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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110811
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】水揚げ量予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20220722BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20220722BHJP
【FI】
G06Q50/02
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006446
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】519045387
【氏名又は名称】ASSEST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】澤田 綾子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】漁業を行う上で、魚の水揚げ量をより増大させるための漁場探索や水揚げのタイミングの探索を 特段のスキルや経験が無くても、高精度かつ自動的に行う。
【解決手段】洋上の漁場における魚の水揚げ量を予測する水揚げ量予測プログラムにおいて、新たに魚を水揚げする海域の天候に関する天候情報を取得する情報取得ステップと、過去において水揚げした海域の天候に関する参照用天候情報と、上記二次元マップ上に表示されるその水揚げした水揚げ量との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した天候情報に応じた参照用天候情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について水揚げ量を上記二次元マップ上において予測する予測ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上の漁場における魚の水揚げ量を予測する水揚げ量予測プログラムにおいて、
新たに魚を水揚げする海域の天候に関する天候情報を取得する情報取得ステップと、
過去において水揚げした海域の天候に関する参照用天候情報と、上記二次元マップ上に表示されるその水揚げした水揚げ量との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した天候情報に応じた参照用天候情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について水揚げ量を上記二次元マップ上において予測する予測ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする水揚げ量予測プログラム。
【請求項2】
上記予測ステップでは、上記水揚げ量とその水揚げした魚種との上記連関度を参照し、上記連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について水揚げ量と魚種を上記二次元マップ上において予測すること
を特徴とする請求項1項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項3】
上記予測ステップにおいて上記二次元マップ上に少なくとも予測された水揚げ量に基づいて、漁場を提案する提案ステップをさらに有すること
を特徴とする請求項1又は2項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項4】
上記予測ステップでは、時系列的な上記水揚げ量との上記連関度を参照し、上記連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について時系列的な水揚げ量を上記二次元マップ上において予測すること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項5】
上記予測ステップにおいて上記二次元マップ上に少なくとも予測された時系列的な水揚げ量に基づいて、漁場及びその漁の時期を提案する提案ステップをさらに有すること
を特徴とする請求項4記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項6】
上記情報取得ステップでは、新たに魚を水揚げする予定時期に関する時期情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用天候情報と、過去において水揚げした時期に関する参照用時期情報とを有する組み合わせと、上記水揚げ量との3段階以上の連関度を参照し、更に、上記情報取得ステップにおいて取得した時期情報に応じた参照用時期情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について水揚げ量を上記二次元マップ上において予測すること
を特徴とする請求項1又は2項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項7】
上記情報取得ステップでは、新たに魚を水揚げする海域について洋上又は水中にて撮像した画像情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用天候情報と、過去において水揚げした海域について洋上又は水中にて撮像した参照用画像情報とを有する組み合わせと、上記水揚げ量との3段階以上の連関度を参照し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した画像情報に応じた参照用画像情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について水揚げ量を上記二次元マップ上において予測すること
を特徴とする請求項1又は2項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項8】
上記情報取得ステップでは、現時点における漁場の位置情報を取得し、
上記提案ステップでは、上記情報取得ステップにおいて取得した位置情報に基づき、上記漁場を提案すること
を特徴とする請求項3記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項9】
上記情報取得ステップでは、消費者側からのニーズが反映された水揚げ量に対する希望水揚げ量情報を取得し、
上記提案ステップでは、上記情報取得ステップにおいて取得した希望水揚げ量情報に基づき、上記漁場を提案すること
を特徴とする請求項1~8のうち何れか1項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項10】
上記情報取得ステップでは、新たに魚を水揚げする時期における市況に関する市況情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用天候情報と、過去において水揚げした時期における市況に関する参照用市況情報とを有する組み合わせと、上記水揚げ量に紐付く売上データとの3段階以上の連関度を参照し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した市況情報に応じた参照用市況情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、上記水揚げ量に紐付く売上データを探索すること
を特徴とする請求項1又は2記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項11】
上記情報取得ステップでは、新たに魚を水揚げする時期における外部環境に関する外部環境情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用天候情報と、過去において水揚げした時期における外部環境に関する参照用外部環境情報とを有する組み合わせと、上記水揚げ量に紐付く売上データとの3段階以上の連関度を参照し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した外部環境情報に応じた参照用外部環境情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、上記水揚げ量に紐付く売上データを探索すること
を特徴とする請求項1又は2記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項12】
上記情報取得ステップでは、新たに魚を水揚げする予定時期に関する時期情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記連関度のより高いものを優先させるとともに、取得した上記時期情報に基づき、その新たに魚を水揚げする海域について水揚げ量を上記二次元マップ上において予測すること
を特徴とする請求項1又は2項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項13】
上記予測ステップでは、人工知能におけるニューラルネットワークのノードの各出力の重み付け係数に対応する上記連関度を利用すること
を特徴とする請求項1~12のうち何れか1項記載の水揚げ量予測プログラム。
【請求項14】
沿岸の漁場における魚の水揚げ量を予測する水揚げ量予測プログラムにおいて、
新たに魚を水揚げする沿岸の海域の天候に関する天候情報を取得する情報取得ステップと、
過去において水揚げした沿岸の海域の天候に関する参照用天候情報と、上記海域において水揚げした水揚げ量との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した天候情報に応じた参照用天候情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、その沿岸の海域について水揚げ量を予測する予測ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする水揚げ量予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上又は沿岸の漁場における魚の水揚げ量を予測する水揚げ量予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遠洋漁業、近海漁業を行う上で、魚の水揚げ量をより増大させることを目的とし、漁場探索が行われている。この漁場探索は、漁師による熟練のノウハウや勘に頼るところがあった。しかし、このような熟練の漁師の多くが近年において引退してしまい、また漁業の後継者も不足していることから、このような水揚げ量の向上を目的とした漁場探索ノウハウの若手への伝承が進まなくなっているという問題点があった。
【0003】
同様に沿岸の漁業においても、地引網や定置網漁業を行う上で、水揚げ量の見積もり、並びにその見積もりに基づき最適な水揚げのタイミングを決めるためのノウハウについて若手への伝承が進まなくなっているという問題点があった。
【0004】
このため、このような熟練の漁師の漁場探索ノウハウを人工知能に学習させ、今後の新たな漁場探索や水揚げのタイミングの探索を行う上での一助にすることも検討されているが、そのような人工知能自体がいまだ提案されていないのが現状であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、遠洋漁業、近海漁業、沿岸漁業を行う上で、魚の水揚げ量をより増大させるための漁場探索や水揚げのタイミングの探索を 特段のスキルや経験が無くても、高精度かつ自動的に行うことができる水揚げ量予測プログラムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る水揚げ量予測プログラムは、洋上の漁場における魚の水揚げ量を予測する水揚げ量予測プログラムにおいて、新たに魚を水揚げする海域の天候に関する天候情報を取得する情報取得ステップと、過去において水揚げした海域の天候に関する参照用天候情報と、上記二次元マップ上に表示されるその水揚げした水揚げ量との3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにおいて取得した天候情報に応じた参照用天候情報に基づき、上記連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について水揚げ量を上記二次元マップ上において予測する予測ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
遠洋漁業、近海漁業を行う上で、魚の水揚げ量をより増大させるための漁場探索や水揚げのタイミングの探索を特段のスキルや経験が無くても、高精度かつ自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。
図2】探索装置の具体的な構成例を示す図である。
図3】本発明の動作について説明するための図である。
図4】本発明の動作について説明するための図である。
図5】本発明の動作について説明するための図である。
図6】本発明の動作について説明するための図である。
図7】本発明の動作について説明するための図である。
図8】本発明の動作について説明するための図である。
図9】本発明の動作について説明するための図である。
図10】本発明の動作について説明するための図である。
図11】本発明の動作について説明するための図である。
図12】本発明の動作について説明するための図である。
図13】本発明の動作について説明するための図である。
図14】本発明の動作について説明するための図である。
図15】本発明の動作について説明するための図である。
図16】本発明の動作について説明するための図である。
図17】本発明の動作について説明するための図である。
図18】本発明の動作について説明するための図である。
図19】本発明の動作について説明するための図である。
図20】本発明の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1実施形態
以下、本発明を適用した水揚げ量予測プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0010】
図1は、本発明を適用した水揚げ量予測プログラムが実装される水揚げ量予測システム1の全体構成を示すブロック図である。水揚げ量予測システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0011】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する判別装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を判別装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。また身体センサは人間のみならず動物の生体データを取得するものであってもよい。また情報取得部9は図面等の情報をスキャニングしたり、或いはデータベースから読み出すことで取得するデバイスとして構成されていてもよい。情報取得部9は、これら以外に臭気や香りを検知する臭気センサにより構成されていてもよい。
【0012】
データベース3は、水揚げ量予測を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。つまり、データベース3には、参照用海情報、参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用画像情報、参照用市況情報、参照用外部環境情報等の何れか1以上と、探索解とが互いに紐づけられて記憶されている。
【0013】
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。
【0014】
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0015】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0016】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0017】
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0018】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0019】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0020】
上述した構成からなる水揚げ量予測システム1における動作について説明をする。
【0021】
水揚げ量予測システム1は、例えば図3に示すように、参照用海情報が、入力データとなる。参照用海情報とは、過去において水揚げした海域について実測又は計算した物理データに基づくあらゆる情報である。ここでいう水揚げした海域とは、実際に過去において水揚げした位置を中心に半径1~2km以内等のようなある一地点に限定されるものではなく、当該位置を中心に半径100~200km以内であってもよいし、半径1000km以内であってもよい。さらには日本又は各国の国土の200海里内であってもよいし、これに限定されることなく、200海里を超えておいてもよい。瀬戸内海全域、日本海全域等といった領域まで広げてもよいし、更には太平洋、大西洋、インド洋等まで広げてもよい。
【0022】
物理データとしては、海の状態を示すデータであればいかなるものであってもよく、海水温度、塩分濃度、海流の流速や方向、潮汐、海面高度、赤潮の発生状況、二酸化炭素量等の何れか1以上で構成してもよい。またこれに限定されるものではなく、この物理データとしては、酸素濃度、波の状態や高さ、波浪の状況もこれに含めてもよい。
【0023】
このような参照用海情報は、海域全体について物理データを調査したものであってもよいし、海域の一部について調査したものであってもよい。また調査した物理データを海域全体にわたり平均化したものであってもよいし、海域内において複数点について物理データを調査した結果を示すものであってもよい。
【0024】
入力データとしては、このような参照用海情報が並んでいる。このような入力データとしての参照用海情報は、出力に連結している。この出力においては、出力解としての、水揚げ量が表示されている。
【0025】
ここでいう水揚げ量は、海域を示す二次元的な地図データ上において示される水揚げ量である。この水揚げ量は、図4に示すように、二次元的な地図上に示される時系列的な水揚げ量を示すものである。図中のx、y軸からなる二次元的な平面上で海域の地図が示される。そして、z軸は、時間軸を示すものである。t1、t2、t3、t4と時系列的に水揚げ量(漁獲量)が示される。この水揚げ量は、図4中において〇の大きさにより示される。〇が大きいほど、水揚げ量が多くなり、〇が小さいほど水揚げ量が少なくなることを示すようにしてもよい。また、この水揚げ量は魚種毎に示すようにしてもよい。図4の例では、魚種としてサンマ、ブリ、タイ等がある。このような各魚種の水揚げ量が、二次元的な海域の地図データ上において時系列的に示される。
【0026】
ちなみに、この水揚げ量は、魚種毎に分類されることは必須ではなく、各魚種の水揚げ量の合計値により表されるものであってもよい。また、この水揚げ量は、z軸方向に示すような時系列的な推移を含める場合に限定されるものではなく、ある一時点における水揚げ量で構成してもよい。かかる場合には、図4中のt1~t4の各時点のうち何れか一時点の水揚げ量が示されるものであってもよい。また各時点t1~t4の水揚げ量の合計値で示されるものであってもよい。
【0027】
つまり、この参照用海情報と、水揚げ量のデータセットを通じて、参照用海情報において生じた様々なデータに対する実際の水揚げ量が分かる。つまり参照用海情報のデータと水揚げ量とがデータセットとなっている。このため、参照用海情報と水揚げ量のデータセットを集めておくことにより、過去どのような海の状態のときに、水揚げ量がどのようなものであったかを知ることが可能となる。
【0028】
なお、学習データのデータセットを作る際には、実際に過去において漁を行った時期、漁を行った位置(二次元的な地図データ上の位置)、漁を行ったときの水揚げ量、水揚げした魚種等のデータを入力することで得ることができる。このデータ入力は、手入力により入力するようにしてもよいし、例えば以前の航海日誌の記録から、漁を行った位置と時間、並びに水揚げ量と魚種を読み取り、読み取ったデータを手入力又は自動入力してもよい。また以前において漁を行うための航海を行った際の位置情報の軌跡が時系列的に電子データにて保存されている場合にはその電子データを直接取り込むようにしてもよい。このとき、漁を行った位置情報がその電子データ上にて特定されている場合にはそこから取得するようにしてもよい。
【0029】
また、この学習データのデータセットを作る上で、上述した物理データを得る上で、海水温度は、温度計以外に、例えば人工衛星から取得可能な海水温データを取得するようにしてもよい。また、ブイ等に水温や塩分濃度を測定できるセンサを取り付けておくことで、データを取得するようしてもよい。塩分濃度、二酸化炭素量は、漁船に取り付けられたセンサ又は直接手作業で測定するようにしてもよい。海流の流速や方向は、超音波式ドップラ多層流速計等を利用して計測するようにしてもよいが、これに限定されるものではなく、例えば、国交省等が公開する海洋海流シミュレーションのデータを利用してもよい。また過去の海流の流速や方向のデータを海上保安庁や民間の機関等が取得している場合にはこれを学習データとして読み込ませるようにしてもよい。海流の流速や方向、潮汐、海面高度、赤潮の発生状況も同様に公的機関、民間機関が保有しているデータを取得するようにしてもよい。このとき、上述した図4に示す水揚げ量の二次元座標からなる地図データと、上述した各物理データとを対応させて学習させておく。
【0030】
このような参照用海情報を取得する場合においても、z軸方向に示すような時系列的なt1~t4の推移を含めてもよいが、これに限定されるものではなく、ある一時点における物理データで構成してもよい。かかる場合には、図4中のt1~t4の各時点のうち何れか一時点の物理データが示されるものであってもよい。また各時点t1~t4の物理データの平均値で示されるものであってもよい。
【0031】
また、この物理データは、水揚げ量と同様に二次元的な地図データの各位置について測定したものであってもよいが、これに限定されるものではなく、海域全体で物理データを平均化して構成してもよいし、又は海域で測定した1又は2以上の物理データを代表して海域全体の物理データとしてもよい。
【0032】
図3の例では、入力データとして例えば参照用海情報P01~P03であるものとする。このような入力データとしての参照用海情報は、出力に連結している。この出力においては、出力解としての、水揚げ量が表示されている。
【0033】
参照用海情報は、この出力解としての水揚げ量に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用海情報がこの連関度を介して左側に配列し、水揚げ量が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用海情報に対して、何れの水揚げ量と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用海情報が、いかなる水揚げ量に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用海情報から最も確からしい水揚げ量を選択する上での的確性を示すものである。図3の例では、連関度としてw13~w19が示されている。このw13~w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての水揚げ量と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての水揚げ量と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0034】
【表1】
【0035】
探索装置2は、このような図3に示す3段階以上の連関度w13~w19を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用海情報と、その場合の水揚げ量の何れが採用されたか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図3に示す連関度を作り上げておく。
【0036】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用海情報P01である場合に、過去の水揚げ量の判定結果のデータから分析する。参照用海情報P01である場合に、水揚げ量Aの事例が多い場合には、この水揚げ量Aにつながる連関度をより高く設定し、水揚げ量Cの事例が多い場合には、この水揚げ量Cにつながる連関度をより高く設定する。例えば参照用海情報P01の例では、水揚げ量Aと水揚げ量Cにリンクしているが、以前の事例から水揚げ量Aにつながるw13の連関度を7点に、水揚げ量Cにつながるw14の連関度を2点に設定している。各水揚げ量A~D毎にそれぞれ時系列的な水揚げ量の分布が時刻毎、或いは時間間隔おきに示されている。
【0037】
また、この図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0038】
かかる場合には、図5に示すように、入力データとして参照用海情報が入力され、出力データとして各水揚げ量が出力され、入力ノードと出力ノードの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。また、逆に水揚げ量が入力で参照用海情報が出力となるように構成されていてもよい。
【0039】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに水揚げ量の予測を行う上で、上述した学習済みデータを利用して水揚げ量を予測することとなる。かかる場合には、実際に新たに水揚げ量を予測する海域の海情報を取得する。この海情報は、上述した参照用海情報と同種のデータで構成され、その取得方法も参照用海情報と同様である。
【0040】
新たに取得する海情報は、上述した情報取得部9により入力される。情報取得部9は、このような海情報を電子データとして取得するようにしてもよい。
【0041】
このようにして新たに取得した海情報に基づいて、実際にその海情報に対して、判定される可能性の高い水揚げ量を探索する。かかる場合には、予め取得した図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した海情報がP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して水揚げ量Bがw15、水揚げ量Cが連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い水揚げ量Bを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる水揚げ量Cを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0042】
このような水揚げ量は、海域における位置について求めるようにしてもよいし、海域内においてある程度の区域に分け、区域単位で平均化して出力するようにしてもよい。もっとも簡単なのは、図4に示すように学習データを作成する際に、水揚げ量を調査した位置について、水揚げ量を求めるようにしてもよい。かかる場合には、以前において同じ位置において水揚げ量が調査されていることから、これらを学習用データとして利用することで高精度な探索解を得ることができる。
【0043】
このようにして、新たに取得する海情報から、判定すべき水揚げ量を探索する。探索した水揚げ量は、魚種で、又は複数の魚種の合計値で求められることになる。
【0044】
このとき、探索装置2は、予測した水揚げ量に基づいて、最適な漁場を提案するようにしてもよい。かかる場合には、水揚げ量の多い位置ほど最適な漁場となるように予め重み付けを設定しておき、実際に求められた水揚げ量に基づいて、その重み付けを参照し、漁場を提案するようにしてもよい。また、この漁場を提案する際には、漁船の現在の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて漁場を提案するようにしてもよい。位置情報は、GPS等により取得する。漁船の現在の位置に近い位置ほど最適な漁場となるように予め重み付けを設定して起き、実際に取得した位置情報に基づいて、その重み付けを参照し、漁場を提案するようにしてもよい。このとき、時系列的な傾向を参照することで最適な漁の時期も提案するようにしてもよい。
【0045】
さらに本発明においては、消費者側からのニーズが反映された水揚げ量に対する希望水揚げ量情報を取得するようにしてもよい。この希望水揚げ量情報は、消費者、ひいては消費者からの需要が反映される小売店や卸売市場から、どの程度の魚の需要があるかを示す情報である。この希望水揚げ量情報は、小売店や卸売市場から集計された、提供を受けたい魚の量(水揚げ量)として構成される。この希望水揚げ量情報は、魚種毎にそれぞれ数量が示されるものであってもよい。このような希望水揚げ量情報に基づき、漁場を提案するようにしてもよい。かかる場合には、上述した連関度を通じて得られる、二次元マップ上に示される水揚げ量と照らし合わせ、希望水揚げ量情報に見合う水揚げ量を達成できそうな漁場を提案する。希望水揚げ量情報に示される水揚げ量が少ない場合には、その少ない水揚げ量に見合う漁場を二次元マップ上の水揚げ量から探索、検索し、提案することで必要以上の魚を乱獲することを防止することができる。一方、希望水揚げ量情報に示される水揚げ量が多い場合には、その多い水揚げ量に見合う漁場を二次元マップ上の水揚げ量から探索、検索し、提案する。
【0046】
希望水揚げ量情報がアップされた段階で、上述した連関度を通じて得られる二次元マップ上に示される各漁場毎の水揚げ量につきそれぞれ重みづけを施し、希望水揚げ量情報に近い水揚げ量ほど重みづけを重くするようにしてもよい。そしてその重みづけに基づいて漁場を選択するようにしてもよい。
【0047】
また、連関度を学習させる際には、時系列的な水揚げ量との連関度を学習させるようにしてもよい。連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について時系列的な水揚げ量を二次元マップ上において予測するようにしてもよい。かかる場合には、図4のt1~t4の時系列的な水揚げ量の変化傾向を、同じ時系列の参照用海情報と学習させておく。そして、新たに取得した海情報がちょうどt2時点の参照用海情報と類似する傾向であれば、その後の時系列的な水揚げ量としてt3、t4の傾向をこの時系列的な変化傾向として出力するようにしてもよい。
【0048】
図6の例では、入力データとして例えば参照用海情報P01~P03、参照用時期情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用海情報に対して、参照用時期情報が組み合わさったものが、図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、各水揚げ量が表示されている。
【0049】
図6の例では、参照用海情報と、参照用時期情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。この参照用時期情報は、過去において水揚げした時期に関する情報であり、ちょうど図4に示すz軸方向の時系列的で並ぶ時点t1~t4等で構成される。時点t1~t4の時間間隔はいかなる時間単位で構成されていてもよく、分単位、時間単位、日単位、月単位に加え、年単位であってもよい。また時間間隔は必ずしも等間隔である必要はない。また、時点はある一時点に限定されるものではなく、ある程度長い時間で構成されていてもよく、その時間の単位も分単位、時間単位、日単位、月単位に加え、年単位であってもよい。
【0050】
仮に参照用時期情報P14が時点t1、参照用時期情報P15が時点t2、参照用時期情報P16が時点t3、参照用時期情報P17が時点t4であればその時点と、その時点に対応する参照用海情報と、その時点に対応する各地点の水揚げ量をデータセットとして学習させる。
【0051】
図6の例では、入力データとして例えば参照用海情報P01~P03、参照用時期情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用海情報に対して、参照用時期情報が組み合わさったものが、図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての水揚げ量が表示されている。
【0052】
参照用海情報と参照用時期情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての水揚げ量に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用海情報と参照用時期情報がこの連関度を介して左側に配列し、水揚げ量が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用海情報と参照用時期情報に対して、各水揚げ量と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用海情報と参照用時期情報が、いかなる水揚げ量に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用海情報と参照用時期情報から最も確からしい各水揚げ量を選択する上での的確性を示すものである。海情報に加え、その時期に応じて、水揚げ量が変化する場合があり、これを踏まえて判断することができる。
【0053】
図6の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0054】
探索装置2は、このような図6に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で参照用海情報と参照用時期情報、並びにその場合の水揚げ量の何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図6に示す連関度を作り上げておく。
【0055】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用海情報P01で、参照用時期情報P16である場合に、その水揚げ量を過去のデータから分析する。水揚げ量Aの事例が多い場合には、この水揚げ量Aにつながる連関度をより高く設定し、水揚げ量Bの事例が多く、水揚げ量Aの事例が少ない場合には、水揚げ量Bにつながる連関度を高くし、水揚げ量Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、水揚げ量Aと水揚げ量Bの出力にリンクしているが、以前の事例から水揚げ量Aにつながるw13の連関度を7点に、水揚げ量Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0056】
また、この図6に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0057】
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用海情報P01に対して、参照用気象情報P14の組み合わせのノードであり、水揚げ量Cの連関度がw15、水揚げ量Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用海情報P02に対して、参照用気象情報P15、P17の組み合わせのノードであり、水揚げ量Bの連関度がw17、水揚げ量Dの連関度がw18となっている。
【0058】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから水揚げ量判定のための探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに水揚げ量の判定を海情報に加え、時期情報を取得する。この時期情報は、上述した参照用時期情報に対応するものであり、その取得方法も同様である。
【0059】
このようにして新たに取得した海情報、時期情報に基づいて、最適な水揚げ量を探索する。かかる場合には、予め取得した図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した海情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、時期情報がP17と同一かこれに類似する場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、水揚げ量Cがw19、水揚げ量Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い水揚げ量Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる水揚げ量Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0060】
例えば時点t1が9~10月であり、その時点tにおける参照用海情報がP01であるとき、海域内のある位置において、ある魚種が非常に大量に獲れたことを意味する水揚げ量Cであるものとする。このとき、これらのデータセットを学習させておくと、新たに入力された時期情報が9月~10月であり、その時の海情報が参照用海情報に対応するものであれば、水揚げ量Cに示される魚種、水揚げ量が選択されることとなる。
【0061】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0064】
図7は、上述した参照用海情報と、参照用魚群位置情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する水揚げ量との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0065】
参照用魚群位置情報とは、過去において水揚げした海域について検出した魚群の二次元マップ上の位置に関する情報である。この参照用魚群位置情報を構成する魚群の位置は、周知の魚群探知機により求めてもよいし、ドローン等の無人航空機や航空機、ヘリコプター等、人工衛星等を通じて撮像した空撮画像、衛星画像に基づいて検出するようにしてもよい。画像を通じて判別する際には魚が海面をはねることで水面が白く濁るのであれば、その白い濁りを検出してもよいし、魚の群れが泳ぐことで現れる海面の色の変化や波が画像として現れるのであればこれを検出するようにしてもよい。このような画像により魚群を判別する場合には、画像から特徴量を抽出し、機械学習、ディープラーニング技術を利用して判別してもよい。このような参照用魚群位置情報も、二次元マップ上に同様に示される。仮に、参照用海情報や水揚げ量が、時系列的にt1~t4等のように順に示されているのであれば、これに合わせるべく、参照用魚群位置情報も同様の時系列で測定し、学習させるようにしてもよい。
【0066】
図7の例では、入力データとして例えば参照用海情報P01~P03、参照用魚群位置情報P18~21であるものとする。このような入力データとしての、参照用海情報に対して、参照用魚群位置情報が組み合わさったものが、図7に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、水揚げ量が表示されている。
【0067】
参照用海情報と参照用魚群位置情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、水揚げ量に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用海情報と参照用魚群位置情報がこの連関度を介して左側に配列し、水揚げ量が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用海情報と参照用魚群位置情報に対して、水揚げ量と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用海情報と参照魚群位置情報が、いかなる水揚げ量に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用海情報と参照用魚群位置情報から最も確からしい各水揚げ量を選択する上での的確性を示すものである。海情報に加え、魚群がどの位置にあるのかに応じて水揚げ量は大きく左右することから、参照用魚群位置情報も学習をさせておく。
【0068】
探索装置2は、このような図7に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用海情報と参照用魚群位置情報、並びにその場合の水揚げ量が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図7に示す連関度を作り上げておく。
【0069】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用海情報P01で、参照用魚群位置情報P20である場合に、その水揚げ量を過去のデータから分析する。また、この図7に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。
【0070】
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用海情報P01に対して、参照用魚群位置情報P18の組み合わせのノードであり、水揚げ量Cの連関度がw15、水揚げ量Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用海情報P02に対して、参照用魚群位置情報P19、P21の組み合わせのノードであり、水揚げ量Bの連関度がw17、水揚げ量Dの連関度がw18となっている。
【0071】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した海情報に加え、魚群位置情報を取得する。魚群位置情報は、参照用魚群位置情報に対応したものである。
【0072】
このようにして新たに取得した海情報、魚群位置情報に基づいて、水揚げ量を探索する。かかる場合には、予め取得した図7(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した海情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、魚群位置情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、水揚げ量Cがw19、水揚げ量Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い水揚げ量Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる水揚げ量Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。上述したように要注意人物について参照用魚群位置情報として学習しておくことにより、上記抽出した魚群位置情報の顔画像から要注意人物であることを学習データを参照することで特定することができ、これに応じた最適な水揚げ量を探索解として出力することが可能となる。
【0073】
なお、この図7の例では、参照用魚群位置情報、魚群位置情報において魚群の位置を画像を通じて取得する例について説明をした。この参照用魚群位置情報、魚群位置情報では、画像からあくまで魚群の位置を割り出すものであるが、これに限定されるものではなく、魚群の位置を割り出すことなく画像をそのまま学習データとして利用してもよい。かかる場合には、図8に示すように参照用海情報と参照用画像情報とを有する組み合わせに対する水揚げ量の連関度を学習させる。参照用画像情報は、上述したように海面又は海中をカメラにより撮像した画像である。そして、新たに画像情報を取得した場合には、この画像情報に対応する参照用画像情報に基づき、連関度を参照して解探索を行う。
【0074】
図9は、上述した参照用海情報と、参照用天候情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する水揚げ量との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0075】
参照用天候情報とは、過去において水揚げした海域についての天候に関するあらゆる情報であり、気温、湿度、降水量、風向、風速、日照時間に加え、気圧配置や雲の状況等も含まれる。これらの参照用天候情報は、上述した二次元マップ上に示されるものであってもよい。このような参照用天候情報は、気象庁や民間の気象予測会社が保有するデータを学習させるようにしてもよい。仮に、参照用海情報や水揚げ量が、時系列的にt1~t4等のように順に示されているのであれば、これに合わせるべく、参照用天候情報も同様の時系列で測定し、学習させるようにしてもよい。
【0076】
図9の例では、入力データとして例えば参照用海情報P01~P03、参照用天候情報P18~21であるものとする。このような入力データとしての、参照用海情報に対して、参照用天候情報が組み合わさったものが、図9に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、水揚げ量が表示されている。
【0077】
参照用海情報と参照用天候情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、水揚げ量に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用海情報と参照用天候情報がこの連関度を介して左側に配列し、水揚げ量が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用海情報と参照用天候情報に対して、水揚げ量と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用海情報と参照天候情報が、いかなる水揚げ量に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用海情報と参照用天候情報から最も確からしい各水揚げ量を選択する上での的確性を示すものである。海情報に加え、魚群がどの位置にあるのかに応じて水揚げ量は大きく左右することから、参照用天候情報も学習をさせておく。
【0078】
探索装置2は、このような図9に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用海情報と参照用天候情報、並びにその場合の水揚げ量が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図9に示す連関度を作り上げておく。
【0079】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用海情報P01で、参照用天候情報P20である場合に、その水揚げ量を過去のデータから分析する。また、この図9に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。
【0080】
図9に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用海情報P01に対して、参照用天候情報P18の組み合わせのノードであり、水揚げ量Cの連関度がw15、水揚げ量Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用海情報P02に対して、参照用天候情報P19、P21の組み合わせのノードであり、水揚げ量Bの連関度がw17、水揚げ量Dの連関度がw18となっている。
【0081】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した海情報に加え、天候情報を取得する。天候情報は、参照用天候情報に対応したものである。
【0082】
このようにして新たに取得した海情報、天候情報に基づいて、水揚げ量を探索する。かかる場合には、予め取得した図9(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した海情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、天候情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、水揚げ量Cがw19、水揚げ量Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い水揚げ量Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる水揚げ量Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。上述したように要注意人物について参照用天候情報として学習しておくことにより、上記抽出した天候情報の顔画像から要注意人物であることを学習データを参照することで特定することができ、これに応じた最適な水揚げ量を探索解として出力することが可能となる。
【0083】
図10は、参照用情報Uに対応する参照用海情報と、参照用情報Vに対応する参照用市況情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する売上データとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0084】
参照用市況情報とは、市況に関する様々な情報である。ここでいう市況は、一企業、またその企業を含む業界全体、或いは日本全体、世界全体までいかなる範囲をターゲットにしてもよい。この参照用市況情報の例としては、金利、為替、各銘柄の株価、原油、先物、貴金属、ビットコイン等の値動きを対象としたものである。この参照用市況情報は、これらの対象について時系列的なチャートや折れ線グラフ等で表示されていてもよい。またボリンジャーバンド、MACD、移動平均線等の情報が付されていてもよい。また、この市況情報は、各銘柄の企業のファンダメンタルな指標が盛り込まれていてもよく、年間の売り上げや利益、コストに加えて、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)等の指標が盛り込まれていてもよい。為替についても各通貨間における値動きを示すチャート、ボリンジャーバンド、MACD、移動平均線等の情報が付されていてもよい。参照用市況情報は、市場将来性自体を類型化しておくようにしてもよい。参照用市況情報は類型別に分類した情報であってもよく、例えば、株価の伸び率が年〇%以上あるか否かにより区切ることで分類するようにしてもよい。また、パターン(例えば、株価の伸び率が急激が、あるいは徐々に増加するか等のパターン)等により類型化されていてもよい。
【0085】
図10の例では、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報Uについて、出力解として水揚げ量を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での組み合わせの連関度を利用し、出力解として漁による売上データを探索するようにしてもよい。
【0086】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した海情報に加え、現在の市況情報を取得する。市況情報は、参照用市況情報に対応したものである。
【0087】
このようにして新たに取得した海情報に基づいて参照用情報Uを介して水揚げ量を探索する。具体的な方法は上述したとおりである。このようにして水揚げ量を出した後に、この水揚げ量と、市況情報に基づいて参照用情報Vに基づいて、これに紐付く売上データを出力するようにしてもよい。水揚げ量は、魚種毎の水揚げ量で構成してもよいことは上述したとおりである。魚種について単価が決まれば、単価と水揚げ量を乗算することで、魚種ごとの売り上げを導出できる。導出した魚種毎の売り上げの総合計を算出することで、トータルの売り上げを求めることができる。このトータルの売り上げを求める上で、単価は市況による影響を受けることから、これを説明変数とし、出力解と求める。
【0088】
参照用市況情報の代替として、参照用外部環境情報を学習させるようにしてもよい。参照用外部環境情報とは、外部環境情報に関する様々な情報である。ここでいう外部環境情報は、経済データ(GDP、雇用統計、鉱工業生産指数、設備投資、労働力調査等)、家計データ(家計消費状況調査、家計データ、1週間の平均就業時間、貯蓄額の統計データ、年収の統計データ等)、不動産データ(オフィス空室率、坪単価、賃料相場、地価、空き家データ等)、自然環境データ(災害データ、気温データ、降水量データ、風向きデータ、湿度データ等)に代表されるものである。外部環境情報は、これらのデータの一部、全部が反映されるもの以外に、現金自動預け払い機の外部のあらゆる情報が含まれる。参照用外部環境情報は、外部環境自体を類型化しておくようにしてもよい。例えば、雇用統計におけるデータで区切ることで分類するようにしてもよい。また、パターン(例えば、GDPの伸び率が急激が、あるいは徐々に増加するか等のパターン)等により類型化されていてもよい。
【0089】
かかる場合には、参照用情報Uに対応する参照用海情報と、参照用情報Vに対応する参照用外部環境情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する売上データとの3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0090】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した海情報に加え、現在の外部環境情報を取得する。外部環境情報は、参照用外部環境情報に対応したものである。
【0091】
このようにして新たに取得した海情報に基づいて参照用情報Uを介して水揚げ量を探索する。具体的な方法は上述したとおりである。このようにして水揚げ量を出した後に、この水揚げ量と、外部環境情報に基づいて参照用情報Vに基づいて、これに紐付く売上データを出力するようにしてもよい。
【0092】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば図11に示すように、基調となる参照用情報と、水揚げ量との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた水揚げ量との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用海情報等であるが、これに限定されるものでは無く、いかなる参照用情報(参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用画像情報、参照用天候情報、参照用市況情報、参照用外部環境情報等)も適用可能である。
【0093】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0094】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0095】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0096】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用魚群位置情報P14において、以前において水揚げ量としてBが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用トーン情報P14に応じたトーン情報を新たに取得したとき、水揚げ量としての探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば水揚げ量としての探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0097】
例えば、他の参照用情報Gが、より水揚げ量としての探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より水揚げ量としての探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、水揚げ量としての探索解Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、水揚げ量としての探索解Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、水揚げ量につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、水揚げ量を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての水揚げ量にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0098】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する水揚げ量につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0099】
同様に、図12に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、水揚げ量との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、上述するいかなる参照用情報(参照用海情報、参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用画像情報、参照用天候情報、参照用市況情報、参照用外部環境情報等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0100】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用時期情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0101】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、水揚げ量を推定することができる。このとき、上述した図11に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、水揚げ量を修正するようにしてもよい。また図10に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報V)を通じて、水揚げ量を予測するようにしてもよい。
【0102】
なお、図10、12に示す形態においては、上述した他の参照用情報の何れか2以上との組み合わせで構成されていてもよい。また連関度は、これらの参照用情報に加え、他のファクターがこの組み合わせに加わって連関度が形成されていてもよい。
【0103】
また、図13に示すように基調となる参照用情報のみと、水揚げ量との間で連関度が形成されるものであってもよい。この基調となる参照用情報は、いかなる参照用情報(参照用海情報、参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用画像情報、参照用天候情報、参照用市況情報、参照用外部環境情報等も適用可能である。
【0104】
図14は、参照用時期情報と、水揚げ量との間で連関度が形成される例であり、図15は、参照用魚群位置情報と、水揚げ量との間で連関度が形成される例であり、図16は、参照用天候情報と、水揚げ量との間で連関度が形成される例である。水揚げ量の導出方法は、上述した図3、5の説明を引用することで以下での説明を省略する。これらの参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用天候情報を基調となる参照用情報にする場合においても、図10、12に示すように、他の参照用情報との間で水揚げ量を求めてもよい。
【0105】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0106】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に解探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0107】
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
【0108】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0109】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいてより探索解に関する信憑性が高く、誤認の低い探索解を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。
【0110】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0111】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0112】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。
【0113】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0114】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0115】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0116】
第2実施形態
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば図18に示すように、基調となる参照用情報と、魚の品質との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた水揚げ量との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、いかなる参照用情報(参照用海情報、参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用画像情報、参照用天候情報、参照用市況情報、参照用外部環境情報等)も適用可能である。
【0117】
ここでいう魚の品質とは、魚の外観上、味覚上のあらゆる品質を示す概念である。魚の品質は、鮮度で表現されていてもよく、また光沢や味で評価してもよい。 この魚の品質は、システム側、又はユーザ側が設定した5段階や10段階で評価したランキングで表現されるものであっても良い。或いは、単に物凄く美味しい、美味しい、まあまあ、普通で表現されたものであってもよい。
【0118】
これらの魚の品質は、以前において学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよい。このとき人工知能を活用し、魚の画像データと、魚の品質を学習させておき、実際に参照用画像情報を取得する際には、これらの学習させた画像データと照らし合わせて、その魚の品質を判別するようにしてもよい。
【0119】
魚の品質は、評価者による以前の経験に基づいてその良しあしを判断してもよいし、実際に試食をしてその味を判断するようにしてもよい。かかる場合には魚の品質を試食する複数人の検査者がその味について、食感、香ばしさ、歯ごたえ、苦み、まろやかさ等の各項目について複数段階で評価し、それらを統計的に分析して品質評価値としてもよい。また、魚の品質は、味覚を検知可能な味覚センサを通じて判別するようにしてもよいし、各種機器分析を通じて判断してもよい。
【0120】
また、魚の鮮度を魚の品質そのものとして評価してもよい。魚の鮮度も同様に複数人の検査者がその味について、食各項目について複数段階で評価し、それらを統計的に分析して品質評価値としてもよい。
【0121】
これらの魚の品質は、水揚げした位置と時間との間で紐付けた上でデータベース3に記憶させておく。これにより水揚げされる魚について、それぞれ品質が評価された後、この水揚げされた位置と時間との関係において記憶することができる。このとき、上述した参照用情報とのデータセットを通じて学習させておく。これにより、図18に示すような連関度を予め形成しておくことができる。
【0122】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0123】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0124】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0125】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用魚群位置情報P14において、以前において魚の品質としてBが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用トーン情報P14に応じたトーン情報を新たに取得したとき、魚の品質としての探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば魚の品質としての探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0126】
例えば、他の参照用情報Gが、より魚の品質としての探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より魚の品質としての探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、魚の品質としての探索解Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、魚の品質としての探索解Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、魚の品質につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、魚の品質を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての魚の品質にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0127】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する魚の品質につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0128】
同様に、図19に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、魚の品質との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、上述するいかなる参照用情報(参照用海情報、参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用画像情報、参照用天候情報、参照用市況情報、参照用外部環境情報等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0129】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用時期情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0130】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、魚の品質を推定することができる。このとき、上述した図19に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、魚の品質を修正するようにしてもよい。また図10に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報V)を通じて、魚の品質を予測するようにしてもよい。
【0131】
なお、図10、19に示す形態においては、上述した他の参照用情報の何れか2以上との組み合わせで構成されていてもよい。また連関度は、これらの参照用情報に加え、他のファクターがこの組み合わせに加わって連関度が形成されていてもよい。
【0132】
また、図20に示すように基調となる参照用情報のみと、魚の品質との間で連関度が形成されるものであってもよい。この基調となる参照用情報は、いかなる参照用情報(参照用海情報、参照用時期情報、参照用魚群位置情報、参照用画像情報、参照用天候情報、参照用市況情報、参照用外部環境情報等)も適用可能である。
【0133】
また第2実施形態においても同様に、予測した魚の品質に基づいて、最適な漁場を提案するようにしてもよい。かかる場合には、魚の品質が高い位置ほど最適な漁場となるように予め重み付けを設定しておき、実際に求められた魚の品質に基づいて、その重み付けを参照し、漁場を提案するようにしてもよい。実際に魚の品質は、上述したように水揚げした位置と時間が紐付けられていることから、その位置に応じた漁場を提案することが可能となる。また、この漁場を提案する際には、漁船の現在の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて漁場を提案するようにしてもよい。漁船の現在の位置に近い位置ほど最適な漁場となるように予め重み付けを設定して起き、実際に取得した位置情報に基づいて、その重み付けを参照し、漁場を提案するようにしてもよい。このとき、時系列的な傾向を参照することで最適な漁の時期も提案するようにしてもよい。
【0134】
さらに本発明においては、消費者側からのニーズが反映された魚の品質に対する希望品質情報を取得するようにしてもよい。この希望品質情報は、消費者、ひいては消費者からの需要が反映される小売店や卸売市場から、どのような魚の品質に関する需要があるかを示す情報である。この希望品質情報は、小売店や卸売市場から集計された、提供を受けたい魚の品質として構成される。この希望品質情報は、魚種毎にそれぞれ数量が示されるものであってもよい。このような希望品質情報に基づき、漁場を提案するようにしてもよい。かかる場合には、上述した連関度を通じて得られる、二次元マップ上に示される水揚げされた魚の品質と照らし合わせ、希望品質情報に見合う品質の魚を捕獲できそうな漁場を提案する。
【0135】
希望品質情報がアップされた段階で、上述した連関度を通じて得られる二次元マップ上に示される各漁場毎の魚の品質につきそれぞれ重みづけを施し、希望品質情報に近い品質の魚を水揚げできる位置ほど重みづけを重くするようにしてもよい。そしてその重みづけに基づいて漁場を選択するようにしてもよい。
【0136】
また、連関度を学習させる際には、時系列的な水揚げされた魚の品質との連関度を学習させるようにしてもよい。連関度のより高いものを優先させて、その新たに魚を水揚げする海域について時系列的な水揚げされる魚の品質を二次元マップ上において予測するようにしてもよい。かかる場合には、図4のt1~t4の時系列的な水揚げ量の変化傾向に加え、またはこれに代替させて魚の品質に関する情報を付加しておき、同じ時系列の参照用海情報等と学習させておくようにしてもよい。
【0137】
第3実施形態
なお、本発明は、遠洋漁業や近海漁業のみならず、地引網や定置網による沿岸漁業にも適用することができる。沿岸漁業では、漁を行う地点がほぼ特定されている。このため、第1実施形態、第2実施形態において利用する二次元マップにより、各地点毎の水揚げ量を予測することは行わず、沿岸漁業を行う固定的な地点における水揚げ量を予測する。このため、この第3実施形態においては、二次元マップを利用することは必須とならない。但し、二次元マップを利用する場合においてもそのマップ上に現れる沿岸漁業を行う位置がそのマップ上に現れているのであれば、二次元マップを利用した第1実施形態、第2実施形態に基づいて解探索を行うこともできる。
【0138】
このような沿岸漁業では、第1実施形態、第2実施形態において二次元マップを利用せず、固定的な沿岸漁業を行う一つの海域に着目して予想する以外は、第1実施形態、第2実施形態と同様である。
【0139】
例えば参照用海情報を利用する場合、過去において水揚げした沿岸の海域について実測又は計算した物理データに基づく参照用海情報を利用する。そして、この参照用海情報と、上記海域において水揚げした水揚げ量との3段階以上の連関度を参照し、新たに取得した当該沿岸の海域の海情報に応じた参照用海情報に基づき、連関度のより高いものを優先させて、その沿岸の海域について水揚げ量を予測する。他の参照用情報も同様である。
【符号の説明】
【0140】
1 水揚げ量予測システム
2 探索装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 推定部
28 記憶部
61 ノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20