(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022110847
(43)【公開日】2022-07-29
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
B66B1/46 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021006515
(22)【出願日】2021-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207826
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 誠治
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐紀
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502JA04
3F502KA01
3F502KA50
3F502MA01
3F502MA02
3F502MA11
3F502MA12
3F502MA25
3F502MA29
3F502MA31
3F502MA37
3F502MA48
(57)【要約】
【課題】 遮光が継続されやすく、円滑な登録をすることができるエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータは、エレベータの登録操作を非接触で検出する複数の距離検出部を有する操作盤と、距離検出部から、第1距離以下で遮光を検出したことを判定する、第1距離判定部と、距離検出部から、第1距離より大きい第2距離以下で遮光を検出したことを判定する、第2距離判定部と、第1距離判定部が遮光を判定すると距離検出部に対応する操作を仮登録状態とし、第2距離判定部の判定が解除されると仮登録状態を解除し、仮登録状態が所定時間継続すると当該操作を登録する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの登録操作を非接触で検出する複数の距離検出部を有する操作盤と、
前記距離検出部から、第1距離以下で遮光を検出したことを判定する、第1距離判定部と、
前記距離検出部から、前記第1距離より大きい第2距離以下で遮光を検出したことを判定する、第2距離判定部と、
前記第1距離判定部が遮光を判定すると前記距離検出部に対応する操作を仮登録状態とし、前記第2距離判定部の判定が解除されると前記仮登録状態を解除し、前記仮登録状態が所定時間継続すると当該操作を登録する制御部と、を備える、
ことを特徴とする、エレベータ。
【請求項2】
当該操作が登録されている場合と、当該操作が仮登録されている場合とで、異なる報知をする報知部と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記報知部は、前記仮登録状態において、前記第1距離判定部が遮光を判定している場合と、前記第1距離判定部が遮光と判定せず、且つ前記第2距離判定部が遮光を判定している場合とで、異なる報知をする、
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記制御部は、前記仮登録状態において、前記距離検出部に隣接する隣接検出部が所定状態を検出した場合には、前記仮登録状態を解除する、
ことを特徴とする、請求項1乃至3に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記所定状態は、前記隣接検出部から前記第1距離以下で遮光した状態である、
ことを特徴とする、請求項4に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記距離検出部は、距離センサである、
ことを特徴とする、請求項1乃至5に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記距離検出部は、前記第1距離以下で遮光したことを検出する第1光電センサと、前記第2距離以下で遮光したことを検出する第2光電センサで構成される、
ことを特徴とする、請求項1乃至5に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに関し、特に、非接触式操作盤を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、非接触式操作盤を備えたエレベータは、利用者が手で閾値時間以上、継続してセンサを遮光することにより、操作を登録する(例えば、特許文献1)。ところで、特許文献1のようなエレベータは、誤登録を防ぐため、センサの検出範囲が操作盤付近に限られることから、センサの遮光を継続するためには、限られた範囲で継続して手の位置を固定しておく必要があり、意図せず遮光の継続が絶たれた場合には、再度のセンサの遮光をしなければならない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、遮光が継続されやすく、円滑な登録をすることができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータは、エレベータの登録操作を非接触で検出する複数の距離検出部を有する操作盤と、前記距離検出部から、第1距離以下で遮光を検出したことを判定する、第1距離判定部と、前記距離検出部から、前記第1距離より大きい第2距離以下で遮光を検出したことを判定する、第2距離判定部と、前記第1距離判定部が遮光を判定すると前記距離検出部に対応する操作を仮登録状態とし、前記第2距離判定部の判定が解除されると前記仮登録状態を解除し、前記仮登録状態が所定時間継続すると当該操作を登録する制御部と、を備える。
【0006】
また、エレベータは、当該操作が登録されている場合と、当該操作が仮登録されている場合とで、異なる報知をする報知部と、を備える、という構成でもよい。
【0007】
また、エレベータは、前記報知部は、前記仮登録状態において、前記第1距離判定部が遮光を判定している場合と、前記第1距離判定部が遮光と判定せず、且つ前記第2距離判定部が遮光を判定している場合とで、異なる報知をする、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータは、前記制御部は、前記仮登録状態において、前記距離検出部に隣接する隣接検出部が所定状態を検出した場合には、前記仮登録状態を解除する、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータは、前記所定状態は、前記隣接検出部から前記第1距離以下で遮光した状態である、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータは、前記距離検出部は、距離センサである、という構成でもよい。
【0011】
また、エレベータは、前記距離検出部は、前記第1距離以下で遮光したことを検出する第1光電センサと、前記第2距離以下で遮光したことを検出する第2光電センサで構成される、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態であるエレベータの全体構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態であるエレベータのかご内の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される操作盤の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される制御ブロック図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す距離検出部と同距離検出部の検出距離の位置関係を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態であるエレベータの登録制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ10について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は駆動シーブ18の軸方向と直交する水平方向Xを示し、「Y」は上下方向Yを示し、「Z」は水平方向X,および上下方向Yに各々直交する水平方向Zを示すものとする。
【0014】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態であるエレベータの全体構成図である。
【0015】
図1に示すように、エレベータ10は、昇降路12の最上部に機械室14を有するトラクション式エレベータであって、例えば、病院や介護施設など公共の建物に設置される。機械室14に設置された巻上機16の駆動シーブ18には、主ロープ20が掛けられており、この主ロープ20の一端部にかご22が連結され、他端部にカウンターウェイト24が連結されている。
【0016】
巻上機16のモータ(不図示)からの回転動力が、動力伝達機構(不図示)を介して駆動シーブ18に伝達され、駆動シーブ18が回転駆動されるとこれに伴って主ロープ20が走行し、主ロープ20に吊り下げられたかご22が、ガイドレール(不図示)に案内されて昇降路を上下方向Yに移動する。
【0017】
エレベータ10が設置された建物には、異なる階毎に乗場26A,26B,26C(以下、特に区別する必要が無い場合は適宜「乗場26」と表記)が設けられており、エレベータ10の運転中、かご22は、現在、着床している階の乗場(
図1では、乗場26C)から、次の行先階の乗場(例えば、乗場26A)までの昇降移動を繰り返す。
【0018】
制御装置46は、機械室14に設置され、エレベータ10の各部を制御する。
【0019】
なお、本実施形態に係るエレベータ10は、巻上機16及び制御装置46は、機械室14に設置される、という構成であるが、このような構成に限られない。例えば、エレベータ10は、巻上機16及び制御装置46が昇降路12に設置される、という構成でもよい。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態であるエレベータのかご内の構成を示す斜視図である。
【0021】
図2に2点鎖線で示す位置、すなわち、かご22のかご扉22Aが設置された乗降口27に隣接する袖壁22-1に操作盤28が設けられている。エレベータ10を利用する乗客が、操作盤28を操作することにより、かご22の行先階が決定される。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される操作盤の構成を示す図である。
【0023】
図3に示すように、操作盤28は、かご22の行先階を決定する入力操作を行う機能を有する行先階操作部30が中央部に設けられている。行先階操作部30は、複数の距離検出部32A,32B,32C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は距離検出部「32」と表記)が上下方向Yに沿って配置される。距離検出部32は乗場26を行先階として(呼び)登録するための入力操作を行う機能を有する。
【0024】
また、操作盤28には、非接触による操作を受けつけたことを利用者に報知する報知部33A,33B,33C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は報知部「33」と表記)を有する。より具体的には、
図3に示すように、報知部33A,33B,33C,…は、行先階を示す数字の形をした透光部とL字状の透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。距離検出部32が手をかざす動作などの操作を検出することにより、後述する登録制御に応じて、報知部33が点灯又は点滅するように構成される。
【0025】
距離検出部32には矩形状の孔が設けられ、各孔の奥側に距離センサがそれぞれ格納される。また、各矩形孔は、透光性を有する保護プレート36A,36B,36C,…(以下、特に区別する必要が無い場合は保護プレート「36」と表記)によって各々覆われている。
【0026】
距離検出部32は、距離センサであって、利用者の手により遮光されたことを検出した際、距離センサから手までの水平方向Xの距離を示す距離信号を出力する。距離センサとして、例えば、レーザーセンサ、超音波センサなどを用いることができる。
【0027】
行先階操作部30の下部には、かご扉22Aの開閉操作を行う開釦41と閉釦42が並設されている。また、行先階操作部30の上部には、外部との連絡を行うための連絡釦43が設けられている。なお、これらの各釦41~43は、何れも、従来公知の押釦であるが、距離検出部32と同様の構成を採用することとしても構わない。
【0028】
操作盤28は、さらに、表示部44を有する。表示部44は、例えば、液晶ディスプレイからなり、例えば、かご22の移動方向やかご22の通過階、その他乗客に報知する情報を表示する。表示部44は、行先階操作部30よりもさらに上方の乗客から見やすい位置に設けられている。かご操作盤28には、また、音声を出力するスピーカー(不図示)が内蔵されている。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態であるエレベータに適用される制御ブロック図である。
【0030】
制御装置46は、エレベータ10の運転制御全般を統括して行うコンピュータであり、CPUなどの制御部46aと、メモリ、HDDなどの記憶部46bを備える。記憶部46bには、例えば、巻上機16の駆動制御、かごドア(不図示)の開閉制御などを行うための各種制御プログラムが格納されている。制御部46aが、これらのプログラムを読み出して実行することにより、制御装置46によるエレベータ10の円滑な運転が実現される。
【0031】
上記構成を有するエレベータ10では、後述する登録制御も制御装置46によって行われる。制御装置46の記憶部46bには、登録制御プログラムが格納されており、制御部46aが当該制御プログラムを読み出し、後述する登録制御をし、操作(例えば、行先階を登録する操作)を記憶部46bに登録する。
【0032】
操作盤28は、制御装置46と電気的に接続されている。操作盤28は、距離検出部32と、信号処理部31と、報知部33を備える。ここで、距離検出部32と、報知部33は、
図3に示すように、登録可能な行先階に対応して、複数備える。
【0033】
信号処理部31は、距離検出部32と電気的に接続されている。信号処理部31は、距離検出部32からの距離信号の処理を行うコンピュータであり、CPUやメモリ、HDDなどの記憶デバイスを備える。記憶デバイスには、距離信号の処理を行うための制御プログラムが格納されており。CPUは、このプログラムを読み出して実行する。
【0034】
信号処理部31は、第1距離判定部31aと、第2距離判定部31bを備え、第1距離判定部31aと第2距離判定部31bの判定信号を出力する。ここで、第1距離判定部31aと第2距離判定部31bは、一の距離検出部32に対応して、一組備える。
【0035】
第1距離判定部31aは、距離検出部32からの距離信号を取得し、距離検出部32から、第1距離L1以下で遮光を検出したか否かを判定する。また、第2距離判定部31bは、距離検出部32からの距離信号を取得し、距離検出部32から、第1距離L1よりも大きい第2距離L2以下で遮光を検出したか否かを判定する。
【0036】
具体的に、
図5を参照しながら説明する。
図5は、距離検出部と同距離検出部の検出距離の位置関係を示す模式図である。
【0037】
図5では、距離検出部32および検出領域P1,P2以外の構成については適宜省略して示している。また、
図5では、ハッチングを付した領域を検出領域P1、破線で囲われた領域を検出領域P2として図示している。
【0038】
図5に示すように、検出領域P1は、距離検出部32から水平方向Xに第1距離L1だけ離れた位置まで、検出領域P2は、距離検出部32から水平方向Xに第2距離L2だけ離れた位置までを含む空間領域に設定される。ここで、第2距離L2は、第1距離L1より大きく設定される。
【0039】
本実施形態においては、検出領域P1は、検出領域P2に含まれる、という構成である。本実施形態の構成によれば、第1距離判定部31aが遮光と判定した場合には、第2距離判定部31bも遮光と判定することとなる。
【0040】
第1距離L1としては、3cm≦L1≦5cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、検出領域P1が操作盤28付近に限られるため、操作盤28付近が混雑しているときなどに利用者の身体の一部や持ち物などを距離検出部32が誤検知し難くできる。この結果、操作盤28付近が混雑しているときなどに利用者の身体の一部や持ち物などが距離検出部32に近接し操作が誤って登録されるのを抑制できる。
【0041】
また、第2距離L2としては、10cm≦L2≦20cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、第1距離L1から手が離れてしまっても、後述する登録制御により、距離検出部32から第2距離L2以内であれば遮光が継続され、円滑な登録をすることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係るエレベータ10は、操作盤28は、信号処理部31を備える、という構成であるが、このような構成に限られない。例えば、エレベータ10は、制御装置46は、信号処理部31を備える、という構成でもよい。また、例えば、エレベータ10は、制御部46aは、第1距離判定部31aと、第2距離判定部31bを備える、という構成でもよい。
【0043】
図4に戻り、報知部33は、制御部46aからの指令に基づいて、点灯又は点滅する。
【0044】
図3に示すように、上記検出領域P1,P2に利用者が手Uをかざすなどの所定操作を行うことで、後述する登録制御により、行先階を登録するための操作が登録される。そして、登録制御の段階に応じて、報知部33が点灯又は点滅する。これにより、利用者に操作の登録状態を報知できる。なお、
図3では、報知部33にハッチングを付して点灯状態を模式的に示している。
【0045】
2.動作
図6は、本発明の一実施形態であるエレベータの登録制御を示すフロー図である。以下、エレベータ10における登録制御について、
図6を参照しながら説明する。
【0046】
図6に示すように、第1距離判定部31aは、距離検出部32からの距離信号を取得し、遮光が第1距離L1以下で検出されているか否かを判定する(ステップS1)。第1距離L1以下で遮光が検出されない場合(ステップS1でNO)は、ステップS1を繰り返す。第1距離L1以下で遮光が検出された場合(ステップS1でYES)は、ステップS2へ進む。
【0047】
制御部46aは、遮光が第1距離L1以下で検出されている情報を取得し、距離検出部32に対応する操作を仮登録状態とする(ステップS2)。この際、制御部46aは、報知部33の報知状態を、第1報知状態に変更し、ステップS3へ進む。第1報知状態とは、例えば、報知部33が点滅する状態である。
【0048】
次に、第1距離判定部31aは、距離検出部32からの距離信号を取得し、遮光が第1距離L1以下で検出されているか否かを判定する(ステップS3)。第1距離L1以下で遮光が検出された場合(ステップS3でYES)は、報知部33の報知状態を、第1報知状態に継続又は変更し(ステップS4)、ステップS8へ進む。第1距離L1以下で遮光が検出されない場合(ステップS3でNO)は、ステップS5へ進む。
【0049】
第2距離判定部31bは、距離検出部32からの距離信号を取得し、遮光が第2距離L2以下で検出されているか否かを判定する(ステップS5)。第2距離L2以下で遮光が検出されない場合(ステップS5でNO)は、仮登録状態を解除し、報知部33の報知状態を、無検出報知状態に変更する(ステップS6)。無検出報知状態とは、例えば、報知部33が消灯する状態である。第2距離L2以下で遮光が検出された場合(ステップS5でYES)は、報知部33の報知状態を、第2報知状態に継続又は変更し(ステップS7)、ステップS8へ進む。第2報知状態とは、第1報知状態とは異なる状態であって、例えば、報知部33が第1報知状態の点滅周期より早い周期で点滅する状態である。
【0050】
さらに、仮登録状態にある距離検出部32と隣接する距離検出部32(隣接検出部)について、遮光が第1距離L1以下で検出されているか否かを判定する(ステップS8)。換言すると、隣接検出部32に対応する第1距離判定部31aは、隣接検出部32からの距離信号を取得し、遮光が第1距離L1以下で検出されているか否かを判定する。隣接検出部32について第1距離L1以下で遮光が検出された場合(ステップS8でYES)は、仮登録状態を解除し、報知部33の報知状態を、無検出報知状態に変更する(ステップS6)。隣接検出部32について第1距離L1以下で遮光が検出されない場合(ステップS8でNO)は、ステップS9へ進む。
【0051】
ここで、「隣接検出部」について、具体的に、
図3を参照しながら説明する。例えば仮登録状態にある操作が2階を行先階として登録する操作である場合、対応する距離検出部32Bについて、「隣接検出部」とは、距離検出部32Bと上下方向Yに隣接する、距離検出部32A又は距離検出部32Cのいずれかを指す。また、例えば仮登録状態にある操作が1階を行先階として登録する操作である場合、対応する距離検出部32Aについて、「隣接検出部」とは、距離検出部32Aと上下方向Yに隣接する、距離検出部32Bを指す。
【0052】
なお、本実施形態に係るエレベータ10は、距離検出部32A,32B,32C,…が上下方向Yに沿って配置される、という構成であるが、このような構成に限られない。例えば、エレベータ10は、距離検出部32A,32B,32C,…が水平方向Zに沿って配置される、という構成でもよい。そのような構成の場合、「隣接検出部」とは、仮登録状態にある行先階に対応する距離検出部32と水平方向Zに隣接する距離検出部32を指す。
【0053】
図6に戻り、制御部46aは、仮登録状態が所定時間(例えば、1秒)以上継続しているか否かを判定する(ステップS9)。仮登録状態が所定時間以上継続していない場合は、ステップS3へ戻る(ステップS9でNO)。仮登録状態が所定時間以上継続している場合(ステップS9でYES)は、仮登録状態としていた操作を記憶部46bへ登録する。この際、制御部46aは、報知部33の報知状態を、登録報知状態に変更する。登録報知状態とは、仮登録状態における第1報知状態及び第2報知状態とは異なる状態であって、例えば、報知部33が点灯する状態である。
【0054】
3.本実施形態のまとめ及び効果等
以上により、本実施形態に係るエレベータ10は、エレベータ10の登録操作を非接触で検出する複数の距離検出部32を有する操作盤28と、距離検出部32から、第1距離L1以下で遮光を検出したことを判定する、第1距離判定部31aと、距離検出部32から、第1距離L1より大きい第2距離L2以下で遮光を検出したことを判定する、第2距離判定部31bと、第1距離判定部31aが遮光を判定すると距離検出部32に対応する操作を仮登録状態とし、第2距離判定部31bの判定が解除されると仮登録状態を解除し、仮登録状態が所定時間継続すると当該操作を登録する制御部46aと、を備える。
【0055】
本実施形態の構成によれば、距離検出部32から比較的近い第1距離L1以下の限られた範囲から手が離れてしまっても、距離検出部32から第2距離L2以内であれば、遮光が継続されやすく、円滑な登録をすることができる。
【0056】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、当該操作が登録されている場合(登録報知状態)と、当該操作が仮登録されている場合(第1報知状態又は第2報知状態)とで、異なる報知をする報知部33と、を備える、という構成である。
【0057】
本実施形態の構成によれば、利用者に操作の登録がなされたか否かを報知することができ、登録に至るまで利用者に遮光を継続させることができる。
【0058】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、報知部33は、仮登録状態において、第1距離判定部31aが遮光を判定している場合(第1報知状態)と、第1距離判定部31aが遮光と判定せず、且つ第2距離判定部31bが遮光を判定している場合(第2報知状態)とで、異なる報知をする、という構成である。
【0059】
本実施形態の構成によれば、第1距離L1以下で遮光して仮登録となった後に、利用者の手が離れてしまったことを報知することができ、登録に至るまで利用者に遮光を継続させることができる。
【0060】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、制御部46aは、仮登録状態において、距離検出部32に隣接する隣接検出部32が第1距離L1以下で遮光した状態を検出した場合には、仮登録状態を解除する、という構成である。
【0061】
本実施形態の構成によれば、利用者が、仮登録された操作と異なる操作を希望して手を移動させた際、仮登録状態が継続し、希望しない操作が登録されてしまうのを防ぐことができる。
【0062】
また、本実施形態に係るエレベータ10は、距離検出部32は、距離センサである、という構成である。
【0063】
本実施形態の構成によれば、距離検出部32を一つの距離センサで構成することができ、距離検出部32の小型化を図ることができる。
【0064】
なお、エレベータ10は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、修正、又は変形が可能である。例えば、下記の変形例の構成を選択し、上記の実施形態の構成に採用することも可能である。
【0065】
4.変形例
(1)上記の実施例に係るエレベータ10においては、距離検出部32は、距離センサである、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0066】
例えば、第1変形例に係るエレベータ10は、距離検出部32は、第1距離L1以下で遮光したことを検出する第1光電センサと、第2距離L2以下で遮光したことを検出する第2光電センサで構成される、という構成でもよい。
【0067】
ここで、第1光電センサ及び第2光電センサは、投光器と受光器が一体になった反射型光電センサであって、投光器から光を照射し、受光器が受光する物体からの反射光の受光量の変化に基づいて物体の有無を検出する。また、第1光電センサ及び第2光電センサは、受光器側の受光量(光電センサの感度)を調整し、検出範囲をそれぞれ第1距離L1、第2距離L2とすることができる。
【0068】
第1変形例において、第1距離判定部31aは、第1光電センサが遮光されたか否かを判定する。また、第2距離判定部31bは、第2光電センサが遮光されたか否かを判定する。
【0069】
第1変形例の構成によれば、比較的安価な反射型光電センサにより、距離検出部32を構成することができる。
【0070】
(2)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、制御部46aは、仮登録状態において、距離検出部32に隣接する隣接検出部32が第1距離L1以下で遮光を検出した場合には、仮登録状態を解除し、報知部33を無検出報知状態とする、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0071】
例えば、第2変形例に係るエレベータ10は、制御部46aは、仮登録状態において、距離検出部32に隣接する隣接検出部32が第1距離L1以下で遮光を検出した場合には、仮登録状態を解除し、報知部33は、所定の報知をする、という構成でもよい。
【0072】
ここで、所定の報知とは、当該行先階が登録されている場合、当該行先階が仮登録されている場合と異なり、報知部33は、例えば隣接検出部32に対応する報知部33(隣接報知部)であって、隣接報知部33が、第1報知状態の点滅周期より遅い周期で点滅する、という構成でもよい。
【0073】
第2変形例の構成によれば、仮登録状態が解除された原因が、隣接検出部32を遮光していたことであったことを利用者に報知することができ、利用者は再度の操作において、隣接検出部32を遮光しないよう、注意することができる。
【0074】
さらに、第2変形例に係るエレベータ10は、制御部46aは、隣接検出部32に対応する操作を仮登録状態とする、という構成でもよい。
【0075】
(3)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、制御部46aは、仮登録状態において、距離検出部32に隣接する隣接検出部32が第1距離L1以下で遮光した状態を検出した場合には、仮登録状態を解除する、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。例えば、仮登録状態において、距離検出部32に隣接する隣接検出部32が所定状態を検出した場合には、仮登録状態を解除する、という構成であればよい。
【0076】
例えば、第3変形例に係るエレベータ10は、仮登録状態において、距離検出部32に隣接する隣接検出部32が第2距離L2以下で遮光を所定時間(例えば、0.5秒)検出した場合した場合には、仮登録状態を解除する、という構成でもよい。
【0077】
第3変形例の構成によれば、利用者が、仮登録された操作を希望せず、隣接検出部32に所定操作をした場合に、希望しない操作の仮登録状態が継続し、登録されてしまうのを防ぐことができる。
【0078】
(4)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、報知部33は、仮登録状態において、第1距離判定部31aが遮光を判定している場合と、第1距離判定部31aが遮光と判定せず、且つ第2距離判定部31bが遮光を判定している場合とで、異なる報知をする、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0079】
例えば、第4変形例に係るエレベータ10は、報知部33は、仮登録状態において、第1距離判定部31aが遮光を判定している場合と、第1距離判定部31aが遮光と判定せず、且つ第2距離判定部31bが遮光を判定している場合とで、同じ報知をする、という構成でもよい。
【0080】
(5)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、報知部33は、行先階を示す数字の形をした透光部とL字状の透光部が設けられており、内部に設けられた不図示のランプが点灯することによって発光可能に構成される。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0081】
例えば、報知部33は、表示部44であって、文字やイラスト、色などを表示することによって報知することができる。また、報知部33は、スピーカー(不図示)であって、音声や「ピッ、ピッ、・・・」という断続音、「ピ―」という連続音などを発することによって報知することができる。さらにまた、報知部33は、ランプ、表示部44、スピーカー(不図示)の種々の組合せにより構成することができる。
【0082】
(6)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、操作部28は、かご22の乗場26側に設けられた乗降口27側の袖壁22-1に設けられている。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。例えば、操作部28は、乗場26の壁に設けることができる。
【0083】
(7)また、上記の実施例に係るエレベータ10においては、距離検出部32は、乗場26を行先階として(呼び)登録するための入力操作を行う機能を有する、という構成である。しかしながら、エレベータ10は、このような構成に限られない。
【0084】
例えば、操作盤28は、乗場26の壁に設けられ、距離検出部32は、当該乗場26より上階又は下階に向かうかご22を呼ぶ入力操作を行う機能を有する、という構成でもよい。このような構成において、検出領域P1,P2に利用者が手をかざすなどの所定操作を行うことで、前述の登録制御により、上階又は下階に向かうかご22を呼ぶための入力操作が登録される。
【0085】
また、例えば、距離検出部32は、登録された操作を解除するための入力操作を行う機能を有する、という構成でもよい。このような構成において、検出領域P1,P2に利用者が手をかざすなどの所定操作を行うことで、前述の登録制御により、登録された操作を解除するための入力操作が登録される。換言すると、「解除するための入力操作」が登録されることで、当初登録されていた操作が非登録となる。
【符号の説明】
【0086】
10 エレベータ
26,26A,26B,26C 乗場
28 操作盤
30 行先階操作部
31 信号処理部
31a 第1距離判定部
31b 第2距離判定部
32,32A,32B,32C 距離検出部、隣接検出部
33 報知部
43 連絡釦
46 制御装置
L1 第1距離
L2 第2距離
P1,P2 検出領域
U 手