(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110846
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】睫毛用化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20220722BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220722BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20220722BHJP
A61Q 5/06 20060101ALN20220722BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q1/00
A61Q1/10
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006514
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】390003001
【氏名又は名称】川研ファインケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 愛美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雄一
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AB232
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC172
4C083AC262
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD152
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD352
4C083CC14
4C083CC34
4C083DD27
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】睫毛に睫毛用化粧料を塗布した直後のカール効果が高く、しかも洗浄後までもカール効果が持続し、カールの復元性に優れ、かつ、W/O乳化型やO/W乳化型などの乳化タイプ、水性タイプなど、どのようなタイプの睫毛用化粧料でも、カール効果、カール効果の持続性、カールの復元性が高い睫毛用化粧料を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示されるサクシノイルアルギニンまたは、その塩0.05~2.0重量%を含有する睫毛用化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるサクシノイルアルギニンまたは、その塩 0.05~2.0重量%を含有する睫毛用化粧料。
【化1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫毛に睫毛用化粧料を塗布した直後のカール効果が高く、しかも洗浄後までもカール効果が持続し、カールの復元性に優れ、かつ、W/O乳化型やO/W乳化型などの乳化タイプ、水性タイプなど、どのようなタイプの睫毛用化粧料でも、カール効果、カール効果の持続性、カールの復元性が高い睫毛用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラに代表される睫毛用化粧料は、睫毛を上にカールすることや、睫毛を太く、且つ長くみせることで目元をはっきりさせるといった化粧効果を有している。従来、これらの睫毛用化粧料として、W/O乳化型やO/W乳化型の乳化タイプ、水性タイプなど、種々な剤型のものが知られている。一方で、W/O乳化型はカール効果の持続性は高いが、化粧を落とすために専用のリムーバーを使用する場合があった。O/W乳化型、水性タイプは容易に除去することができるが、カールの持続性が劣る場合があった。
特許文献1では、水性タイプにデキストリン脂肪酸エステルを加える事により、できるだけ持続性を高めている。特許文献2では、乳化タイプに特定のHLBを持つ非イオン界面活性剤を添加する事で、持続性を維持したまま、容易に除去できる事が提案されている。しかしながら、いずれのタイプでも、マスカラを落とした後はカールが持続しない場合があり、あまりカールされていない、もとの睫毛の状態に戻ってしまう場合があった。従って、毎日、睫毛をカールさせる手間が必要な場合があった。特許文献3では、睫毛のカールを維持するため、特定のアミノ酸を配合し、マスカラ除去後のカールの持続性を高めている。しかしながら、乳化タイプの特定の組成しか効果が認められない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-79211号公報
【特許文献2】特開2017-124999号公報
【特許文献3】特開2012-236784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような問題を解決するために、本発明は、睫毛に睫毛用化粧料を塗布した直後のカール効果が高く、しかも洗浄後までもカール効果が持続し、カールの復元性に優れ、かつ、W/O乳化型やO/W乳化型などの乳化タイプ、水性タイプなど、どのようなタイプの睫毛用化粧料でも、カール効果、カール効果の持続性、カールの復元性が高い睫毛用化粧料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するアルギニン誘導体を含む睫毛用化粧料にて、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、以下のとおりである。
一般式(1)で示されるサクシノイルアルギニンまたは、その塩 0.05~2.0重量%を含有する睫毛用化粧料である。
【化1】
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の構造を有するアルギニン誘導体を含有することにより、睫毛に睫毛用化粧料を塗布した直後のカール効果が高く、しかも洗浄後までもカール効果が持続し、カールの復元性に優れ、かつ、W/O乳化型やO/W乳化型などの乳化タイプ、水性タイプなど、どのようなタイプの睫毛用化粧料でも、カール効果、カール効果の持続性、カールの復元性が高い睫毛用化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
サクシノイルアルギニンまたは、その塩は、一般式(1)で示される。
【化2】
サクシノイルアルギニンは単体で用いてもよく、塩として用いてもよいが、塩としてはカリウム原子、カルシウム原子、ナトリウム原子、マグネシウム原子などを有する金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類を用いることが出来、色相安定性と低い刺激性の観点から、金属塩としてはナトリウム原子を有する塩、アルカノールアミン塩としてはトリエタノールアミン塩が好ましい。サクシノイルアルギニンは、例えば、アルギニンと無水コハク酸を反応させることで得られる。サクシノイルアルギニンNaの入手可能な市販品として、川研ファインケミカル社製のカワテクト(登録商標)SASが挙げられる。
【0009】
サクシノイルアルギニンまたは、その塩は、睫毛用化粧料中に0.05~2.0重量%配合することにより本発明の効果が発現する。より好ましくは0.1~1.0重量%の配合である。0.05重量%を下回ると、本発明のカール効果が十分に得られない場合があり、2.0重量%を超えた場合、睫毛のべとつきが強くなり、使用感が悪くなる場合がある。
【0010】
本発明の睫毛用化粧料において、水は、水性睫毛用化粧料の場合、全組成中に43~99重量%、更に70~99重量%含有するのが好ましい。また、W/O乳化型睫毛用化粧料の場合は、全組成中に2~40重量%含有するのが好ましく、3~25重量%、更に4~15重量%含有するのがより好ましい。O/W乳化型睫毛用化粧料の場合は、全組成中に30~85重量%含有するのが好ましく、40~75重量%、更に45~65重量%含有するのがより好ましい。
【0011】
本発明の睫毛用化粧料は、更に、化粧料に通常用いられるワックス(固体脂)を含有することができ、より高いカール効果を得ることができる。ワックスとは、融点が40℃以上で水に不溶なものをいう。融点が60~110℃のものが好ましく、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。具体的には、ミツロウ、コメヌカロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウ、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、水添ホホバ油等が挙げられる。これらのうち、W/O乳化型睫毛用化粧料の場合には、水添ホホバ油が好ましく、O/W乳化型睫毛用化粧料の場合には、高融点マイクロクリスタリンワックス(融点 83~100℃)が好ましい。高融点マイクロクリスタリンワックスとしては、日本精鑞社のHNP-0190(融点 87~93℃)を用いることができる。ワックスは、1種以上を用いることができ、全組成中に2~30重量%含有するのが好ましく、5~25重量%、更に8~20重量%含有するのが、カール効果がより高くなるので、より好ましい。
【0012】
また、本発明の睫毛用化粧料は、睫毛をカールアップし、それを保持するため、化粧料に通常用いられる増粘剤を、油相中に含有することができる。増粘剤としては、例えば、ジステアルジモニウムヘクトライト、ジステアルジモニウムベントナイト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。これらは予めエタノール、炭酸プロピレン等の極性添加剤及び溶剤を加えて分散したプレミックスゲルとして用いることで、その後の作業性がより向上する。有機変性粘土鉱物は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.05~20重量%、更に0.3~15重量%含有するのが、十分な増粘効果が得られ、仕上がり及び保存安定性も良好であり、好ましい。また、増粘剤としては、パルミチン酸デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル等を用いることもできる。デキストリン脂肪酸エステルには、ワックスの結晶化抑制効果もある。入手可能な市販品としては、千葉製粉社製のレオパール(登録商標)KL2等を使用することができる。デキストリン脂肪酸エステルは、1種以上を用いることができ、全組成中に0.05~20重量%、更に0.3~10重量%含有するのが、増粘効果、ワックスの結晶化抑制効果の点で好ましい。
【0013】
本発明の睫毛用化粧料は、O/W乳化型睫毛用化粧料、W/O乳化型睫毛用化粧料とすることができ、乳化のために、種々の界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、乳化を安定的に行えるものであれば制限されず、シリコーン系界面活性剤、非イオン界面活性剤等を用いることができる。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチコーンポリオール、アルキルジメチコーンポリオール、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。具体的には、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSH-3775M等を使用することができる。また、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリンエステル、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。W/O乳化型睫毛用化粧料の場合にはHLB 4~9程度のものが、O/W乳化型睫毛用化粧料の場合にはHLB 11~16程度のものが好ましい。ここで用いられる界面活性剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1~10重量%含有するのが好ましい。
【0014】
本発明の睫毛用化粧料における水相は、水の他に、炭素数1~4の低級アルコール等の水性溶剤を含むことができ、皮膜剤、無機塩、その他種々の添加剤を含有することができる。皮膜剤としては、水溶性高分子、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、デンプン等が挙げられる。更に、化粧持ちやカールアップ効果をより向上させる目的で、乾燥の速い皮膜形成ポリマーエマルジョンを含有することができる。かかる皮膜形成ポリマーエマルジョンとしては、アクリル酸やメタクリル酸のアルキルエステルのホモポリマーエマルジョンや共重合体エマルジョン、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルポリマーエマルジョン、酢酸ビニル・アクリル酸アルキルエマルジョン、シリコーン系ポリマーエマルジョン等が挙げられ、更に、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンが好ましい。
【0015】
本発明の睫毛用化粧料においては、乾燥速度の点から揮発性油剤を含有することが好ましい。揮発性油剤とは、沸点が常圧で300℃以下の油剤を示し、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油が好ましい。具体的には、イソドデカン、水添ポリイソブテン等の揮発性炭化水素油、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーン油が挙げられる。これらのうち、イソドデカン、炭素数8~16を中心とする飽和イソパラフィン系炭化水素油(水添ポリイソブテン)が好ましい。市販品としては、丸善石油化学社製のマルカゾールR、出光興産社製のIPソルベント(登録商標)1620、同2028等を使用することができる。揮発性油剤の含有量は、特に制限されないが、全組成中に1~90重量%、更に10~70重量%であるのが好ましい。
【0016】
本発明の睫毛用化粧料は、更に化粧料に通常用いられる不揮発性の液状油を含有することができる。かかる不揮発性の液状油としては、例えば、流動イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素油、イソステアリン酸等の分岐脂肪酸、セチルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソナノン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ホホバ油、ひまし油、マカデミアンナッツオイル、オリーブ油、菜種油、椿油、大豆油、綿実油、ひまわり油等のエステル油などが挙げられる。不揮発性の液状油は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1~20重量%、更に0.5~15重量%含有するのが、クレンジング性及び塗布時の仕上がりの点から好ましい。
【0017】
また、無機塩として、硫酸マグネシウムを含有することが、高温保存安定性向上、及び塗布時のダマ抑制の点から好ましい。硫酸マグネシウムは、全組成中に0.001~7重量%、更に0.05~3重量%含有するのが好ましい。
【0018】
本発明の睫毛用化粧料は、前記成分以外に、化粧料に通常用いられる成分、例えばPMMA、ナイロンパウダー、シリカ等の球状粉体、白色顔料、有機顔料、無機顔料、酸化鉄、雲母チタン等の顔料粉体、ベントナイト、タルク、カオリン等の粉体や、ロングラッシュ効果を高めるため、繊維を含有することができる。これら粉体は、シリコーン、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アミノ酸、アルキルシラン、アクリルシリコーン、フッ素化合物等により表面処理したもの、あるいは有機又は無機マイクロカプセル中に内包したものを用いることができる。各種粉体を油相に含有させる際には、分散性及び高温保存安定性を向上させるため、粉体の表面を、アルキルシラン処理、シリコーン処理等の疎水化処理するのが好ましい。
本発明の睫毛用化粧料は、このほか、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、色素、香料、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤等を含有することができる。
【0019】
本発明の睫毛用化粧料が乳化組成物の場合は、油相中の固形分濃度は、10~70重量%、更に30~60重量%であるのが、皮膜強度が十分に発現され、またボリューム感に優れ、保存安定性及び仕上がりも良好であり好ましい。なお、本発明において、固形分とは、単独の状態で、25℃にて固体または半固体である成分であり、ワックスの他、油相中に分散されている皮膜剤、増粘剤、粉体、顔料、繊維、防腐剤等が含まれる。
【0020】
本発明の睫毛用化粧料は、通常の方法に従い、各成分を均一に混合し、攪拌することにより製造することができる。本発明の睫毛用化粧料は、25℃においてpH 3~8、更にpH 3~6であるのが好ましい。本発明の睫毛用化粧料は、マスカラに通常用いられる繊維を針金でねじったブラシや、コーム形状、コイル形状等の塗布具、樹脂を用いてブラシ形状に成形した樹脂成形ブラシなどの塗布具を用いて睫毛に塗布することができる。本発明の睫毛用化粧料は、睫毛美容液、マスカラ下地、マスカラベースコート、マスカラ、マスカラトップコートなどの睫毛用化粧料として使用することができる。
【0021】
本発明の睫毛用化粧料は、睫毛に塗布するのみでカール効果が得られるが、塗布前又は塗布後、ビューラーやホットビューラー等の睫毛カール器を用いて睫毛をカールすることにより、高いカール効果を得ることができる。また、本発明の睫毛用化粧料を睫毛に塗布した後、更にワックスを含有する睫毛用化粧料を塗布すれば、より高いカール効果が得られる。いずれの場合にも、本発明の睫毛用化粧料を塗布して得られたカール効果は、洗浄により睫毛用化粧料を除去した後までも持続し、くり返し使用することにより、その持続効果も高くなる。
【実施例0022】
本発明の睫毛用化粧料の効果に関して、以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。実施例において、特に断りのない限り、使用成分は富士フィルム和光純薬社より購入したものを使用した。
【0023】
表1~3に示す組成の睫毛用化粧料を常法に準じて調製し、実施例1~6および、比較例1~6に記載する睫毛用化粧料を得た。組成における数値は、純分の重量%を示す。得られた睫毛用化粧料について、下記評価を行った。その結果を表1~3に示す。
【0024】
評価方法
(1)洗浄後のカールの復元性(毛髪試験)
人毛(ビューラックス株式会社、毛髪ストランド5 黒髪100%根元揃え)をマスカラブラシが通る少量とり、長さを15cmにした。この未処理毛髪(ブランク)の毛束中心部を、純曲げ試験機(カトーテック株式会社、KESFB2-S型)にたるみが無いように取り付け、曲げ特性(硬さや回復力)を測定した。測定は5回行った。そして、この毛髪にマスカラブラシ(外径5.5mm、ナイロン(4ミル)、シゴキ径3.4mm)を用いて、睫毛用化粧料を10回塗布し、室温20℃、湿度60%の恒温恒湿室で8時間乾燥させた。この毛髪を市販のオイルクレンジング剤で洗浄したのち、ぬるま湯で洗浄した。洗浄後の毛髪を、室温20℃、湿度60%の恒温恒湿室で12時間乾燥後、上記と同じ条件で曲げ特性を計測した。
コシ変化率の計算方法:
曲率(X)-2.0~+2.0cm-1の範囲を、0.5cm-1・s-1の変化速度で往復させたときの曲げ応力(Y)を計測し、得られた曲げ応力-曲率曲線でのX:0.5~1.0cm-1、及び-0.5~-1.0cm-1間における曲線の傾きから曲げ特性を計測した。ここでは、原点からX:±2.0cm-1までの曲げ運動を“押し”、X:±2.0cm-1を起点とし、原点までの曲げ運動を“戻し”とする。
また、コシをカールの復元性の指標とし、コシが向上すれば睫毛用化粧料塗布~睫毛用化粧料除去後において睫毛のカール復元性が向上したことを示す。睫毛用化粧料塗布前あるいは塗布後の押し/戻し時の曲線の傾きの平均値(n=5)をそれぞれ用いて、式(1)からコシ変化率を算出した。ただし、式(1)において、αを未処理時の押し、βを処理後の押し、γを未処理時の戻し、ηを処理後の戻し、それぞれの値は曲線の傾きの平均値とする。
コシの評価方法について、まず、式(1)によってブランクに対する睫毛用化粧料処理後のコシの変化率(σ/%)を算出した。その後、標準品に対する評価用睫毛用化粧料処理後のコシ変化率の比を算出し、この値が1より高ければ、コシがアップ、すなわちカールの復元性が向上することを示す。数値が高いほど、カールの復元性が高いことを示す。
式(1) σ[%]={(η/β)÷(γ/α)}×100
【0025】
(2)塗布直後のカール効果(使用評価)
睫毛用化粧料を睫毛に30回塗布し、カール効果を評価した。評価は専門パネラーの女性10名で行い、塗布した女性が自分の睫毛のカール効果を評価した。
◎◎:10名中9名以上が、塗布後のカール効果が高いと評価した。
◎:10名中6~8名が、塗布後のカール効果が高いと評価した。
○:10名中3~5名が、塗布後のカール効果が高いと評価した。
×:10名中2名以下が、塗布後のカール効果が高いと評価した。
【0026】
(3)洗浄後のカールの持続性(使用評価)
睫毛用化粧料を睫毛に30回塗布し、8時間後に洗浄し、カール効果を評価した。評価は専門パネラーの女性10名で行い、塗布した女性が自分の睫毛のカール効果を評価した。
◎◎:10名中9名以上が、洗浄後のカール効果が高いと評価した。
◎:10名中6~8名が、洗浄後のカール効果が高いと評価した。
○:10名中3~5名が、洗浄後のカール効果が高いと評価した。
×:10名中2名以下が、洗浄後のカール効果が高いと評価した。
【0027】
水性睫毛用化粧料
【表1】
※1:川研ファインケミカル カワテクトSAS 30重量%水溶液、※2:ダイセル化学工業 HECダイセル(登録商標)SE850
【0028】
W/O乳化型睫毛用化粧料
【表2】
※3:日本ワックス ミツロウFP、※4:CIT,Sarl Creasil(登録商標)ID CG、※5:千葉製粉 レオパールKL2、※6:旭化成ワッカーシリコーン BELSIL(登録商標)TMS 803、※7:日本エマルジョン エマレックス(登録商標)RWIS-320EX、※8:高級アルコール工業 イソステアリン酸EX、※9:信越化学工業 KTP-09B
【0029】
O/W乳化型睫毛用化粧料
【表3】
※10:加藤洋行 アラビアガムHP-SPRAY、※11:日油 ユニオックス(登録商標)GT-20IS、※12:日本エマルジョン エマレックスTISG-2、※13:高級アルコール工業 セタノール
【0030】
結果
本発明の睫毛用化粧料の範囲内で調製された実施例1~6は、睫毛に塗布した直後のカール効果が高く、洗浄後もカール効果が持続し、カールの復元性に優れた。
一方で、サクシノイルアルギニンまたは、その塩が未配合、または範囲未満の比較例1~6では、睫毛に塗布した直後のカール効果が低く、洗浄後はカール効果が持続せず、カールの復元性が劣った。
本発明の睫毛用化粧料は、睫毛に塗布した直後のカール効果が高く、しかも洗浄後までもカール効果が持続し、カールの復元性に優れるため、睫毛美容液、マスカラ下地、マスカラベースコート、マスカラ、マスカラトップコートなどの睫毛用化粧料の商品価値を高めることができる。