(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110827
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】光ビーム接合装置
(51)【国際特許分類】
B23K 1/005 20060101AFI20220722BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
B23K1/005 D
B23K1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006481
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000114400
【氏名又は名称】メイショウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】小池 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】角田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 浩一
(57)【要約】
【課題】 2つの光ビームの位置決めを同時に行うことができる光ビーム接合装置を創出することを課題とする。
【解決手段】 第1光ビームB1を射出する主光源21と、第2光ビームB2を出射する副光源22と、一端から別々に入射した第1光ビームB1及び第2光ビームB2を一つ束ねた集約光B3として他端から射出する分岐バンドル30Aと、集約光B3を集光して第1光ビームB1と第2光ビームB2とが同心円状に重なる射出光B4として基板1に向けて射出する出射鏡筒11と、基板1上に射出された第1光ビームB1及び第2光ビームB2の温度を取得する第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14と、これらが取得した温度データに基づいて主光源21及び副光源22の出力調整を行う温調機26と、を有する構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類の光ビームを用いる光ビーム接合装置であって、
第1光ビーム(B1)を射出する主光源と、第2光ビーム(B2)を出射する副光源と、前記第2光ビーム(B2)を所定の第2スポット径(φ2)で射出する第2出射鏡筒(11B)と、前記第2スポット径(φ2)よりも細い第1スポット径(φ1)に絞った第1光ビーム(B1)を前記第2光ビーム(B2)に同心円状に重ねて射出する第1出射鏡筒(11A)と、を有することを特徴とする光ビーム接合装置。
【請求項2】
第1光ビーム(B1)によって加熱された本加熱部分の温度を取得する第1温度出力手段(13)と、第2光ビーム(B2)によって加熱された予備加熱部分の温度を取得する第2温度出力手段(14)を有することを特徴とする請求項1記載の光ビーム接合装置。
【請求項3】
第1出射鏡筒(11A)及び第2出射鏡筒(11B)に第1帯域の波長から成る光の透過を許容する機能を備える第1バンドパスフィルタ(L1、L2)を夫々設けると共に、第1温度出力手段(13)及び第2温度出力手段(14)に前記第1帯域よりも長い第2帯域の波長から成る光の透過を許容する機能を備える第2バンドパスフィルタ(H1、H2)が夫々設けられている請求項2記載の光ビーム接合装置。
【請求項4】
2種類の光ビームを用いる光ビーム接合装置であって、
第1光ビーム(B1)を射出する主光源(21)と、第2光ビーム(B2)を出射する副光源(22)と、一端から別々に入射した前記第1光ビーム(B1)及び前記第2光ビーム(B2)を一つ束ねた集約光(B3)として他端から射出する分岐バンドル(30A)と、前記集約光(B3)を集光して前記第1光ビーム(B1)と前記第2光ビーム(B2)とが中心部で同心円状に重なる射出光(B4)として基板(1)に向けて射出する出射鏡筒(11)と、を有することを特徴とする光ビーム接合装置。
【請求項5】
第1光ビーム(B1)によって加熱された本加熱部分の温度を取得する第1温度出力手段(13)と、第2光ビーム(B2)によって加熱された予備加熱部分の温度を取得する第2温度出力手段(14)と、前記第1温度出力手段(13)及び前記第2温度出力手段(14)が取得したデータに基づいて主光源(21)及び副光源(22)の出力調整を行う温調機と、を備える請求項4記載の光ビーム接合装置。
【請求項6】
分岐バンドル(30A)が、第1光ビーム(B1)が透過する第1ファイバ束(31)と、第2光ビーム(B2)が透過する第2ファイバ束(32)とを有すると共に、一端には中心部に設けられた第1ファイバ束(31)と前記第1ファイバ束(31)の周囲に均等に配置された複数の第2ファイバ束(32)とを分岐させた分岐端(30a)が設けられ、他端には前記第1ファイバ束(31)と前記第2ファイバ束(32)を1つに束ねた集束端(30b)が設けられている請求項4又は5記載の光ビーム接合装置。
【請求項7】
分岐バンドル(30A)が、第1光ビーム(B1)が透過する第1ファイバ束(31)と、第2光ビーム(B2)が透過する複数の第2ファイバ束(32)と、前記第1光ビーム(B1)によって加熱された本加熱部分の加熱光(B5)を取得する第1モニタファイバ(33)と、前記第2光ビーム(B2)によって加熱された予備加熱部分の加熱光(B5)を取得する第2モニタファイバ(34)とを有すると共に、一端には中心に設けられた第1モニタファイバ(33)と該第1ファイバ束(31)の周囲に均等に配置された第1ファイバ束(31)と該第1ファイバ束(31)の周囲に配置された前記複数の第2ファイバ束(32)と前記複数の第2ファイバ束(32)中に均等に配置された前記第2モニタファイバ(34)とを分岐させた分岐端(30a)が設けられ、他端には前記第1モニタファイバ(33)、前記第1ファイバ束(31)、前記第2ファイバ束(32)及び前記第2モニタファイバ(34)を1つに束ねた集束端(30b)が設けられている請求項4又は5記載の光ビーム接合装置。
【請求項8】
第1温度出力手段(13)及び第2温度出力手段(14)が放射温度計である請求項5又は6に記載の光ビーム接合装置。
【請求項9】
第1温度出力手段(13)及び第2温度出力手段(14)が、第1モニタファイバ(33)及び第2モニタファイバ(34)を介して取得した加熱光(B5)を電圧量に変換する出力計である請求項7記載の光ビーム接合装置。
【請求項10】
主光源(21)と第1ファイバ束(31)の分岐端(30a)との間及び副光源(22)と第2ファイバ束(32)の分岐端(30a)との間には、第1光ビーム(B1)及び第2光ビーム(B2)が有する波長のうち、特定の第1帯域に属する波長の透過を許容する第1バンドパスフィルタ(L1、L2)が設けられ、第1温度出力手段(13)及び第2温度出力手段(14)の入力端には、前記第1帯域よりも長い第2帯域に属する波長の透過を許容する第2バンドパスフィルタ(H1、H2)が設けられている請求項4乃至9のいずれか一項に記載の光ビーム接合装置。
【請求項11】
第1モニタファイバ(33)及び第2モニタファイバ(34)が、カルコゲナイドファイバ又はフッ化物ファイバで形成されている請求項7又は9に記載の光ビーム接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リワーク装置等に搭載されてはんだ付けなどを行う光ビーム接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの光ビームを使用してはんだ付けする方法が知られている。例えば、特許文献1は、第1のビーム214でピンを加熱し、第2のビーム215でパッドを加熱すると共に、ピンとパッドを実質的に同じ温度に調整した状態ではんだ付けを行うというものである。
【0003】
特許文献2は、エネルギー密度の小さな主レーザービーム1Aでパッド部を加熱し、エネルギー密度の大きな副レーザービームでリードを補助加熱することではんだ付けするというものである。
【0004】
特許文献3は、照射量の比を1:2とした第1、第2のレーザービームによって、その焦点12、13に温度差による熱伝導を起こしてはんだを溶融流動させることで接合するというものである。
【0005】
特許文献4は、低エネルギー密度の光ビームで予備加熱を行った後、高エネルギー密度の光ビームではんだ付け加熱を行うというものである。
【0006】
特許文献5は、第一の照度の光で照射した後に、第一の照度よりも高い第二の照度の光で照射することでハンダを溶融させて接合を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-25985号公報
【特許文献2】特開昭62-206896号公報
【特許文献3】特開平2-132784号公報
【特許文献4】特開平4-237557号公報
【特許文献5】特開平4-288959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記いずれの場合においても、最初の光ビームで予備加熱を行い、次の光ビームの本加熱によってはんだ付けするというように、予備加熱と本加熱の2段階に分けて行うものであるため、光ビームの照射位置の位置決めを各段階においてそれぞれ行うための段取りが必要とあり、使用しにくいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、2つの光ビームの位置決めを同時に行うことができることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の手段は、
2種類の光ビームを用いる光ビーム接合装置であって、
第1光ビームを射出する主光源と、第2光ビームを出射する副光源と、前記第2光ビームを所定の第2スポット径で射出する第2出射鏡筒と、前記第2スポット径よりも細い第1スポット径に絞った第1光ビームを前記第2光ビームに同心円状に重ねて射出する第1出射鏡筒と、を有することを特徴とする、と云うものである。
本発明の第1の手段では、2つの光ビームを同心円状に重ねて射出することにより、本加熱部分のエネルギー密度を十分に高めることが可能となる。
【0011】
また本発明の他の手段は、本発明の第1の手段に、第1光ビームによって加熱された本加熱部分の温度を取得する第1温度出力手段と、第2光ビームによって加熱された予備加熱部分の温度を取得する第2温度出力手段を有することを特徴とする、との手段を加えたものである。
上記手段では、本加熱部分及び予備加熱部分の温度を適正とすることができる。
【0012】
また本発明の他の手段は、上記手段に、第1出射鏡筒及び第2出射鏡筒に第1帯域の波長から成る光の透過を許容する機能を備える第1バンドパスフィルタを夫々設けると共に、第1温度出力手段及び第2温度出力手段に第1帯域よりも長い第2帯域の波長から成る光の透過を許容する機能を備える第2ンドパスフィルタが夫々設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、温度検出にとって不要な波長の光を除去することで本加熱部分及び予備加熱部分の温度をより高い精度で検出することが可能となる。
【0013】
また本発明の第2の手段は、2種類の光ビームを用いる光ビーム接合装置であって、
第1光ビームを射出する主光源と、第2光ビームを出射する副光源と、一端から別々に入射した前記第1光ビーム及び前記第2光ビームを一つ束ねた集約光として他端から射出する分岐バンドルと、前記集約光を集光して前記第1光ビームと前記第2光ビームとが中心部で同心円状に重なる射出光として基板に向けて射出する出射鏡筒と、を有することを特徴とする、と云うものである。
本発明の第2の手段では、2つの光ビームを同心円状に重ねて射出することにより、それぞれの光ビームの位置決めを同時に行うことができ、はんだごてのように使いやすいものとすることができる。
【0014】
また本発明の他の手段は、上記本発明の第2の手段に、第1光ビームによって加熱された本加熱部分の温度を取得する第1温度出力手段と、第2光ビームによって加熱された予備加熱部分の温度を取得する第2温度出力手段と、前記第1温度出力手段及び前記第2温度出力手段が取得したデータに基づいて主光源及び副光源の出力調整を行う温調機と、を備える、との手段を加えたものである。
上記手段では、本加熱部分及び予備加熱部分について常に適正な温度に設定することができる。
【0015】
また本発明の他の手段は、上記手段に、分岐バンドルが、第1光ビームが透過する第1ファイバ束と、第2光ビームが透過する第2ファイバ束とを有すると共に、一端には中心部に設けられた第1ファイバ束と前記第1ファイバ束の周囲に均等に配置された複数の第2ファイバ束とを分岐させた分岐端が設けられ、他端には前記第1ファイバ束と前記第2ファイバ束を1つに束ねた集束端が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、2つの光源から出射された第1光ビームと第2光ビームを1つの出射鏡筒に導くことができる。
【0016】
また本発明の他の手段は、上記手段に、分岐バンドルが、第1光ビームが透過する第1ファイバ束と、第2光ビームが透過する複数の第2ファイバ束と、前記第1光ビームによって加熱された本加熱部分の加熱光を取得する第1モニタファイバと、前記第2光ビームによって加熱された予備加熱部分の加熱光を取得する第2モニタファイバとを有すると共に、一端には中心に設けられた第1モニタファイバと該第1ファイバ束の周囲に均等に配置された第1ファイバ束と該第1ファイバ束の周囲に配置された前記複数の第2ファイバ束と前記複数の第2ファイバ束中に均等に配置された前記第2モニタファイバとを分岐させた分岐端が設けられ、他端には前記第1モニタファイバ、前記第1ファイバ束、前記第2ファイバ束及び前記第2モニタファイバを1つに束ねた集束端が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、2つの光源から出射された第1光ビームと第2光ビームを1つの出射鏡筒に導くことができると共に、第1光ビームによって加熱された本加熱部分の加熱光及び前記第2光ビームによって加熱された予備加熱部分の加熱光を取得することができる。
【0017】
また本発明の他の手段は、上記手段において、第1温度出力手段及び第2温度出力手段が放射温度計である、との手段を加えたものである。
上記手段では、既存の放射温度計を採用して加熱部分の温度を所得することができる。
【0018】
また本発明の他の手段は、上記手段において、第1温度出力手段及び第2温度出力手段が、第1モニタファイバ及び第2モニタファイバを介して取得した加熱光を電圧量に変換する出力系計である、との手段を加えたものである。
上記手段では、既存の放射温度計を採用しなくても、1モニタファイバ及び第2モニタファイバを介して取得した加熱光を出力計(光電変換器)で変換した電圧量から加熱部分の温度を所得することができる。
【0019】
また本発明の他の手段は、上記手段において、主光源と第1ファイバ束の分岐端との間及び副光源と第2ファイバ束の分岐端との間には、第1光ビーム及び第2光ビームが有する波長のうち、特定の第1帯域に属する波長の透過を許容する第1バンドパスフィルタが設けられ、第1温度出力手段及び第2温度出力手段の入力端には、前記第1帯域よりも長い第2帯域に属する波長の透過を許容する第2バンドパスフィルタが設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、第1温度出力手段及び第2温度出力手段が、出射鏡筒から射出される射出光(第1光ビーム及び第2光ビーム)を直接拾わなくなり、加熱光ののみを拾うことが可能となるため、各加熱部分の温度を高精度に取得することができる。
【0020】
また本発明の他の手段は、上記手段において、第1モニタファイバ及び第2モニタファイバが、カルコゲナイドファイバ又はフッ化物ファイバで形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、第1モニタファイバ及び第2モニタファイバと第1ファイバ束及び第2ファイバ束との透過帯域を切り分けることができるため、第2バンドパスフィルタH1、H2を不要とするが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、2つの光ビームを同心円状に重ねて射出するようにしたことにより、2つの光ビームの位置決めを同時に行うことが可能となり、結果として操作性に優れる光ビーム接合装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施例としての光ビーム接合装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図2】光ビーム接合装置による加熱部分を拡大して示す正面図である。
【
図5】(a)は本発明の第2実施例としての光ビーム接合装置の基本原理を示す概念構成図、(b)は(a)に用いる分岐バンドルの構成図である。
【
図6】本発明の第2実施例としての光ビーム接合装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図7】(a)は本発明の第3実施例としての光ビーム接合装置の基本原理を示す概念構成図、(b)は(a)に用いる分岐バンドルの構成図である。
【
図8】本発明の第3実施例としての光ビーム接合装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1実施例としての光ビーム接合装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図1(a)(b)(c)に示すように、本発明の光ビーム接合装置10は、主として第1出射鏡筒11A、第2出射鏡筒11Bを有して構成されている。
【0024】
第1出射鏡筒11Aは本加熱用であり、図示しない主光源から出射された第1光ビームB1を、基板1上に所定の第1スポット径(例えばφ0.5)で照射できるようにするための集光レンズを備える部材であり、上方の位置から基板1に対して所定の入射角度(例えば45度)で出射可能に設けられている。
第2出射鏡筒11Bは予備熱用であり、図示しない副光源から出射された第2光ビームB2を、基板1上に第1スポット径φ1(例えばφ0.5)よりも拡径状の第2スポット径φ2(例えばφ10)を有して第1光ビームB1に同心円状に重ねて出射するための集光レンズを備え、上方の位置から鉛直方向真下の位置に設けられた基板1に向けて垂直に出射可能に設けられている。
尚、主光源及び副光源としては、例えばハロゲンライト、あるいはレーザーなど公知の光ビームを用いることができる。
【0025】
図1(a)(b)(c)に示すように、例えば、後述するツイーザーの17の先端を、2台の第1カメラ15及び第2カメラ16で異なる方向から監視することにより、ツイーザーの17に挟持された電子部品2の位置決めのための監視、あるいは第1出射鏡筒11Aから出射された第1光ビームB1の状態及び第2出射鏡筒11Bから放たれた第2光ビームB2の状態などの監視を行うことが可能である。
【0026】
ツイーザー17は、先端が鋭角で且つ略くの字状に屈曲形成された一対の挟持部17aを有して電子部品2を両側から挟持可能な部材が好ましく、
図1(c)に示すように基部17b側を略45度の傾けることにより、できる限り第1光ビームB1及び第2光ビームB2の光路上に入り込むことを避け、また電子部品2を挟持した挟持部17aのみが第1カメラ15及び第2カメラ16に映り込むように設定されている。
【0027】
上記構成からなる光ビーム接合装置を用いて、基板1上にはんだ付けされている電子部品2を取り外す場合について説明する。
図2は光ビーム接合装置による加熱部分を拡大して示す正面図、
図3は加熱部分を拡大して示す側面図、
図4は加熱部分を示す平面図である。尚、
図2に示すように第1光ビームB1は基板1に対して傾斜して出射される構成であるため、
図4では第1光ビームB1のスポットの形状を略卵形で示している。
【0028】
まず、図示しない主光源及び副光源を立ち上げ、第1光ビームB1及び第2光ビームB2を第1出射鏡筒11A及び第2出射鏡筒11Bから射出可能な状態に設定する。
そして、予備加熱用の第2出射鏡筒11Bから第2光ビームB2を基板1に向けて射出させる。
図4に示すように、このときの第2光ビームB2は、基板1上の特定のランド3及びこのランド3にはんだ付けされている取り外し予定の電子部品2を含む一定の範囲5を照射できるように、第2スポット径φ2を例えば10mm程度に設定した状態で射出させる。これにより、基板1上の一定の範囲5をはんだ4が溶融する手前の温度(例えば200℃)に予備加熱することができる。
同時に、主加熱用の第1出射鏡筒11Aから第1光ビームB1の第1スポット径φ1を、基板1上の第2光ビームB2の第2スポット径φ2に同心円状重ねると共に取り外し予定の電子部品2に向けて射出する。第2光ビームB2に第1スポット径φ1が重なると、同心円状の重なり部分を容易に溶融温度(例えば250℃)にすることができる
【0029】
第1光ビームB1の第1スポット径φ1の最大直径を第2光ビームB2の第2スポット径φ2よりも細く絞り、例えばφ1=0.5mm程度で射出するようにすると、取り外し予定の電子部品2の端子とランド3とを接合しているはんだ4を効率的に溶融させることができる。よって、
図2及び
図3に示すように、はんだ4の溶融後に、ツイーザー17の一対の挟持部17aで挟持している電子部品2を持ち上げることにより、取り外し予定の電子部品2を容易に取り外すことが可能となる。
【0030】
ここで主光源21及び副光源22としてハロゲンライトが使用される場合には、後述する第2及び第3実施例同様となるが、
図1(a)(b)(c)に破線で示すように、第1出射鏡筒11A及び第2出射鏡筒11Bに、第1帯域(例えば可視光から2μm未満)の波長から成る光の透過を許容する機能を備える第1バンドパスフィルタL1及びL2を夫々設けると共に、第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14に第1帯域よりも長い第2帯域の波長(例えば2μm~4μm)から成る光の透過を許容する機能を備える第2バンドパスフィルタH1及びH2を夫々設ける構成が好ましい。この構成では、第1温度出力手段13が第1光ビームB1(第1光ビームB1と第2光ビームB2との同心円状の重なり部分)による本加熱部分の温度をより高い精度で取得することが可能となり、また第2温度出力手段14が第1光ビームB1を除く第2光ビームB2による予備加熱部分の温度をより高い精度で取得することが可能となる。尚、主光源21及び副光源22としてレーザーを使用する場合には、第1バンドパスフィルタL1、L2及び第2バンドパスフィルタH1、H2を省略することが可能である。
【0031】
図1(a)(b)(c)に示すように、放射温度計(光電変換器)で構成される第1温度出力手段13、第2温度出力手段14を設ける構成としてもよい。基板1上の加熱部分のうち、第1温度出力手段13は第1スポット径φ1の内側である本加熱部分(第1スポット径φ1と第2スポット径φ2とが同心円状に重なる部分)の温度取得用であり、第2温度出力手段14は第2スポット径φ2内で且つ第1スポット径φ1を除いた予備加熱部分の温度取得用であり、これらを用いて温度を適正に管理することにより、更に電子部品2の取り外しを容易とすることが可能となる。
【0032】
また上記構成からなる光ビーム接合装置10では、電子部品2を基板1上にはんだ付けする場合にも使用可能である。電子部品2を基板1上にはんだ付けするには、例えばツイーザー17で挟持した電子部品2の端子を、はんだペーストが塗布された所定のランド3に当接させて一時的に固定した状態において、上記同様に第2スポット径φ2からなる第2光ビームB2を基板1に向けて所定のランド3を含む一定の範囲に射出して予備加熱を行うと同時に、第1光ビームB1の第1スポット径φ1で所定のランド3及び電子部品2の端子を照射する。すると、第1スポット径φ1と第2スポット径φ2とが同心円状に重なる本加熱部分が急速に加熱され、はんだペーストが溶融して電子部品2の端子とランド3との間をはんだ付けすることが可能となる。
【0033】
図5(a)は本発明の第2実施例としての光ビーム接合装置の基本原理を示す概念構成図、
図5(b)は(a)に用いる分岐バンドルの構成図、
図6は
図5の基本原理を用いた本発明の第2実施例としての光ビーム接合装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。尚、
図5(a)では、
図6(a)(b)(c)に示す第1カメラ、第2カメラ及びツイーザーを省略している。
第2実施例としての光ビーム接合装置20Aが、上記第1実施例の光ビーム接合装置10と大きく異なる点は、1個の出射鏡筒11で構成すると共に、主光源21及び副光源22と出射鏡筒11との間に分岐バンドル30Aを設けた点にあり、第1光ビームB1と第2光ビームB2を同心円状に重ねる点については上記第1実施例同様である。
【0034】
第2実施例としての光ビーム接合装置20Aは、
図5(a)及び
図6(a)(b)(c)に示すように主光源21、副光源22、出射鏡筒11、第1温度出力手段13、第2温度出力手段14、第1バンドパスフィルタL1及びL2、第2バンドパスフィルタH1及びH2、温調機26、並びに分岐バンドル30Aを有して構成されている。
図5(b)に示すように、分岐バンドル30Aは、例えば中心部に設けられた4本の光ファイバで構成された第1ファイバ束31と、第1ファイバ束31の周囲に均等に配置された複数の第2ファイバ束32を有して構成されている。分岐バンドル30Aの一端(図示右端)は、第1ファイバ束31と第2ファイバ束32が2つに分岐された分岐端30aとされており、第1ファイバ束31の分岐端30aの端面には第1バンドパスフィルタL1を介して主光源21が接続され、第2ファイバ束32の分岐端30aの端面には第1バンドパスフィルタL2を介して副光源22が接続されている。
他方、分岐バンドル30Aの他端(図示左端)は第1ファイバ束31と第2ファイバ束32とを1つに束ねた集束端30bとされており、集束端30bの端面には出射鏡筒11が接続されている。
【0035】
出射鏡筒11の近傍には放射温度計(光電変換器)で構成される第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14が設けられ、第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14の入力端には第2バンドパスフィルタH1、H2が設けられている。後述する射出光B4で加熱される部分のうち、第1温度出力手段13は第1光ビームB1(第1光ビームB1と第2光ビームB2との同心円状の重なり部分)による本加熱部分の温度を取得することが可能とされ、第2温度出力手段14は第1光ビームB1を除く第2光ビームB2による予備加熱部分の温度を取得することが可能となっている。
【0036】
更に分岐端30a側には第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14が取得した温度データを受け、主光源21及び副光源22の出力を調整して各加熱部分が適正な温度となるような温度制御を行う温調機26が設けられている。
【0037】
第1バンドパスフィルタL1、L2及び第2バンドパスフィルタH1、H2は、共に物体から放射される赤外線や可視光線の強度を取得して物体の温度を測定する第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14が、出射鏡筒11から射出される射出光B4を直接拾わないようにするためのものであり、第1バンドパスフィルタL1、L2は第1帯域(例えば可視光から2μm未満)の波長から成る光の透過を許容し、また第2バンドパスフィルタH1、H2は第1帯域よりも長い第2帯域の波長(例えば2μm~4μm)から成る光の透過を許容する機能を備えている。
【0038】
したがって、例えば、第1ファイバ束31の分岐端30aには、主光源21から射出された第1光ビームB1のうち第1帯域の波長のみが入射することができ、第2ファイバ束32の分岐端30aには、副光源22から出射された第2光ビームB2うち第1帯域の波長のみが入射できるように構成されている。
【0039】
このような第1光ビームB1及び第2光ビームB2は、分岐バンドル30Aを構成する第1ファイバ束31及び第2ファイバ束32内を夫々通って集束端30bに至る。集束端30bからは、外周側に第2ファイバ束32を通って射出される第2光ビームB2を備え、その中央部には第1ファイバ束31を通って射出される第1光ビームB1を備える状態の集約光B3として出射され、この集約光B3は出射鏡筒11において集光され、第1光ビームB1と第2光ビームB2とが中心部で同心円状に重なる射出光B4として基板1に向けて射出される。
【0040】
射出光B4の中心部は、第1光ビームB1と第2光ビームB2とが同心円状に重なることから極めて高いエネルギー密度となっており、出射鏡筒11と基板1までの焦点距離を調整し、特に第1光ビームB1の焦点を基板1上の電子部品に略一致させることにより、はんだを容易に溶融させることが可能となる。
【0041】
加熱部分から放射される光(以下、加熱光B5という)の波長は、射出光B4の波長(第1帯域の波長)と同じものもあるし、これより長い波長(第2帯域の波長)もある。
そして、第2バンドパスフィルタH1、H2は、射出光B4の第1帯域に属す波長を遮断し、射出光B4の波長よりも長い波長(第2帯域に属する波長)の加熱光B5のみを透過させることが可能である。よって、第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14は、射出光B4が除去された加熱光B5の波長を取得することが可能となるため、各加熱部分の温度を高精度に取得することができ、結果として基板1上のはんだを最適な温度で溶融させることが可能となる。
【0042】
第2実施例に示す光ビーム接合装置20Aでは、
図6(a)(b)(c)に示すように、例えば2台の第1カメラ15、第2カメラ16を駆使して出射鏡筒11から出射される射出光B4を異なる方向から監視することにより、第1実施例同様に基板1上での電子部品2の取り外し作業、及び新たな電子部品のはんだ付け作業を容易に行うことができる。また第2実施例では、はんだごてのように出射鏡筒11を手に持って使用することではんだ付けが可能となるため、はんだ付け作業における操作性を向上させることができる。また第1光ビームB1と第2光ビームB2を同心円状に重ねて射出することにより、第1光ビームB1を射出する本光源21及び第2光ビームB2射出する副光源22の位置決めを同時に行うことができる。
【0043】
図7は(a)は本発明の第3実施例としての光ビーム接合装置の基本原理を示す概念構成図、
図7(b)は(a)に用いる分岐バンドルの構成図、
図8は本発明の第3実施例としての光ビーム接合装置の概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である尚、
図7(a)では、
図8(b)(c)に示したツイーザーを省略している。
【0044】
第3実施例としての光ビーム接合装置20Bが、上記第2実施例の光ビーム接合装置20Aと大きく異なる点は、放射温度計の代わりに出力計から成る光電変換器を用いる点、及び分岐バンドル30Bの構成にあり、第1光ビームB1と第2光ビームB2とを同心円状に重ねた射出光B4を用いる点については上記第2実施例同様である。
【0045】
図7(a)及び
図8(a)(b)(c)に示すように、第3実施例としての光ビーム接合装置20Bは、主光源21、副光源22、出射鏡筒11、第1温度出力手段13、第2温度出力手段14、第1バンドパスフィルタL1及びL2、第2バンドパスフィルタH1及びH2、第1温調機26A、第2温調機26B及び分岐バンドル30Bとを有して構成されている。
【0046】
図7(b)に示すように、第3実施例に示す分岐バンドル30Bは、4本の光ファイバで構成された第1ファイバ束31と、多数の光ファイバで構成された第2ファイバ束32と、1本の光ファイバで構成される第1モニタファイバ33と、3本の光ファイバで構成される第2モニタファイバ34とを有して構成されている。分岐バンドル30Bの一端(図示右端)は、第1ファイバ束31、第2ファイバ束32、第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34が4つに分岐された分岐端30aとされ、分岐バンドル30Bの他端(図示左端)は1つに束ねた集束端30bとされている。集束端30bでは、中心に設けた第1モニタファイバ33の周囲に4本構成の第1ファイバ束31が配置され、この第1ファイバ束31の周囲に多数構成から成る第2ファイバ束32が配置されている。また第2モニタファイバ34は多数の第2ファイバ束32中に均等に配置されて構成されている。
【0047】
図7(a)に示すように、第1ファイバ束31の分岐端30aの端面は第1バンドパスフィルタL1を介して主光源21に接続され、第2ファイバ束32の分岐端30aの端面は第1バンドパスフィルタL2を介して副光源22に接続されている。また第1モニタファイバ33の分岐端30aの端面と第1温度出力手段13の入力端との間は第2バンドパスフィルタH1を介して接続され、第2モニタファイバ34の分岐端30aの端面と第2温度出力手段14の入力端との間は第2バンドパスフィルタH2を介して接続されている。他方、分岐バンドル30Bの集束端30bは出射鏡筒11に接続されている。
【0048】
第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14は、第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34を介して取得した加熱光B5から温度を示す電圧量に変換して第1温調機26A及び第2温調機26Bに夫々出力する。第1温調機26A及び第2温調機26Bでは、第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14の各出力に応じて主光源21及び副光源22の出力の調整し、各加熱部分を適正な温度とする制御を行う。
【0049】
第1バンドパスフィルタL1、L2及び第2バンドパスフィルタH1、H2は、上記第2実施例同様、第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34が出射鏡筒11からの射出光B4を直接拾わないようにするためのものである。
【0050】
主光源21及び副光源22から出射された第1光ビームB1及び第2光ビームB2は、分岐バンドル30Bの分岐端30aから第1ファイバ束31及び第2ファイバ束32内を夫々通り、集束端30bから出射鏡筒11を介して射出光B4として出射される。上記同様、射出光B4の中心部は、第1光ビームB1と第2光ビームB2とが同心円状に重なることから極めて高いエネルギー密度となることから、基板1上のはんだを容易に溶融させることが可能となっている。
【0051】
また基板上の加熱部分からは、射出光B4の第1帯域の波長と同じものもあるし、これより長い波長(第2帯域の波長)も含む加熱光B5となって放射されるが、この加熱光B5は集束端30bから第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34に入射し、これらを通って分岐端30aに出力される。
【0052】
第1ファイバ束31の中心に設けられた第1モニタファイバ33は、主として第1光ビームB1によって加熱された本加熱部分から放射される加熱光B5を取得するためのものであり、第2ファイバ束32中に配置された第2モニタファイバ34は、主として第1光ビームB1の周囲に射出される第2光ビームB2によって加熱された予備加熱部分から放射される加熱光B5を取得するためのものである。
【0053】
第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34に入射する光には、このような加熱光B5だけでなく射出光B4も含まれる。そこで、第3実施例では、第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34の分岐端30aから出射される加熱光B5及び射出光B4を第2バンドパスフィルタH1、H2に透過させて、第2帯域の波長より短い第1帯域の波長を遮断することにより、射出光B4が除去された加熱光B5のみを第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14に出射させている。
【0054】
第1温度出力手段13及び第2温度出力手段14は、各加熱光B5から温度を示す電圧量に変換したデータを第1温調機26A及び第2温調機26Bに送る。第1温調機26A及び第2温調機26Bでは各出力データに基づいて主光源21及び副光源22の出力を夫々調整し、基板1上の各加熱部分が適正な温度となるような温度制御が行われる。
このように、第3実施例においても基板1状の加熱部分の温度を高精度で制御することが可能となるため、基板1上のはんだを適正な温度で溶融することができる。
【0055】
また第3実施例に示す光ビーム接合装置においても、
図8(a)(b)(c)に示すように、例えば2台の第1カメラ15及び第2カメラ16を駆使して出射鏡筒11から出射される射出光B4(第1光ビームB1及び第2光ビームB2)を異なる方向から監視することにより、第1実施例同様に基板1上における電子部品の取り外し作業、及び新たな電子部品のはんだ付け作業を容易に行うことができる。また第3実施例においても、はんだごてのように出射鏡筒11を手に持って使用することではんだ付けが可能となるため、はんだ付け作業における操作性を向上させることができる。また第1光ビームB1と第2光ビームB2を同心円状に重ねて射出することにより、第1光ビームB1を射出する本光源21及び第2光ビームB2射出する副光源22の位置決めを同時に行うことができる。
【0056】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0057】
例えば、上記第2実施例(第3実施例も同様)では、第1バンドパスフィルタL1、L2と第2バンドパスフィルタH1、H2を使用する場合を示して説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではなく、第1ファイバ束31及び第2ファイバ束32の透過帯域と、第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34の透過帯域を切り分けることが可能な場合には、第1バンドパスフィルタL1、L2又は第2バンドパスフィルタH1、H2を不要とすることができる。
例えば、第1ファイバ束31及び第2ファイバ束32として可視光~2μmの範囲にある第1帯域の波長の光に対して高い透過率を発揮することが可能な石英ガラスを含む光ファイバを採用する場合には、第1バンドパスフィルタL1、L2を不要とすることが可能である。
【0058】
また第3実施例では、第1モニタファイバ33及び第2モニタファイバ34として、2~4μmの範囲にある第2帯域の波長の光に対して高い透過率を発揮することが可能な光ファイバ(例えばカルコゲナイドファイバ、フッ化物ファイバなど)を採用する場合には、第2バンドパスフィルタH1、H2を不要とすることが可能である。
【0059】
また上記においては、第1温度出力手段及び第2温度出力手段として放射温度計又は出力計から成る光電変換器を示して説明したが、これらはバンドパスフィルタを通すことによるロスにより直読が困難な場合がある。しかし光電変換器(放射温度計または出力計)から得られる電圧量と、実際に測定した温度との相関関係を別途実験で求めておき、その結果から温度を高い精度で算出することが可能である。
【0060】
また上記実施例では、主光源及び副光源として共にハロゲンライトを使用した場合を示して説明したが、いずれか一方又は双方をレーザーとすることも可能である。特に、いずれかの光源にレーザーを用いた場合で第2バンドパスフィルタよりレーザーの波長が短い場合には、いずれかの第1バンドパスフィルタを不要とすることができる。
【0061】
また上記実施例では、光ビームを用いた接合装置として、はんだ付けを行う装置を示して説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0062】
また上記実施例では、光ビーム接合装置を搭載する装置として、電子部品の端子と基板上のランドとの間を接続しているはんだを溶融して電子部品を取り外し、また新たな電子部品をはんだ付けするリワーク装置を例示して説明したが、光ビーム接合装置を搭載する装置はリワーク装置に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、光ビームを用いた接合装置の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 : 基板
2 : 電子部品
3 : ランド
4 : はんだ
10 : 光ビーム接合装置
11 : 出射鏡筒
11A : 第1出射鏡筒
11B : 第2出射鏡筒
13 : 第1温度出力手段
14 : 第2温度出力手段
15 : 第1カメラ
16 : 第2カメラ
17 : ツイーザー
17a: 挟持部
17b: 基部
20A、20B : 光ビーム接合装置
21 : 主光源
22 : 副光源
26 : 温調機
26A : 第1温調機
26B : 第2温調機
30A、30B : 分岐バンドル
30a: 分岐端
30b: 集束端
31 : 第1ファイバ束
32 : 第2ファイバ束
33 : 第1モニタファイバ
34 : 第2モニタファイバ
B1 : 第1光ビーム
B2 : 第2光ビーム
B3 : 集約光
B4 : 射出光
B5 : 加熱光
L1、L2 : 第1バンドパスフィルタ
H1、H2 : 第2バンドパスフィルタ
φ1 : 第1スポット径
φ2 : 第2スポット径