(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110796
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】仮支持工法および高所作業車
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20220722BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B66F9/24 T
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006423
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】宮古 尚
(72)【発明者】
【氏名】大場 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡安 良王
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA09
3F333AB04
3F333AC12
3F333DA10
3F333DB10
(57)【要約】
【課題】作業の無駄を省くことが可能な仮支持工法を提供する。
【解決手段】第1の高所作業車には、第1の作業台40に着脱可能に取り付けられ、第1の作業台40から取り外されて第1の作業台40と離れた位置においても第1のブーム30を作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置300が設けられる。そして、第2の高所作業車の第2の作業台540に搭乗し、第1の作業台40と離れた第2の作業台540において、第1の作業台40から取り外した遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動させて仮支持装置100に電線Cを仮支持させる。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な第1の車体に少なくとも起伏動を含む作動が可能に設けられた第1のブームと、前記第1のブームの先端部に設けられた第1の作業台と、前記第1のブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる第1の操作装置と、前記第1のブームの先端部に設けられて電線を仮支持する仮支持装置とを備えた第1の高所作業車および、
走行可能な第2の車体に少なくとも起伏動を含む作動が可能に設けられた第2のブームと、前記第2のブームの先端部に設けられて搭乗可能な第2の作業台と、前記第2のブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる第2の操作装置とを備えた第2の高所作業車を用いて、電線を仮支持するための仮支持工法であって、
前記第1の操作装置は、
前記第1の車体に設けられて前記第1のブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる下部操作装置と、
前記第1の作業台に着脱可能に取り付けられ、前記第1の作業台から取り外されて前記第1の作業台と離れた位置においても前記第1のブームを作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置とを含み、
前記下部操作装置のブーム作動操作を行い、前記第1のブームを作動させて前記仮支持装置を所定の高所に位置する電線の近傍に移動させ、
前記第2の作業台に搭乗し、前記第2の作業台に設けられた前記第2の操作装置のブーム作動操作を行い、前記第2のブームを作動させて前記第2の作業台を前記第1の作業台の近傍に移動させ、
前記第2の作業台において、前記第1の作業台から取り外した前記遠隔操作装置のブーム作動操作を行い、前記第1のブームを作動させて前記仮支持装置に電線を仮支持させることを特徴とする仮支持工法。
【請求項2】
前記第1の高所作業車は、
前記第1のブームを作動させるアクチュエータと、
前記下部操作装置のブーム作動操作と同じブーム作動操作が前記遠隔操作装置で行われた場合、前記遠隔操作装置のブーム作動操作に応じて前記第1のブームが作動する速度が、前記下部操作装置のブーム作動操作に応じて前記第1のブームが作動する速度よりも低くなるように、前記アクチュエータの作動を制御する作動制御部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の仮支持工法。
【請求項3】
走行可能な車体に少なくとも起伏動を含む作動が可能に設けられたブームと、
前記ブームの先端部に設けられて搭乗可能な作業台と、
前記ブームの先端部に設けられて電線を仮支持する仮支持装置と、
前記車体に設けられて前記ブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる下部操作装置と、
前記作業台に着脱可能に取り付けられ、前記作業台から取り外されて前記作業台と離れた位置においても前記ブームを作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置とを備えることを特徴とする高所作業車。
【請求項4】
前記ブームを作動させるアクチュエータと、
前記下部操作装置のブーム作動操作と同じブーム作動操作が前記遠隔操作装置で行われた場合、前記遠隔操作装置のブーム作動操作に応じて前記ブームが作動する速度が、前記下部操作装置のブーム作動操作に応じて前記ブームが作動する速度よりも低くなるように、前記アクチュエータの作動を制御する作動制御部とを備えることを特徴とする請求項3に記載の高所作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を仮支持するための仮支持工法および高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱の建替え作業や、電柱上にて電線等を支持している碍子等の交換作業を行う場合には、高所作業車を利用して電柱上に支持されている電線を該電柱の代わりに仮支持する仮支持工法が採用されている。電線を仮支持するための高所作業車には、車体上に少なくとも起伏動可能に取り付けられたブームと、ブームの先端部に取り付けられた作業台と、さらにブームの先端部に取り付けられた仮支持装置とを備えて構成されたものが知られている(例えば、特許文献1~2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5-47198号公報
【特許文献2】実用新案登録第2508375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような高所作業車において、作業台に搭乗した作業者は、仮支持装置に電線を仮支持させる作業を行った後、仮支持装置が電線を仮支持している間、作業台をその位置より移動させることができないため他の作業を行うことができず、作業の無駄になっていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、作業の無駄を省くことが可能な仮支持工法および高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係る仮支持工法は、走行可能な第1の車体に少なくとも起伏動を含む作動が可能に設けられた第1のブームと、前記第1のブームの先端部に設けられた第1の作業台と、前記第1のブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる第1の操作装置と、前記第1のブームの先端部に設けられて電線を仮支持する仮支持装置とを備えた第1の高所作業車および、走行可能な第2の車体に少なくとも起伏動を含む作動が可能に設けられた第2のブームと、前記第2のブームの先端部に設けられて搭乗可能な第2の作業台と、前記第2のブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる第2の操作装置(例えば、実施形態における第2の上部操作装置545)とを備えた第2の高所作業車を用いて、電線を仮支持するための仮支持工法であって、前記第1の操作装置は、前記第1の車体に設けられて前記第1のブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる下部操作装置と、前記第1の作業台に着脱可能に取り付けられ、前記第1の作業台から取り外されて前記第1の作業台と離れた位置においても前記第1のブームを作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置とを含み、前記下部操作装置のブーム作動操作を行い、前記第1のブームを作動させて前記仮支持装置を所定の高所に位置する電線の近傍に移動させ、前記第2の作業台に搭乗し、前記第2の作業台に設けられた前記第2の操作装置のブーム作動操作を行い、前記第2のブームを作動させて前記第2の作業台を前記第1の作業台の近傍に移動させ、前記第2の作業台において、前記第1の作業台から取り外した前記遠隔操作装置のブーム作動操作を行い、前記第1のブームを作動させて前記仮支持装置に電線を仮支持させる。
【0007】
上述の仮支持工法において、前記第1の高所作業車は、前記第1のブームを作動させる
アクチュエータ(例えば、実施形態における起伏シリンダ23、伸縮シリンダ31、旋回モータ24)と、前記下部操作装置のブーム作動操作と同じブーム作動操作が前記遠隔操作装置で行われた場合、前記遠隔操作装置のブーム作動操作に応じて前記第1のブームが作動する速度が、前記下部操作装置のブーム作動操作に応じて前記第1のブームが作動する速度よりも低くなるように、前記アクチュエータの作動を制御する作動制御部とを備えることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る高所作業車は、走行可能な車体に少なくとも起伏動を含む作動が可能に設けられたブームと、前記ブームの先端部に設けられて搭乗可能な作業台と、前記ブームの先端部に設けられて電線を仮支持する仮支持装置と、前記車体に設けられて前記ブームを作動させるためのブーム作動操作が行われる下部操作装置と、前記作業台に着脱可能に取り付けられ、前記作業台から取り外されて前記作業台と離れた位置においても前記ブームを作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置とを備える。
【0009】
上述の高所作業車において、前記ブームを作動させるアクチュエータ(例えば、実施形態における起伏シリンダ23、伸縮シリンダ31、旋回モータ24)と、前記下部操作装置のブーム作動操作と同じブーム作動操作が前記遠隔操作装置で行われた場合、前記遠隔操作装置のブーム作動操作に応じて前記ブームが作動する速度が、前記下部操作装置のブーム作動操作に応じて前記ブームが作動する速度よりも低くなるように、前記アクチュエータの作動を制御する作動制御部とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る仮支持工法によれば、第1の高所作業車の第1の操作装置には、第1の作業台に着脱可能に取り付けられ、第1の作業台から取り外されて第1の作業台と離れた位置においても第1のブームを作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置が含まれる。そして、第2の高所作業車の第2の作業台に搭乗し、第1の作業台と離れた第2の作業台において、第1の作業台から取り外した遠隔操作装置のブーム作動操作を行い、第1のブームを作動させて仮支持装置に電線を仮支持させる。これにより、第1の作業台に搭乗することなく、第1の高所作業車の仮支持装置に電線を仮支持させる作業を行うことができるため、作業の無駄を省くことが可能になる。
【0011】
上述の仮支持工法において、下部操作装置のブーム作動操作と同じブーム作動操作が遠隔操作装置で行われた場合、作動制御部は、遠隔操作装置のブーム作動操作に応じて第1のブームが作動する速度が、下部操作装置のブーム作動操作に応じて第1のブームが作動する速度よりも低くなるように、アクチュエータの作動を制御する。これにより、遠隔操作装置で誤操作が行われても、第1のブームが相対的に低い速度で作動するため、安全性を低下させる現象を容易に回避することができ、仮支持装置に電線を仮支持させる作業の安全性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る高所作業車によれば、作業台に着脱可能に取り付けられ、作業台から取り外されて作業台と離れた位置においてもブームを作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置が設けられる。これにより、例えば、他の高所作業車の他の作業台に搭乗し、作業台と離れた他の作業台において、作業台から取り外した遠隔操作装置のブーム作動操作を行い、ブームを作動させて仮支持装置に電線を仮支持させることが可能である。このようにすれば、作業台に搭乗することなく、仮支持装置に電線を仮支持させる作業を行うことができるため、作業の無駄を省くことが可能になる。
【0013】
上述の高所作業車において、下部操作装置のブーム作動操作と同じブーム作動操作が遠隔操作装置で行われた場合、作動制御部は、遠隔操作装置のブーム作動操作に応じてブームが作動する速度が、下部操作装置のブーム作動操作に応じてブームが作動する速度より
も低くなるように、アクチュエータの作動を制御する。これにより、遠隔操作装置で誤操作が行われても、ブームが相対的に低い速度で作動するため、安全性を低下させる現象を容易に回避することができ、仮支持装置に電線を仮支持させる作業の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る第1の高所作業車の側面図である。
【
図2】第1の高所作業車の作業台および吊り上げ装置を示す図であり、(A)は側面図、(B)は斜視図である。
【
図3】第1の高所作業車の仮支持装置を示す側面図である。
【
図4】第1の高所作業車の作業台に備えられた上部操作装置を示す平面図である。
【
図5】第1の高所作業車の車体に備えられた下部操作装置を示す後面図である。
【
図6】作業台に遠隔操作装置が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図8】遠隔操作装置に備えられた操作ボックスを示す平面図である。
【
図9】第1の高所作業車に備えられた安全装置の機能ブロック図である。
【
図10】第1の高所作業車におけるブームの作動速度の一例を示す模式図である。
【
図11】第1の高所作業車における許容作業範囲の一例を示す模式図である。
【
図12】本実施形態に係る第2の高所作業車の側面図である。
【
図13】本実施形態に係る仮支持工法の概要を示すフローチャートである。
【
図14】第1の高所作業車の作業台が地上の近傍に位置する状態を示す図である。
【
図15】仮支持装置を組み立てる途中を示す第1の図である。
【
図16】仮支持装置を組み立てる途中を示す第2の図である。
【
図17】仮支持具が垂直位置に揺動した状態を示す図である。
【
図18】仮支持具が傾斜位置に揺動した状態を示す図である。
【
図19】第1の高所作業車の作業台が仮支持装置とともに地上の近傍に位置する状態を示す図である。
【
図20】仮支持装置が電線の近傍に移動した状態を示す図である。
【
図21】第1の高所作業車の作業台の近傍に第2の高所作業車の作業台が移動した状態を示す図である。
【
図22】遠隔操作装置の操作により仮支持装置が移動する状態を示す図である。
【
図23】遠隔操作装置の操作により仮支持装置が電線に到達する状態を示す図である。
【
図24】仮支持装置に電線を仮支持させる作業を示す図である。
【
図25】遠隔操作装置の操作により電線を仮支持した仮支持装置が移動する状態を示す図である。
【
図26】仮支持装置が電線を仮支持している状態を示す図である。
【
図27】仮支持装置により電線を仮支持している第1の高所作業車の作業台の近傍に第2の高所作業車の作業台が移動した状態を示す図である。
【
図28】遠隔操作装置の操作により仮支持装置に仮支持された電線が電柱に到達する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る第1の高所作業車1を
図1に示しており、まず、この図を参照して第1の高所作業車1の全体構成について説明する。
【0016】
第1の高所作業車1は、
図1に示すように、車体2の前部に運転キャブ7を有し、車体2の前後に配設された左右一対の前輪5fおよび後輪5rにより走行可能なトラック車両をベースに構成されている。車体2は、前輪5fおよび後輪5rが配設されたシャシフレ
ームと、このシャシフレーム上に取り付けられたサブフレームとからなる車体フレームを備えて構成されている。
【0017】
車体2の前後左右には、高所作業時に車体2を持ち上げ支持するジャッキ装置が設けられている。ジャッキ装置は、前輪5fの後方に配設された左右一対のフロントジャッキ10fと、後輪5rの後方に配設された左右一対のリアジャッキ10rとを有して構成される。各ジャッキ10f,10rは、その内部に設けられたジャッキシリンダ11を駆動させて下方に伸長させることで車体2を持ち上げ支持し、これにより車両全体を安定させた状態とする。車体2の後端部には、各ジャッキ10f,10rや後述するブーム30等の作動操作を行うための下部操作装置27が設けられている。
【0018】
車体2における運転キャブ7後方の架装領域には、旋回モータ24により駆動されて上下軸回りに水平旋回動自在に構成された旋回台20が設けられている。この旋回台20から上方に延びた支柱21には、ブーム30の基端部がフートピン22を介して上下方向に揺動自在(起伏自在)に取り付けられている。また、車体2の架装領域の左右には、作業工具や作業機材などを収納するための工具箱26が設けられている。
【0019】
ブーム30は、旋回台20側から順に、基端ブーム30a、中間ブーム30bおよび先端ブーム30cが入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ31の伸縮駆動により、ブーム30を軸方向(長手方向)に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと支柱21との間には起伏シリンダ23が跨設されており、この起伏シリンダ23を伸縮駆動させることにより、ブーム30全体を上下面(垂直面)内で起伏動させることができる。
【0020】
先端ブーム30cの先端部には、
図2(A)および(B)に示すように、揺動ピン33により垂直ポスト32が上下方向に揺動自在に取り付けられている。垂直ポスト32は、先端ブーム30cの先端部との間に跨設された上部レベリングシリンダ(図示せず)と、基端ブーム30aと支柱21との間に跨設された下部レベリングシリンダ25とにより、ブーム30の起伏角度に拘わらず常に垂直姿勢が保持されるように揺動制御(レベリング制御)される。
【0021】
垂直ポスト32の上部には、作業台ブラケット38が垂直ポスト32に対して旋回可能(水平旋回可能)に取り付けられ、この作業台ブラケット38の側部に作業台昇降装置36を介して上方が開口した箱状の作業台40が取り付けられている。垂直ポスト32の上部と作業台ブラケット38とは、カバー35によりその周りを覆われている。カバー35の内部には首振りモータ34が設けられており、首振りモータ34を駆動させることにより図示しないウォームギヤおよびホイールギヤ等からなる回転伝達機構を介して作業台ブラケット38および作業台40を、垂直ポスト32まわりに水平旋回(首振り作動)させることができるように構成されている。
【0022】
前述したように、垂直ポスト32は常に垂直姿勢が保持されるようにレベリング制御されているため、作業台40の床面はブーム30の起伏角度に拘わらず常に水平に保持されるようになっている。作業台昇降装置36は、昇降シリンダ(図示せず)を有して構成されており、この昇降シリンダを駆動することにより作業台ブラケット38に対して作業台40を昇降移動させるように構成されている。
【0023】
作業台40には、これに搭乗した作業者が操作する操作レバーやスイッチ等の各操作手段を備えた上部操作装置45が設けられている。そのため、作業台40に搭乗した作業者は、上部操作装置45を操作することにより、旋回台20の旋回作動(旋回モータ24の回転作動)、ブーム30の起伏作動(起伏シリンダ23の伸縮作動)、ブーム30の伸縮
作動(伸縮シリンダ31の伸縮作動)、作業台40の首振り作動(首振りモータ34の回転作動)などの各作動操作を行うことができる。
【0024】
車体2に設けられた高所作業装置等(上述の旋回台20、ブーム30、作業台40等)の作動機構は、上部操作装置45や下部操作装置27からの操作信号を受けて、ジャッキシリンダ11、旋回モータ24、伸縮シリンダ31、起伏シリンダ23、首振りモータ34および作業台昇降装置36の昇降シリンダ(図示せず)等(以下、まとめて「油圧アクチュエータ55」と称する)を制御するコントローラ200(
図9を参照)と、上述した油圧アクチュエータ55を作動させるために作動油を供給する油圧ユニット50(
図9を参照)と、高所作業装置等を駆動するための車体2のエンジンE(
図9を参照)等から構成される。
【0025】
油圧ユニット50は、
図9に示すように、油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51を駆動させるためのパワーテイクオフ機構52と、油圧ポンプ51から各油圧アクチュエータ55に供給する作動油の供給方向および供給量を制御する制御バルブ53とを有して構成される。パワーテイクオフ機構52は、車体2のエンジンEの動力を変速して後輪5rに伝達するトランスミッション(図示せず)に組み込まれている。運転キャブ7内に配設されたPTO操作レバー(図示せず)がオフ位置からオン位置に操作されると、パワーテイクオフ機構52によってエンジンEによる駆動先が後輪5rから油圧ポンプ51に切り替えられ、エンジンEの動力を利用して油圧ポンプ51が駆動される。制御バルブ53は、コントローラ200からの制御信号(上部操作装置45および下部操作装置27からの操作信号に応じた制御信号)に応じて油圧ポンプ51から各油圧アクチュエータ55に供給される作動油の供給方向および供給量を制御し、各油圧アクチュエータ55の作動方向および作動速度を制御する(ジャッキ装置および高所作業装置の作動方向および作動速度を制御する)。
【0026】
また、詳細な図示を省略するが、油圧ユニット50には、電動モータ(図示せず)により駆動される第2の油圧ポンプ(図示せず)が設けられている。電動モータは、架装部バッテリ59からインバータを介して供給される電力により回転駆動される。油圧ユニット50は、車体2のエンジンEおよびパワーテイクオフ機構52により駆動される(第1の)油圧ポンプ51に代えて、コントローラ200からの制御信号に応じて第2の油圧ポンプから各油圧アクチュエータ55に供給される作動油の供給方向および供給量を制御し、各油圧アクチュエータ55の作動方向および作動速度を制御することができるように構成されている。
【0027】
また、
図2(A)に示すように、垂直ポスト32の上端部には、吊り上げ装置70が設けられている。吊り上げ装置70は、垂直ポスト32の上端部に水平旋回可能に設けられた旋回体71と、旋回体71の上部に上下方向へ揺動自在に取り付けられたサブブーム支持部材72と、サブブーム支持部材72の上部に着脱可能に取り付けられる長尺状のサブブーム74とを有して構成されている。サブブーム74は、例えば第1の高所作業車1の移動時などには、サブブーム支持部材72から取り外されて、
図1に示すように基端ブーム30aに取り付けられる。
【0028】
旋回体71は、垂直ポスト32の上端部に旋回可能に取り付けられた旋回部材71aと、旋回部材71aの周りを覆うカバー71bとを有して構成される。旋回部材71aは、内部に設けられたウインチ旋回モータ(図示せず)を駆動させることにより作業台40(作業台ブラケット38)の旋回軸Aと同軸上で旋回可能に設けられている。旋回部材71aの上部には、水平方向に延びる揺動ピン72aが設けられており、この揺動ピン72aを中心として上下方向に揺動自在にサブブーム支持部材72が取り付けられている。
【0029】
サブブーム支持部材72は、旋回体71のカバー71bの内部に設けられたサブブーム起伏シリンダ(図示せず)を駆動させることにより、旋回部材71aに対して揺動ピン72aを中心に上下方向に揺動可能に構成されている。サブブーム支持部材72の上部には、揺動ピン72aと直交する方向に延びるサブブーム装着孔(図示せず)が形成されており、このサブブーム装着孔にサブブーム74が挿入されて固定ピン77によりサブブーム支持部材72に固定保持される。なお、サブブーム74は、固定ピン77の差し込み位置を変えることにより、サブブーム支持部材72から
図2(A)における作業台40側へ延びる長さを調節可能になっている。
【0030】
サブブーム支持部材72の上端部には、サブブーム74の先端部に設けられたシーブ部材74a(案内滑車)に掛け回されるウインチロープ(図示せず)の繰り出し及び巻き取り作動を行うウインチ機構75が設けられている。ウインチ機構75は、内蔵されたウインチ駆動モータ(図示せず)を駆動させることによりウインチロープの繰り出し及び巻き取り作動を行うように構成されている。
【0031】
上述した不図示のウインチ旋回モータ、サブブーム起伏シリンダ、ウインチ駆動モータに関しても、上述の油圧アクチュエータ55と同様に、上部操作装置45からの操作信号を受けたコントローラ200により制御バルブ53の作動が制御される。この制御バルブ53により油圧ポンプ51(もしくは、前述の第2の油圧ポンプ)から供給される作動油の供給方向および供給量が制御されることで、ウインチ旋回モータ、サブブーム起伏シリンダ、ウインチ駆動モータの作動方向および作動速度が制御されるようになっている。以下では、油圧アクチュエータ55には、ウインチ旋回モータ、サブブーム起伏シリンダ、ウインチ駆動モータも含まれるものとする。
【0032】
次に、本実施形態に係る仮支持装置100について、
図3を参照して説明する。仮支持装置100は、上述の吊り上げ装置70と、この吊り上げ装置70に着脱自在に取り付けられる仮支持具110とを備えて構成される。
【0033】
仮支持具110は、上述のシーブ部材74aの代わりに、サブブーム74の先端部に取り付けられるものである。仮支持具110は、電柱間に架設された電線を仮支持する複数の電線支持部120と、これらの電線支持部120が取り付けられる支持アーム(仮腕木)130と、架設された電線から仮支持具110に作用する水平方向および垂直方向の荷重を検出する荷重検出部140と、荷重検出部140をサブブーム74の先端部に取り付けるためのブラケット150とを有して構成される。
【0034】
支持アーム130は、断面が略正方形をなす長尺棒状の中空部材からなり、その長手方向に3つの電線支持部120が所定の間隔を置いて取り付けられている。電線支持部120は、締付ボルトを用いて支持アーム130に取り付けられる取付部121と、取付部121に固定された樹脂製のガイシ(碍子)部材122と、ガイシ部材122の先端部に設けられた支持部123とを有して構成されている。支持部123は、上下左右にそれぞれ対向して設けられた4つのローラ部材124を有し、これら4つのローラ部材124によって形成される矩形状の間隙部に電線を挿通させて支持するように構成されている。また、支持部123の上部に位置するローラ部材124は揺動開閉可能になっており、この上部のローラ部材124を揺動開放することで、上述した矩形状の間隙部の内部に電線を挿入することができる。また、この揺動開放したローラ部材124を、再び閉じることにより、上述した矩形状の間隙部の内部に電線を挿通させて支持することができる。また、支持アーム130には、該支持アーム130を荷重検出部140に連結するための固定部材131が取り付けられている。
【0035】
荷重検出部140は、
図9に示すように、水平荷重検出器141と、垂直荷重検出器1
42とを備えて構成される。水平荷重検出器141は、仮支持具110に作用する水平方向の荷重(水平荷重)を検出する。垂直荷重検出器142は、仮支持具110に作用する垂直方向の荷重(垂直荷重)を検出する。各荷重検出器141,142は、例えば、歪ゲージを有したロードセルからなり、外部からの荷重によって生じた電気抵抗の変化を電圧の変化に置き換えた電気信号(検出信号)を出力する。
【0036】
ブラケット150は、サブブーム74の先端部に着脱可能に取り付けられるブラケットベース部151と、ブラケットベース部151と揺動自在に連結されて荷重検出部140が着脱可能に取り付けられるブラケット連結部155とを有して構成される。ブラケット連結部155の揺動により、仮支持具110は、支持アーム130がサブブーム74に対して略平行になる平行位置(
図3を参照)と、支持アーム130がサブブーム74に対して略垂直になる垂直位置(
図17を参照)との間で、上下方向に揺動変位することができるようになっている。ブラケット連結部155の側部には、第1固定穴156と、第2固定穴157と、第3固定穴158とが形成される。各固定穴156~158は、固定ピン159を挿通させることができるようになっている。
【0037】
図3に示すように、仮支持具110が平行位置に揺動変位すると、第1固定穴156がブラケットベース部151の側部に形成されたベース側固定穴(図示せず)と位置整合するようになっている。位置整合した第1固定穴156とベース側固定穴とに固定ピン159を挿通させることで、仮支持具110が平行位置で固定される。
図18に示すように、仮支持具110がサブブーム74に対して傾斜した傾斜位置に揺動変位すると、第2固定穴157がブラケットベース部151のベース側固定穴と位置整合するようになっている。位置整合した第2固定穴157とベース側固定穴とに固定ピン159を挿通させることで、仮支持具110が傾斜位置で固定される。
図17に示すように、仮支持具110が垂直位置に揺動変位すると、第3固定穴158がブラケットベース部151のベース側固定穴と位置整合するようになっている。位置整合した第3固定穴158とベース側固定穴とに固定ピン159を挿通させることで、仮支持具110が垂直位置で固定される。
【0038】
次に、本実施形態に係る上部操作装置45について、
図4を参照して説明する。上部操作装置45は、作業台40に取り付けられる箱状の操作ボックス45aと、ジョイスティックJSと、各種操作レバーLV1~LV6と、各種スイッチSW1~SW11とを有して構成される。なお、
図4においては、操作ボックス45aの上部の一部が示されている。操作ボックス45aの上部における作業台40の中央部に近い側には、
図4の右側から順に、ジョイスティックJSと、首振り操作レバーLV1と、ウインチ操作レバーLV2と、サブブーム揺動操作レバーLV3と、サブブーム旋回操作レバーLV4と、昇降操作レバーLV5と、アタッチメント切り替え操作レバーLV6とが設けられる。
【0039】
ジョイスティックJSは、旋回台20の旋回作動、ブーム30の起伏作動、およびブーム30の伸縮作動を行わせるための操作機具である。首振り操作レバーLV1は、作業台40の首振り作動を行わせるための操作レバーである。ウインチ操作レバーLV2は、ウインチ機構75の繰り出し作動、およびウインチ機構75の巻き取り作動を行わせるための操作レバーである。サブブーム揺動操作レバーLV3は、サブブーム74の揺動作動を行わせるための操作レバーである。サブブーム旋回操作レバーLV4は、旋回部材71aの旋回作動を行わせるための操作レバーである。昇降操作レバーLV5は、作業台40の昇降作動を行わせるための操作レバーである。アタッチメント切り替え操作レバーLV6は、各種アタッチメント(図示せず)の切り替え作動を行わせるための操作レバーである。
【0040】
操作ボックス45aの上部における作業台40の外周部に近い側には、
図4の右側から順に、作動停止スイッチSW1と、電源スイッチSW2と、駆動切り替えスイッチSW3
と、エンジンスイッチSW4と、アクセルスイッチSW5と、自動格納スイッチSW6と、水平垂直作動スイッチSW7と、干渉防止機能解除スイッチSW8と、モード切り替えスイッチSW9とが設けられる。また、操作ボックス45aの上部におけるジョイスティックJSと電源スイッチSW2および駆動切り替えスイッチSW3との間の部分には、
図4の右側から順に、照明スイッチSW10と、バッテリチェックスイッチSW11とが設けられる。
【0041】
作動停止スイッチSW1は、高所作業装置等(旋回台20、ブーム30、作業台40等)の作動を停止させるための操作スイッチである。作動停止スイッチSW1は、プッシュプル方式のボタンスイッチ等を用いて構成され、押し操作により高所作業装置等の作動を停止させ、引き操作により高所作業装置等の作動を停止させた状態を解除できるようになっている。なお、操作ボックス45aの上部における作動停止スイッチSW1と電源スイッチSW2との間の部分に、作動停止ランプLP1が設けられる。作動停止スイッチSW1の押し操作により高所作業装置等の作動を停止させた場合に、作動停止ランプLP1が点灯するようになっている。
【0042】
電源スイッチSW2は、上部操作装置45の電源をオン/オフさせるための操作スイッチである。駆動切り替えスイッチSW3は、作動油を供給する油圧ポンプを、車体2のエンジンEおよびパワーテイクオフ機構52により駆動される(第1の)油圧ポンプ51と、電動モータ(図示せず)により駆動される第2の油圧ポンプ(図示せず)とに切り替えるための操作スイッチである。エンジンスイッチSW4は、エンジンEを始動または停止させるための操作スイッチである。アクセルスイッチSW5は、エンジンEの回転数を高低自動に制御する自動モードと、エンジンEの回転数を一定の低速回転数に制御する低速モードとに切り替えるための操作スイッチである。
【0043】
自動格納スイッチSW6は、ブーム30を車体2上の所定の格納位置に格納する自動格納制御をコントローラ200に行わせるための操作スイッチである。水平垂直作動スイッチSW7は、作業台40を水平方向または垂直方向に直線移動させる水平垂直作動制御をコントローラ200に行わせるための操作スイッチである。干渉防止機能解除スイッチSW8は、干渉防止機能を一時的に解除するための操作スイッチである。なお、干渉防止機能は、障害物等との接触を防止するために作業台40の移動が規制される干渉防止規制領域を設定する機能である。電源スイッチSW2、駆動切り替えスイッチSW3、エンジンスイッチSW4、アクセルスイッチSW5、自動格納スイッチSW6、水平垂直作動スイッチSW7、および干渉防止機能解除スイッチSW8は、トグルスイッチ等を用いて構成される。
【0044】
モード切り替えスイッチSW9は、高所モードと、仮支持モードとに切り替えるための操作スイッチである。モード切り替えスイッチSW9は、トグルスイッチ等を用いて構成され、押し操作により、高所モードから、仮支持モード、高所モード、仮支持モード…の順に切り替えることができるようになっている。高所モードは、高所作業等を行うことが可能な制御モードである。仮支持モードは、仮支持装置100を用いて電線を仮支持することが可能な制御モードである。
【0045】
また、仮支持モードおいてモード切り替えスイッチSW9を長押し操作することにより、仮支持モードから使用前点検モードに切り替えることができるようになっている。さらに、使用前点検モードにおいてモード切り替えスイッチSW9を長押し操作することにより、使用前点検モードから仮支持モードに切り替えることができるようになっている。使用前点検モードは、仮支持モードにおいて使用前点検を行うための制御モードである。なお、モード切り替えスイッチSW9は、トグルスイッチに限らず、プッシュボタンスイッチやロータリースイッチ等を用いて構成されてもよい。
【0046】
照明スイッチSW10は、上部操作装置45の上部を照明する照明ランプ(図示せず)を点灯/消灯させるための操作スイッチである。バッテリチェックスイッチSW11は、バッテリチェックランプLP2を点灯/消灯させるための操作スイッチである。照明スイッチSW10およびバッテリチェックスイッチSW11は、トグルスイッチ等を用いて構成される。操作ボックス45aの上部におけるバッテリチェックスイッチSW11の側方(
図4における左方)に、バッテリチェックランプLP2が設けられる。バッテリチェックランプLP2は、バッテリチェックスイッチSW11の点灯操作により、作業台40に設けられた上部バッテリ(図示せず)の残量を2段階で点灯表示するようになっている。また、操作ボックス45aの上部におけるバッテリチェックスイッチSW11の側方(
図4における左方)に、バッテリチェックランプLP2と並んで、負荷率表示ランプLP3と、バッテリユニット残量表示ランプLP4と、巻き取りモード表示ランプLP5と、仮支持モード表示ランプLP6とが設けられる。
【0047】
なお、モード切り替えスイッチSW9の押し操作により、高所モードから仮支持モードに切り替えられると、仮支持モード表示ランプLP6が点灯する。モード切り替えスイッチSW9の押し操作により、仮支持モードから高所モードに切り替えられると、仮支持モード表示ランプLP6が消灯する。また、モード切り替えスイッチSW9の長押し操作により、仮支持モードから使用前点検モードに切り替えられると、仮支持モード表示ランプLP6が点滅する。
【0048】
次に、本実施形態に係る下部操作装置27について、
図5を参照して説明する。下部操作装置27は、車体2の後端部に取り付けられる箱状の操作ボックス27aと、モニタ(ディスプレイ)MTと、各種スイッチSW21~SW31とを有して構成される。なお、
図5においては、操作ボックス27aの後部の一部が示されている。下部操作装置27の後部中央には、モニタMTが設けられる。モニタMTは、ブーム30の作動状態や各ジャッキ10f,10rの設置状態等を表示するようになっている。
【0049】
操作ボックス27aの後部左側には、左側から順に、伸縮スイッチSW21と、旋回スイッチSW22と、起伏スイッチSW23とが設けられる。伸縮スイッチSW21は、ブーム30の伸縮作動を行わせるための操作スイッチである。旋回スイッチSW22は、旋回台20の旋回作動を行わせるための操作スイッチである。起伏スイッチSW23は、ブーム30の起伏作動を行わせるための操作スイッチである。
【0050】
操作ボックス27aの後部左側における、伸縮スイッチSW21、旋回スイッチSW22、起伏スイッチSW23の下方には、左側から順に、下部優先スイッチSW24と、自動格納スイッチSW25と、表示切り替え/始業前点検スイッチSW26とが設けられる。下部優先スイッチSW24は、上部操作装置45の操作よりも下部操作装置27の操作を優先させる(上部操作装置45を無効にして下部操作装置27を有効にする)ための操作スイッチである。自動格納スイッチSW25は、前述の自動格納制御をコントローラ200に行わせるための操作スイッチである。表示切り替え/始業前点検スイッチSW26は、モニタMTの表示を切り替えるための表示切り替えモードと、各センサ類や制御バルブ53、コントローラ200等の始業前点検を実施するための始業前点検モードとに切り替えるための操作スイッチである。
【0051】
操作ボックス27aの後部右側には、左側から順に、アクセルスイッチSW27と、エンジンスイッチSW28と、バッテリスイッチSW29とが設けられる。アクセルスイッチSW27は、エンジンEの回転数を高低自動に制御する自動モードと、エンジンEの回転数を一定の低速回転数に制御する低速モードとに切り替えるための操作スイッチである。エンジンスイッチSW28は、エンジンEを始動または停止させるための操作スイッチ
である。バッテリスイッチSW29は、バッテリユニット(架装部バッテリ59)を運転モードまたは停止・充電モードに切り替えるための操作スイッチである。
【0052】
操作ボックス27aの後部右側における、アクセルスイッチSW27、エンジンスイッチSW28、バッテリスイッチSW29の下方には、左側から順に、通常充電スイッチSW30と、均等充電スイッチSW31とが設けられる。通常充電スイッチSW30は、バッテリユニット(架装部バッテリ59)の通常充電モードをオン/オフさせるための操作スイッチである。均等充電スイッチSW31は、バッテリユニット(架装部バッテリ59)の均等充電モードをオン/オフさせるための操作スイッチである。なお、各種スイッチSW21~SW31は、トグルスイッチ等を用いて構成される。
【0053】
また、第1の高所作業車1における作業台40の上縁部には、
図6に示すように、遠隔操作装置300が着脱可能に取り付けられている。作業者は、遠隔操作装置300を作業台40から取り外して操作することにより、作業台40と離れた位置においても、旋回台20の旋回作動(旋回モータ24の回転作動)、ブーム30の起伏作動(起伏シリンダ23の伸縮作動)、ブーム30の伸縮作動(伸縮シリンダ31の伸縮作動)の各作動操作(以下、これらの3つの作動操作を纏めて「ブーム作動操作」と称する場合がある)を行うことができる。なお、コントローラ200は、遠隔操作装置300からの操作信号を受けて、旋回モータ24、伸縮シリンダ31、起伏シリンダ23の作動を制御する。制御バルブ53は、コントローラ200からの制御信号(遠隔操作装置300からの操作信号に応じた制御信号)に応じて油圧ポンプ51(もしくは、前述の第2の油圧ポンプ)から旋回モータ24、伸縮シリンダ31、起伏シリンダ23に供給される作動油の供給方向および供給量を制御し、旋回モータ24、伸縮シリンダ31、起伏シリンダ23の作動方向および作動速度を制御する(ブーム30の作動方向および作動速度を制御する)。
【0054】
次に、本実施形態に係る遠隔操作装置300について、
図7および
図8を追加参照して説明する。遠隔操作装置300は、箱状の操作ボックス310と、各種スイッチSW41~SW46と、操作ボックス310と結合されて作業台40の上縁部に取り付け可能な取り付け部材320と、操作ボックス310の側部を保護する保護部材330とを有して構成される。また、遠隔操作装置300は、ケーブル301を介してコントローラ200等と電気的に接続される。ケーブル301の一方の端部は、操作ボックス310と電気的に接続され、ケーブル301の他方の端部は、作業台40における上部操作装置45に設けられた入出力ポート(図示せず)と電気的に接続される。ケーブル301の長さは、作業台40の上縁部から取り外した遠隔操作装置300を作業台40と離れた位置まで(作業台40の外方へ)移動させることが可能な長さに設定される。
【0055】
操作ボックス310の上部における保護部材330に対して遠い側には、
図8の左側から順に、電源スイッチSW41と、作動停止スイッチSW42とが設けられる。電源スイッチSW41は、遠隔操作装置300の電源をオン/オフさせるための操作スイッチである。電源スイッチSW41は、トグルスイッチ等を用いて構成される。なお、操作ボックス310の上部における電源スイッチSW41の近傍に、電源ランプLP41が設けられる。電源スイッチSW41の操作により遠隔操作装置300の電源をオンにした場合に、電源ランプLP41が点灯するようになっている。
【0056】
作動停止スイッチSW42は、高所作業装置等(旋回台20、ブーム30、作業台40等)の作動を停止させるための操作スイッチである。作動停止スイッチSW42は、プッシュプル方式のボタンスイッチ等を用いて構成され、押し操作により高所作業装置等の作動を停止させ、引き操作により高所作業装置等の作動を停止させた状態を解除できるようになっている。なお、操作ボックス310の上部における作動停止スイッチSW42の近傍に、作動停止ランプLP42が設けられる。作動停止スイッチSW42の押し操作によ
り高所作業装置等の作動を停止させた場合に、作動停止ランプLP42が点灯するようになっている。また、操作ボックス310の上部における電源スイッチSW41と作動停止スイッチSW42との間の部分に、負荷率表示ランプLP43が設けられる。
【0057】
操作ボックス310の上部における保護部材330に対して近い側には、
図8の左側から順に、ブーム操作スイッチSW43と、伸縮スイッチSW44と、旋回スイッチSW45と、起伏スイッチSW46とが設けられる。ブーム操作スイッチSW43は、伸縮スイッチSW44、旋回スイッチSW45、起伏スイッチSW46の操作を有効にするための操作スイッチである。伸縮スイッチSW44は、ブーム30の伸縮作動を行わせるための操作スイッチである。旋回スイッチSW45は、旋回台20の旋回作動を行わせるための操作スイッチである。起伏スイッチSW46は、ブーム30の起伏作動を行わせるための操作スイッチである。ブーム操作スイッチSW43、伸縮スイッチSW44、旋回スイッチSW45、起伏スイッチSW46は、トグルスイッチ等を用いて構成される。
【0058】
図7に示すように、取り付け部材320は、金属板材を用いて、切断加工や曲げ加工等により図示する形状に形成される。取り付け部材320は、取り付け部材320の中間部に形成された結合部321と、取り付け部材320の上部に形成された係止部322と、取り付け部材320の下部に形成された当接部323とを有している。結合部321は、操作ボックス310の外周形状に合わせた板状に形成され、ネジ等の結合部材(図示せず)を用いて、操作ボックス310の下部に結合される。係止部322は、作業台40の上縁部の形状に合わせた断面視門型の形状に形成され、作業台40の上縁部に係止可能に構成される。当接部323は、略水平方向に延びるリブ状に形成され、係止部322が作業台40の上縁部に係止した状態で、作業台40の内側面に当接するようになっている。係止部322が作業台40の上縁部に係止し、当接部323が作業台40の内側面に当接する状態で、操作ボックス310と結合された取り付け部材320、すなわち遠隔操作装置300が作業台40の上縁部に着脱可能に取り付けられる。
【0059】
図7に示すように、保護部材330は、金属棒材を用いて、切断加工や曲げ加工等により図示する形状に形成される。保護部材330は、溶接等により、取り付け部材320における結合部321の近傍に接合される。これにより、保護部材330は、操作ボックス310の側方近傍に配置されて、操作ボックス310の側部を他の部材と接触し難くなるように保護する。
【0060】
次に、第1の高所作業車1に備えられた安全装置(転倒防止装置)について
図9~
図11を参照して説明する。本実施形態に係る安全装置は、
図9に示すように、各種のセンサ類と、コントローラ200とを備えて構成されている。
【0061】
図9に示すように、センサ類は、ブーム起伏角度検出器251と、ブーム長さ検出器252と、ブーム旋回角度検出器253と、軸力検出器254と、ウインチ旋回角度検出器255と、ジャッキ張出量検出器256と、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142等からなる。これらの検出器はコントローラ200と電気的に接続されており、各検出器141,142,251~256の検出情報(検出信号)はコントローラ200に入力されるようになっている。
【0062】
ブーム起伏角度検出器251は、ブーム30の基端部に設けられて、ブーム30の起伏角度を検出する。ブーム長さ検出器252は、ブーム30内に設けられて、ブーム30の長さ(伸縮量)を検出する。ブーム旋回角度検出器253は、車体2に設けられて、ブーム30(旋回台20)の旋回角度を検出する。軸力検出器254は、起伏シリンダ23の上端部に設けられて、起伏シリンダ23に作用する軸力(軸方向荷重)を検出する。ウインチ旋回角度検出器255は、垂直ポスト32に設けられて、垂直ポスト32(ブーム3
0の先端部)に対するサブブーム74の旋回角度を検出する。ジャッキ張出量検出器256は、車体2に設けられて、ジャッキ10f,10rの張出量を検出する。
【0063】
コントローラ200は、作動制御部201と、モーメント算出部202と、位置算出部203と、ブーム作動規制部204と、モード判定部205と、異常判定部206とを有している。なお、コントローラ200の各部201~206は、該コントローラ200に設けられたCPU、ROM、RAM、電子回路等のハードウェアおよび制御プログラム等のソフトウェアにより構成されるものを機能的に表現したものである。
【0064】
作動制御部201は、上部操作装置45、下部操作装置27、または遠隔操作装置300からの操作信号に基づいて、制御バルブ53を電磁駆動して、各油圧アクチュエータ55を作動させることで、ジャッキ10f,10rや、ブーム30、作業台40、サブブーム74およびウインチ機構75等の作動を制御する。なお、下部操作装置27のブーム作動操作と同じブーム作動操作が遠隔操作装置300で行われた場合、作動制御部201は、遠隔操作装置300のブーム作動操作に応じてブーム30が起伏動、伸縮動、旋回動する速度が、下部操作装置27のブーム作動操作に応じてブーム30が起伏動、伸縮動、旋回動する速度よりも低くなるように、起伏シリンダ23の伸縮作動、伸縮シリンダ31の伸縮作動、旋回モータ24の回転作動を制御する。
【0065】
図10に、第1の高所作業車1におけるブーム30の作動速度の比較例を示す。なお、ブーム30の作動速度とは、ブーム30が起伏動、伸縮動、旋回動する速度を総称したものである。
図10におけるグラフの縦軸は、作業台40(底部)の高さを示し、
図10におけるグラフの横軸は、ブーム30の作動速度を示す。下部操作装置27のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度(および、高所モードにおける上部操作装置45のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度)B1は、作業台40の高さに拘わらず一定である。遠隔操作装置300のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度B2は、作業台40の高さに拘わらず一定であるが、下部操作装置27のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度(および、高所モードにおける上部操作装置45のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度)B1よりも低くなっている。なお、仮支持モードにおける上部操作装置45のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度B3は、作業台40の高さが大きい場合の方が作業台40の高さが小さい場合よりも低くなっている。遠隔操作装置300のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度B2は、仮支持モードにおける上部操作装置45のブーム作動操作に応じたブーム30の作動速度B3よりも低くなっている。
【0066】
モーメント算出部202は、軸力検出器254により検出された起伏シリンダ23の軸力、ブーム起伏角度検出器251により検出されたブーム30の起伏角度等の検出情報に基づいて、ブーム30のフートピン22回り(起伏軸回り)に作用するモーメントを算出する。このモーメントは、起伏シリンダ23に作用する軸力をフートピン22回りに作用するモーメントとして換算したものである。つまり、このモーメントは、ブーム30や作業台40等の自重、作業台40にかかる積載荷重、吊り上げ装置70を用いた場合の吊り上げ荷重、仮支持装置100を用いた場合の外部からの負荷荷重等によって車体2に作用するモーメントを、起伏シリンダ23に作用する軸力に基づいて算出したものである。なお、モーメント算出部202は、水平荷重検出器141により検出された仮支持具110に作用する水平荷重、垂直荷重検出器142により検出された仮支持具110に作用する垂直荷重、ウインチ旋回角度検出器255により検出されたサブブーム74の旋回角度等の検出情報に基づいて、仮支持装置100を用いた場合の外部からの負荷荷重の影響に対する補正を行ったモーメントを算出することが可能である。
【0067】
位置算出部203は、ブーム起伏角度検出器251により検出されたブーム30の起伏
角度、ブーム長さ検出器252により検出されたブーム30の長さ、ブーム旋回角度検出器253により検出されたブーム30の旋回角度等の検出情報に基づいて、車体2を基準とする作業台40の底部(もしくは、ブーム30の先端部)の位置を算出する。
【0068】
ブーム作動規制部204は、モーメント算出部202により算出されたモーメントと、予め設定された規制モーメントとを比較する。ブーム作動規制部204は、モーメント算出部202により算出されたモーメントが規制モーメントに達すると、各操作装置27,45,300からの操作信号の如何に拘わらず、ブーム30の作動のうち、ブーム30に作用する転倒モーメントが増加する方向の作動(倒伏動、伸長動、所定方向への旋回動)を規制する。なお、規制モーメントは、ブーム30の旋回角度や、ジャッキ10f,10rの張出量等に応じて設定される。
【0069】
なお、ブーム作動規制部204は、上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9から仮支持モードに切り替える切り替え操作信号が入力された場合、その後、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142により検出された水平荷重および垂直荷重が所定の変化量を超えて変化するまでの間、位置算出部203により算出された作業台40(底部)の位置と、予め設定された許容作業範囲とを比較する。ブーム作動規制部204は、位置算出部203により算出された作業台40の位置が許容作業範囲の外縁部に達すると、各操作装置27,45,300からの操作信号の如何に拘わらず、ブーム30の作動のうち、作業台40が許容作業範囲の外側へ移動する方向の作動を規制する。なお、水平荷重および垂直荷重の所定の変化量は、例えば、電線を仮支持するときに仮支持具110に作用する水平荷重および垂直荷重の変化量である。
【0070】
図11に、許容作業範囲の一例として、垂直面内での許容作業範囲Sを示す。
図11において、許容作業範囲Sを示すグラフの縦軸は、作業台40(底部)の高さを示し、許容作業範囲Sを示すグラフの横軸は、ブーム30(旋回台20)の旋回中心Cを中心とする作業半径を示す。なお、許容作業範囲Sは、ジャッキ10f,10rの張出量等に応じて設定される。
【0071】
モード判定部205は、上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9から仮支持モードに切り替える切り替え操作信号が入力された場合、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142から検出信号が入力され、且つ、ジャッキ張出量検出器256により検出されたジャッキ10f,10rの張出量が予め設定された規制張出量よりも大きく、且つ、位置算出部203により算出された作業台40(底部)の位置が予め設定された車体2の後方の許容作業範囲内であるか否かを判定する。モード判定部205は、判定がYESの場合、正常報知信号を上部操作装置45に出力する。モード判定部205は、判定がNOの場合、すなわち、仮支持モードにおいて、水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142から検出信号が入力されないか、ジャッキ10f,10rの張出量が規制張出量以下であるか、作業台40が許容作業範囲の外側に位置する場合、異常報知信号を上部操作装置45に出力し、各油圧アクチュエータ55の作動を停止させる作動停止信号を作動制御部201に出力する。
【0072】
異常判定部206は、上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9から使用前点検モードに切り替える切り替え操作信号が入力された場合、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142から入力される検出信号等に基づいて、仮支持具110の揺動変位によって、水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142により検出される水平荷重および垂直荷重が変化するか否かを判定する。異常判定部206は、判定がYESの場合、正常報知信号を上部操作装置45に出力する。異常判定部206は、判定がNOの場合、すなわち、使用前点検モードにおいて、水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142により検出される水平荷重および垂直荷重が変化しない場合、異
常報知信号を上部操作装置45に出力する。さらに、異常判定部206は、各油圧アクチュエータ55の作動を停止させる作動停止信号を作動制御部201に出力してもよい。
【0073】
次に、本実施形態に係る第2の高所作業車501について、
図12を参照して説明する。第2の高所作業車501は、第1の高所作業車1と同様に、車体502の前部に運転キャブ507を有し、車体502の前後に配設された左右一対の前輪505fおよび後輪505rにより走行可能なトラック車両をベースに構成されている。
【0074】
車体502の前後左右には、高所作業時に車体502を持ち上げ支持するジャッキ装置が設けられている。ジャッキ装置は、第1の高所作業車1と同様に、左右一対のフロントジャッキ510fと、左右一対のリアジャッキ510rとを有して構成される。各ジャッキ510f,510rは、その内部に設けられたジャッキシリンダ511を駆動させて下方に伸長させることで車体502を持ち上げ支持し、これにより車両全体を安定させた状態とする。車体502の後端部には、第1の高所作業車1と同様に、各ジャッキ510f,510rやブーム530等の作動操作を行うための下部操作装置527が設けられている。
【0075】
車体502における運転キャブ507後方の架装領域には、旋回モータ524により駆動されて上下軸回りに水平旋回動自在に構成された旋回台520が設けられている。この旋回台520から上方に延びた支柱521には、ブーム530の基端部がフートピン522を介して上下方向に揺動自在(起伏自在)に取り付けられている。また、車体502の架装領域の左右には、作業工具や作業機材などを収納するための工具箱526が設けられている。
【0076】
ブーム530は、旋回台520側から順に、基端ブーム530a、中間ブーム530bおよび先端ブーム530cが入れ子式に組み合わされた構成を有しており、その内部に設けられた伸縮シリンダ531の伸縮駆動により、ブーム530を軸方向(長手方向)に伸縮動させることができる。また、基端ブーム530aと支柱521との間には起伏シリンダ523が跨設されており、この起伏シリンダ523を伸縮駆動させることにより、ブーム530全体を上下面(垂直面)内で起伏動させることができる。
【0077】
図23に示すように、先端ブーム530cの先端部には、垂直ポスト532が上下方向に揺動自在に取り付けられている。垂直ポスト532は、第1の高所作業車1と同様に、ブーム530の起伏角度に拘わらず常に垂直姿勢が保持されるように揺動制御(レベリング制御)される。垂直ポスト532には、第1の高所作業車1と同様に、作業台540が垂直ポスト532に対して旋回可能(水平旋回可能)に設けられる。第1の高所作業車1と同様に、首振りモータ(図示せず)を駆動させることにより、作業台540を垂直ポスト532まわりに水平旋回(首振り作動)させることができるように構成されている。また、作業台昇降装置536の昇降シリンダ(図示せず)を駆動させることにより、作業台540を昇降移動させることができるように構成されている。前述したように、垂直ポスト532は常に垂直姿勢が保持されるようにレベリング制御されているため、作業台540の床面はブーム530の起伏角度に拘わらず常に水平に保持されるようになっている。
【0078】
作業台540には、第1の高所作業車1と同様に、上部操作装置545が設けられている。作業台540に搭乗した作業者は、上部操作装置545を操作することにより、旋回台250の旋回作動(旋回モータ524の回転作動)、ブーム530の起伏作動(起伏シリンダ523の伸縮作動)、ブーム530の伸縮作動(伸縮シリンダ531の伸縮作動)、作業台540の首振り作動(首振りモータの回転作動)などの各作動操作を行うことができる。第1の高所作業車1と同様に、コントローラ(図示せず)は、上部操作装置545や下部操作装置527からの操作信号を受けて、ジャッキシリンダ511、旋回モータ
524、伸縮シリンダ531、起伏シリンダ523、首振りモータおよび昇降シリンダ(図示せず)等の作動を制御する。
【0079】
続いて、
図13~
図28を参照して、第1の高所作業車1および第2の高所作業車501を用いて電線を仮支持するための仮支持工法について説明する。本実施形態に係る仮支持工法は、
図13に示すように、第1の高所作業車1における仮支持装置100(仮支持具110)の取り付けおよび点検を行う準備工程ST1と、第1の高所作業車1における下部操作装置27のブーム作動操作により、仮支持装置100を電線C(
図20を参照)の近傍に移動させる装置移動工程ST2と、第2の高所作業車501の作業台540に搭乗して、仮支持装置100に電線Cを仮支持させる仮支持工程ST3と、第2の高所作業車501の作業台540に搭乗して、仮支持装置100に仮支持された電線Cを電柱Dに設けられた碍子G(
図28を参照)に固定する電線固定工程ST4と、第1の高所作業車1における下部操作装置27のブーム作動操作により、仮支持装置100を地上に戻す装置帰還工程ST5とに大別することができる。
【0080】
以下の説明において、説明容易化のため、第1の高所作業車1における車体2、旋回台20、ブーム30、作業台40、上部操作装置45を、第1の車体2、第1の旋回台20、第1のブーム30、第1の作業台40、第1の上部操作装置45と称する場合がある。同様に、第2の高所作業車501における車体502、旋回台520、ブーム530、作業台540、上部操作装置545を、第2の車体502、第2の旋回台520、第2のブーム530、第2の作業台540、第2の上部操作装置545と称する場合がある。
【0081】
準備工程ST1において、まず、
図14に示すように、第1の高所作業車1を電柱Dの近傍の所定位置まで走行移動させ、各ジャッキ10f,10rにより第1の車体2を持ち上げ支持する。また、第2の高所作業車501を電柱Dの近傍の第1の高所作業車1とは異なる所定位置まで走行移動させ、各ジャッキ510f,510rにより第2の車体502を持ち上げ支持する。次に、第1の高所作業車1における下部操作装置27のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動(旋回動、起伏動、または伸縮動)させて第1の作業台40を第1の車体2の後方に移動させる。このとき、地上にいる作業者OP(
図20を参照)は、下部操作装置27における下部優先スイッチSW24の操作を行いながら、旋回スイッチSW22に対する第1のブーム30(第1の旋回台20)の旋回作動操作、起伏スイッチSW23に対する第1のブーム30の起伏作動操作、または伸縮スイッチSW21に対する第1のブーム30の伸縮作動操作を行う。
【0082】
次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45の電源スイッチSW2に対してオン操作を行い、第1の上部操作装置45の電源をオンにする。次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45のサブブーム揺動操作レバーLV3に対してサブブーム74の揺動作動操作を行い、
図15に示すように、先端側が水平方向を向くようにサブブーム74を揺動変位させる。またこのとき、作業者OPは、仮支持装置100のブラケット150(ブラケットベース部151)をサブブーム74の先端部に取り付けておく。
【0083】
次に、作業者OPは、
図16に示すように、仮支持装置100の荷重検出部140をブラケット150のブラケット連結部155に取り付ける。次に、作業者OPは、荷重検出部140に設けられた電源スイッチ(図示せず)に対してオン操作を行い、仮支持装置100の電源をオンにする。なお、仮支持装置100の電源は、リチウムイオンバッテリ(図示せず)等を用いて荷重検出部140に内蔵されている。
【0084】
次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45の作動停止スイッチSW1に対して押し操作を行い、高所作業装置等(第1の旋回台20、第1のブーム30、第1の作業台40等)の作動を停止させる。次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45のモード切り替
えスイッチSW9に対して1回だけ押し操作を行った後、作動停止スイッチSW1に対して引き操作を行い、高所作業装置等の作動を停止させた状態を解除する。このとき、モード切り替えスイッチSW9は、高所モードから仮支持モードに切り替える切り替え操作信号をコントローラ200に出力する。
【0085】
高所モードから仮支持モードに切り替える切り替え操作信号がコントローラ200に入力されると、コントローラ200のモード判定部205は、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142から検出信号が入力され、且つ、ジャッキ張出量検出器256により検出されたジャッキ10f,10rの張出量が予め設定された規制張出量よりも大きく、且つ、位置算出部203により算出された第1の作業台40の位置が第1の車体2の後方の許容作業範囲内であるか否かを判定する。モード判定部205は、判定がNOの場合、異常報知信号を第1の上部操作装置45に出力し、各油圧アクチュエータ55の作動を停止させる作動停止信号を作動制御部201に出力する。これにより、第1の上部操作装置45の作動停止ランプLP1と、巻き取りモード表示ランプLP5および仮支持モード表示ランプLP6とが交互に点滅し、作業者OPに対して異常であることが報知される。また、作動制御部201は、各油圧アクチュエータ55の作動を停止させる制御を行う。なお、モード判定部205から異常報知信号が出力された場合、作業者OPは、第1の上部操作装置45の作動停止スイッチSW1に対して押し操作を行った後、モード切り替えスイッチSW9に対して押し操作を行うことで、高所モードに戻すことが可能である。
【0086】
一方、モード判定部205は、判定がYESの場合、正常報知信号を第1の上部操作装置45に出力する。これにより、第1の上部操作装置45の仮支持モード表示ランプLP6が点灯し、作業者OPに対して仮支持モードに切り替えられたことが報知される。モード判定部205から正常報知信号が出力された場合、仮支持モードから使用前点検モードに切り替えることが可能である。
【0087】
仮支持モードから使用前点検モードに切り替えるには、作業者OPは、第1の上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9に対して長押し操作を行う。このとき、モード切り替えスイッチSW9は、仮支持モードから使用前点検モードに切り替える切り替え操作信号をコントローラ200に出力する。また、第1の上部操作装置45の仮支持モード表示ランプLP6が点滅し、作業者OPに対して使用前点検モードに切り替えられたことが報知される。
【0088】
次に、作業者OPは、仮支持装置100の電線支持部120および支持アーム130を荷重検出部140に取り付ける。これにより、第1の高所作業車1における仮支持具110(すなわち、仮支持装置100)の取り付け作業が完了する。このとき、
図3に示すように、仮支持具110を前述の平行位置に揺動変位させる。また、ブラケット150の第1固定穴156とベース側固定穴(図示せず)とに固定ピン159を挿通させて、仮支持具110を平行位置で固定する。次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9に対して1回だけ押し操作を行う。このとき、第1の上部操作装置45の巻き取りモード表示ランプLP5および仮支持モード表示ランプLP6が点滅し、作業者OPに対して次の作業を行うことが促される。
【0089】
次に、作業者OPは、ブラケット150の第1固定穴156とベース側固定穴(図示せず)から固定ピン159を抜き出して、
図17に示すように、仮支持具110を前述の平行位置から垂直位置に揺動変位させる。また、作業者OPは、ブラケット150の第3固定穴158とベース側固定穴とに固定ピン159を挿通させて、仮支持具110を垂直位置で固定する。次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9に対して1回だけ押し操作を行う。
【0090】
仮支持モードから使用前点検モードに切り替える切り替え操作信号がコントローラ200に入力されると、コントローラ200の異常判定部206は、その後にモード切り替えスイッチSW9から入力される操作信号、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142から入力される検出信号等に基づいて、仮支持具110の揺動変位によって、水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142により検出される水平荷重および垂直荷重が変化するか否かを判定する。異常判定部206は、判定がNOの場合、異常報知信号を第1の上部操作装置45に出力する。これにより、第1の上部操作装置45の作動停止ランプLP1と、巻き取りモード表示ランプLP5および仮支持モード表示ランプLP6とが交互に点滅し、作業者OPに対して異常であることが報知される。なお、異常判定部206から異常報知信号が出力された場合、作業者OPは、第1の上部操作装置45の作動停止スイッチSW1に対して押し操作を行った後、モード切り替えスイッチSW9に対して押し操作を行うことで、高所モードに戻すことが可能である。
【0091】
一方、異常判定部206は、判定がYESの場合、正常報知信号を第1の上部操作装置45に出力する。これにより、第1の上部操作装置45の巻き取りモード表示ランプLP5および仮支持モード表示ランプLP6が点灯し、作業者OPに対して使用前点検モードで異常が検出されなかったことが報知される。異常判定部206から正常報知信号が出力された場合、使用前点検モードから仮支持モードに切り替えることが可能である。
【0092】
使用前点検モードから仮支持モードに切り替えるには、作業者OPは、第1の上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9に対して長押し操作を行う。このとき、モード切り替えスイッチSW9は、使用前点検モードから仮支持モードに切り替える切り替え操作信号をコントローラ200に出力する。また、第1の上部操作装置45の巻き取りモード表示ランプLP5が消灯して仮支持モード表示ランプLP6のみが点灯し、作業者OPに対して仮支持モードに切り替えられたことが報知される。
【0093】
このようにして、高所モードから仮支持モードに切り替えることで、第1の高所作業車1を用いて電線を仮支持することが可能になる。次に、作業者OPは、ブラケット150の第3固定穴158とベース側固定穴(図示せず)から固定ピン159を抜き出して、
図18に示すように、仮支持具110を前述の垂直位置から傾斜位置に揺動変位させる。また、作業者OPは、ブラケット150の第2固定穴157とベース側固定穴とに固定ピン159を挿通させて、仮支持具110を傾斜位置で固定する。次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45のサブブーム揺動操作レバーLV3に対してサブブーム74の揺動作動操作を行い、
図19に示すように、仮支持具110が水平となるようにサブブーム74を揺動変位させる。なおこのとき、3つの電線支持部120における(支持部123の)先端側のローラ部材124を開放しておく。
【0094】
次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45の首振り操作レバーLV1に対して第1の作業台40の首振り作動操作を行い、第1の作業台40を首振り作動させる。また、作業者OPは、第1の上部操作装置45のサブブーム旋回操作レバーLV4に対して旋回部材71aの旋回作動操作を行い、サブブーム74(旋回部材71a)を旋回動させる。このようにして、仮支持装置100の電線支持部120の向きを電線C(
図20を参照)の向きと合わせる。次に、作業者OPは、
図6に示すように、遠隔操作装置300を第1の作業台40の上縁部に着脱可能に取り付けて、ケーブル301(
図7を参照)の他方の端部を第1の上部操作装置45の入出力ポート(図示せず)と電気的に接続させる。
【0095】
次に、装置移動工程ST2において、作業者OPは、第1の高所作業車1における下部操作装置27のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動(起仰動、伸長動、または旋回動)させて、
図20に示すように、仮支持装置100を電線Cの近傍に移動させる
。このとき、地上にいる作業者OPは、下部操作装置27における下部優先スイッチSW24の操作を行いながら、起伏スイッチSW23に対する第1のブーム30の起伏作動操作、伸縮スイッチSW21に対する第1のブーム30の伸縮作動操作、または旋回スイッチSW22に対する第1のブーム30(第1の旋回台20)の旋回作動操作を行う。このようにして、第1の高所作業車1における下部操作装置27のブーム作動操作により、電柱Dに支持されて所定の高所に位置する電線Cの近傍に、仮支持装置100を移動させることができる。
【0096】
なお、第1の高所作業車1の作動制御部201は、下部操作装置27(伸縮スイッチSW21、旋回スイッチSW22、起伏スイッチSW23、下部優先スイッチSW24)からの操作信号に基づいて、制御バルブ53を電磁駆動して、各油圧アクチュエータ55を作動させることで、第1のブーム30の作動を制御する。第1の高所作業車1のブーム作動規制部204は、第1の上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9から仮支持モードに切り替える切り替え操作信号が入力された場合、その後、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142により検出された水平荷重および垂直荷重が所定の変化量を超えて変化するまでの間、位置算出部203により算出された第1の作業台40の位置と、予め設定された許容作業範囲とを比較する。ブーム作動規制部204は、位置算出部203により算出された第1の作業台40の位置が許容作業範囲の外縁部に達すると、各操作装置27,45,300からの操作信号の如何に拘わらず、第1のブーム30の作動のうち、第1の作業台40が許容作業範囲の外側へ移動する方向の作動を規制する。
【0097】
次に、仮支持工程ST3において、地上にいる作業者OPは、第2の高所作業車501における第2の作業台540に搭乗する。第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、第2の上部操作装置545のブーム作動操作を行い、
図21に示すように、第2のブーム530を作動(起仰動、伸長動、または旋回動)させて第2の作業台540を第1の高所作業車1における第1の作業台40の近傍に移動させる。
【0098】
このとき、作業者OPは、仮支持装置100の電線支持部120の向きが電線Cの向きと合っているか否かを確認する。仮支持装置100の電線支持部120の向きが電線Cの向きと合っていない場合、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、第1の高所作業車1における第1の上部操作装置45に対してアプローチする。そして、作業者OPは、第1の上部操作装置45における首振り操作レバーLV1の首振り作動操作または、サブブーム旋回操作レバーLV4の旋回作動操作を行って、第1の作業台40の首振り作動またはサブブーム74の旋回動により、仮支持装置100の電線支持部120の向きを調整する。
【0099】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、
図22に示すように、遠隔操作装置300を第1の作業台40の上縁部から取り外す。次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300の電源スイッチSW41に対してオン操作を行い、遠隔操作装置300の電源をオンにする。なお、
図22、
図23、
図25、
図28において、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300を持った状態で各作動操作を行っているが、遠隔操作装置300を第2の作業台540の上縁部に着脱可能に取り付けた状態(
図24を参照)で各作動操作を行うことが可能である。
【0100】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動(起伏動、伸縮動、または旋回動)させて、仮支持装置100の電線支持部120を電線Cに接近させる。さらに、作業者OPは、遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動させて、
図23に示すように、電線支持部120に設けられた間隙部の内部に電線Cを挿入する。このとき、第2の
作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300におけるブーム操作スイッチSW43の操作を行いながら、起伏スイッチSW46に対する第1のブーム30の起伏作動操作、伸縮スイッチSW44に対する第1のブーム30の伸縮作動操作、または旋回スイッチSW45に対する第1のブーム30(第1の旋回台20)の旋回作動操作を行う。
【0101】
なお、第1の高所作業車1の作動制御部201は、遠隔操作装置300(ブーム操作スイッチSW43、伸縮スイッチSW44、旋回スイッチSW45、起伏スイッチSW46)からの操作信号に基づいて、制御バルブ53を電磁駆動して、各油圧アクチュエータ55を作動させることで、第1のブーム30の作動を制御する。なお、下部操作装置27のブーム作動操作と同じブーム作動操作が遠隔操作装置300で行われた場合、作動制御部201は、遠隔操作装置300のブーム作動操作に応じて第1のブーム30が作動(起伏動、伸縮動、または旋回動)する速度が、下部操作装置27のブーム作動操作に応じて第1のブーム30が作動する速度よりも低くなるように、起伏シリンダ23の伸縮作動、伸縮シリンダ31の伸縮作動、旋回モータ24の回転作動を制御する。これにより、遠隔操作装置300で誤操作が行われても、第1のブーム30が相対的に低い速度で作動するため、安全性を低下させる現象を容易に回避することができ、仮支持装置100に電線Cを仮支持させる作業の安全性を向上させることができる。
【0102】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、
図24に示すように、ホットスティック(活線作業用の絶縁工具)HTを用いて、電線支持部120における先端側のローラ部材124を閉じる。また、作業者OPは、ホットスティックHTを用いて、電線Cを固定するためのバインド線(図示せず)を電線Cから外す。これにより、仮支持装置100の電線支持部120に設けられた間隙部の内部に電線Cが挿通され、仮支持装置100に電線Cを仮支持させることが可能になる。
【0103】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、
図25に示すように、遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動(起伏動、伸縮動、または旋回動)させて、仮支持装置100を電線Cとともに移動させる。このとき、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300におけるブーム操作スイッチSW43の操作を行いながら、起伏スイッチSW46に対する第1のブーム30の起伏作動操作、伸縮スイッチSW44に対する第1のブーム30の伸縮作動操作、または旋回スイッチSW45に対する第1のブーム30(第1の旋回台20)の旋回作動操作を行う。
【0104】
なおこのとき、電線Cからの荷重が仮支持装置100の仮支持具110に作用する。これにより、荷重検出部140の水平荷重検出器141および垂直荷重検出器142により検出される水平荷重および垂直荷重が所定の変化量を超えて大きく変化する。この場合、第1の高所作業車1のブーム作動規制部204は、モーメント算出部202により算出されたモーメントと、予め設定された規制モーメントとを比較する。ブーム作動規制部204は、モーメント算出部202により算出されたモーメントが規制モーメントに達すると、各操作装置27,45,300からの操作信号の如何に拘わらず、第1のブーム30の作動のうち、第1のブーム30に作用する転倒モーメントが増加する方向の作動(倒伏動、伸長動、所定方向への旋回動)を規制する。
【0105】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、
図26に示すように、遠隔操作装置300を第1の作業台40の上縁部に取り付けて戻す。このとき、作業者OPは、遠隔操作装置300の電源スイッチSW41に対してオフ操作を行い、遠隔操作装置300の電源をオフにする。次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、第1の上部操作装置45に対してアプローチする。そして、作業者OPは、第1の上部操作装置45の電源スイッチSW2に対してオフ操作を行い、第1の上部操作装置45の電源をオフにする。このようにして、第1の高所作業車1の仮支持装置100に電線Cを仮支持させる作業
が行われる。
【0106】
なお、第1の高所作業車1は、仮支持装置100により電線Cを仮支持する状態で放置可能である。そのため、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、第2の上部操作装置545のブーム作動操作を行い、第2のブーム530を作動(倒伏動、縮小動、または旋回動)させて第2の作業台540を地上の近傍に移動させる。第2の作業台540から降りた作業者OPは、第1の高所作業車1のエンジンキー(図示せず)をオフ状態にする。また、第2の作業台540から降りた作業者OPは、他の作業を行うことも可能である。これにより、本実施形態によれば、第1の作業台40に搭乗することなく、第1の高所作業車1の仮支持装置100に電線Cを仮支持させる作業を行うことができるため、作業の無駄を省くことが可能になる。
【0107】
次に、電線固定工程ST4において、地上にいる作業者OPは、第1の高所作業車1のエンジンキー(図示せず)をオン状態にする。次に、地上にいる作業者OPは、第2の高所作業車501における第2の作業台540に搭乗する。第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、第2の上部操作装置545のブーム作動操作を行い、
図27に示すように、第2のブーム530を作動(起仰動、伸長動、または旋回動)させて第2の作業台540を第1の高所作業車1における第1の作業台40の近傍に移動させる。
【0108】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、第1の高所作業車1における第1の上部操作装置45に対してアプローチする。そして、作業者OPは、第1の上部操作装置45の電源スイッチSW2に対してオン操作を行い、第1の上部操作装置45の電源をオンにする。なお、第1の高所作業車1のエンジンキー(図示せず)が一度オフ状態になると、仮支持モードから高所モードに戻る。そこで、作業者OPは、第1の上部操作装置45を操作して高所モードから仮支持モードに切り替える。具体的には、第1の上部操作装置45の作動停止スイッチSW1に対して押し操作を行い、高所作業装置等(第1の旋回台20、第1のブーム30、第1の作業台40等)の作動を停止させる。次に、第1の上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9に対して1回だけ押し操作を行った後、作動停止スイッチSW1に対して引き操作を行い、高所作業装置等の作動を停止させた状態を解除する。
【0109】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300を第1の作業台40の上縁部から取り外す。次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300の電源スイッチSW41に対してオン操作を行い、遠隔操作装置300の電源をオンにする。
【0110】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動(起伏動、伸縮動、または旋回動)させて、仮支持装置100に仮支持された電線Cを電柱Dにおける碍子Gの上部に接近させる。さらに、作業者OPは、遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動させて、
図28に示すように、仮支持装置100に仮支持された電線Cを電柱Dにおける碍子Gの上部に配置する。このとき、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300におけるブーム操作スイッチSW43の操作を行いながら、起伏スイッチSW46に対する第1のブーム30の起伏作動操作、伸縮スイッチSW44に対する第1のブーム30の伸縮作動操作、または旋回スイッチSW45に対する第1のブーム30(第1の旋回台20)の旋回作動操作を行う。
【0111】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、ホットスティックHTを用いて、バインド線(図示せず)により電線Cを電柱Dにおける碍子Gの上部に固定する。また、作業者OPは、ホットスティックHTを用いて、電線支持部120における先端側のロー
ラ部材124を開放する。次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動(起伏動、伸縮動、または旋回動)させて、仮支持装置100の電線支持部120を電線Cから退避させる。このとき、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300におけるブーム操作スイッチSW43の操作を行いながら、起伏スイッチSW46に対する第1のブーム30の起伏作動操作、伸縮スイッチSW44に対する第1のブーム30の伸縮作動操作、または旋回スイッチSW45に対する第1のブーム30(第1の旋回台20)の旋回作動操作を行う。
【0112】
次に、第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、遠隔操作装置300を第1の作業台40の上縁部に取り付けて戻す。このとき、作業者OPは、遠隔操作装置300の電源スイッチSW41に対してオフ操作を行い、遠隔操作装置300の電源をオフにする。このようにして、第1の高所作業車1の仮支持装置100に仮支持された電線Cを電柱Dの碍子Gに固定する作業が行われる。第2の作業台540に搭乗した作業者OPは、第2の上部操作装置545のブーム作動操作を行い、第2のブーム530を作動(倒伏動、縮小動、または旋回動)させて第2の作業台540を地上の近傍に移動させる。
【0113】
次に、装置帰還工程ST5において、第2の作業台540から降りた作業者OPは、第1の高所作業車1における下部操作装置27のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動(倒伏動、縮小動、または旋回動)させて、仮支持装置100を地上の近傍に移動させる。このとき、地上にいる作業者OPは、下部操作装置27における下部優先スイッチSW24の操作を行いながら、起伏スイッチSW23に対する第1のブーム30の起伏作動操作、伸縮スイッチSW21に対する第1のブーム30の伸縮作動操作、または旋回スイッチSW22に対する第1のブーム30(第1の旋回台20)の旋回作動操作を行う。このようにして、第1の高所作業車1における下部操作装置27のブーム作動操作により、仮支持装置100を地上に戻すことができる。
【0114】
仮支持装置100を地上に戻した後、作業者OPは、第1の上部操作装置45を操作して仮支持モードから高所モードに切り替える。仮支持モードから高所モードに切り替えるには、まず、作業者OPは、第1の上部操作装置45の作動停止スイッチSW1に対して押し操作を行い、高所作業装置等(第1の旋回台20、第1のブーム30、第1の作業台40等)の作動を停止させる。次に、作業者OPは、第1の上部操作装置45のモード切り替えスイッチSW9に対して1回だけ押し操作を行った後、作動停止スイッチSW1に対して引き操作を行い、高所作業装置等の作動を停止させた状態を解除する。このとき、モード切り替えスイッチSW9は、仮支持モードから高所モードに切り替える切り替え操作信号をコントローラ200に出力する。また、第1の上部操作装置45の仮支持モード表示ランプLP6(および巻き取りモード表示ランプLP5)が消灯し、作業者OPに対して高所モードに切り替えられたことが報知される。
【0115】
次に、作業者OPは、仮支持装置100の荷重検出部140における電源スイッチ(図示せず)に対してオフ操作を行い、仮支持装置100の電源をオフにする。次に、作業者OPは、仮支持装置100の電線支持部120および支持アーム130を荷重検出部140から取り外す。次に、作業者OPは、荷重検出部140を仮支持装置100のブラケット150から取り外す。そして、作業者OPは、ブラケット150をサブブーム74の先端部から取り外す。
【0116】
以上で説明したように、本実施形態に係る仮支持工法によれば、第1の高所作業車1には、第1の作業台40に着脱可能に取り付けられ、第1の作業台40から取り外されて第1の作業台40と離れた位置においても第1のブーム30を作動させるためのブーム作動操作が可能な遠隔操作装置300が設けられる。そして、第2の高所作業車501の第2
の作業台540に搭乗し、第1の作業台40と離れた第2の作業台540において、第1の作業台40から取り外した遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、第1のブーム30を作動させて仮支持装置100に電線Cを仮支持させる。これにより、第1の作業台40に搭乗することなく、第1の高所作業車1の仮支持装置100に電線Cを仮支持させる作業を行うことができるため、作業の無駄を省くことが可能になる。
【0117】
上述の仮支持工法において、下部操作装置27のブーム作動操作と同じブーム作動操作が遠隔操作装置300で行われた場合、第1の高所作業車1の作動制御部201は、遠隔操作装置300のブーム作動操作に応じて第1のブーム30が作動(起伏動、伸縮動、または旋回動)する速度が、下部操作装置27のブーム作動操作に応じて第1のブーム30が作動する速度よりも低くなるように、起伏シリンダ23の伸縮作動、伸縮シリンダ31の伸縮作動、旋回モータ24の回転作動を制御する。これにより、遠隔操作装置300で誤操作が行われても、第1のブーム30が相対的に低い速度で作動するため、安全性を低下させる現象を容易に回避することができ、仮支持装置100に電線Cを仮支持させる作業の安全性を向上させることができる。
【0118】
また、本実施形態に係る(第1の)高所作業車1によれば、例えば、他の高所作業車の他の作業台に搭乗し、作業台40と離れた他の作業台において、作業台40から取り外した遠隔操作装置300のブーム作動操作を行い、ブーム30を作動させて仮支持装置100に電線Cを仮支持させることが可能である。このようにすれば、作業台40に搭乗することなく、仮支持装置100に電線Cを仮支持させる作業を行うことができるため、作業の無駄を省くことが可能になる。
【0119】
上述の(第1の)高所作業車1において、作動制御部201は、前述したように、遠隔操作装置300のブーム作動操作に応じてブーム30が作動(起伏動、伸縮動、または旋回動)する速度が、下部操作装置27のブーム作動操作に応じてブーム30が作動する速度よりも低くなるように、起伏シリンダ23の伸縮作動、伸縮シリンダ31の伸縮作動、旋回モータ24の回転作動を制御する。これにより、前述したように、安全性を低下させる現象を容易に回避することができ、仮支持装置100に電線Cを仮支持させる作業の安全性を向上させることができる。
【0120】
上述の実施形態において、遠隔操作装置300は、ケーブル301を介してコントローラ200等と電気的に接続されているが、これに限られるものではない。例えば、遠隔操作装置は、無線通信を利用してコントローラ200と送受信可能に構成されてもよい。
【0121】
上述の実施形態において、遠隔操作装置300は、伸縮スイッチSW44と、旋回スイッチSW45と、起伏スイッチSW46とを有しているが、これに限られるものではなく、さらに、作業台40の首振り作動を行わせるための首振り操作スイッチ(図示せず)と、サブブーム74(旋回部材71a)の旋回作動を行わせるためのサブブーム旋回操作スイッチ(図示せず)とを有してもよい。
【0122】
上述の実施形態において、高所モードと、仮支持モードとが設けられているが、さらに巻き取りモードが設けられてもよい。なお、巻き取りモードは、吊り上げ装置70を用いて、電線を斜め方向に引っ張る斜め引き作業や、電線を水平方向に引っ張る水平引き作業を行うことが可能な制御モードである。またこの場合、モード切り替えスイッチSW9は、押し操作により、高所モードから、仮支持モード、巻き取りモード、高所モード、仮支持モード…の順に切り替えることができるようにしてもよい。
【0123】
上述の実施形態において、作動油を供給する油圧ポンプを、車体2のエンジンEおよびパワーテイクオフ機構52により駆動される(第1の)油圧ポンプ51と、電動モータ(
図示せず)により駆動される第2の油圧ポンプ(図示せず)とに切り替えることができるように構成されているが、これに限られるものではない。例えば、車体2のエンジンEおよびパワーテイクオフ機構52により駆動される油圧ポンプのみが設けられてもよく、電動モータ(図示せず)により駆動される油圧ポンプのみが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 (第1の)高所作業車
2 (第1の)車体
23 起伏シリンダ
24 旋回モータ
31 伸縮シリンダ
27 下部操作装置
30 (第1の)ブーム
40 (第1の)作業台
45 (第1の)上部操作装置
100 仮支持装置
200 コントローラ
204 ブーム作動規制部
300 遠隔操作装置
501 第2の高所作業車
502 第2の車体
530 第2のブーム
540 第2の作業台
545 第2の上部操作装置