記蓄電池側配線は、前記蓄電池から伸長する末端に前記蓄電池側コネクタを有しており、前記引出し口を有する前記筐体の外装板と対向位置する前記蓄電池の側面から伸長するものである
請求項2又は3記載の可搬型非常用蓄電池。
【請求項5】
前記筐体は、前記引出し口と前記蓄電池との間に前記接続部材を収容可能な収納空間部を有する
請求項2~4何れか1項記載の可搬型非常用蓄電池。
【請求項6】
前記可搬型非常用蓄電池は、さらに、前記拡張蓄電池を備える
請求項1~5何れか1項記載の可搬型非常用蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非常用蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源、発電機、ソーラーパネル等により充電可能な大容量の蓄電池を内蔵しており、各種電気機器の駆動用電源、充電用電源等として使用できる非常用蓄電池が知られている。非常用蓄電池には固定設置型と可搬型のものとがあり、このうち移動することができる可搬型非常用蓄電池は、近年頻繁に発生している地震、台風、豪雨等によって商用電源が停電した際に使用できる非常用電源として、その重要性が高まっている。なお、可搬型非常用蓄電池は、そのような災害時のみならず、野外でのレクリエーションのような屋外活動でも使用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-90860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常用蓄電池を含む非常用電源については、過去の災害対応での教訓から、少なくとも72時間は電力を供給できることが望ましいとされている(内閣府(平成28年2月).大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き)。しかしながら従来の可搬型非常用蓄電池は、内蔵する蓄電池の電力を使い果たしてしまうと使用できなくなってしまう。この場合の一つの対処法がソーラーパネルや非常用発電機等の外部電源によって蓄電池を充電することである。しかしながら蓄電池が充電されるまでの間は電力を供給することができない。
【0005】
本発明の目的は、非常用蓄電池が継続して電力を供給できる時間を長くできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、筐体と、前記筐体に収容する蓄電池と、電気機器を接続する給電出力部とを備える可搬型非常用蓄電池について、前記蓄電池に対する充電と前記蓄電池による給電とを制御する制御装置と、前記蓄電池と前記制御装置とを電気接続する接続部材とを備えており、前記接続部材は、蓄電池側コネクタと、前記蓄電池側コネクタと導通接続する制御装置側コネクタとを有しており、前記制御装置側コネクタは、前記蓄電池側コネクタとの導通接続を外して前記筐体に収容されない拡張蓄電池が有する拡張蓄電池側コネクタと電気接続可能に構成されており、前記制御装置は、前記蓄電池の電力に代えて前記拡張蓄電池の電力を前記給電出力部に給電することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、非常用蓄電池が継続して電力を供給できる時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による可搬型非常用蓄電池の正面図。
図2図1の背面図。
図3図1の平面図。
図4図1の右側面図。
図5図1の左側面図。
図6図1の可搬型非常用蓄電池に拡張蓄電池を接続した状態を示す模式図。
図7図1の可搬型非常用蓄電池の構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様による実施形態の例について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では「非常用蓄電池」の例示として可搬型非常用蓄電池1を説明する。以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、また本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0010】
可搬型非常用蓄電池1は、例えばスマートフォンを充電するためのUSB給電コネクタのみを有するような手のひらに載るポータブルサイズのものとは異なり、冷蔵庫、エアコン等の大型の家庭用電気機器への給電が可能な大容量型の可搬型非常用蓄電池である。本実施形態の可搬型非常用蓄電池1のスペックは、一例として、蓄電容量2048Wh、定格出力2000W(最大定格出力4000W)、寸法は幅530×奥行320×高さ430(mm)、重量36kgである。
【0011】
可搬型非常用蓄電池1の構成の説明
【0012】
可搬型非常用蓄電池1は、筐体2と、蓄電池3と、制御装置4と、充電入力部5と、給電出力部6とを備える。
【0013】
筐体2は、合成樹脂の成形体でなる複数の筐体部品を組合わせて構成されている。筐体2は、箱型に形成されており、その内部には図示しない金属シャーシを備えている。金属シャーシは、筐体2の内部を上下に仕切る形状であり、その下部には蓄電池3の収容部が形成されており、上部には制御装置4の収容部が形成されている。
【0014】
筐体2の正面部2Aには、図1で示すように「筐体の外装板」としての正面パネル2aを有する。正面パネル2aは、高さ方向における中央が前方に膨出する湾曲面形状を有している。この正面パネル2aと蓄電池3との間には、後述する接続部材10を収容可能な収納空間部2bが形成されている。正面パネル2aが前方に膨出する湾曲面形状であって、正面パネル2aの下側が筐体2の背面側に僅かに後退する形状であり、正面パネル2aの上側が筐体2の天面にかけて湾曲する形状であることから、前述の収納空間部2bを確保しながらも、筐体2の全体サイズの拡大を抑えることができ、さらに可搬型非常用蓄電池1を見る者に対してコンパクトな視覚的印象を与えることができる。
【0015】
正面パネル2aには、着脱可能な蓋パネル2cが設けられている。蓋パネル2cは、その外縁の複数箇所で締結ボルト2dにより正面パネル2aに対して固定されている。蓋パネル2cを取外すと、図示しない正面開口部が現れて、そこから筐体2の内部を露出させることができる。
【0016】
蓋パネル2cには、接続部材10を筐体2の内部から引き出すための開閉可能な引出し口2eが設けられている。この引出し口2eは、蓋パネル2cに設けられた四角枠状の孔縁でなる窓部2e1と(図6参照)、窓部2e1を開閉する蓋板2e2とで構成されている。蓋板2e2は、窓部2e1を形成する孔縁に対して図示しない係止片により嵌め込まれて装着することができる。また、蓋板2e2は、角部を凹状に欠如するフランジ形状の指掛け凹部2e3を有する。この指掛け凹部2e3に手指をかけて手前側に引っ張ることで、前述の係止片による係止を解除して蓋板2e2を取外すことができる。このように引出し口2eは、ドライバーのような工具を使わずに開閉可能であることから、後述する拡張蓄電池11の接続作業を効率的に行うことができるようにされている。
【0017】
正面パネル2aには、さらに、充電入力部5が配置されている。充電入力部5には複数の充電入力方式に対応して複数の接続部が設けられている。具体的には、電源ケーブルが接続されてAC電力(商用電源のAC100V)を入力するためのAC充電接続部5aと、自動車で用いるシガープラグが接続されて車載バッテリーからDC電圧を受けるシガーソケット型DC充電接続部5bと、太陽光パネルに接続されたケーブルのコネクタが接続されて太陽光発電により生じたDC電圧を受けるPV(Photovoltaic)充電接続部5cとを有する。したがって、状況に応じた多様な充電入力を利用することができて便利である。
【0018】
筐体2の天面部2Bには、図3で示すように可倒式把持部2f(第1の把持部)が設けられている。可倒式把持部2fは、未使用時には天面部2Bに形成された収容凹部2gに収容されている。他方、使用時には、可倒式把持部2fを掴んで回転させることで起立するようになっている。そして、この可倒式把持部2fを持って可搬型非常用蓄電池1を移動させることができる。
【0019】
また、天面部2Bには、筐体2の右側面部2C、左側面部2Dにそれぞれ隣接する一対の可撓性把持部2h(第2の把持部)が設けられている。可撓性把持部2hは、一対の固定部2h1にかけ渡した帯状把持片2h2を有している。この帯状把持片2h2は、軟質の合成樹脂製であるため、それを持ち上げることで上方に弓なりに弾性変形する。それによって帯状把持片2h2と天面部2Bとの隙間を拡大することができ、その隙間に十分に手指を入れることができる。そして、一対の可撓性把持部2hを右手、左手で持つことで、可搬型非常用蓄電池1を一人で移動させることができるほか、一人が右側の可撓性把持部2hを持ち、もう一人が左側の可撓性把持部2hを持つことも可能であり、力の弱い人であっても二人で容易に移動することができる。
【0020】
このように可搬型非常用蓄電池1は、可倒式把持部2fと一対の可撓性把持部2hという複数の移動のための「持ち手」を備えることで、重量物でありながら人手による持ち運びが容易となるように構成されている。
【0021】
持ち運びの容易性(ポータビリティ向上)という観点では、さらに可搬型非常用蓄電池1は、伸縮ハンドル2iと一対のキャスター2jを備えている。伸縮ハンドル2iは、それを引き上げることによって、図2で示すように多段式に伸ばすことができる。伸長した伸縮ハンドル2iを戻すには、ボタン2i1を押すことで短くすることができる。そして、一対のキャスター2jには、車輪径の大きなゴム弾性体でなる車輪2j1を備えている。したがって、可搬型非常用蓄電池1は、伸縮ハンドル2iを伸ばして筐体2を斜めに倒して引くことで、重量物でありながら力の弱い人でも容易に持ち運ぶことができる。そして、車輪径(直径)が大きく、筐体2の奥行方向の半分の長さに相当するサイズである。そのため可搬型非常用蓄電池1であれば、凹凸のある荒れた路面であっても機動的に移動することができる。これは特に屋外での移動に適している。
【0022】
筐体2の右側面部2Cには、図4で示すように2つの通気孔2k1、2k2が設けられている。これらの通気孔2k1、2k2は、筐体2の内部にこもる熱を外部に放出する部位である。
【0023】
筐体2の左側面部2Dには、図5で示すように給電出力部6と、前述の通気孔2k2と同様の通気孔2k3が設けられている。給電出力部6は、複数の給電方式に対応して複数の接続部が設けられている。具体的には、電源ケーブルが接続されてAC電力(AC100V)を給電するための4つのAC給電接続部6aと、電源ケーブルが接続されてDC電力(DC12V)を給電するためのDC給電接続部6bと、自動車のシガープラグが接続されてDC電力(DC12V)を給電するためのシガーソケット型DC給電接続部6cと、USBケーブルが接続されてDC電力(DC5V)を給電するためのUSB用給電接続部6dとを有する。したがって、給電する電気機器に応じた多様な給電形式を利用することができて便利である。AC給電接続部6aは、その上方にあるAC給電接続部用スイッチ6eをオンすることで給電可能となっており、オフにすると給電不能となる。
【0024】
シガーソケット型DC給電接続部6cの上には可搬型非常用蓄電池1のステータスを表示する液晶画面でなる表示部7が設けられており、さらにその上には可搬型非常用蓄電池1をオンオフする主電源ボタン8が設けられている。
【0025】
筐体2の背面部2Eには、図2で示すように4つの背面設置脚2mが設けられている。可搬型非常用蓄電池1は、背面部2Eが設置面に対向するように倒して使用することができる。このとき車輪2j1と隣接する背面設置脚2mは、図5で示すように車輪2j1よりも筐体2から離れる方向に突出している。このため4つの背面設置脚2mは設置面と確実に接触することができる。可搬型非常用蓄電池1は、例えば設置面が傾斜していたり、電源ケーブルに足を引っかけたりして、縦置き状態(図5)では倒れるおそれがある状況で使用されることもある。そうした場合に予め横置き状態に倒せば4つの背面設置脚2mが設置面と接触して安全に使用することができる。
【0026】
筐体2の底面部には、ゴム状弾性体でなる4つの底面設置脚2nが設けられている。底面設置脚2nは、いずれも車輪2j1よりも筐体2から離れる方向に突出している。したがって、前述のように可搬型非常用蓄電池1を縦置き状態で使用する際には、車輪2j1を設置面から浮かせることができ、意図せず移動しないように固定して設置することができる。
【0027】
筐体2の内部には、制御装置4が設けられている。制御装置4は、薄箱型筐体を備えており、その内部にプログラムを実行することで動作するコントローラ、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ、DC接続器、蓄電池3及びインバータの電流を検知する電流センサ等を実装した回路基板を備えている。また、制御装置4の薄箱型筐体には、前述のコントローラにより駆動され内部の熱を排出するファンを備えている。可搬型非常用蓄電池1は、蓄電池3に対する充電制御及び蓄電池3からの給電制御を実行する制御装置4を単一の薄箱型筐体に収納するユニットとして構成されている。したがって、筐体2の内部に制御装置4を構成する部品を点在させずに済み、制御装置4の筐体2への組み込みを容易に行うことができる。
【0028】
さらに筐体2の内部には、蓄電池3が設けられている。蓄電池3は、例えば安全性が高く大容量のリン酸鉄リチウムイオン電池を使用することができる。
【0029】
制御装置4(制御装置4に内蔵するコントローラ)は、図7Aで示すように、前述した充電入力部5、給電出力部6、表示部7、主電源ボタン8と配線9を介して導通接続されている。これらに加えて制御装置4は、接続部材10を介して蓄電池3と導通接続されている。
【0030】
接続部材10は、制御装置側配線10aと、制御装置側コネクタ10bと、蓄電池側配線10cと、蓄電池側コネクタ10dとを有する。
【0031】
制御装置側配線10aは、制御装置4に内蔵する回路基板に接続されており、制御装置4から伸長する電気ケーブルである。制御装置側コネクタ10bは、その制御装置側配線10aの末端に取付けられた電気コネクタである。蓄電池側配線10cは、蓄電池3に接続されており、蓄電池3から伸長する電気ケーブルである。蓄電池側コネクタ10dは、その蓄電池側配線10cの末端に取付けられた電気コネクタである。制御装置側コネクタ10bと蓄電池側コネクタ10dとは嵌合接続することで、制御装置4と蓄電池3とを導通接続することができる。そのような制御装置側コネクタ10bと蓄電池側コネクタ10dには、例えば雄雌が無く接続が容易なアンダーソンコネクタを使用することができる。
【0032】
このような接続部材10は、筐体2の正面パネル2aと蓄電池3との間の収納空間部2bに配置されている(図7A参照)。接続部材10の収納空間部2bへの収納を容易にするため、蓄電池側配線10cの蓄電池3の側の端部10c1は、引出し口2eを有する正面パネル2aと対向する蓄電池3の側面3aに設けられている。そして接続部材10は、図6で示すように、正面パネル2aの引出し口2eの蓋板2e2を取外すことで、筐体2の外部に容易に引き出すことができる。筐体2の外部に引き出した制御装置側コネクタ10bと蓄電池側コネクタ10dは、相互に抜去することで嵌合接続を解除することができる。
【0033】
蓄電池3の充電容量がまだ残っている場合には、図7Aで示すように蓄電池3を給電に使用することができる。しかしながら、蓄電池3に充電した電力を使い果たした場合には給電できなくなる。そこで可搬型非常用蓄電池1は、継続して電力を供給できる時間を長くできるようにするための拡張蓄電池11を備える。拡張蓄電池11は、蓄電池3と同様に非常用電源として使用可能なリン酸鉄リチウムイオン電池等の蓄電池であって、蓄電池3に代えて制御装置4と導通接続して使用することができる(図6図7B)。
【0034】
具体的には、拡張蓄電池11は、拡張蓄電池用接続部材12を有する。拡張蓄電池用接続部材12は、拡張蓄電池側配線12aと、その末端に取付けられた拡張蓄電池側コネクタ12bとを有する。拡張蓄電池側コネクタ12bは、一例として例えばアンダーソンコネクタを使用することができる。そして、蓄電池側コネクタ10dとの嵌合接続を解除した制御装置側コネクタ10bを、拡張蓄電池側コネクタ12bと嵌合接続することで、拡張蓄電池11を制御装置4と導通接続することができる。その嵌合接続は、前述のように筐体2の外部に引き出した制御装置側コネクタ10bと拡張蓄電池側コネクタ12bと嵌合することで容易に接続することができる。これにより制御装置4は、蓄電池3からの電力に代えて、拡張蓄電池11からの電力を、制御装置4を介して給電出力部6に出力することができる。
【0035】
効果の説明
【0036】
次に、可搬型非常用蓄電池1の構成と効果を例示して説明する。
【0037】
可搬型非常用蓄電池1は、筐体2と、筐体2に収容する蓄電池3とを備えており、電気機器を接続する給電出力部6とを備えるものであって、蓄電池3に対する充電と蓄電池3による給電とを制御する制御装置4と、蓄電池3と制御装置4とを導通接続する接続部材10とを備えており、接続部材10は、蓄電池側コネクタ10dと、蓄電池側コネクタ10dと導通接続する制御装置側コネクタ10bとを有しており、制御装置側コネクタ10bは、蓄電池側コネクタ10dとの導通接続を外して筐体2に収容されない拡張蓄電池11が有する拡張蓄電池側コネクタ12bと電気接続可能に構成されている。そして、制御装置4は、蓄電池3の電力に代えて拡張蓄電池11の電力を給電出力部6に給電する。
【0038】
このため蓄電池3の電力を費消した場合でも、制御装置側コネクタ10bと拡張蓄電池側コネクタ12bとを導通接続することで、蓄電池3の充電を待たずに可拡張蓄電池11を使用した搬型非常用蓄電池1による給電を、短時間で即座に再開することができる。したがって、可搬型非常用蓄電池1により使用できる給電時間を容易に伸ばすことができる。この場合に、拡張蓄電池11は、1つ以上可搬型非常用蓄電池1に備えるものとすることができ、複数備えることでさらに給電時間を延長することが可能となる。
【0039】
非常用電源については、過去の災害対応での教訓から、少なくとも72時間は電力を供給できることが望ましいとされている。この点で可搬型非常用蓄電池1によれば、充電入力部5を通じて蓄電池3を充電できない状況になったとしても、拡張蓄電池11を用いることで非常用電源として72時間の電力供給を実現することが可能となる。したがって、可搬型非常用蓄電池1は、災害用の非常用電源として好適に使用することができる。なお、可搬型非常用蓄電池1は、災害等の非常時以外にも使用できることはもちろんである。
【0040】
筐体2は、接続部材10を筐体2の内部から引き出すための開閉可能な引出し口2eを有する。これによれば、接続部材10を容易且つ即座に筐体2の内部から引き出すことが可能であり、それに続けて制御装置側コネクタ10bと蓄電池側コネクタ10dとの導通接続を外して、制御装置側コネクタ10bを拡張蓄電池側コネクタ12bと即座に導通接続することができ、短い作業時間で可搬型非常用蓄電池1による電力供給を再開できる。
【0041】
接続部材10は、制御装置4から伸長する制御装置側配線10aを有しており、制御装置側配線10aは、制御装置4から伸長する末端に制御装置側コネクタ10bを有しており、制御装置側コネクタ10bを引出し口2eから筐体2の外に引き出し可能な長さを有する。これによれば、制御装置側コネクタ10bと拡張蓄電池側コネクタ12bとを導通接続するための作業を、筐体2の狭い内部で行うのではなく、筐体2の外部で効率的に行うことができる。
【0042】
接続部材10は、蓄電池3から伸長する蓄電池側配線10cを有しており、蓄電池側配線10cは、蓄電池3から伸長する末端に蓄電池側コネクタ10dを有しており、引出し口2eを有する筐体2の正面パネル2aと対向位置する蓄電池3の側面3aから伸長する。これによれば、蓄電池側配線10cと蓄電池側コネクタ10dとを収納空間部2bに収容しやすくすることができる。
【0043】
可搬型非常用蓄電池1は、筐体2が幅と高さに対して奥行きの長さが短い縦箱型であり、伸縮ハンドル2iとキャスター2jを備えるキャリーバッグ型として構成されている。したがって、持ち運びを容易に行うことができる。
【0044】
変形例
【0045】
前記実施形態による可搬型非常用蓄電池1については、変形例による実施が可能であるため、そのいくつかを例示して説明する。
【0046】
前記実施形態では充電入力部5として、1つのAC充電接続部5a、1つのシガーソケット型DC充電接続部5b、1つのPV充電接続部5cを設ける例を示したが、その種類及び個数は任意のものとすることができる。
【0047】
前記実施形態では、給電出力部6として4つのAC給電接続部6a、1つのDC給電接続部6b、1つのシガーソケット型DC給電接続部6c、2つのUSB用給電接続部6dを設ける例を示したが、その種類及び個数は任意のものとすることができる。
【0048】
前記実施形態では、正面パネル2aに引出し口2eを設ける例を示したが、引出し口は筐体2の他の部位に設けてもよい。
【0049】
前記実施形態では、接続部材10が制御装置側配線10aと蓄電池側配線10cとを有する構成を示したが、そのうちの何れかは省略することも可能である。例えば、制御装置側配線10aを省略する場合は、制御装置4の筐体に制御装置側コネクタ10bを配置し、そこに蓄電池側配線10cを引き回して蓄電池側コネクタ10dを接続することができる。この場合、拡張蓄電池側コネクタ12bは、制御装置4の筐体に配置された制御装置側コネクタ10bに対して嵌合接続する。また、蓄電池側配線10cを省略する場合は、蓄電池3の筐体に蓄電池側コネクタ10dを配置し、そこに制御装置側配線10aを引き回して制御装置側コネクタ10bを接続することができる。この場合、拡張蓄電池側コネクタ12bは、前述の実施形態と同様に制御装置側コネクタ10bと嵌合接続する。
【0050】
前記実施形態では、制御装置側コネクタ10bと、蓄電池側コネクタ10d及び拡張蓄電池側コネクタ12bとを直接嵌合接続する例を示したが、それらの間に両端に中継コネクタを有する1以上の中継配線部材を介在させてもよい。
【0051】
前記実施形態では、伸縮ハンドル2iとキャスター2jを備える例を示したが、それらの使用を省略してもよい。この場合には、可倒式把持部2fや可撓性把持部2hを持って移動することができる。
【0052】
前記実施形態では、可倒式把持部2fと可撓性把持部2hとを備える例を示したが、それらの一方の使用を省略したり、それらの双方の使用を省略したりしてもよい。この場合には、伸縮ハンドル2iとキャスター2jにより移動することができる。あるいは、筐体2に手指を引掛ける凹部を設けるようにしてもよい。
【0053】
前記実施形態では、嵌合接続した制御装置側コネクタ10bと拡張蓄電池側コネクタ12bとが露出する例を示したが、それらを完全に覆い隠す保護カバーを設けるようにしてもよい。これによれば、制御装置側コネクタ10bと拡張蓄電池側コネクタ12bとの接続部分に塵埃や水等が付着することなく、また相互に抜去する外力の作用を防ぐことも可能であり、使用時の安全性を高めることができる。
【0054】
なお、本発明の一態様による実施形態について詳細に説明したが、本発明の構成及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0055】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、可搬型非常用蓄電池1の構成、動作も本発明の一態様による実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 可搬型非常用蓄電池
2 筐体
2A 正面部
2B 天面部
2C 右側面部
2D 左側面部
2F 背面部
2a 正面パネル
2b 収納空間部
2c 蓋パネル
2d 締結ボルト
2e 引出し口
2e1 窓部
2e2 蓋板
2e3 指掛け凹部
2f 可倒式把持部
2g 収容凹部
2h 可撓性把持部
2h1 固定部
2h2 帯状把持片
2i 伸縮ハンドル
2i1 ボタン
2j キャスター
2j1 車輪
2k1、2k2、2k3 通気孔
2m 背面設置脚
2n 底面設置脚
3 蓄電池
3a 側面
4 制御装置
5 充電入力部
5a AC充電接続部
5b シガーソケット型DC充電接続部
5c PV充電接続部
6 給電出力部
6a AC給電接続部
6b DC給電接続部
6c シガーソケット型DC給電接続部
6d USB用給電接続部
6e AC給電接続部用スイッチ
7 表示部
8 主電源ボタン
9 配線
10 接続部材
10a 制御装置側配線
10b 制御装置側コネクタ
10c 蓄電池側配線
10c1 端部
10d 蓄電池側コネクタ
11 拡張蓄電池
12 拡張蓄電池用接続部材
12a 拡張蓄電池側配線
12b 拡張蓄電池側コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7